(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のフランジ(123)が、前記第2のフランジ(123)の後端外側角部(138)に形成されたスリップ機構(140)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品(100)。
前記第2のフランジ(123)が、前記第2のフランジ(123)の前端外側角部(134)に形成されたアンカー機構(136)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品(100)。
前記プラグ(106)が後端部(108)を更に備え、前記後端部(108)の一部は、前記プラグ(106)が前記被接合物(400)の前記開口部(404)内に設置されたときに、前記被接合物(400)の表面(401)よりも上方に突出するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品(100)。
前記プラグ(106)を前記開口部(404)内に設置するステップが、前記プラグ(106)を前記開口部(404)内に押し付けるステップを含む、請求項9に記載の方法。
前記衝撃が、前記プラグ(106)に壊れ易く結合されたシャフト(102)に加えられ、前記衝撃により、前記シャフト(102)が前記プラグ(106)から切り離される、請求項11に記載の方法。
前記プラグ(106)が後端部(108)を備え、前記後端部(108)の少なくとも一部は、前記プラグ(106)が前記開口部(404)内に設置されたときに、前記開口部(404)から前記被接合物(400)の表面(401)よりも上方に突出し、前記後端部(108)が、前記第2の摩擦攪拌接合(422)中に摩擦攪拌接合工具により前記開口部(404)内に押し付けられる、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記したブロック図(単数又は複数)において、種々の要素及び/又は構成要素を結ぶ実線は、機械的結合、電気的結合、流体結合、光学的結合、電磁的結合及び他の結合並びに/又はそれらの組み合わせを表し得る。本明細書で使用する場合、「結合される」は、直接的且つ間接的に結合すること意味する。例えば、部材Aを、部材Bと直接的に結合してもよく、又は別の部材Cなどを介して、部材Bに間接的に結合してもよい。ブロック図(単数又は複数)に描かれたもの以外の結合が存在してもよい。種々の要素及び/又は構成要素を結ぶ破線は、ある場合には、実線で示すものと機能及び目的が同様の結合を表すが、破線で表す結合は、本開示の代替又は任意選択の態様に選択的に与えられるか又はそれらの態様に関するかのいずれかである。同じように、破線で表す任意の要素及び/又は構成要素は、本開示の代替又は任意選択の態様を示す。環境要素は、ある場合には、点線で表される。
【0009】
以下の説明では、提示する概念の完全な理解のために、数多くの具体的な詳細が記載されている。提示する概念は、これらの具体的な詳細の一部又は全てがなくとも実践することができる。他の例では、説明する概念を不必要に曖昧にしないために、周知のプロセス動作は詳細に説明しない。いくつかの概念を具体的な例と併せて説明するが、これらの例は限定的なものとは意図されていないことを理解されたい。
【0010】
例えば、
図1、
図2A、
図2B及び
図5Aを参照すると、本開示の一例は、被接合物400の開口部404(
図5A)を埋める物品100に関する。物品100は、本体112と、第1のフランジ122と、第2のフランジ123とを有するプラグ106を含む。図示のように、例えば
図2Bにおいて、第1のフランジ122は、本体112に接触した状態であり、本体112から離れる方向に延伸する。第2のフランジ123は、第1のフランジ122に接触した状態であり、第1のフランジ122及び本体112から離れる方向に延伸する。第2のフランジ123は、プラグ106を開口部404内に設置するときに、本体112側に変形するように構成される。この第2のフランジ123の変形により、プラグ106が開口部404内に回転方向及び並進方向に固定され、プラグ106が開口部404内に一体化される。第2のフランジ123の変形について、例えば
図5Aから
図5Cを参照して以下に述べる。いくつかの例において、第1のフランジ122は、第2のフランジ123が変形する際にほぼ元の形を保ち得る。第1のフランジ122及び本体112は、第2のフランジ123が変形する際に第2のフランジ123を収容する間隙113の少なくとも一部を画定し得る。
【0011】
図2Aなどを参照すると、前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、物品100はまた、プラグ106に壊れ易く結合されたシャフト102を含む。シャフト102は、
図5C及び
図5Dを参照して以下に更に説明するように、プラグ106を開口部404内に設置する際にプラグ106から切り離される。例えば、シャフト102は、シャフト102をプラグ106に連結する幅狭の首部104を含み得る。
【0012】
図2Bを参照すると、前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、プラグ106は後端部108を含む。後端部108の一部は、プラグ106が開口部404(
図5A)内に設置されたときに、被接合物400の表面401(
図5D)よりも上方に突出するように構成される。具体的には、
図5Dは、後端部108の一部、より具体的には、後端面110の一部が被接合物400の表面401よりも上方に延伸する状態で、開口部404内に設置されたプラグ106を図示している。
【0013】
図2Bを再び参照すると、前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、物品100はまた、第3のフランジ124と第4のフランジ125とを含む。第3のフランジ124は、本体112に接触した状態であり、本体112から離れる方向に延伸する。第4のフランジ125は、第3のフランジ124に接触した状態であり、第3のフランジ124及び本体112から離れる方向に延伸する。第4のフランジ125は、例えば
図5Cに示すように、プラグ106を開口部404内に設置するときに、本体112側及び第1のフランジ122側に変形するように構成される。第2のフランジ123の変形と同様に、第4のフランジ125の変形により、プラグ106が開口部404内に回転方向及び並進方向に固定され、プラグ106が開口部404内に一体化される。第1のフランジ122と第3のフランジ124との間の間隙113は、プラグ106を開口部404内に設置する際の間隙内への第4のフランジ125の変形に対応するように、大きさ(例えば、体積)が第4のフランジ125の大きさ(例えば、体積)と同じであってもよい。設置後にも、第3のフランジ124は、第1のフランジ122と同様に、ほぼ元の形を保ち得る。
【0014】
プラグ106の第1のフランジ122及び第2のフランジ123は、フランジの配列を形成する。上で説明した(第3のフランジ124及び第4のフランジ125などの)フランジの追加の配列が存在する場合、配列の各々における一方のフランジを、第2のフランジ123及び第4のフランジ125と同様の方法で、対応する間隙113内に収容することができる。プラグ106は、例えば、フランジの1つ、2つ、3つ、4つ、5つの配列を含み得る。例えば、
図2Bは、本体112に沿って配置されたそのような3つの配列を有するプラグ106を図示している。第1の配列は、第1のフランジ122と第2のフランジ123により形成され、第2の配列は、第3のフランジ124と第4のフランジ125により形成され、第3の配列は、第5のフランジ126と第6のフランジ127により形成される。本体112に接触した状態の隣接するフランジ(第1のフランジ122及び第3のフランジ124など)は、例えば、プラグ106を開口部404内に設置することに起因して第4のフランジ125が変形する際に第4のフランジ125を収容する間隙113の少なくとも一部を画定し得る。フランジの各追加の配列は更に、プラグ106を開口部404内に回転方向及び並進方向に固定する。フランジの多数の配列は、プラグ106の長さに沿って分配することができ、異なる箇所での被接合物400との摩擦干渉をもたらす。更に、(開口部404の深さにほぼ対応する)プラグ106の所定の長さに対して、フランジの配列の数を増加させることにより、より変形させ易いより小さなフランジの使用が可能となる。
【0015】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、本体112は、円錐台形状であり得る。更に、内側フランジ(本体112に接触した状態である第1のフランジ122、第3のフランジ124及び任意の他のフランジなど)の全体的なテーパは、開口部のテーパと実質的に同じであってもよい。前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、第4のフランジ125は、直径が第2のフランジ123よりも小さい。第2のフランジ123が第4のフランジ125よりもプラグ106の後端部108側に配置されることに留意すべきである。このタイプのプラグ106は、テーパ孔に使用することができる。一般に、各外側フランジ(本体112に直接接触した状態ではない第2のフランジ123、第4のフランジ125及び任意の他のフランジ)の体積は、それらのフランジを収容するように構成された対応する間隙113の体積と一致し得る、より具体的には、対応する間隙113の体積と実質的に同等であり得る。この体積の一致により、プラグが一旦開口部に挿入された時点で、プラグ106を開口部404内に完全に一体化することが達成可能となる。更に、プラグ106を開口部404内に一体化する際にフランジが間隙に嵌合するのを確実にするために、フランジの長さとも称される、各外側フランジの外側半径と内側半径との差は、かかるフランジを収容するように構成された対応する間隙の高さを超えない程度としてもよい。例えば、外側フランジの長さが間隙の高さよりも大きい場合、外側フランジは、間隙内に嵌合するのではなく、間隙を塞いでもよい。
【0016】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、本体112、第1のフランジ122、及び第2のフランジ123は、モノリシック構造を形成する。例えば、本体112、第1のフランジ122、及び第2のフランジ123は、単一の母材片から機械加工してもよい。
【0017】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、本体112、第1のフランジ122、及び第2のフランジ123を、別個の構成要素として作製し、その後、互いに組み合わせてもよい。例えば、第1のフランジ122は、位置決め締り嵌めなどで本体112に取り外し可能に取り付けてもよい。第2のフランジ123は、同様の方法で第1のフランジ122に取り外し可能に取り付けてもよい。いくつかの態様において、プラグ106の組立は、所定の大きさの開口部404内へのプラグ106の設置に対応するように実施され、フランジは、開口部404の大きさに基づいて選択される。換言すれば、物品100を多数の構成要素の再構成可能なキットとして用意してもよい。一態様において、物品100は、異なる大きさの開口部に対応するように、大きさの異なる多数の第1のフランジ及び/又は大きさの異なる多数の第2のフランジを備えてもよい。
【0018】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、本体112、第1のフランジ122、及び第2のフランジ123は、同じ材料で作られる。例えば、本体112、第1のフランジ122、及び第2のフランジ123は全て、アルミニウム、チタン、鋼、青銅、銅、鉛、プラスチック、又は摩擦攪拌接合に適した任意の他の材料で作ることができる。いくつかの態様において、本体112、第1のフランジ122、及び第2のフランジ123に使用する材料は、プラグ106を収容する開口部404を含む被接合物400の材料と同じである。
【0019】
あるいは、前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、第2のフランジ123は、第1のフランジ122と異なる材料で作ることができる。例えば、第2のフランジ123は、第1のフランジ122の材料よりも柔らかい材料から作ることができ、それにより、第1のフランジ122の構造を実質的に元の形に維持したままでの第2のフランジ123の変形が可能となる。同様に、本体112は、第1のフランジ122及び/又は第2のフランジ123と異なる材料で作ることができる。
【0020】
図2Bを再び参照すると、前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、第2のフランジ123は、第2のフランジ123の後端外側角部138に形成されたスリップ機構140を含む。スリップ機構は、第2のフランジ123の後端外側角部138と(プラグ106の表面などの)他の表面との間の摩擦を低減することにより、プラグ106を開口部404内に設置する際に第2のフランジ123が間隙113内に一体化されるのを促進する。例えば、
図5Aに図示するように、プラグ106を開口部404内に設置する際に、後端外側角部138は、プラグの後端部108の前端面139に接触してもよい。一態様において、スリップ機構140は、後端外側角部138の丸み部及び後端外側角部138の面取り部として実現してもよい。
【0021】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、第2のフランジ123は、第2のフランジ123の前端外側角部134に形成されたアンカー機構136を含む。アンカー機構136は、プラグ106を開口部404内に挿入する際に開口部404の内壁(
図5A)の表面に係合するように構成される。アンカー機構136は、一旦開口部404の表面と係合すると、プラグ106を開口部404に挿入する方向から離れる方向への及びプラグの本体112側へ間隙113内への第2のフランジ123の変形を促進する。一態様において、アンカー機構は、第2のフランジ123の2つの交差する表面により形成された尖端縁部であってもよい。
【0022】
図1及び
図2Cなどに示すように、第4のフランジ125は、第4のフランジ125の後端外側角部125cに形成されたスリップ機構125dを含み得る。第4のフランジ125はまた、第4のフランジ125の前端外側角部125aに形成されたアンカー機構125bを含み得る。同様に、第6のフランジ127は、第6のフランジ127の後端外側角部127cに形成されたスリップ機構127dを含み得る。第6のフランジ127はまた、第6のフランジ127の前端外側角部127aに形成されたアンカー機構127bを含み得る。同じように、第2のフランジ123などの任意の他の外側フランジは、その後端外側角部に形成されたスリップ機構及び/又はその前端外側角部に形成されたアンカー機構を含み得る。
【0023】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、第1のフランジ122及び第2のフランジ123などのフランジは、環状形状又は螺旋形状である。
図2Bは、環状形状である第1のフランジ122及び第2のフランジ123を図示している。具体的には、第1のフランジ122及び第2のフランジ123は、開口部404の長手方向軸線(
図5A)に対して対称である。プラグ106を開口部404内に押し付ける(直進及び/又は回転させる)ことにより、環状のフランジを有するプラグ106を開口部404(
図5A)内に設置してもよい。プラグ106を開口部404内に直進させることにより、及び/又はプラグ106を開口部404の長手方向軸線を中心に回転させることにより、螺旋状のフランジを有するプラグ106を開口部404内に設置してもよい。例えば、プラグ106は、接合部の出口孔内の螺旋状のねじ山に対応する螺旋状のフランジを有し得る。
【0024】
本明細書に記載の方法(単数又は複数)の動作を説明する本開示及び図面(単数又は複数)は、動作が実施されるべき順序を必然的に決定するものとして解釈すべきではない。むしろ、1つの例示的な順番を示しているが、適切であれば、動作の順序を変更できることを理解されたい。追加的に、本開示のいくつかの態様では、本明細書で説明する全ての動作を実施する必要があるとは限らない。
【0025】
図3に示すように、本開示の一例は、プラグ106を被接合物400の開口部404(
図5A)内に設置する方法に関する。プラグ106を設置する方法は、以下に説明する被接合物400を摩擦攪拌接合する方法の一部であってもよく、又は以下に説明する摩擦攪拌接合作業の1つ又は両方を含まない単独の方法であってもよい。プラグ106を設置する方法は、本体112と、第1のフランジ122と、第2のフランジ123とを有するプラグ106を用意するステップ(動作304)を含み得る。上で説明したように、第1のフランジ122は、本体112に接触した状態であり、本体112から離れる方向に延伸する。第2のフランジ123は、第1のフランジ122に接触した状態であり、第1のフランジ122及び本体112から離れる方向に延伸する。方法は、プラグ106を開口部404内に一体化して、プラグ106を開口部404内に回転方向及び並進方向に固定するように、プラグ106を開口部404内に設置するステップ(動作306)を含む。プラグ106を開口部404内に設置するステップは、プラグ106を開口部404内に押し付け、それにより、第2のフランジ123を本体112側に変形させるステップ(動作310)を含む。
【0026】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、第2のフランジ123は、第2のフランジ123の前端外側角部134にアンカー機構136を含む。プラグ106が開口部404内に押し付けられると、アンカー機構136は、開口部404の壁405を把持し、第2のフランジ123を本体112側に変形させる。アンカー機構136の種々の態様は上で説明されている。
【0027】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、第2のフランジ123は、第2のフランジ123の後端外側角部138にスリップ機構140を含む。プラグ106が開口部404内に押し付けられると、スリップ機構140は、第2のフランジ123とプラグ106の他の要素との間の摩擦を低減することにより、第2のフランジ123が本体112側に変形することを可能にする。スリップ機構140の種々の態様は上で説明されている。
【0028】
上述したように、プラグ106を開口部404内に一体化することは、第2のフランジ123を本体112側に変形させることを含み得る。いくつかの態様では、1つ又は複数の追加の外側フランジを動作306中に変形させてもよい。プラグ106は、開口部404を実質的に完全に埋めることができ、好ましくは、プラグ106が開口部404内に設置された後に開口部404内に空隙を実質的に残さない。
図5Dには、開口部404内に設置されたプラグ106の断面図が示されている。開口部404は、
図4Aから
図4Cを参照して以下に更に説明するように、例えば、摩擦攪拌接合作業中に作成することができる。
【0029】
図5Aは、プラグ106を開口部404内に設置する前のプラグ106及び被接合物400を図示している。
図5Bを参照すると、第2のフランジ123などの1つ又は複数の外側フランジの径方向寸法が開口部404の対応する部分(単数又は複数)の径方向寸法を超えることは明らかである。本技術分野の当業者であれば、
図5Bがプラグ106の外側フランジ(第2のフランジ123など)と仮想上の被接合物輪郭510との重なり部分の仮想断面図であることを認識するであろう。
【0030】
よって、動作310中にプラグ106を開口部404内に挿入することにより、1つ又は複数の外側フランジ(第2のフランジ123など)を変形させ、プラグ106を開口部404内に完全に挿入できるようにする。
図5Cに図示するように、外側フランジ(単数又は複数)を利用可能な間隙(単数又は複数)内に変形させる。例えば、第2のフランジ123は、第1のフランジ122と後端部108との間の間隙内に一体化されてもよい。同様に、第4のフランジ125は、第1のフランジ122と第3のフランジ124との間の間隙内に一体化されてもよい。追加の外側フランジは、対応する隣接する内側フランジ間に形成された間隙内に変形させてもよい。被接合物400、内側フランジ(フランジ122、124及び126など)並びに本体112の多少の変形も、プラグ106を開口部404内に設置する際に生じ得る。
【0031】
図3を全体的に参照すると、本開示の一例は、被接合物400(
図5E)を摩擦攪拌接合する方法に関する。方法は、出口403を有する第1の接合経路に沿って第1の摩擦攪拌接合402(
図4A)を実施するステップ(動作302)を含む。第1の摩擦攪拌接合402により、接合経路の出口403において被接合物400に開口部404が形成される。方法はまた、プラグ106(
図4B)を開口部404内に設置するステップ(動作306)を含む。プラグ106は、設置時に、開口部404内に一体化され、開口部404内に回転方向及び並進方向に固定される。方法はまた、プラグ106が内部に設置された開口部404を横切る第2の接合経路に沿って第2の摩擦攪拌接合422(
図4C)を実施するステップ(動作316)を含む。設置されたプラグ106は、第2の摩擦攪拌接合部422内で少なくとも部分的に消費される。
【0032】
ここで、これらの動作の各々についてより詳細に説明する。
図4Aは、第1の摩擦攪拌接合部402及び開口部404を図示する被接合物400の上面概略図である。開口部404は、接合工具が被接合物400から外れるときに、第1の摩擦攪拌接合部402の末端に形成される。
図5Aでは、開口部404の断面図が提供されている。一般的に、開口部404は、接合工具の設計並びに接合部の厚さ及びタイプによって、大きさ及び輪郭が異なってもよい。例えば、接合工具は、開口部404の側壁に凹凸を生じさせるテーパねじを有してもよい。しかしながら、全ての接合工具がこの形状を有するとは限らない。
【0033】
図4Bは、開口部404内に設置されたプラグ106を図示する被接合物400の上面概略図である。
図5Dには、開口部404内に設置されたプラグ106の断面図が描かれている。
図5Gには、開口部404内に設置されたプラグ106の別の図が示されている。具体的には、
図5Gは、互いに摩擦攪拌接合されて接合部524により接合され、プラグ106が接合部524で作成された開口部404内に設置された、2つの被接合物520及び522の断面斜視図である。被接合物520及び522は、同じ又は異なる材料から作ることができる。接合部524は、被接合物520と522両方の可塑化された材料を混ぜ合わせる(混合する)ことにより形成される。
【0034】
図4Cは、(要素424として表す)プラグ106が内部に少なくとも部分的に消費された、例示的な第2の摩擦攪拌接合部422を示す被接合物400の上面概略図である。
図5Fは、(要素424として表す)プラグ106が内部に少なくとも部分的に消費された摩擦攪拌接合部422の断面図である。好ましくは、プラグ106は、摩擦攪拌接合部422に実質的に完全に組み込まれる。
【0035】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、プラグ106を開口部404内に設置するステップは、動作310中にプラグ106を開口部404内に押し付けるステップを含む。
【0036】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、プラグ106を開口部404内に押し付けるステップは、プラグ106に衝撃を加えるステップ(
図3のブロック312)及び/又はプラグ106にトルクを加えるステップ(
図3のブロック314)を含む。プラグ106に壊れ易く結合されたシャフト102に衝撃を加えてもよい。この衝撃により、例えば
図5Cに示すように、シャフト102をプラグ106から切り離してもよい。同じように、プラグ106に加えられたトルクにより、シャフト102をプラグ106から切り離してもよい。
図5Dは、シャフト102のない状態のプラグ106を図示している。
【0037】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様では、プラグ106のフランジ123をプラグ106の本体112側に変形させることにより、プラグ106を開口部404内に一体化してもよい。例えば、フランジ123は、プラグ106を開口部404(動作310)内に押し付けることにより変形させてもよい。上述したように、プラグ106は、第2のフランジ123などの、1つ又は複数の外側フランジを含み得る。
【0038】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、プラグ106は、実質的に空隙なく、開口部404内に一体化される。1つ又は複数の外側フランジがプラグ106の本体側に変形することにより、内側フランジ間の間隙113(
図2B)が埋められる。このように、プラグ106が一旦被接合物400の開口部404内に設置されると、プラグ106と被接合物400との間に空隙は実質的に存在しない。
【0039】
前述及び/又は以下の例及び態様のいずれかの主題の少なくとも一部を含み得る、本開示の一態様において、プラグ106は後端部108を備える。後端部108の少なくとも一部は、例えば、
図5D及び
図5Eに示すように、プラグ106が開口部404内に設置されたときに、開口部404から被接合物400の表面401よりも上方に突出する。摩擦攪拌接合工具512と係合した後端部108の後端面110を図示する設置されたプラグ106の断面図である、例えば、
図5Eに示すように、後端部108は、第2の摩擦攪拌接合422中に摩擦攪拌接合工具512により開口部404内に押し付けられる。この係合を通じて、プラグ106が開口部404内に押し付けられ、これにより、プラグの可塑化が促進され、プラグが被接合物400の母材と混合される。後端面110のテーパ形状は、摩擦攪拌接合工具512とのプラグ106の後端部108の初期係合を容易にする。いくつかの態様では、摩擦攪拌接合工具とのプラグの後端部108の円滑な初期係合を確実にするために、後端面110の一部が被接合物400の表面401よりも下方に突出していてもよい。
【0040】
実験結果
図6は、摩擦攪拌接合により作成された、被接合物600内の開口部606の断面の写真である。参考までに、被接合物600の上面は要素602として特定され、その一方で、開口部606を規定する側壁は要素604として特定される。テーパを有する開口部606が示されている。開口部606はまた、側壁604に螺旋状に配列されたリブを有し、これらのリブは、接合工具が被接合物600から取り外される間に、接合工具の回転により作成され得る。
【0041】
図7Aは、重なり部分708及び718の各々が消費されたプラグを含む、2組の重ね接合部702及び712を有する被接合物700の上面の写真である。重なり部分708がY方向に切断されており、その結果が
図7Bに提示されている。重なり部分718がX方向に切断されており、その結果が
図7Cに提示されている。
図7B及び7Cは、重なり部分708及び718が完全に埋められており、これらの領域内に空隙がないことを図示している。
【0042】
航空機関連の例
ここで、本明細書で提示するプロセス及びシステムの種々の特徴をより良く解説するために、
図8に示す航空機の製造及び保守点検方法800並びに
図9に示す航空機900について説明する。本生産の前では、航空機の製造及び保守点検方法800は、航空機の仕様及び設計802と、材料調達804とを含み得る。生産段階は、航空機の構成要素及び部分組立品の製造806と、航空機のシステム統合808とを含む。その後、航空機は認証及び搬送810を経て就航中812にされる。顧客による就航中、航空機には日常的な整備及び保守点検814(改良、再構成、改修などを含み得る)が予定される。本明細書で説明した例は一般に民間航空機の保守点検に関するが、これらの例を航空機の製造及び保守点検方法800の他の段階で実践してもよい。
【0043】
航空機の製造及び保守点検方法800の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)により実施又は実行することができる。この説明の目的で、システムインテグレータは、例えば、非限定的に、任意の数の航空機製造業者及び主要システムの下請業者を含み得、第三者は、非限定的に、任意の数の納入業者、下請業者、及び供給業者を含み得、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織などであり得る。
【0044】
図9に示すように、航空機の製造及び保守点検方法800により生産された航空機900は、機体902と、内部906と、複数のシステム904とを含み得る。システム904の例には、推進システム908、電気システム910、油圧システム912、及び環境システム914のうちの1つ又は複数が含まれる。この例では、任意の数の他のシステムを含むことができる。航空機の例を示しているが、本開示の原理を自動車産業などの他の産業に適用してもよい。
【0045】
本明細書に具現化された装置及び方法は、航空機の製造及び保守点検方法800の任意の1つ又は複数の段階で利用することができる。例えば、非限定的に、構成要素及び部分組立品の製造806に対応する構成要素又は部分組立品は、航空機の就航中に生産される構成要素又は部分組立品と同様の方法で作製又は生産することができる。
【0046】
また、本明細書で説明した種々の特徴は、構成要素及び部分組立品の製造806の際及び/又はシステム統合808の際に利用することができ、これにより、航空機の組立又はコスト低減を円滑に行うことができる。いくつかの例において、これらの特徴は、航空機が就航中である間、例えば、航空機の整備及び保守点検814の際に利用することができる。
【0047】
様々な構成要素、特徴、及び機能性を含む、装置及び方法の異なる例及び態様が本明細書に開示されている。本明細書に開示した装置及び方法の様々な例及び態様が、本明細書に開示した装置及び方法の他の例及び態様のいずれかの構成要素、特徴、及び機能性のいずれかを任意の組み合わせで含み得、且つこのような可能性の全てが本開示の精神及び範囲内にあるように意図されることを理解すべきである。
【0048】
前述の説明及びそれに関連する図面に提示した教示の利益を得ることで、この開示が属する技術分野の当業者には、開示した主題の多くの変更が明らかになるであろう。それゆえ、本開示は提供した具体的な例及び態様に限定されるものではなく、それらの変更が添付の特許請求の範囲の範囲内にあるように意図されることを理解されたい。その上、前述の開示及びそれに関連する図面では、要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせが説明されているが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、要素及び/又は機能の異なる組み合わせを実現できることを認識されたい。