特許第6440712号(P6440712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6440712尿素の勾配供給を使用してポリカルバメートを生成するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440712
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】尿素の勾配供給を使用してポリカルバメートを生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08G 71/04 20060101AFI20181210BHJP
   C08G 65/333 20060101ALI20181210BHJP
   C08G 85/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   C08G71/04
   C08G65/333
   C08G85/00
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-531785(P2016-531785)
(86)(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公表番号】特表2016-530367(P2016-530367A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】US2014048349
(87)【国際公開番号】WO2015017299
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2017年5月22日
(31)【優先権主張番号】13/955,612
(32)【優先日】2013年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンルイ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】イーヨン・ヘ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ビー・リン
【審査官】 大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭41−008956(JP,B1)
【文献】 特公昭42−014455(JP,B1)
【文献】 特表2004−524564(JP,A)
【文献】 特表平10−501831(JP,A)
【文献】 特開2010−150327(JP,A)
【文献】 特表2007−505052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 71/04
C08G 65/333
C08G 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中に溶解した尿素を提供することと、
前記溶媒中に溶解した尿素を低減された勾配プロファイルでポリオールに添加して、ポリカルバメート生成物を形成することを含む、ポリカルバメートを生成するためのプロセスであって、前記尿素の供給速度が、以下の3つの要件(a)、(b)及び(c)に従って動的に更新されるプロセス;
(a)供給のほとんどの間、反応器内の尿素の濃度は比較的安定している、
【数1】
(式中、t=尿素溶液の供給時間であり、C=供給中の反応器内の尿素の計算平均濃度、Cu≦前記反応システムにおける尿素の溶解度であり、t=前記尿素溶液の供給開始からの経過時間であり、(t)=尿素溶液の供給速度であり、ρ溶液=尿素溶液の密度であり、M尿素=尿素分子量であり、濃度(尿素)=前記供給流中の尿素の濃度であり、COH=ヒドロキシルモル濃度であり、
【数2】
であり、k=所望の反応の反応速度係数であり、α=OH濃度及び供給速度の比例係数であり、V=反応器内の反応物混合物の総体積であり、V=尿素溶液の総体積であり、及びe=ネイピア数である)。
【請求項2】
前記溶媒が水である、請求項に記載の前記プロセス。
【請求項3】
ヒドロキシルモル濃度COHが、測定によって決定される、請求項1に記載の前記プロセス。
【請求項4】
前記溶媒中に溶解した尿素をポリオールに前記添加することが反応器内で生じ、測定が前記反応器内で、または前記反応器から試料採取し、続いて前記反応器の外部で分析を行うことによって実行される、請求項1に記載の前記プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカルバメートを生成するためのプロセス、その反応生成物、及びプロセスを実行するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは、カルバメート連鎖を有する有機単位の鎖から構成されるポリマーである。ポリウレタンは、イソシアン酸塩を出発材料として使用して生成され得る。しかしながら、微量の残渣イソシアン酸塩が、健康及び安全上の懸念を生じる。一代替手段として、ポリウレタンは、ポリオール及びメチルカルバメートを出発材料として使用して生成されてきた。しかしながら、メチルカルバメートもまた、健康及び安全上の懸念を生じる。健康及び安全上の懸念を最小化しながら、様々な用途において有用なポリウレタンを提供する、代替的なポリウレタン生成方法に対する必要性が未だに存在する。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、ポリカルバメートを生成するためのプロセス、その反応生成物、及びプロセスを実行するための装置である。
【0004】
一実施形態において、本発明は、液体形態の尿素を提供することと、液体形態の尿素を低減された勾配プロファイルでポリオールに添加して、ポリカルバメート生成物を形成することと、を含む、ポリカルバメートを生成するためのプロセスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明を例示する目的のために、図面内に例示的な形態が示されるが、本発明は、示される正確な配置及び手段に限定されないことが理解される。
図1】本発明のプロセスを操作するための装置の一実施形態を例示するブロック流れ図である。
図2】時間の関数としての、反応器内の尿素の質量を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、ポリカルバメートを生成するためのプロセス、その反応生成物、及びプロセスを実行するための装置である。
【0007】
本発明に従うポリカルバメートを生成するためのプロセスは、液体形態の尿素を提供することと、液体形態の尿素を低減された勾配プロファイルでポリオールに添加して、ポリカルバメート生成物を形成することと、を含む。
【0008】
代替的な一実施形態において、本発明は、本明細書に記載される本発明のプロセスのうちの任意の実施形態によって生成される反応生成物を更に提供する。
【0009】
更に別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される本発明のプロセスのうちの任意の実施形態を操作するための装置を提供する。
【0010】
尿素
尿素の液体形態(または「液体尿素」)は、任意の許容される様態で得られ得る。例えば、尿素は第1の溶媒中に溶解され得る。あるいは、尿素は融解され得る。更なる別の代替手段において、尿素は包接体中に懸濁され得る。尿素包接体はまた、尿素包含化合物としても知られ、“Supramolecular Chemistry”John Wiley&Sons,Jonathan w.Steed,Jerry L.Atwood,pp.393−398、及びHarris,K.D.M.,“Fundamental and Applied Aspects of Urea and Thiourea Inclusion Compounds”,Supramol.Chem.2007,19,47−53において説明されるような構造を有し得る。
【0011】
尿素の液体形態は、液体形態の組み合わせで代替的に存在し得る。
【0012】
特定の実施形態において、尿素は水に溶解される。別の実施形態において、尿素は2つ以上の第1の溶媒の混合物中に溶解され得る。そのような第1の溶媒は、有機溶媒を含む。代替的な一実施形態において、尿素は、水及び有機アルコールから選択される1つ以上の溶媒中に溶解される。一実施形態において、尿素は、溶媒中または溶媒の混合物中に部分的に可溶性である。更に別の実施形態において、尿素は、溶媒中または溶媒の混合物中に完全に可溶性である。
【0013】
ポリオール
本明細書において使用される場合、「ポリオール」という用語は、少なくとも2つの−−OH官能価を有する有機分子を意味する。本明細書において使用される場合、「ポリエステルポリオール」という用語は、少なくとも2つのアルコール(−−OH)基、及び少なくとも1つのカルボキシルエステル(CO−−C)官能価を有する有機分子であるポリオールの細分類を意味する。「アルキド」という用語は、脂肪酸修飾ポリエステルポリオールであるポリエステルポリオールの細分類を意味し、少なくとも1つのカルボキシルエステル官能価は、好ましくはポリオールのアルコール性−−OHと(C−C60)脂肪酸のカルボキシルとの間のエステル化反応に由来する。ポリオールは任意のポリオールであり得、例えば、ポリオールは、アクリル、スチレンアクリル、スチレンブタジエン、飽和ポリエステル、ポリアルキレンポリオール、ウレタン、アルキド、ポリエーテル、またはポリカーボネートからなる群から選択され得る。例示的な一実施形態において、ポリオール成分は、アクリル酸ヒドロキシエチルを含む。別の例示的な実施形態において、ポリオール成分は、メタクリル酸ヒドロキシエチルを含む。
【0014】
反応混合物は、10〜100重量%のポリオール、例えば、30〜70重量%のポリオールを含み得る。一実施形態において、ポリオールは、1,2−ジオール、1,3−ジオール、またはそれらの組み合わせの官能性構造を有する。
【0015】
ポリオールは、非環状鎖、直鎖、もしくは分岐鎖、環状鎖かつ非芳香族、環状鎖かつ芳香族、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、ポリオールは、1つ以上の非環状鎖、直鎖、もしくは分岐鎖ポリオールを含む。例えば、ポリオールは、1つ以上の非環状鎖、直鎖、もしくは分岐鎖ポリオールから本質的になり得る。
【0016】
一実施形態において、ポリオールは、炭素、水素、及び酸素原子から本質的になる。別の実施形態において、ポリオールは第一ヒドロキシル基からなる。更に別の実施形態において、ヒドロキシル基は1,2及び/または1,3構成である。例示的な目的のために、例示的なポリオール構造を以下に示す。
【0017】
【化1】
【0018】
本発明のプロセスの実施形態において有用なポリオールは、ヒドロキシ含有アクリルモノマー単位に由来するオリゴマーまたはポリマーを含む。好適なモノマーは、これらに限定されないが、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシドデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシドデシル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、及びそれらの組み合わせであり得る。実施形態において有用なポリオールは、少なくとも1つのヒドロキシル含有モノマーを1つ以上のモノマーと反応させることによって調製され得る。好適なモノマーは、これらに限定されないが、スチレン等のビニルモノマー、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、2−アクリル酸エチルヘキシル、2−メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、マレイン酸ジメチル等の不飽和炭酸及びジ炭酸のエステル、ならびにそれらの混合物であり得る。
【0019】
本発明のプロセスの特定の実施形態において有用なポリオールは、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールを含む。好適なポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びマンニトールを含む。したがって、好適なグリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,2−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、水素化ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、トレイトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ジメチロールプロピオン酸等を含む。
【0020】
本発明において有用なポリカルボン酸は、これらに限定されないが、無水フタル酸またはフタル酸、無水マレイン酸またはマレイン酸、フマル酸、イソフタル酸、無水コハク酸またはコハク酸、アジピン酸、アゼレイン酸(azeleic acid)、及びセバシン酸、テレフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、グルタル酸、無水トリメリット酸またはトリメリット酸、クエン酸、ピロメリット酸二無水物またはピロメリット酸、トリメシン酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、ならびにそのような酸の無水物からのもの、及び存在する場合はそれらのエステルを含み得る。任意選択で、これに限定されないが、安息香酸を含むモノカルボン酸が使用されてもよい。アルキドを生成するための反応混合物は、1種以上の脂肪酸または芳香族ポリカルボン酸、そのエステル化重合生成物、及びそれらの組み合わせを含む。本明細書において使用される場合、「ポリカルボン酸」という用語は、ポリカルボン酸及びその無水物の両方を含む。本発明における使用のための好適なポリカルボン酸の例は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ならびにそれらの無水物及び組み合わせを含む。
【0021】
添加ステップ
本プロセスの特定の一実施形態において、液体形態の尿素のポリオールへの添加は、触媒の存在下で実行される。本プロセスにおける使用のための好適な触媒は、これに限定されないが、有機スズ化合物を含む。この種類の触媒の使用は、当該技術分野において周知である。本発明において有用な触媒の例は、これらに限定されないが、二酢酸ジブチルスズ及び酸化ジブチルスズを含む。特定の一実施形態において、触媒は、ポリオール重量に基づいて0.1%〜1.0重量%の量で使用される。0.1%〜1.0重量%からの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、触媒量は、ポリオール重量に基づいて0.1、0.2、0.4、0.6、または0.8重量%の下限から、ポリオール重量に基づいて0.15、0.3、0.5、0.7、0.9、または1.0重量%の上限までの範囲であり得る。例えば、特定の実施形態において、触媒量は、ポリオール重量に基づいて0.1〜1.0重量%、または代替実施形態において、ポリオール重量に基づいて0.5〜1.0重量%、または代替実施形態において、ポリオール重量に基づいて0.1〜0.6重量%であり得る。
【0022】
第1のプロセスの一実施形態において、ポリオールは、任意の溶媒の不在下で完全ポリオールである。第1のプロセスの代替的な一実施形態において、ポリオールは、液体尿素を溶解したポリオールに添加する前に第2の溶媒中に溶解される。第2の溶媒は、ポリオールが可溶性であるか、または部分的に可溶性である任意の溶媒または溶媒の混合物であり得る。特定の実施形態において、第1及び第2の溶媒は、不均一共沸混合物を形成して、傾瀉または他の手段による第1の溶媒の除去を可能にする。特定の実施形態において、不均一共沸混合物からの第1の溶媒の除去は、第1の溶媒中に可溶性であるアンモニア等の特定の副生成物の同時除去を可能にする。更なる代替的な一実施形態において、第1及び第2の溶媒は、不均一共沸混合物を形成して、第1の溶媒の除去を可能にし、かつ更に、第2の溶媒が反応器に戻される。
【0023】
特定の実施形態において、本プロセスは、ポリオールのヒドロキシル基の少なくとも50%の変換率を達成する。少なくとも50%の変換率からの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、ヒドロキシル変換率は50%の下限からの範囲であり得、または代替実施形態において、ヒドロキシル変換率は55%の下限からの範囲であり得、または代替実施形態において、ヒドロキシル変換率は60%の下限からの範囲であり得、または代替実施形態において、ヒドロキシル変換率は65%の下限からの範囲であり得、または代替実施形態において、ヒドロキシル変換率は70%の下限からの範囲であり得、または代替実施形態において、ヒドロキシル変換率は75%の下限からの範囲であり得、または代替実施形態において、ヒドロキシル変換率は80%の下限からの範囲であり得、または代替実施形態において、ヒドロキシル変換率は85%の下限からの範囲であり得る。
【0024】
尿素添加の勾配プロファイル
本発明のプロセスの実施形態において、液体尿素は、勾配供給速度でポリオールに添加される。本明細書で使用される場合、勾配供給速度は、尿素の供給速度が、時間の関数として非線形の様態で変化することを意味する。尿素との反応におけるポリオールのヒドロキシル基の消費は二次反応であり、ヒドロキシル濃度は反応時間とともに指数関数的に減少する。勾配プロファイルは、反応システムにおける未反応の尿素の蓄積を回避または最小化するような様態で、ヒドロキシル官能価の消費に従って液体尿素の供給速度を調節する。更に別の実施形態において、勾配プロファイルは、不純物、特に以下の反応から生じる不純物の形成を低減することにつながる。
【0025】
【化2】
【0026】
代替的な一実施形態において、本発明は、液体形態の尿素が使用され、尿素の供給速度が、以下の式、
供給時間中一定;
【0027】
【数1】
【0028】
(式中、t=尿素溶液の供給時間であり、C供給中の反応器内の尿素の擬定常状態の濃度、C≦反応システムにおける尿素の溶解度であり、F(t)=尿素溶液の供給速度であり、ρ溶液=尿素溶液の密度であり、M尿素=尿素分子量であり、濃度(尿素)=供給流中の尿素の濃度であり、COH=ヒドロキシルモル濃度であり、
【0029】
【数2】
【0030】
であり、k=所望の反応の反応速度係数であり、α=OH濃度及び供給速度の比例係数であり、V=反応器内の反応物混合物の総体積であり、V=尿素溶液の総体積である)に従って動的に更新される以外は、前述の実施形態のうちのいずれかに従うプロセス、その反応生成物、及び本プロセスを実行するための装置を提供する。
【0031】
代替的な一実施形態において、本発明は、尿素の勾配供給速度が、(1)尿素の濃度が擬定常状態にあることが想定される、すなわち、供給によって引き起こされる尿素の濃度変化と反応による消費との間の差が定数であること、及び(2)特定の供給時間にわたる尿素の供給速度の積分が反応器に添加される尿素の総体積に等しいこと、の2つの条件に基づいて計算される以外は、前述の実施形態のうちのいずれかに従うプロセス、その反応生成物、及び本プロセスを実行するための装置を提供する。第1の条件は、以下の等式、
供給時間中一定、によって表現され得、第2の条件は、以下、
【0032】
【数3】
【0033】
のように表現され得る。
【0034】
代替的な一実施形態において、本発明は、最適な尿素の供給速度の決定がOH濃度の動力学的モデル計算に基づく以外は、前述の実施形態のうちのいずれかに従うプロセス、その反応生成物、及び本プロセスを実行するための装置を提供する。
【0035】
代替的な一実施形態において、本発明は、動力学的モデル化が
【0036】
【数4】
【0037】
に基づく以外は、前述の実施形態のうちのいずれかに従うプロセス、その反応生成物、及び本プロセスを実行するための装置を提供する。
【0038】
上記の等式で使用される場合、t=尿素溶液の供給時間であり、C=供給中の反応器内の尿素の濃度であり、C≦反応システムにおける尿素の溶解度であり、F(t)=尿素溶液の供給速度であり、ρ溶液=尿素溶液の密度であり、M尿素=尿素分子量であり、濃度(尿素)=供給流中の尿素の濃度であり、COH=ヒドロキシルモル濃度であり、
【0039】
【数5】
【0040】
であり、k=所望の反応の反応速度係数であり、α=OH濃度及び供給速度の比例係数であり、V=反応器内の反応物混合物の総体積であり、V=尿素溶液の総体積である。
【0041】
代替的な一実施形態において、本発明は、最適な尿素の供給速度の決定が反応器内のOH濃度の測定に基づく以外は、前述の実施形態のうちのいずれかに従うプロセス、その反応生成物、及び本プロセスを実行するための装置を提供する。OH濃度測定は、インサイチュー反応器測定または反応器から除去された試料のエクスサイチュー分析によって達成され得る。OH濃度は、例えば、OH数滴定法、核磁気共鳴法(NMR)、赤外分光法(IR)、近赤外分光法(NIR)、またはラマン分光法を含む任意の適切な分析的技術を使用して決定され得る。
【0042】
尿素勾配供給プロセスは、連続的または非連続的供給アプローチのいずれかにおいて実行され得る。
【0043】
本発明の実施形態において有用な例示的な装置を、図1に示す。反応器内への液体尿素の供給は、供給制御器によって制御される。反応器測定システムは、反応器内の情報(例えば、−OHのレベル、反応物混合物の体積等)を得るような任意の様式において構成され得る。例えば、反応器測定システムは、反応器内の−OHを測定するためのプローブを含み得る。あるいは、反応器測定システムは、反応器の外部での−OH濃度測定のために、反応器から試料を除去することを含み得る。反応器測定システムによって決定される−OHのレベルは、反応器内に供給されるべき尿素の速度を計算するために本明細書に記載される等式において使用される。尿素の供給速度はまた、例えば、反応器内の不純物レベル等の他のプロセスパラメータによって影響を受け得る。そのような計算は、供給制御器の内部または外部で行われ得る。計算が供給制御器の外部で実行される場合、反応器内に供給されるべき尿素の量は供給制御器に補給される。
【0044】
代替的な一実施形態において、本発明は、100%固体ポリカルバメート生成物が0.1重量%以下のシアヌル酸を含む以外は、前述の実施形態のうちのいずれかに従うプロセス、その反応生成物、及び本プロセスを実行するための装置を提供する。0.1%重量%以下の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、シアヌル酸のレベルは0.1重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、シアヌル酸のレベルは0.08重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、シアヌル酸のレベルは0.07重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、シアヌル酸のレベルは0.06重量%の上限からであり得る。
【0045】
代替的な一実施形態において、本発明は、100%固体ポリカルバメート生成物が0.4重量%以下のビウレットを含む以外は、前述の実施形態のうちのいずれかに従うプロセス、その反応生成物、及び本プロセスを実行するための装置を提供する。0.4%重量%以下の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、ビウレットのレベルは0.4重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、ビウレットのレベルは0.35重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、ビウレットのレベルは0.3重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、ビウレットのレベルは0.25重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、ビウレットのレベルは0.2重量%の上限からであり得る。
【0046】
代替的な一実施形態において、本発明は、100%固体ポリカルバメート生成物が1.5重量%以下のポリアロファン酸塩を含む以外は、前述の実施形態のうちのいずれかに従うプロセス、その反応生成物、及び本プロセスを実行するための装置を提供する。1.5%重量%以下の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、ポリアロファン酸塩のレベルは1.4重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、ポリアロファン酸塩のレベルは1.3重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、ポリアロファン酸塩のレベルは1.2重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、ポリアロファン酸塩のレベルは1.15重量%の上限からであり得る。
【0047】
代替的な一実施形態において、本発明は、100%固体ポリカルバメート生成物が0.5重量%以下の未反応の尿素を含む以外は、前述の実施形態のうちのいずれかに従うプロセス、その反応生成物、及び本プロセスを実行するための装置を提供する。0.5%重量%以下の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、未反応の尿素のレベルは0.5重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、未反応の尿素のレベルは0.36重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、未反応の尿素のレベルは0.2重量%の上限からであり得、または代替実施形態において、未反応の尿素のレベルは0.15重量%の上限からであり得る。
【実施例】
【0048】
以下の実施例は、本発明を例示するが、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0049】
比較例−1
50L被覆反応器を本反応に使用した。循環ポンプを備える加熱器によって被覆流体を加熱した。熱電対を使用して、反応器内部温度を監視した。窒素スパージング管は、反応器上部アダプターを通して供給した。反応器カバー上の中央アダプターを通して、モーターによって駆動される2つのTeflon撹拌器を使用して反応器を撹拌した。1L受容器を有する水冷式の頭上凝縮器を設置して、頭上の液体を回収した。濃縮不可能なガスは鉱物油で充填されたバブラーを通過し、その後水で充填された4Lスクラバーに進入した。
【0050】
18.2kgのPARALOID AU−608Xポリオール(The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能)を60℃まで加熱し、その後58重量%の乾燥ポリオール及び42重量%の溶媒(キシレン)からなる反応器内にポンプ送達した。撹拌器を始動し、50rpmに設定した。3.1kgのキシレン溶媒を反応器内にポンプ送達して、混合物粘度を低下させた。111.2g(98%純粋)の酸化ジブチルスズを反応器に添加した。被覆流体の加熱器を158℃に設定した。窒素スパージング速度を始動し、流量を0.6L/分に設定した。撹拌速度を180rpmまで増加させた。
【0051】
953.1g(98%純粋)の尿素を883.3gの脱イオン水中に溶解させて、水溶液を形成した。ポンプを備える2L反応器に尿素溶液を移動した。2L反応器を30rpmで撹拌し、窒素を使用して不活性化した。50L反応器温度が140℃に達したとき、尿素溶液ポンプを始動し、流量を20ml/分に設定した。反応タイマーを始動した。20ml/分での尿素溶液の添加を31分間続け、ポンプ速度を2ml/分に調節して、尿素溶液の平衡を供給した。尿素溶液の供給ステップ中、水及びキシレンの共沸混合物を頭上の受容器内に回収した。キシレンを分離し、再利用した。尿素溶液の供給が完了した後、全バッチ時間が30時間に達するまで反応を実行した。反応器加熱器の設定温度を70℃に設定し、撹拌速度を50rpmに設定して、反応器を冷却した。反応器温度が60℃未満になったとき、反応器を停止した。反応器を排水し、得られる生成物は2〜3の間のガードナーレベルで濁っていた。19.8kgの全反応生成物を回収した。以下の表1は、比較例1のOH変換及び副生成物及び未反応の尿素の情報を提供する。標的生成物の選択性は、反応してポリカルバメートを形成する尿素のパーセンテージである。
【0052】
【表1】
【0053】
発明の実施例1
50L被覆反応器を本反応に使用した。循環ポンプを備える加熱器によって被覆流体を加熱した。熱電対を使用して、反応器内部温度を監視した。窒素スパージング管は、反応器上部アダプターを通して供給した。反応器カバー上の中央アダプターを通して、モーターによって駆動される2つのTeflon撹拌器を使用して反応器を撹拌した。1L受容器を有する水冷式の頭上凝縮器を設置して、頭上の液体を回収した。濃縮不可能なガスは鉱物油で充填されたバブラーを通過し、その後水で充填された4Lスクラバーに進入した。
【0054】
18.1kgのPARALOID AU−608Xポリオールを60℃まで加熱し、その後58重量%の乾燥ポリオール及び42重量%の溶媒(キシレン)からなる反応器内にポンプ送達した。撹拌器を始動し、50rpmに設定した。3.3kgのキシレン溶媒を反応器内にポンプ送達して、混合物粘度を低下させた。110.8g(98%純粋)の酸化ジブチルスズを反応器に添加した。加熱器を158℃に設定した。窒素スパージング速度を始動し、流量を0.6L/分に設定した。撹拌速度を180rpmまで増加させた。
【0055】
935.9g(98%純粋)の尿素を1143.9gの脱イオン水中に溶解させて、水溶液を形成した。ポンプを備える2L反応器に尿素溶液を移動した。2L反応器を30rpmで撹拌し、窒素を使用して不活性化した。50L反応器温度が140℃に達したとき、尿素溶液ポンプを始動し、反応タイマーを始動した。反応器内に尿素溶液を勾配様態で10時間にわたって供給した。反応の過程にわたる供給速度は、表2に示す通りである。
【0056】
【表2】
【0057】
尿素溶液の供給ステップ中、水及びキシレンの共沸混合物を頭上の受容器内に回収した。キシレンを分離し、再利用した。尿素溶液の供給が完了した後、全バッチ時間が30時間に達するまで反応を実行した。反応器加熱器の設定温度を70℃に設定し、撹拌速度を50rpmに設定して、反応器を冷却した。反応器温度が60℃未満になったとき、反応器を停止した。反応器を排水し、生成物は1以下のガードナーレベルで透明であった。18.7kgの全反応生成物を回収した。表3は、−OH変換、未反応のOH、及び副生成物レベルを提供する。
【0058】
【表3】
【0059】
比較例1において、2つの速度(20ml/分及び2ml/分)を使用して尿素溶液を供給した。発明の実施例1において、以上に示すような勾配供給速度を使用して尿素溶液を供給した。比較例1は、72%のOH変換を呈した。生成物中の低いポリカルバメート官能価含量は、コーティング用途における使用のためには不十分な架橋能力を提供した。比較例1からの生成物はまた、濃厚な色かつより高い未反応の尿素含量を呈した。更に、より高いレベルの副生成物形成のために、標的反応(例えば、ポリカルバメートの形成)の選択性は、79.2%のみであった。
【0060】
発明の実施例1は、82.4%のより高いOH変換を呈した。標的反応の選択性はまた、比較例1の選択性よりもずっと高く、すなわち86.9%であった。ビウレットレベル及び未反応の尿素はともに、比較例1によって達成されるよりも大幅に低い。
【0061】
例示的な計算
1.擬定常状態の尿素の濃度
尿素の定常状態の濃度の決定は、試行錯誤の手順である。類似の条件のバッチから、または尿素の供給速度の計算における経験的推定からのいずれかから尿素の濃度を決定して、反応を実施する。反応中、実際の尿素の濃度を決定し、将来のバッチ反応のためにモデルを補正した。計算において、第1の想定は、尿素の濃度(C)が比較的安定しているというものである。図2は、NMRを使用して決定される、尿素及びポリオールの1Lバッチ反応における実際の尿素を示す。尿素を勾配様態で8時間の期間にわたって供給した。図2に見られるように、供給期間のうちのほとんどの間、尿素含量は比較的安定しているため、定常状態の想定を実証する。供給中の計算される平均尿素の濃度は、0.143モル/Lであり、これを勾配供給速度計算のためのCとして使用した。当業者は、定常状態の尿素の濃度が、反応物及び反応条件に基づいて変動することを理解するであろう。当業者は、許容される定常状態の尿素の濃度が、最終生成物中の許容される不純物レベルに依存することを更に理解するであろう。
【0062】
2.勾配供給計算
発明の実施例1における勾配供給速度のために、表4におけるパラメータ値を使用した。
【0063】
【表4】
【0064】
これらのパラメータ値を、
【0065】
【数6】
【0066】
及び
【0067】
【数7】
【0068】
において使用した。
は1754mlであると計算した。係数αは、
【0069】
【数8】
【0070】
を使用して決定した。
発明の実施例1において、α=0.094769であり、表2における供給速度を計算した。
【0071】
試験方法
試験方法は以下を含む。
【0072】
OH価滴定
OH価は、ポリオール1グラム当たりの水酸化カリウムのミリグラム(mg KOH/gポリオール)で表現されるような、ポリオールのヒドロキシル価の大きさである。ヒドロキシル価(OH#)は、ポリマー、特にポリオールの組成物におけるヒドロキシル部分の濃度を示す。ポリマーの試料のヒドロキシル価は、まず、酸価(mg KOH/gポリオール)を得るための酸基の滴定、次に、ピリジン及び無水酢酸によるアセチル化により決定され、結果は、水酸化カリウム溶液による2つの滴定(1つは参照のためのブランクによる滴定、1つは試料による滴定)の間の差として得られる。ヒドロキシル価は、アセチル化により1グラムのポリオールと組み合わせることができる無水酢酸を中和するミリグラムでの水酸化カリウムの重量、及びポリオール中の酸基を中和するミリグラムでの水酸化カリウムの重量での酸滴定からの酸価である。より高いヒドロキシル価は、組成物内のより高い濃度のヒドロキシル部分を示す。組成物のヒドロキシル価を決定する方法の説明は、当業者に周知である、例えば、Woods,G.,The ICI Polyurethanes Book,2nd ed.(ICI Polyurethanes,Netherlands,1990)に記載されている。
【0073】
ガードナー色は、HunterLab比色計を使用して、ASTM D1544“Standard Test Method for Color of Transparent Liquids(Gardner Color Scale)”に従って測定された。
【0074】
13C NMRは、全ての試料を溶液中の13C NMRによって特性評価した。典型的な試料調製物について、室温、ガラスバイアル中で、0.6gの乾燥材料を2.5mLのDMSO−d溶媒中に溶解させた。DMSO−d溶媒は、緩和剤として0.015M Cr(acac)を含有する。その後、特性評価のために溶液を10mmのNMR管に移動した。10mmのDUAL C/Hクライオプローブを備えるBruker Avance400MHz(H周波数)NMR分光計上に、定量的逆ゲーテッド13C NMR実験を実施した。全ての実験を、試料スピンなし、25.0℃で実行した。逆ゲーテッドパルスシーケンス中に較正された90°パルスを適用した。連続的データ取得間の緩和遅延は5*Tであり、Tは測定されるシステム中の全ての核の最長のスピン格子緩和時間である。13C NMRスペクトルを1Hzの線広がりで処理し、DMSO−d共振ピークについて39.5ppmに参照した。
【0075】
13C NMRスペクトルから得られ得る情報は、ヒドロキシル変換のパーセント、副生成物レベル、及び反応生成物の固体含量を含む。ヒドロキシル基の隣の炭素は、カルバミル化反応の後化学シフト変化を有する。ヒドロキシル変換率は、カルバミル化反応の前後の炭素のピーク強度比から計算した。定量的13C NMRスペクトルにおいて、測定されるシステムの各成分は特有の共振ピークを有し、そのピーク強度はその種のモル濃度に比例する。副生成物レベル及び固体含量は、所望のピークを積分することによって計算した。全ての種のモル重量が既知である場合、モル濃度は重量パーセンテージに変換され得る。固体含量を計算するとき、既知の溶媒以外のあらゆる成分は、固体として分類される。
【0076】
本発明は、本発明の趣旨及び本質的属性から逸脱することなく他の形態で具現化されてもよく、したがって、本発明の範囲を示すものとしては、上記明細書ではなく添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。
図1
図2