(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象及び横隔膜を含む範囲の第1撮像データを収集する第1撮像と、呼吸時相を検出する動き検出パルスの印加を伴いながら、第1呼吸時相における前記対象を含む第2撮像データ及び前記第1呼吸時相とは異なる第2呼吸時相における前記対象を含む第3撮像データを収集する第2撮像と、第4撮像データを収集する第3撮像とを実行する制御部と、
前記第1撮像データから前記横隔膜の位置を検出し、検出した位置に基づき、前記動き検出パルスの印加領域を導出する導出部と、
前記第2撮像データから前記第1呼吸時相の画像を生成し、前記第3撮像データから前記第2呼吸時相の画像を生成することで、複数の呼吸時相それぞれにおいて複数の画像を生成する生成部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2撮像の実行において、前記動き検出パルスの印加によって呼吸時相を検出し、検出された呼吸時相に基づいて、前記第2撮像データ及び前記第3撮像データの収集タイミングを制御する、磁気共鳴イメージング装置。
前記制御部は、前記第2撮像データ、及び、前記第3撮像データの両方を、1つのプロトコルで実行されるパルスシーケンス内で収集する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
前記制御部は、前記第2撮像を心電同期下で行い、所定の心位相であって、且つ、検出された呼吸時相が前記第1呼吸時相である場合に、前記第2撮像データを収集し、前記所定の心位相であって、且つ、検出された呼吸時相が前記第2呼吸時相である場合に、前記第3撮像データを収集する、請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
対象及び横隔膜を含む範囲の第1撮像データを収集する第1撮像と、呼吸時相を検出する動き検出パルスの印加を伴いながら前記対象を含む第2撮像データを連続的に収集する第2撮像と、第3撮像データを収集する第3撮像とを実行する制御部と、
前記第1撮像データから前記横隔膜の位置を検出し、検出した位置に基づき、前記動き検出パルスの印加領域を導出する導出部と、
連続的に収集された前記第2撮像データのうち所定の呼吸時相に対応する第2撮像データを、前記第2撮像の実行において前記動き検出パルスの印加によって検出された呼吸時相を用いて特定し、特定した第2撮像データを用いて画像を生成することで、複数の呼吸時相それぞれにおいて複数の画像を生成する生成部と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(以下、適宜「MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置」)を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、各実施形態において説明する内容は、原則として、他の実施形態においても同様に適用することができる。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、静磁場電源102と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御部106と、送信コイル107と、送信部108と、受信コイル109と、受信部110と、シーケンス制御部120と、計算機130とを備える。なお、MRI装置100に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、
図1に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御部120及び計算機130内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。
【0012】
静磁場磁石101は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源102から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源102は、静磁場磁石101に電流を供給する。なお、静磁場磁石101は、永久磁石でもよく、この場合、MRI装置100は、静磁場電源102を備えなくてもよい。また、静磁場電源102は、MRI装置100とは別に備えられてもよい。
【0013】
傾斜磁場コイル103は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及び読み出し用傾斜磁場Grである。傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。
【0014】
寝台105は、被検体Pが載置される天板105aを備え、寝台制御部106による制御の下、天板105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台105は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部106は、計算機130による制御の下、寝台105を駆動して天板105aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0015】
送信コイル107は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、送信部108からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信部108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル107に供給する。
【0016】
受信コイル109は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、適宜「MR信号」)を受信する。受信コイル109は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信部110へ出力する。
【0017】
なお、上述した送信コイル107及び受信コイル109は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。
【0018】
受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号を検出し、検出したMR信号に基づいてMRデータを生成する。具体的には、受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信部110は、生成したMRデータをシーケンス制御部120へ送信する。なお、受信部110は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル103等を備える架台装置側に備えられてもよい。
【0019】
シーケンス制御部120は、計算機130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源104が傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信部108が送信コイル107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信部110がMR信号を検出するタイミング等が定義される。例えば、シーケンス制御部120は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0020】
なお、シーケンス制御部120は、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信部110からMRデータを受信すると、受信したMRデータを計算機130へ転送する。
【0021】
計算機130は、MRI装置100の全体制御や、画像の生成等を行う。計算機130は、インタフェース部131、記憶部132、制御部133、入力部134、表示部135、及び画像生成部136を備える。また、制御部133は、撮像条件設定部133a、及び領域導出部133bを備える。
【0022】
インタフェース部131は、シーケンス情報をシーケンス制御部120へ送信し、シーケンス制御部120からMRデータを受信する。また、インタフェース部131は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶部132に格納する。記憶部132に格納されたMRデータは、制御部133によってk空間に配置される。この結果、記憶部132は、k空間データを記憶する。
【0023】
記憶部132は、インタフェース部131によって受信されたMRデータや、制御部133によってk空間に配置されたk空間データ、画像生成部136によって生成された画像データ等を記憶する。例えば、記憶部132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
【0024】
入力部134は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力部134は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、キーボード等の入力デバイスである。表示部135は、制御部133による制御の下、各種GUI(Graphical User Interface)や、画像生成部136によって生成された画像等を表示する。表示部135は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。
【0025】
制御部133は、MRI装置100の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、撮像条件設定部133aは、撮像条件の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。また、撮像条件設定部133aは、生成したシーケンス情報をシーケンス制御部120へ送信する。また、例えば、領域導出部133bは、撮像条件設定部133aによって受け付けられた撮像条件や、画像生成部136によって生成された画像を用いて、撮像領域や、その関連領域(若しくはこれらの候補)を自動的に導出する。例えば、制御部133は、ASIC、FPGA等の集積回路、CPU、MPU等の電子回路である。なお、撮像条件設定部133aや領域導出部133bによる処理の詳細は、後述する。
【0026】
画像生成部136は、k空間データを記憶部132から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。
【0027】
図2は、第1の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
図2に示すように、第1の実施形態に係るMRI装置100は、撮像条件の設定から、診断用の断面像(以下、適宜「診断用断面像」)のイメージングスキャンまでの一連の処理を、ほぼ自動化された流れで行うことができる。具体的には、第1の実施形態に係るMRI装置100は、マルチスライス像収集時の呼吸時相を事前に設定し、先に収集した3次元MRデータから各種位置情報を検出すると、検出した位置情報に基づきマルチスライス像収集のための各種領域を自動設定する。この領域には、呼吸動をモニタリングするために印加される動き検出パルスの印加領域が含まれる。そして、MRI装置100は、事前に設定された呼吸時相におけるマルチスライス像を自然呼吸下で収集し、収集したマルチスライス像を用いて診断用断面像の位置決めを行い、イメージングスキャンを行う。以下、
図3〜
図13を併せて参照しながら、第1の実施形態における処理手順を説明する。
【0028】
ここで、以下の実施形態における「マルチスライス像収集」は、心電同期下での収集を想定している。即ち、以下の実施形態において、MRI装置100は、心電信号をトリガ信号としてRFパルス(励起パルス)を印加し、1スライス分のMR信号を収集する動作を、複数スライス分行う。この場合、MRI装置100は、1心拍周期(例えば、1RR)内に1スライス分のMR信号を収集し終えることが望ましい。ここで、マルチスライス像収集として行われる複数の断面データの収集は、2Dシーケンスで行われるものに限られず、3Dシーケンスで行われてもよい。また、MRI装置100は、トリガ信号(例えば、R波)からの遅延時間を同じにして各スライスを収集することが望ましい。なお、「マルチスライス像収集」は、「マルチスライス撮像」等とも称される。
【0029】
ステップS101:まず、撮像条件設定部133aが、操作者による撮像条件の入力を入力部134を介してGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。また、撮像条件設定部133aは、撮像条件の1つとして、マルチスライス像収集時の呼吸時相を設定する。
【0030】
図3は、第1の実施形態における呼吸時相設定用のGUIを示す図である。
図3に示すように、例えば、撮像条件設定部133aは、GUI上に、呼吸時相として「吐き止め」若しくは「吸い止め」を選択させるチェックボックスを表示し、操作者による選択を受け付ける。そして、撮像条件設定部133aは、選択された呼吸時相を、マルチスライス像収集時の呼吸時相として設定する。例えば、第1の実施形態では、撮像条件設定部133aは、マルチスライス像収集時の呼吸時相として、「吐き止め」を設定する。
【0031】
「吐き止め」とは、息を吸って吐いてを繰り返す呼吸時相のうち、被検体Pが息を吐き切ったところの呼吸時相である。また、「吸い止め」とは、被検体Pが息を最も吸い込んだところの呼吸時相である。「吐き止め」のマルチスライス像で位置決めをすることが望ましいか、あるいは「吸い止め」のマルチスライス像で位置決めをすることが望ましいかは、後続のイメージングスキャンで実行されるプロトコルの種類等に応じて異なる。一般に、「吐き止め」には、呼吸動の高さが安定し易いという利点がある。一方、「吸い止め」には、被検体Pの負荷が軽いという利点がある。このため、例えば、精度が求められるプロトコルの場合には、「吐き止め」で収集し、それ以外の場合には「吸い止め」で収集する、といった使い分けが考えられる。
【0032】
ステップS102:
図2に戻り、続いて、受信コイル109を装着した被検体Pが寝台105の天板105a上に載置され、天板105aが所定位置に移動されると、シーケンス制御部120が、シーケンス情報に基づきパルスシーケンスの実行を制御することによって、心臓及び横隔膜を含む範囲の3次元MRデータを収集する。
【0033】
図4は、第1の実施形態における3次元MRデータを説明するための図である。
図4に示すように、例えば、シーケンス制御部120は、磁場中心を中心に、MRI装置100として設定可能な最大FOV(Field Of View)(例えば、静磁場強度の均一性を担保可能な範囲)で3次元MRデータを収集する。後述するように、この3次元MRデータから生成された3次元画像は、横隔膜の位置や、心臓の上端位置及び下端位置の検出に用いられる。このため、3次元MRデータは、ランドマークとして用いられる部位を含む範囲で収集される必要がある。例えば、第1の実施形態において、3次元MRデータは、心臓及び右横隔膜の凸面の頂点を含む範囲で収集されることが望ましい。
【0034】
また、
図4に示すように、例えば、シーケンス制御部120は、頭足方向を読み出し方向に設定し、左右方向を位相エンコード方向に設定し、背腹方向をスライスエンコード方向に設定して、3次元MRデータを収集する。横隔膜の位置情報や、心臓の位置情報は、冠状断面上における画像特徴が、自動検出においても、検出結果を確認するにおいても、最も有効である。また、冠状断面上の2方向である頭足方向と左右方向とでは、左右方向の方が、撮像範囲外の折り返しの影響が少ない。以上の理由から、3次元MRデータは、上述したエンコード方向の組み合わせで収集することが望ましい。
【0035】
また、例えば、シーケンス制御部120は、GE(Gradient Echo)系のパルスシーケンスを用いて3次元MRデータを収集する。GE系のパルスシーケンスは、小さなフリップ角の励起パルス及び傾斜磁場パルスを印加する手法であるので、SE(Spin Echo)系のパルスシーケンスに比較して、TR(Repetition Time)が短い。例えば、シーケンス制御部120は、3D FFE(Fast Field Echo)や、3D SSFP(Steady−State Free Precession)を用いて、3次元MRデータを収集する。例えば、3D FFEの場合、各種パラメータは、息止め可能な時間を目安として設定される。例えば、パラメータは、心電同期(ECG(Electrocardiogram))なしで、TR/TE(Echo Time)=3.7/1.3(ms)、92〜96(位相エンコード方向)×256〜366(読み出し方向)×30〜40(スライス方向)等である。
【0036】
また、例えば、シーケンス制御部120は、2D FFE、2D SSFP、2D FASEを用いたマルチスライス撮像によって、3次元MRデータを収集してもよい。また、撮像時間の延長を伴うが、シーケンス制御部120は、T2プリパレーション(preparation)パルスを印加してもよい。T2プリパレーションパルスを印加することで、画像のコントラストを強調することができる。
【0037】
なお、MRIにおいては、一部の領域についてMR信号を収集せずに、未収集領域のMR信号を、複素共役性を利用した数学的処理により推定するハーフスキャン法がある。例えば、位相エンコード方向、スライスエンコード方向、又はその両方向に対するハーフスキャン法の適用を併用してもよい。
【0038】
ステップS103:
図2に戻り、次に、画像生成部136が、ステップS102において収集された3次元MRデータを用いて3次元画像を生成する。
【0039】
ステップS104:そして、領域導出部133bが、ステップS103において生成された3次元画像から、肝臓上の横隔膜の頂点位置、並びに、心臓の上端位置及び下端位置を検出する。横隔膜の頂点位置は、マルチスライス像収集において呼吸動をモニタリングするために印加される、動き検出パルスの印加領域の導出に用いられる。また、心臓の上端位置及び下端位置は、マルチスライス像の撮像領域の導出に用いられる。例えば、心臓の上端位置は、肺動脈の分岐位置であり、下端位置は、左室心尖位置である。
【0040】
図5は、第1の実施形態における位置情報の検出処理手順を示すフローチャートである。
図5は、
図2のステップS104の処理に対応する。また、
図6は、第1の実施形態における位置情報の検出を説明するための図である。
【0041】
ステップS104−1:
図5に示すように、まず、領域導出部133bは、モデル画像を、モデル画像が予め記憶された記憶部132から読み出す。なお、この場合、領域導出部133bは、例えば、ステップS101で設定された撮像条件(プロトコル等)を判定し、その目的に合致したモデル画像を読み出す。第1の実施形態において、モデル画像とは、予め被検体P(例えば、標準的な1人の患者)をMRI装置100によって撮像することで得られたMR画像である。また、実施形態はこれに限られるものではなく、モデル画像として、例えば、複数の患者を撮像することで得られた画像の平均画像を用いてもよい。また、モデル画像は、画像処理が施された画像でもよい。
【0042】
図6において、モデル画像M1及びモデル画像M2は、右横隔膜の凸面の頂点位置P1、及び、心臓の上端位置P2及び下端位置P3が既知であるモデル画像であり、いずれも同じモデル画像である。一方、入力画像I1は、
図2のステップS103で生成された画像であり、入力画像I2は、この入力画像I1に対して、後述する剛体変形若しくは非剛体変形の画像処理を行った画像である。また、合成画像F1は、モデル画像M1と入力画像I1との合成画像であり、合成画像F2は、モデル画像M2と入力画像I2との合成画像である。なお、合成画像F1及び合成画像F2は、いずれも、2つの画像の差分を説明するためのものであり、領域導出部133bによる位置情報検出処理に用いられるものではない。なお、いずれの画像も、3次元の画像である。
【0043】
ステップS104−2:
図5に戻り、領域導出部133bは、モデル画像に一致するように、入力画像に対して剛体変形若しくは非剛体変形の画像処理(g)を行う。例えば、領域導出部133bは、下記の(1)式を解き、画像変形パラメータを求めるレジストレーションを行う。
【数1】
【0044】
(1)式における『i』は、画像の位置ベクトルであり、『I(i)』は、位置iにおける入力画像の画素値であり、『M(i)』は、位置iにおけるモデル画像の画素値である。また、関数『E』は、入力画像とモデル画像との類似度の評価関数である。関数『E』は、類似しているほど値が低くなる関数であり、対応画素同士の二乗誤差の総和等で実現される。また、関数『g』は、画像変形の関数であり、剛体変形や、Affine変換、Thin−Plate−Spline変換等の非剛体変形の関数である。
【0045】
例えば、
図6では、モデル画像M1(若しくはモデル画像M2)に一致するように、入力画像I1に対して、剛体変形若しくは非剛体変形の画像処理(g)を行った結果、入力画像I2が得られた様子を示す。合成画像F1に比較して、合成画像F2は、2つの画像の差分が少なくなっている。
【0046】
ステップS104−3:
図5に戻り、領域導出部133bは、剛体変形若しくは非剛体変形後の入力画像で、右横隔膜の凸面の頂点位置、並びに、心臓の上端位置及び下端位置を特定する。例えば、
図6に示すように、モデル画像M2では、右横隔膜の凸面の頂点位置、並びに、心臓の上端位置及び下端位置が、3次元で既知である。そこで、モデル画像M2と一致するように剛体変形若しくは非剛体変形された入力画像I2でも、同じ位置に、右横隔膜の凸面の頂点位置、並びに、心臓の上端位置及び下端位置を特定することができる。なお、各位置は、点で特定されてもよいし、ある程度の範囲を有する領域で特定されてもよい。
【0047】
ステップS104−4:続いて、領域導出部133bは、剛体変形若しくは非剛体変形後の入力画像を元の入力画像に逆変形する画像処理(g
-1)を行う。すると、
図6に示すように、領域導出部133bは、逆変形後の入力画像I1上に、右横隔膜の凸面の頂点位置、並びに、心臓の上端位置及び下端位置を特定することができる。
【0048】
なお、横隔膜の頂点位置、並びに、心臓の上端位置及び下端位置の自動検出手法は、上述したレジストレーション処理に限られるものではない。例えば、領域導出部133bは、横隔膜の頂点位置、心臓の上端位置、及び、心臓の下端位置それぞれを中心とした周囲パターンを考え、平均画像をテンプレートとしてマッチングする処理や、サポートベクタマシン等の識別器を用いた処理によって、自動検出してもよい。
【0049】
ステップS105:
図2に戻り、領域導出部133bは、ステップS104において検出したこれらの位置情報に基づいて、動き検出パルスの印加領域、及び、マルチスライス像の撮像領域を導出する。
【0050】
図7及び
図8は、第1の実施形態における各種領域の導出を説明するための図である。例えば、
図7に示すように、入力画像I1上には、右横隔膜の凸面の頂点位置P1、心臓の上端位置P2、及び心臓の下端位置P3が、特定されている。また、
図7に示すように、動き検出パルスの印加領域MP1及びMP2は、その直方体の大きさが予め定められている。なお、第1の実施形態においては、動き検出パルスの印加方式として、SE(Spin Echo)法の励起パルスとリフォーカスパルスとを交差させて四角柱状の領域を励起する2面の交差方式を採用する。このため、動き検出パルスの印加領域は、MP1及びMP2の2つである。
【0051】
そこで、例えば、領域導出部133bは、右横隔膜の凸面の頂点位置P1が、交差する四角柱状の領域(
図7において実線で表現)の中心に位置付けられるように、予め大きさの定まった直方体の印加領域MP1及びMP2を設定する。なお、領域導出部133bは、印加領域MP1及びMP2が、対象である心臓の領域と重ならないように、その交差具合を調整する。これは、心臓の領域からMRデータが収集される直前に、動き検出パルスの印加領域からMRデータが収集される場合、心臓の領域に印加領域が重なってしまうと、縦磁化の回復との関係で、心臓の画像にアーチファクトが生じてしまうおそれがあるからである。
【0052】
また、例えば、領域導出部133bは、入力画像I1上で特定された、心臓の上端位置P2及び下端位置P3に基づいて、マルチスライス像の撮像領域を導出する。
図8に示すように、例えば、領域導出部133bは、心臓の上端位置及び下端位置を含む所定範囲、すなわち、心臓の上端位置から頭方向に所定のオフセットL1を取った位置と、心臓の下端位置から足方向に所定のオフセットL2を取った位置とを、スライス方向の撮像領域として導出する。
【0053】
このオフセットL1及びL2の長さには、固定の値を用いてもよく、被検体P毎に異なる可変の値を用いてもよい。例えば、領域導出部133bは、被検体Pの身長、体重等の体型を示す情報や、被検体Pの年齢、性別、心拍数、脈拍数、病歴、運動歴、喫煙歴等の情報を予め取得し、これらの情報に基づいて、オフセットトL1及びL2の長さを変更してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、設定可能な情報について操作者から設定を受け付ける等して、オフセットL1及びL2の長さを変更してもよい。
【0054】
なお、領域導出部133bは、マルチスライス像の撮像領域のうち、左右方向及び背腹方向については、例えば、少なくとも心臓が含まれる範囲となるように予め定めた固定の値を用いればよい。また、例えば、領域導出部133bは、頭足方向の撮像領域と同様に、被検体P毎に異なる可変の値を用いてもよい。
【0055】
なお、上述では、予め、動き検出パルスの印加領域や、マルチスライス像の撮像領域のうち、左右方向及び背腹方向については、予めその大きさを定めておく例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、領域導出部133bは、入力画像上で特定した心臓の大きさや、右横隔膜の凸面の頂点と心臓との距離等の情報に基づいて、適宜、各種領域の大きさや向きを調整してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、モデル画像上で、直方体の各種領域自体を設定しておいてもよい。この場合、逆変形の過程で、各種領域が直方体の形状を維持できなくなると考えられるが、逆変形後に、領域導出部133bが、直方体の形状に整えてもよい。
【0056】
こうして、領域導出部133bによって、動き検出パルスの印加領域、及び、マルチスライス像の撮像領域が導出された。なお、
図2では説明を省略するが、領域導出部133bは、この段階で、領域導出部133bによって導出された各種領域を操作者に確認させるための確認画面を表示部135に表示してもよい。
【0057】
ステップS106:次に、シーケンス制御部120は、各種準備スキャンを行った後、被検体Pの自然呼吸下で、ステップS101で設定された呼吸時相のマルチスライス像を収集する。また、シーケンス制御部120は、横隔膜の頂点位置から呼吸動を検出することでマルチスライス像のMRデータの収集タイミングを制御し、所望の呼吸時相におけるマルチスライス像を収集する。
【0058】
なお、準備スキャンには、例えば、各コイルエレメント(若しくはチャネル)の配列方向の感度を示すプロファイルデータを収集するためのスキャン、各コイルエレメント(若しくはチャネル)の感度分布を示す感度マップを収集するためのスキャン、RFパルスの中心周波数を求めるためのスペクトラムデータを収集するためのスキャン、静磁場の均一性を調整するために補正コイル(図示を省略)に流す電流値を求めるためのスキャン等がある。なお、準備スキャンは、必ずしもこのタイミングで行わなければならないものではない。例えば、準備スキャンは、マルチスライス像の収集の後に行われてもよい。また、感度マップは、通常、画像生成処理までに収集されればよい。
【0059】
図9及び10は、第1の実施形態におけるマルチスライス像の収集を説明するための図である。第1の実施形態において、シーケンス制御部120は、動き検出パルスの印加領域から収集されたMRデータを1次元フーリエ変換することで横隔膜の頂点位置を検出し、検出した頂点位置から呼吸時相を特定する。また、シーケンス制御部120は、心電信号に同期しながら、マルチスライス像の撮像領域からMRデータを収集する直前に、動き検出パルスの印加領域からMRデータを収集し、特定した呼吸時相が所望の呼吸時相であった場合に、マルチスライス像のMRデータを収集する。
【0060】
図9において、白丸及び黒丸は、心電信号に同期した、動き検出パルスの印加領域からMRデータを収集するタイミングを示す。また、横隔膜の頂点位置が点線で示される区間内の場合に、所望の呼吸時相の区間であることを示す。即ち、白丸は、心電信号に同期した収集タイミングではあるが、所望の呼吸時相ではないことを示す。この場合、シーケンス制御部120は、マルチスライス像のMRデータを収集しない。一方、黒丸は、心電信号に同期した収集タイミングであり、且つ、所望の呼吸時相であることを示す。この場合、シーケンス制御部120は、動き検出パルスを印加した直後に、マルチスライス像のMRデータを収集する。
【0061】
図10では、心電信号と、横隔膜の頂点位置と、MRデータの収集タイミングとを示す。第1の実施形態においては、心位相が「拡張期」、且つ、呼吸時相が「吐き止め」のマルチスライス像が収集される。そこで、シーケンス制御部120は、心電信号に同期して、拡張期のタイミングで動き検出パルスのMRデータを収集し(
図10において黒塗りの四角)、このMRデータから検出される横隔膜の頂点位置が所望の呼吸時相の区間内であれば、その直後に、例えば1スライス分のマルチスライス像を収集する(
図10において白塗りの四角)。一方、シーケンス制御部120は、動き検出パルスのMRデータから検出される横隔膜の頂点位置が所望の呼吸時相の区間外であれば、その直後のマルチスライス像の収集を行わない(
図10において点線の四角)。
【0062】
例えば、
図10に示す例の場合、マルチスライス像のうちのスライス1が収集された後、2回の拡張期のタイミングでは、所望の呼吸時相の区間内ではないため収集が行われず、その後、スライス2、スライス3が収集される。このように、シーケンス制御部120は、自由呼吸下で、ある一定期間、マルチスライス像を収集するプロトコルを実行し、心位相が「拡張期」、且つ、呼吸時相が「吐き止め」のタイミングで、例えば18スライス分のマルチスライス像を収集する。なお、シーケンス制御部120は、心位相が「拡張期」、且つ、呼吸時相が「吐き止め」となるタイミングが18回分確保可能な、ある程度長い期間を設定してプロトコルを実行してもよい。あるいは、シーケンス制御部120は、18スライス分のマルチスライス像が収集された段階で、プロトコルの実行を終了してもよい。なお、ここでは、説明の便宜上、「マルチスライス像の収集」と述べるが、シーケンス制御部120によって収集された、1スライス分のMRデータを画像生成部136が再構成することで、マルチスライス像のうちの1スライス分が生成される。
【0063】
ステップS107:
図2に戻り、撮像条件設定部133aが、シーケンス制御部120によって収集されたマルチスライス像から、診断用断面像の位置情報である断面位置を算出する。例えば、撮像条件設定部133aは、マルチスライス像から、心臓の特徴部位の位置を検出し、検出した位置に基づいて、診断用断面像を位置決めするための位置決め画像全ての断面位置(例えば、長軸ベクトル、短軸ベクトル等)を算出する。ここで、位置決め画像として算出される各断面像は、互いに交差する関係にある。そして、撮像条件設定部133aは、算出した断面位置に基づいて、位置決め画像の断面像全てを算出する。
【0064】
ステップS108:続いて、撮像条件設定部133aは、算出したこれらの断面像を、例えば、6断面像並べて、表示部135に表示する。
図11は、第1の実施形態における位置決め用のGUIを示す図である。例えば、撮像条件設定部133aは、
図11に示すように、位置決め画像として、垂直長軸像(VLA(Vertical Long Axis))、水平長軸像(HLA(Horizontal Long Axis))、左室短軸像(SA(Short Axis))、四腔断面像(4ch)、二腔断面像(2ch)、三腔断面像(3ch)を並べて表示する。なお、撮像条件設定部133aは、
図11に示すように、各断面像上に、他の断面像との交差線情報を重畳表示してもよい。なお、
図11においては説明の便宜上表現を省略したが、6種類の各断面像は、例えば色分けされた枠に囲まれて表示され、その枠の色と交差線情報の色とを一致させることで、各断面像上に示される交差線が、どの断面像との交差線であるかを表現してもよい。
【0065】
ステップS109:そして、撮像条件設定部133aは、表示部135に表示した6断面像に対する位置決め操作を操作者から受け付け、位置決めが終了したか否かを判定する。
【0066】
ステップS110:シーケンス制御部120は、ステップS109において位置決めが終了すると、イメージングスキャンを実行する。
【0067】
なお、上述では、位置決め画像として6種類の基本断面像を生成し、また、前段の処理で確定した各基本断面像の位置に従ってイメージングスキャンを実行する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。まず、マルチスライス像から位置決め画像として生成する断面像の数、種類、また、これを一覧表示するか個別表示するか等は、任意に変更することができる。例えば、撮像条件設定部133aは、2種類以上の断面像を生成すればよい。ここで、位置決め画像として生成される断面像は、標準化プロトコルによって定められている断面像に限られず、任意の断面像であってよい。また、イメージングスキャンで収集する断面像についても、その数、種類等を、任意に変更することができる。例えば、シーケンス制御部120は、1種類以上の断面像を収集すればよい。
【0068】
また、位置決め画像として生成する断面像の数、種類は、イメージングスキャンで収集する断面像の数、種類に必ずしも依存するものではない。例えば、当初の計画では予定していなかった断面像を後の計画変更で収集する場合もある。新たな断面像を収集するたび基本断面像の位置決めからやり直すとすると、その分操作者に手間が生じることにもなる。この点、例えば、イメージングスキャンで予定されている断面像よりも多くの種類の断面像についてその位置決めが事前に終了していれば、このような計画変更にも柔軟に対応することが可能になる。
【0069】
(第1の実施形態の変形例1)
上述した第1の実施形態では、心電同期の下、1つの心位相(「拡張期」)のタイミングで、且つ呼吸時相のタイミングも合った場合にMRデータを収集する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。シーケンス制御部120は、例えば、2つ以上の心位相のタイミングで、MRデータを収集してもよい。この場合、シーケンス制御部120は、心位相の異なる2セット分のマルチスライス像を得ることができる。
【0070】
図12は、第1の実施形態の変形例1におけるマルチスライス像の収集を説明するための図である。例えば、
図12に示すように、シーケンス制御部120は、心電信号に同期して、まず収縮期のタイミングで動き検出パルスのMRデータを収集し(
図12において黒塗りの四角)、このMRデータから検出される横隔膜の頂点位置が所望の呼吸時相の区間内であれば、その直後に、例えばマルチスライス像のうちの1スライス分を収集する(
図12において白塗りの四角)。一方、シーケンス制御部120は、動き検出パルスのMRデータから検出される横隔膜の頂点位置が所望の呼吸時相の区間外であれば、その直後のマルチスライス像の収集を行わない(
図12において点線の四角)。また、シーケンス制御部120は、続いて、拡張期のタイミングで動き検出パルスのMRデータを収集し(
図12において黒塗りの四角)、このMRデータから検出される横隔膜の頂点位置が所望の呼吸時相の区間内であれば、その直後に、例えばマルチスライス像のうちの1スライス分を収集する(
図12において白塗りの四角)。一方、シーケンス制御部120は、動き検出パルスのMRデータから検出される横隔膜の頂点位置が所望の呼吸時相の区間外であれば、その直後のマルチスライス像の収集を行わない(
図12において点線の四角)。
【0071】
(第1の実施形態の変形例2)
また、上述した変形例1では、「収縮期」及び「拡張期」両方のタイミングで、同一のスライスを収集する例を説明した。即ち、「収縮期」のタイミングで「スライス1」を収集した後、「拡張期」のタイミングでも、同じく「スライス1」を収集した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。
図13は、第1の実施形態の変形例2におけるマルチスライス像の収集を説明するための図である。例えば、シーケンス制御部120は、
図13に示すように、「収縮期」と「拡張期」とで同一のスライスを収集するのではなく、1回の収集で1スライス分を収集した後、次の収集では次のスライスを収集する。例えば、シーケンス制御部120は、「収縮期」で「スライス1」を収集した後、同じ心拍内の「拡張期」では「スライス2」を収集する。
図13では、「スライス3」から「スライス16」までの図示を省略する。そして、例えば、シーケンス制御部120は、「スライス18」までの収集を終えると、今度は、「スライス18」から逆順で収集を行うことで、「収縮期」及び「拡張期」のそれぞれについて、18スライス分のマルチスライス像を収集する。
【0072】
(第1の実施形態の効果)
上述してきたように、第1の実施形態によれば、先に収集した3次元MRデータから横隔膜の頂点位置を自動検出し、自動検出した頂点位置に基づき動き検出パルスの印加領域を自動設定することで、自由呼吸下におけるマルチスライス像の収集を簡易に実現することができる。
【0073】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、1つの呼吸時相のタイミングでMRデータを収集する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。シーケンス制御部120は、例えば、2つ以上の呼吸時相のタイミングで、MRデータを収集してもよい。この場合、シーケンス制御部120は、呼吸時相の異なる2セット分のマルチスライス像を得ることができる。
【0074】
図14及び15は、第2の実施形態におけるマルチスライス像の収集を説明するための図である。
図14に示すように、所望の呼吸時相は、呼吸時相1(「吐き止め」)と、呼吸時相2(「吸い止め」)の2呼吸時相である。
【0075】
図15に示すように、第2の実施形態においては、心位相が「拡張期」、且つ、呼吸時相が「吐き止め」のマルチスライス像と、心位相が「拡張期」、且つ、呼吸時相が「吸い止め」のマルチスライス像とが収集される。そこで、シーケンス制御部120は、心電信号に同期して、拡張期のタイミングで動き検出パルスのMRデータを収集し(
図15において黒塗りの四角)、このMRデータから検出される横隔膜の頂点位置が、「吐き止め」若しくは「吸い止め」のいずれかの区間内であれば、その直後に、例えばマルチスライス像のうちの1スライス分を収集する(
図15において白塗りの四角)。一方、シーケンス制御部120は、動き検出パルスのMRデータから検出される横隔膜の頂点位置が、「吐き止め」若しくは「吸い止め」のいずれの区間内でもなければ、その直後のマルチスライス像の収集を行わない(
図15において点線の四角)。
【0076】
このように、シーケンス制御部120は、自由呼吸下で、ある一定期間、マルチスライス像を収集するプロトコルを実行し、心位相が「拡張期」、且つ、呼吸時相が「吐き止め」のタイミング、並びに、心位相が「拡張期」、且つ、呼吸時相が「吸い止め」のタイミングで、それぞれ、例えば18スライス分のマルチスライス像を収集する。なお、シーケンス制御部120は、それぞれのタイミングが18回分ずつ確保可能な、ある程度長い期間を設定してプロトコルを実行してもよい。あるいは、シーケンス制御部120は、18スライス分のマルチスライス像が2セット分収集された段階で、プロトコルの実行を終了してもよい。
【0077】
なお、このように複数セット分のマルチスライス像が収集された場合、例えば、撮像条件設定部133aは、算出したこれらの断面像を、例えば、12断面像並べて、表示部135に表示してもよい。
図16は、第2の実施形態における位置決め用のGUIを示す図である。
図16に示すように、撮像条件設定部133aは、例えば、呼吸時相が「吸い止め」のタイミングで収集されたマルチスライス像から生成された6断面像と、呼吸時相が「吐き止め」のタイミングで収集されたマルチスライス像から生成された6断面像とを、並べて表示部135に表示する。
【0078】
(第2の実施形態の効果)
上述してきたように、第2の実施形態によれば、2以上の呼吸時相を設定し、1つのプロトコルで実行されるパルスシーケンス内で、2以上の呼吸時相分のマルチスライス像を同時に収集するので、複数の呼吸時相に対応するマルチスライス像を後段の処理に提供することができる。
【0079】
例えば、診断用断面像と呼吸時相との組み合わせを適宜選択することが可能になる。また、後段のイメージングスキャンにおいて、例えば「吸い止め」のマルチスライス像で位置決めをすることが望ましいイメージングスキャンと、例えば「吐き止め」のマルチスライス像で位置決めをすることが望ましいイメージングスキャンとが混在している場合に、その両方に対応することができる。また、当初予定していなかったプロトコルが追加になった場合にも、事前に複数の呼吸時相に対応するマルチスライス像を収集できているので、マルチスライス像の収集をやり直す必要もなく、対応することができる。
【0080】
なお、「プロトコル」とは、撮像条件の設定情報を含むパルスシーケンス情報である。MRI装置100による検査には、各種プリスキャンや、イメージングスキャンといった、一連のパルスシーケンス群が含まれる。また、各パルスシーケンスには、TR(Repetition Time)やTE(Echo Time)、FA(Flip Angle)等の撮像条件が設定される。MRI装置100は、これらの設定情報に従いながら、一連のパルスシーケンス群を順次実行する。
【0081】
MRI装置100は、これら撮像条件の設定情報(事前に設定されたプリセット情報を含む)を含むパルスシーケンス情報を「プロトコル」として管理し、提供している。例えば、医師や技師等の操作者は、検査の撮像計画を立てる際、MRI装置100が管理、提供するプロトコル群を撮像計画画面上に読み出し、プリセットされた設定情報を必要に応じて変更しながら、これらを撮像計画に組み入れる。
【0082】
このプロトコル群には、例えば、感度マップを収集するためのプロトコルや、シミングのためのプロトコル、マルチスライス像を収集するためのプロトコル、イメージングのためのプロトコル等が、それぞれ、1つ又は複数含まれる。また、イメージングのためのプロトコルは、例えば、心臓の基本断面像を収集するためのプロトコル、心臓全体における冠動脈の走行を画像化するためのプロトコル、シネ画像を収集するためのプロトコル等、画像化の目的別に存在する。即ち、1つの「プロトコル」は、操作者による何らか操作といった待ち時間を挟むことなく、連続的に一連の処理として実行されるパルスシーケンスの単位であると言うことができる。
【0083】
(その他の実施形態)
なお、実施形態は、上述した第1及び第2の実施形態に限られるものではない。
【0084】
(呼吸時相設定用のGUI)
上述した実施形態においては、呼吸時相設定用のGUIとして、呼吸時相として「吐き止め」若しくは「吸い止め」を選択させるチェックボックスを表示するGUIを説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。
【0085】
図17及び18は、その他の実施形態における呼吸時相設定用のGUIを示す図である。例えば、
図17に示すように、撮像条件設定部133aは、呼吸時相として、「吐き止め」と「吸い止め」との間の中間の呼吸時相をも選択可能なチェックボックスをGUIとして表示してもよい。また、例えば、
図18に示すように、スライダー型のGUIを表示してもよい。この場合、操作者は、例えば、マウス等の入力部134を介してつまみを調整することで、任意の呼吸時相を設定することができる。
【0086】
(非選択的収集)
また、上述した実施形態においては、心位相のうち、所望の心位相のデータが選択的に収集される例や、呼吸時相のうち所望の呼吸時相のデータが選択的に収集される例を説明してきた。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、シーケンス制御部120は、被検体の心周期や呼吸周期とは独立に、マルチスライス像のMRデータを連続的に収集してもよい。この場合、MRI装置100は、これと同時に、心電信号や呼吸信号のデータを併せて収集する。そして、画像生成部136が、心電信号や呼吸信号のデータを用いて、連続的に収集されたマルチスライス像のMRデータのうち所望の心位相や呼吸時相に対応するMRデータを特定し、特定したMRデータを用いて、選択的に、所望の心位相や呼吸時相におけるマルチスライス像を生成する。
【0087】
図19は、その他の実施形態におけるマルチスライス像の収集を説明するための図である。
図19の(A)に示すように、例えば、シーケンス制御部120は、呼吸時相が「吸い止め」のタイミングでMRデータを収集し、それ以外のタイミングではMRデータを収集しないものの、呼吸時相が「吸い止め」の区間内では、心周期とは独立に連続的にMRデータを収集する。また、
図19の(B)に示すように、例えば、シーケンス制御部120は、心周期とも呼吸時相とも独立に連続的にMRデータを収集する。
【0088】
(動き検出パルスの印加領域)
また、上述した実施形態においては、右横隔膜の凸面の頂点をランドマークとして動き検出パルスの印加領域を求めたが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、脾臓上の横隔膜の頂点位置(左横隔膜(心尖部側))をランドマークとして検出して動き検出パルスの印加領域を求めてもよい。また、この場合、例えば、領域導出部133bは、複数の印加領域の候補を求めて確認画面に表示し、操作者による選択を受け付けてもよい。また、例えば、領域導出部133bは、より適切な印加領域を判定して、最適な印加領域のみを確認画面に表示するか、あるいは優先順位とともに印加領域を表示してもよい。この判定は、例えば、心臓の撮像領域との重なり具合等を基準に行うことができる。なお、複数の候補を求める点等、上述した内容は、他の実施形態においても同様に適用することができる。
【0089】
また、例えば、上述した実施形態においては、動き検出パルスの印加方式として2面の交差方式を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、GE系のパルスシーケンスで用いられるペンシルビーム方式でもよい。
【0090】
また、例えば、上述した実施形態においては、動き検出パルスの印加領域から収集されたMRデータを1次元フーリエ変換することで横隔膜の移動量を検出する「1D Motion Probe」を用いた手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、「2D Motion Probe」を用いた手法でもよい。「2D Motion Probe」では、動き検出パルスの印加領域から収集されたMRデータに対して2次元フーリエ変換が施され、画像化されたデータに基づき、例えば、横隔膜の上下方向や前後方向の移動量が検出される。この場合、「2D Motion Probe」の断面設定は、特定された横隔膜の頂点位置(点)を通る体軸方向のラインを軸とした、例えば、2D水平断面として設定することができる。あるいは、重要な臓器、若しくは脈管系統の位置も特定できているため、横隔膜の頂点位置(点)を通る体軸方向のラインを軸として、これらの重要臓器等を避けるような角度で断面設定を行うようにしてもよい。
【0091】
(対象臓器)
また、第1の実施形態においては、対象とする臓器として心臓を想定したが、実施形態はこれに限られるものではなく、他の臓器でもよい。例えば、肝臓を対象としてもよい。
【0092】
(呼吸時相の設定)
また、上述した実施形態においては、マルチスライス像の収集対象となる呼吸時相を、操作者からの設定によって受け付ける手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、撮像条件設定時には、撮像条件設定部133aが、撮像条件設定用のGUIを表示し、操作者から、プロトコルの指定を受け付ける場合がある。例えば、MRI装置100は、ここで受け付けた、イメージングスキャンのプロトコルの指定に基づいて、所望の呼吸時相を判定し、その判定結果を、シーケンス制御部120によるタイミングの制御や、画像生成部136によって事後的に選択的に画像が生成される場合の制御に反映させてもよい。
【0093】
即ち、例えば、イメージングスキャンで実行されるプロトコルとして選択されたプロトコルが、呼吸時相「吸い止め」に適したプロトコルである場合には、シーケンス制御部120は、呼吸時相「吸い止め」のタイミングでマルチスライス像を収集するよう、タイミングを制御する。また、例えば、イメージングスキャンで実行されるプロトコルとして選択されたプロトコルが、呼吸時相「吸い止め」及び「吐き止め」の両方に適し得るプロトコルである場合には、シーケンス制御部120は、呼吸時相「吸い止め」及び「吐き止め」のタイミングでマルチスライス像を収集するよう、タイミングを制御する。
【0094】
(その他領域の導出)
また、上述した実施形態においては、領域導出用に収集したMRデータから、撮像領域の他に、動き検出パルスの印加領域を導出する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。領域導出部133bは、領域導出用に収集したMRデータから、空間的な位置の設定を伴う各種パルスの印加領域を導出することができる。例えば、領域導出部133bは、サチュレーションパルスや他のASLパルスの(1つ、又は複数の)印加領域を導出することができる。
【0095】
また、領域導出部133bは、領域導出用に収集したMRデータから各種パルスの印加領域を導出するだけでなく、その他の領域を導出してもよい。例えば、領域導出部133bは、MRデータから被検体Pに外接する直方体領域を検出し、この直方体領域より広い範囲を感度マップ撮像の撮像範囲として導出してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、MRデータから心臓に外接する直方体領域を検出し、この直方体領域を含む所定範囲をシミング撮像の撮像範囲として導出してもよい。
【0096】
(画像処理)
また、領域導出のための画像処理は、上述した実施形態に限られるものではない。上述した実施形態では、入力画像がモデル画像に一致するようにレジストレーションする手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、モデル画像を変形させて入力画像とレジストレーションさせることにより各領域を導出する手法でもよい。また、例えば、領域導出部133bは、モデル画像を用いない手法によって、撮像領域や関連領域を導出してもよい。例えば、領域導出部133bは、3次元画像に対して閾値処理を施すことによって、空気領域と空気以外の領域とにセグメンテーションする。続いて、領域導出部133bは、空気領域の境界に、横隔膜面モデルや、心臓を模した球体のモデルをあてはめることで、心臓や、横隔膜の凸面の頂点位置を検出する。そして、領域導出部133bは、これをランドマークとして、心臓の撮像領域や、動き検出パルスの印加領域を導出する。
【0097】
また、上述した実施形態において、モデル画像を用いた画像処理を説明したが、このモデル画像は、例えば、年齢や、既往症等に応じて、複数種類準備されていてもよい。上述した実施形態において、入力された撮像条件に基づいてモデル画像が選択される手法を説明したが、例えば、領域導出部133bは、検査のための項目として入力された、被検体Pの年齢や既往症等の情報に基づいて、適切なモデル画像を選択してもよい。
【0098】
また、上述した実施形態においては、入力された撮像条件に基づいてモデル画像等が選択される手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、領域導出用にMRデータが収集され、このMRデータから生成された3次元画像が、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則ったデータ構造で記憶部132に格納されたとする。この場合、領域導出部133bは、例えば、この3次元画像に付帯された付帯情報(例えば、『心臓』、『3D FFE』等)に基づいて、モデル画像等を選択してもよい。なお、付帯情報は、例えば、DICOM規格の付帯情報に限られず、MRI装置100固有の付帯される付帯情報であってもよい。
【0099】
(位置決め用に収集される、所定の呼吸時相のマルチスライス像)
また、上述した実施形態においては、マルチスライス像収集に先行して3次元MRデータを収集し、この3次元MRデータから検出された位置情報に基づき、マルチスライス像収集のための各種領域(例えば、動き検出パルスの印加領域)を自動設定する手法を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。3次元MRデータの収集は、必須の構成ではなく、マルチスライス像収集のための各種領域の自動設定も、必須の構成ではない。
【0100】
また、上述した実施形態において、呼吸動のモニタリングは、動き検出パルスを印加する手法で行ったが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、呼吸動のモニタリングは、被検体Pに装着された呼吸センサによって行われる手法でもよい。例えば、呼吸センサは、呼吸による動きを空気圧として検出し、検出した空気圧を電気信号に変換して呼吸信号として出力する。
【0101】
即ち、MRI装置100は、何らかの手法による呼吸同期撮像により、所定の呼吸時相のマルチスライス像のデータを収集し、収集したマルチスライス像のデータから、イメージングスキャンで収集される断面像の位置情報である断面位置情報を算出する。そして、MRI装置100は、算出した断面位置情報に基づいて、イメージングスキャンを実行する。
【0102】
(具体的な数値、処理の順序)
また、上述した実施形態において例示した具体的な数値や処理の順序は、原則として、一例に過ぎない。例えば、各種領域の導出に用いたランドマークは、任意に変更することができる。また、処理の順序についても、例えば、確認画面を表示しない処理手順等、任意に変更することができる。例えば、
図2に示した処理手順では、呼吸時相の設定をステップS101で行う例を説明したが、これに限られるものではなく、マルチスライス像の収集タイミング(ステップS106)までに設定されればよい。また、具体的なパルスシーケンスについても、任意に変更することができる。
【0103】
また、上述した実施形態においては、心位相としては「収縮期」や「拡張期」を例示し、呼吸時相としては「吸い止め」や「吐き止め」を例示して、そのうちの所定の組合せを例示して説明したが、いずれも一例に過ぎない。上述した実施形態以外の組合せや、上述した実施形態で例示した以外の心位相や呼吸時相との組合せ等、任意に変更可能である。
【0104】
(イメージングスキャンにおける呼吸時相の制御)
また、上述した第2の実施形態では、2以上の呼吸時相でマルチスライス像を収集する場合の例を説明したが、この場合には、前述したように、複数の呼吸時相に対応するマルチスライス像を後段のイメージングスキャンに提供することができる。例えば、イメージングスキャンの実行において、撮像データを収集する呼吸時相を適宜に切り替えることができるようになる。以下では、2以上の呼吸時相でマルチスライス像を収集した場合について、イメージングスキャンにおける呼吸時相の制御に関する実施形態を説明する。
【0105】
例えば、イメージングスキャンが、「吐き止め」及び「吸い止め」の少なくとも一方において診断用の撮像データを収集するものであった場合には、シーケンス制御部120は、イメージングスキャンの実行において、撮像データを収集する際に用いる位置決めに関する情報を適宜に切り替える。
【0106】
具体的には、シーケンス制御部120は、「吐き止め」のときに撮像データを収集する場合には、「吐き止め」のときに収集されたマルチスライス像を用いて行われた位置決めに関する情報に基づいて撮像データを収集し、「吸い止め」のときに撮像データを収集する場合には、「吸い止め」のときに収集されたマルチスライス像を用いて行われた位置決めに関する情報に基づいて撮像データを収集する。
【0107】
この場合には、例えば、撮像条件設定部133aが、「吐き止め」及び「吸い止め」のいずれか一方を、イメージングスキャンにおいて撮像データを収集する呼吸時相として設定する。そして、シーケンス制御部120は、イメージングスキャンの実行において、撮像条件設定部133aによって設定された呼吸時相で撮像データを収集する。
【0108】
例えば、撮像条件設定部133aは、「吐き止め」及び「吸い止め」のうちのいずれか一方の呼吸時相を選択する操作を操作者から受け付け、当該操作によって選択された呼吸時相を、イメージングスキャンにおいて診断用の撮像データを収集する呼吸時相として設定する。
【0109】
なお、イメージングスキャンでは、複数のプロトコルが実行される場合もある。例えば、MRI装置による心臓検査法では、複数種類の検査が行われるため、イメージングスキャンとして、検査ごとにあらかじめ決められた複数のプロトコルが順次実行される。一例として、MRI装置による心臓検査法では、シネ検査、フロー検査、パフュージョン検査、LGE(Late Gadolinium Enhancement)検査、冠動脈検査が行われる。
【0110】
ここで、シネ検査は、心筋や弁の形及び動きを観察するための検査であり、シネ画像を収集するためのプロトコルが実行される。また、フロー検査は、血液の逆流の有無を判別するための検査であり、血流の流れの速さを画像化するためのプロトコルが実行される。また、パフュージョン検査では、虚血の有無を判別するための検査であり、造影剤を用いてパフュージョン画像を収集するためのプロトコルが実行される。また、LGE検査は、心筋梗塞の有無を判別するための検査であり、遅延造影画像を収集するためのプロトコルが実行される。また、冠動脈検査は、冠動脈の狭窄の有無を判別するための検査であり、心臓全体における冠動脈の走行を画像化するためのプロトコルが実行される。
【0111】
これらのプロトコルのうち、シネ検査、フロー検査、パフュージョン検査、及びLGE検査のプロトコルは、被検体が息止めした状態で、撮像データの収集が行われる。そして、これらのプロトコルでは、事前に収集されたマルチスライス像を用いて行われた位置決めに関する情報に基づいて、撮像データの収集が行われる。なお、冠動脈検査のプロトコルでは、自由呼吸下で、心臓全体の撮像データが収集される。
【0112】
例えば、シネ検査やフロー検査で用いられるプロトコルでは、10〜20秒位の息止めが、10〜20回程度繰り返し行われる。また、パフュージョン検査で用いられるプロトコルでは、心臓全体にわたって造影剤の灌流状態を観察するため、1分位の息止めが行われる。また、LGE検査で用いられるプロトコルでは、造影剤が流れきらない部分を観察するため、20秒位の息止めが5回程度繰り返される。
【0113】
このように、イメージングスキャンが、複数のプロトコルを順次実行するものであった場合には、例えば、撮像条件設定部133aは、被検体が息止めした状態で撮像データを収集するプロトコルについて、プロトコルごとに、撮像データを収集する呼吸時相を設定する。そして、シーケンス制御部120は、イメージングスキャンの実行において、プロトコルごとに、撮像条件設定部133aによって設定された呼吸時相のときに収集されたマルチスライス像を用いて行われた位置決めに関する情報に基づいて、当該呼吸時相で診断用の撮像データを収集する。
【0114】
例えば、撮像条件設定部133aは、イメージングスキャンの実行が開始される前に、被検体が息止めした状態で撮像データを収集するプロトコルについて、プロトコルごとに、
図3、17又は18に示したGUIと同様のGUIを介して、操作者から呼吸時相の指定を受け付ける。そして、撮像条件設定部133aは、プロトコルごとに、操作者から受け付けた呼吸時相を、撮像データを収集する呼吸時相として設定する。
【0115】
ここで、例えば、撮像条件設定部133aは、最初のプロトコルの実行が開始される前に、全てのプロトコルの呼吸時相を設定してもよいし、個々のプロトコルが開始される直前に、次に実行されるプロトコルの呼吸時相を設定してもよい。または、撮像条件設定部133aは、操作者からの要求に応じて、任意のタイミングで、操作者から指定されたプロトコルの呼吸時相を設定してもよい。
【0116】
このように、被検体が息止めした状態で撮像データを収集するプロトコルについて、プロトコルごとに、撮像データを収集する呼吸時相を設定することで、例えば、検査の状況や被検体である患者の状態に応じて、プロトコルごとに呼吸時相を切り替えることができるようになる。
【0117】
一般的に、「吐き止め」は、「吸い止め」と比べて、息止めした際の横隔膜の位置が安定するが、被検体である患者への負担は大きいことが知られている。一方、「吸い止め」は、「吐き止め」と比べて、息止めした際の横隔膜の位置が不安定であるが、被検体である患者への負担は小さいことが知られている。
【0118】
このようなことから、例えば、心臓の検査において、比較的息止め時間が短く、また複数断面位置を何回かに分けて撮像するため呼吸位置の高い精度が要求されるシネ検査については、横隔膜の位置が安定する「吐き止め」で撮像データを収集し、それ以外のプロトコルについては、患者への負担が小さい「吸い止め」で撮像データを収集するように、各プロトコルの呼吸時相を設定する。これにより、検査に要求される精度や患者への負担に応じて、撮像データを収集する呼吸時相を適切に切り替えることができる。
【0119】
また、個々のプロトコルが開始される直前に呼吸時相を設定することによって、例えば、「吐き止め」で撮像データを収集するプロトコルを続けた場合に、検査を進める途中で患者の疲労が予想以上に大きくなったときには、それ以降のプロトコルについては負担が小さい「吸い止め」で撮像データを収集するように、呼吸時相を切り替えることができる。これにより、被検体である患者への息止めによる負担を軽減することや、患者の疲労により検査が途中で中断せざる得ない状況を回避することができる。
【0120】
なお、イメージングスキャンにおいて撮像データを収集する呼吸時相を設定する方法は、上述した方法に限られない。
【0121】
例えば、被検体が息止めした状態で撮像データを収集するプロトコルが実行される場合には、プロトコルが実行されるタイミングで、被検体に対して、息止めする呼吸時相が通知されることが多い。例えば、シーケンス制御部120が、MRI装置100に設けられた音声マイクを介して、息止めする呼吸時相を音声で通知する。例えば、シーケンス制御部120は、「吐き止め」及び「吸い止め」のいずれかにおいて、被検体が息止めした状態で撮像データを収集するプロトコルが実行される場合には、息止めする呼吸時相として、「吐き止め」及び「吸い止め」のいずれかを通知する。
【0122】
このような場合には、例えば、イメージングスキャンが実行される前に、操作者によって、イメージングスキャンにおいて息止めする呼吸時相として、「吐き止め」及び「吸い止め」のいずれを被検体に通知するかが選択される。例えば、撮像条件設定部133aは、この操作者による呼吸時相の選択に連動させて、イメージングスキャンにおいて撮像データを収集する呼吸時相を設定してもよい。
【0123】
例えば、撮像条件設定部133aは、イメージングスキャンにおいて息止めする呼吸時相として「吐き止め」及び「吸い止め」のいずれを被検体に通知するかを選択する操作を操作者から受け付ける。そして、撮像条件設定部133aは、当該操作によって選択された呼吸時相を、イメージングスキャンにおいて診断用の撮像データを収集する呼吸時相として設定する。
【0124】
図20は、その他の実施形態における呼吸時相設定用のGUIを示す図である。例えば
図20に示すように、撮像条件設定部133aは、複数のプロトコルについて、「吐き止め」及び「吸い止め」それぞれに対応する2つのチェックボックスをプロトコルごとに配置したリスト状のGUIを表示部135に表示する。
【0125】
ここで、
図20に示す例は、心臓の検査「Whole Heart」で実行されるプロトコルの例を示しており、「Cine」はシネ検査用のプロトコルを、「Flow」はフロー検査用のプロトコルを、「Perfusion」はパフュージョン検査用のプロトコルを、「LGE」はLGE検査用のプロトコルを、それぞれ示している。
【0126】
例えば、撮像条件設定部133aは、イメージングスキャンにおける最初のプロトコルが実行される前に、操作者からの要求に応じて、
図20に示すGUIを表示部135に表示する。その後、撮像条件設定部133aは、表示したGUIを介して、プロトコルごとに、「吐き止め」及び「吸い止め」のいずれかのチェックボックスをチェックする操作を操作者から受け付ける。そして、撮像条件設定部133aは、プロトコルごとに、チェックボックスがチェックされた方の呼吸時相を、イメージングスキャンにおいて撮像データを収集する呼吸時相として設定する。
【0127】
このように、撮像条件設定部133aが、息止めをする呼吸時相として被検体に通知する呼吸時相を選択する操作に連動させて、イメージングスキャンにおいて撮像データを収集する呼吸時相を設定することによって、イメージングスキャンにおける呼吸時相を効率よく設定することができる。
【0128】
なお、ここでは、操作者から呼吸時相の指定を受け付ける場合の例を説明したが、呼吸時相を設定する方法は、これに限られない。例えば、撮像計画時に操作者によって指定されたプロトコルや、他のシステムから取得した被検体に関する情報などに基づいて、撮像データを収集する呼吸時相を設定してもよい。
【0129】
例えば、撮像条件設定部133aは、イメージングスキャンにおいて実行されるプロトコルを指定する操作を操作者から受け付け、当該操作によって指定されたプロトコルに基づいて、撮像データを収集する呼吸時相を設定する。
【0130】
例えば、前述したように、MRI装置100が、検査の単位ごとに複数のプロトコルをまとめたプロトコル群を管理、提供している場合には、あらかじめ、イメージングスキャンで用いられる各プロトコルの設定情報に、撮像データを収集する呼吸時相を含めておく。ここでいう呼吸時相を示す情報は、例えば、「吐き止め」を示す情報や、「吸い止め」を示す情報などである。
【0131】
そして、撮像条件設定部133aは、医師や技師等の操作者が撮像計画を立てる際に、提供するプロトコル群の中から、イメージングスキャンで実行されるプロトコルを含む所望のプロトコル群を選択する操作を操作者から受け付ける。このとき、操作者は、MRI装置100によって管理、提供されているプロトコル群の中から、検査対象の部位や検査の種類、目的などに応じて適宜にプロトコル群を選択する。
【0132】
さらに、撮像条件設定部133aは、選択されたプロトコル群に対して、必要なプロトコルを追加したり、不要なプロトコルを削除したりする操作を受け付けることで、1つ又は複数のプロトコルを指定する操作を操作者から受け付ける。このとき、例えば、撮像条件設定部133aは、あらかじめ記憶部132に記憶されているプロトコルの設定情報の中から、指定されたプロトコルの設定情報を読み出す。そして、撮像条件設定部133aは、読み出した設定情報に含まれる呼吸時相を示す情報に基づいて、イメージングスキャンで実行されるプロトコルにおいて撮像データを収集する呼吸時相を設定する。
【0133】
このように、MRI装置100が管理、提供するプロトコル群の情報に含まれる呼吸時相を示す情報に基づいて、イメージングスキャンにおける呼吸時相を自動的に設定することによって、呼吸時相の設定にかかる操作者の負担を軽減することができる。
【0134】
なお、例えば、MRI装置100は、同じ種類の検査について、若齢者用と高齢者用、初診患者用と経過観察患者用というように、検査の目的に応じてプロトコル群を分けて管理、提供する。例えば、そのような場合に、各プロトコル群について、同じ種類のプロトコルであっても、撮像データを収集する呼吸時相を変えてもよい。
【0135】
例えば、心臓の検査について、若齢者用や初診患者用のプロトコル群では、全てのプロトコルについて、横隔膜の位置が安定する「吐き止め」で撮像データを収集するように、各プロトコルの呼吸時相を設定する。また、例えば、同じく心臓の検査について、高齢者用や経過観察患者用のプロトコル群では、高い精度が要求されるシネ検査について、横隔膜の位置が安定する「吐き止め」で撮像データを収集し、それ以外のプロトコルについては、患者への負担が小さい「吸い止め」で撮像データを収集するように、各プロトコルの呼吸時相を設定する。これにより、検査の目的に応じて、撮像データを収集する呼吸時相を適切に切り替えることができる。
【0136】
また、撮像条件設定部133aは、操作者からの要求に応じて、
図20に示したGUIを表示部135に表示し、プロトコルごとに、プロトコルの情報に基づいて設定した呼吸時相を示す情報をチェックボックスに表示してもよい。そして、撮像条件設定部133aは、GUIを介して、プロトコルごとに、呼吸時相を変更する操作を受け付けて、設定済みの呼吸時相を変更してもよい。これにより、操作者が、任意の時点で、自動的に設定された呼吸時相を、検査の状況や被検体の状態などに応じて適宜に変更することができるようになる。
【0137】
また、例えば、撮像条件設定部133aは、検査対象の被検体に関する属性情報又は過去の検査情報を取得し、取得した情報に基づいて、イメージングスキャンにおいて撮像データを収集する呼吸時相を設定してもよい。
【0138】
例えば、撮像条件設定部133aは、MRI装置100が、被検体である患者の情報を管理している他のシステムにネットワーク経由で接続されている場合には、そのシステムから検査対象の被検体に関する属性情報又は過去の検査情報を取得する。ここでいう他のシステムは、例えば、病院情報システム(Hospital Information System:HIS)や放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)などである。
【0139】
そして、例えば、撮像条件設定部133aは、取得した被検体に関する属性情報に基づいて、イメージングスキャンにおいて撮像データを収集する呼吸時相を設定する。例えば、撮像条件設定部133aは、心臓の検査で実行される複数のプロトコルについて、被検体の年齢が所定の年齢以下である場合には、全てのプロトコルについて、横隔膜の位置が安定する「吐き止め」で撮像データを収集するように呼吸時相を設定する。一方、被検体の年齢が所定の年齢を超えている場合には、撮像条件設定部133aは、高い精度が要求されるシネ検査については、横隔膜の位置が安定する「吐き止め」で撮像データを収集し、それ以外のプロトコルについては、患者への負担が小さい「吸い止め」で撮像データを収集するように呼吸時相を設定する。これにより、被検体の属性に応じて、イメージングスキャンにおいて撮像データを収集する呼吸時相を適切に切り替えることができる。
【0140】
また、例えば、撮像条件設定部133aは、取得した被検体に関する過去の検査情報に基づいて、イメージングスキャンにおいて撮像データを収集する呼吸時相を設定する。例えば、撮像条件設定部133aは、心臓の検査で実行される複数のプロトコルについて、被検体が初診である場合には、全てのプロトコルについて、横隔膜の位置が安定する「吐き止め」で撮像データを収集するように呼吸時相を設定する。一方、被検体が過去に同様の心臓の検査をしており、心臓の検査に含まれる複数の検査のうち、特に重要視すべき検査がある場合には、その検査については、横隔膜の位置が安定する「吐き止め」で撮像データを収集し、それ以外のプロトコルについては、患者への負担が小さい「吸い止め」で撮像データを収集するように呼吸時相を設定する。これにより、被検体の検査状況に応じて、イメージングスキャンにおいて撮像データを収集する呼吸時相を適切に切り替えることができる。
【0141】
(心位相の設定)
また、上述した実施形態では、心電同期下でマルチスライス像を収集する際に、例えば、「吐き止め」及び「吸い止め」の一方又は両方というように、所定の心位相でマルチスライス像を収集する場合の例を説明した。ここでいう所定の心位相の設定は、例えば、撮像計画時に操作者によって指定されたプロトコルや、他のシステムから取得した被検体に関する情報などに基づいて行ってもよい。
【0142】
例えば、撮像条件設定部133aは、マルチスライス像を収集するためのプロトコルを指定する操作を操作者から受け付け、当該操作によって指定されたプロトコルに基づいて、マルチスライス像を収集する心位相を設定する。
【0143】
例えば、前述したように、MRI装置100が、検査の単位ごとに複数のプロトコルをまとめたプロトコル群を管理、提供している場合には、あらかじめ、マルチスライス像を収集するためのプロトコルの設定情報に、マルチスライス像を収集する心位相を示す情報を含めておく。例えば、ここでいう心位相を示すは、「拡張期」を示す情報や、「収縮期」を示す情報である。
【0144】
そして、撮像条件設定部133aは、医師や技師等の操作者が撮像計画を立てる際に、提供するプロトコル群の中から、マルチスライス像を収集するためのプロトコルを含む所望のプロトコル群を選択する操作を操作者から受け付ける。このとき、操作者は、MRI装置100によって管理、提供されているプロトコル群の中から、検査対象の部位や検査の種類、目的などに応じて適宜にプロトコル群を選択する。
【0145】
そして、例えば、撮像条件設定部133aは、あらかじめ記憶部132に記憶されているプロトコルの設定情報の中から、選択されたプロトコル群に含まれるマルチスライス像を収集するためのプロトコルの設定情報を読み出す。そして、撮像条件設定部133aは、読み出した設定情報に含まれる心位相を示す情報に基づいて、マルチスライス像を収集する心位相を設定する。
【0146】
このように、MRI装置100が管理、提供するプロトコル群の情報に含まれる心位相を示す情報に基づいて、マルチスライス像を収集する心位相を自動的に設定することによって、心位相の設定にかかる操作者の負担を軽減することができる。
【0147】
なお、例えば、MRI装置100は、同じ種類の検査について、若齢者用と高齢者用、軽い違和感から検査する場合と重い心臓疾患のフォローアップで検査する場合、というように、検査の目的に応じてプロトコル群を分けて管理、提供してもよい。その場合には、それぞれのプロトコル群について、同じ種類のプロトコルであっても、マルチスライス像を収集する心位相を変えてもよい。
【0148】
一般的に、健常者の心臓は、収縮期よりも拡張期の方が長く、高齢者や重い心疾患患者の場合には、拡張期よりも収縮期の方が長い場合が多い。そこで、例えば、心臓の検査について、若齢者用のプロトコル群では、拡張期でマルチスライス像を収集するように心位相を設定し、高齢者用のプロトコル群では、収縮期でマルチスライス像を収集するように心位相を設定する。これにより、検査の目的に応じて、マルチスライス像を収集する心位相を適切に切り替えることができる。
【0149】
また、例えば、撮像条件設定部133aは、検査対象の被検体に関する属性情報又は過去の検査情報を取得し、取得した情報に基づいて、マルチスライス像を収集する心位相を設定してもよい。
【0150】
例えば、撮像条件設定部133aは、MRI装置100が、被検体である患者の情報を管理している他のシステムにネットワーク経由で接続されている場合には、そのシステムから検査対象の被検体に関する属性情報又は過去の検査情報を取得する。なお、ここでいう他のシステムとは、例えば、前述した病院情報システムや放射線科情報システムなどである。
【0151】
そして、例えば、撮像条件設定部133aは、取得した被検体に関する属性情報に基づいて、マルチスライス像を収集する心位相を設定する。このとき、例えば、撮像条件設定部133aは、被検体の年齢が所定の年齢以下である場合には、拡張期でマルチスライス像を収集するように心位相を設定する。一方、被検体の年齢が所定の年齢を超えている場合には、撮像条件設定部133aは、収縮期でマルチスライス像を収集するように心位相を設定する。これにより、被検体の属性に応じて、マルチスライス像を収集する心位相を適切に切り替えることができる。
【0152】
また、例えば、撮像条件設定部133aは、取得した被検体に関する過去の検査情報に基づいて、イメージングスキャンにおいて撮像データを収集する呼吸時相を設定する。このとき、例えば、撮像条件設定部133aは、前回の検査において拡張期でマルチスライス像が収集されていた場合には、今回も拡張期でマルチスライス像を収集するように心位相を設定する。一方、前回の検査において収縮期でマルチスライス像が収集されていた場合には、今回も収縮期でマルチスライス像を収集するように心位相を設定する。これにより、被検体の検査状況に応じて、マルチスライス像を収集する心位相を適切に切り替えることができる。
【0153】
(画像処理システム)
また、上述した実施形態においては、医用画像診断装置であるMRI装置100が各種処理を実行する場合を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、MRI装置100と画像処理装置とを含む画像処理システムが、上述した各種処理を実行してもよい。ここで、画像処理装置とは、例えば、ワークステーション、PACS(Picture Archiving and Communication System)の画像保管装置(画像サーバ)やビューワ、電子カルテシステムの各種装置等である。この場合、例えば、MRI装置100は、シーケンス制御部120による収集を行う。一方、画像処理装置は、MRI装置100によって収集されたMRデータやk空間データを、MRI装置100から、若しくは、画像サーバからネットワーク経由で受信することで、あるいは、記録媒体を介して操作者から入力されること等で受け付けて、記憶部に記憶する。そして、画像処理装置は、記憶部に記憶したこのMRデータやk空間データを対象として、上述した各種処理(例えば、画像生成部136による処理や、領域導出部133bによる処理)を実行すればよい。
【0154】
(プログラム)
また、上述した実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用コンピュータが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態のMRI装置100による効果と同様の効果を得ることも可能である。上述した実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータ又は組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態のMRI装置100と同様の動作を実現することができる。また、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合は、ネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
【0155】
また、記憶媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(Operating System)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(Middleware)等が、上述した実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。更に、記憶媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から、上述した実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0156】
なお、実施形態におけるコンピュータ又は組み込みシステムは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上述した実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。また、実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0157】
図21は、実施形態に係る計算機130及びシーケンス制御部120を実現するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。上述した実施形態に係る計算機130及びシーケンス制御部120は、例えば、
図21に示すように、CPU(Central Processing Unit)210等の制御装置と、ROM(Read Only Memory)220やRAM(Random Access Memory)230等の記憶装置と、ネットワークに接続して通信を行う通信I/F240と、これらの各部を接続するバス250とを備える。
【0158】
例えば、ROM220又はRAM230が、上述した実施形態において計算機130及びシーケンス制御部120が行うものとして説明した処理を実現するためのプログラムを記憶する。例えば、このプログラムは、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶され、その記憶媒体から読み出されて記憶装置に記憶される。そして、CPU210が、このプログラムを読み出して実行することで、上述した実施形態において計算機130及びシーケンス制御部120として、コンピュータを機能させる。
【0159】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の磁気共鳴イメージング装置によれば、マルチスライス像の収集を適切に行うことができる。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。