特許第6440581号(P6440581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6440581-クロムフリーの化成被覆 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440581
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】クロムフリーの化成被覆
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/34 20060101AFI20181210BHJP
   C23F 11/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   C23C22/34
   C23F11/00 F
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-125471(P2015-125471)
(22)【出願日】2015年6月23日
(65)【公開番号】特開2016-194134(P2016-194134A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年6月6日
(31)【優先権主張番号】14/628,756
(32)【優先日】2015年2月23日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ラペーナ レイ, ニエベス
(72)【発明者】
【氏名】サンタ コロマ モゾ, パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】イサヒレ エチェベリア, ウソア
(72)【発明者】
【氏名】スビジャガ アルコルタ, オイヤナ
(72)【発明者】
【氏名】カノ イランゾ, フランシスコ ジェイ.
【審査官】 神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01887105(EP,A1)
【文献】 特開2006−328445(JP,A)
【文献】 特表2003−535220(JP,A)
【文献】 特開2014−047353(JP,A)
【文献】 特開2011−67737(JP,A)
【文献】 特開2007−262577(JP,A)
【文献】 特開2011−68930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 22/00−22/86
C23F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ポリマー分散物、少なくとも1つのシラン、及び無機金属塩を含む組成物であって、前記組成物のpHが1.0から6.0の間であり、前記無機金属塩が、少なくとも1つのジルコニウム塩及び少なくとも1つの硝酸セリウム塩を含むことを特徴とし、
前記少なくとも1つのシランの化学式が
YSiX(3−a)
であって、
Xは同じかまたは異なる加水分解性基であり、
Yは官能基を含む非加水分解性基であり、
Zは独立してH及びアルキルから選択され、
aは0、1または2である、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのジルコニウム塩が六フッ化ジルコン酸カリウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの硝酸セリウム塩が、硝酸セリウム(III)、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、及びその任意の組み合わせからなるグループから選択される、請求項1または2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの硝酸セリウム塩が硝酸セリウム(IV)アンモニウムである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのジルコニウム塩が、濃度を前記組成物の総容量に対するZr塩の重量で表した場合に、2.0〜20g/Lの間の濃度であり、及び
少なくとも1つの硝酸セリウム塩が、濃度を前記組成物の総容量に対するCe硝酸塩の重量で表した場合に、0.5〜20g/Lの間の濃度である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の前記pHが3.0〜5.0の間である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのシランが、前記組成物中に0.01体積%から1.0体積%(v/v)の分量存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのシランが、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(GPMS)、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン(TMSE) 、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(BTSE)、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン(BAS)、及びビニルトリアセトキシシラン(VTAS)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される一種を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記導電性ポリマー分散物が、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン、及びポリピロールからなるグループから選択される1つの導電性ポリマーを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の組成物と接触させられた金属表面。
【請求項11】
金属表面の処理の方法であって、
a)金属表面を前処理するステップと、
b)導電性ポリマー分散物、少なくとも1つのシラン、及び少なくとも1つのジルコニウム塩及び少なくとも1つの硝酸セリウム塩を含む無機金属塩を含み、pH値が1.0〜6.0の間である組成物と、この種の金属表面を接触させることによる化成被覆で、金属表面を被覆するステップと、
c)被覆された金属表面を乾燥させるステップと
を含み、
前記少なくとも1つのシランの化学式が
YSiX(3−a)
であって、
Xは同じかまたは異なる加水分解性基であり、
Yは官能基を含む非加水分解性基であり、
Zは独立してH及びアルキルから選択され、
aは0、1または2である、方法。
【請求項12】
被覆が、1〜10分間、15〜30°Cの間の温度で、前処理された金属表面を組成物に浸漬することによって、単一のステップで行われる、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属への被覆及び腐食制御の分野に関し、具体的には、とりわけ航空機、自動車、船舶、建設、工業及び家庭用の用途として好適な、クロムフリーの化成被覆に関する。さらに本発明は、クロムフリーの組成物及び、クロムフリーの化成被覆によって被覆された金属表面を得るように、こうした組成物を金属表面に適用することを含む、金属表面の処理のプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
腐食とは、材料(通常は金属)とその環境との間の化学的または電気化学的反応であって、当該材料及びその特性の劣化をもたらすものと定義される。
【0003】
腐食作用は、金属の表面から始まる。腐食過程には、2つの化学変化が含まれる。腐食が発生したまたは酸化された金属にはアノード反応が進行し、腐食剤には還元が起こってカソード反応が進行する。ほとんどの金属で腐食が起こるという傾向によって、特に環境または天候面で不利な条件が存在する地域では、航空機のメンテナンスにとって重要な問題の1つが生じる。
【0004】
六価クロム化合物を含有するクロム系防食方式は、航空機の金属処理のプロセスに広く使われる、極めて有用かつ多用途な一群の化学であることが証明されてきた。当該方式は、多数の有益で不可欠の防食特性を適用される金属素地に与え、被覆、接着及び表面加工をする前の、金属の前処理に広く利用されてきた。
【0005】
化学的には、アルミニウム及びその合金の場合、クロム系防食方式には、六価クロム(例えばCrO、CrO2−、CrO2−)とフッ化水素酸(HF)の組み合わせが含まれてきた。フッ化水素酸が金属素地(例えばアルミニウム)の表面から酸化膜を除去し、六価クロムが露出した金属と反応して三価クロムが沈殿する。アルミニウムを例にとると、化学反応式は以下である。
Cr2− + 2Al0 + 2H → Cr.HO+Al
【0006】
上記の反応によって生成されるような酸化クロムは、防食への応用にとって非常に有用である。酸化クロムはアルカリ環境下では非常に安定しており、撥水性(疎水性)があって、耐水被覆として機能し得る。最後に、酸化クロムは「自己修復性」を示す。即ち、被覆中に残留した六価クロムは被覆の損傷領域と反応し得、それによって損傷された箇所により多くの三価クロム酸を生成する。したがって、自己を「修復」している。
【0007】
結果として、クロム系、具体的には六価クロム系のシステムは、腐食防止に非常に効果的であり、有機被覆と接着剤の接着促進剤としても非常に効果的である、適用/処理のプロセスがプロセス条件の変動の影響を受けにくいため特にレジリエンスが高い、ほとんど/全てのアルミニウム合金に対してきわめて効果的である、及び、熟練作業者は被覆の視認(色)だけによって素地表面上のクロムの量を知り得るというように、大きな品質管理上の特性を保証する、といったことが証明されてきたことによって、航空機産業において広く使用されてきた。
【0008】
クロム、具体的には六価クロムに対する環境上の懸念によって、クロム系の方式に代替するものの必要性が生まれてきた。六価クロム塩は、危険物質(有毒で、感作性及び発がん性がある)に分類される。結果として、六価クロム塩は、環境的及び毒物学的に望ましくない。欧州議会は、電気及び電子機器用の指令2002/95/EC、及び自動車セクター用の指令2000/53/ECのように、六価クロムの廃絶を要求する指令を公布してきた。したがって、「環境にやさしい」且つ商業的に受け入れられる、クロム系方式に対する代替物が強く望まれている。
【0009】
耐腐食性が良好なCrフリーの化成被覆のプロセス及び組成物が、本願と同じ発明者たちによる特許出願US2010/0009083 A1に記載されている。当該米国特許出願は、モリブデン、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、バナジウム、セリウム、ハフニウム、ケイ素、アルミニウム、ボロン、コバルト及び亜鉛のうちの少なくとも1つである無機金属塩を含有する導電性ポリマー分散物を含む、表面処理のための化成被覆について記載されている。上記の特許出願に記載された化成被覆は、非常に良好な腐食性能を示した。しかし、被覆を後続の有機被覆に良好に接着することは、腐食保護を危うくすることなしには達成されなかった。
【0010】
同じ発明者たちによって顕著な改善が行われ、2012年10月に新しい特許出願、米国特許出願第13/662,412(US2013/052352 A1として公開)が提出された。当該特許出願は、導電性ポリマー分散物、少なくとも1つのシラン、並びに、モリブデン、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、バナジウム、セリウム、ハフニウム、ケイ素、アルミニウム、ボロン、コバルト及び亜鉛の少なくとも1つの中から選択された無機塩を含む、化成被覆について記載されている。シラン化合物によって接着性能が向上したため、本被覆は航空への応用の要件を満たし、一方でUS2010/0009083 A1の例に記載されたような腐食保護も維持された。さらに、少なくとも1つのシラン化合物を含む導電性ポリマー分散物によって実現された新たな化成被覆によって、航空への応用の要件を満たす、低い表面接触電気抵抗が提供された。
【0011】
現在の課題は、接着を危うくすることなく腐食保護をさらに強化するため、化成プロセスと化成被覆を最適化することである。
【0012】
不溶解性の水酸化物を形成するCe3+及びCe4+といったランタニドイオンは、低い毒性を示し、経済的に競争力のある物質である。なぜなら、セリウムは自然界に比較的豊富に存在するからである。したがって、アルミニウム合金用の腐食保護方式を開発するため、クロム酸塩の代替物としてセリウムが調査されてきた。
【0013】
具体的には、Applied Surface Science 189(2002)162−173で発表された、M.Bethencourtらによる「High protective, environmental friendly and short−time developed conversion coatings for alminium alloys」と題された論文は、pHを5.5に調整し、298Kから363Kの範囲の温度で、0.08時間から24時間の間の浸漬時間で堆積させた、Ce(NO及びCeClの0.005M溶液に基づく、AA5083の化成被覆の処理について記載されている。腐食性能は、直線分極法による曲線を通して研究された。最善の結果は348Kで120分間実施されたCe(NOの処理に関して報告されており、それは被覆のない合金の場合に比べて、12.000より高い係数で、分極抵抗が増加したことを示している。
【0014】
上記の発表は、ジルコニウム塩、導電性ポリマー、またはシランを全く含まない、セリウムの化成処理を扱っている。さらに、M.Bethencourtらによって記載されたプロセスは、満足の行く腐食保護結果を得るために、高温と長浸漬時間を伴っている。これは、熱処理を伴わず、好ましくは室温で1から10分間で被覆が実施され得る、本発明のプロセスとは異なる。
【0015】
Botanaらは、特許PCT WO2004/059035 A1「Method of obtaining chromate−free conversion coatings on aluminium alloys」(Universidad de Cadiz, 2004)の中で、合金マトリクス中の金属間化合物粒子上にあるセリウムが豊富なアイランドとアルミニウム酸化層との混合物からなる被覆を開示している。このような被覆は、0.001〜0.01MのCe(NOまたは0.001〜0.01MのCeClを含有する通気溶液中に浸漬するプロセスによって得られる。本プロセスは、323〜363Kの温度範囲、最長浸漬時間120分で実行される。上記のオプション中の1つでは、既に加熱された溶液に対して0.5〜30mL/LのHが加えられ、浸漬時間が30分に短縮される。処理されたパネルには、ASTM B−117の下で168時間の塩水噴霧試験を実施したが、腐食の兆候は見られなかった。電気化学的試験においては、室温で処理されたパネルに関して、分極抵抗において40という改善の係数が得られた。
【0016】
しかし、特許出願WO2004/059035 A1は、導電性ポリマーまたはシランを伴わない、セリウムの化成被覆に関するものである。さらに、WO2004/059035 A1に記載されたプロセスには、本出願の金属表面への適用処理プロセスに比べ、高温及び/または長浸漬時間が含まれている。
【0017】
C.Rosero−NavarroらによるPCT特許出願WO2011/058209 A1「Vitreous coatings made using the sol−gel process for protecting metals against corrosion」(Consejo Superior de Investigaciones Cientificas (CSIC), 2011)には、ゾルゲル法によって作成されるガラス被覆を得るための組成物及び方法が記載されている。前記のガラス被覆には、その構造中にCe3+イオンが含まれる。Ce3+イオンは、金属が腐食現象を被る際、損傷領域に移動する。セリウム塩及び有機錯化剤を含有する溶液から形成された当該ハイブリッド被覆は、250°Cまでの温度で焼結される。その結果生じる被覆は、100〜1000nmの範囲の厚さを示す。セリウム塩は、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、またはハロゲン化物のグループから選択される。好ましくは、硝酸塩である。錯化剤は、アセチルアセトン、氷酢酸、クエン酸、ジエタノールアミン、またはカルボン酸基を持つ他の化合物である。錯化剤によって、ゾルの安定性は改善され、最終pHの制御が可能になる。例のうちの1つは、Ce(NO 6HO、氷酢酸、クエン酸及びブタンジオールからなる、最終pHが2であるゾルによって被覆された、AA2024パネル(表1の組成を参照)の処理を扱っている。被覆は、120°Cで12時間焼結され、エポキシプライマーでさらに被覆される。被覆されたパネルには、引っかききずをつけてから塩水噴霧試験(ASTM B−117)を実施する。1000時間暴露した後も、引っかききずは依然として保護されているが、当該発明者たちは、これは表面不活性化及び、被覆の能動的な保護によるものとしている。
【0018】
アルミニウム合金に対する、別のゾルゲル法及び被覆が、F.Ansartらによる、PCT特許出願WO2013/054064 A1 「Process for the anticorrosion treatment of a solid metal substrate and treated solid metal substrate capable of being obtained by such a process」 (Universite Paul Sabatier Toulouse III, 2013)の中で開示されている。窒化セリウムを含有する記載のハイブリッド被覆によって、素地との高い接着性及び高い機械抵抗性が提供される。その腐食保護性能は、腐食ピットまたは他の損傷領域における、バリア効果、及び、自己修復型のまたは能動的な腐食保護によるものである。能動的保護は、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、または硫酸塩のいずれかである、セリウム化合物によって与えられる。例には、 3−(グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(GPTMS)、アルミニウムトリ−(s−ブトキシド)(ASB)及び、硝酸セリウムからなり、最終的なセリウム含有量が0.01mol/Lである、具体的な被覆が記載されている。当該ゾルは、AA2024−T3(表1の組成参照)上に堆積し、110°Cで3時間焼結される。結果として生じる被覆は、6ミクロンの厚さを示し、塩水噴霧試験において、腐食なしで96から800時間の間の暴露を可能にする。
【0019】
特許出願US2012/0204762 A1 「Aqueous silane systems for bare corrosion protection and corrosion protection of metals」 (P. Albert et al., Evonik Degussa GmbH, 2012)は、金属の腐食保護に使用される水性シラン系組成物に関連している。当該組成物には、他の金属の間に、セリウム(III)またはセリウム(IV)の金属塩が含まれ、特に硝酸塩及び酢酸塩が優先される。結果として生じる被覆によって、アルミニウム合金の孔食が防止される。
【0020】
上記で要約した特許出願WO2011/058209 A1及びWO2013/054064 A1は、セリウム化合物を組み込んだゾルゲル法による被覆について記載されている。両発明の組成物は有機溶剤に基づいており、被覆プロセスの最終ステップとして、高温での熱処理を必要とする。特許出願US2012/0204762 A1で提示されたシラン方式によっても、同様の特性が示された。
【0021】
米国特許第6,077,885「Chromate−free protective coatings」 (H.E. Hager et al., The Boeing Company, 2000)では、航空機産業で使用されるアルミニウム及びその合金の腐食保護を提供する、ポリマー被覆が開示されている。当該発明の被覆は、被覆内の腐食防止剤に可動性があり、損傷領域に移動して損傷領域を腐食から保護するという点で「部位閉塞(site blocking)」または「緩衝」の作用を有している。可動性があるのは、ポリマーマトリクスの中の防止剤に溶解性がある結果である。当該被覆は、被膜形成用有機ポリマー、または、セリウムのシュウ酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、塩化物、及びその他を含む金属塩を含有するゾルゲル、からなる。被覆は、下塗り被覆、着色被覆、または単一被覆として、アルミニウム合金の素地に適用され得る。被覆は、好ましくは液体の形状で、ポリマーが分散または溶解され、塩がポリマーもしくはゾルゲル中で制御された溶解性を呈し、または混合物中で懸濁した状態で、調合される。塩の含有量は、好ましくは100〜300ppmの範囲である。ポリマーは、エポキシ系、ポリイミド、ポリウレタン、アクリル、及びアルキド系のシステムである。防止剤としてシュウ酸セリウム及び/または酢酸セリウムを含有する処方によって被覆された2024−T3パネル(表1の組成参照)は、優れた乾燥及び湿潤接着を示したが、記載されたパネルの5重量%のNaClによる1,500時間及び3,000時間の塩水噴霧試験は、劣った腐食結果であった。当該特許出願に記載された、有機ポリマーまたはゾルゲルによる、セリウム化合物を含有する被覆においては、セリウム塩を含有する処方では良好な接着結果が報告されたが、塩水噴霧試験での腐食結果は不良であった。
【0022】
H.Shojiらは、米国特許第6,190,780「Surface treated metal material and surface treating agent」 (Nippon Steel Corporation, 2001)の中で、主に希土類元素のオキソ酸化合物、希土類元素の他の無機または有機化合物、樹脂、及び有機腐食防止剤からなる、アルミニウム及びその合金を含む金属表面のための腐食保護処理を開示している。オキソ酸アニオンは、リン酸塩、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、及び/またはバナジウム酸塩であり得、希土類元素は、セリウムであり得、腐食防止剤は導電性ポリマーであり得る。当該処理によって、様々な鋼板の被覆を含む各例における接着及び腐食の良好な結果が示されている。当該特許で開示される腐食保護処理にはセリウム及び腐食防止剤としての導電性ポリマーを使用することが含まれているが、シランは言及されていない。接着及び腐食の結果は、亜鉛及び鋼に関して記載されているのみである。
【0023】
米国特許第6,875,479「Method for coating metal surfaces with aqueous, polymer−containing composition, said aqueous composition and the use of the coated substrates」 (C. Jung et al., Chemetall GmbH, 2005)は、ポリマーの被膜形成剤を含有する水性の組成物、0.005μmから0.3μmの範囲の無機微粒子、少なくとも1つの有機腐食防止剤、オプションとしてシラン、及び他のオプションの化合物を用いた、アルミニウムを含む金属表面を被覆する方法に関する。微粒子の形態で添加するように提案された化合物の1つは、二酸化セリウムである。一方、可能性のある有機腐食防止剤として言及されているのは、導電性ポリマーである。例では、亜鉛メッキ鋼板の処理に焦点が当てられている。例では、0.8〜1μmの範囲の厚さの被膜が得られ、ASTM B−117下の塩水噴霧試験で720時間まで腐食が見られなかった。したがって、当該特許に記載された組成物には、腐食防止剤としての導電性ポリマー、セリウム化合物、及びオプションでシランが含有され得る。しかし、本発明で使用される無機塩と異なり、セリウムは、微粒子の形状の二酸化セリウムとして添加されている。さらに、米国特許6,875,479に記載される処方には、被膜形成用有機ポリマーもまた含有されており、ポリマーの硬化状態に応じて加熱処理が必要とされる。接着及び腐食の結果は、亜鉛メッキ鋼板に関して記載されているのみである。
【0024】
驚くべきことに、当該発明者たちが見出したのは、当該化成被覆の腐食性能が改善されたのは、導電性ポリマー分散物、少なくとも1つのジルコニウム塩、及び少なくとも1つのシラン化合物を含む既知の化成被覆に、少なくとも1つの硝酸セリウム塩を組み入れたためであるということであった。
【0025】
本発明はまた、好ましくは、耐腐食性の改善及び後続する有機被覆の接着の促進という、2つの機能を果たす単一の被覆ステップを含むプロセスで開発された、環境に優しい化成被覆も提供している。さらに本被覆は、表面の低接触電気抵抗要求(MIL−DTL−81706B,段落3.7及び4.5.5)に適合しなければならない場合に、部分的に使用され得る。出願人の知る限り、単一の被覆ステップを含む金属表面処理のプロセスにおいて、クロム系の処理を用いることなく、しかし従来のクロム酸塩系の処理と同じ成果を上げて、これら3つの要求が対処されるのは、これが初めてである。
【0026】
本開示は、クロムフリーであるにもかかわらずクロム系の被覆と同等かまたはそれよりも優れた腐食保護、有機被覆との接着促進、及び低接触電気抵抗を提供することが可能な、クロムフリーの被覆を提供する。
【発明の概要】
【0027】
第1の態様では、導電性ポリマー分散物、少なくとも1つのシラン、及び無機金属塩を含み、組成物のpH値が1.0から6.0の間であり、当該無機金属塩が、少なくとも1つのジルコニウム塩及び少なくとも1つの硝酸セリウム塩であることを特徴とする、組成物が開示される。
【0028】
当該組成物は、金属表面の処理に使用され得る。具体的には、本発明の組成物は、化成被覆による金属表面の被覆に使用され得る。
【0029】
本特許出願においては、「硝酸セリウム塩」という用語は、セリウムイオン及び硝酸イオン、並びに、オプションで例えばアンモニウムといった他のカチオンを含む塩として理解さるべきである。
【0030】
好ましい実施形態では、本特許出願に記載された組成物は、濃度を組成物の総容量に対するそれぞれZr塩またはCe塩の重量で表した場合、
2.0〜20g/Lの間の濃度の、少なくとも1つのジルコニウム塩(好ましくはKZrF)、及び
0.5〜20g/Lの間の濃度の、少なくとも1つの硝酸セリウム塩(好ましくは硝酸セリウム(IV)アンモニウム)を含む。
【0031】
さらに好ましい実施形態では、本特許出願に記載された組成物は、濃度を組成物の総容量に対するそれぞれZr塩またはCe塩の重量で表した場合、
5.0g/L〜10.0g/Lの間の濃度の、少なくとも1つのジルコニウム塩(好ましくはKZrF)、及び
0.5〜3g/Lの間の濃度の、少なくとも1つの硝酸セリウム塩(好ましくは硝酸セリウム(IV)アンモニウム)を含む。
【0032】
別の好ましい実施形態では、本発明はpH値が3.0〜5.0の間、より好ましくは3.0〜3.5の間、さらにより好ましくは3.5である組成物に関する。
【0033】
本発明の別の好ましい実施形態では、本特許出願に記載された、組成物に含有される少なくとも1つのシランは、組成物の体積比で0.01体積%〜1.0体積%(v/v)、より好ましくは組成物の0.1体積%〜0.5体積%で存在する。
【0034】
別の好ましい実施形態では、当該少なくとも1つのシランの化学式は、
YSiX(3−a)
であって、
Xは同じかまたは異なる加水分解性基であり、
Yは官能基を含む非加水分解性基であり、
Zは独立してH及びアルキルから選択され、
aは0、1または2である。
【0035】
本発明の別の好ましい実施形態では、当該少なくとも1つのシランは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(GPMS)、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン(TMSE) 、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(BTSE)、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン(BAS)、及びビニルトリアセトキシシラン(VTAS)、またはそれらの2もしくはそれ以上の組み合わせの中から選択される。より好ましくは、当該シランは(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(GPMS)である。
【0036】
本発明の別の好ましい実施形態では、組成物に含まれる導電性ポリマー分散物には、ポリアニリン(PANI)、 ポリエチレンジオキシチオフェン (PEDOT)、及びポリピロール(PPY)からなるグループから選択される、1つの導電性ポリマーが含まれる。より好ましくは、当該導電性ポリマーはポリピロール(PPY)である。
【0037】
本発明の第2の態様では、金属表面の処理のプロセスが開示される。プロセスは、
a)金属表面を前処理する、
b)導電性ポリマー分散物、少なくとも1つのシラン、及び無機金属塩を含み、pH値が1.0〜6.0の間である組成物と、この種の金属表面を接触させることによる化成被覆で、金属表面を被覆する、並びに
c)被覆された金属表面を乾燥させる、
の各ステップを含み、無機金属塩が、少なくとも1つのジルコニウム塩及び少なくとも1つの硝酸セリウム塩であることを特徴とする。
【0038】
本発明の別の好ましい実施形態では、金属表面の処理のプロセスで使われる組成物は、本特許出願の第1の態様に記載される任意の実施形態で記載されるとおりである。
【0039】
別の好ましい実施形態では、被覆は、少なくとも1分間、より好ましくは1〜10分間、さらにより好ましくは2〜5分間、前処理された金属表面を組成物に浸漬することによって、単一のステップで実施される。
【0040】
別の好ましい実施形態では、被覆は、15〜30°Cの間、より好ましくは20〜30°Cの間の温度で、前処理された金属表面を組成物に浸漬することによって、単一のステップで実施される。
【0041】
第3の態様では、本発明はまた、本特許出願に含まれる任意の実施形態に記載されたプロセスによって、金属表面に適用される化成被覆にも言及する。
【0042】
第4の態様では、本発明は、本特許出願に記載された、金属表面の腐食防止、有機被覆の接着改良、またはその両者のための化成被覆の利用に言及する。
【0043】
第5の態様では、本発明はまた、本特許出願の任意の実施形態に記載されたプロセスを使って、処理された金属表面にも言及する。
【0044】
本開示のより完全な理解は、添付の図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本開示のクロムフリーの化成被覆による金属表面処理のプロセスの、好ましい実施形態に関連するステップを表すプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
化成被覆は、素地の合金の耐腐食性を改善すること、及び後続する有機被覆の良好な接着を促進することという、2つの機能を果たさなくてはならない。さらに、これらの被覆は、低接触電気抵抗もまた必要条件である場合に、部分的に使用され得る。MIL−DTP−81706−B規格によって許容される最大電気抵抗値は、塩水噴霧試験(MIL−DTL−81706Bの段落3.5.1及び4.5.1、ASTM B−117を参照)の前で775μΩ/平方センチメートルであり、1.38MPaの電極圧適用下で168時間行った塩水噴霧試験の後では、1550μΩ/平方センチメートルである。全測定値の平均が指定最大抵抗値を超過しないという条件で、指定最大値を20%を超えない範囲で超過する個々の測定値は受容される。
【0047】
第1の態様では、導電性ポリマー分散物、少なくとも1つのシラン、及び無機金属塩を含み、組成物のpHが1.0から6.0の間であり、当該無機金属塩が、少なくとも1つのジルコニウム塩及び少なくとも1つの硝酸セリウム塩であることを特徴とする、組成物が開示される。
【0048】
ジルコニウム塩及びセリウム塩はどちらも金属表面の耐腐食性改善に利用されるが、本発明の組成物におけるこれらの化合物の好適な組み合わせは、当業者にとって明白ではない。種々の塩の組み合わせによって、被覆組成物、または金属表面にかつて適用された化成被覆に変化が生じ得る。具体的には、塩は互いの間で相互作用して錯体を形成し得、当該塩それぞれの間の保護作用を抑制するか、または当該組成物に沈殿を生じさせる。したがって、均一性や連続性がない、多孔性である、接着力が弱い、など望まない特性を持った被覆が実現してしまう。改良された化成被覆の開発におけるこれらの短所、及びこの種の化成被覆による金属表面の被覆を含む処理のプロセスは、本特許出願に含まれる比較例で例示されている(以下参照)。比較例では、ジルコニウム塩と塩化セリウムまたは硫酸セリウムとの組み合わせでは、望ましい腐食耐性を持った化成被覆は生み出されないことが示されている。
【0049】
好ましい実施形態では、本発明は、本特許出願に記載された組成物に言及する。当該少なくとも1つのジルコニウム塩は、KZrF(六フッ化ジルコン酸カリウム)である。
【0050】
別の好ましい実施形態では、組成物には、2.0〜20g/Lの間の濃度の、少なくとも1つのジルコニウム塩が含有される。より好ましくは、当該少なくとも1つのジルコニウム塩は、濃度を組成物の総容量に対するZr塩の重量で表した場合に、5.0〜10.0g/Lの間の濃度で含有される。さらにより好ましくは、当該少なくとも1つのジルコニウム塩は、KZrF(六フッ化ジルコン酸カリウム)である。
【0051】
本発明の別の好ましい実施形態では、当該少なくとも1つの硝酸セリウム塩は、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、硝酸セリウム(III)、及びその任意の組み合わせからなるグループから選択される。より好ましくは、当該硝酸セリウム塩は、硝酸セリウム(IV)アンモニウムである。
【0052】
別の好ましい実施形態では、本特許出願に記載された組成物には、0.5〜20g/Lの濃度の、少なくとも1つの硝酸セリウム塩が含有される。より好ましくは、当該少なくとも1つの硝酸セリウム塩は、濃度を組成物の総容量に対するCe塩の重量で表した場合に、0.5〜3.0g/Lの間の濃度で含有される。さらにより好ましくは、当該少なくとも1つの硝酸セリウム塩は、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、硝酸セリウム(III)、及びその任意の組み合わせからなるグループから選択され、さらにより好ましくは、硝酸セリウム塩は硝酸セリウム(IV)アンモニウムである。
【0053】
本発明の別の好ましい実施形態では、組成物に含まれる当該少なくとも1つのジルコニウム塩及び当該少なくとも1つのセリウム塩の双方が、上記されたとおりである。
【0054】
より好ましい実施形態では、本特許出願に記載された組成物には、濃度を組成物の総容量に対するそれぞれZrまたはCeの重量で表した場合、5.0g/L〜10.0g/Lの間の濃度のKZrF、及び、0.5〜3g/Lの間の濃度の硝酸セリウム(IV)アンモニウムが含まれる。
【0055】
別の好ましい実施形態では、本発明は、本特許出願に記載の組成物で、pH値が3.0〜5.0の間、より好ましくは3.0〜3.5の間、さらにより好ましくは3.5である組成物に関する。
【0056】
好ましくは、本特許出願に記載の組成物のpH値は、例えばアンモニア、DMEA(ジメチルエタノールアミン)もしくはリン酸塩といったアルカリ化合物、または六フッ化ジルコニウム酸アンモニウム及びフッ化水素酸を含む酸性化合物を使って、望ましい範囲に調整される。より好ましくは、pH値はHZrF(フッ化ジルコニウム酸)及び/またはDMEA(ジメチルエタノールアミン)を使って調整される。DMEAを基材として使用することによって、金属表面の腐食防止及び有機被覆の接着促進に関するより良い結果を伴った、化成被覆の改良に結びつく。
【0057】
本発明の別の好ましい実施形態では、本特許出願に記載された組成物に含まれる少なくとも1つのシランは、組成物の体積比で0.01体積%〜1.0体積%(v/v)、より好ましくは組成物の0.1体積%〜0.5体積%である。この範囲のシラン含有量によって、化成被覆された金属表面上に続いて適用される任意の有機被覆の接着性は、腐食耐性で妥協することなしに向上される。
【0058】
好ましくは、シラン溶液の調合には媒体が用いられ得る。シランは、水系または溶剤系のシランに分類され得る。VOC(揮発性有機化合物)の規制により、アルコールの含有量がゼロまたは非常に少ない、水系シランの方式を使用することが望ましい。好ましくは、当該少なくとも1つのシランは水溶性である。
【0059】
別の好ましい実施形態では、当該少なくとも1つのシランの化学式は、
YSiX(3−a)
であって、
Xは同じかまたは異なる加水分解性基であり、
Yは官能基を含む非加水分解性基であり、
Zは独立してH及びアルカリから選択され、
aは0、1または2である。
【0060】
「加水分解性基」という用語は、当該基が、基をシリコン原子から切り離す求核攻撃の影響を受けやすいということを意味する。Xのそれぞれが、アルコキシといった加水分解性基(例えば、メトキシ(−OCH)またはエトキシ(−OC))である。加水分解性基によって、組成物が金属及び/またはさらなる被覆上の求核点と良好に接着することが可能になる。
【0061】
「非加水分解性」という用語は、当該基が、基をシリコン原子から切り離す求核攻撃の影響を受けにくいということを意味する。
【0062】
好ましくは、Y部分はケイ素−炭素結合によってケイ素原子に結合されている。
【0063】
Yは、官能基を含む。即ちYには、ケイ素原子をさらなる被覆、さらなるシランまたは金属素地に結合するための反応が可能な基が含まれている。当該官能基は、直接またはアルキレンによってケイ素原子に結合されている。したがって、Y部分は、例えばビニル(−CH=CH)、ビニルアルキレン(−アルキレン−CH=CH)、アミノ(−NH)、アミノアルキレン(−アルキレン−NH)、エポキシ、エポキシアルキレン(−アルキレン−エポキシ)、メルカプト(−SH)またはメルカプトアルキレン(−アルキレン−SH)であり得る。
【0064】
「アルキレン」という用語は、1から12の炭素原子の、二価の飽和した脂肪族炭化水素を表す。具体的には、アルキレンは、非環式のC1−C−アルキレンであり得る。より具体的には、アルキレンは、メチレン、エチレンまたはプロピレンといった、非環式のC−Cアルキレンであり得る。
【0065】
化学式YSiX(3−a)においては、Zは独立してH(水素)及びアルキルから選択される。即ちZは、シランをさらなる被覆、さらなるシランまたは金属素地に結合するための官能基を含まない非加水分解性基である。
【0066】
別の定めがない限り、「アルキル」という用語によって、炭素1から炭素12までの、直鎖または鎖式の非環式飽和炭化水素基、または3から12までの炭素原子の、環式(例えばシクロアルキル)の飽和炭化水素基が意味される。例示的なアルキル基には、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C12及びC−Cの、非環式のアルキルが含まれる。具体例には、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、2−メチル−1−プロピル、1−ブチル、2−ブチルなどが含まれる。
【0067】
別途注記がない限り、アルキル基には、酸素、窒素、硫黄、またはハロゲンといった、炭化水素鎖における1またはそれ以上のヘテロ原子が含まれ得る。具体的には、アルキル基は、例えば、エーテル、アミノ、スルホニル(Sulfyl)、またはハロゲンからなる基の中の1つまたはそれ以上を含み得る。
【0068】
上記の化学式YSiX(3−a)においては、好ましくはaは0(ゼロ)である。したがって、組成物に含まれる当該少なくとも1つのシランの化学式はYSiXであり、YとXはそれぞれ上記のとおりである。
【0069】
シラン分子は、それぞれの化学構造に応じてモノシラン及びビスシランという2つの大きなカテゴリーに分類される。ビスタイプのシランは、その分子中に2つのケイ素原子を持ち、一方モノシランのケイ素原子は1つのみで、一般的な化学式はXSi−R−SiXである。好ましくは、容易に合成でき生産コストを最小化できるように、シランはこのように左右対称である。モノシランとビスシランの主要な違いは、ビスシラン分子においては、加水分解性基の数がモノシラン分子と比べて2倍であり得るということである。したがって、特に未塗装状態において、ビスシランは、モノシランに比べて、(素地との間の)より強い界面接着性及び、より良い腐食性能に結び付くより高密度の被膜を提供することが報告されている。
【0070】
別の好ましい実施形態では、シランの化学式はZ(3−a)Si−R−SiX(3−a)であり、X、Zおよびaは上記のとおり、Rはアルキレン、エーテル(例えば、−アルキレン−O−アルキレン)、またはアミノジアルキレン(例えば、−アルキレン−NH−アルキレン−)といった、二価のリンカーである。例えば、Rは−CHOCH−といったエーテル、または−(CH−NH−(CH−といったアミノジアルキレンであり得る。
【0071】
本発明の別の好ましい実施形態では、当該少なくとも1つのシランは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(GPMS)、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン(TMSE) 、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(BTSE)、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン(BAS)、及びビニルトリアセトキシシラン(VTAS)、またはそれらの2もしくはそれ以上の組み合わせの中から選択される。より好ましくは、当該シランは(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(GPMS)である。
【0072】
別の好ましい実施形態では、本特許出願に記載される導電性ポリマー分散物には、ポリアニリン(PANI)、 ポリエチレンジオキシチオフェン (PEDOT)、及びポリピロール(PPY)からなるグループの中から選択される、1つの導電性ポリマーが含まれる。好ましくは、導電性ポリマー分散物は水系の分散物である。より好ましくは、導電性ポリマー分散物はポリピロール(PPY)の水分散液であり、さらにより好ましくは、固形成分含有量が6重量体積%のPPY水分散液である。
【0073】
加えて、アクリル、ポリウレタン、エポキシド、アミノ樹脂、フェノール、ビニル、ポリエステル、その他、といった他のポリマー成分が、被覆の特定の特性を増強するために添加され得る。
【0074】
本発明の組成物は、次のように調合され得る。導電性ポリマー分散物及び、最終組成物が含有し得る、オプションで追加した全てのポリマー成分を撹拌した後、ある量の少なくとも1つのジルコニウム塩及び少なくとも1つの硝酸セリウム塩を、導電性ポリマー分散物に添加する。続いて、添加された塩が好適に溶解するまで、組成物を混合する。組成物中における添加された塩の最終濃度は、濃度を組成物の総容量に対するそれぞれZrまたはCeの重量で表した場合、ジルコニウム塩が2.0〜20g/Lの間、硝酸セリウム塩が0.5〜20g/Lの間で異なり得る。
【0075】
無機塩が溶解した後、少なくとも1つのシランが当該導電性ポリマー/塩分散物に添加され、続いて添加されたシランが好適に溶解するまで混合される。より好ましいシランは、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(GPMS)である。組成物中における添加されたシランの最終総濃度は、組成物の0.01体積%(v/v)〜1.0体積%(v/v)の間で異なり得る。
【0076】
最後に、組成物のpHは、例えばアンモニア、DMEA(ジメチルエタノールアミン)もしくはリン酸塩といったアルカリ化合物、または六フッ化ジルコニウム酸アンモニウム及びフッ化水素酸といった酸性化合物を使って、調整される。より好ましくは、pH値はHZrF(フッ化ジルコニウム酸)及び/またはDMEA(ジメチルエタノールアミン)を使って調整される。
【0077】
さらに、他のpH調整化合物、溶剤、非水系分散媒、他のシラン、分散剤、界面活性剤、及び凝集溶剤といった他の構成要素が、様々な度合の被覆効果を提供するため、本発明の組成物に添加され得る。
【0078】
第2の態様によると、本発明は、金属表面処理のプロセスに関する。プロセスは、
a)金属表面を前処理する、
b)導電性ポリマー分散物、少なくとも1つのシラン、及び無機金属塩を含み、pH値が1.0〜6.0の間である組成物と、この種の金属表面を接触させることによる化成被覆で、金属表面を被覆する、並びに
c)被覆された金属表面を乾燥させる、
の各ステップを含み、無機金属塩が、少なくとも1つのジルコニウム塩及び少なくとも1つの硝酸セリウム塩であることを特徴とする。
【0079】
本発明の別の好ましい実施形態では、金属表面の処理のプロセスで使われる組成物は、本特許出願の第1の態様の任意の実施形態で記載されるものと同様である。
【0080】
例えば、処理される金属表面は、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、ニッケル、及びこれらの中の少なくとも1つを含む合金であり得る。より具体的には、金属表面はアルミニウム合金であり得、当該アルミニウム合金は、例えば7075−T6、2024−T3または6061−T6の合金のうちの1つである。
【0081】
ASM国際ハンドブックによると、これらの合金の公称組成は以下のとおりである。
【0082】
したがって、本明細書における議論は主としてアルミニウム及びアルミニウムの特定の合金に関わるものであるが、本開示はそれほど限定的ではない。具体的には、種々の金属組成及び種々の合金、並びに自動車、工業その他といった種々のさらなる応用もまた、開示されたプロセスまたは方法及びその結果生み出される被覆によって恩恵を受けるであろう。
【0083】
特に好ましい実施形態では、本発明は
アルミニウム合金、好ましくは合金7075−T6の処理のプロセスに関し、
a)アルミニウム合金の表面を前処理するステップ、
b)組成物のpH値が3.0〜5.0の間、好ましくは3.0〜3.5の間であって、
ポリピロール水分散液、
好ましくは組成物の0.1体積%〜0.5体積%(v/v)の、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPMS)、
濃度を組成物の総容量に対するZr塩の重量で表した場合に5.0〜10g/Lの間の濃度の、六フッ化ジルコン酸カリウム、及び
濃度を組成物の総容量に対するCe硝酸塩の重量で表した場合に0.5〜3.0g/Lの間の濃度の、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、
を含む組成物と、アルミニウム合金の表面を接触させることによる化成被覆で、アルミニウム合金の表面を被覆するステップ、並びに、
c)金属表面を乾燥させるステップ、を含む。
【0084】
当業者には理解され得るとおり、化成被覆による表面の処理/被覆には、一般的には、組成物と金属(例えばアルミニウム及び/またはアルミニウム合金)との浸漬、または噴霧もしくはブラッシングといった他の接触方法のプロセスが含まれ、当該プロセスによって、組成物の物理化学的変化による金属表面の酸化還元反応または金属表面の化学物質堆積を通じて、表面に付着する保護化成被覆が形成される。この種の化成被覆は、典型的には非常に低い溶解性を示し、アルミニウムの場合には、プロセスのパラメータ及び処理される合金に応じて、約20nm〜1mmの厚さである。結果として生じる化成被覆の色は、金属表面及び、浴/噴霧パラメータ次第である。
【0085】
別の好ましい実施形態では、本発明は、本特許出願に記載された金属表面の処理のプロセスに関する。当該処理では、被覆は、好ましくはアルミニウム合金である金属の前処理された表面を、少なくとも1分間、好ましくは1〜10分間、さらにより好ましくは2〜5分間、本発明による組成物に浸漬することによって、単一のプロセスで実施される。
【0086】
別の好ましい実施形態では、被覆は、15〜30°C、より好ましくは前の段落に記載された温度で、好ましくはアルミニウム合金である金属の前処理された表面を本発明の組成物に浸漬することによって、単一のステップで実施される。
【0087】
したがって、これらの好ましい実施形態による処理のプロセスは、当該技術分野において説明されるセリウム化合物を使用した他のプロセスとは異なり、1〜10分の間、15〜30°Cの間の温度で本発明による組成物に金属表面を浸漬することによって、既知のクロム化成被覆と同様の耐腐食性及び接着力を持つ化成被覆で、金属表面が被覆されるのを可能にするものである。
【0088】
有利には、本発明による化成被覆は、浸漬による単一のステップを含むプロセスにおいて、いかなる加熱処理なしで、またきわめて短時間で、金属表面に適用され得る。したがって、被覆される金属表面(例えばパネル)は、本特許出願に記載された組成物に浸漬される。組成物は導電性ポリマー、ジルコニウム塩、硝酸セリウム塩、及びシランを含み、オプションで、組成物及び/または、結果として生じる化成被覆に影響する他の添加物と共に、例えば分散剤、湿潤剤、もしくはポリマー被膜形成剤を含む。
【0089】
別の好ましい実施形態では、本発明は、本特許出願に記載された金属表面の処理のプロセスに関する。本処理では、乾燥するステップは、15〜30°Cの間の温度で、より好ましくは8〜30時間の期間で実施される。
【0090】
したがって、本発明は、好ましくはアルミニウム合金である金属の表面を、耐腐食性と後続の有機被覆との接着とが改善された化成被覆によって、高温や時間のかかる被覆処理の必要なしに被覆することを可能にする、金属表面の処理のプロセスを提供する。
【0091】
前処理ステップは、金属表面を被覆に向けて準備するのに役立つものである。したがって、前処理ステップには、少なくとも表面の洗浄が含まれる。好ましくは、前記前処理ステップには、表面の脱脂、表面の洗浄及び表面の脱酸素の各ステップがさらに含まれる。
【0092】
好ましくは、本特許出願に記載された金属表面の処理のプロセスには、洗浄後に金属表面をすすぐステップ、脱酸素後に表面をすすぐステップ、及び被覆後に表面をすすがないステップ、がさらに含まれる。
【0093】
図1は、特に好ましい実施形態による、本発明の金属表面の処理のプロセスに含まれる各ステップの概観を示す。より具体的には、プロセスには、3つの一般的なステップが含まれる。即ち本特許出願に上記したとおり、a)前処理、b)被覆、及びc)乾燥である。この特に好ましい実施形態によれば、前処理は、被覆される金属パネルの脱脂(110)から開始される。脱脂は、種々の既知の洗浄溶液及び/または有機溶剤の中から、任意のものを使って実施され得る。さらに、このような脱脂は、プロセス中の全ステップと同様、噴霧、浸漬、またはこの両技術の混合によって実施され得る。
【0094】
被覆されるパネルは、脱脂されると、次いでアルカリ溶液によって洗浄(120)される。好適なアルカリ溶液は、例えばTURCO(4215NCLT)といった様々な商品名で市販されており、アルカリ洗浄は、有利には約10分間、例えば50°Cといったやや高温で実施される。洗浄の後、パネルは水ですすがれ、次いで例えばTURCO Smut Go NCを使って、約5分間、20〜35°Cの間の温度で脱酸素(130)され、次いですすがれる。有利には、処理される素地の材料及び除去される表面の材料または厚さによって、酸洗浄またはスマット除去の他のステップが使用され得る。
【0095】
ここで理解され得るように、プロセスには、既知であり理解されている、市販の前処理ステップが用いられ得る。有利には、この種の前処理は様々な合金に適合するものであり、その応用は、広く理解されている。
【0096】
特に好ましい実施形態では、本特許出願に記載された金属表面の処理のプロセスには、アルミニウム合金パネルの一定期間(好ましくは2分間)の組成物への浸漬(140)が含まれ、被覆された金属表面のすすぎを伴わない、処理されたパネルの直接乾燥(150)がこれに続く。
【0097】
一般的には、組成物は、最初に導電性ポリマー分散物を撹拌することによって調合される。有利には、使用されるポリマー分散物は市販の水系のものであり得、固形分含有量、pH、及び分散添加剤を含む、満足できる処方を示し得る。結果として、これらの市販の分散剤には、最小限の撹拌しか要求されない。
【0098】
プロセス及び結果として生じる被覆は本発明による組成物への浸漬という文脈で記載されてきたが、例えば噴霧被覆といった、代替的な被覆技術もまた使用され得ることが理解される。最後に、鋼、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、ニッケルまたは任意のこれらの合金、といった他の金属素地が私たちの方法及び被覆によって恩恵を受けるであろう。
【0099】
第3の態様では、本発明はまた、本特許出願に記載されたプロセスによって金属表面に適用される化成被覆にも言及する。
【0100】
第4の態様では、本発明は、本特許出願に記載された、金属表面の腐食防止、有機被覆の接着促進、またはその両者のための化成被覆の利用に言及する。
【0101】
好ましい実施形態では、本発明は、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、ニッケル及びそれらの合金からなるグループから選択される金属表面の腐食を防止するために説明された、化成被覆の使用に言及する。好ましくは、金属表面はアルミニウム合金である。より好ましくは、アルミニウム合金は7075−T6である。
【0102】
第5の態様では、本発明はまた、本特許出願に記載されたプロセスを使って処理された金属表面にも言及する。好ましくは、金属表面はアルミニウム合金である。より好ましくは、アルミニウム合金は7075−T6である。
【0103】
したがって本発明は、高い耐腐食性、有機被覆への高い接着力、及び低い接触電気抵抗を伴う、被覆された金属表面を提供する。これらの特性によって、本発明による金属表面は、いくつかの応用、とりわけ航空機、自動車、船舶、建設、工業及び家庭用の用途において、非常に有用である。
【0104】
本開示は、本明細書においていくつかの具体例について討議し記載しているが、私たちの教えが限定的なものでないことは、当業者には認識されるであろう。より具体的には、本処理のプロセス及び化成被覆が、腐食保護、及び/または後続して適用される有機被覆との接着、及び/または低電気表面接触抵抗、及び、特に、六価クロムに関連付けられた諸問題に関連する応用を必要とする、実質的にいかなる応用においても使用され得ることが理解される。したがって、本特許出願に記載された処理のプロセス及び化成被覆は、航空における応用に加えて、任意の自動車、船舶、建設、工業及び家庭用の用途に適用され得ることが理解される。
【0105】
本開示の、これらの及び他の特徴及び利点は、添付の図面及び詳細な説明を参照することによって明らかにされる。
【0106】
本特許出願においては、種々の態様、実施形態、及び特徴が、詳細に規定されている。そのように規定されている各態様、実施形態または特徴は、明確に反対の提示がない限り、他の任意の(好ましい、有利なまたはそれ以外の)態様、実施形態または特徴と組み合わされ得る。
実施例
【0107】
実施例1: アルミニウム合金7075T6の幾つかのサンプルが、本発明の金属表面の処理のプロセスを受けた後、耐腐食性及び接着力の評価を受けた。PPY/Zr/シラン/Ceベースの組成物に関する具体的な実験条件が、表2−1に、得られた結果が表2−2に示されている。
【0108】
サンプルのパネルは、有機溶剤を使って脱脂され、次いで市販のTURCO 4215NCLT溶液を使って、約15分間、45〜55°Cの間の温度でアルカリ洗浄された。アルカリ洗浄の後、サンプルは水ですすがれた。その後、パネルは市販のTURCO Smut Go NC溶液を使って、約5分間、20〜30°Cの間の温度で脱酸素され、その後、水ですすがれた。
【0109】
次いでサンプルは、組成物中に約2分間浸漬されることによって被覆され、直接乾燥された。表2−1に示されたサンプルの全てについて、乾燥条件は20〜30°Cの間の範囲にわたり、時間は少なくとも18時間であった。塩水噴霧試験(MIL−DTL−81706B 段落3.5.1及び4.5.1, ASTM B−117を参照)において腐食性能の点で最高の処理はまた、続いて適用された有機被覆について、スクライビングされた湿式テープ塗装接着試験において、航空に関する要求事項(MIL−DTL−81706B 段落 3.5.2 及び 4.5.2)に適合する接着性能を示した。
【0110】
これらの例で使用されたPPY分散物(Eeonyx社のEeonomer 7000)は、以下の特性があることによって特徴づけられる。
【0111】
表2−2は、PPY/Zr/シラン/Ceのセットによる各サンプルの実験条件を示す。この特定のセットにおいては、[Zr](ジルコニウム)の濃度は、KZrF(六フッ化ジルコン酸カリウム)の分量を変化させることによって変化され、pHは、HZrF(フッ化ジルコン酸)及び/またはDMEA(ジメチルエタノールアミン)によって調整された。
【0112】
表3は、アルミニウム合金7075−T6上のPPY/Zr/シラン/Ceによる化成被覆の耐腐食性を示す。得られた結果は、168時間の塩水噴霧腐食試験(MIL−DTL−81706B 段落 3.5.1及び4.5.1、ASTM B−117を参照)の後のものである。腐食点数値は、最低の腐食性能の場合の0から、最高の腐食性能の場合の10までである。六価クロムベースの市販のALODINE 1200Sが、腐食点数10.0で最高の腐食性能を示した。
【0113】
表3はまた、続いて7075−T6アルミニウム合金に適用された有機被覆の接着性能も示している。塗料接着性能は、湿式テープ塗料接着試験により測定された。いったん乾燥された後(14日間の空気乾燥の後)、対応する化成被覆パネルが、MIL−PRF−85582規格に適合するエポキシプライマーで塗装された。使用されたエポキシプライマーは、Akzo Nobel Aerospace Coatings, BVによって供給された、MIL−PRF−85582 Type 1 Class 2による、基剤10PW20−4及び硬化剤ECW−104から製造された、水希釈性のエポキシプライマー系であった。パネルには、互いに3/4〜1インチ離れた、被覆を貫通して素地に至る2つの平行な2インチ長の引っかききずがつけられた。当該平行な引っかききずに、2本の互いに交わる線または「X」字が加えられた。下塗りされ引っかききずをつけられたパネルは、湿式塗装接着試験に先立って、24時間の間、脱イオン水に浸漬された。試験用パネルを水から取り出してから2分後、試験用表面に粘着テープが貼られ、手でしっかりと押し付けられた後、取り除かれた。六価クロムベースの市販のALODINE 1200Sが、接着点数10.0で最高の塗装接着性能を示した。接着試験点数値は、最低の接着性能(下塗り剤が完全に剥離)の場合の0から、最高の接着性能(下塗り剤の剥離なし)の場合の10までである。
【0114】
比較例1: 例1(上記参照)に記載された実験条件が、硝酸セリウム塩とは異なるセリウム塩、具体的には硫酸セリウムまたは塩化セリウムを含む導電性ポリマー分散物を使って再現された。それぞれの比較実験の具体的な条件は、下記表4に詳述される。
【0115】
腐食の抑制が、例1と同じ条件で検査された。得られた結果は、以下の表5に詳述される。
図1