特許第6440469号(P6440469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440469
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】レーザ合成光学装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20181210BHJP
   H01S 5/02 20060101ALI20181210BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20181210BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20181210BHJP
【FI】
   F21S2/00 340
   H01S5/02
   H01S5/40
   F21Y115:10
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-239583(P2014-239583)
(22)【出願日】2014年11月27日
(65)【公開番号】特開2016-103317(P2016-103317A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】関 俊秀
【審査官】 山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−337594(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/063322(WO,A1)
【文献】 特開2006−344915(JP,A)
【文献】 実開平04−101518(JP,U)
【文献】 特開2013−080578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G03B 1/00 − 33/16
H01S 5/00 − 5/50
G02B 7/00 − 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマルチエミッタレーザダイオードと、
前記複数のマルチエミッタレーザダイオードのそれぞれの光出射面側に配置された複数のコリメータレンズと、
2つの全反射面を備える少なくとも1つの反射素子と、
を備え、
1つの前記マルチエミッタレーザダイオードから出射するレーザ光は、前記反射素子の前記2つの全反射面で順に反射されて、別の前記マルチエミッタレーザダイオードから出射し前記反射素子を反射せずに透過するレーザ光に近づく方向にずれる、
レーザ合成光学装置。
【請求項2】
前記複数のコリメータレンズが前記反射素子に直接固定されている、
請求項1に記載のレーザ合成光学装置。
【請求項3】
前記複数のコリメータレンズは共通の部材に一体に形成されている、
請求項1または請求項に記載のレーザ合成光学装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの反射素子は、第1および第2の反射素子であり、
前記複数のマルチエミッタレーザダイオードは、前記第1の反射素子に入射する第1および第4のマルチエミッタレーザダイオードと、前記第2の反射素子に入射する第2および第5のマルチエミッタレーザダイオードとを含み
前記第4のマルチエミッタレーザダイオードから出射するレーザ光は、前記第1の反射素子を反射せずに透過し、
前記第5のマルチエミッタレーザダイオードから出射するレーザ光は、前記第2の反射素子を反射せずに透過し、
前記第1のマルチエミッタレーザダイオードから出射するレーザ光は、前記第1の反射素子の前記2つの全反射面で順に反射されて、前記第2および第4のマルチエミッタレーザダイオードから出射するレーザ光に近づく方向にずれ、
前記第2のマルチエミッタレーザダイオードから出射するレーザ光は、前記第2の反射素子の前記2つの全反射面で順に反射されて、前記第1および第5のマルチエミッタレーザダイオードから出射するレーザ光に近づく方向にずれる、
請求項1に記載のレーザ合成光学装置。
【請求項5】
前記複数のマルチエミッタレーザダイオードは、第3のマルチエミッタレーザダイオードを含み、
前記第3のマルチエミッタレーザダイオードから出射されるレーザ光は前記第1および第2の反射素子で反射されず、前記第1の反射素子から出射した前記第1のマルチエミッタレーザダイオードのレーザ光と、前記第2の反射素子から出射した前記第2のマルチエミッタレーザダイオードのレーザ光との間に来る、
請求項に記載のレーザ合成光学装置。
【請求項6】
前記第1および第2の反射素子は共通の部材を介して一体化されている、
請求項または請求項に記載のレーザ合成光学装置。
【請求項7】
前記複数のマルチエミッタレーザダイオードは第1、第2および第3のマルチエミッタレーザダイオードであり、
前記第1、第2および第3のマルチエミッタレーザダイオードはこの順序で並んで配置され、
前記第3のマルチエミッタレーザダイオードから出射するレーザ光は、前記反射素子の前記2つの全反射面で順に反射されて、前記第1のマルチエミッタレーザダイオードから出射され前記反射素子で反射されないレーザ光と、前記第2のマルチエミッタレーザダイオードから出射され前記反射素子で反射されないレーザ光との間に来るようにずれる、
請求項1に記載のレーザ合成光学装置。
【請求項8】
前記第1および第2のマルチエミッタレーザダイオードの間隔と、前記第2および第3のマルチエミッタレーザダイオードの間隔とが異なる、
請求項に記載のレーザ合成光学装置。
【請求項9】
前記反射素子に備わる前記2つの全反射面は互いに平行である、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のレーザ合成光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ合成光学装置に関し、例えば、プロジェクタ等の光源として利用される高出力レーザを実現するためにレーザ光を結合するレーザ合成光学装置に関する。さらに詳しくは、複数の発光点を有するレーザダイオード(以下マルチエミッタLDと称す)を複数合成し、その出力を増大するための光学的結合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタ等の投射型表示装置にはその光源として高圧水銀ランプ等が利用されていた。ランプの発光スペクトルは、その内部に封入された物質の性質により略連続した可視光である。ランプの光は、表示装置に最適な色を作り出すために、さらに赤、緑、青の3色に分離される。そして、小型表示装置を照明することにより、光を再合成することでフルカラーの映像を形成する。
【0003】
近年、ランプに代わってレーザダイオード(以下LDとも記載)を光源とした投射型表示装置の開発が盛んである。LDを光源とした投射型表示装置の特徴は、レーザ光の単色性による色再現範囲の拡大と、発光点が小さいことによる光学系全体の小型化を実現できることにある。また、赤、緑、青の各色LDを用いた場合、各色が独立して制御されることから、ランプを光源とした場合のような色分離のための光学系を必要としない。
【0004】
しかしながら単一のLDでは、投射型表示装置の光源に利用するには光出力が低い。特に、大画面を投射する用途では十分な光量を得ることができない。このため、例えば特許文献1に示されるような、レーザモジュールを複数合成して高出力を実現させる手段が提案されている。
【0005】
さらに特許文献2では、複数の発光点を有するマルチエミッタレーザダイオード(以下マルチエミッタLDとも記載)の出力光を集光し、ファイバ結合する方法が提案されている。また、特許文献3、4では、ビーム合成素子を用いたLDの合成方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−241659号公報
【特許文献2】特開2002−202442号公報
【特許文献3】特開2001−142014号公報
【特許文献4】特開平11−153733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上述の特許文献1では、レーザモジュールを複数合成するため、装置の小型化が困難である。また、特許文献2では、単一のマルチエミッタLDを集光する構成が示されているが、この構成にて複数のLDを合成することは困難である。
【0008】
また、特許文献3および特許文献4のビーム合成素子は、偏光プリズム、ダイクロイックプリズム、ミラーあるいはハーフミラーなどが示されている。しかしながら、このビーム合成素子を用いるためには、互いに直交する偏光あるいは波長の異なるレーザが必要になる。このため、偏光方向および同一波長のレーザを複数合成することが困難である。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で複数のマルチエミッタLDからのレーザ光を合成することが可能なレーザ合成光学装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るレーザ合成光学装置は、複数のマルチエミッタレーザダイオードと、複数のマルチエミッタレーザダイオードのそれぞれの光出射面側に配置された複数のコリメータレンズと、2つの全反射面を備える少なくとも1つの反射素子と、を備え、1つの前記マルチエミッタレーザダイオードから出射するレーザ光は、前記反射素子の前記2つの全反射面で順に反射されて、別の前記マルチエミッタレーザダイオードから出射し前記反射素子を反射せずに透過するレーザ光に近づく方向にずれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るレーザ合成光学装置によれば、1つのマルチエミッタレーザダイオードから出射したレーザ光は、反射素子によって、別のマルチエミッタダイオードから出射され反射素子を反射せずに透過するレーザ光に近づく方向にずれる。このため、別のマルチエミッタレーザダイオードから出射されるレーザ光と反射素子において反射したレーザ光との間隔は、マルチエミッタレーザダイオードの配置間隔よりも小さくなる。よって、レーザモジュールを構成する各部品の寸法の大きさにかかわらず、複数のレーザ光を小さな範囲に集め、レーザモジュールの出力を増大することが可能となる。また、従来の構成に反射素子を追加するだけの簡易な構成で上記効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係るレーザ合成光学装置の構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係るレーザ合成光学装置に備わるコリメータレンズの斜視図である。
図3】実施の形態1に係るレーザ合成光学装置と集光レンズとを組み合わせた構成の平面図および側面図である。
図4】実施の形態1に係るレーザ合成光学装置と集光レンズとを組み合わせた構成の斜視図である。
図5】反射素子を用いない場合におけるマルチエミッタレーザダイオードと集光レンズの組み合わせた構成を示す図である。
図6】実施の形態1の変形例に係るレーザ合成光学装置の構成を示す図である。
図7】実施の形態2に係るレーザ合成光学装置の構成を示す図である。
図8】実施の形態2の変形例に係るレーザ合成光学装置の構成を示す図である。
図9】実施の形態3に係るレーザ合成光学装置の構成を示す図である。
図10】実施の形態3の変形例に係るレーザ合成光学装置の構成を示す図である。
図11】実施の形態4に係るレーザ合成光学装置の構成を示す図である。
図12】シングルエミッタレーザダイオードの構成を示す図である。
図13】マルチエミッタレーザダイオードの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態の例を説明するが、本発明は以下の実施の形態のみに限定されるものではない。
【0014】
<実施の形態1>
本発明の実施形態を述べる前に、シングルエミッタレーザダイオード(以下シングルエミッタLDとも記載)およびマルチエミッタレーザダイオード(以下マルチエミッタLDとも記載)について説明する。図12(a),(b)は、シングルエミッタLDの構成を示す図である。図13は、マルチエミッタレーザLDの斜視図である。なお、図中に示した配置は、XYZ軸で図示した座標系に従うものとする。
【0015】
シングルエミッタLDにおいて、発光点であるエミッタは、電極11、保持部材、放熱部材等から構成される封止パッケージ10の中に配置される。エミッタが封止構造内に配置される理由は、環境における温度、湿度の影響での結露を防止することが主な目的である。このため、不活性ガスまたは乾燥空気を封入した気密封止構造とするのが一般的であり、電極11に外部から給電することによりレーザ発光する。また、シングルエミッタLDが出射するレーザ光22は、XZ面内(図12(a))とYZ面内(図12(b))とでレーザ光32の広がり角度が異なる。本明細書では、広がり角度の大きな系をYZ面で定義する。以下、レーザ光32の出射角度が大きな方向をファスト軸、ファスト軸に直交する方向をスロー軸と記載する。
【0016】
シングルエミッタLDのレーザ出力はおよそ1W以下であり、プロジェクタ等の投射型表示装置の光源とするには出力が不十分である。このため複数のシングルエミッタLDを備えるレーザモジュールを複数並べて、各レーザモジュールの出力光を光学的に合成する構成が提案されている。
【0017】
あるいは、レーザモジュール自身の出力増大を目的として、複数の発光点を有するマルチエミッタLDを搭載したレーザモジュールも開発されている。図13はマルチエミッタLD20を模式的に示した図である。マルチエミッタLD20は複数の発光点31が図中X軸方向に配置されたものであり、各発光点31からシングルエミッタLD同様のレーザ光32が出射される。したがって、マルチエミッタLDを搭載したレーザモジュールからは複数のシングルエミッタLDのレーザ光32を合成したレーザ光222が出射される。
【0018】
ここで、複数の発光点31が並んだ層は活性層と呼ばれ概略1μm程度の厚みである。従って、YZ面内のレーザ光222は、おおよそ点光源からレーザ光が出射されていると考えることができ、コリメータレンズ等により平行度の高いレーザ光を比較的容易に作り出すことが可能である。以下、複数のマルチエミッタLDを備えるレーザ合成光学装置について説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態1におけるレーザ合成光学装置100の構成を示す図である。レーザ合成光学装置100は、2つのマルチエミッタLD20a,20bと、2つのコリメータレンズ30と、反射素子50とを備える。
【0020】
マルチエミッタLD20a,20bは、図13に示したマルチエミッタLDと同じものである。マルチエミッタLD20aとマルチエミッタLD20bとの発光点の間隔は、マルチエミッタLD自身の物理的な大きさおよび放熱のための空間を考慮して、間隔D1で配置されている。各マルチエミッタLD20a,20bから出射したレーザ光は、レーザ光を平行光に変換する各コリメータレンズ30を通過して略平行なレーザ光となる。図1はYZ面に座標をとった模式図のため、図中の光線はファスト軸のレーザ光を表している。従って、各マルチエミッタLD20a,20bにおける複数の発光点は図面に垂直な方向に並んでいる。
【0021】
ファスト軸のレーザ光は、さきに説明したように概略点光源とみなせるので、比較的簡単なレンズ構成で平行度の高いレーザ光に変換することが可能である。図2にコリメータレンズ30の構成例を示す。図2(a)は、YZ面内(ファスト軸面内)にのみレンズ効果を有するコリメータレンズを示す図である。X軸方向に複数並んだ発光点全てのファスト軸光を平行なレーザ光に変換する。また、図2(b)は、各発光点に対応するレンズが複数並んだ形状を有するコリメータレンズである。図2(b)においては、ファスト軸のみならず、スロー軸方向レーザ光の平行度も補正される。コリメータレンズは本例に限らずレーザモジュールの構成、要求されるレーザ光の平行度を鑑みて、レンズ形状、レンズ構成面を任意に設定することが可能である。
【0022】
反射素子50は、図1に示すように、平行四辺形を図の紙面に垂直な方向に引き伸ばした形状を有する。反射素子50は、互いに平行な全反射面50a,50bを備える。全反射面50a,50bにおいてレーザ光は全反射する。
【0023】
図1において、マルチエミッタLD20bから出射し、コリメータレンズ30を通過して略平行光となったレーザ光222bは、反射素子50を反射せずに透過する。
【0024】
一方、マルチエミッタLD20aから出射し、コリメータレンズ30を通過して略平行光となったレーザ光222aは、まず、反射素子50の全反射面50aで全反射し、全反射面50bに向かって方向を変える。そして次に、全反射面50bで全反射し、レーザ光222bと平行なレーザ光として出射する。
【0025】
つまり、マルチエミッタLD20aから出射したレーザ光222aは、反射素子50によって、マルチエミッタLD20bから出射されるレーザ光222bに近づく方向に平行にずれる。このため、反射素子50を透過したレーザ光222bと、反射素子50において反射したレーザ光222aとの間隔D2は、マルチエミッタLD20a,20bの間隔D1よりも小さくなる。
【0026】
従って、レーザモジュールを構成する各部品の寸法の大きさにかかわらず、複数のレーザ光を小さな範囲に集め、レーザモジュールの出力を増大することが可能となる。
【0027】
反射素子50は、図1に示すように、平行四辺形を図の紙面に垂直な方向に引き伸ばした形状を有し、比較的容易に製造可能である。また、全反射を利用してレーザ光を合成するため、全反射面50a,50bに特殊なコーティング等の処理を施す必要がなく、安価に製造できる。またさらに、反射素子50は、全反射面50a,50bでの全反射を利用して合成を行うため、レーザ光の波長、斜面の角度を考慮して材料の屈折率が決定される。このため、比較的安価なガラス材にて実現可能である。
【0028】
図3(a)、図3(b)のそれぞれは、本実施の形態1におけるレーザ合成光学装置100と集光レンズ40とを組み合わせた構成のYZ方向に沿った断面図とXZ方向に沿った断面図である。図4は、レーザ合成光学装置100と集光レンズ40とを組み合わせた構成の斜視図である。また、図5は、反射素子50を用いないでマルチエミッタLD20a,20bのレーザ光を集光する構成を示す図である。
【0029】
図5から明らかなように、反射素子50を用いない場合には、マルチエミッタLD20a,20bの発光点の間隔D1に依存してその合成直径DLが決められる。ここで合成直径DLとは、集光レンズ40に入射する前のレーザ光の直径である。一方、本実施の形態1(図3)では、反射素子50を用いない構成(図5)と比較して、合成直径DLを小さくすることが可能である。合成直径DLを小さくすることにより、集光レンズ40の直径を小さくすることが可能である。
【0030】
<効果>
本実施の形態1におけるレーザ合成光学装置100は、複数のマルチエミッタレーザダイオード20a,20bと、複数のマルチエミッタレーザダイオード20a,20bのそれぞれの光出射面側に配置された複数のコリメータレンズ30と、2つの全反射面50a,50bを備える少なくとも1つの反射素子50と、を備え、1つのマルチエミッタレーザダイオード20aから出射するレーザ光222aは、反射素子50の2つの全反射面50a,50bで順に反射されて、別のマルチエミッタレーザダイオード20bから出射するレーザ光222bに近づく方向にずれる。
【0031】
従って、マルチエミッタLD20aから出射したレーザ光222aは、反射素子50によって、マルチエミッタLD20bから出射されるレーザ光222bに近づく方向に平行にずれる。このため、反射素子50を透過したレーザ光222bと、反射素子50において反射したレーザ光222aとの間隔D2は、マルチエミッタLD20a,20bの間隔D1よりも小さくなる。よって、レーザモジュールを構成する各部品の寸法の大きさにかかわらず、複数のレーザ光を小さな範囲に集め、レーザモジュールの出力を増大することが可能となる。また、従来の構成に反射素子50を追加するだけの簡易な構成で上記効果を得ることが可能である。
【0032】
また、本実施の形態1におけるレーザ合成光学装置100において、1つのマルチエミッタレーザダイオード20aから出射するレーザ光222aは、反射素子50の2つの全反射面50a,50bで順に反射されて、別のマルチエミッタレーザダイオード20bから出射され反射素子50で反射されないレーザ光222bに近づく方向にずれる。
【0033】
従って、本実施の形態1では、一方のレーザ光222aの軌道を他方のレーザ光222bに近づけるように平行移動させるため、レーザ光222bの軌道を変化させることなく、複数のレーザ光を小さな範囲に集めることが可能である。
【0034】
また、本実施の形態1におけるレーザ合成光学装置100において、反射素子50に備わる2つの全反射面50a,50bは互いに平行である。
【0035】
従って、マルチエミッタLD20aから出射するレーザ光222aを、反射素子50の2つの全反射面50a,50bで順に反射して、元の軌道から平行にずらすことが可能となる。
【0036】
<実施の形態1の変形例>
図6は、実施の形態1におけるレーザ合成光学装置100の変形例を示す図である。図6に示すレーザ合成光学装置100Aに備わる反射素子50は、レーザ合成光学装置100に備わる反射素子50よりもY軸方向に短い。そのため、図6において、マルチエミッタLD20bから出射し、コリメータレンズ30を通過して略平行光となったレーザ光222bは、反射素子50の存在しない経路を通る。
【0037】
一方、マルチエミッタLD20aから出射し、コリメータレンズ30を通過して略平行光となったレーザ光222aは、実施の形態1と同様、まず、反射素子50の第1の全反射面50aで全反射し、全反射面50bに向かって方向を変える。そして次に、全反射面50bで全反射し、レーザ光222bと平行なレーザ光として出射する。
【0038】
つまり、レーザ光222bと、反射素子51において反射したレーザ光222aとの間隔D2は、マルチエミッタLD20a,20bの間隔D1よりも小さくなる。
【0039】
本変形例においては、反射素子50をより小さく構成することができるため、反射素子50をさらに安価に製造することが可能である。
【0040】
<実施の形態2>
図7は、本実施の形態2におけるレーザ合成光学装置200の構成を示す図である。図7において、2つのコリメータレンズ30は反射素子50と一体に構成されている。各コリメータレンズ30は、ファスト軸方向にのみレンズ機能を有する形状(図2(a))、あるいは各発光点に対応した複数レンズから構成される形状(図2(b))のいずれの形状においても、反射素子50と一体に構成することが可能である。その他の構成は実施の形態1(図1)と同じため、説明を省略する。
【0041】
<効果>
本実施の形態2におけるレーザ合成光学装置200において、複数のコリメータレンズ30が反射素子50と一体化されている。
【0042】
従って、本実施の形態2では、複数のコリメータレンズ30と反射素子50とが一体に形成されるか、もしくは、複数のコリメータレンズ30と反射素子50とが保持部品を介さずに直接接合されている。よって、2つのコリメータレンズ30の間隔、コリメータレンズ30の傾き、さらには、コリメータレンズ30の光軸と、第1、第2の反射面50a,50bとの相互角度誤差の精度を向上させることが可能である。
【0043】
<実施の形態2の変形例>
図8は、実施の形態2におけるレーザ合成光学装置200の変形例を示す図である。図8に示すレーザ合成光学装置200Aは、光学素子60を備える。光学素子60には、複数のコリメータレンズ30が一体に形成されている。光学素子60と反射素子50とは、直接接合されるか、一体に形成されている。
【0044】
図8において、マルチエミッタLD20bから出射し、光学素子60に形成されたコリメータレンズ30を通過して略平行光となったレーザ光222bは、反射素子50の存在しない経路を通る。
【0045】
一方、マルチエミッタLD20aから出射し、コリメータレンズ30を通過して略平行光となったレーザ光222aは、実施の形態2と同様、まず、反射素子50の全反射面50aで全反射し、全反射面50bに向かって方向を変える。そして次に、全反射面50bで全反射し、レーザ光222bと平行なレーザ光として出射する。
【0046】
つまり、レーザ光222bと、反射素子50において反射したレーザ光222aとの間隔D2は、マルチエミッタLD20a,20bの間隔D1よりも小さくなる。
【0047】
<効果>
本実施の形態2の変形例におけるレーザ合成光学装置200Aにおいて、複数のコリメータレンズ30は共通の部材(即ち光学素子60)に一体に形成されている。
【0048】
従って、複数のコリメータレンズ30を共通の部材に一体に形成することによって、複数のコリメータレンズ30間の位置精度を向上させることが可能である。
【0049】
<実施の形態3>
図9は、本実施の形態2におけるレーザ合成光学装置300の構成を示す図である。レーザ合成光学装置300は、第1、第2の反射素子51,52と、第1から第5のマルチエミッタLD21,22,23,24,25と、5つのコリメータレンズ30とを備える。


【0050】
第1、第4のマルチエミッタLD21,24、2つのコリメータレンズ30および第1の反射素子51からなる構成は、実施の形態1(図1)における合成光学装置100(即ち、マルチエミッタLD20a,20b、2つのコリメータレンズ30および反射素子50を含む構成)と同じ構成である。
【0051】
第2、第5のマルチエミッタLD22,25、2つのコリメータレンズ30および第2の反射素子52からなる構成は、実施の形態1(図1)における合成光学装置100の左右を反転させた構成に対応する。
【0052】
また、図9に示すように、第4、第5のマルチエミッタLD24,25の間には、第3のマルチエミッタLD23が配置される。つまり、図9の構成は第3のマルチエミッタLD23を挟んで対称に第1、第2の反射素子51,52が配置されている。
【0053】
図9に示すように、第1のマルチエミッタLDから出射するレーザ光2221は、コリメータレンズ30を通過して略平行光になった後、第1の反射素子51の2つの全反射面51a,51bで順に反射されて、第2のマルチエミッタLDから出射するレーザ光2222に近づく方向にずれる。第4のマルチエミッタLD24から出射するレーザ光2224は、コリメータレンズ30を通過して略平行光になった後、第1の反射素子51を反射せずに透過する。
【0054】
また、第2のマルチエミッタLD22から出射するレーザ光2222は、コリメータレンズ30を通過して略平行光になった後、第2の反射素子52の2つの全反射面52a,52bで順に反射されて、第1のマルチエミッタLD21から出射するレーザ光2221に近づく方向にずれる。第5のマルチエミッタLD25から出射するレーザ光2225は、コリメータレンズ30を通過して略平行光になった後、第2の反射素子52を反射せずに透過する。
【0055】
第3のマルチエミッタLD23から出射するレーザ光2223は、コリメータレンズ30を通過して略平行光になった後、第1、第2の反射素子51,52で反射せずに、第1の反射素子51から出射した第1のマルチエミッタLDのレーザ光2221と、第2の反射素子52から出射した第2のマルチエミッタLDのレーザ光2222との間に来る。
【0056】
<効果>
本実施の形態3におけるレーザ合成光学装置300において、少なくとも1つの反射素子は、第1、第2の反射素子51、52であり、複数のマルチエミッタレーザダイオードの1つは第1の反射素子51に入射する第1のマルチエミッタレーザダイオード21であり、複数のマルチエミッタレーザダイオードの別の1つは第2の反射素子52に入射する第2のマルチエミッタレーザダイオード22であり、第1のマルチエミッタレーザダイオード21から出射するレーザ光2221は、第1の反射素子51の2つの全反射面51a,51bで順に反射されて、第2のマルチエミッタレーザダイオード22から出射するレーザ光2222に近づく方向にずれ、第2のマルチエミッタレーザダイオード22から出射するレーザ光2222は、第2の反射素子52の2つの全反射面52a,52bで順に反射されて、第1のマルチエミッタレーザダイオード21から出射するレーザ光2221に近づく方向にずれる。
【0057】
従って、2つの反射素子(第1、第2の反射素子51,52)を用いて、それぞれの反射素子によって複数のレーザ光を互いに近づけることによって、合成光を高密度化することが可能である。
【0058】
また、本実施の形態3におけるレーザ合成光学装置300において、複数のマルチエミッタレーザダイオードは、第3のマルチエミッタレーザダイオード23を含み、第3のマルチエミッタレーザダイオード23から出射されるレーザ光2223は第1、第2の反射素子51,52で反射されず、第1の反射素子51から出射した第1のマルチエミッタレーザダイオード21のレーザ光2221と、第2の反射素子52から出射した第2のマルチエミッタレーザダイオード22のレーザ光2222との間に来る。
【0059】
従って、2つの反射素子(第1、第2の反射素子51,52)を用いて、それぞれの反射素子によって複数のレーザ光を互いに近づけ、さらに、別のレーザ光(即ち第3のマルチエミッタLDからのレーザ光2223)を加えることによって、合成光をさらに高密度化することが可能である。
【0060】
<実施の形態3の変形例>
図10は、実施の形態3におけるレーザ合成光学装置300の変形例を示す図である。図10に示すレーザ合成光学装置300Aは、レーザ合成光学装置300(図9)に対して共通部材70をさらに備える。共通部材70は透過性の部材であり、例えば平板ガラスである。第1、第2の反射素子51,52と共通部材70とは一体化されている。ここで、一体化されているとは、直接接合されているか、一体に形成されていることを意味する。
【0061】
<効果>
本実施の形態3の変形例におけるレーザ合成光学装置300Aにおいて、第1、第2の反射素子51,52は共通の部材(共通部材70)を介して一体化されている。
【0062】
従って、共通部材70として例えば平板ガラスを介して第1、第2の反射素子51,52を一体化することによって、第1、第2の反射素子51,52の相互の位置精度を向上させることができる。第1の反射素子51の全反射面51a,51bの角度と、第2の反射素子52の全反射面52a,52bの角度との精度が向上することにより、複数のレーザ光2221,2222,2223,2224,2225の相互の平行度が向上する。よって、合成光の直径がより小さくなるため、合成光の密度をより高めることが可能である。
【0063】
<実施の形態4>
図11は、本実施の形態4におけるレーザ合成光学装置400の構成を示す図である。レーザ合成光学装置400は、反射素子50と、第1から第3のマルチエミッタLD21,22,23と、3つのコリメータレンズ30とを備える。第1から第3のマルチエミッタLD21,22,23はこの順序で並んで配置される。
【0064】
図11に示すように、第1のマルチエミッタLD21から出射し、コリメータレンズ30を通過して略平行光となったレーザ光2221は、反射素子50を通過せず、そのまま合成される。第2のマルチエミッタLD22から出射し、コリメータレンズ30を通過して略平行光となったレーザ光2222は、反射素子50を反射せずに透過する。第3のマルチエミッタLD23から出射し、コリメータレンズ30を通過して略平行光となったレーザ光2223は、まず、反射素子50の全反射面50aで全反射し、全反射面50bに向かって方向を変える。そして次に、全反射面50bで全反射し、レーザ光2221,222と平行なレーザ光として出射する。
【0065】
つまり、第3のマルチエミッタLD23から出射したレーザ光2223は、反射素子50によって、第1のマルチエミッタLD21から出射されるレーザ光2221と、第2のマルチエミッタLD22から出射されるレーザ光2222との間に来るようにずれる。
【0066】
<効果>
本実施の形態4におけるレーザ合成光学装置400において、複数のマルチエミッタレーザダイオードは第1、第2、第3のマルチエミッタレーザダイオード21,22,23であり、第1、第2、第3のマルチエミッタレーザダイオード21,22,23はこの順序で並んで配置され、第3のマルチエミッタレーザダイオード23から出射するレーザ光2223は、反射素子50の2つの全反射面50a,50bで順に反射されて、第1のマルチエミッタレーザダイオード21から出射され反射素子50で反射されないレーザ光2221と、第2のマルチエミッタレーザダイオード22から出射され反射素子50で反射されないレーザ光2222との間に来るようにずれる。
【0067】
従って、2つのレーザ光2221,2222の間に、反射素子50によってレーザ光2223を導くことによって、3つのレーザ光を高密度で合成することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態4におけるレーザ合成光学装置400において、第1、第2のマルチエミッタレーザダイオード21,22の間隔と、第2、第3のマルチエミッタレーザダイオード22,23の間隔とが異なる。
【0069】
例えば、第1、第2、第3のマルチエミッタLD21,22,23の特性(出力、波長、変換効率など)が互いに異なる場合、異なる放熱構造を必要とする場合がある。このとき、各マルチエミッタLDの周辺保持構造、放熱構成部材等に異なる形状を採用する必要がある。本実施の形態4では、反射素子50のY軸方向の長さを自由に変えられるため、第1、第2のマルチエミッタLD21,22の間隔と、第2、第3のマルチエミッタLD22,23の間隔とを異ならせることが可能である。よって、各マルチエミッタLDの特性に応じて、所望の間隔で第1、第2、第3のマルチエミッタLD21,22,23を配置することが可能である。
【0070】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
100,100A,200,200A,300,400 レーザ合成光学装置、11 電極、20,20a,20b マルチエミッタレーザダイオード、21 第1のマルチエミッタレーザダイオード、22 第2のマルチエミッタレーザダイオード、23 第3のマルチエミッタレーザダイオード、24 第4のマルチエミッタレーザダイオード、25 第5のマルチエミッタレーザダイオード、30 コリメータレンズ、31 発光点、40 集光レンズ、50 反射素子、51 第1の反射素子、52 第2の反射素子、50a,50b,51a,51b,52a,52b 全反射面、32,222a,222b,2221,2222,2223,2224,2225 レーザ光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13