特許第6441033号(P6441033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441033
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20181210BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20181210BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01L23/36 Z
   H05K7/20 D
   H01L23/46 Z
   H05K7/20 T
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-227905(P2014-227905)
(22)【出願日】2014年11月10日
(65)【公開番号】特開2016-92328(P2016-92328A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109093
【氏名又は名称】ダイヤモンド電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池辺 隆史
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−218174(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102007044537(DE,A1)
【文献】 特開2014−075385(JP,A)
【文献】 特開昭59−215755(JP,A)
【文献】 特開2003−188322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H01L 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎体と、前記基礎体の一方の面に配備され且つ発熱性素子が搭載されたモジュールと、前記基礎体の他方の面に形成され各々の配向方向が略一致する複数の放熱フィンと、を備えるヒートシンクにおいて、
前記複数の放熱フィンの各々は、板厚及び板巾から成るフィン断面形状が前記配向方向に沿って一定となる主体部と、前記主体部の端部に設けられ前記フィン断面形状が前記配向方向に沿って増加する前端部と、前記主体部の端部に設けられ前記フィン断面形状が前記配向方向に沿って減少する後端部と、が一体的に形成されており、
前記複数の放熱フィンは、第1放熱フィンの前記主体部が配置される第1の主流領域と、第2放熱フィンの前記主体部が配置される第2の主流領域と、前記第1の主流領域及び前記第2の主流領域の間に介在する分枝領域と、を形成するものであって、
前記分枝領域は、前記第1放熱フィン又は前記第2放熱フィンのうち一方の放熱フィンに設けられた前記前端部と、前記第1放熱フィン又は前記第2放熱フィンのうち前記一方の放熱フィンと異なる他方の放熱フィンに設けられた前記後端部と、が前記配向方向に対し垂直となる方向へ交互に配置されており、
前記一方の放熱フィンに設けられた前記前端部及び前記他方の放熱フィンに設けられた前記後端部の双方の端部は、共通の前記分枝領域に属し、前記配向方向に関する各々の長さ成分が互いに異なる、ことを特徴とするヒートシンク。
【請求項2】
前記主流及び当該主流に直接接続される複数の前記支流は、所定の配向方向に対して対称形を成していることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電気機器に用いるヒートシンクに関し、特に、放熱フィンの形状及び配列に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2003−188322号公報(特許文献1)では、放熱フィンに関する技術が紹介されている。かかる放熱フィンは、その形状が柱状体とされ、これによる複雑な流路へ冷媒流体を通過させることで、熱源から伝達された熱量を放熱させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−188322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る技術では、板状体からなる放熱フィンの隙間によって複雑な流路を形成するので、直線的な流れを形成するフィン形状に比べ、圧力損失が大きくなり設計上の冷媒流量を得ることができなくなるとの問題が生じる。一方、直線的な流れを形成するヒートシンクでは、冷媒流体の運動がフィンの配向方向へ規制されるので、隣接する溝への流体の移動が促進されず、吸熱した冷媒流体による運動的拡散が阻害される。即ち、吸熱した冷媒流体は、そのまま放熱フィンの配向方向へ流れ、発熱性素子の下流側に配された領域について十分な冷却作用を与えることが出来なくなる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み、圧力損失を抑制させつつも十分な冷却効率を確保させ得るヒートシンクの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では次のようなヒートシンクの構成とする。即ち、基礎体と、前記基礎体の一方の面に配備され且つ発熱性素子が搭載されたモジュールと、前記基礎体の他方の面に形成され各々の配向方向が略一致する複数の放熱フィンと、を備えるヒートシンクにおいて、
前記複数の放熱フィンの各々は、板厚及び板巾から成るフィン断面形状が前記配向方向に沿って一定となる主体部と、前記主体部の端部に設けられ前記フィン断面形状が前記配向方向に沿って増加する前端部と、前記主体部の端部に設けられ前記フィン断面形状が前記配向方向に沿って減少する後端部と、が一体的に形成されており、
前記複数の放熱フィンは、第1放熱フィンの前記主体部が配置される第1の主流領域と、第2放熱フィンの前記主体部が配置される第2の主流領域と、前記第1の主流領域及び前記第2の主流領域の間に介在する分枝領域と、を形成するものであって、
前記分枝領域は、前記第1放熱フィン又は前記第2放熱フィンのうち一方の放熱フィンに設けられた前記前端部と、前記第1放熱フィン又は前記第2放熱フィンのうち前記一方の放熱フィンと異なる他方の放熱フィンに設けられた前記後端部と、が前記配向方向に対し垂直となる方向へ交互に配置されており、
前記一方の放熱フィンに設けられた前記前端部又は前記他方の放熱フィンに設けられた前記後端部のうち少なくとも一方の端部は、前記一方の放熱フィンに設けられた前記前端部及び前記他方の放熱フィンに設けられた前記後端部の双方の端部は、共通の前記分枝領域に属し、前記配向方向に関する各々の長さ成分が互いに異なることとする。
【0007】
前記主流及び当該主流に直接接続される複数の前記支流は、所定の配向方向に対して対称形を成していることとする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るヒートシンクでは、放熱フィンに所定長の長さを具備した主体部が形成されるので、此処での圧力損失は境界摩擦によるものに抑えられる。また、複数の放熱フィンは、各々の配向が一致させるも、配向方向に交互配列されることになる。従って、主流の流れを保有した状態で、隣接する流れへの運動が喚起されることとなる。そして、本発明は、かかる事項を前提とした上で主流と支流との開口断面の調整が図られるので、隣接方向への流体運動が促され、且つ、交互配列に伴う圧力損失上のデメリットも緩和される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係るヒートシンクの斜視図。
図2】実施の形態に係るヒートシンクの側面図。
図3】実施の形態に係る放熱フィンの形状・配列を示す図(其の1)。
図4】実施の形態に係る放熱フィンの形状・配列を示す図(其の2)。
図5】実施の形態に係る放熱フィンの形状・配列を示す図(其の3)。
図6】他の実施の形態に係るヒートシンクの斜視図。
図7】他の実施の形態に係る放熱フィンの形状・配列を示す図(其の4)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態につき図面を参照して具体的に説明する。図1は、本実施の形態に係るヒートシンクの斜視図である。また、図2は、放熱フィンの側面図である。図示の如く、ヒートシンク100は、基礎体110と,放熱フィン130とがアルミ材等の伝熱性材料によって一体的に形成されている。このうち、基礎体110の主面は、電気的素子等を内部へ収容させつつ、カバー(図示なし)に覆われる。
【0014】
基礎体110の主面(一方の面)には、伝熱性基板302が搭載され、其の表面には、パワートランジスタといった発熱性素子301が実装されている。従って、この発熱性素子301は、これが駆動されると、熱源となって熱量を生じさせ、伝熱性基板302を介して基礎体110へと熱量を与える。
【0015】
伝熱性基板302は、基板用フレーム302aによって適宜に固定され、これらによって一つのモジュールを形成している。当該モジュールが主面に配備されることにより、基礎体110への伝達経路が定まり、先の熱量を受熱する受熱領域が定まる。このように、受熱領域とは、伝熱性基板302が積層される領域であって、特に、高い熱量が伝達される領域については、当該受熱領域に属すものである。
【0016】
図示の如く、基板用フレーム302aは、複数の端子302bが適宜配備され、その端子に制御回路303の配線が電気的に接続される。また、本実施の形態では、当該制御基板303の実装面にフィルターコンデンサ304,305等が実装されている。このように、ヒートシンク100に搭載された電気的素子の集合は、それらが一体となってDC/DCコンバータ等といったコンバータ10(電力変換装置)を構成する。
【0017】
基礎体110の放熱面(他方の面)には、当該基礎体に結合された放熱フィン130(131,132,133)が配備される。図示の如く、放熱フィン130は、流入側放熱フィン131,主要部放熱フィン132(以下、複数の放熱フィン132と呼ぶ。),下流側放熱フィン133,が冷媒流体の流れ方向の順に配列されている。図示の如く、複数の放熱フィン132は、冷媒流体200の流線に沿った状態で略平行に配置され、互いの配向方向が略一致した状態とされる。ここで、配向方向とは、放熱フィン132の放熱面の角度方向であって、後述する主体部の法線方向に垂直且つ冷媒流体の下流側を其の方向とする。また、垂直方向とは、放熱面内について、配向方向に対し垂直となる方向を指す。
【0018】
かかる放熱フィン130は、各々が、一定の板厚W,配向方向に沿った板長L,これらに垂直な板巾Hを有したものである。即ち、板巾Hは、フィン相互によって形成される溝深さを与えるものである。特に、複数の放熱フィン132は、同等形状のフィンを垂直方向へ配列させた群を一のユニットとし、このユニットを配向方向へ複数並べて構成されたものである。
【0019】
放熱フィン130の各々は、前端部rと主体部qと後端部pと上端エッジsとが一体物によって与えられる。このうち、主体部qは、板厚W及び板巾Hから成るフィン断面形状が配向方向に平行となる略一定となる部位である。前端部rは、主体部qの端部に設けられ先のフィン断面形状が配向方向に沿って増加する部位である。後端部pは、主体部qの端部に設けられ先のフィン断面形状が配向方向に沿って減少する部位である。
【0020】
図3(a)は、放熱フィンをヒートシンク底面に垂直となる視点から観察したものであり、放熱フィン132a及び放熱フィン132bの対向箇所を示している。以後、このような対向箇所の拡大図を示す場合、冷媒流体200は、紙面左方より紙面右方へ流れているものとする。このような実施形態の場合、放熱フィン132aは、上流側に上端部r(図示されていない)が配置され、その下流側に主体部qが配置され、更に下流側に後端部pが配置される。これは、下流側に配される放熱フィンについても同様である。
【0021】
先に説明したように、上流側の放熱フィン132aの配向方向には、別の放熱フィン132bが配向に対し略斜め方向に配置される。そして、放熱フィン132aによる上流側ユニットと放熱フィン132bによる下流側ユニットとの関係は、各々の主体部qが垂直方向へ交互に配列される。即ち、かかる配列は、煉瓦の交互配列の如く、互いの流路(主流)の間に配置されるよう、配置場所が垂直方向へ互いに「ズレ」を生じさせている。
【0022】
そして、本実施の形態に係る配列は、上流側の主体部qと下流側の主体部qとの間に所定間隔が設けられている。従って、この所定間隔は、上流側の主体部qに相当する領域A1(上流側主流領域A1)と下流側の主体部qに相当する領域A3(下流側主流領域A3)との間に介在することとなる。以下、この領域A1と領域A3との間の領域を、分枝領域A2と呼ぶこととする。この分枝領域A2は、垂直方向に沿って区間距離dを保っているものとする。この意味において、区間距離dは、放熱フィンの配向方向に関する距離を示すものである。
【0023】
本実施の形態に係るヒートシンクでは、分枝領域A2に、放熱フィン132a(第1放熱フィン)の後端部pと放熱フィン132b(第2放熱フィン)の前端部rとが供に配置される。そして、これらの後端部p及び前端部rは、放熱フィンが交互配列されるので、各々が垂直方向へ交互に配列されることとなる。即ち、上流側放熱フィン132aの後端部pの両隣には、これと反対向きとなるように、下流側放熱フィン132bの前端部rが配置されることとなる。
【0024】
これによると、本実施の形態では、主体部qが相互に対面する一の流路によって主流Fmが形成され、第1放熱フィン132aの後端部p及びこれに対面する第2放熱フィン132bの前端部rが一以上の支流Fbを形成する。即ち、上流側に配された主流Fm1は上流側主流領域A1に配され、支流Fbは分枝領域A2に配され、下流側に配された主流Fm3はこれに対応する領域A3に配される。そして、領域A1と領域A2の境界では、一の主流Fm1と其処から分枝する二の支流Fbとが直接的に接続され、これによる枝状流路が形成される。領域A2と領域A3の境界では、二の支流Fmbと其処から合流する一の主流Fmとが直接的に接続され、これにより枝状流路が形成される。
【0025】
上述の如く、本実施の形態では、主体部qが相互に対面する一の流路によって主流Fmが形成されるので、此処での圧力損失は側壁から受ける境界摩擦によるものに抑えられる。また、これから分枝する支流は、配向方向に対し角度を持って配置されるので、隣接する方向への運動を喚起させる役割を果たす。総括すると、ここに流れる冷媒流体は、全体として主流の流れに基づき僅かな圧力損失を受けつつ、支流を通過することによって垂直方向への運動が喚起され、受熱した冷媒流体の垂直方向への拡散が促される。
【0026】
特に、図3によると、第2放熱フィン132bに設けられた前端部rは、区間距離dよりも配向方向へ短くなるように設定される。これによると、各支流Fbの流路断面は、前端部rが区間距離dに一致している時と比べて、その部位における流路断面積が大きくなる。一般に、支流Fbとされる部位の近傍では、流れの方向が急変するので、その辺りに負圧が生じ局所的に逆流を生じることがある(図3(b)参照)。かかる場合、冷媒流体200の事実上の流路断面は、フィン形状によって想定される幾何学的なものよりも狭くなるので、当該支流での流路断面Gxを拡大させることは圧力損失を抑える上で有意である。また、かかる態様に限らず、第1放熱フィン132aの後端部pのみ(又は、第2放熱フィン132bの前端部rのみ)を配向方向について短くすることで、上記と同様の効果を得ることができる(図4(a)参照)。また、より効果を得たくば、双方の端部p,rを短くして、支流Fbの流路断面全域(Gx,Gy)を拡大させても良い(図4(b)参照)。
【0027】
本実施の形態に係るヒートシンク100では、放熱フィン132に所定長の長さを具備した主体部qが形成されるので、此処での圧力損失は境界摩擦によるものに抑えられる。また、複数の放熱フィンは、各々の配向が一致させるも、配向方向に交互配列されることになる。従って、主流の流れを保有した状態で、隣接する流れへの運動が喚起されることとなる。そして、本実施の形態は、かかる事項を前提とした上で主流と支流との開口断面の調整が図られるので、隣接方向への流体運動が促され、且つ、交互配列に伴う圧力損失上のデメリットも緩和される。
【0028】
また、本実施の形態では、放熱フィン132の端部が略三角形状を呈していることも、技術的に有利なものとさせている。即ち、上流側の端部rにあっては、三角状の突端が其の上流側に向けられるので、流路の急激な変化が極力抑えられることとなる。また、下流側の端部pにあっても、流路の変化が急激なものとなることはない。これらは、全て、圧力損失の抑制に資する形状であることが解る。
【0029】
また、本実施の形態では、分枝領域A2へ実質的なフィン構造が設けられるので(図5(b)参照)、分枝領域A2をクリアランス・スペースとさせた従来技術(図5(a)参照)と比較して、表面積の効果的な増加を見込める。その上、分枝領域A2に形成される支流Fbの流路断面は、事実上の流路が流れ方向に拘束されることを踏まえると、図5(a)の流路断面に劣ることも無い。即ち、本実施の形態では、分枝流路A2において、十分な放熱面形成と支流Fbの流路断面積確保との両立を成功させている。
【0030】
また、ヒートシンクの冷媒流路は、一の主流Fmの経路断面積と、これに直接接続される支流Fbの経路断面積の総和と、が略一致するよう設計しても良い。これによれば、著しい流路断面積の変化が避けられるので、これに伴う圧力損失の発生を回避できる。
【0031】
尚、本実施の形態では、上で紹介した形状のヒートシンクを製作するにあたり、鋳造法又はフライス加工等、様々な加工法を採用することが可能である。かかる加工法は、鋳造法では薄肉限界厚保が適宜定まっており、フライス加工ではエンドミルの機械的寸法に限界がある。従って、本実施の形態では、流路断面の寸法(経路巾)が設計されると、この条件に合う加工法が適宜選択される。このように、其の加工法の最小加工寸法よりも大きな寸法とすることで、上述した複雑な形状の放熱フィンが成形されることとなる。特に、本実施の形態では、冷媒流路(主流Fm,支流Fb)は、配向方向に対し対称形を成すよう形作られている。これによると、局所的に狭い流路幅を形成する必要が無くなるので、経路全体の幅寸法が略均一化され、加工上・設計上の負担を軽減させることが可能となる。
【0032】
以上、実施の形態に基づき本発明を具体的に説明してきたが、特許請求の範囲に記載の発明は、かかる事項によって限定されるものでなく、当該発明の技術的思想に基づいて適宜変更が可能である。例えば、上記実施の形態にあってはフィン断面形状を扁平状の多角形として流路の工夫を施しているが、その他の部位に流路上の工夫を与えても良い。
【0033】
図6は、其の変形例の一例が示されている。当該ヒートシンクは、図示の如く、略扇状の放熱フィン132が、上述同様、交互配列によって並べられている。図7は、其の一部を側方から観察した図(図7(a))、これをフィンの自由端側から観察した図(図7(b))が示されている。
【0034】
この例(他の実施の形態)にあっても、上流側の放熱フィン132aと下流側の放熱フィン132bとが交互に配列される。このため、支流領域A2についても、各々の端部が交互に配列されることとなる。この端部は、上流側端部については、板巾Hが主体部に向かって増加するので、其の構造断面もこれに応じて増加する。また、下流側端部については、板巾Hが主体部から遠ざかる程減少するので、其の構造断面も減少していくことになる。また、主体部にあっては、板巾Hが略一定なので、構造断面に変化は見られない。このように、本実施の形態に係る放熱フィン132は、ヒートシンクの側方から観察すると、略扇状の形状を呈することとなる。
【0035】
分枝領域A2では、一方の放熱フィン132aの後端部pと他方の放熱フィン132bの前端部rとが、所定の間隔を隔てつつ交錯するよう配列される。このため、分枝領域A2では、図7(a)に示す如く、紙面垂直方向、即ち、流路が隣接する方向へ立体的な開口が形成される。従って、前段の主流から後段の主流へ合流する際、又は、前段の主流から後段の主流へ分枝する際、分枝領域A2では、隣接する流路へ冷媒流体の交換が必要に応じて行われる。
【0036】
本実施の形態にあっても、上述の如く、圧力損失の軽減要請及び冷却効率の向上要請の双方を両立させたヒートシンクを実現させる。特に、本実施の形態にあっては、板厚Wを変化させる必要がないので、放熱フィン132を増加させても流路断面を十分に確保することが可能である。従って、かかるヒートシンクによれば、放熱面積を増加させることが可能となり、更に高い冷却効率を期待できる。
【符号の説明】
【0037】
10 コンバータ, 100 ヒートシンク, 110 基礎体, 130 放熱フィン, 200 冷媒流体, 301 発熱性素子, 302 伝熱性基板, 303 制御基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7