(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間プレートと前記固定側プラテンとの間には、前記中間プレートを前記可動側プラテンの方向へ付勢する付勢手段が配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の型開閉機構。
前記規制ロッドと前記回転防止ロッドとは、前記複数のタイバのそれぞれから等距離にある中心点を通る線に対して対称に配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の型開閉機構。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については、図面から省略する。また、各図において、同じ参照符号は、同様の要素を示している。なお、
図5の説明図を除く、全ての図において、紙面に対する上下左右方向を、本実施形態における装置の上下左右方向として、本文中の説明の際に用いることとする。
【0010】
<型開閉機構>
図1は、本実施形態における型開閉機構1を、例えば、竪型射出成形機に適用した例を示す。型開閉機構1は、固定側プラテン10と、中間プレート20と、可動側プラテン30と、タイバ11と、案内機構40と、付勢機構50とを含む。型開閉機構1は、底壁となるベースプレートB上に立設されたタイバ11に沿って、型開閉機構1の下方から上方へと、可動側プラテン30と、中間プレート20と、固定側プラテン10とを順に並べて備えている。可動側プラテン30と、中間プレート20と、固定側プラテン10とは、互いに平行に配置されている。4本のタイバ11は、ベースプレートB上に、矩形の四隅に配置されるように立設される。固定側プラテン10は、タイバ11の上方の端部に接続され、固定されている。中間プレート20と可動側プラテン30とは、タイバ11に沿って移動可能となっている。案内機構40は、固定側プラテン10と中間プレート20との間に配置され、中間プレート20の固定側プラテン10への進退を案内する。付勢機構50は、中間プレート20と固定側プラテン10との間に配置され、中間プレート20を可動側プラテン30の方向へ付勢する。以下に
図1から
図3を参照して、各構成要素の詳細について説明する。
【0011】
<固定側プラテン及びタイバ>
図1から
図3を参照して、固定側プラテン10は、外形が平面視矩形状の板状部材であり、その四隅には、タイバ11を挿通可能な4つの第一孔12、12、12、12が設けられている。タイバ11は、固定側プラテン10の矩形状の四隅に対応した4本が用意されおり、ぞれぞれ、型開閉機構1の底壁となるベースプレートB上に立設して固定されている。タイバ11のそれぞれは、型開閉機構1の上下方向の全長にわたる長さを備え、ここでは円柱形状である。また、タイバ11は、その上方端部に縮径部11aと、縮径部11aの下端の第一肩部11bと、縮径部11aの上端のネジ部11cとを備え、下方端部に拡径部11dと、拡径部11dの上端の第二肩部11eとを備える。
【0012】
固定側プラテン10は、タイバ11の縮径部11aにタイバ11の上方から挿通されて、タイバ11の肩部11bに支持されている。このとき、タイバ11の上端のネジ部11cは、固定側プラテン10の上面から突出している。このネジ部11cにワッシャ14を通し、ナット15で締め付けることで、固定側プラテン10はタイバ11に対して上下方向に相対移動することなく、固定される。こうすることで、固定側プラテン10の四隅の第一孔12に4本のタイバ11が挿通され、固定側プラテン10がタイバ11に支持されることで、固定側プラテン10の水平方向の位置決めが行われる。また、タイバ11の縮径部11aの外周面と固定側プラテン10の第一孔12の内周面との間には、僅かな隙間d1が形成されている(
図2または
図7参照)。したがって、固定側プラテン10はタイバ11に対して僅かに左右方向(水平方向)へ移動することができる。
【0013】
型開閉機構1の上部には、竪型射出成形機の射出シリンダCyが配置されるため、固定側プラテン10の上面中央部には、射出シリンダCyのノズル部を装着する開口部10aが形成されている。
【0014】
固定側プラテン10には、案内機構40を収容するための第一及び第二収容部16、17が形成されている。
図2を参照して、固定側プラテン10の図中左側に後述する案内機構40の規制ロッド41を収容する第一収容部16が形成されており、図中右側に付勢機構50が設置されている。第一収容部16は、固定側プラテン10を貫通する断面円形の貫通孔であり、その内周面に二つの第一スリーブ44、44が配置されている。
図3を参照して、固定側プラテン10の図中左側に付勢機構50が設置され、図中右側に後述する案内機構40の回転防止ロッド42を収容する第二収容部17が形成されている。第二収容部17は、固定側プラテン10の下面側のみに開口した有底の孔であり、その開口端部に回転防止ロッド42を摺動自在に収容する第二スリーブ45が設けられている。また、第二収容部17及び第二スリーブ45は、後述するように平面視で、断面が2辺を備える溝(ここでは長孔)に形成されている。
【0015】
<中間プレート>
図1から
図3に加えて
図4を参照して、中間プレート20の詳細を説明する。
図4に示すように、中間プレート20は、外形が平面視矩形状の一辺を解放した三辺20a、20b、20cを含む平面視C字状で、固定側プラテン10と比較して厚みが薄い板状部材である。中間プレート20は、その内部に、他方の金型となる固定側型板21を収容する。平面視C字状の中間プレート20の対向する二辺20a、20cの内側には、固定側型板21を収容する際に用いられる固定側ガイドレール22と、金型固定用ボルト孔23が形成されている。金型固定用ボルト孔23は、固定側型板21と中間プレート20とを固定するボルトを収容する。固定側型板21は、そのキャビティ面が中間プレート20の下方を向くように配置され、ガイドピン24が下方に突設して配置されている(
図3参照)。
【0016】
中間プレート20の四隅には、4本のタイバ11をそれぞれ挿通可能な4つの第二孔25、25、25、25が形成されている。これら第二孔25の内径は、タイバ11の外径よりも大きく形成されていて、第二孔25の内周面とタイバ11の外周面との間には隙間d2が形成されている(
図2参照)。隙間d2は、後述する固定側型板21が可動側型板34と係合した状態で、中間プレート20の姿勢が水平から傾いたとしても、第二孔25の内周面とタイバ11の外周面とが接触し難い大きさに設定されている。したがって、中間プレート20は、タイバ11との接触を回避して、タイバ11に沿って移動することができる。
【0017】
中間プレート20の対向する二辺20a、20cには、案内機構40と付勢機構50を収容する係止孔26とが配置される。詳細には、
図4中右側の辺20aの奥側(辺20b側)には、案内機構40の規制ロッド41が上方へ突出するように配置され、辺20aの手前側(辺20bと反対側)には、付勢機構50を係止する係止孔26が配置されている。一方、
図4中左側の辺20cの奥側(辺20b側)には、係止孔26が配置され、図中左側の辺20cの手前側(辺20bと反対側)には、案内機構40の回転防止ロッド42が上方へ突出するように配置されている。
【0018】
<可動側プラテン>
図1を参照して、可動側プラテン30は、外形が平面視矩形状で、上記した固定側プラテン10や中間プレート20と比較して厚みの厚い板状で、内部が中空の箱状部材である。可動側プラテン30の四隅には、タイバ11を挿通可能な4つの第三孔31、31、31、31が設けられ、それぞれの第三孔31と連通するように可動側プラテンの下面から4つの柱部32、32、32、32が延設されている。
図2を参照して、第三孔31の内周面には、タイバ11を摺動自在に収容する2つの直動案内ブッシュ33、33が直列に配置されている。可動側プラテン30の下面側から、タイバ11を第三孔31に挿通した際に、可動側プラテン30の柱部32の下端がタイバ11の拡径部11dの肩部11eと当接する。こうすることで、可動側プラテン30の四隅の第三孔31に4本のタイバ11が挿通され、可動側プラテン30がタイバ11に支持されるとともに、可動側プラテン30の水平方向の位置決めが行われる。
【0019】
固定側プラテン30の上部には、一方の金型である可動側型板34が、コア面及びガイドブッシュ35を上方に向けた状態で載置される。ガイドブッシュ35は、上記した固定側型板21のガイドピン24を収容する凹部である。これらガイドピン24とガイドブッシュ35とが係合することで、可動側型板34と固定側型板21と位置合わせが完了するとともに、金型内部に成形品を成形するための空間が形成される。また、可動側プラテン30の上面の中央部には、一部が可動側プラテン30の側面に開放した凹部が形成され、この凹部内に、可動側型板34に形成された成形品を型から外すための金型エジェクトプレート36が収容されている。可動側プラテン30の上面には可動側ガイドレール37が立設され、この可動側ガイドレール37に可動側型板34が差し込まれることで、金型エジェクトプレート36の上方に可動側型板34が配置される。可動側型板34と可動側プラテン30とは、金型固定用ボルト孔38に挿通されたボルトによって、互いに締結される。
【0020】
<案内機構>
案内機構40は、中間プレート20がタイバ11と直交する方向へ移動することを規制する断面円形の規制ロッド41と、中間プレート20が規制ロッド41を中心として回転することを防止する回転防止ロッド42とを備えている。規制ロッド41と回転防止ロッド42とは、中間プレート20に取り付けられ、中間プレート20の上面から突設して、タイバ11と平行に延在する断面円形の棒状部材である。
【0021】
図2から
図4を参照して、規制ロッド41及び回転防止ロッド42は、中間プレート20に形成されたロッド挿入孔27に挿入された後に、中間プレート20からの抜けを防止する固定止め輪43を取り付けることで固定される。例えば、規制ロッド41及び回転防止ロッド42がロッド挿入孔27に挿入された状態で、規制ロッド41及び回転防止ロッド42の外周面における、中間プレート20の上下面に隣接した2か所に溝を形成する。この溝に固定止め輪43を取り付けることで、規制ロッド41及び回転防止ロッド42が中間プレート20から離脱することを防止できる。なお、本実施形態においては、固定止め輪43として、例えば、C型、E型、U型等形状があげられるが、特に限定されず、市販されているいずれの形態の止め輪を採用してもよい。
【0022】
また、中間プレート20の上下面において、規制ロッド41及び回転防止ロッド42が載置される箇所の周りに、他の上下面よりも低くなるように凹部を設けることで、固定止め輪43を取り付ける際の逃げを形成することができる。こうすることで、規制ロッド41及び回転防止ロッド42の交換時の作業性を向上させることができる。また、上記凹部は、中間プレート20と、固定側プラテン10及び可動側プラテン30とが当接した際に、固定止め輪43に対する逃げとなることもできる。また例えば、中間プレート20の上面に凹部を形成しない場合には、上記凹部に代えて、固定側プラテン10の下面に凹部を形成してもよい。こうすることで、固定止め輪43が固定側プラテン10の下面と当接することを回避できる。
【0023】
中間プレート20と対向する固定側プラテン10の下面には、規制ロッド41及び回転防止ロッド42を収容可能な第一及び第二収容部16、17が形成されている。規制ロッド41を収容する第一収容部16は、上記したように、固定側プラテン10を貫通する貫通孔を含み、貫通孔の開口端部に規制ロッド41を摺動自在に収容する2つの第一スリーブ44、44が配置されている。規制ロッド41が固定側プラテン10に挿通されることで、中間プレート20の水平方向位置が規定されている。なお、第一スリーブ44は、貫通孔全体に1つのみ設けられずに、開口端部に2つ配置され、二つの第一スリーブ44、44の間隔を長くとっている。こうすることによって、中間プレート10の上下移動のガイド精度を向上させ、組み立てを容易にし、製造コストを安くすることができる。
【0024】
また、回転防止ロッド42を収容する第二収容部17には、上記したように、固定側プラテン10の下面側が開口した有底の孔を含み、その開口側端部に回転防止ロッド42を摺動自在に収容する第二スリーブ45が設けられている。第二収容部17及び第二スリーブ45は、平面視で、断面が2辺を備える溝である長孔に形成されている(
図5参照)。本実施形態では、回転防止ロッド42の断面形状が円形であるのに対して、第二収容部17および第二スリーブ45の断面形状は長孔に形成されている。
【0025】
以下に、案内機構40の断面形状と配置について、
図5の説明図を用いて、詳細に説明する。
図5は、主に規制ロッド41と回転防止ロッド42との配置について説明する説明図であり、説明を簡略にするため、その詳細な位置の寸法や大きさについて
図4に示すものとは異なっている。
図5には、中間プレート20の四隅に形成され、タイバ11が挿入される第一孔25、25、25、25と、案内機構40である規制ロッド41と回転防止ロッド42とが実線で示されている。また、
図5には、固定側プラテン10の下面に形成された第一及び第二収容部16,17と第一及び第二スリーブ44及び45とを点線で示している。
【0026】
ここでは、
図5に示すように、規制ロッド41と回転防止ロッド42とは、4つの第一孔25、25、25、25のそれぞれから等距離にある中心点Ceに対して対称に配置される。また図示省略するが、一対の付勢機構50を備えた場合も同様に中心点Ceに対して対称に配置されていてもよい。また、別の実施形態として、規制ロッド41と回転防止ロッド42とは、複数のタイバ11のそれぞれから等距離にある中心点を通る線に対して対称に配置されていてもよい。規制ロッド44と回転防止ロッド45とを対称に配置することで、中間プレート20が固定側プラテン10に対して移動する際に、それぞれにロッドに作用する負荷のバランスを取ることができる。また、中間プレート20の移動を円滑に行うことができる。このことは、付勢機構50と対象に配置した場合においても、同様の作用及び効果を奏するものである。
【0027】
次に、
図5に点線で示す第一及び第二収容部16、17の形状について説明する。規制ロッド41を収容する第一収容部16の断面形状は、ここでは、規制ロッド41の断面形状に対した断面円形状をしている。また、回転防止ロッド42を収容する第二収容部17の断面形状は、ここでは、断面円形状の回転防止ロッド42を2辺で支える溝(ここでは長孔)の形状をしている。
【0028】
中間プレート20は、規制ロッド41が固定側プラテン10に挿通されることで、中間プレート20の水平方向位置が規定されている。しかし、規制ロッド41の断面形状が円形であることから、中間プレート20は規制ロッド41を中心に回転する方向へ動くことが可能である。このとき、この中間プレート20の回転方向への移動を防止するために、回転防止ロッド42が固定側プラテン10に設けられた第二収容部17に収容されている。つまり、回転防止ロッド42が固定側プラテン10の第二収容部17である長孔に収容されることで、水平面内での回転方向の位置決めを行うことになる。
【0029】
さらに、第二収容部17の断面形状を、規制ロッド41を中心とした円弧と直交する二辺を含む長孔とすることで、第二収納部17を製造する際の第一収容部16に対する位置精度を緩和している。第一収容部16と回転防止ロッド42とが断面円形状であるから、第二収容部17も断面円形状とすると、第二収容部17を製造する際に、中間プレート20の水平面内で厳密な位置精度が要求される。しかしながら、第二収容部17を長孔とすることで、回転防止ロッド42の外周面に当接する箇所となる長孔の幅の大きさ及び位置を精度よく規定すればよく、その他の形状等については特に厳密な位置精度が要求されない。したがって、第二収容部17を製造することが容易になる。
【0030】
本実施形態においては、規制ロッド41及び回転防止ロッド42は、断面円形の棒状部材を採用しているが、これに限定されない。例えば、規制ロッド41として、断面矩形状の棒状部材を採用してもよいが、このとき、中間プレート20が規制ロッド41を中心に回転することがないので、回転防止ロッド42を設置しなくてもよい。また、設置したとしても回転防止ロッド42の断面形状は特に限定されない。また、規制ロッド41を断面円形とした場合、回転防止ロッド42及び第二収容部17は中間プレート20の回転を防止できる断面形状であればいずれの形状でもよい。例えば、回転防止ロッド42が三角形、またはひし形等の矩形の断面形状である場合、第二収容部17の断面形状は円形でもよい。なお、本実施形態では、規制ロッド41及び回転防止ロッド42は、中間プレート20に設けられているが、固定側プラテン10に設けられてもよい。このとき、第一及び第二収納部16、17は、中間プレート20に設けられてもよい。
【0031】
<付勢機構>
図2及び3を参照して、付勢機構50は、中間プレート20と固定側プラテン10との間に配置され、中間プレート20を可動側プラテン30の方向へ付勢している。また、付勢機構50は、中間プレート20が固定側プラテン10から離間した状態において、中間プレート20の降下位置を規制している。付勢機構50は、吊りボルト頭部51と、吊りボルト頭部51を固定側プラテン10に固定する吊りボルト52と、吊りボルト頭部51に装着される圧縮バネ53とを備える。吊りボルト頭部51は、長尺円柱状の本体部分51aと、その一端に設けた凸部分51bと、他端に設けたネジ部分51cとを含む。一方、中間プレート20には、吊りボルト頭部51の本体部分51aが挿通される係止孔26と、係止孔26と連通して中間プレート20の上下面側に開放される一対の凹部とを含んでいる。また、固定側プラテン10には、吊りボルト52が挿通される保持孔18と、保持孔18と連通して固定側プラテン10の上下面側に開放される一対の凹部とを含んでいる。
【0032】
吊りボルト頭部51は、中間プレート20に形成された係止孔26に下方から挿入されることで、吊りボルト頭部51の凸部51bが中間プレート20の下面に形成された凹部と係合する。このとき、吊りボルト頭部51の本体部分51aには、中間プレート20の上方から圧縮バネ53が装着される。この状態で、吊りボルト頭部51の本体部分51aを固定側プラテン10の保持孔18に下面側から挿入し、固定側プラテン10の上面側から吊りボルト52を保持孔18に挿入する。次いで、吊りボルト52を吊りボルト頭部51のネジ部分51cに螺合させることで、吊りボルト頭部51が固定側プラテン10に固定される。
【0033】
こうして付勢機構50が配置されることで、固定側プラテン10の下面から下向きに突出した吊りボルト頭部51が、中間プレート20に係止することで、中間プレート20の下降位置が規制される。また、吊りボルト頭部51の長さを適宜設定することで、固定側プラテン10からの中間プレート20の最大降下量を適宜設定することもできる。また、固定側プラテン10下面の凹部と中間プレート20上面の凹部との間に圧縮バネ53が配置されていることから、中間プレート20は、固定側プラテン10から下方側の可動側プラテン30側へ付勢されている。こうすることで、後述する型開閉機構1の型開きの際に、中間プレート20と可動側プレート30との当接が維持された状態で、中間プレート20を固定側プラテン10から離すことができる。つまり、成型後、型開き工程の最後で金型の係合状態を解除して、成形品を取り出すことができる。
【0034】
本実施形態においては、付勢機構50は2か所に配置されており、案内機構40と同様に、全てのタイバ11から等距離にある中心点に対して点対称となるように配置されている(
図4参照)。なお、本実施形態においては、中間プレート20を付勢する弾性部材として、圧縮バネ53を採用したがこれに限定されず、コイルばね、板バネ、ゴム等の弾性部材も適用可能である。また、中間プレート20の最大降下量を吊りボルト頭部51で規定していたが、これに限定されず、例えば、中間プレート20の下面が当接するようなストッパをタイバ11の外周面に設けて中間プレートの最大降下量を規定してもよい。
【0035】
<その他の構成>
固定側プラテン10の上方には、竪型射出成形機の射出シリンダCyが配置されている。また、竪型射出成形機においては、ベースプレートBと可動側プラテン30との間に、可動側プラテン30を昇降するための昇降機構Lが配置されている。昇降機構Lとしては、リンク機構、ボールねじ機構、油圧または空気圧等で駆動するシリンダ機構等であってもよい。
【0036】
<型開閉機構の型閉め型開き>
図1から
図3に示す状態は、本実施形態の型開閉機構1の型開き状態を示している。この状態では、固定側プラテン10と中間プレート20と可動側プラテン30とは互いに離間して配置されている。可動側プラテン30は、最下方に位置しており、タイバ11の下側に設けられた拡径部11dの肩部11eと可動側プラテン30の柱部32の下面とが当接することで支えられている。中間プレート20は、付勢機構50の吊りボルト頭部51と中間プレート20の下面に設けられた凹部とが当接することで支えられている。また、このとき中間プレート20に設けた規制ロッド41は固定側プラテン10を貫通している。こうすることで、中間プレート20が固定側プラテン10に対して移動する間、常に規制ロッド41が収容部16に支持されているから、中間プレート20の水平方向位置が良好に保たれる。
【0037】
次に
図6及び
図7に示す型開閉機構1の型閉め状態に至るまでの型開閉機構1の動作を詳細に説明する。可動側プラテン30の下方に配置された昇降機構Lが、可動側プラテン30を中間プレート20側へ上昇させる。可動側プラテン30が、所定距離上昇したところで、中間プレート20に保持された固定側型板21のガイドピン24が、可動側プラテン30に保持された可動側型板34のガイドブッシュ35内に挿入される。こうして、可動側型板34と固定側型板21との係合が完了し、金型の係合状態が達成される。
【0038】
このとき、上記したように中間プレート20の第一孔25の内周面とタイバ11の外周面との間には隙間d2が形成されているから、中間プレート20は、タイバ11によって水平方向の位置が規制されることは少ない。このことは、金型のガイドピン24とガイドブッシュ35との係合による位置決めの要素以外によって、可動側プラテン30と中間プレート20と水平方向の位置決めが干渉されるまたは邪魔されることが少ないことを示している。次に、昇降機構によって可動側プラテン30がさらに上昇されると、可動プラテン30と共に中間プレート20も上昇する。このとき金型の係合状態は維持されたままであり、上記したように、中間プレート20が金型の係合状態に干渉することは少ない。
【0039】
また、中間プレート20の上昇と共に、中間プレート20の規制ロッド41は、固定側プラテン10に設けられた第一収容部16内を移動している。このとき、中間プレート20は固定側プラテン10に対して規制ロッド41を介して水平方向の位置決めがなされているが、固定側プラテン10が中間プレート20の水平方向の位置決めに影響を及ぼすことが少ない。このことを、
図7の型開閉機構1の型閉め状態の図を参照して説明する。
【0040】
固定側プラテン10と可動側プラテン30とは、共通のタイバ11によって支持されているが、互いに離間して配置されている。また、可動側プラテン30は、タイバ11の中央部に配置されているのに対して、固定側プラテン10はタイバ11の端部に配置されている。さらに、可動側プラテン30と固定側プラテン10との間のタイバ11には、中間プレート20が配置されているものの、タイバ11とは接触していないから、いずれの部材もタイバ11に当接していない。このとき、例えば、可動側プラテン30と固定側プラテン10との間のタイバ11の撓みによって可動側プラテン30に対して固定側プラテン10の水平方向が移動可能である場合がある。また、上記したような固定側プラテン10がタイバ11に対してわずかな隙間d1を形成して固定されていることから、固定側プラテン10は水平方向に僅かに動くことが可能である場合もある。
【0041】
したがって、固定側プラテン10と規制ロッド41とが、中間プレート20の水平方向の位置決めにおいて影響を及ぼすことが少ない。つまり、金型の係合状態における水平方向の位置決めが、固定側プラテン10と規制ロッド41による中間プレート20の水平方向の位置決めから干渉されるまたは邪魔されることが少ない。
【0042】
上記した、先行技術では、成形機側の位置決めと金型同士の位置決めとが相互に存在するため、これらが競合してしまう。これに対して、本実施形態における型開閉機構1は、金型の係合状態の水平方向位置決めに干渉する要素を少なくしたので、案内機構40が、金型の係合状態を維持して、中間プレート20の固定側プラテン10への進退を案内することができる。
【0043】
次に、金型が係合した状態で、昇降機構Lがさらに可動側プラテン30を上昇させると、可動側プラテン30と中間プレート20とが共に固定側プラテン10の方へ移動する。このとき中間プレート20は付勢機構50の圧縮バネ53の付勢力に抗して上昇する。規制ロッド41は、中間プレート20が上昇を続ける間も常に固定側プラテン10に設けられた収容部16の貫通孔を貫通する長さを有しているため、中間プレート20の水平方向位置は固定側プラテン10と共に安定している。型開閉機構1は、
図6及び
図7に示す型閉め状態となってから、成形機の成形シリンダCyから金型内に、例えば、樹脂を流した後、再び型開き状態へと移行する。なお、
図7に示す型閉め状態を参照すると、付勢機構50のボルト頭部51が、中間プレート20の下面から突出している。固定側型板21及び可動側型板34には、この突出したボルト頭部51と接触しないような逃げ部が形成されている。昇降機構Lによって、可動側プラテン30が降下される際に、中間プレート20は、付勢機構50によって、可動側プラテン30と当接した状態で共に下降する。このときも、中間プレート20は、タイバ11と接触することが少なく安定して降下することができる。
【0044】
先行技術において、連続的な成形作業で型開閉機構が高温になると、中間プレートやタイバの形状が変形する場合があり、形状の変化によって、中間プレートがタイバに対して傾斜する場合がある。このとき、中間プレートからタイバへの負荷のバランスが安定しない場合がある。
【0045】
これに対して、本実施形態における型開閉機構1は、中間プレート20の第一孔25の内周面とタイバ11の外周面との間には隙間d2が形成されているから、タイバ11が中間プレート20の孔に対して、非接触で挿通されている。したがって、連続的な成形作業で型開閉機構1が高温となって、中間プレート20またはタイバ11の形状が変形した場合であっても、タイバ11によって中間プレート20の姿勢が傾くことが少ない。したがって、中間プレート20からタイバ11への負荷のバランスは安定している。また、金型が係合している状態で、すでに中間プレート20は、可動側プラテン30によって支持されているから、中間プレート20の姿勢が大きく傾くことは少ない。
【0046】
したがって、本実施形態における型開閉機構1では、タイバ11との接触を回避するように中間プレート20を移動させ、金型の位置決めとの干渉を回避するように中間プレート20を可動側プラテン30と共に移動可能とすることができる。
【0047】
本実施形態では、本発明による型開閉機構を適用した一例として、竪型射出成形機に応用した例を説明したが、本発明は、これに限定されない。本発明による型開閉機構は、例えば、射出成形機として、横型射出成形機、2色または多材料射出成形機、ロータリー式射出成形機等に適用することも可能である。さらに、本発明は、例えば、ダイカスト等の鋳造に用いられる金型や、ブロー成形または圧縮成形等に用いられる金型の型開閉機構にも適用可能である。なお、本実施形態における成形機に用いる材料は特に限定していないが、プラスチック等の熱可塑性樹脂、鉄やマグネシウム等の溶融した金属、またこれらの無機材料を添加した複合材料等があげられる。