特許第6440758号(P6440758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧
特許6440758ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法
<>
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000003
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000004
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000005
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000006
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000007
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000008
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000009
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000010
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000011
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000012
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000013
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000014
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000015
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000016
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000017
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000018
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000019
  • 特許6440758-ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6440758
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】ゴルフクラブのフィッティング方法、その装置及び解析方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/00 20150101AFI20181210BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   A63B53/00 B
   A63B69/36 541W
   A63B69/36 541S
【請求項の数】13
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-53484(P2017-53484)
(22)【出願日】2017年3月17日
(62)【分割の表示】特願2011-120217(P2011-120217)の分割
【原出願日】2011年5月30日
(65)【公開番号】特開2017-104698(P2017-104698A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年4月7日
(31)【優先権主張番号】特願2010-131267(P2010-131267)
(32)【優先日】2010年6月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 宏
(72)【発明者】
【氏名】大貫 正秀
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−312734(JP,A)
【文献】 特開昭58−143777(JP,A)
【文献】 特開2006−141984(JP,A)
【文献】 特開2007−325713(JP,A)
【文献】 特開2006−289073(JP,A)
【文献】 特開2010−082430(JP,A)
【文献】 特開2006−247023(JP,A)
【文献】 特開2011−000425(JP,A)
【文献】 特開2011−130933(JP,A)
【文献】 特開2010−155074(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0111197(US,A1)
【文献】 米国特許第04558863(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00
A63B 69/00 − 69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト物性の値が異なる複数のゴルフクラブを用いて、複数のゴルファーがスイングしたときのボールインパクト前又はボールインパクトでのフェース角とシャフト物性との関係式F12を準備するステップと、
テストクラブを被験者が打球して、フェース角の測定結果を得るステップと、
上記関係式F12と上記フェース角の測定結果とに基づいて、上記被験者に適合したシャフト物性を判断するステップと、
を含み、
上記ボールインパクト前とは、ボールの中心を通る鉛直線とフェース面との距離が10cm以内であり、
打球結果と上記フェース角との関係式がF11とされるとき、
上記関係式F12が、上記関係式F11を用いて作成されており、
シャフト物性毎に上記関係式F11が求められることで、複数の関係式F11が求められ、これら複数の関係式F11にそれぞれにおいて、上記関係式F12を作成するための座標点を得るとともに、これらの座標点は、上記関係式F11において打球結果が良好になるように選択されており、
上記良好な打球結果とは、ボールの飛ぶ左右方向については左右ズレがゼロに近いことを意味し、飛距離については飛距離が大きいことを意味するゴルフクラブのフィッティング方法。
【請求項2】
上記関係式F12が、測定される上記フェース角が大きいほど推奨されるシャフト調子が先調子となるような関係式である請求項に記載のフィッティング方法。
【請求項3】
上記関係式F12には、標準シャフト調子率Thにおける好ましい打球結果が反映されており、
上記好ましい打球結果とは、ボールの飛ぶ左右方向については左右ズレがゼロに近いことを意味し、飛距離については飛距離が大きいことを意味する請求項1又は2に記載のフィッティング方法。
【請求項4】
上記関係式F12では、2種以上の打球結果が考慮されている請求項1から3のいずれかに記載のフィッティング方法。
【請求項5】
上記関係式F12が、第1の打球結果に基づく関係式を、第2の打球結果に基づいて修正して作成されている請求項に記載のフィッティング方法。
【請求項6】
上記第2の打球結果に基づく修正が、
標準シャフト調子率Thにおいて上記第2の打球結果が好ましくなるような修正であり、
上記第2の打球結果が好ましくなるような修正とは、ボールの飛ぶ左右方向については左右ズレがゼロに近づくような修正を意味し、飛距離については飛距離が大きくなるような修正を意味する請求項に記載のフィッティング方法。
【請求項7】
上記第1の打球結果が、打撃されたボールの方向であり、
上記第2の打球結果が、飛距離である請求項又はに記載のフィッティング方法。
【請求項8】
上記関係式F12では、
測定された上記フェース角が第1の入力変数とされ、
上記テストクラブのシャフト調子率と標準シャフト調子率Thとの関係を示す値が第2の入力変数とされ、
上記被験者に適合する上記シャフト調子率が結果変数とされている請求項からのいずれかに記載のフィッティング方法。
【請求項9】
上記関係式F11及び/又は関係式F12が一次式である請求項からのいずれかに記載のフィッティング方法。
【請求項10】
上記関係式F11における上記打球結果が、ボールの飛ぶ左右方向である請求項からのいずれかに記載のフィッティング方法。
【請求項11】
上記それぞれのゴルフクラブにおけるシャフト調子率Yについて、ボールの飛ぶ方向とフェース角との関係式F11が複数求められ、シャフト調子率Y毎の関係式F11のそれぞれにおいて、ボールの飛ぶ方向の絶対値が0になるフェース角の値Xが求められ、これらのシャフト調子率Yとフェース角の値Xとの関係を満たす以下の近似式が求められており、この近似式が、上記関係式F12である請求項から10のいずれかに記載のフィッティング方法。
Y = A1・X + B
ただし、この式において、係数A1及び切片Bは定数である。
【請求項12】
上記関係式F11が、最小二乗法による回帰分析により求められている請求項11に記載のフィッティング方法。
【請求項13】
上記複数の関係式F11に基づいて、標準シャフト調子率Thにおける飛距離が好ましくなるように上記切片Bが修正されることで、修正された上記関係式F12が得られ
上記飛距離が好ましくなるような修正とは、飛距離が大きくなるような修正を意味す
る請求項11又は12に記載のフィッティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブのフィッティングに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルファーに適合するゴルフクラブの選定は、フィッティングと称される。ゴルファーにゴルフクラブをフィッティングする者はフィッターと称される。このフィッティングに、ゴルフクラブのシャフトの物性は大きく影響する。
【0003】
例えば、シャフトの物性の一つとしてフレックスがある。このフレックスは、シャフトの硬さを表す。一般に、このフレックスは、ヘッド速度の大小で、適合する硬さが推奨されている。ヘッドの速度が比較的に遅いゴルファーには、撓みやすいシャフトが勧められる。ヘッドの速度が比較的に速いゴルファーには、硬いシャフトが勧められる。しかし、このフレックスは、統一した規格はなく、メーカ毎に異なる基準で定められている。適合するフレックスの値の選定は、フィッターの経験と勘に頼ることが多い。
【0004】
他のシャフトの物性として、調子、トルク及び重量が例示される。調子、トルク及び重量についても、フィッターの経験と勘とに頼らざるを得ない。フィッターによるフィッティングは、フィッターの主観によるバラツキ等を含んでいる。この様なフィッティングは、フィッターが異なれば選定されるゴルフクラブも異なることにもなる。
【0005】
そこで、ゴルファーのスイングを計測し、その計測結果からフィッティングを行うことが提案されている。例えば、特許第3061640号公報では、スイングのタイミングが計測される。この計測されたタイミングに基づいて、適合するシャフトが推奨されている。特許第4184363号公報では、ボールインパクト前のヘッドの速度とグリップ部の速度が計測される。このヘッドの速度とグリップ部の速度とに基づいて、適合するシャフトが推奨されている。これらの方法によれば、客観的にフィッティングされうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3061640号公報
【特許文献2】特許第4184363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの方法は、ゴルフクラブの打球結果とフィッティングとの関係が不明確なままである。スイングのタイミングに基づくフィッティングにしても、ヘッドの速度とグリップ部の速度とに基づくフィッティングにしても、ボールの飛距離、飛ぶ方向等との関係は明確になっていない。この関係が不明確なことは、ゴルフクラブのフィッティングがされても、飛距離、飛ぶ方向等が改善されない一つの要因と考えられる。
【0008】
本発明の目的は、ゴルフクラブの打球結果と関係する指標を決定する解析方法を提供することである。更に、本発明の目的は、この指標を用いた、ゴルフクラブのフィッティング方法及びフィッティング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るゴルフクラブのフィッティング方法は、
シャフト物性の値が異なる複数のゴルフクラブを用いて、複数のゴルファーがスイングしたときのボールインパクト前又はボールインパクトでのフェース角と打球結果とが考慮された関係C1を準備するステップと、
テストクラブを被験者(ゴルファー)が打球して、フェース角の測定結果を得るステップと、上記関係C1と上記フェース角の測定結果とに基づいて、上記被験者に適合したシャフト物性を判断するステップとを含んでいる。
【0010】
好ましくは、上記関係C1は、関係式F1である。
【0011】
好ましくは、上記打球結果と上記フェース角との関係式がF11とされ、上記フェース角と上記シャフト物性との関係式がF12とされるとき、上記関係式F1が、上記関係式F11を用いて作成された上記関係式F12である。
【0012】
好ましくは、上記関係式F12が、測定される上記フェース角が大きいほど推奨されるシャフト調子が先調子となるような関係式である。
【0013】
好ましくは、上記関係式F12には、標準シャフト調子Thにおける好ましい打球結果が反映されている。
【0014】
好ましくは、上記関係式F12では、2種以上の打球結果が考慮されている。
【0015】
好ましくは、上記関係式F12が、第1の打球結果に基づく関係式を、第2の打球結果に基づいて修正して作成されている。
【0016】
好ましくは、上記第2の打球結果に基づく修正が、標準シャフト調子Thにおいて上記第2の打球結果が好ましくなるような修正である。
【0017】
好ましくは、上記第1の打球結果が、打撃されたボールの方向であり、上記第2の打球結果が、飛距離である。
【0018】
好ましくは、上記関係式F12では、測定された上記フェース角が第1の入力変数とされ、上記テストクラブのシャフト調子率と標準シャフト調子Thとの関係を示す値が第2の入力変数とされ、上記被験者に適合する上記シャフト調子率が結果変数とされている。
【0019】
好ましくは、このフィッティング方法では、上記シャフト物性は、シャフトの調子である。好ましくは、上記関係式F11及び/又は上記関係式F12)が一次式である。好ましくは、上記関係式F11における上記打球結果が、ボールの飛ぶ左右方向である。
【0020】
本発明にかかるゴルフクラブのフィッティング方法は、シャフト物性の値が異なる複数のゴルフクラブを用いて、複数のゴルファーの計測データと打球結果とが取得されるステップと、
この計測データに基づいて特徴値が得られるステップと、
この特徴値とこの打球結果とからゴルフクラブのシャフトを選定するための指標が決定されるステップと、このシャフト物性の値毎にこの指標とこの打球結果との関係式F1(関係式F11)が得られるステップと、テストクラブを被験者(ゴルファー)が打球して、この指標に相当する測定結果を得るステップと、上記関係式F1(関係式F11)と上記測定結果とに基づいて、上記被験者に適合したシャフト物性を判断するステップとを含んでいる。この複数の計測データと打球結果とが取得されるステップでは、ゴルファーのスイング及びこのスイングの打球から複数の測定データが得られている。この指標が決定されるステップでは、この打球結果が目的変数とされ、この特徴値とこのシャフト物性の値とが説明変数とされ、この特徴値がこの打球結果と統計上の有意な関係にあるとき、この特徴値がこの指標に決定されている。
【0021】
好ましくは、このフィッティング方法の上記指標が決定されるステップでは、複数の指標が決定されている。このフィッティング方法は、この複数の指標から求められたシャフト物性の値の正解率が算出されるステップと、この正解率に基づいて、ゴルフクラブのフィッティングに用いられる指標が選択されるステップとを備えている。 このシャフト物性の値の正解率が算出されるステップでは、この指標とこの打球結果との関係式F1(関係式F11)に基づいて適合するシャフトの値Xaが選定されている。上記スイングから得られる打球結果の値に基づいて適合するシャフトの値Xbが求められている。この値Xaと値Xbとが一致するゴルファーの比率が算出されている。この比率が正解率とされている。ゴルフクラブのフィッティングに用いられる指標が選択されるステップでは、この正解率が最も高い指標がフィッティングに用いられる指標に選択されている。
【0022】
好ましくは、このフィッティング方法では、上記打球結果がボールの飛距離である。上記シャフト物性がシャフトの調子である。上記特徴値がボールインパクト前又はボールインパクトでのフェース角である。
【0023】
好ましくは、このフィッティング方法では、上記打球結果がボールの飛ぶ左右方向である。上記シャフト物性がシャフトの調子である。上記特徴値がボールインパクト前又はボールインパクトでのフェース角である。
【0024】
好ましくは、このフィッティング方法では、上記それぞれのシャフトの調子の値Yについて、ボールの飛ぶ方向の絶対値が0になるフェース角の値Xが求められている。複数のシャフトそれぞれの調子の値Yとフェース角の値Xとの関係を満たす以下の近似式が求められている。好ましくは、この近似式が、上記関係式F1(関係式F12)である。
Y = A1・X + B (係数A1及び切片Bは、定数)
【0025】
好ましくは、このフィッティング方法では、ボールの飛距離とフェース角の値との関係に基づいて切片Bが修正されている。
【0026】
本発明にかかるゴルフクラブのフィッティング装置は、被験者(ゴルファー)のスイング及びこのスイングの打球から計測データを取得する画像撮影部若しくはセンサーと、演算部とを備えている。この演算部が計測データから得られる指標に基づき適合するシャフト物性を判断している。このシャフト物性の判断では、このゴルフクラブの打球結果が目的変数とされ、計測データから得られる特徴値とこのシャフト物性の値とが説明変数とされ、この特徴値がこの打球結果と統計上の有意な関係にあるときに、この特徴値が指標とされている。この指標と打球結果との関係式F1(関係式F11)がシャフト物性の値毎に算出されている。この指標とこの関係式F1(関係式F11)とから打球結果が求められており、この打球結果が最もよいシャフト物性が適合するシャフト物性と判断されている。
【0027】
本発明にかかるゴルフクラブのスイングの解析方法は、シャフト物性の値が異なる複数のゴルフクラブを用いて、複数のゴルファーの計測データと打球結果とが取得されるステップと、この計測データに基づいて特徴値が得られるステップと、この特徴値とこの打球結果とからゴルフクラブのシャフトを選定するための指標が決定されるステップと、このシャフト物性の値毎にこの指標とこの打球結果との関係式F1(関係式F11)が得られるステップとを含んでいる。この複数の計測データと打球結果とが取得されるステップでは、ゴルファーのスイング及びこのスイングの打球から複数の測定データが得られている。この指標が決定されるステップでは、この打球結果が目的変数とされ、この特徴値とこのシャフト物性の値とが説明変数とされ、この特徴値がこの打球結果と統計上の有意な関係にあるとき、この特徴値がこの指標に決定されている。
【0028】
好ましくは、この解析方法の上記指標が決定されるステップでは、複数の指標が決定されている。この解析方法は、この複数の指標から求められたシャフト物性の値の正解率が算出されるステップと、ゴルフクラブのフィッティングに用いられる指標が選択されるステップとを備えている。このシャフト物性の値の正解率が算出されるステップでは、この指標とこの打球結果との関係式F1(関係式F11)に基づいて適合するシャフトの値Xaが選定されている。上記スイングから得られる打球結果の値に基づいて適合するシャフトの値Xbが求められている。この値Xaと値Xbとが一致するゴルファーの比率が算出されている。この比率が正解率とされている。ゴルフクラブのフィッティングに用いられる指標が選択されるステップでは、この正解率が最も高い指標がフィッティングに用いられる指標に選択されている。
【0029】
好ましくは、この解析方法では、上記打球結果がボールの飛距離である。上記シャフト物性がシャフトの調子である。上記特徴値がボールインパクト前又はボールインパクトでのフェース角である。
【0030】
好ましくは、この解析方法では、上記打球結果がボールの飛ぶ左右方向である。上記シャフト物性がシャフトの調子である。上記特徴値がボールインパクト前又はボールインパクトでのフェース角である。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る解析方法によれば、打球結果を向上させるために、適合した指標を特定しうる。本発明に係るフィッティング方法又は装置によれば、この指標により、打球結果を向上させるゴルフクラブが適切にフィッティングされうる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明に係る実施形態のフィッティング装置の構成が示された概略図である。
図2図2は、図1のフィッティング装置を構成する情報処理装置のシステム構成が示された説明図である。
図3図3は、図1のフィッティング装置で用いられるゴルフクラブの正面図である。
図4図4は、スイングポジションの説明図である。
図5図5は、本発明にかかるフィッティング方法の一例が示されたフローチャートである。
図6図6は、左右ズレが小さくなるときの調子率とフェース角との関係が示されたグラフである。
図7図7は、本発明に係る実施形態のスイング解析装置の構成が示された概略図である。
図8図8は、本発明に係る解析方法の一例が示されたフローチャートである。
図9図9は、本発明に係る解析方法の他の例が示されたフローチャートである。
図10図10は、ボールの飛ぶ方向である左右ズレとフェース角との関係が示されたグラフである。
図11図11は、調子の値毎に左右ズレとフェース角との関係が示されたグラフである。
図12図12は、左右ズレが小さくなるときの調子率とフェース角との他の関係が示されたグラフである。
図13図13は、調子の値毎にフェース角と飛距離比率との関係が示されたグラフである。
図14図14は、第1の打球結果に基づく関係式F1(関係式F12)を、第2の打球結果に基づいて修正する方法の一例が示されたフローチャートである。
図15図15は、第2の打球結果に基づく修正方法の一例が示されたフローチャートである。
図16図16(a)は順式フレックスの測定方法の説明図であり、図16(b)は逆式フレックスの測定方法の説明図である。
図17図17は、調子の値毎にフェース角と飛距離との関係が示されたグラフである。
図18図18は、調子の値毎に他の指標と飛距離との関係が示されたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本願では、関係C1、関係C11及び関係C12との概念が用いられる。更に本願では、関係式F1、関係式F11及び関係式F12との概念が用いられる。
【0034】
関係C1は、指標と打球結果とが考慮された関係である。好ましい関係C1は、フェース角と打球結果とが考慮された関係である。関係C1は、式であってもよいし、式でなくてもよい。
【0035】
関係C11は、関係C1の下位概念である。関係C11は、打球結果と指標との関係である。好ましくは、関係C11は、打球結果とフェース角との関係である。関係C11は、式であってもよいし、式でなくてもよい。
【0036】
関係C12は、関係C1の下位概念である。関係C12は、シャフト物性と指標との関係である。好ましくは、関係C12は、シャフト物性とフェース角との関係である。関係C12は、式であってもよいし、式でなくてもよい。
【0037】
関係式F1は、関係C1の下位概念である。関係C1のうち、「式」に限定された関係が、関係式F1である。
【0038】
関係式F11は、関係式F1の下位概念である。関係式F11は、打球結果と指標との関係式である。好ましくは、関係式F11は、打球結果とフェース角との関係式である。
【0039】
関係式F11は、関係C11の下位概念でもある。
【0040】
関係式F12は、関係式F1の下位概念である。関係式F12は、シャフト物性と指標との関係式である。好ましくは、関係式F12は、シャフト物性とフェース角との関係式である。
【0041】
関係式F12は、関係C12の下位概念でもある。
【0042】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0043】
図1には、例として右打ちのゴルファーに使用されるゴルフクラブのフィッティング装置2が示されている。このフィッティング装置2は、画像撮影部としての正面カメラ4及び上方カメラ6と、センサー8と、制御装置10と、演算部としての情報処理装置12とを備えている。センサー8は、発光器14及び受光器16を備えている。
【0044】
正面カメラ4は、スイングするゴルファーの正面に位置する。正面カメラ4は、ゴルファーの正面からスイング画像を撮影しうる、位置及び向きに配置されている。上方カメラ6は、ボール34が置かれる位置の上方に位置する。上方カメラ6は、ゴルファーの上方からスイング画像を撮影しうる、位置及び向きに配置されている。正面カメラ4及び上方カメラ6としては、CCDカメラが例示される。この正面カメラ4及び上方カメラ6は例示である。前方から撮影しうるカメラや後方から撮影しうるカメラ等が更に備えられてもよい。この正面カメラ4や上方カメラ6に代えて、前方や後方から撮影しうるカメラが備えられてもよい。
【0045】
センサー8の発光器14は、スイングするゴルファーの正面に位置する。受光器16は、スイングするゴルファーの足元に位置する。発光器14と受光器16とは、その間をスイングされるゴルフクラブが通過する位置に配置されている。このセンサー8は、通過するゴルフクラブのヘッド又はシャフトを検出しうる。センサー8は、このヘッド又はシャフトを検出しうる位置であればよく、前方又は後方に配置されてもよい。センサー8は、発光器14及び受光器16を備えるものに限られない。センサー8は、反射式のものであってもよい。
【0046】
制御装置10は、正面カメラ4、上方カメラ6、センサー8及び情報処理装置12に接続されている。制御装置10は、正面カメラ4及び上方カメラ6に対して撮影開始信号及び撮影停止信号を送信しうる。制御装置10は、正面カメラ4及び上方カメラ6からスイング画像の信号を受信しうる。制御装置10は、センサー8からヘッド又はシャフトの検出信号を受信しうる。制御装置10は、スイング画像の信号及びヘッド又はシャフトの検出信号を情報処理装置12に出力しうる。
【0047】
図1及び図2に示すように、情報処理装置12は、情報入力部18としてのキーボード20及びマウス22と、出力部としてのディスプレイ24と、データ入力部としてのインターフェースボード26と、メモリ28と、CPU30と、ハードディスク32とを備えている。情報処理装置12は、汎用のコンピューターがそのまま用いられてもよい。
【0048】
ディスプレイ24は、CPU30に制御されている。ディスプレイ24は、各種の情報を表示する。出力部は、フィッティングされたシャフト、ゴルフクラブやスイングの計測データ等のフィッティング情報を表示するものであればよい。出力部は、ディスプレイ24に限られず、例えば、プリンターが用いられてもよい。
【0049】
インターフェースボード26には、スイング画像の信号及びヘッド又はシャフトの検出信号等が入力される。この画像の信号や検出信号から計測データが得られる。この計測データは、CPU30に出力される。
【0050】
メモリ28は、書き換え可能なメモリである。ハードディスク32は、プログラムやデータ等を記憶している。例えば、複数のシャフトの物性の値がデータベースとして記憶されている。具体的には、例えば、物性の値毎に指標と打球結果との関係を表すデータや式等が記憶されている。メモリ28は、ハードディスク32から読み出されたプログラムや計測データ等の格納領域や作業領域等を構成する。
【0051】
CPU30は、ハードディスク32に記憶されているプログラムを読み出しうる。CPU30は、そのプログラムをメモリ28の作業領域に展開しうる。CPU30は、そのプログラムに従って各種の処理を実行しうる。
【0052】
図3に示されたゴルフクラブ36は、フィッティング装置2で使用されるゴルフクラブの一例である。後述するフィッティング方法に用いられるゴルフクラブをテストクラブと称する。このゴルフクラブ36は、テストクラブの一例である。このゴルフクラブ36は、ヘッド38、シャフト40及びグリップ42を備えている。
【0053】
図4は、ゴルファーがゴルフクラブ36でスイングする各ポジションを示している。図4(a)のポジションは、アドレスである。図4(b)のポジションは、トップオブスイング(以下、トップという。)である。図4(c)のポジションは、インパクトである。インパクトは、ヘッド38とボール34とが衝突する瞬間のポジションである。図4(d)のポジションは、フィニッシュである。ゴルファーのスイングは、アドレスからトップへ、トップからインパクトへ、インパクトからフィニッシュへ、連続的に移行する。このフィニッシュで、スイングが終了する。
【0054】
図5は、本発明に係るゴルフクラブのフィッティング方法の手順の一例を示している。この打球結果として、ボールの飛距離又はボールの飛ぶ左右上下方向が例示される。この図5が参照されて、打球結果としてボール34の飛距離を例示して説明がされる。シャフト物性として、シャフトの調子を例示して説明がされる。このシャフトの調子の値は、先調子、中調子及び元調子である。指標である特徴値として、インパクト前又はインパクトでのフェース角を例示して説明がされる。このインパクト前とは、ティーの中心線とヘッド38のフェース面とが予め定められた所定の距離にあるときをいう。この例では、インパクト前とは、ティーの中心線とヘッド38のフェース面との距離が3cmであるときをいう。ティーを使用しない場合には、ティーの中心線に代えて、ボール34の中心を通る鉛直線を用いればよい。好ましくは、インパクト前とは、ボールの中心を通る鉛直線とフェース面との距離が10cm以内であり、より好ましくは、5cm以内である。
【0055】
フェース角は、好ましくは、打点におけるフェースの向きである。フェースにバルジが付与されている場合、フェースの向きは、好ましくは、打点における接線によって判断される。インパクト前においては打点は確定していないが、ヘッドの軌道等に基づき、打点を予測することは可能である。
【0056】
インパクトにおける画像が得られる場合、その画像から、フェース角が測定されうる。ただし、インパクトにおける画像を得るのは困難な場合がある。測定の容易性の観点からは、上記の通り、インパクト前におけるフェース角が測定されるのが好ましい。
【0057】
フェース角は、フェース面の画像に基づいて測定される。ただし、フェース面の画像に代えて、クラウンに設けられたマーカーの画像が用いられてもよい。このマーカーは、例えば、クラウンとフェース面との境界線に沿ったラインである。このマーカーの他の例は、クラウンとフェース面との境界線に沿った2つ以上の点である。上方からカメラで撮影された映像において、上記マーカーの画像に基づき、フェース角が算出されうる。
【0058】
図1の情報処理装置12には、シャフトの調子の値、飛距離及びインパクト前のフェース角のデータベースが作成されている。このデータベースのデータは、後述する解析方法により得られている。これは、データベースの作成ステップ(STEP1)である。この情報処理装置12に、ヘッド38及びシャフト40を特定する情報が入力されている。このヘッド38及びシャフト40を特定する情報は、フィッティングするときに、キーボード20から入力されてもよい。このヘッド38やシャフト40を特定する情報は、ディスプレイ24に表示される複数の情報からマウス22により選択されてもよい。
【0059】
図3のゴルフクラブ36が準備される。これは、テストクラブの準備ステップである(STEP2)。このゴルフクラブ36のシャフト40の調子の値は、例えば中調子である。準備されるゴルフクラブは、いずれかの調子の値のシャフトを備えればよい。シャフトの調子の値は、元調子又は先調子であってもよい。
【0060】
ゴルファーのスイング画像が撮影される。これは、スイング撮影ステップである(STEP3)。ゴルファーは、フィッティング装置2で、アドレスのポジションをとる。ゴルファーがスイングする。ゴルファーがゴルフクラブ36でボール34を打つ。トップからインパクトに移行するときに、センサー8がヘッド38又はシャフト40を検知する。この検知信号が制御装置10に出力される。
【0061】
制御装置10は、この検知信号及びスイング画像信号を情報処理装置12に出力する。情報処理装置12は、これらの信号から計測データを取得する。これは、計測データの取得ステップである(STEP4)。
【0062】
このステップ(STEP4)では、複数のスイング画像信号が抽出されてもよい。複数のスイング画像信号がそれぞれ計測データに変換されてもよい。情報処理装置12は、画像を特定する情報により、複数の計測データからフィッティングに用いる計測データを決定してもよい。
【0063】
情報処理装置12は、計測データからこのフェース角の値を算出する。これは、指標の取得ステップである(STEP5)。この指標の決定方法は、後に説明される。このフィッティング方法では、被験者(ゴルファー)がテストクラブを打球してフェース角の測定結果を得るステップは、この(STEP2)から(STEP5)から構成されている。
【0064】
この指標としては、インパクト前又はインパクトでのフェース角の他に、ボール34の速度、ボール34のスピン量、ボール34のスピン向き、ボール34の上下左右打出角、上下及びトウヒール打点位置、ゴルフクラブのヘッド速度、このヘッド38の入射角、ヘッド38のブロー角、ロフト角、ゴルファーのスイング面角度、肩の捻り角及びスイング方向移動量が例示される。ボール34の移動及びゴルファーのスイングの動き等の計測データから指標が得られてもよい。この計測データはセンサーの信号から得られてもよい。
【0065】
情報処理装置12は、適合するシャフトを選定する。これは、適合シャフトの選定ステップである(STEP6)。具体的には、後述する解析方法により、ボール34の飛距離とシャフトの調子の値とフェース角との関係が求められている。この関係に基づき、シャフトの調子の値毎に、飛距離とフェース角との関係式F1(関係式F11)が記憶されている。これは、シャフト物性の値が異なる複数のゴルフクラブを用いて、ゴルファーがスイングしたときのボールインパクト前のフェース角と打球結果との関係式F1(関係式F11)を得るステップの一例である。
【0066】
この関係式F1(関係式F11)に基づき、ゴルファーから得られたフェース角の値から最も飛距離が大きくなるシャフトの調子の値が求められる。このシャフトの調子の値が適合するシャフト物性の値である。このフィッティング方法では、関係式F1(関係式F11)とフェース角の測定結果とに基づいて被験者に適合したシャフト物性を判断するステップは、この(STEP6)である。このシャフトの選定は、この適合するシャフト物性の値に基づいてされる。シャフト物性としては、シャフトの調子の他、フレックス、トルク又は重量が例示される。
【0067】
情報処理装置12は、シャフト物性の値に基づき、そのシャフトを備えるゴルフクラブを選定する。これは、適合ゴルフクラブの選定ステップである(STEP7)。ディスプレイ24には、ゴルファーを特定する情報、指標の値としてのフェース角及び適合するゴルフクラブ等のフィッティング情報が表示される。これらの情報は、図示されないが、出力部としてのプリンターにより印刷されてもよい。
【0068】
この(STEP6)で求められたシャフトの調子に基づいて、更に、最も適合するシャフト物性が求められてもよい。この適合すると判断された調子の値に近く、互いに調子の値の異なるシャフトを備えたゴルフクラブが複数本用意される。この調子の異なるシャフトを備えたゴルフクラブで、被験者に試打させる。その試打から、最も打球結果がよい調子の値が、最適の調子の値に決定されてもよい。
【0069】
また、この適合すると判断された調子の値で、他のシャフト物性(フレックス、トルク又は重量)が互い異なるシャフトを備えたゴルフクラブが複数本用意されてもよい。これらのゴルフクラブで、被験者に試打させる。その試打から、最も打球結果がよいシャフト(ゴルフクラブ)が、最適のシャフト(ゴルフクラブ)に決定されてもよい。
【0070】
この実施形態では、ボール34の飛距離とインパクト前のフェース角との関係を用いて、被験者に適合したシャフト物性が判断される。上記関係式F1は、インパクト前のフェース角と飛距離との関係式F11である。
【0071】
このフィッティング方法の打球結果として、ボール34の飛ぶ左右方向(以下、単に左右ズレという)を例示して説明がされる。ここでは、前述のフィッティング方法と異なる構成が主に説明される。同様の構成については、その説明が省略される。
【0072】
この左右ズレは、角度で示される。ボールが真っ直ぐに打ち出されたとき、左右ズレは角度0度とされる。左向きにずれて打ち出されたときマイナス表示され、そのずれの大きさが角度で示される。右向きにずれて打ち出されたときプラス表示され、そのずれの大きさが角度で示される。
【0073】
図1の情報処理装置12には、シャフトの調子の値、左右ズレ及びインパクト前のフェース角のデータベースが作成されている。これは、データベースの作成ステップ(STEP1)である。この情報処理装置12に、ヘッド38及びシャフト40を特定する情報が入力されている。
【0074】
図3のゴルフクラブ36が準備される。これは、テストクラブの準備ステップである(STEP2)。ゴルファーのスイング画像が撮影される。これは、スイング撮影ステップである(STEP3)。制御装置10は、この検知信号及びスイング画像信号を情報処理装置12に出力する。情報処理装置12は、これらの信号から計測データを取得する。これは、計測データの取得ステップである(STEP4)。情報処理装置12は、計測データからこのフェース角の値を算出する。これは、指標の取得ステップである(STEP5)。
【0075】
情報処理装置12は、適合するシャフトを選定する。これは、適合シャフトの選定ステップである(STEP6)。具体的には、後述する解析方法により、ボール34の左右ズレとシャフトの調子の値とフェース角との関係が求められている。この関係に基づき、シャフトの調子の値毎に、左右ズレとフェース角との関係式F1(関係式F11)が記憶されている。この関係式F1(関係式F11)に基づき、ゴルファーから得られたフェース角の値から最も左右ズレが小さくなるシャフトの調子の値が求められる。このシャフトの調子の値が適合するシャフト物性の値である。
【0076】
情報処理装置12は、シャフト物性の値に基づき、そのシャフトを備えるゴルフクラブを選定する。これは、適合ゴルフクラブの選定ステップである(STEP7)。ディスプレイ24には、ゴルファーを特定する情報、指標の値としてのフェース角及び適合するゴルフクラブ等のフィッティング情報が表示される。
【0077】
この実施形態では、ボール34の飛ぶ左右方向とインパクト前のフェース角との関係を用いて、被験者に適合したシャフト物性が判断される。上記関係式F1(関係式F11)がインパクト前のフェース角とボール34の飛ぶ左右方向との関係式とされる。
【0078】
図6には、更に、適合シャフトの選定ステップ(STEP6)の他の一例が示されている。図6の直線L1は、左右ズレが最も小さくなる(左右ズレが0度)ときのフェース角Xと調子の値としての調子率Yとの他の関係式F1(関係式F12)を示している。この関係式F1の求め方は後述される。この関係式F1(関係式F12)は、以下の式で表される。
Y = A1・X + B (係数A1及び切片Bは定数)
【0079】
このフェース角Xの値として、ゴルファーから取得されたフェース角が与えられる。調子の値Yが算出される。シャフトの調子の値のうち、この算出された調子の値Yに最も近いものが選定される。この調子の値に基づきシャフトが選定される。また、この調子の値に基づき、シャフトがオーダーメードされてもよい。
【0080】
この関係式F1(関係式F12)は、後述する解析方法でテストクラブを用いて求められたフェース角に基づいている。フィッティングのときに、被験者がテストクラブと異なるゴルフクラブでフィッティングされる場合がある。フィッティングに用いられるゴルフクラブのシャフトの調子の値とテストクラブの調子の値とが異なる場合がある。
【0081】
被験者がテストクラブ(シャフトの調子率D1)を使用したときのフェース角XがXd1とすると、被験者に推奨される調子率Yは、この関係式F1(関係式F12)から
Y = A1・Xd1 + B
で求められる。
【0082】
しかし、フィッティングに使用されるゴルフクラブの調子率D2に変更されると、測定されるフェース角Xの値もXd2に変わる。前述の関係式F1(関係式F12)は、
Y’= A1・Xd2 + B
となる。この調子率Y’は、本来推奨される調子率Yと異なる。
【0083】
そこで、調子率Y’が調子率Yに等しくなるように、補正がされる。この補正された関係式F1(関係式F12)は、以下の式で表される。
Y = A1・X + B +(D2 − D1)
この関係式F1(関係式F12)の補正により、テストクラブと異なるゴルフクラブでも、関係式F1(関係式F12)を用いて、推奨される調子率が求められ得る。
【0084】
更に、フェース角と打球結果との関係式F1(関係式F11)として、重回帰式がを用いられてもよい。重回帰式では、1つの目的変数が複数の説明変数で表される。重回帰分析では、どの説明変数がどの程度目的変数に影響を与えるかが反映される。重回帰式では、複数の説明変数が考慮されるため、フィッティングの精度が向上し得る。重回帰式は限定されず、1次式、2次式等が例示される。
【0085】
例えば、打球結果としての飛距離比率Y1と、指標としてのフェース角X1と、シャフト物性の値としての調子の値X2とから、更に他の関係式F1(関係式F11)としての、以下の重回帰式が得られる。
Y1 = A2・X1 + A3・X2 + A4・X1・X2 + B1
(係数A2、A3、A4及び切片B1は、定数)
【0086】
この関係式F1(関係式F11)は、シャフトの調子が異なる複数のゴルフクラブを用いて、複数のゴルファーがスイングしたときのボールインパクト前のフェース角とその飛距離との関係から求められている。例えば、シャフトの調子の値は、元調子、中調子及び先調子の3種類である。
【0087】
この飛距離比率Y1は、例えば中調子における飛距離Lを基準に求められる。中調子の飛距離比率Y1はL/Lであり、1である。先調子の飛距離Laの飛距離比率Y1は、La/Lとして求められる。元調子の飛距離Lbの飛距離比率Y1は、Lb/Lとして求められる。この係数A2、A3、A4及び切片B1は、シャフトの調子とフェース角と飛距離(飛距離比率)の関係から求められる。なお、本発明において、「飛距離」は、「飛距離比率」を含む概念である。
【0088】
被験者が、テストクラブとしての中調子のシャフトを備えたゴルフクラブで打球して、フェース角の測定結果が得られる。この関係式F1(関係式F11)とこの測定結果とに基づいて、3種類のシャフトの調子の値の飛距離比率Y1が求められる。この飛距離比率Y1が最も大きい調子の値が、被験者に適合したシャフト物性とされる。
【0089】
図7は、スイング解析装置44を示している。スイング解析装置44は、正面カメラ4、上方カメラ6、センサー8、制御装置46及び演算部としての情報処理装置48を備えている。この正面カメラ4、上方カメラ6及びセンサー8は、フィッティング装置2と同様であり、その説明が省略される。
【0090】
制御装置46は、制御装置10と同様に、正面カメラ4及び上方カメラ6を制御する。制御装置46は、制御装置10と同様に、センサー8からヘッド38又はシャフト40の検出信号を受信する。この制御装置46として、制御装置10が兼用されてもよい。
【0091】
情報処理装置48は、情報処理装置12と同様に、情報入力部18としてのキーボード20及びマウス22と、出力部としてのディスプレイ24と、データ入力部としてのインターフェースボード26と、メモリ28と、CPU30と、ハードディスク32とを備えている。情報処理装置48は、汎用のコンピューターがそのまま用いられてもよい。情報処理装置48として、情報処理装置12が兼用されてもよい。
【0092】
図8は、本発明に係るゴルフクラブのフィッティングの解析方法の一例の手順を示している。ここでの解析方法では、ボール34の飛距離を打球結果として、適合するシャフトの調子の値を決定するための指標が求められる。
【0093】
シャフトの調子の値が異なる複数のゴルフクラブが準備される(STEP1)。具体的には、中調子のシャフト40にヘッド38が取り付けられたゴルフクラブ36と、先調子のシャフトにヘッド38が取り付けられたゴルフクラブAと、元調子のシャフトにヘッド38が取り付けられたゴルフクラブBとが準備される。ここでは、3種類のゴルフクラブが準備されたが、ゴルフクラブの種類数は、2種類、4種類、5種類であってもよい。ゴルフクラブの種類数は、2種類以上の複数種類であればよい。
【0094】
複数のゴルフクラブで、ゴルファーのスイング画像が撮影される。これは、スイング撮影ステップである(STEP2)。このスイングのボール34の飛距離が計測される。
【0095】
制御装置46は、これらスイング画像信号を情報処理装置48に出力する。情報処理装置48は、この画像信号に基づき計測データを取得する。情報処理装置48には、操作入力部18、例えばキーボード20により、ボール34の飛距離のデータが入力される。情報処理装置48は、この計測データと対応するボール34の飛距離データとを記憶する。これは、計測データの取得ステップである(STEP3)。
【0096】
情報処理装置48は、記憶した計測データから、特徴値を算出する(STEP4)。特徴値は、計測データ毎に対応させて記憶される。この特徴値としては、インパクト前のフェース角、ボール34の速度、ボール34のスピン量、ボール34のスピン向き、ボール34の上下左右打出角、上下トウヒールの打点位置、ゴルフクラブのヘッド速度、このヘッド38の入射角、ヘッド38のブロー角、ボールインパクト前のフェース角、ロフト角、ゴルファーのスイング面角度、肩の捻り角又はスイング方向移動量のそれぞれの値が例示される。
【0097】
ゴルファーは、N回スイングする(Nは、1以上の自然数)。ゴルファーが、ゴルフクラブ36でN回ボール34を打つ。このゴルフクラブ36で、N回のスイング画像が撮影される。N回のスイングの画像から得られる特徴値が求められる。ここでは、このゴルフクラブ36がテストクラブとされている。この特徴値は、ゴルフクラブ36で取得された計測データから算出される。例えば、この特徴値は、N回の計測データから得られる計測データの平均値から算出される。ゴルファー毎に、ゴルフクラブ36で、N回の飛距離の平均としての飛距離が求められる。
【0098】
同様にして、ゴルフクラブA及びゴルフクラブBそれぞれで、(STEP2)から(STEP4)の工程が繰り返される(STEP5)。更に、複数のゴルファーから同様にして(STEP2)から(STEP5)の工程が繰り返される(STEP6)。このようにして、複数人のゴルファーのスイング画像から計測データ及び特徴値が得られる。スイングするゴルファーは、ほぼ一定のスイングを繰り返す上級者である。
【0099】
情報処理装置48は、データベースに、調子の値と、特徴値と、ボール34の飛距離とを記憶している。情報処理装置48は、記憶された特徴値から任意の特徴値を抽出する。
【0100】
情報処理装置48は、この特徴値とシャフトの物性の値とを説明変数としてボール34の飛距離を目的変数としたときに、統計上有意な関係にあるか否かを判定する。統計上の有意な関係があれば、指標の一つに決定される(STEP7)。
【0101】
例えば、抽出した特徴値がゴルフクラブ36でスイングしたときのインパクト前のフェース角であり、シャフトの物性の値が先調子、中調子及び元調子である。このとき、飛距離比率Y1、フェース角平均X1及び物性の値X2として、更に他の関係式F1(関係式F11)の一例として、重回帰分析により関数が求められる。最小二乗法により以下の関数が求められる。
Y1 = A2・X1 + A3・X2 + A4・X1・X2 + B1
(係数A2、A3、A4及び切片B1は、定数)
【0102】
ここでは、ゴルフクラブ36における飛距離Lに対するそれぞれのゴルフクラブの飛距離比率Y1が求められている。ゴルフクラブ36の飛距離比率Y1は1である。ゴルフクラブAの飛距離Laの飛距離比率Y1は、La/Lとして求められる。ゴルフクラブBの飛距離Lbの飛距離比率Y1は、Lb/Lとして求められる。この飛距離比率Y1が縦軸にされる。これにより、個人差による飛距離の差の影響が抑制されている。
【0103】
この関係式F1(関係式F11)から、統計上の有意な関係があると判定されたフェース角は、指標の一つに決定される。この指標は、情報処理装置12に記憶される。同様にして、(STEP4)で求められた全ての特徴値が指標に該当する否かが判定される(STEP8)。この様にして、複数の指標が求められる。この複数の指標が、情報処理装置12に記憶される。
【0104】
この重回帰分析により求められる関係式F1(関係式F11)は、以下に示されるように、一次関数として求められてもよい。
Y1 = A5・X1 + A6・X2 + B2
(係数A5、A6及び切片B2は、定数)
【0105】
この複数の指標から任意の指標が選定されうる。この選定された指標により、ゴルフクラブのフィッティングがされうる。これらの指標から複数の指標を組み合わせて、ゴルフクラブのフィッテイングがされてもよい。
【0106】
有意な関係にある特徴値を指標として用いることで、このフィッティング方法は、打球結果を向上させるフィッティングを実現しうる。この指標を用いることで、フィッティング装置2は、容易に打球結果を向上させるフィッティングを実現しうる。このフィッティング方法及びフィッティング装置2では、ゴルフクラブのフィッテングが客観的にされる。
【0107】
このフィッティング方法及びフィッティング装置2では、所定の物性の値が異なる複数のシャフトで、フィッティングがされる。この物性の値は、予め定まっており、所定の方法で測定されている。このフィッティング方法は、メーカ毎に異なる規格の影響を受けない。
【0108】
ここでは、特定されたヘッド38が用いられている。これにより、ヘッド38とシャフトとの組み合わせで、ゴルファーへのフィッティングがされている。他の種類のヘッドについても、本発明に係る解析方法を適用しうる。この指標を用いたフィッティング方法は、任意に特定されたヘッドについて、最も適合するシャフトとの組み合わせを、フィッティングしうる。
【0109】
図9は、本発明に係るフィッティングの解析方法の他の一例を示している。この解析方法の(STEP1)から(STEP8)は、図8に示された解析方法と同じであり、その説明が省略される。図8に示された解析方法と異なる構成が説明される。
【0110】
図8に示された手順の(STEP7)で求められた複数の指標から任意の一の指標が抽出される(STEP9)。
【0111】
この指標から求められた物性の値の正解率が算出される(STEP10)。具体的には、抽出された指標について、それぞれのゴルファーに適合するシャフトの物性の値Xa(n)が選定される(nは、それぞれのゴルファーに対応する自然数)。この物性の値Xa(n)は、関係式F1(関係式F11)に基づいて選定される。
【0112】
記憶された飛距離データから、ゴルファー毎に飛距離平均が最も大きいゴルフクラブのシャフト物性の値Xb(n)(nは、それぞれのゴルファーに対応する自然数)が読み出される。ゴルファー毎に物性値Xa(n)と物性値Xb(n)とが比較される。物性値Xa(n)と物性値Xb(n)とが一致するとき正解と判定する。この判定の正解率として、全ゴルファーについての選定結果に対して、正解と判定された比率が求められる。
【0113】
同様にして、(STEP7)で求められた複数の指標の全ての正解率が求められる(STEP11)。全ての指標の正解率のなかから最も正解率が高い指標を選定する。この指標が、ゴルフクラブのフィッティングに用いられる指標に選定される(STEP12)。なお、この(STEP12)の指標の選定では、複数の指標の組み合わせが選定されており、その一の指標が最も正解率が高い指標である場合が含まれる。
【0114】
図9の解析方法により得られた指標を用いることで、図8の解析方法による指標よりも、フィッティングの正解率がより向上されうる。この解析方法により、適合するシャフト及び適合するシャフトとヘッドとの組み合わせのフィッティングの精度が向上されうる。
【0115】
図10には、先調子、中調子及び元調子で、複数のゴルファーがボールを打ったときのボールの左右ズレが示されている。この図10では、ゴルファーは、テストクラブであるフェース角の大きさで特定されている。このフェース角毎に、最も飛距離が大きいゴルフクラブの点が他のゴルフクラブの点より大きく示されている。ゴルファー(フェース角)それぞれで、最も飛距離が大きいなるときに、他の調子のシャフトに比べて、左右ズレが小さくなる傾向が示されている。最も飛距離が大きいゴルフクラブは、左右ズレが0度に近付くように分布している。
【0116】
図11は、この図10のデータから求められている。調子の値毎にフェース角と左右ズレとの関係式F1(関係式F11)が求められている。この関係式F1(関係式F11)は、最小二乗法を用いて回帰分析により求められている。この関係式F1(関係式F11)に基づいて、ゴルファーのフェース角に対して、左右ズレが最も小さくなる調子の値が求められうる。
【0117】
ここで、図6に示した直線L1の求め方が説明される。図6の点P1は、左右ズレの角度が0度となるときの、元調子(調子率44%)とフェース角との組み合わせを示している。同様に、点P2は、左右ズレの角度が0度となるときの、中調子(調子率46%)とフェース角との組み合わせを示している。点P3は、左右ズレの角度が0度となるときの、先調子(調子率48%)とフェース角との組み合わせを示している。この点P1、点P2及び点P3を通る近似の一次関数式として直線L1が求められている。ここでは、この直線L1は、この三点から最小二乗法で求められている。
【0118】
この直線L1は、シャフトの調子の値Y、フェース角の値Xとしたときに、以下の近似一次式で示される。この近似一次式も、本発明でいう関係式F1(関係式F12)の一例である。
Y = A1・X + B
(係数A1及び切片Bは、定数)
この関係式F1(関係式F12)により、フェース角から適合するシャフトの調子の値(調子率)が算出し得る。
【0119】
次に、打球結果としての左右ズレと飛距離比率との組み合わせによる解析方法が例示される。図12及び図13を用いて、左右ズレから求められた直線L1が、飛距離比率とフェース角との関係から修正される方法について説明がされる。図13では、前述の飛距離比率とフェース角との関係式F1(関係式F11)が調子の値毎に求められている。この関係式F1(関係式F11)は、最小二乗法による回帰分析により求められる。ここでは、中調子のシャフトが適するフェース角の範囲は、4.7度から7.3度の間である。このフェース角の範囲の中心値は、6.0度である。
【0120】
図12では、直線L1から直線L2が求められている。この直線L2は、直線L1と、同じ傾きA1をもっている。この直線L2は、中調子(調子率46)とフェース角6.0度の点P4を通るように切片Bの値が修正されている。直線L1に代えて、この直線L2が関係式F1(関係式F12)として用いられてもよい。
【0121】
上述の通り、一次式が採用された場合、関係式F1(関係式F12)の一例は、次の通りである。
Y = A1・X + B
好ましくは、上記関係式F1(関係式F12)が、上記フェース角と上記シャフト物性との関係式である。好ましくは、上記A1は、正の値である。好ましくは、上記関係式F1(F12)が、上記フェース角Xが大きいほど、推奨されるシャフト調子が先調子となるような関係式である。なお、フェース角Xが大きいほど、フェース角がオープンであることを意味する。右利きゴルファーの場合、正のフェース角Xは、フェースが右を向いていることを意味し、負のフェース角は、フェースが左を向いていることを意味する。
【0122】
なお、関係式F1(F12)は、一次式に限定されず、例えば、二次式及び多項式が挙げられる。近似式は、一次式に限定されず、二次式及び多項式が挙げられる。
【0123】
次に、2種の打球結果の組み合わせによるフィッティング方法が例示される。1種の打球結果が用いられる場合と比較して、2種の打球結果が用いられることで、1種の打球結果が用いられる場合と比較して、フィッティングの精度が向上しうる。ここでは、2種の打球結果として、ボールの方向と、飛距離とが用いられる。本実施形態では、ボールの方向として、左右ズレが用いられる。本実施形態では、飛距離として、飛距離比率が用いられる。飛距離比率は、飛距離の相対値である。飛距離比率に代えて、飛距離の絶対値が用いられても良い。飛距離の絶対値は、通常、ヤード又はメートルで表示される。
【0124】
この実施形態では、第1の打球結果に基づく関係式F12(直線L1)が、第2の打球結果に基づいて修正される。この修正について、前述した図12及び図13を用いて、説明がなされる。ここでは、第1の打球結果として左右ズレが採用されており、第2の打球結果として飛距離比率が採用されている。
【0125】
先ず、前述の通り、左右ズレ(第1の打球結果)に基づき、直線L1(関係式F1;関係式F12)が求められる。次に、飛距離比率(第2の打球結果)に基づき、直線L1が修正される。結果として、修正された関係式F12が得られる。この修正は、飛距離比率とフェース角との関係式F11に基づく。
【0126】
この修正では、標準シャフト調子Thにおける飛距離が考慮される。この修正は、標準シャフト調子Th(46%)において飛距離が好ましくなるような修正である。この修正により、関係式F12には、第1の打球結果(左右ズレ)に加えて、第2の打球結果(飛距離)が反映される。2種類の打球結果が反映されることで、関係式F12の信頼性が向上しうる。本実施形態では、この修正に、点P4が用いられる。
【0127】
図13は、この関係式F11を示すグラフである。この図13では、飛距離比率とフェース角との関係式F11がシャフト物性(シャフト調子率)毎に求められている。関係式F11として、3つの関係式が求められる。これらの関係式F11は、例えば、最小二乗法による回帰分析により求められる。
【0128】
ここでは、上記関係式F11に基づき、中調子のシャフトで、好ましい結果が得られている範囲が選択される。図13が示すように、本実施形態では、中調子(調子率46%)のシャフトは、フェース角が6.0度近傍である場合に、特に好ましい結果が得られている。この6.0度近傍の範囲において、中調子のシャフトは、先調子のシャフト及び元調子のシャフトと較べて、飛距離比率が高い。即ち、図13において、直線L3は、フェース角が約4.7度から約7.3度の間で、直線L4及び直線L5よりも上側にある。例えば、この好ましい範囲(約4.7度から約7.3度の間)の中から、任意の値が選択される。好ましくは、この好ましい範囲の中央値が選択される。図13の実施形態では、この中心値が6.0度である。即ち、調子率46%のシャフトにおいて、フェース角が6.0°のとき、飛距離が良好であると言える。この結果に基づき、上記点P4(6.0°,46%)が決定される。
【0129】
図12では、直線L1から直線L2が求められている。この直線L2は、直線L1と、同じ傾きA1をもっている。この直線L2では、上記点P4を通るように切片Bの値が修正されている。点P4を通るように修正することで、標準シャフト調子Th(46%)における良好な飛距離の結果を、関係式F12に反映させることができる。よって、直線L1に代えて、この直線L2が関係式F12として用いられてもよい。この直線L2は、第1の打球結果(左右ズレ)に基づいて得られた関係式F12(直線L1)を、第2の打球結果(飛距離比率)に基づいて修正して得られた関係式F12である。この修正では、中調子のシャフトにおいて上記第2の打球結果(飛距離比率)が好ましくなるように、関係式F12(直線L1)が修正されている。ここでは、標準シャフト調子Thとして、中調子が採用されている。なお、標準シャフト調子Thは、46%でなくてもよい。
【0130】
このように、この直線L2では、2種の打球結果が考慮されている。よって、関係式F12としてこの直線L2の式が採用される場合、フィッティングの精度が向上しうる。より高いフィッティング精度の観点から、3つ以上の打球結果が考慮されてもよい。
【0131】
図14及び図15は、図10から図13に係る上記実施形態を説明するためのフローチャートである。これらのフローチャートを参照しつつ、上記実施形態が、ステップごとに、説明される。
【0132】
図14が示すように、このフィッティング方法では、第1の打球結果が選択される(ステップst100)。上記実施形態では、第1の打球結果としてボールの方向(左右ズレ)が選択されている。
【0133】
次に、ステップst100で選択された第1の打球結果に基づき、関係式F1(関係式F12)が作成される(ステップst200)。上記実施形態では、このステップst200の関係式F1(関係式F12)が、上記直線L1の式である。
【0134】
次に、第2の打球結果が選択される(ステップst300)。上記実施形態では、第2の打球結果として、飛距離が選択されている。上記実施形態では、飛距離として、飛距離比率が採用されている。
【0135】
次に、第2の打球結果(飛距離比率)に基づき、上記関係式F1(関係式F12、直線L1の式)が修正される(ステップst400)。上記実施形態では、この修正された関係式F1(関係式F12)が、直線L2の式である。このようにして、修正された関係式F1(関係式F12)としての、直線L2が完成する(ステップst500)。
【0136】
図15は、上記ステップst400(修正ステップ)の詳細を示すフローチャートである。この修正ステップでは、標準シャフト調子Thが特定される(ステップst410)。上記実施形態では、標準シャフト調子Thとして、「調子率46%」が採用されている。
【0137】
次に、第2の打球結果とフェース角との関係C11が特定される(ステップst420)。上記実施形態では、この関係C11は、関係式F11である。この関係式F11は、図13のグラフで示されている。
【0138】
次に、上記関係C11(関係式F11)に基づき、関係式F1(関係式F12)が修正される(ステップst430)。上述の通り、この修正では、標準シャフト調子Thでの打球結果(第2の打球結果)が考慮される。上記実施形態では、上記関係C11(関係式F11)に基づく点P4が求められ、この点P4に基づき、直線L1の関係式F12が修正されている。この修正により、直線L2が得られている。
【0139】
このステップst400では、標準シャフト調子Th(調子率46%)において、上記第2の打球結果が好ましくなるように、上記関係式F1(関係式F12;直線L1の式)が修正されている。第2の打球結果の好ましさを関係式F1(関係式F12)に反映させる目的で、上記関係C11が用いられている。即ち、上記ステップst430では、標準シャフト調子Thにおいて、第2の打球結果(飛距離)が好ましくなるように、修正がなされている。
【0140】
以上のように、上記関係式F1(関係式F12)には、標準シャフト調子Thにおける好ましい打球結果が反映されている。この反映により、上記関係式F1(関係式F12)と好ましい打球結果との相関が高まる。よって、フィッティングの精度が向上しうる。
【0141】
上述した通り、関係式F12は一次式の他、二次式や多項式等が用いられ得る。ここでは、一次式の場合について、説明する。
【0142】
上述した通り、一次の関係式F12は、次の式1で表される。
Y = A1・X + B ・・・ (式1)
【0143】
被験者がテストクラブ(調子率D1)を使用したときのフェース角XがXd1とすると、被験者に推奨される調子率Y2は、上記(式1)に基づき、次のように求められる。
Y2 = A1・Xd1 + B
【0144】
好ましくは、この(式1)には、標準シャフト調子Thにおける好ましい打球結果が反映されている。この反映された関係式F1(関係式F12)が、以下において関係式F1pとも称される。関係式F1pの一例は、上記直線L2の式である。関係式F1pは、標準シャフト調子Thによって好適化された関係式F1(関係式F12)であると言える。よってこの関係式F1pは、テストクラブのシャフト調子率D1が標準シャフト調子Thと一致する場合に、特に良好な精度を示す。
【0145】
フィッティングの際に使用されるシャフト調子率に関わらず、この関係式F1pが用いられても良い。ただし、この関係式F1pは、前述した通り、テストクラブの調子率D1が標準シャフト調子Thと一致する場合に特に好ましい。そこで、フィッティングの際に使用されるテストクラブの調子率に基づいて、この関係式F1pが補正されるのが好ましい。
【0146】
この補正された関係式F1(関係式F12)は、以下の式2で表される。
Y = A1・X + B +(D1 − Th)・・・(式2)
【0147】
この補正された関係式F1(関係式F12)により、テストクラブの調子率D1が、標準シャフト調子Thとは異なる場合であっても、推奨されるシャフト調子が、精度良く求められ得る。
【0148】
この式2の関係式F12では、測定された上記フェース角Xが第1の入力変数とされ、上記テストクラブの調子率D1と標準シャフト調子Thとの関係を示す値(D1−Th)が第2の入力変数とされている。この式2の関係式F12では、上記被験者に適合するシャフト調子率Yが結果変数とされている。このような関係式F12により、フィッティングの際に使用されるシャフト調子率に関わらず、フィッティングの精度が高まる。
【0149】
上記式2では、テストクラブの調子率に関わらず、推奨されるシャフト調子が求められうる。したがって、任意のクラブをテストクラブとすることができ、フィッティングが容易となる。例えば、被験者(顧客)が、自分の好きなクラブをテストクラブとして用いることができる。この観点から、好ましいフィッティング方法では、上記関係式F1(F12)が、テストクラブの調子率D1を限定しない。即ち、好ましい関係式F1(F12)は、あらゆる調子率D1のテストクラブを用いて、推奨されるシャフトの調子率を算出しうる。この好ましい関係式F1(F12)の一例は、上記式2である。
【0150】
ところで、シャフト調子には統一された基準がなく、複数の基準が存在している。フィッティングの精度の観点から、基準が統一されるのが好ましい。統一された基準での測定結果が用いられることで、フィッティングの精度及び汎用性が高まる。
【0151】
フィッティングの汎用性を高める観点から、好ましいフィッティング方法は、複数種類のシャフトの調子率を、統一された基準で測定するステップXと、この統一された基準のシャフト調子率を上記関係式F11及び/又は上記関係式F12に適用して、推奨されるシャフト調子率を求めるステップYとを更に含む。この場合、上記関係式F12に含まれるシャフト調子率は、上記統一された基準のシャフト調子率である。より好ましくは、上記ステップXが、異なる基準によってシャフト調子が決定されている複数のシャフトの調子率を、上記統一された基準で測定するステップを含む。異なる基準によってシャフト調子が決定されている複数のシャフトの例としては、複数のゴルフクラブメーカーから発売されているゴルフクラブに装着されているシャフトが挙げられる。異なる基準によってシャフト調子が決定されている複数のシャフトの他の例としては、複数のシャフトメーカーから発売されているシャフトが挙げられる。この場合、本実施形態のフィッティング方法が、複数のメーカーから発売されているシャフト及びゴルフクラブに好ましく適用されうる。よって例えば、複数のメーカーから発売されているゴルフクラブが、テストクラブとして用いられうる。例えば、顧客が所有しているゴルフクラブを、そのまま、テストクラブとして用いることができる。
【0152】
好ましくは、上記統一された基準は、後述される式3によって算出される調子率である。
【0153】
本願における関係式F1として、関係式F11と関係式F12とが例示される。関係式F11及び関係式F12は、いずれも、被験者に適合したシャフト物性の判断に用いられうる。好ましい関係式F11では、フェース角と打球結果とが考慮されている。好ましい関係式F12でも、フェース角と打球結果とが考慮されている。
【0154】
好ましい関係式F11は、フェース角と打球結果との関係式である。好ましい関係式F11として、図11に示された直線Lt1、直線Lc1及び直線Lh1が例示される。他の関係式F11として、図13に示された直線L3、直線L4及び直線L5が例示される。関係式F11は、被験者に適合したシャフト物性の判断に用いられる。更に関係式F11は、上記関係C11としても用いられうる。
【0155】
好ましい関係式F12は、フェース角とシャフト物性との関係式である。ただし関係式F12においても、打球結果が考慮されている。この関係式F12として、上記式1及び上記式2が例示される。上記式1の例として、上記直線L1の式及び上記直線L2の式が挙げられる。関係式F12が用いられた場合、測定されたフェース角から、推奨されるシャフト物性を直接的に求めることができる。よって、関係式F12は、フィッティングを容易とする。
【0156】
前述された実施形態が示すように、好ましくは、複数の関係式F11を用いて、関係式F12が作成される。シャフト物性(シャフト調子)毎に関係式F11が求められることで、複数の関係式F11が求められる。これら複数の関係式F11の具体例は、図11に示された3つの直線の式である。好ましくは、複数の関係式F11に基づき、フェース角と推奨調子率との関係式F12を作成するための複数の座標点を得る。これらの座標点の例は、上記点P1、P2及びP3である(図6及び図12参照)。これらの座標点は、打球結果が良好になるように選択されている。即ち、図11が示すように、これらの点P1、P2及びP3は、各調子率のシャフトにおいて、左右ズレが良好(ゼロ)となるように、選択されている。このように、関係式F12の作成に関係式F11が用いられることで、打球結果が考慮された上記関係式F12が得られうる。この関係式F12では、フェース角(指標)を代入すれば、推奨されるシャフト物性が得られる。よって関係式F12は、利便性に優れたフィッティングを可能とする。更にこの関係式F12には打球結果が考慮されているので、良好な打球結果をもたらすようなフィッティングが実現されうる。
【0157】
一方、関係式F12を用いることなく、関係式F11を用いてフィッティング方法を行うことも可能である。例えば、このフィッティング方法は、シャフト物性(シャフト調子)毎に求められた関係式F11のそれぞれに、測定された指標(フェース角)を代入して、シャフト物性(シャフト調子)毎の打球結果を算出するステップと、このシャフト物性(シャフト調子)毎の打球結果を比較して、最も打球結果が良好であるシャフト物性(シャフト調子)を選択するステップとを含む。このフィッティング方法の具体例では、図13において3本の直線で示された3つの式のそれぞれに測定されたフェース角が代入される。これら3つの式のそれぞれは、関係式F11である。そして、この代入によって得られた3つの飛距離比率が比較される。この比較により、最も大きな飛距離比率を示す関係式F11が特定される。この特定された関係式F11におけるシャフト調子率が、推奨されるシャフト調子率とされうる。
【0158】
上記の実施形態では、上記関係式F1(関係式F11、関係式F12)が用いられた。上記関係式F1に代えて、関係C1(関係C11、関係C12)が用いられても良い。例えば、シャフト物性毎に求められた複数の上記関係C11を用いて、上記関係C12が作成されてもよい。
【0159】
上記実施形態では、関係式F1、関係式F11及び関係式F12が用いられている。しかし、「関係」は、「式」に限定されない。この観点から、上記関係式F1に代えて上記関係C1が用いられうる。また、上記関係式F11に代えて関係C11が用いられうる。また、上記関係式F12に代えて上記関係C12が用いられうる。
【0160】
よって本発明では、例えば、次のようなフィッティング方法も可能である。このフィッティング方法では、上記関係C1が上記関係C11及び上記関係C12を含んでおり、シャフト物性毎に求められた複数の上記関係C11を用いて、上記関係C12が作成されている。
【0161】
関係式ではない上記関係C12として、フェース角の範囲fと、シャフト物性の範囲hとの対応関係が例示される。この場合、測定されたフェース角が上記範囲fの範囲内にあるとき、範囲hの範囲内にあるシャフト物性を有するシャフトが推奨される。好ましくは、複数の上記範囲f(例えば、f1、f2、f3)が設定され、これらの範囲fのそれぞれに対応する複数の範囲h(例えば、h1、h2、h3)が設定される。この場合例えば、測定されたフェース角がf1の範囲にあるとき、シャフト物性がh1の範囲にあるシャフトが推奨され、測定されたフェース角がf2の範囲にあるとき、シャフト物性がh2の範囲にあるシャフトが推奨され、測定されたフェース角がf3の範囲にあるとき、シャフト物性がh3の範囲にあるシャフトが推奨される。
【0162】
関係式ではない上記関係C11として、フェース角の範囲fと、打球結果の範囲sとの対応関係が例示される。好ましくは、シャフト物性毎に関係C11が求められる。好ましくは、複数の上記関係C11に基づき、上記関係C12が作成される。好ましくは、この関係C12の作成において、打球結果が考慮される。関係C11から関係C12を作成する考え方は、関係式F11から関係式F12を作成する考え方と同様である。
【0163】
上記関係C12は、上記フェース角と上記シャフト物性との関係である。フェース角に加えて、他の要素が考慮されてもよい。例えば、上記関係C1が、上記フェース角及び入射角と上記シャフト物性との関係であってもよい。上記関係式F1が、上記フェース角及び入射角と上記シャフト物性との関係式であってもよい。この入射角は、インパクト前におけるヘッド軌道の方向を示す。この入射角の例として、上方から見たときのヘッド軌道の角度が挙げられる。
【0164】
フィッティングの精度の観点から、上記関係C1(上記関係式F1)は、多数のデータに基づいて作成されるのが好ましい。この観点から、上記関係C1(上記関係式F1)は、指標(フェース角等)を測定する前に、予め用意されているのが好ましい。しかし、上記関係C1(上記関係式F1)が、指標(フェース角等)の測定結果に基づいて得られてもよい。
【0165】
本発明によって選択されたシャフトを用いて、ヘッドがフィッティングされてもよい。このヘッドのフィッティング方法としては、上記フィッティング方法におけるシャフト物性をヘッド物性に置換した方法が例示される。好ましいヘッド物性の一例は、ヘッドの重心位置である。
【実施例】
【0166】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0167】
[実施例1]
図7に示された解析装置を用いて、図8に示された解析方法により、指標が求められた。打球結果は、飛距離である。シャフトの所定の物性は、調子である。物性の値は、先調子、中調子及び元調子である。
【0168】
一般に、先端側がしなりやすいシャフトは先調子と称される。また一般に、後端側がしなりやすいシャフトは元調子と称される。この先調子又は元調子という称呼は、シャフトの特性を示す指標として、市場において知られている。ただし、先調子及び元調子の基準は、当業者において必ずしも統一されていない。調子について、複数の基準が存在しているのが現状である。
【0169】
この実施例では、以下の式3で求められる調子率C1を求めている。この調子率C1が45%以下を元調子としている。調子率C1が45%を超え47%未満を中調子としている。調子率C1が47%以上を先調子としている。
C1=[F2/(F1+F2)]×100 ・・・ (式3)
ただし、F1は順式フレックス(mm)である。F2は逆式フレックス(mm)である。
【0170】
[順式フレックスF1の測定]
図16(a)は、順式フレックスF1の測定方法を説明するための図である。図16(a)が示すように、シャフト後端Btから75mmの位置に、第一支持点50を設定した。更に、シャフト後端Btから215mmの位置に、第二支持点52を設定した。第一支持点50には、シャフトを上方から支持する支持体54を設けた。第二支持点52には、シャフトを下方から支持する支持体56を設けた。荷重のない状態において、シャフト20のシャフト軸線は略水平とされた。シャフト後端Btから1039mmである荷重点m1に、2.7kgの荷重を鉛直下向きに作用させた。荷重のない状態から、荷重をかけた状態までの荷重点m1の移動距離(mm)が、順式フレックスF1とされた。この移動距離は、鉛直方向に沿った移動距離である。
【0171】
なお、支持体54の、シャフトと当接する部分(以下、当接部分という)の断面形状は、次の通りである。シャフト軸方向に対して平行な断面において、支持体54の当接部分の断面形状は、凸状の丸みを有する。この丸みの曲率半径は、15mmである。シャフト軸方向に対して垂直な断面において、支持体54の当接部分の断面形状は、凹状の丸みを有する。この凹状の丸みの曲率半径は、40mmである。シャフト軸方向に対して垂直な断面において、支持体54の当接部分の水平方向長さ(図16における奥行き方向長さ)は、15mmである。支持体56の当接部分の断面形状は、支持体54のそれと同一である。荷重点m1において2.7kgの荷重を与える荷重圧子(図示省略)の当接部分の断面形状は、シャフト軸方向に対して平行な断面において、凸状の丸みを有する。この丸みの曲率半径は、10mmである。荷重点m1において2.7kgの荷重を与える荷重圧子(図示省略)の当接部分の断面形状は、シャフト軸方向に対して垂直な断面において、直線である。この直線の長さは、18mmである。このようにして、順式フレックスF1が測定された。
【0172】
[逆式フレックスF2の測定]
逆式フレックスの測定方法が、図16(b)で示される。第一支持点50がシャフト先端Tpから12mm隔てた点とされ、第二支持点52がシャフト先端Tpから152mm隔てた点とされ、荷重点m2がシャフト先端Tpから932mm隔てた点とされ、荷重が1.3kgとされた以外は順式フレックスF1と同様にして、逆式フレックスF2が測定された。
【0173】
32名のゴルファーのスイング画像が撮影された。この32名のゴルファーは、スコア72から95までの上級者である。ゴルファーが、先調子のシャフトを備えるゴルフクラブ、中調子のシャフトを備えるゴルフクラブ及び元調子のシャフトを備えるゴルフクラブそれぞれで、各8球のボールを打った。
【0174】
この計測データに基づいて、図8の解析方法により指標が決定された。指標として、決定された特徴値は、インパクト前のフェース角、ボールのサイドスピン量、ボールの上下左右打出角、スイング面角度、スイング面角度、肩の捻り角及びスイング方向移動量である。
【0175】
図17には、打球結果としてのボールの飛距離比率と、指標としてのインパクト前のフェース角との関係が、調子の値毎に示されている。ここでは、ゴルフクラブ36(中調子)のフェース角平均が横軸とされる。このフェース角は、インパクト前のヘッドを上方から見たときの角度である。横軸は、ゴルファー毎のインパクト前のフェース角の平均値である。この平均値は、ゴルファーそれぞれがテストクラブをスイングした計測データから得られている。ここでは、テストクラブのシャフトの物性の値は、中調子である。
【0176】
図17の実線L3は、テストクラブの一次関数が示されている。図17の2点鎖線L4は、先調子のゴルフクラブの一次関数が示されている。図17の1点鎖線L5は、元調子のゴルフクラブの一次関数が示されている。先調子のゴルフクラブ及び元調子のゴルフクラブの一次関数は、最小二乗法による回帰分析により得られている。
【0177】
この図17では、先調子及び元調子で求められた関数が、フェース角平均Xが異なれば、飛距離比率Yが異なるか否かが判定される。例えば、この一次関数であれば、この関係式が傾きを持つ関数か否かが判定される。先調子及び元調子で求められた関数が傾きを持つとき、このフェース角を説明変数として飛距離を目的変数としたときに、このフェース角と飛距離とが統計上有意な関係にあると判定できる。
【0178】
先調子で求められた関数の傾きと元調子で求められた関数の傾きとが異なるとき、飛距離を目的変数とし、フェース角とシャフトの調子の値を説明変数としたときに、このフェース角及び調子の値と飛距離とが統計上有意な関係にあると判定する。フェース角と調子の値とが交互作用の関係にあると判定する。こうして、統計上有意な関係にあるか否かが判定される。例えば、フェース角とシャフトの調子と積が20%水準で有意であるかを判定基準とする。より、好ましくは、この積が10%水準で有意であるかを判断基準とする。
【0179】
この図17では、先調子のゴルフクラブで求められた一次関数の傾きは、0.004163である。元調子のゴルフクラブで求められた一次関数の傾きは、−0.001642である。これらの傾きがテストクラブに対して傾いている。このフェース角を説明変数として飛距離を目的変数としたときに、このフェース角と飛距離とが統計上有意な関係にある。飛距離を目的変数とし、フェース角とシャフトの調子の値を説明変数として、統計上有意な関係にあると判定される。フェース角とシャフトの調子の値とには交互作用があると判定される。この有意差が大きい指標は、打球結果としての飛距離に大きく寄与する。このL3、L4及びL5は、関係式F1の一例である。
【0180】
図18は、打球結果としてのボールの飛距離としての飛距離比率と、指標としての特徴値との関係が示されている。この図18のグラフは、前述の図17と同様にして求められている。図18(a)の指標は、ボールの打出角である。ボールの打出角には、上下方向と左右方向とがある。図18(a)は、左右方向の打出角であり、左右打出角と称する。左右打出角は、ボールの飛ぶ向きの左右方向角度である。左右打出角は、例えば、インパクトから30msecの間で測られる。
【0181】
図18(b)の指標は、スピン量である。スピン量には、バック方向とサイド方向とがある。図18(b)は、サイド方向のスピン量であり、サイドスピン量と称する。サイドスピン量は、例えば、インパクトから30msecの間のサイド方向の回転量である。ここでは、単位はrpmを用いている。
【0182】
図18(c)の指標は、スイング面角度である。スイング面角度は、シャフトの軸線と地面とのなす角度である。スイング面角度は、ゴルファーの前方又は後方から計測される。例えば、ゴルファーがゴルフクラブをスイングするときに、ゴルファーの後方からインパクト前のシャフトが撮影される。このシャフトの軸線が地面となす角度がスイング面角度とされる。
【0183】
図18(d)の指標は、肩の捻り角である。肩の捻り角は、腰に対する肩の捻り角度である。肩の捻り角は、インパクト前のゴルファーの姿勢から計測される。肩の捻り角は、例えば、左右両肩及び両腰にマーカーが取り付けられる。ゴルファーの上方からこのマーカーが撮影される。平面視において、両肩のマーカーを通る直線と両腰のマーカーを通る直線とのなす角度が肩の捻り角とされる。
【0184】
図18(e)の指標は、スイング方向移動量である。スイング方向移動量は、ゴルファーの前後方向の移動量である。スイング方向移動量は、アドレスからインパクトまでの間の移動量が測られる。ゴルファーの身体の軸(左右方向中心線)の移動量が測られる。スイング方向移動量は、例えば、ゴルファーに取り付けられたマーカーがゴルファーの正面から撮影される。身体の中心軸が求められる。アドレスとインパクトとの間のスイング方向の移動量が算出される。
【0185】
このフェース角、左右打出角、サイドスピン量、スイング面角度、肩の捻り角及びスイング方向移動量が、指標と決定される。
【0186】
[実施例2]
前述のフェース角、左右打出角、サイドスピン量、スイング面角度、肩の捻り角及びスイング方向移動量について、更に、図9の(STEP10)の正解率が計算された。その結果が、表1に示されている。
【0187】
【表1】
【0188】
表1の指標うち、最も正解率の高い指標は、フェース角であった。このフェース角が、指標と決定される。
【0189】
この実施例1及び2では、シャフトの調子の異なる3種類のゴルフクラブからゴルフクラブがフィッティングされている。いずれの指標においても、50%以上の正解率が得られている。また、肩の捻り角を指標にしたフィッティングでは。60%以上の正解率が得られている。フェース角を指標としたフィッティングでは、70%以上の正解率が得られている。この表1から、本発明の効果は明らかである。
【0190】
このように、フェース角が指標として好ましいことが判明した。このため、本願の請求項には、指標をフェース角に特定したものが含まれている。しかし、指標としてフェース角を用いることは、本発明の一例に過ぎない。計測可能なあらゆるデータが、指標として用いられうる。本願の全ての請求項において、「フェース角」が「指標」に置換されてもよい。よって例えば、本発明に係るフィッティング方法は、シャフト物性の値が異なる複数のゴルフクラブを用いて、複数のゴルファーがスイングしたときのボールインパクト前又はボールインパクトでの指標と打球結果とが考慮された関係C1を準備するステップと、テストクラブを被験者(ゴルファー)が打球して、指標の測定結果を得るステップと、上記関係C1と上記指標の測定結果とに基づいて、上記被験者に適合したシャフト物性を判断するステップと、を含むゴルフクラブのフィッティング方法であってもよい。
【符号の説明】
【0191】
2・・・フィッティング装置
4・・・正面カメラ
6・・・上方カメラ
8・・・センサー
10・・・制御装置
12・・・情報処理装置
14・・・発光器
16・・・受光器
18・・・情報入力部
20・・・キーボード
22・・・マウス
24・・・ディスプレイ
26・・・インターフェースボード
28・・・メモリ
30・・・CPU
32・・・ハードディスク
34・・・ボール
36・・・ゴルフクラブ
38・・・ヘッド
40・・・シャフト
42・・・グリップ
44・・・スイング解析装置
46・・・制御装置
48・・・情報処理装置
50・・・第一支持点
52・・・第二支持点
54・・・支持体
56・・・支持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18