特許第6440461号(P6440461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440461
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】切替開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01H 21/36 20060101AFI20181210BHJP
   H01H 21/42 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01H21/36 L
   H01H21/42
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-229220(P2014-229220)
(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公開番号】特開2015-216098(P2015-216098A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2017年9月25日
(31)【優先権主張番号】特願2014-88413(P2014-88413)
(32)【優先日】2014年4月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕史
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭29−004720(JP,B1)
【文献】 特開2001−210185(JP,A)
【文献】 特開2013−089315(JP,A)
【文献】 特開2005−100856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H19/00−21/88
H01H23/00−23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後2箇所に固定接点が対向するよう配置されると共に、両者の間に可動接点が配置され、起立配置された操作手段が前方或いは後方へ傾倒操作されると、前記可動接点が取り付けられた可動接触子が連動して前方或いは後方に選択傾倒し、何れか一方の前記固定接点に接触することで2系統の回路の切り替えが実施される切替開閉器であって、
前記操作手段は回動支点を前後に2点有すると共に、切替開閉器ケースには前記回動支点を支持する回動軸が前後2カ所設けられ、
前記操作手段が前方に傾倒されると前側の一方の前記回動支点を中心に回動し、後方に傾倒されると他方の前記回動支点を中心に回動して傾倒する一方、
連結手段を介して前記操作手段に連結されて、前記操作手段の傾倒動作に連動して前後に摺動する一対の摺動板を有し、
当該一対の摺動板は、前記可動接触子を前後から挟むように前記ケース内に配置され、
前記可動接触子が前記固定接点に溶着して解離しない状態で、前記操作手段のオフ操作或いは切替操作が成されたら、摺動を開始した前記摺動板の端部が前記可動接触子に当接して前記操作手段のオフ或いは切替方向への傾倒が阻止されることを特徴とする切替開閉器。
【請求項2】
前記操作手段は、ケース上部に突出する操作ハンドルを有すると共に下端に回動支点が形成される一方、
前記可動接触子は、前記操作手段と重なる部位に縦配置されて上端基部に回動支点を有すると共に下部先端部に可動接点を具備し、前記ケースには前記可動接触子の回動支点を支持する回動軸が設けられ、
前記操作手段の回動支点は、前記可動接触子の回動支点より下方に配置されて、前記可動接触子と前記操作手段の両者は、縦方向に伸張配置されたコイルバネにより連結されて、当該コイルバネの収縮力により前記操作手段及び前記可動接触子はそれぞれの回動軸に押圧されてトグル機構を形成して成ることを特徴とする請求項1記載の切替開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2系統の回路を切り替える切替開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
接続先を2系統の回路の何れか一方に切り替える切替開閉器は、操作ハンドルの操作により一対の固定接点間を可動接点が移動するよう構成されている。
例えば、特許文献1では電源の切り替えに切替開閉器を使用し、対向するよう配置した固定接点の間に可動接点を両面に設けた可動接触子を配置して、可動接触子を回動させて可動接点が接触する固定接点の切り替えを実施して電源の切り替えを行っている。また、トグル機構を備えて、切り替わりが瞬時に行われるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表特許WO2011/125120号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の切替開閉器は、2回路の何れか一方を選択するには好ましいものであるが、双方とも接続しないオフ状態の選択は設定されていないため、オフ操作が必要な場合は別途オン/オフ操作する開閉器を介在させる必要があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、2系統の回路の何れも選択しないオフ状態を確実に選択できる切替開閉器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、前後2箇所に固定接点が対向するよう配置されると共に、両者の間に可動接点が配置され、起立配置された操作手段が前方或いは後方へ傾倒操作されると、可動接点が取り付けられた可動接触子が連動して前方或いは後方に選択傾倒し、何れか一方の固定接点に接触することで2系統の回路の切り替えが実施される切替開閉器であって、操作手段は回動支点を前後に2点有すると共に、切替開閉器ケースには回動支点を支持する回動軸が前後2カ所設けられ、操作手段が前方に傾倒されると前側の一方の回動支点を中心に回動し、後方に傾倒されると他方の回動支点を中心に回動して傾倒する一方、連結手段を介して操作手段に連結されて、操作手段の傾倒動作に連動して前後に摺動する一対の摺動板を有し、当該一対の摺動板は、可動接触子を前後から挟むようにケース内に配置され、可動接触子が固定接点に溶着して解離しない状態で、操作手段のオフ操作或いは切替操作が成されたら、摺動を開始した摺動板の端部が可動接触子に当接して操作手段のオフ或いは切替方向への傾倒が阻止されることを特徴とする。
この構成によれば、操作手段の回動支点と、この回動支点を支持する回動軸とを前後2箇所に設け、操作手段の前方への傾倒と後方への傾倒で回動支点が異なるよう構成したため、操作手段を傾倒しないオフ状態では双方の回動軸に回動支点を当接させて操作手段を安定させることができる。よって、一方へ傾倒した状態から傾倒状態を戻してオフした際に、オフ位置を通過して反対方向まで操作手段が傾倒動作するような事態を防止できる。
加えて、操作手段の動作に連動して前後動する摺動板により、接点が溶着してオフ操作或いは切替操作で離れない場合は、操作手段の傾倒動作の途中で摺動板に当接してロック状態となり傾倒動作が途中で阻止される。よって、オフ操作或いは切替操作を完了させることができないため、接点の溶着を操作ハンドルの操作で認識でき、オフ操作或いは切替操作が成されたと誤認識することがない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、操作手段は、ケース上部に突出する操作ハンドルを有すると共に下端に回動支点が形成される一方、可動接触子は、操作手段と重なる部位に縦配置されて上端基部に回動支点を有すると共に下部先端部に可動接点を具備し、ケースには可動接触子の回動支点を支持する回動軸が設けられ、操作手段の回動支点は、可動接触子の回動支点より下方に配置されて、可動接触子と操作手段の両者は、縦方向に伸張配置されたコイルバネにより連結されて、当該コイルバネの収縮力により操作手段及び可動接触子はそれぞれの回動軸に押圧されてトグル機構を形成して成ることを特徴とする。
この構成によれば、可動接触子と操作手段との間に伸張したコイルバネが配置されることで、操作ハンドルをオフした際の操作手段は前後に配置された一対の回動軸に押圧されるため、オフ位置において安定した状態を確保できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、 操作手段の回動支点と、この回動支点を支持する回動軸とを前後2箇所に設け、操作手段の前方への傾倒と後方への傾倒で回動支点が異なるよう構成したため、操作手段を傾倒しないオフ状態では双方の回動軸に回動支点を当接させて操作手段を安定させることができる。よって、一方へ傾倒した状態から傾倒状態を戻してオフした際に、オフ位置を通過して反対方向まで操作手段が傾倒動作するような事態を防止できる。
また、操作手段の動作に連動して前後動する摺動板により、接点が溶着してオフ操作或いは切替操作で離れない場合は、操作手段の傾倒動作の途中で摺動板に当接してロック状態となり傾倒動作が途中で阻止される。よって、オフ操作或いは切替操作を完了させることができないため、接点の溶着を操作ハンドルの操作で認識できるしオフ操作或いは切替操作が成されたと誤認識することがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る切替開閉器の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
図2図1の切替開閉器のオフ状態での内部構造を示す側面説明図である。
図3図2の状態における要部斜視説明図であり、(a)は斜め前方から見た図、(b)は斜め後方から見た図である。
図4】選択する2系統のうち一方に接続する流れを示す側面説明図であり、(a)は操作手段を途中まで回動した状態、(b)は接続操作が完了した状態である。
図5】選択する2系統のうち他方に接続した状態の内部構造を示す側面説明図である。
図6図5の状態からオフ状態に移行する途中の状態を示す側面説明図である。
図7】切替開閉器の他の例を示す側面説明図であり、接点が溶着した場合にはオフ操作を禁止する機構を備えた構成を示している。
図8図7に示す切替開閉器の可動接点が第1系統端子側に溶着した場合の動作説明図である。
図9図7に示す切替開閉器の可動接点が第2系統端子側に溶着した場合の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る切替開閉器の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図であり、3線から成る2系統の回路(図示せず)を切り替える切替開閉器を示している。
図1において、1〜3は電線を接続する端子であり、1(1a〜1c)は可動接点に接続される切替元端子、2(2a〜2c)は切替先の2系統のうちの一方が接続される第1系統端子、3(3a〜3c)は2系統のうちの他方が接続される第2系統端子、5は端子ネジである。また、4aは切替操作する操作ハンドルであり、この操作ハンドル4aの切替操作により、切替元端子1に接続された回路の接続先が、第1系統端子2に接続された回路か、第2系統端子3に接続された回路に切り替えられる。
【0012】
切替元端子1及び第1系統端子2は、切替開閉器ケース10の図示左側に配置され、第2系統端子3は図示右側に配置され、操作ハンドル4aはケース10の上部に配置されている。尚、図1(b)に示す左側を前方、右側を後方、操作ハンドル4aの先端方向を上方として以下説明する。
【0013】
ケース10は、左右に4分割して形成され、左側3部材(第1ケース部材10a,第2ケース部材10b,第3ケース部材10c)がそれぞれ1つの電路を切り替える切替機構を収容し、この3部材で3線から成る電路に対する切替機構を収容している。また、右端のケース10dは側面を閉塞する閉塞板を構成している。
【0014】
図2図1に示す切替開閉器の内部構造を示す側面説明図であり、回路を開放したオフ状態の第1ケース部材10aを示している。また、図3図2に示す第1ケース部材10aの主要部の斜視図であり、(a)は斜め前方から見た斜視図、(b)は斜め後方から見た斜視図である。図2図3において、6は固定接点、7は可動接点、8は可動接触子であり、固定接点6は前後から対向するように一対配置され、前側の固定接点6は第1系統端子2に接続され、後側の固定接点6は第2系統端子3に接続されている。尚、図3では操作ハンドル4a及び後述するコイルバネ20は省略してある。
【0015】
可動接触子8は、1枚の帯状板体(ブレード)8aとブレード8aを回動させる基底部材8bとで構成されている。ブレード8aは両固定接点6,6の間の中間位置において垂下するように配置され、垂下された先端両面に可動接点7が固着されている。但し、可動接点7は、図3に示すように横方向に位置をずらして両面に設けられ、固定接点6もそれに合わせて前側の固定接点6と後側の固定接点6は横方向に位置をずらして対向させている。
【0016】
そして、ブレード8aの上部は折り曲げられて基底部材8bに固定されている。基底部材8bの上端には、ブレード8aを前方及び後方に傾倒する際の回動支点12が前後2カ所形成され、前方の回動支点12aと後方の回動支点12bとが凹設されている。
但し、可動接触子8の回動支点12は、後述するフレーム15の形状に合わせて左右が分離形成されている。また、ブレード8aの折り曲げられた基端部は、図示しない可撓導線により切替元端子1に接続されている。
【0017】
上部に露出した操作ハンドル4aは、下部に配置された支持部材4bとで操作手段4を構成し、支持部材4bは図3に示すように可動接触子8を左右から跨ぐようにコ字状に形成されて下方に延設されている。そして、下端には前方及び後方に傾倒する際の回動支点14(14a,14b)が前後2カ所形成され、前方の回動支点14aと後方の回動支点14bとが凹設されている。但し、操作手段4の回動支点14も可動接触子8の場合と同様に、フレーム15の形状に合わせて左右に分離形成されている。
【0018】
そしてケース10内には、操作手段4と可動接触子8とを支持するフレーム15が配置されている。このフレーム15は、左右側板15aと連結板15bを有してコ字状に折り曲げ形成されている。
左右側板15aの外側面には、操作手段4の回動支点14を支持する一対の第1回動軸16がそれぞれ突設され、左右側板15aの対向する内側には可動接触子8の回動支点12を支持する一対の第2回動軸17がそれぞれ突設されている。
【0019】
このフレーム15は、切替機構を構成する1組の操作手段4と可動接触子7とを収容して支持するもので、図3に示すように第1ケース部材10aには1個のフレーム15が組み付けられている。こうして、3本の電路を開閉する図1の形態では、第1〜第3ケース部材10a〜10cを連結することで3個のフレーム15がケース10内に組み付けられ、3つの切替機構が収容される。
但し、図1の操作ハンドル4aは、3個の支持部材4bに対して幅広の1個のハンドルとして形成されている。
【0020】
また、可動接触子8と操作手段4とは互いに伸張されたコイルバネ20により連結されてトグル機構が形成されている。このコイルバネ20により、可動接触子8は第2回動軸17に密着する上方へ付勢され、操作手段4は第1回動軸16に密着する下方へ付勢された状態が維持される。
【0021】
可動接点7がいずれの固定接点6にも接触しないオフ状態では、可動接点7を有するブレード8aと起立するよう配置された操作ハンドル4aとは一直線状に配置され、図2に示すように操作ハンドル4aの中心軸M上に配置されている。
尚、操作手段4の前後の回動支点14a,14b、及び可動接触子8の前後の回動支点12a,12bは、オフ状態でこの中心軸Mを中心として対称に配置される。
【0022】
次に、上記の如く構成された切替開閉器の切替動作を説明する。先ず、図2に示す回路オフの状態から第2系統端子3に切替元端子1を接続する動作を説明する。図4は第2系統端子3に切替元端子1を接続する流れを示し、(a)は操作手段4を途中まで回動した状態、(b)は操作手段4の操作が完了して可動接点7が固定接点6に密着した状態を示している。
図4(a)に示すように、操作ハンドル4aを後方に傾倒して操作手段4を後方に回動させると、操作手段4は後方の回動支点14bを中心に回動を開始する。但し、コイルバネ20の弾性力方向が、中心軸M上のコイルバネ20の可動接触子掛止部Qに対して可動接触子8の上部の回動支点12bの成す角度Aに至るまでは、コイルバネ20の弾性力方向が回動支点12bを超えないため可動接触子8が回動することはない。
【0023】
その後、操作手段4の回動が進み、コイルバネ20の弾性力方向が角度Aを超えると、トグル機構の作用により基底部材8bが回動を開始する。即ち、可動接触子8は後方へ動き出す。図4(b)は、こうして可動接点7が後方の固定接点6に密着して操作手段4の回動が終了した状態を示している。この状態に移行すると、コイルバネ20の可動接触子掛止部Qに対する回動支点12b方向とコイルバネ20の弾性力方向との間に作用角Cが生成され、十分な接点接触圧が確保される。
【0024】
そして、操作ハンドル4aを前方に傾倒すれば切替元端子1は第1系統端子2に接続される。図5は切替元端子1を第1系統端子2に接続した状態を示す側面説明図であり、この図5を参照して説明する。但し、この前方への回動は後方への回動と同様であるため詳細な説明を省略する。
操作ハンドル4aを前方へ傾倒する際、図2で示したコイルバネ20と回動支点12bの成す角度Aが反対方向にも作用し、角度Aを超えるまで可動接触子8は回動しないが、角度Aを超えると可動接触子8が回動して可動接点7が前方の固定接点6に密着する。但し、操作手段4は前方の回動支点14aを中心に回動する。
【0025】
こうして接点同士が接触すると、上記後方への傾倒操作と同様にコイルバネ20の可動接触子掛止部Qに対する回動支点12b方向とコイルバネ20の弾性力方向との間に作用角Cが生成され、十分な接点接触圧が確保される。
【0026】
この状態、即ち第1系統端子2に接続した状態から、オフ状態へ移行する動作は以下の様である。図6は第1系統端子2に接続した状態からオフ状態に移行する途中の状態を示す側面説明図であり、この図6を参照して説明する。
コイルバネ20の弾性力方向が基底部材8bの前方の回動支点12aを超えるまでは可動接触子8は回動しないため、図5に示した接点接続状態(可動接点7が固定接点6に接触した状態)から操作手段4を起立する方向へ戻しても、途中までは接点の接続状態が維持される。
【0027】
その後、コイルバネ20の弾性力方向が前方の回動支点12aを超えて後方に移動し、図6に示す作用角Dが生成されると、基底部材8bが回動を開始する。即ち可動接触子8は後方へ動き出す。この結果、図2に示すオフ状態に移行する。そして、図2の状態では操作手段4は、前後2つの回動軸16,16に支持部材4bが密着するし、コイルバネ20により密着方向である下方に付勢されるため起立した状態が保持される。
尚、図4(b)の状態から操作手段4を起立させた場合も同様であり、コイルバネ20の弾性力方向が回動支点方向を超えると、基底部材8bが回動を開始してオフ状態へ移行する。
【0028】
このように、操作手段4の回動支点14と、この回動支点14を支持する回動軸16とを前後2箇所に設け、操作手段4の前方への傾倒と後方への傾倒で回動支点14が異なるよう構成したため、操作手段4を傾倒しないオフ状態では双方の回動軸16に回動支点14を当接させて操作手段4を安定させることができる。よって、一方へ傾倒した状態から傾倒状態を戻してオフした際に、オフ位置を通過して反対方向まで操作手段4が傾倒動作するような事態を防止できる。
また、可動接触子8と操作手段4との間に伸張したコイルバネ20が配置されることで、操作ハンドル4aをオフした際の操作手段4は前後に配置された一対の回動軸16に押圧されるため、オフ位置において安定した状態を確保できる。
【0029】
次に、本発明に係る切替開閉器の他の構成を説明する。図7は側面説明図であり、上記構成に加えて接点が溶着した場合にはオフ操作が阻止される機構を備えた構成を示している。
図7において、21(21a,21b)は前後方向に摺動する摺動板、22(22a,22b)は摺動板21を操作手段4に連結するアームである。摺動板21は可動接触子8の前後に水平に配置され、可動接触子8を挟むように設置されている。アーム22はそれぞれの摺動板21a,21bに対して一対ずつ設けられ、摺動板21の左右に形成された連結部23に端部が連結されている。この連結部23は前後に延びた長穴として形成され、アーム22は遊びを持って連結されている。
また、アーム22の他端は操作手段4の支持部材4bに軸支され、図7に示すように側面から見た支持部材4bに対してハ字状に配置され、操作手段4の回動を受けて、摺動板21が連動して前後動するよう構成されている。
【0030】
こうして、操作ハンドル4aが傾倒操作を受けると、摺動板21も連動して前後動し、操作ハンドル4aが前方に傾倒操作されて可動接点7を前方に傾倒させて第1系統端子2と切替元端子1を接続しても、摺動板21も連動して前方に移動するため、可動接触子8と摺動板21が接触することが無く切替操作の障害とならない。同様に操作ハンドル4aが後方に傾倒されたら摺動板21も後方に摺動するためスムーズな切替操作を実施できる。
【0031】
しかし、固定接点6と可動接点7とが溶着した状態で接点の切り離し操作(オフ操作或いは切替操作)が成された場合は、摺動板21が支持部材4bに対して以下の様な作用をする。最初に、第1系統端子2に接続された可動接触子8を切り離し操作した場合を図8を参照して説明する。図8はこの場合の可動接触子8を切り離し操作した場合の切替開閉器の側面説明図である。
図8に示すように、前方に傾倒した操作ハンドル4aを起立した中立位置に戻そうと後方(矢印F1の方向)へ回動操作すると、回動操作を受けて前側アーム22aが後方に引っ張られて前側摺動板21aが矢印G1で示す後方へ摺動を開始する。しかし、固定接点6と可動接点7とが溶着して離れないと、可動接触子8は第1系統端子2に連結されたままであるため、後方へ摺動した2枚の摺動板21a,21bのうちの前側に配置された摺動板21aの後端部がやがて可動接触子8に当接し、それ以上の摺動が阻止される。
こうなると、連結されたアーム22aの作用で操作手段4はそれ以上回動することができず、中立位置まで戻すことが不可能となる。当然、反対側に傾倒して切替操作することもできない。
【0032】
逆方向の操作も同様であり、図9は第2系統端子3に接続された可動接触子8を切り離し操作した場合の説明図を示している。図9に示すように、操作ハンドル4aを起立した中立位置に戻そうと前方(矢印F2の方向)へ回動操作すると、回動操作を受けてアーム22で連結された後側摺動板21bが引っ張られて移動し、後側摺動板21bも矢印G2で示す前方へ摺動を開始する。しかし、可動接点7が溶着して離れないと、可動接触子8は第2系統端子3に連結されたままであるため、前方へ摺動を開始した摺動板21bの先端部がやがて可動接触子8に当接する。
こうなると、連結されたアーム22bの作用で操作手段4はそれ以上回動することができず、中立位置に戻らない。当然、反対側に傾倒して切替操作することもできない。
【0033】
このように、操作手段4の動作に連動して前後動する摺動板21により、固定接点6と可動接点7とが溶着してオフ操作或いは切替操作で離れない場合は、操作手段4の傾倒動作の途中で摺動板21に当接してロック状態となり操作ハンドル4aの回動操作が阻止される。よって、オフ操作或いは切替操作を完了させることができないため、接点の溶着を操作ハンドル4aの操作で認識でき、オフ操作或いは切替操作が成されたと誤認識することがない。
【0034】
尚、上記実施形態は、例えば三相電路に適用可能な3線を同時に切り替える構成を説明したが、2線を同時に切り替える場合は各端子(切替元端子1、第1系統端子2、第2系統端子3)は何れも2端子となる。
【符号の説明】
【0035】
1・・切替元端子、2・・第1系統端子、3・・第2系統端子、4・・操作手段、4a・・操作ハンドル、4b・・支持部材、6・・固定接点、7・・可動接点、8・・可動接触子、8b・・基底部材、10・・ケース、12・・回動支点、14・・回動支点、15・・フレーム、16・・回動軸(第1回動軸)、17・・回動軸(第2回動軸)、20・・コイルバネ、21・・摺動板、22・・アーム(連結手段)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9