特許第6441008号(P6441008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441008
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】グラブバケット式アンローダの運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/60 20060101AFI20181210BHJP
   B66C 19/00 20060101ALI20181210BHJP
   B66C 13/22 20060101ALI20181210BHJP
   B66C 13/32 20060101ALI20181210BHJP
   B66C 15/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B65G67/60 G
   B66C19/00 C
   B66C13/22 Y
   B66C13/32 A
   B66C15/00 E
   B65G67/60 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-190640(P2014-190640)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-60598(P2016-60598A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 和明
【審査官】 小金井 匠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−313528(JP,A)
【文献】 特開2005−239411(JP,A)
【文献】 特開平08−012277(JP,A)
【文献】 特開平08−258987(JP,A)
【文献】 特開平09−014920(JP,A)
【文献】 特開平11−059918(JP,A)
【文献】 特開平11−208895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 67/60−67/62
B66C 13/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸側のガーダと海側のブーム上に沿って横行するトロリと、該トロリからロープによって吊り下げられるグラブバケットと、前記ロープを駆動し前記トロリを横行させると共にグラブバケットを昇降・開閉させるウインチドラムとを備え、該ウインチドラムによるロープの駆動により前記グラブバケットを吊り下げてバラ物運搬船の上部開口からバラ物を陸側のホッパに荷揚げするグラブバケット式アンローダの運転支援装置であって、
前記バラ物運搬船の上部開口以外の甲板位置を検出する甲板位置検出器と、
前記グラブバケットの現状位置を検出するバケット現状位置検出器と、
前記グラブバケットの巻下運転時、前記バケット現状位置検出器で検出されたグラブバケットの現状位置が前記甲板位置検出器で検出された上部開口以外の甲板位置の上方にあり、且つ前記グラブバケットの現状位置と前記甲板位置との上下間隔が設定間隔以下となった場合に、前記ウインチドラムのモータのインバータへ巻下停止信号を出力する制御装置と
を備え
前記甲板位置検出器は、前記ブーム下面に取り付けられ且つ該ブームの長手方向に対し直角な水平方向へ延びる軸を中心として回転しつつバラ物運搬船の上面へ向けレーザーを照射することにより、回転角度に対応した距離を計測するスキャンセンサであり、
該スキャンセンサによって計測される回転角度に対応した距離を二次元座標に変換し、該二次元座標において距離が直線状に変化する部分を前記上部開口以外の甲板位置と認識するよう構成したことを特徴とするグラブバケット式アンローダの運転支援装置。
【請求項2】
前記スキャンセンサによる回転角度に対応した距離の計測を設定時間毎に行い、前記甲板位置を更新するよう構成した請求項記載のグラブバケット式アンローダの運転支援装置。
【請求項3】
前記バケット現状位置検出器は、前記トロリを横行させると共にグラブバケットを昇降・開閉させるためのロープを駆動するウインチドラムのドラム回転数を計測する回転センサであり、
該回転センサによって計測されるドラム回転数に基づき、前記グラブバケットの現状位置を認識するよう構成した請求項1又は2記載のグラブバケット式アンローダの運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラブバケット式アンローダの運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、バラ物運搬船に積載された鉱石、石炭等のバラ物を荷揚げするために、岸壁にはグラブバケット式アンローダが備えられている。
【0003】
図5は従来のグラブバケット式アンローダの一例を示す側面図であって、該グラブバケット式アンローダは、海側の海脚1と陸側の陸脚2を有して岸壁上のレール3上を走行する機械本体4と、該機械本体4上部の陸側に設けられたガーダ5から海側へ張り出しピン6aを中心に俯仰が可能なブーム6と、該ブーム6及びガーダ5の長手方向に沿って横行するトロリ7と、該トロリ7から吊下げられて昇降と開閉を行うようにしたグラブバケット8とを有している。そして、前記ブーム6の海側に位置したトロリ7から開いた状態のグラブバケット8をバラ物運搬船9の上部開口9aから船内に吊り下げてバラ物上に載置し、グラブバケット8を閉じることによりバラ物を掴んだ後、グラブバケット8を上昇させ、続いて、トロリ7を陸側に横行させることによりグラブバケット8を陸側に移動させ、グラブバケット8が前記機械本体4に備えたホッパ10上に来たときに開くことによりバラ物をホッパ10内へ投入するようにしている。ホッパ10内に投入されたバラ物は、機械本体4に備えた機内コンベヤ11等により陸上の搬送コンベヤ12に供給されるようになっている。尚、図5中、13はアンローダを操作するオペレータが搭乗する移動運転室、14は機械本体4の上部の陸側端に設けられた機械室である。
【0004】
前述の如きグラブバケット式アンローダとしては、例えば、図6に示される如く、4本のウインチドラムを備え、該ウインチドラムの駆動により前記トロリ7を横行させると共にグラブバケット8を昇降・開閉させるようにした4ドラム式のアンローダがある。
【0005】
前記ウインチドラムとしての巻上ドラム15から繰り出した巻上ロープ16はガーダ5(図5参照)の陸側端部に設けたシーブ17を経てトロリ7上のシーブ18に導かれた後、下方に向けられて下端がグラブバケット8の一側(陸側)に固定されている。又、前記ウインチドラムとしての巻上ドラム15´から繰り出した巻上ロープ16´はブーム6(図5参照)の海側端部に設けたシーブ17´を経てトロリ7上のシーブ18´に導かれた後、下方に向けた下端がグラブバケット8の他側(海側)に固定されている。
【0006】
又、前記ウインチドラムとしての開閉ドラム19から繰り出した開閉ロープ20はガーダ5(図5参照)の陸側端部に設けたシーブ21を経てトロリ7上のシーブ22に導かれた後、下方に導かれてグラブバケット8のバケット本体8a,8aの連結部に取り付けた下部移動シーブ23と、タイロッド8bを介しピン連結により前記バケット本体8aを支持する上部フレーム8cに取り付けた上部固定シーブ24(図5参照)との間に複数回掛け回され、グラブバケット8の所要箇所に固定されている。一方、前記ウインチドラムとしての開閉ドラム19´から繰り出した開閉ロープ20´はブーム6(図5参照)の海側端部に設けたシーブ21´を経てトロリ7上のシーブ22´に導かれた後、下方に導かれてグラブバケット8の下部移動シーブ23と上部固定シーブ24(図5参照)との間に複数回掛け回され、グラブバケット8の所要箇所に固定されている。
【0007】
図6に示した4ドラム式のアンローダでは、巻上ドラム15,15´を停止した状態において、開閉ドラム19,19´により開閉ロープ20,20´を同時に繰り出すと、グラブバケット8の下部移動シーブ23と上部固定シーブ24(図5参照)の間隔が開いて前記グラブバケット8は開き、開閉ドラム19,19´により開閉ロープ20,20´を同時に巻き込むと、下部移動シーブ23と上部固定シーブ24(図5参照)の間隔が狭くなりグラブバケット8は閉じられる。
【0008】
又、前記巻上ドラム15,15´により巻上ロープ16,16´を繰り出す操作と、開閉ドラム19,19´により開閉ロープ20,20´を繰り出す操作を同時に行うと、グラブバケット8は下降し、又、前記巻上ドラム15,15´により巻上ロープ16,16´を巻き込む操作と、開閉ドラム19,19´により開閉ロープ20,20´を巻き込む操作を同時に行うと、グラブバケット8は上昇する。
【0009】
一方、陸側のシーブ17,21からトロリ7上の陸側のシーブ18,22に巻上ロープ16及び開閉ロープ20を導いている巻上ドラム15及び開閉ドラム19の巻き込み操作と、海側のシーブ17´,21´からトロリ7の海側のシーブ18´,22´に巻上ロープ16´及び開閉ロープ20´を導いている巻上ドラム15´及び開閉ドラム19´の繰り出し操作を同時に行うと、トロリ7とグラブバケット8は陸側へ横行する。逆に、巻上ドラム15及び開閉ドラム19の繰り出し操作と、巻上ドラム15´及び開閉ドラム19´の巻き込み操作を同時に行うと、トロリ7及びグラブバケット8は海側へ横行する。即ち、巻上ドラム15,15´と開閉ドラム19,19´の操作によって、トロリ7及びグラブバケット8の横行を行わせることができる。
【0010】
尚、前述の如きグラブバケット式アンローダと関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−239411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、前述の如きグラブバケット式アンローダにおいては、前記トロリ7がホッパ10上方からバラ物運搬船9側へ横行する際、該バラ物運搬船9の上部開口9aの上方に到達する前からグラブバケット8の巻下運転を行うことが荷揚げの効率を向上させる上で重要となっている。
【0013】
しかしながら、前記グラブバケット8の巻下運転は、移動運転室13に搭乗したオペレータが手動で行っているため、グラブバケット8が甲板9bに衝突することを避けるには、前記トロリ7がバラ物運搬船9の上部開口9aの上方に到達するかなり手前でグラブバケット8の巻下運転を減速して停止せざるを得ず、荷揚げ効率の低下につながっていた。
【0014】
又、海面に浮かぶバラ物運搬船9の高さが干満の差や積荷の量によって変化することも、前記グラブバケット8の巻下運転を難しくさせる要因となっていた。
【0015】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、甲板への衝突を回避しつつグラブバケットの巻下運転を円滑に行うことができ、荷揚げ効率向上を図り得るグラブバケット式アンローダの運転支援装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、陸側のガーダと海側のブーム上に沿って横行するトロリと、該トロリからロープによって吊り下げられるグラブバケットと、前記ロープを駆動し前記トロリを横行させると共にグラブバケットを昇降・開閉させるウインチドラムとを備え、該ウインチドラムによるロープの駆動により前記グラブバケットを吊り下げてバラ物運搬船の上部開口からバラ物を陸側のホッパに荷揚げするグラブバケット式アンローダの運転支援装置であって、
前記バラ物運搬船の上部開口以外の甲板位置を検出する甲板位置検出器と、
前記グラブバケットの現状位置を検出するバケット現状位置検出器と、
前記グラブバケットの巻下運転時、前記バケット現状位置検出器で検出されたグラブバケットの現状位置が前記甲板位置検出器で検出された上部開口以外の甲板位置の上方にあり、且つ前記グラブバケットの現状位置と前記甲板位置との上下間隔が設定間隔以下となった場合に、前記ウインチドラムのモータのインバータへ巻下停止信号を出力する制御装置と
を備え
前記甲板位置検出器は、前記ブーム下面に取り付けられ且つ該ブームの長手方向に対し直角な水平方向へ延びる軸を中心として回転しつつバラ物運搬船の上面へ向けレーザーを照射することにより、回転角度に対応した距離を計測するスキャンセンサであり、
該スキャンセンサによって計測される回転角度に対応した距離を二次元座標に変換し、該二次元座標において距離が直線状に変化する部分を前記上部開口以外の甲板位置と認識するよう構成したことを特徴とするグラブバケット式アンローダの運転支援装置にかかるものである。
【0018】
又、前記スキャンセンサによる回転角度に対応した距離の計測を設定時間毎に行い、前記甲板位置を更新するよう構成することが好ましい。
【0019】
前記グラブバケット式アンローダの運転支援装置において、前記バケット現状位置検出器は、前記トロリを横行させると共にグラブバケットを昇降・開閉させるためのロープを駆動するウインチドラムのドラム回転数を計測する回転センサであり、
該回転センサによって計測されるドラム回転数に基づき、前記グラブバケットの現状位置を認識するよう構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のグラブバケット式アンローダの運転支援装置によれば、甲板への衝突を回避しつつグラブバケットの巻下運転を円滑に行うことができ、荷揚げ効率向上を図り得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のグラブバケット式アンローダの運転支援装置の実施例を示す全体概要構成図である。
図2】本発明のグラブバケット式アンローダの運転支援装置の実施例における甲板位置検出器を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図3】本発明のグラブバケット式アンローダの運転支援装置の実施例を示す制御ブロック図である。
図4】本発明のグラブバケット式アンローダの運転支援装置の実施例における制御の流れを示すフローチャートである。
図5】従来のグラブバケット式アンローダの一例を示す全体概要構成図である。
図6】従来の4ドラム式のアンローダの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1図4は本発明のグラブバケット式アンローダの運転支援装置の実施例であって、図中、図5及び図6と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0024】
本実施例の場合、甲板位置検出器25によってバラ物運搬船9の上部開口9a以外の甲板9b位置を検出すると共に、バケット現状位置検出器26によってグラブバケット8の現状位置を検出するようにしてある。
【0025】
前記甲板位置検出器25は、図2(a)及び図2(b)に示す如く、前記ブーム6下面に取り付けられ且つ該ブーム6の長手方向に対し直角な水平方向へ延びる軸25Sを中心として回転しつつバラ物運搬船9の上面へ向けレーザーを照射することにより、回転角度に対応した距離を計測するスキャンセンサであり、該スキャンセンサによって計測される回転角度に対応した距離を二次元座標に変換し、該二次元座標において距離が直線状に変化する部分を前記上部開口9a以外の甲板9b位置と認識するよう構成してある。
【0026】
前記バケット現状位置検出器26は、前記トロリ7を横行させると共にグラブバケット8を昇降・開閉させるためのロープ(巻上ロープ16,16´及び開閉ロープ20,20´)を駆動するウインチドラム(巻上ドラム15,15´及び開閉ドラム19,19´)のドラム回転数をエンコーダ等の回転センサであり、該回転センサによって計測されるドラム回転数に基づき、前記グラブバケット8の現状位置を認識するよう構成してある。
【0027】
そして、前記グラブバケット8の巻下運転時、前記バケット現状位置検出器26で検出されたグラブバケット8の現状位置が前記甲板位置検出器25で検出された上部開口9a以外の甲板9b位置の上方にあり、且つ前記グラブバケット8の現状位置と前記甲板9b位置との上下間隔が設定間隔以下となった場合に、制御装置30から前記ウインチドラムのモータ27のインバータ28へ巻下停止信号28aを出力するようにしてある。
【0028】
又、移動運転室13に設けられたコントローラ31をオペレータが操作することにより、その操作信号31aが前記制御装置30に入力されるようになっている。
【0029】
更に又、前記スキャンセンサである甲板位置検出器25による回転角度に対応した距離の計測は設定時間(例えば、数分程度)毎に行い、前記甲板9b位置を更新するよう構成してある。
【0030】
次に、制御の詳細について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0031】
先ず、前記グラブバケット8の巻下運転時には、前記移動運転室13に搭乗したオペレータが手動でコントローラ31を操作すると(ステップS1参照)、前記巻上ドラム15,15´により巻上ロープ16,16´が繰り出されると共に、開閉ドラム19,19´により開閉ロープ20,20´が繰り出され、前記グラブバケット8は下降し、巻下運転が行われる(ステップS2参照)。
【0032】
一方、前記ブーム6下面に取り付けられたスキャンセンサである甲板位置検出器25は、該ブーム6の長手方向に対し直角な水平方向へ延びる軸25Sを中心として回転しつつバラ物運搬船9の上面へ向けレーザーを照射することにより、回転角度に対応した距離を計測している(ステップS3参照)。
【0033】
続いて、前記甲板位置検出器25によって測定された回転角度に対応した距離が制御装置30において二次元座標に変換される(ステップS4参照)。
【0034】
前記二次元座標において距離が直線状に変化する部分が上部開口9a以外の甲板9b位置と認識される(ステップS5参照)。因みに、前記甲板9bの表面は、図1に示す如く、平坦であるため、前記二次元座標において距離が直線状に変化する部分を上部開口9a以外の甲板9b位置と認識できる。
【0035】
ここで、エンコーダ等の回転センサであるバケット現状位置検出器26は、前記トロリ7を横行させると共にグラブバケット8を昇降・開閉させるためのロープ(巻上ロープ16,16´及び開閉ロープ20,20´)を駆動するウインチドラム(巻上ドラム15,15´及び開閉ドラム19,19´)のドラム回転数を計測しており、該ドラム回転数に基づき制御装置30において前記グラブバケット8の現状位置が認識される(ステップS6参照)。
【0036】
前記ステップS6で認識されたグラブバケット8の現状位置は、制御装置30において前記ステップS5で認識された甲板9b位置と比較される(ステップS7参照)。
【0037】
前記ステップS7での比較から前記グラブバケット8の現状位置と甲板9b位置との上下間隔が設定間隔(例えば、5m程度)以下であるか否かの判定が行われ(ステップS8参照)、前記上下間隔が設定間隔より大きい場合には前記ステップS7に戻ってグラブバケット8の現状位置と甲板9b位置との比較が繰り返される。
【0038】
前記上下間隔が設定間隔以下である場合には、巻下停止要求が出力される(ステップS9参照)。
【0039】
前記ステップS2から前記グラブバケット8の巻下運転が継続されている間、巻下停止要求が出力されているか否かの判定が行われており(ステップS10参照)、前記ステップS9で巻下停止要求が出力されると、前記ステップS10を経て前記ウインチドラムとしての巻上ドラム15,15´及び開閉ドラム19,19´のモータ27のインバータ28へ巻下停止信号28aが出力され(ステップS11参照)、前記グラブバケット8の巻下運転が強制的に停止される。
【0040】
この結果、前記グラブバケット8の巻下運転を移動運転室13に搭乗したオペレータが手動で行って、コントローラ31から巻き下げの操作信号31aが前記制御装置30に入力されていても、前記グラブバケット8の現状位置と甲板9b位置との上下間隔が設定間隔(例えば、5m程度)以下となった場合には、前記グラブバケット8の巻下運転が強制的に停止されるため、グラブバケット8が甲板9bに衝突することが避けられる。即ち、前記トロリ7がバラ物運搬船9の上部開口9aの上方に到達するかなり手前でグラブバケット8の巻下運転を減速して停止するようなことをオペレータが意識的に行わなくて済み、荷揚げ効率を高めることが可能となる。
【0041】
こうして、甲板9bへの衝突を回避しつつグラブバケット8の巻下運転を円滑に行うことができ、荷揚げ効率向上を図り得る。
【0042】
前記甲板位置検出器25は、前記ブーム6下面に取り付けられ且つ該ブーム6の長手方向に対し直角な水平方向へ延びる軸25Sを中心として回転しつつバラ物運搬船9の上面へ向けレーザーを照射することにより、回転角度に対応した距離を計測するスキャンセンサであり、該スキャンセンサによって計測される回転角度に対応した距離を二次元座標に変換し、該二次元座標において距離が直線状に変化する部分を前記上部開口9a以外の甲板9b位置と認識するよう構成したので、精度良く且つ迅速に甲板9b位置を検出することが可能となる。
【0043】
前記スキャンセンサによる回転角度に対応した距離の計測を設定時間毎に行い、前記甲板9b位置を更新するよう構成したので、海面に浮かぶバラ物運搬船9の高さが干満の差や積荷の量によって変化しても、グラブバケット8の甲板9bへの衝突回避が可能となる。
【0044】
前記バケット現状位置検出器26は、前記トロリを横行させると共にグラブバケット8を昇降・開閉させるためのロープを駆動するウインチドラムのドラム回転数を計測する回転センサであり、該回転センサによって計測されるドラム回転数に基づき、前記グラブバケット8の現状位置を認識するよう構成したので、該グラブバケット8の現状位置検出の信頼性を高める上で有効となる。
【0045】
尚、本発明のグラブバケット式アンローダの運転支援装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
5 ガーダ
6 ブーム
7 トロリ
8 グラブバケット
9 バラ物運搬船
10 ホッパ
15 巻上ドラム(ウインチドラム)
15´ 巻上ドラム(ウインチドラム)
16 巻上ロープ(ロープ)
16´ 巻上ロープ(ロープ)
19 開閉ドラム(ウインチドラム)
19´ 開閉ドラム(ウインチドラム)
20 開閉ロープ(ロープ)
20´ 開閉ロープ(ロープ)
25 甲板位置検出器(スキャンセンサ)
25S 軸
26 バケット現状位置検出器(回転センサ)
27 モータ
28 インバータ
28a 巻下停止信号
30 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6