(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明のドアは、居住用建物の室内と室外とを連通する入口に取り付けられるドアであって、室内などに外部光を導入する採光部を設けても、光漏れや防犯性能の低下を抑制することができるようにしたことに特徴を有している。
【0017】
本発明のドアが設置される居住用建物はとくに限定されないが、例えば、マンション等の集合住宅における各住戸の玄関等のように、室外(屋外)と室内とを分離するドアに適している。もちろん、マンションの各住戸の部屋同士や部屋と廊下を仕切るドアとしても採用することができる。
【0018】
以下では、マンションの住戸の玄関ドアに使用した場合を代表として説明する。
【0019】
(ドアユニットDU)
まず、本実施形態のドア1を説明する前に、本実施形態のドア1を採用したドアユニットDUを簡単に説明する。
【0020】
図2において、符号EWは住戸の玄関出入口のドアユニットを取付けるための開口部を有する玄関側壁を示しており、符号Fは共用廊下を示している。
【0021】
図2に示すように、ドアユニットDUは、玄関側壁EWに形成されている開口に取り付けられるものであり、ドア1と、このドア1が取り付けられる戸枠DFと、を備えている。
【0022】
図1に示すように、戸枠DFは、一対の竪枠Da、Dbと、この竪枠Da、Dbの下端間および上端間をそれぞれ繋ぐように設けられた下枠Dcと上枠Ddとから構成されている。そして、戸枠DFは、一対の竪枠Da、Dbと下枠Dc、上枠Ddに囲まれた、正面視略長方形の開口を有している。
【0023】
図1および
図2に示すように、戸枠DFにはドア1が取り付けられている。このドア1は、戸枠DFの開口と略相似形であって、ドア1を閉じた状態において、戸枠DFの開口を塞ぐことができる大きさに形成されている。
【0024】
このドア1は、連結手段によって、戸枠DFに揺動可能に連結されている。具体的には、ドア1は、その戸尻(
図1(A)では右側の端部)を支点として、戸先(
図1(A)では左側の端部)が水平に揺動できるように、連結手段によって、戸枠DFに連結されている。
【0025】
ドアユニットDUは以上のごとき構成を有しているので、戸尻を支点としてドア1を揺動させれば、ドア1によってドアユニットDUの開口を開閉することができるのである。
【0026】
(ドア1)
つぎに、本実施形態のドア1について説明する。
なお、本実施形態のドア1の構造は以下で説明する構造に限られず、種々の構造を採用することができる。
【0027】
図3に示すように、本実施形態のドア1は、一対の表面板1a,1bを有しており、この一対の表面板1a,1b間に断熱材や遮音材などの内部部材1cを挟んで形成されている。このため、ドア1単体で、ある程度の断熱性および遮音性を有している。
【0028】
一方、本実施形態のドア1には、その表裏を貫通する連通孔1hが形成されており、この連通孔1hに採光ユニット10が取り付けられている(
図3参照)。この採光ユニット10は、ドア1を閉じた状態でも外部光(例えば、
図2であれば共用廊下F側からの光)を玄関内側などに供給できる機能を有している。つまり、本実施形態のドア1は採光ユニット10を設けているので、日中であれば、ドア1を閉じた状態において照明を使用しなくても玄関内側などを明るくすることができるのである。
【0029】
(採光ユニット10)
上述したように、本実施形態のドア1に取り付けられる採光ユニット10は、ドア1に設けられた連通孔1hに配設されるものであり、ドア1を通した採光を可能とするものである。
【0030】
図4および
図5に示すように、採光ユニット10は、表面カバー11と、採光部材23と、遮蔽手段30と、を備えており、遮蔽手段30によって、光を透過させる状態(採光状態)と光を遮断する状態(遮蔽状態)とを切り替えることができるようになっている。
以下、採光ユニット10について、詳細に説明する。
【0031】
なお、以下の説明では、採光ユニット10をドア1に取り付けたときに、後述する表面カバー11の一対のプレート11a,11bのうち、プレート11aが室内側に位置する場合を説明する。しかし、ドア1を設ける場所によっては、プレート11bが室内側に位置するように採光ユニット10をドア1に取り付けてもよい。
【0032】
(表面カバー11)
図3および
図4において、符号11は採光ユニット10の表面カバーを示している。この表面カバー11は、一対のプレート11a,11bと、この一対のプレート11a,11b間を連結する連結部材11cと、を備えている。
【0033】
一対のプレート11a,11bは、ドア1の一対の表面板1a,1bに形成された連通孔1hの開口に配置される。
図3および
図4に示すように、この一対のプレート11a,11bには、その中央部に表裏を貫通する開口11hがそれぞれ形成されている。各開口11hは、連結部材11cによって一対のプレート11a,11bを連結した際に、互いに対向する位置に設けられている。例えば、一対のプレート11a,11bの開口11hが同一形状に形成されている場合には、表面カバー11を一対のプレート11a,11bの法線方向から見たときに開口11h同士がほぼ一致して重なるように、開口11hは形成される。つまり、表面カバー11を一対のプレート11a,11bの法線方向から見たときに、表面カバー11に、あたかも一対のプレート11a,11b間を貫通する貫通孔(仮想貫通孔)が存在しているように見えるように、開口11hは形成される。
【0034】
図3および
図4に示すように、表面カバー11の一対のプレート11a,11bには、各開口11hを覆うように、光透過部材12が設けられている。この光透過部材12は、開口11hと略相似形かつ開口11hよりも若干大きく形成されている。そして、光透過部材12は、パッキン12pなどを間に挟んで、両者間が気密および/または水密に保たれるように、各プレート11a,11bの内側に取り付けられている。
【0035】
なお、光透過部材12は、光を透過する機能を有するものであればよく、種々の部材を使用することができる。例えば、板ガラスや板状の樹脂、パンチングプレート、障子紙などの紙、突き板等を使用できる。また、プレート11aの開口11hには光透過部材12を設けなくてもよい。しかし、プレート11bが屋外(室外)に面する場合(例えばドアが玄関ドアの場合等)には、屋外(室外)と室内との間の気密性および/または水密性などを維持するために、板ガラスや板状の樹脂等の素材で形成された光透過部材12を使用することが望ましい。
【0036】
(採光部材23)
図3および
図4において、符号23が採光部材を示している。この採光部材23は、一面(
図3(A)および
図4では右側の面)に開口23hを有する箱型に形成された部材であり、表面カバー11の一対のプレート11a,11b間に位置するように、連通孔1hの開口に取り付けられている。この採光部材23は、その開口23hの周囲にフランジ23fが設けられている。そして、フランジ23fをネジやビスなどによって表面板1aに固定することによって、採光部材23は連通孔1hの開口を覆うように取り付けられている。
なお、表面カバー11は、そのプレート11aに設けられた光透過部材12が開口23h内に位置するように表面板1aに取り付けられる(
図6参照)。
【0037】
この採光部材23の底壁23bには、複数のスリット23sが形成されている。この複数のスリット23sは、採光部材23の長手方向、つまり、開口23hの長手方向(
図3〜
図5における上下方向、以下、上下方向という)に沿って並ぶように設けられている。そして、複数のスリット23sは、底壁23bにおいて一対のプレート11a,11bの開口11hと対向する位置に設けられている。このため、採光部材23を設けても、プレート11bを透過した光を、採光部材23の複数のスリット23s、プレート11aを通して、室内に供給することができるのである。
【0038】
なお、採光部材23は、ドア1の連通孔1hを覆ってカバーできる構造であればよく、上述した形状に限定されない。例えば、複数のスリット23sが設けられた板材を採光部材23として使用してもよい。
【0039】
上記採光部材23の底壁23bに形成されている複数のスリット23sが、特許請求の範囲にいう貫通孔に相当する。
【0040】
(遮蔽手段30)
図5〜
図7に示すように、採光部材23の内部には、遮蔽手段30の遮蔽部材31が設けられている。この遮蔽部材31は板状の部材であり、その表面が採光部材23の底壁23bの内面と面接触した状態となるように配設されている。
この遮蔽部材31は、その幅が採光部材23の底壁23bの幅とほぼ同じかつその長さが採光部材23の底壁23bの長さよりも短くなるように形成されている(
図5参照)。このため、遮蔽部材31は、採光部材23の内部において、その底壁23bに沿って長手方向に移動できるのである。
【0041】
なお、遮蔽部材31は、全体が平板状であってもよいし、断面略U字状となった部分(
図6参照)を有していてもよい。つまり、遮蔽部材31の側端縁に立設された案内片31rを有していてもよい。案内片31rを有している場合には、遮蔽部材31を長手方向に移動させると、案内片31rは採光部材23の側壁23c,23dの内面に沿って移動する。つまり、採光部材23の移動を案内する部材として案内片31rを機能させることができるので、移動の際に、遮蔽部材31がその幅方向に傾いたりすることを防止できる。
【0042】
この遮蔽部材31には、複数のスリット31sが設けられている。この遮蔽部材31の複数のスリット31sは、遮蔽部材31の長手方向、つまり、開口23hの上下方向に沿って並ぶように設けられている。
各スリット31sは、採光部材23の底壁23bに形成されている複数のスリット23sとほぼ同じ大きさに形成されている。具体的には、各スリット31sは、採光部材23の底壁23bにおける複数のスリット23sとほぼ同じ高さであるが幅は若干広くなるように形成されている。
そして、複数のスリット31sは、そのピッチが、採光部材23の底壁23bにおける複数のスリット23sとほぼ同じピッチとなるように形成されている。
【0043】
このため、遮蔽部材31を上下方向に移動させれば、具体的には、遮蔽部材31を上方に移動させれば、複数のスリット31sをそれぞれ複数のスリット23sと重なるように配置することができる(
図5(A)、
図6(A)、
図7(A)参照)。すると、遮蔽部材31の複数のスリット31sと採光部材23の複数のスリット23sを通して、採光部材23の内部と外部(つまりドア1の連通孔1h内部)と連通させることができる。この状態となるように遮蔽部材31を配置する位置が、特許請求の範囲にいう採光位置に相当する。
一方、遮蔽部材31をその上下方向、具体的には採光位置から下方に移動させれば、遮蔽部材31における複数のスリット31s間の部分(遮蔽部31b)を複数のスリット31sと重なるように配置することができる(
図5(B)、
図6(B)、
図7(B)参照)。すると、遮蔽部材31によって、採光部材23の内部と外部を遮断することができる。言い換えれば、上述した仮想貫通孔を遮蔽部材31によって遮断することができる。この状態となるように遮蔽部材31を配置する位置が、特許請求の範囲にいう遮蔽位置に相当する。
【0044】
(遮蔽部材移動機構)
図5および
図7に示すように、この遮蔽部材31の側端には、突出片31pが設けられている。この突出片31pは、採光部材23の側壁23cに設けられた切り欠き23gに挿入されており、その先端が採光部材23の側壁23cから突出している。なお、切り欠き23gは、採光部材23の上下方向に沿って伸びた長孔である。
【0045】
この突出片31pは、連結部材40を介して、移動つまみ37に連結されている。この移動つまみ37は、プレート11aに設けられた案内溝11gに挿入されている(
図3(B)参照)。案内溝11gも、採光部材23の上下方向に沿って伸びた長孔であるが、その一端(
図3(B)では上端)には、採光部材23の上下方向と交差する係合溝11kが形成されている(
図3(B)参照)。この係合溝11kは、採光部材23の上下方向において、遮蔽部材31を採光位置に配置したときに移動つまみ37が配置される位置(高さ)に形成されている。
【0046】
このため、移動つまみ37を案内溝11gに沿って移動させれば、連結部材40と突出片31pを介して、遮蔽部材31を採光部材23の上下方向に沿って移動させることができる。
【0047】
すると、遮蔽部材31を採光位置に配置すれば、室外からの光を室内に導入することができるので室外の光を採光できる。
しかも、移動つまみ37を係合溝11kに係合させれば、移動つまみ37を係合溝11kの位置で保持しておくことができる。言い換えれば、遮蔽部材31を、採光位置に配置した状態で保持しておくことができるので、日中などでは、常時採光した状態とすることも可能である。
【0048】
逆に、遮蔽部材31を遮蔽位置に配置すれば、室外と室内との間で光が透過しないようにすることができるので、室外が明るくても室内を暗くすることができるし、室内から室外に光漏れすることを防ぐことができる。そして、採光部材23や遮蔽部材31を金属などのように簡単に破損できない素材で形成しておけば、光透過部材12を破損しても、採光部材23と遮蔽部材31によって室外から室内に手などを入れることができないようにすることができる。したがって、採光ユニット10を設けても、ドア1の防犯性能を維持することができる。
【0049】
なお、防犯性能を高める上では、遮蔽部材31を遮蔽位置に配置した状態でも、遮蔽部材31の移動を固定する機能(ロック機能)を設けておくことが望ましい。
また、遮蔽部材31を採光位置に安定した状態で配置しておくのであれば、移動つまみ37が引っかかるような凹みを係合溝11kに設けておくことが望ましい(
図3(B)参照)。例えば、かかる凹みを係合溝11kに設けておけば、採光状態のままドア1を開閉したりした場合のように採光ユニット10に振動などが加わっても、遮蔽部材31が採光位置から落ちることを防ぐことができる。
【0050】
上述した、連結部材40と移動つまみ37が、特許請求の範囲にいう保持部材に相当し、連結部材40と移動つまみ37、突出片31p、案内溝11g、係合溝11k、切り欠き23gが特許請求の範囲にいう遮蔽部材移動機構に相当する。
【0051】
なお、採光部材23の底壁23bには、上述したようなスリット23sよりも開口面積の大きな貫通孔を形成してもよいのはいうまでもない。この場合でも、遮蔽部材31が採光部材23の底壁23bの内面または外面に沿って移動するようにすれば、遮蔽部材31と採光部材23の底壁23bとが面接触した状態で開口を塞ぐことが可能となるので、遮蔽部材31が遮蔽位置に配置された状態における遮光性および防犯性を高くすることができる。
【0052】
しかし、上述したように、採光部材23の底壁23bに複数のスリット23sを設け、かつ、遮蔽部材31に複数のスリット31sを設けた場合には、採光部材23の底壁23bに開口面積の大きな貫通孔を設けるよりも、遮蔽部材31が遮蔽位置に配置された状態における遮光性および防犯性を高く維持しやすくなるという利点が得られる。
また、採光部材23の底壁23bに設けられる複数のスリット23sの形状や、遮蔽部材31に設けられる複数のスリット31sの形状もとくに限定されない。遮蔽部材31を採光位置に配置すると両スリット23s,31sを通して採光でき、遮蔽部材31を遮蔽位置に配置すると遮蔽部材31によって遮光できる形状であればよい。例えば、両スリット23s,31sの形状は、正方形や菱型、三角形、円形でもよく、遮蔽部材31を遮蔽位置に配置するとスリット23sを塞ぎ遮光できればよい。
【0053】
(防火機能)
上述したような構造を有する採光ユニット10を設けたドア1の場合、遮蔽部材31を採光位置に配置すると、遮蔽部材31の複数のスリット31sと採光部材23の複数のスリット23sを通して、採光部材23の内部と外部(つまりドア1の連通孔1h内部)を連通させることができる。このため、火災などの際に遮蔽部材31が採光位置に配置されていれば、光透過部材12が破損したり脱落したりした際に、室内と室外が連通された状態となり、火炎などが室内に侵入する可能性がある。
【0054】
そこで、採光ユニット10において、突出片31pと移動つまみ37を連結する連結部材40に温度ヒューズ機能を付与しておけば、採光ユニット10の防火性を向上させることができる。
【0055】
まず、遮蔽部材31を採光位置に配置した状態では、遮蔽部材31は遮蔽位置よりも上方に移動される。このため、遮蔽部材31を採光位置に配置すると、遮蔽部材31には重力によって下方に移動させるような力、言い換えれば、採光位置から遮蔽位置に向かって移動させるような力が加わった状態で保持される。
【0056】
すると、突出片31pと移動つまみ37を連結する連結部材40が温度ヒューズ機能を有していれば、所定の温度以上となると、突出片31pと移動つまみ37との連結が解放される。
【0057】
このため、火災などによって連結部材40が所定の温度以上となると、突出片31pと移動つまみ37の連結が解放され、遮蔽部材31は、移動つまみ37と無関係に移動できるようになる。
すると、移動つまみ37を係合溝11kに係合させた状態、つまり、遮蔽部材31を採光位置に配置した状態にしていた場合、突出片31pと移動つまみ37の連結が解放されれば、遮蔽部材31は重力によって落下し、遮蔽位置に向かって移動する。
そして、遮蔽部材31が遮蔽位置に配置されれば、遮蔽部材31と採光部材23の底壁23bとが面接触した状態で複数のスリット23sを塞ぐことができる。つまり、ドア1の一対の表面板1a,1b間を、採光部材23と遮蔽部材31とが密着した状態で塞ぐことができ、ドア1の防火性を向上させることができる。
【0058】
(連結部材40の構造)
つぎに、連結部材40の構造について、詳細に説明する。
図7および
図8に示すように、連結部材40は、温度ヒューズ部材41と、案内部材42と、リンク部材43と、から構成されている。
【0059】
まず、温度ヒューズ部材41は、一対のプレート41a,41bと、両プレート41a,41bを連結する連結材料とから構成されている。一対のプレート41a,41bのうち、プレート41aは突出片31pに連結されており、プレート41bは案内部材42に連結されている。
そして、一対のプレート41a,41bは、温度ヒューズ機能を有する連結材料によって連結されている。連結材料の素材は、比較的低温(例えば70℃程度)で温度ヒューズ機能を有する素材であればよく、とくに限定されない。例えば、低温はんだや形状記憶合金、低融点合金等を、連結材料の素材として採用することができる。
【0060】
図7および
図8に示すように、プレート41bは、案内部材42の一端(
図7および
図8では下端)に連結されている。この案内部材42には、リンク部材43が連結されている。
この案内部材42は、採光部材23の側壁23cに移動可能に連結されている。具体的には、案内部材42は、採光部材23の側壁23cに沿って採光部材23の上下方向に沿って移動可能となるように、採光部材23の側壁23cに連結されている。例えば、案内部材42に長孔を形成し、この長孔の軸方向が採光部材23の上下方向に向くように配置する。そして、採光部材23の側壁23cに形成されたピンが長孔に挿入された状態で、案内部材42を採光部材23の側壁23cに連結する。すると、案内部材42を採光部材23の側壁23cに沿って採光部材23の上下方向に沿って移動可能とすることができる。
【0061】
図7および
図8に示すように、案内部材42には、採光部材23の長手方向に沿って互いに間隔を空けた状態となるように、リンク部材43の一対のブラケット43a,43bが設けられている。この一対のブラケット43a,43bの間には、回転軸43cが軸方向には移動できないがその中心軸周りには回転できるように設けられている。そして、この回転軸43cの側面には、移動つまみ37の基端が取り付けられている。
【0062】
以上のような構造となっているので、移動つまみ37を係合溝11kの位置まで移動させて、移動つまみ37を係合溝11kに向かって移動させれば、回転軸43cが回転し、移動つまみ37はその基端(回転軸43cの中心軸)を支点として揺動する。すると、移動つまみ37の先端部を案内溝11gから係合溝11kに入れることができ、移動つまみ37を係合溝11kに係合させることができ、遮蔽部材31を採光位置に配置した状態で保持できる。
【0063】
そして、一対のプレート41a,41bは、温度ヒューズ機能を有する連結材料によって連結されているので、所定の温度以上、つまり、連結材料が溶ける温度以上となると、連結材料が溶解し一対のプレート41a,41bの連結が解放される(
図8参照)。言い換えれば、移動つまみ37と突出片31pとの連結が解放されるので、遮蔽部材31は移動つまみ37から独立して移動できるようになる。すると、遮蔽部材31が採光位置に配置されていれば、採光位置は遮蔽位置よりも上方なので、重力によって遮蔽部材31は採光位置から遮蔽位置に移動する。したがって、所定の温度以上となると、遮蔽部材31を採光位置から遮蔽位置に移動させることができるのである。
【0064】
なお、温度ヒューズ機能を有する部材で移動つまみ37自体を形成しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0065】
(光透過部材12の固定方法)
なお、光透過部材12を各プレート11a,11bの内側に取り付ける方法はとくに限定されない。例えば、
図4および
図6に示すように、各プレート11a,11bに対しネジなどによって固定可能な固定部材12bを設け、この固定部材12bと各プレート11a,11bとの間に光透過部材12を挟む。その状態で固定部材12bを各プレート11a,11bに固定すれば、光透過部材12をプレート11aに固定することができる。また、接着剤などによって光透過部材12をプレート11aに直接固定してもよい。
【0066】
(一対のプレート11a,11bの固定方法)
また、一対のプレート11a,11bを連通孔1hの開口に固定する方法はとくに限定されないが、例えば、ネジなどによって一対のプレート11a,11bを一対の表面板1a,1bにそれぞれ固定する方法を採用することができる。また、
図3に示すように、プレート11aを表面板1aに固定し、プレート11bは、ネジなどによってプレート11aに固定するようにしてもよい。
【0067】
(連結構造について)
さらに、
図3および
図4では、複数の軸状の連結部材11c(例えばネジなど)によって一対のプレート11a,11bを連結する場合を説明した。このような複数の軸状の連結部材11cによって一対のプレート11a,11bを連結する場合、採光ユニット10の面精度を確保しやすくなるし、採光ユニット10とドア1との密着性を高めることができるので、好ましい。
【0068】
しかし、一対のプレート11a,11bを連結する構造は、上述した軸状の連結部材11cに限定されない。例えば、ブロック状や板状の連結部材によって一対のプレート11a,11bを連結してもよい。ブロック状や板状の連結部材によって一対のプレート11a,11bを連結した場合には、一対のプレート11a,11bと連結部材によって囲まれた空間(貫通孔)を形成することが可能となる。
【0069】
(シール性)
なお、一対のプレート11a,11bは、一対の表面板1a,1bと直接接触するように設けてもよいが、一対の表面板1a,1bとの間にパッキンなどのシール部材を挟んで取り付けてもよい。両者間にシール部材を設けると、両者間にドア1内部と外部とを連通する隙間ができないようにシールすることができる。すると、採光ユニット10を設けたことに起因する断熱性や気密性の低下を抑えることができる。
とくに、表面板1bとプレート11bとの間、つまり、屋外(室外)側に位置する表面板1bとプレート11bの間には、シール部材として、断熱性や気密性だけでなく水密性を高めることができるものを使用することが望ましい。すると、採光ユニット10を設けても、雨などがドア内部に侵入することを防止することができる。
【0070】
(開口11hについて)
なお、一対のプレート11a,11bの開口11hの大きさは、必ずしも同じ大きさにしなくてもよい。例えば、室内側に配置されるプレート11aの開口11hを、プレート11bの開口11hよりも大きくしてもよい。この場合、外部の開口を小さくしつつ、室内において光が照射される領域を広くできるという利点が得られる。もちろん、外側に配置されるプレート11bの開口11hを、プレート11aの開口11hよりも大きくしてもよい。
【0071】
(プレート11、採光部材23、遮蔽部材31の素材について)
また、一対のプレート11a,11bの素材は、とくに限定されない。防火性を向上させるために、鉄やステンレス等の素材によって一対のプレート11a,11bを形成することが好ましい。
また、採光部材23や遮蔽部材31は、遮光性、防犯性を維持し、かつ、防火性を向上させるために、鉄やステンレス等の素材によって形成される。しかし、鉄やステンレス等と同等程度の遮光性や強度、防火性などを有する素材であれば使用することは可能である。
【0072】
(遮蔽部材31を移動させる方法)
上記例では、採光ユニット10をドア1に取り付けた状態において、採光位置が遮蔽位置よりも上方に位置する場合を説明した。かかる状態であれば、採光位置に配置した遮蔽部材31には、重力によって遮蔽位置に移動させるような力が常時加わることになる。つまり、重力が、特許請求の範囲にいう「採光位置から遮蔽位置に向かって遮蔽部材を移動させようとする力」に相当するものとなる。
【0073】
なお、上記力を発生させる方法はとくに限定されない。例えば、収縮や変形して復元力を発生する部材(例えばバネなど、以下復元力発生部材という)を設ける。そして、遮蔽位置から採光位置に向かって遮蔽部材31を移動させると復元力発生部材に対して収縮や変形させるような力が加わるように、この復元力発生部材を配置する。すると、遮蔽部材31を採光位置に配置すれば、採光位置から遮蔽位置に移動させようとする力(つまり部材の復元力に起因した力)を遮蔽部材31に加えることができる。
【0074】
また、上述したように復元力発生部材を配置した場合には、遮蔽部材31を遮蔽位置から採光位置に移動させる際には、遮蔽部材31に対して部材の復元力が加わることとなる。つまり、復元力発生部材の復元力が遮蔽部材31を移動させる抵抗となる。そこで、所定の温度となるまでは、復元力発生部材から遮蔽部材31に復元力が加わらないように、保持部材を構成してもよい。すると、遮蔽部材31の移動をスムースにでき、かつ、火災などの際は、遮蔽部材31を採光位置から遮蔽位置に移動させて貫通孔を遮断することができる。例えば、復元力発生部材がバネの場合、バネの軸方向を遮蔽部材31の移動方向を一致させた状態でバネを圧縮して保持しておく機能を保持部材に設ける。そして、温度ヒューズ機能を有する材料によってバネを圧縮して保持しておく部材を形成すれば、火災時には、バネの復元力によって遮蔽部材31を採光位置から遮蔽位置に移動させることができる。
【0075】
(火災検出)
上記例では、温度ヒューズ機能を有する部材によって火災を検出して、自動で遮蔽部材31を採光位置から遮蔽位置に移動させる場合を説明した。つまり、温度変化によって形状などが変化する素材を使用して、火災を検出する場合を説明した。
しかし、温度などに基づいて火災を検出するセンサーを別途設けておき、このセンサーが火災を検出すると、移動つまみ37と遮蔽部材31との連結を解放するようにしてもよい。例えば、移動つまみ37と遮蔽部材31との間に電磁石などを設けておき、電磁石によって両者が連結された状態とする。この場合、センサーが火災を検出すると電磁石による両者の連結が解放されるようにしておけば、火災の際に遮蔽部材31を採光位置から遮蔽位置に移動させることができる。
また、遮蔽部材31を採光位置から遮蔽位置に移動させる契機となる火災を検出する方法はとくに限定されない。例えば、煙などを検出するセンサーを別途設けて、煙の有無や量、成分などに基づいて火災を検出するようにしてもよい。
【0076】
(縦スリットの場合)
上記例では、採光部材23および遮蔽部材31に、水平なスリット23s,31sが形成されている場合を説明した。しかし、採光部材23および遮蔽部材31に形成されるスリット23s,31sは、上下方向に伸びたスリット(縦スリット)としてもよい。つまり、スリット23s,31sの軸方向がドア1の上下方向と平行となり、かつ、ドア1の幅方向に並ぶように形成してもよい。
また、採光部材23および遮蔽部材31に形成されるスリット23s,31sの形状もとくに限定されない。遮蔽部材31を採光位置に配置すると両スリット23s,31sを通して採光でき、遮蔽部材31を遮蔽位置に配置すると遮蔽部材31によって遮光できる形状であればよい。例えば、両スリット23s,31sの形状は、正方形や菱型、三角形、円形でもよく、遮蔽部材31を遮蔽位置に配置するとスリット23sを塞ぎ遮光できればよい。
【0077】
この場合、遮蔽位置に対して斜め上方が採光位置となるようにすれば、スリット23s,31sが縦スリットであっても、火災の際には、重力で採光位置から遮蔽位置に遮蔽部材31を移動させることが可能となる。
もちろん、遮蔽位置の側方が採光位置となるようにしてもよい。この場合でも、上述したような復元力発生部材を設けてもおけば、火災の際に、復元力発生部材の復元力によって、採光位置から遮蔽位置に遮蔽部材31を移動させることができる。
【0078】
(採光ユニット10B)
上記例では、一対のプレート11a,11bによって表面カバー11が形成されている場合を説明したが、上述した採光ユニット10から、表面カバー11のプレート11bやプレート11bに設けられている光透過部材12を除いた構造としてもよい(この採光ユニットを採光ユニット10Bとする(
図7参照))。
この場合でも、ドア1の表面板1aの開口に採光ユニット10Bを設け、ドア1の表面板1bにおける開口にガラスなどの光透過性部材を気密および/または水密に取り付ければ、上述した採光ユニット10と同等の性能をドア1に付与することができる。
【0079】
なお、上記例では、採光ユニット10を玄関ドアなどのドアに設ける場合を説明したが、採光ユニット10を設ける場所はとくに限定されない。例えば、住居の壁や袖パネル等のパネルなどに、採光のために設けてもよい。
【0080】
(ドア1に直接設ける場合)
上記例では、光透過部材12を取り付けた表面カバー11をドア1の連通孔1hに設置することによって、ドア1に光透過部材12を設ける場合を説明したが、光透過部材12は、ドア1に直接取り付けてもよい。
【0081】
例えば、ドア1の連通孔1hの開口、つまり、一対の表面板1a,1bの開口1dに光透過部材12を取り付けて、室内側の表面板1aの内面に、光透過部材12を覆うように、遮蔽部材31を備えた採光部材23を設ける。そして、表面板1aに上述した案内溝11gと同様の構造を有する案内溝を形成し、この案内溝に、連結部材40を介して遮蔽部材31に連結された移動つまみ37を配置する。すると、移動つまみ37を操作すれば、遮蔽部材31を採光位置と遮蔽位置との間で移動させることができるし、移動つまみ37を案内溝の係合溝に係合させた状態としても、火災などの際には、遮蔽部材31を採光位置から遮蔽位置に移動させて、防火機能を発揮させることができる。
【0082】
また、ドア1自体に以下のような構造を設けても、採光ユニット10をドア1の連通孔1hに設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0083】
(上下方向移動)
例えば、
図9に示すように、表面板1aの内面には、連通孔1hの開口1dを囲むように支持壁1wが設けられている。この支持壁1wには、その内面開口を塞ぐように光透過部材12が取り付けられている。すると、表面板1aの内部には、支持壁1wと光透過部材12に囲まれ、連通孔1hの開口1dによって室内空間と連通された採光空間Laが形成される。
【0084】
なお、この構造の場合には、支持壁1wと光透過部材12の両方、または、支持壁1w単体が、特許請求の範囲における採光部材に相当する。また、支持壁1wおよび/または光透過部材12を設けた場合には、ドア1において連通孔1hを形成する部分と、支持壁1wおよび/または光透過部材12が特許請求の範囲における採光部に相当する。そして、支持壁1wと光透過部材12の両方を設けない場合には、ドア1において連通孔1hを形成する部分が特許請求の範囲における採光部となる。
【0085】
また、表面板1bの連通孔1hの開口1dにも表面板1aと同様の構造を設けて、表面板1bの連通孔1hの開口1dを塞ぐように光透過部材12を取り付けてもよい。しかし、表面板1bでは、連通孔1hの開口1dに、直接、開口1dを塞ぐように光透過部材12を設けてもよい。
【0086】
図9に示すように、支持壁1wにおける上壁の上方には、収容空間1sが形成されている。この収容空間1sは、上方開口shを介して採光空間Laと連通されている。
【0087】
そして、この収容空間1sには、上方開口shを通って採光空間Laとの間を移動可能に遮蔽部材51が配設されている。この遮蔽部材51は、略板状の部材であり、その表面を表面板1aの内面に面接触させた状態で移動可能に設けられている。つまり、遮蔽部材51は、表面板1aの表面、言い換えれば、ドア1の表面と平行に上下方向に移動できるように設けられている。
【0088】
この遮蔽部材51は、その上端および下端に、一対の移動規制部材51a,51bを備えている。この一対の移動規制部材51a,51bは、遮蔽部材51の内方に立設されており、上方開口shより高くなるように形成されている。一対の移動規制部材51a,51bのうち、上方の移動規制部材51a(収容空間1s側の移動規制部材51a、以下、閉限界移動規制部材51aという)は、支持壁1wにおける上壁に対して、収容空間1s側(つまり上壁の上方)に位置するように設けられている。そして、下方の移動規制部材51b(以下、開限界移動規制部材51bという)は、閉限界移動規制部材51aが上壁に接触するまで移動すると、下壁と面接触するように設けられている。しかも、一対の移動規制部材51a,51bは、いずれも上壁と接触すると、上方開口shを塞ぐことができる程度の大きさに形成されている。
【0089】
また、遮蔽部材51には、温度ヒューズ機構を有する連結部材(上述した連結部材40に類似した機構の部材)を介して、移動つまみ57が連結されている。この移動つまみ57は、表面板1aに設けられた案内溝1gに挿入されている。この案内溝1gは、上下方向に伸びるように設けられており、その上端に係合溝1kが形成されている。この係合溝1kは、案内溝1gと交差するように設けられており、案内溝1gの軸方向において、開限界移動規制部材51bが上壁と接触したときに移動つまみ57が配置される位置に設けられている(
図9(A)参照)。
【0090】
以上の構造とすれば、移動つまみ57を案内溝1gに沿って上下移動させれば、遮蔽部材51を収容空間1sと採光空間Laとの間で移動させることができる。そして、遮蔽部材51を採光空間Laに移動させて、移動つまみ57を係合溝1kに係合させれば、遮蔽部材51を収容空間1s内に収容した状態に維持できる。この状態では、表面板1bの連通孔1hの開口1dに設けられた光透過部材12と、支持壁1wの開口に設けられた光透過部材12を通して、外部から室内に光を供給することができる。
【0091】
一方、遮蔽部材51が採光空間Laに収容された状態では、遮蔽部材51の自重によって、遮蔽部材51を採光空間Laに移動させようとする力が発生する。この状態で、火災などが発生すれば、連結部材の温度ヒューズ機能によって、移動つまみ57から遮蔽部材51が解放される。すると、遮蔽部材51は、自重によって、閉限界移動規制部材51aが支持壁1wにおける上壁と接触するまで、採光空間Laに向かって移動する。すると、遮蔽部材51によって連通孔1hの開口1dが塞がれ、かつ、閉限界移動規制部材51aによって上方開口shが塞がれるので、ドア1に採光のための連通孔1hを設けても、防火性を向上させることができる。
【0092】
しかも、遮蔽部材51が表面板1aの内面に沿って移動するので、遮蔽部材51によって連通孔1hの開口1dが塞がれた状態において、遮蔽部材51と表面板1aの内面とが面接触した状態とすることができる。すると、遮蔽部材51によって連通孔1hの開口1dが塞がれた状態において、連通孔1hを遮断できるので、ドア1の防火性を向上させることができる。
【0093】
そして、上記構造の場合、遮蔽部材51が収容空間1sに収容された状態が採光位置になるが、その状態では遮蔽部材51はドア1の内部に収容される。すると、遮蔽部材51を採光位置に配置した状態では、外部から遮蔽部材51が見えない状態とすることができるので、遮蔽部材51を設けてもドアの外観が悪くなることを防ぐことができる。
【0094】
(側方移動)
また、上記例では、採光空間Laの上方に収容空間1sを設けた場合を説明した。しかし、収容空間1sを設ける位置は、採光空間Laの上方に限られず、採光空間Laの側方に設けてもよい。例えば、
図10に示すように、支持壁1wにおける一方の側壁(
図10では右側の側壁)の側方に、収容空間1sを形成する。そして、側方開口shを通って、この収容空間1sと採光空間Laとの間を移動可能となるように遮蔽部材51を配設する。この場合も、遮蔽部材51は、その表面を表面板1aの内面に面接触させた状態で移動可能に設ける。
【0095】
そして、上下方向に移動する遮蔽部材51と異なり、遮蔽部材51の幅方向の両端に、一対の移動規制部材51a,51bを設ける。具体的には、一対の移動規制部材51a,51bのうち、一方の移動規制部材51a(収容空間1s側(
図10では右側)の移動規制部材51a、以下、閉限界移動規制部材51aという)を、支持壁1wにおける一方の側壁に対して、収容空間1s側に設ける。また、他方の移動規制部材51b(以下、開限界移動規制部材51bという)は、閉限界移動規制部材51aが一方の側壁に接触するまで移動すると、支持壁1wにおける一方の側壁と対向する側壁(
図10では左側の側壁)と面接触するように設ける(
図10(D)参照)。
【0096】
さらに、表面板1aには、遮蔽部材51の移動方向と平行な方向に伸びた案内溝1gを設け、その一端に係合溝1kを形成する。係合溝1kは、案内溝1gの軸方向において、開限界移動規制部材51bが一方の側壁と接触したときに移動つまみ57が配置される位置に設ける。
【0097】
さらに、収容空間1sには、支持壁1wにおける一方の側壁と対向するように、終端壁1tを設ける。そして、この終端壁1tと閉限界移動規制部材51aとの間に、閉限界移動規制部材51a、つまり、遮蔽部材51を採光空間Laに向けて付勢するバネ53を設ける。
【0098】
以上の構造とすれば、移動つまみ57を案内溝1gに沿って移動させれば、遮蔽部材51を収容空間1sと採光空間Laとの間で移動させることができる。そして、遮蔽部材51を採光空間Laに移動させて、移動つまみ57を係合溝1kに係合させれば、遮蔽部材51を収容空間1s内に収容した状態に維持できる。この状態では、表面板1bの連通孔1hの開口1dに設けられた光透過部材12と、支持壁1wの開口1dに設けられた光透過部材12を通して、外部から室内に光を供給することができる。
【0099】
一方、遮蔽部材51を採光空間Laに移動させれば、バネ53が収縮して、バネ53から遮蔽部材51に対して遮蔽部材51を採光空間Laに移動させようとする力が加わる。この状態で、火災などが発生すれば、連結部材の温度ヒューズ機能によって、移動つまみ57から遮蔽部材51が開放される。すると、バネ53の付勢力によって、遮蔽部材51は、閉限界移動規制部材51aが支持壁1wにおける一方の側壁と接触するまで、採光空間Laに向かって移動する。すると、遮蔽部材51によって連通孔1hの開口1dが塞がれ、かつ、閉限界移動規制部材51aによって側方開口shが塞がれるので、防火性を向上させることができる。
【0100】
なお、バネ53の付勢力が常時遮蔽部材51に加わっていると、遮蔽部材51を採光空間Laから収容空間1sに移動させる際に、バネ53の付勢力が遮蔽部材51の移動の抵抗となる。そこで、表面板1aの内面に保持壁を設けて、通常の場合には、この保持壁と終端壁1tとの間にバネ53を圧縮した状態で保持しておいてもよい。この場合、温度ヒューズ機能を有する材料によって表面板1aの内面に連結する等の方法により、保持壁を終端壁1tとの間にバネ53を圧縮した状態で一定の距離を保つように設置する。かかる構成とすると、通常の場合(火災ではない場合)には、バネ53の付勢力が遮蔽部材51に加わらないので、遮蔽部材51を軽く動かすことができるし、所望の位置で遮蔽部材51を止めておくことができるので、採光量の調整も可能となる。一方、火災などによって所定の温度以上になると、保持壁の連結が解放され、保持壁は収容空間1sから採光空間Laに向かって移動されるので、遮蔽部材51の位置に係わらず、保持壁によって遮蔽部材51を採光空間Laに移動させることができる。そして、この場合には、バネ53の付勢力を自由に調整できるので、遮蔽部材51が遮蔽位置に配置された状態において、遮蔽部材51にある程度の付勢力が加わるようなバネ53を使用すれば、火災時に、しっかりと連通孔1hの開口1dを遮蔽部材51によって塞ぐことができる。
【0101】
(付勢力を発生する手段)
なお、上記例では、付勢力を発生する手段として、バネ53を採用した場合を説明したが、付勢力を発生する手段は、遮蔽部材51を採光空間Laに配置させた状態から採光空間Laに向けて付勢する力を発生させることができるものであればよく、とくに限定されない。例えば、形状記憶合金の復元力を利用したものなどを使用することができる。
【0102】
(その他の使用方法)
なお、上記例では、ドア1自体に上記の構造を設けて、採光と遮光の切り替えができる構造とした場合を説明した。しかし、上記の構造はドア1以外にも採用することができる。例えば、袖パネル等のパネルなどに採光のために設けることもできるし、住居の壁などに採光のために設けることもできる。