(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下に説明する実施の形態1の照明装置300は、ライトユニット100と器具本体200とを備える。照明装置300は、主に以下の特徴を有する。
(1)ライトユニット100は、使用環境温度に対応して発生する、LED(光源)が実装されたLED基板(光源基板)を収納する透光カバー10の長手方向における熱膨張と、透光カバー10が取り付けられるフレーム60の長手方向における熱膨張との差を、簡易な構成で吸収する。これによりライトユニット100の信頼性と作業性を向上させる。また、透光カバー10の防水性(水密性)も確保する。これにより、ライトユニット100は、作業性を向上しつつ防水性(水密性)を高め、水などの液体の浸入に伴う故障のおそれを低減させる。
(2)ライトユニット100は、LED基板と、LED基板に電力を供給する電源装置とが、別々の防水ケースに収納される。これにより、LED基板と電源装置とを一つのケースに収納する場合と比較して相互の温度上昇の影響が抑制され、ライトユニット100の信頼性を向上させる。また、組み立て性とメンテナンス性を向上させる。
(3)照明装置300は、器具本体200の内部に水などの液体が浸入した場合でも、排水性(排液性)の良い構成を提供する。これにより、浸入した水などの液体による故障のおそれを低減させる。
(4)また防水型電源装置80は照明装置300を固定するための吊りボルトに干渉しないように、透光カバー10の外側の、例えば、後述する
図5(a)に示す吊りボルト97L(または98L)と、
図5(a)において防水型電源装置80の右側に位置する吊りボルト(これらは図示していない)との間に配置する。これにより、照明装置300をより薄くすることができる。つまり、防水型電源装置80を吊りボルトと干渉しない位置に配置することで照明装置300をより薄くすることができる。
【0010】
図1〜
図18を参照して実施の形態1の照明装置300を説明する。以下に説明する照明装置300は、長手方向における左側端部11L(
図1)及び右側端部11Rにおける、透光カバー10のフレーム60への取付構成及び、カバーパッキン20L,20Rと端部カバー30L,30Rによる閉塞構成に特徴がある。
【0011】
図1は、照明装置300の斜視図である。
図2は、照明装置300をライトユニット100と器具本体200とに分解した斜視図である。
図3は、ライトユニット100を分解した斜視図である。
図3に示した方向を上側、下側とよぶ。
図4(a)(b)(c)は、それぞれ、ライトユニット100の上面図、正面図、底面図である。
図5(a)は照明装置300のA−A断面図(
図1)であり、
図5(b)はライトユニット100のB−B断面図(
図4(a))である。
図6はライトユニット100の左側面図である。
図7はライトユニット100のC−C断面図(
図4(b))である。C−C断面はライトユニット100の長手方向における中央部分の断面である。
図8は照明装置300(ライトユニット100を器具本体200に取り付けたもの)のD−D断面図(
図5(a))である。D−D断面の具体的な位置は、
図11に示すようにカバーパッキン20Lの厚みをわずかに切り取るような位置における断面である。
【0012】
(照明装置300の構成概要)
図1、
図2に示すように、照明装置300は、ライトユニット100と器具本体200とを備えている。ライトユニット100は、ネジ貫通孔34L,34Rを貫通するネジ96L、ネジ96Rによって器具本体200に取り付けられる。ネジ貫通孔34L,34Rはキャップ90L,90Rで蓋がされる。
【0013】
図3に示すように、ライトユニット100は、透光カバー10、カバーパッキン20L(第一のパッキン)、カバーパッキン20R(第二のパッキン)、端部カバー30L(第一の端部カバー)、端部カバー30R(第二の端部カバー)、カバー固定具40L(第一の取付具)、カバー固定具40R(第二の取付具)、取付金具50L,50R(第三の取付具)、フレーム60、特殊ネジ70L、特殊ネジ70R、防水型電源装置80、キャップ90L,90R等を備えている。
【0014】
図2、
図3、
図10、
図11、
図14を参照してライトユニット100の組み立てについて説明する。透光カバー10の内部には、光源であるLED(図示しない)が実装されたLED基板9が取り付けられたLED基板用フレーム8が収納される。以下、左側端部11Lを例にして説明する。透光カバー10にLED基板用フレーム8が収納された状態で、LED基板用フレーム8の端部にハーネス収納ゴム91が装着される。次に、透光カバー10の開口12Lを塞ぐカバーパッキン20Lが、取り付けられる。次に、端部カバー30Lが、カバーパッキン20Lを覆うように、透光カバー10に取り付けられる(
図11)。
【0015】
次に、カバー固定具40Lの差込部42L(
図11)が、端部カバー30Lの端部カバー被差込部35L(
図10、
図11)及び透光カバー10のカバー被差込部13L(
図11、
図14)に差し込まれる。次に、カバー固定具40Lに、差し込み方向と逆方向への抜け防止のストッパーネジ94Lが取り付けられる。次に、左側端部11Lの上面側に、透光カバー10を器具本体200に取り付けるための取付金具50Lが被せられる。以上が、左側端部11Lの説明であるが右側端部11Rも同様である。次に、取付金具50L,50Rの上側からフレーム60が被せられ、特殊ネジ70L,70Rが、カバー固定具40L,40Rのネジ孔41L,41Rに締め込まれて、フレーム60に対して透光カバー10が装着される。次に、取付金具50L,50Rが、ネジ96L,96Rによって器具本体200に取り付けられることで、ライトユニット100が器具本体200に取り付けられる(
図2)。なお、上記で述べた組み立ての順序は一例であり、これ以外の順序でもよい。
【0016】
続いて、ライトユニット100の各構成要素について図面を用いて説明する。
(透光カバー10)
図3に示すように、透光カバー10は、両端が開口した長尺状の中空体(筒体)である。透光カバー10は、光源であるLEDから発せられる光を透過するように透光性の材料を形成されており、例えばアクリルを用いた押し出し成型によって製造される。
図3に示すように、透光カバー10には、長手方向おけるカバー固定板93の左右に、突設部14−1L,14−2L,14−3L,14−4L及び14−1R,14−2R,14−3R,14−4Rと、カバー固定板93のある中央部分に突設部14−5Cが形成されている。左端の突設部14−1Lから右端の突設部14−1Rまで長手方向に連続している突設部のうち突設部14−1Lと突設部14−2Lとの間等を切除したような形状の構成である。
図12(a)はライトユニット100の中央部分の上面図であり、フレーム60の一部を切除して突設部14−5Cが見えるようにした図である。
図12(b)は中央部の突設部14−5Cを示す斜視図である。突設部14−5Cは、断面がF字形状の対によりなる。突設部14−1L,14−2L,14−3L,14−4L及び突設部14−1R,14−2R,14−3R,14−4Rは、突設部14−5Cと断面が同一形状である。但し、本実施の形態では長手方向の長さは異なる。突設部14−5CではF字形状の対による隙間に長手方向に沿ってカバー固定板93Cが差し込まれる。
図12(b)に示すように、カバー固定板93Cにはネジ96Cが締め込まれるネジ孔93C−1が形成されている。
【0017】
(カバー被差込部13L,13R)
また、透光カバー10は、左側端部11Lに形成されたカバー被差込部13L(第一の取付部)と、右側端部11Rに形成されたカバー被差込部13R(第一の取付部)とを有する。カバー被差込部13L、カバー被差込部13Rは、突設部14−1L、突設部14−1Rである(
図3)。カバー被差込部13L及びカバー被差込部13Rの長手方向の長さは、突設部14−5Cの長手方向の長さに対して短い。カバー被差込部13Lは、左側端部11Lに配置され、突設部14−5C(
図12)と同様に、F字形の対による隙間に長手方向に沿ってカバー固定具40Lの差込部42Lが差し込まれる(
図11)。カバー被差込部13Rは、右側端部11Rに配置され、突設部14−5C(
図12)及びカバー被差込部13L(
図11)と同様に、F字形の対による隙間に長手方向に沿ってカバー固定具40Rの差込部42Rが差し込まれる。
【0018】
(カバーパッキン20L,20R)
図9(a)(b)は
図3のカバーパッキン20L,20Rを拡大した図である。本実施の形態では、左側のカバーパッキン20L、右側のカバーパッキン20Rは同じ構造形状のものが使用される。
図9(b)に示すように、カバーパッキン20Rは透光カバー10の内部側となる側に、全周にわたって窪む窪み部21Rが形成されている。窪み部21Rに透光カバー10の右側端部11Rの先端が嵌る。窪み部21Lで説明すれば、
図8、
図11に示すように、窪み部21Lは、透光カバー10の外郭と内壁とに接するように取り付けられる。
図11(A−A断面)に示すように、カバーパッキン20Lは、窪み部21Lが「コの字形状」の枠体を形成し、「コの字形状」(窪み部21L)の間に透光カバー10の端部が入り込む構造である。このような構造によってカバーパッキン20Lは透光カバー10の開口12Lを塞ぐ。カバーパッキン20Rも同様である。
【0019】
(端部カバー30L,30R)
図10(a)(b)は
図3の端部カバー30L,30Rを拡大した図である。本実施の形態では、左右の端部カバーは同じ構造形状のものが使用される。端部カバー30Lは、カバーパッキン20Lを収納する収納部31L(第一の収納部)を有し、収納部31Lによってカバーパッキン20Lとともに透光カバー10の開口12Lを塞ぐ。また、端部カバー30Rは、カバーパッキン20Rを収納する収納部31R(第二の収納部)を有し、収納部31Rによってカバーパッキン20Rとともに透光カバー10の開口12Rを塞ぐ。
なお、左右の端部カバー30Lは、カバーパッキン20Lとの間に発生した僅かに隙間に水などの液体が入り込んだ場合に、この水などの液体を外部に排出するための排水孔38L(排液孔)を有する(
図6、
図10(a),
図11)。端部カバー30Rも同様に、排水孔38L(排液孔、図示していない)を有する。
【0020】
(カバー固定具40L,40R)
次に、カバー固定具40L,40Rを説明する。本実施の形態では、カバー固定具40Rはカバー固定具40Lと同じ構造形状であるので、カバー固定具40Lについて説明し、カバー固定具40Rの説明は省略する。
図3に示すように、カバー固定具40Lは外観がL字形状である。カバー固定具40Lは、特殊ネジ70Lが締め込まれるネジ孔41Lを有する。
図11は、A−A断面の一部拡大図である。
図11に示すように、カバー固定具40Lは差込部42L(第一の差込部)、延長部43L(第一の延長部)、対向部44L(第一の対向部)を有する。なおカバー固定具40Rも、差込部42R(第二の差込部)、延長部43R(第二の延長部)、対向部44R(第二の対向部)を有する。差込部42Lは「平板形状」をなし、カバー被差込部13L(第一の取付部)に差し込まれる。延長部43Lは、差込部42Lから左側端部11Lに向かう方向へ延びる。対向部44Lは、延長部43Lから折れ曲がり端部カバー30Lと対向する。
【0021】
(取付金具50L,50R)
次に、取付金具50L,50Rを説明する。本実施の形態では、取付金具50Rは取付金具50Lと同じ構造形状であるので、取付金具50Lについて説明し、取付金具50Rの説明は省略する。
図3に示すように、取付金具50Lは、フレーム60の下面側に重ねられる平板部51L、平板部51Lの両側から長手方向に沿って起立する側面部52L、平板部51Lの左側端部11LでL字形状に形成された腕部53Lを有する。また取付金具50Lは、フレーム60に形成された長孔60Lと重なる長孔54Lが形成されている。
【0022】
(フレーム60)
図3に示すように、フレーム60は、長尺状をなし、透光カバー10が取り付けられるフレームである。フレーム60は、平坦な平板部62、平板部62の両側から長手方向に沿って下側方向に起立する側面部63を有する。
図7に示すように、フレーム60の断面形状は、「コの字形状」である。側面部63の先端は、約90度、内側に折れ曲っており、取付金具50L,50Rを収納する際の位置決めの機能を有する。フレーム60は、中央部分に貫通孔65Cが形成された凹み部64を有する。これは、ネジ96Cの頭部が防水型電源装置80の底面に干渉しないように、ネジ96Cの頭部の位置を下げるための構造である。
図13に凹み部64の拡大図を示した。
【0023】
(特殊ネジ70L,70R)
本実施の形態では、特殊ネジ70Rは特殊ネジ70Lと同じ構造形状であるので特殊ネジ70Lについて説明し、特殊ネジ70Rの説明は省略する。
図3に示す特殊ネジ70Lは段付きネジである。
図11に示すように、頭部のフランジ部分がフレーム60を押し付け、雄ネジがカバー固定具40Lのネジ孔41Lに締め込まれることで、透光カバー10をフレーム60に取り付ける。
【0024】
(防水型電源装置80)
図3に示すように、フレーム60の平板部62の上側には防水型電源装置80が取り付けられる。
図15は防水型電源装置80の分解斜視図である。防水型電源装置80は、電源装置用ケース本体81、パッキン82−1(第一の電源装置用ケースパッキン)、パッキン82−2(第二の電源装置用ケースパッキン)、パッキン固定具83−1(第一の固定具)、パッキン固定具83−2(第二の固定具)を備えている。電源装置用ケース本体81は両端が開口する中空体であり、LEDに電力を供給する電源装置(図示していない)を収納する。パッキン82−1は電源装置用ケース本体81の一方の開口を塞ぎ、パッキン82−2は電源装置用ケース本体81の他方の開口を塞ぐ。パッキン固定具83−1はパッキン82−1を固定し、パッキン固定具83−2はパッキン82−2を固定する。パッキン固定具83−1は、ネジ84によって、電源装置用ケース本体81の両側に設けられたネジ孔85に締め込まれることで、パッキン82−1を電源装置用ケース本体81に固定する。
図16は、パッキン固定具83−1の寸法A、パッキン82−1の外側寸法B、パッキン82−1の内側寸法C、電源装置用ケース本体81の内部寸法Dを模式的に示す。
図16において、A>B,C<Dかつ(A−B)−(D−C)>0の関係である。なお
図16においてA〜Dに対応する奥行き方向(短手方向)の寸法をa,b,c,dとした場合、つまり、パッキン固定具83−1を縦A(mm)、横a(mm)の矩形、パッキン82−1の外側を縦B(mm)、横b(mm)の矩形、パッキン82−1の内側(電源装置用ケース本体81側)を縦C(mm)、横c(mm)の矩形、電源装置用ケース本体81の開口を縦D(mm)、横d(mm)の矩形と想定した場合、奥行き方向も、a>b,c<dかつ(a−b)−(d−c)>0の関係である。パッキン固定具83−2側も同様である。このような寸法A〜寸法D及び寸法a〜寸法dの関係を設定すると、パッキン82−1,82−2を電源装置用ケース本体81の端部に押し当てることによって得られる防水性能に加えて、さらに高い防水性(水密性)を得ることができる。
【0025】
(キャップ90L,90R)
図3に示すように、ネジ96Lが貫通する端部カバー30Lのネジ貫通孔34Lは、キャップ90Lを取り付けることによって蓋がされる。これにより意匠性を向上させる。キャップ90Rも同様の作用効果を有するものである。
【0026】
(熱膨張の膨張量の差の吸収)
ライトユニット100は、透光カバー10の長手方向における熱膨張と、透光カバー10が取り付けられるフレーム60の長手方向における熱膨張との差を、簡易な構成で吸収する。
図3、
図11、
図13、
図17を参照して、この簡易な構成を以下に説明する。上述のように、カバー固定具40L、カバー固定板93C、カバー固定具40Rに対して、それぞれ特殊ネジ70L、ネジ96C、特殊ネジ70Rをフレーム60の上側から締め付けることで、透光カバー10はフレーム60に装着される。この際、ネジ96Cの軸が貫通する貫通孔65C(
図13)は、ネジ96Cの軸径が貫通できる程度の大きさである。
図3に示すように、カバー固定具40L、カバー固定具40Rは、取付金具50L、50Rを挟んで上からフレーム60が装着される。
図17は、ライトユニット100の上面図であり、フレーム60の長孔61Lと取付金具50Lの長孔54Lとの関係を示す図である。二点鎖線で特殊ネジ70Lの段付きネジ部の太い方の軸を示した。長孔61L、長孔54Lからはカバー固定具40Lのネジ孔41Lが見えている。
図17に示すように、長孔61Lの方が長孔54Lよりも短い。長孔61Lは
図17の上面図では長孔54Lの内部に含まれる。フレーム60の長孔61L(第一の切欠部)は、長手方向に沿って細長い楕円形状に切り欠かれ、長手方向においてネジ孔41L(第一のネジ孔)から左側端部11Lに向かう方向とネジ孔41Lから右側端部11Rに向かう方向との両方向に切り欠かれた領域61L−1,61L−2が存在するようにネジ孔41Lを露出させる。フレーム60の長孔61R(第二の切欠部)も同様である。なお、長孔61Lは左端部が切除された切欠き形状でも構わない。
【0027】
図11に示す組み立てられた状態で使用環境温度が上昇すると、フレーム60、透光カバー10が長手方向に膨張する。また、透光カバー10は吸湿によっても膨張する。例えば透光カバー10がアクリル製で、フレーム60がアルミ製であり、透光カバー10の全長が1.2m程度の場合、想定される使用環境条件(温度、湿度)の変化に伴って、透光カバー10はフレーム60よりも長手方向に10mm程度大きく膨張または収縮する。ライトユニット100は長手方向の中央でフレーム60に長孔ではない貫通孔65Cを貫通するネジ96Cで止められるので、貫通孔65Cを基準とする長手方向の左右の膨張量(あるいは収縮量)はそれぞれ約5mm程度である。この5mmの膨張(あるいは収縮)を
図17に示す切り欠かれた領域61L−1,61L−2、及び切り欠かれた領域61R−1,61R−2(図示していない)が吸収する。透光カバー10が膨張(あるいは収縮)する際、
図11において透光カバー10、カバー固定具40L、特殊ネジ70Lはほぼ一体となって変位する。
【0028】
(水密性)
長手方向の膨張量の差を吸収する構成に使用されるカバー固定具40Lは、先端の対向部44Lで、端部カバー30Lのはずれを防止する。カバー固定具40Lの差込部42L、延長部43Lを合わせた長手方向長さ47Lは120mm程度であり、その部分の透光カバー10の膨張量は1mm程度である。この程度の膨張または収縮はカバーパッキン20Lの弾性変形で吸収可能な量である。カバー固定具40Rも同様の作用効果を有するものである。
【0029】
(カバー固定具40Lの移動防止)
図14はライトユニット100の左側端部11Lの上面図であり、カバー固定具40Lを露出させた図である。カバー固定具40Lは、二つのストッパーネジ94Lが締め込まれる。カバー固定具40Lが透光カバー10に対して左方向へ移動するとストッパーネジ94Lがカバー被差込部13Lに当たり、左方向への移動が止められる。カバー固定具40Lが透光カバー10に対して右方向へ移動した場合は、対向部44Lが端部カバー30Lに当たり右方向への移動が止められる。カバー固定具40Rも同様である。
【0030】
(端部カバー30L,30Rの機能)
図10に示すように、端部カバー30Rは、透光カバー10の右側端部11Rの外周の少なくとも一部に対向する外周対向部32R(第二の外周対向部)と、透光カバー10の右側端部11Rの内周の少なくとも一部に対向する内周対向部33R(第二の内周対向部)とを備える。同様に、端部カバー30Lも外周対向部32L(第一の外周対向部)、内周対向部33L(第一の内周対向部)を備える。
図11に示すように、端部カバー30Lは外周対向部32L、内周対向部33Rによって、カバーパッキン20Lと共に透光カバー10の端部を抑え込む。これによってカバーパッキン20Lと透光カバー10の端部との密着性を維持し、かつ、透光カバー10の変形を防止する。このような構成によって、透光カバー10は防水性(水密性)を有するものとなる。また、端部カバー30Lは、
図14の説明で述べたように、カバー固定具40Lが透光カバー10に対して左方向へ移動するとストッパーネジ94Lがカバー被差込部13Lに当たって左方向への移動が止められ、カバー固定具40Lが透光カバー10に対して右方向へ移動した場合は対向部44Lが端部カバー30Lに当たり右方向への移動が止められる。つまり、これを端部カバー30Lの側からみれば、端部カバー30Lの長手方向のスライド幅は、カバー固定具40Lによって規制される。また、
図11に示すように、ネジ96Lが貫通する貫通孔36Lが形成された貫通孔形成部位37Lと、カバー固定具40Lの対向部44Lの先端とが近接している。このため、端部カバー30Lがスライドする際に上下方向へ反れるロール運動は、対向部44Lの先端が貫通孔形成部位37Lと干渉することで規制することができる。端部カバー30Rも同様である。
【0031】
(排水性(排液性))
図18は、照明装置300のC−C断面を示す図である。
図2に示すように、器具本体200は、ライトユニット100を収納する収納口となる開口201が長手方向に沿って形成され、開口201の一つの縁202が透光カバー10の長手方向に沿って透光カバー10と隙間をなし、この一つの縁202に対向する別の縁203が透光カバー10の長手方向に沿って透光カバーと隙間をなしている。
図18ではC−C断面における透光カバー10と器具本体200との隙間は0.6mm程度であり、D−D断面における器具本体200と端部カバー30Lとの隙間は1mm程度である。このような隙間により、器具本体に浸入した水などの液体を排出する排水性(排液性)を高めることができる。
また、透光カバー10の幅手方向(短手方向)の中央部分が頂点となるように幅手方向端部にかけて肩下がりとなる傾斜面15(
図7、
図18)を形成している。この傾斜面15を形成することにより、透光カバー10の上面に付着する油煙、水滴(液滴)は傾斜面15に沿って滴り落ちるため、排水性(排液性)を高めることができる。また、突設部14−1L,14−1R,14−5Cは長手方向に対して連結させずに3つのブロックに分けているため、この突設部14−1L,14−1R,14−5Cに付着する油煙、水(液)滴は、突設部14−1L,14−1R,14−5Cに溜まらずに前述の幅手方向の傾斜面15に沿って滴り落ちやすくなり、排水性(排液性)を高めることができる。
【0032】
実施の形態2.
図19〜
図23を参照して実施の形態2を説明する。実施の形態2は、実施の形態1の照明装置300のバリエーションを説明する。
図19、
図20、
図21、
図22は、それぞれ、トラフタイプ、笠付タイプ、V形タイプ1、V形タイプ2の照明装置である。
図19のトラフタイプは実施の形態1の照明装置300である。
図19の(a),(b),(c)はそれぞれ、左側面図、C−C断面図相当、D−D断面図である。C−C断面図相当とするのは、C−C断面図はライトユニット100の断面図であり
図19(b)は照明装置の断面図だからである。
図20〜
図22も同様である。これらの照明装置は照明装置300に対して器具本体の形状が異なるが、ライトユニットは実施の形態1のライトユニット100と同様である。なお
図19〜
図21の照明装置では、カバーパッキンのハーネス引出孔の位置がライトユニット100と異なっている。
【0033】
(1)以上に説明した照明装置300によれば、
図17に示すように特殊ネジ70Lの両側には切り欠かれた領域61L−1,61L−2(右側端部11Rも同様)が存在するので、カバー被差込部13L、カバー固定具40L、フレーム60の長孔61L、特殊ネジ70L等による簡易な構成で、長尺状の照明装置において、長手方向における部材間(透光カバー10、フレーム60等)の温度変化に伴う膨張量の差を吸収できる。また、カバー固定具40Lは、カバーパッキン20Lを固定している端部カバー30Lの抜け止めの機能も有するので、上記構成により水密性も向上する。
(2)以上に説明した照明装置300によれば、LED基板9が透光カバー10に収納され、電源装置が電源装置用ケース本体81に収納されるので、LED基板9と電源装置とが一つの防水型ケースに収納される場合に比べて温度上昇を抑えることができる。これにより温度上昇を原因とする光出力の低下を防止できる。また、要求される部品の耐熱性(温度耐性)も下がるためコスト低減をはかることができる。そして、組み立て性とメンテナンス性も向上させることができる。
(3)以上に説明した照明装置300によれば、透光カバー10と器具本体200との間に長手方向において隙間を設けたので、器具本体200に入り込んだ水などの液体を排出する排水性(排液性)を高めることができる。
(4)以上に説明した照明装置300によれば、端部カバー30Lの外周対向部32L、内周対向部33Lが透光カバー10端部の外郭と内壁とを支持する(右側端部11Rも同様)。よって、透光カバー10端部の変形を防止することができる。
(5)以上に説明した照明装置300によれば、防水型電源装置80は、照明装置300を固定するための吊りボルトに干渉しないように、透光カバー10の外側の、2本の吊りボルトの間に配置される。これにより、照明装置300をより薄くすることができる。照明装置300をより薄くすることによって、照明装置300の天井などからの張り出し寸法が抑制されるので、照明装置300から照明空間全体により広く光を照射することができるとともに、照明空間をより広く利用することができる。
【0034】
実施の形態3.
図24〜
図31を参照して実施の形態3を説明する。実施の形態3は、実施の形態1及び実施の形態2で述べた、端部カバー30L,30R及び取付金具50L,50Rの異なる構成に関する。実施の形態3の端部カバーは端部カバー30L−1,30R−1とし、取付金具は取付金具50L−1,50R−1として説明する。
【0035】
まず、端部カバー30L−1を説明するが、端部カバー30R−1も端部カバー30L−1と同様の構成である。端部カバー30L−1は、実施の形態1の端部カバー30Lに対して、筒状ガイド390Lを有すること、排水孔38L−1の形状を限定していること、底部の表面が排水孔38L−1に向かって下る傾斜を有すること、が異なる。
【0036】
図27に示すように、端部カバー30L−1(第一の端部カバー)は、端部カバー30Lと同様に、器具本体200に取り付けられる場合に器具本体200への取付け用のネジ96Lが通過する、ネジ貫通孔34Lが形成されている。
【0037】
図25、
図26は、端部カバー30R−1,30L−1の斜視図であり、筒状ガイド390R,390Lを示している。断面図である
図27に示すように、端部カバー30L−1は、器具本体200に取り付けられた状態で底となる底部310Lと、矢印314Lで示す方向における底部310Lの端部315Lから上方に起立し、起立し始める箇所に(円形を含む)略円形の排水孔38L−1が形成された起立壁320Lを備えている。底部310Lは、ネジ貫通孔34Lの周縁341Lからネジ96Lが通過する方向(矢印Z方向)に筒状に起立する筒状ガイド390Lを有する貫通孔形成部である。端部カバー30L−1では筒状のねじガイドである筒状ガイド390Lがネジ貫通孔34Lを取り囲んでいる。
図2に示すように、ライトユニット100は、ネジ96L,96Rを用いて器具本体200に取り付けられるが、端部カバー30L−1ではネジ貫通孔34Lの周囲を筒状ガイド390Lで囲っているのでネジ96Lが筒状ガイド390Lの内部から外側へ出ることがない。すなわち、ライトユニット100を器具本体200に取り付ける時に、ネジ96Lが端部カバー30L−1の内部に落下するおそれがなくなる。端部カバー30R−1(第二の端部カバー)及びネジ96Rについても同様である。
【0038】
図25、
図31に示すように、筒状ガイド390L,390Rには筒形状の側面の縦方向(矢印Z方向)にスリット391L,391Rが形成されている。スリット391Lは排水孔38L−1に面する側面に形成されている。
図31は
図26をX方向に矢視した図であるが、
図31に示すように、筒状ガイド390Lにスリット391Lを設けたことにより、筒状ガイド390Lの内側の底部310Lの水(液体)を筒状ガイド390Lの内側に留めることなく排水孔38L−1に排出できる。
【0039】
また、
図25、
図26に示すように、端部カバー30R−1,30L−1には、ハーネスを挟んで支持するハーネス支持部380R,380Lが設けられている。ハーネス支持部380R,380Lは、2枚の壁部で形成される凹み部によって、電源装置からLED基板9に実装されたLED(図示しない)へ電力を供給するために設けられるハーネスを挟むように支持する構成である。なお、ハーネス支持部380R,380Lの形状は図示した形状に限定されない。
【0040】
このように、端部カバー30R−1,30L−1に形成された筒状ガイド390L,390Rは、照明装置300を組み立てる時に端部カバー30R−1,30L−1の内部にネジ96L,96Rが落下するおそれをなくして施工性を向上させる効果とともに、筒状ガイド390L,390Rによって、キャップ90L,90Rが装着されるネジ貫通孔34L,34Rからの水(液体)の浸入に対して高い水密性を確保する効果を有する。
【0041】
次に、端部カバー30L−1の排水孔38L−1について説明する。
図24、
図26、
図27等に排水孔38L−1を示している。排水孔38L−1の開口面積は排水性を向上させた面積であり、この開口面積は20mm
2〜30mm
2であることが好ましく、本実施の形態では開口面積は20mm
2である。開口部の断面形状は任意であるが縦横比が1に近い方が好ましい。
図24に示すように、排水孔38L−1では開口部の形状が蒲鉾形状であってもよい。このような形状にすることによって、端部カバー30L−1の内側の水(液体)を効果的に排水させることができる。端部カバー30R−1(第二の端部カバー)についても同様である。
【0042】
次に、端部カバー30L−1の底部310Lの底部表面311Lが排水孔38L−1に向かって下る傾斜を有することを説明する。
図27に示すように、底部310Lの底部表面311L(表面)は、ライトユニット100が器具本体200に取付けられた状態において、排水孔38L−1に向かって矢印314Lで示す方向に下り勾配となる下り勾配領域316L(
図31)を有する。
図27に示すように、底部表面311Lには、排水孔38L−1に向う排水勾配(傾斜)312Lを設ける(実線矢印の向き)。排水勾配312Lはライトユニット100を水平に、下方照射させる姿勢としたときに、端部カバー30L−1において、
図27の底部表面311Lが概ね1度の傾斜角度で排水孔38L−1の向きに下る勾配である。なお、傾斜角度は、排水性と成形性を考慮して決定される。
図31を参照して排水性を説明する。
図31では中央における排水勾配312Lを破線矢印で示しているが、下り勾配領域316Lでは排水勾配312Lの矢印の方に向かって低くなるので底部表面311Lの水は排水孔38L−1に向かい、排水孔38L−1から排出される。端部カバー30R−1(第二の端部カバー)についても同様である。
【0043】
次に、
図28の取付金具50L−1を説明する。
図11に示す取付金具50Lでは、ライトユニット100が器具本体200に取付けられた状態において、L字形状に形成された腕部53LのうちL字の水平部が器具本体200と接する(器具本体200に固定される)。
【0044】
まず
図27に示すように、端部カバー30L−1は、実施の形態1の器具本体200に取り付けられた状態で底となる底部310Lと、底部310Lから上方に向かって引き続いて形成される外郭330Lとを備える。そして、ライトユニット100は、取付金具50L−1(第三の取付具)を備える。
【0045】
図28の取付金具50L−1は、腕部53LのうちのL字の水平部502Lの両側の側端部が折り曲げて形成された、側面部511L,512Lを有する。
図28では破線501Lで囲んだ範囲の形状は実施の形態1の取付金具50Lと異なるが、破線501Lで囲んだ範囲の形状は取付金具50L(
図3)と同じ形状でも構わない。
【0046】
取付金具50L−1は、取付金具50Lと同様に、フレーム60と透光カバー10とに挟まれることによりライトユニット100に取り付けられる(
図11)。そして、取付金具50L−1は、側面部511L,512Lの先端513L,514L(端部)が端部カバー30L−1の外郭330Lの内側となる内壁331Lを押し付けるように取り付けられる。
図29のE−E断面を示す
図30、及び
図29の破線楕円で囲んで示した範囲313Lのように、側面部511L,512Lの先端513,514は、ライトユニット100が器具本体200に取付けられた状態(照明装置300が使用される状態)において、端部カバー30L−1の内側(内壁)に当接するので、端部カバー30L−1のガタツキが抑制される。またガタツキが抑制されるので、水密性(止水性)も向上する。取付金具50R−1及び端部カバー30R−1についても同様である。
【0047】
実施の形態4.
図32、
図33を参照して実施の形態4を説明する。実施の形態4は、実施の形態1で説明したフレーム60とは異なる形状のフレーム60−1に関する。実施の形態4のライトユニット100は、透光性を有する透光カバー10と、透光カバー10が取り付けられるフレーム60−1とを備える。
【0048】
図32、
図33に示すように、フレーム60−1は、それぞれの側面部63の端部が折り曲げられた、折曲部601,602(対向部)を有する。折曲部601,602はフレーム60−1の長手方向にわたって形成されており、一面側が平板部62に対向している。
図33に示すように、折曲部601,602の他面側は、隙間621,622(第一の隙間)を隔てて、透光カバー10と対向する。透光カバー10は、長尺形状であるが、
図3、
図32に示すように、フレーム60−1は、長尺形状である透光カバー10の長手方向に沿う長尺形状をなす。折曲部601,602は、フレーム60−1の長手方向に沿って形成される。
図33に示すように、隙間621,622は、フレーム60の長手方向に沿って形成される。ライトユニット100を収納する収納口となる開口201が透光カバー10の長手方向に沿って形成され、開口201の一つの縁202が透光カバー10の長手方向に沿って透光カバー10と隙間606(第二の隙間)を隔てて対向し、一つの縁202に対向する別の縁203が透光カバー10の長手方向に沿って透光カバー10と隙間605(第二の隙間)を隔てて対向する。
【0049】
(フレームの表面処理)
折曲部601,602では、LED基板9が配置される下側の下側表面603,604は、フレーム60−1の素材の反射率よりも高い反射率となるように処理されている。下側表面603,604は反射率が高い白色が望ましい。下側表面603,604をフレーム60−1の素材よりも高い反射率にする方法として、例えば、高反射塗料を塗布して乾燥硬化させる方法、高反射率のシート材を貼り付ける方法、フレーム素材がアルミニウムの場合は白アルマイト処理を施す方法などがある。下側表面603,604を高い反射率となるように処理することによって、
図33に矢印211,212で示すように、折曲部601,602の下側表面603,604で反射した光は、一つの縁202と透光カバー10とで形成される隙間606と、別の縁203と透光カバー10とで形成される隙間605とから、外部に照射される。
【0050】
図33に示すように、器具本体200と透光カバー10との隙間605,606からはフレーム60−1の下側表面603,604が見える。このため、器具本体200に取付けられたライトユニット100が点灯中の状態において、光源であるLED(図示しない)から発せられる光のうち、透光カバー10から器具本体200側に回り込む光を、下側表面603,604によって照射側に戻すことになるため、照明装置全体での光の利用効率を向上させることができる。また、隙間605,606は排水(排液)の効果があるが、隙間605,606をあらゆる角度から見ても、光が反射している下側表面603,604を見ることになるので、隙間605,606がスジ状に暗くなることがなく、ライトユニット100が点灯中の状態における意匠性が向上する。また、隙間621,622を形成したので、隙間621,622から水を排出できる。
【0051】
実施の形態5.
図34〜
図36を参照して実施の形態5を説明する。実施の形態5は取付金具と器具本体との取り付け構造に関する。以下では取付金具50L−2,50L−1−1を中心に説明するが、取付金具50R−2,50R−1−1も取付金具50L−2、50L−1−1と同様の構成である。
【0052】
図34を参照して取付金具50L−2を説明する。
図34に示すように、器具本体200は、器具側貫通孔210が形成された器具側平板部230を有する。器具側平板部230に取付金具50L−2が取り付けられる。取付金具50L−2は
図3に示す取付金具50Lに対して、L字の腕部53Lのうち、水平部531L(平板部)に、ライトユニット100の側へ落ち込んで凹む凹み形状の凹み部532Lが形成されている。凹み部532Lには凹み形状の領域にネジ96Lが貫通する貫通孔533Lが形成されている。ネジ96Lは、ライトユニット100を器具本体200に取付けるために用いる。
【0053】
図36は
図34が組み立てられた状態を示し、
図34のF−F断面である。
図36に示すように、器具側平板部230の下に水平部531Lが位置し、凹み部532Lの凹みに抜け止めワッシャー542Lが配置され、凹み部532Lを挟んで抜け止めワッシャー542Lの下側(反対側)にワッシャー541Lが配置される。ネジ96Lはネジ溝が形成されたネジ軸962Lと、ネジ頭961Lとを有する。ネジ96Lのネジ軸962Lがワッシャー541L、貫通孔533L、抜け止めワッシャー542L、器具側貫通孔210を介して、器具側ナット220(相手部品)にねじ込まれることでネジ頭961Lの下面がワッシャー541Lを押し付け、取付金具50L−2の水平部531Lが器具本体200の器具側平板部230に押し付けられる。なお凹み部532Lは、抜け止めワッシャー542Lが収納される形状であれば、形状は任意である。また凹み部532Lの凹み深さ寸法Hは、抜け止めワッシャー542Lの厚さ寸法Bに応じて決定する。例えば、抜け止めワッシャー542Lの厚さ寸法Bが1mmであれば、凹み深さ寸法Hは1mm、又は1mmより若干大きい方が好ましい。これは、水平部531Lの上面と器具側平板部230の下面とが隙間なく広く密着し、強く密着されるからである。
【0054】
ネジ96L、ワッシャー541L、抜け止めワッシャー542Lは、ライトユニット100の組立工程で取り付けられる。ネジ96L、ワッシャー541L及び抜け止めワッシャー542Lは、ライトユニット100と一体で流通させる。流通させる場合は、
図34において、凹み部532Lの下側にワッシャー541Lを配置し、ネジ軸962Lをワッシャー541L、貫通孔533Lを貫通させ、貫通させたネジ軸962Lに抜け止めワッシャー542Lを装着する。このようにして、ライトユニット100は、抜け止めワッシャー524Lが取付金具50L−2の凹み部532Lの側に配置され、ワッシャー541Lが凹み部532Lを挟んで抜け止めワッシャー542Lの反対側に配置され、ネジ96Lのネジ軸962Lがワッシャー541L、凹み部532Lの貫通孔533Lを貫通した状態で抜け止めワッシャー542Lがネジ軸962Lに取り付けられることで、取付金具50L−2に、ワッシャー541Lと、抜け止めワッシャー542Lと、ネジ96Lとが一体に取り付けられる。
【0055】
図35に示すように、実施の形態3の取付金具50L−1に凹み部532Lを設けた、取付金具50L−1−1の構成としてもよいことは明らかである。
【0056】
取付金具50L−2によれば、ライトユニット100を包装する工程において、別途個別にネジ96Lを包装する必要がないので、包装作業時間を短縮し、ネジ96の包装忘れを防止することができる。つまり、ライトユニット100の製造工程は、簡素化及び高品質化を図ることができる。また、照明装置300の施工において、ネジ96Lはライトユニット100と一体になっているので、ネジ96Lを取り出す必要がなく、紛失するおそれもない。また、ネジ96Lを締める際にマグネットドライバなどの特殊な工具を用いる必要がない。凹み部532Lを設けたので、取付金具50L−2と器具本体200との密着性が増大し、ライトユニット100を器具本体200に強固に固定することができる。また抜け止めワッシャー542Lを用いた場合でも、端部カバー30L,30R(30L−1,30R−1)の浮き、傾きが生じないので、ライトユニット100の止水性と意匠性を確保できる。
【0057】
実施の形態6.
図37〜
図40を参照して実施の形態6を説明する。実施の形態6は、ライトユニット100を器具本体200に取り付ける際の取付け工程に関する。実施の形態6はフレーム60−2に関する。
図38に、フック241とワイヤー242(線状体)とを有するフック付きワイヤー240の例を示す。フック付きワイヤー240では、ワイヤー242の先端部にフック241が取り付けられている。フック付きワイヤーは、図示した形態に限定されない。
図37に示すように、フレーム60−2は、平板部62に、フック付きワイヤー240のフック241を引っ掛けるための、引掛部611,612を有する。引掛部611,612には各フック付きワイヤー240が引っ掛けられる。
【0058】
図37(c)に示すように、本実施の形態では、引掛部611,612は平板部62の一部が切り起こされた2面で構成された屋根形状であるが、フック241を引っ掛けることができ、かつ、フック241を引っ掛けてライトユニット100を吊り下げた状態を維持できる十分な強度を有していればよい。また、引掛部611,612は、切り起こしの他に、フック241を引っ掛けるための部品を、溶接やねじ止めなどの方法によって装着してもよい。
【0059】
図38のワイヤー端部243は、施工作業前に、器具本体200に設けられたワイヤー端取付部250に取り付けられる。
図29にワイヤー端取付部250の例を示した。ワイヤー端取付部250は引掛部611,612に対応して、各1個ある。器具本体200に設けられたワイヤー端取付部250は、フック付きワイヤー240を収納する収納部の機能を有してもよい。ライトユニット100を器具本体200に取り付ける取付工程では、それぞれのワイヤー端取付部250は、引掛部611,612のほぼ真上にある。ワイヤー端部243がワイヤー端取付部250に取り付けできる限りにおいて、ワイヤー端部243の形状や、ワイヤー端取付部250の構造、形状は限定されない。
【0060】
図37(a)に示すように、上面図(平面視)において、重心701は引掛部611と引掛部612とを結ぶ線616とずれるようにする。つまりライトユニット100では、引掛部611,612どうしを結ぶ線616(領域相当線)は、ライトユニット100が器具本体200に取り付けられた状態における平面視(
図37(a))において、ライトユニット100の重心701と重ならない。よって、一方のフック付きワイヤー240のフック241を引掛部611に引っ掛け、他方のフック付きワイヤー240のフック241を引掛部612に引っ掛けてライトユニット100を吊り下げた状態において、引掛部611と引掛部612とを結ぶ線616を中心線としてまわりに力学的なモーメントが発生するので、ライトユニット100は
図39のように傾いた状態で落ちつく。
【0061】
また
図37(c)に示すように、2つの引掛部611,612は、線616の方向と直交する方向にフレーム60−2の平板部62に切り込まれた二本の切り込みが切り起こされた形状をなす。なお実際に切り起こされていなくてもよく、例えば、フック付きワイヤー240のフック241を引っ掛けられる形状の部品を、溶接やねじ止めなどの方法を用いてフレーム60−2の平板部62に取付けてもよい。
【0062】
図37(c)に示すようにフック241(二点鎖線で示した)は長手方向を向くように引っ掛けられるが、
図39に示すように、揺れ方向に対して直交する方向にフック241が引っ掛けられるので、揺れ方向にライトユニット100が揺れてもフック241は引掛部611,612から外れることがない。また、ワイヤー242の長さは選択範囲が広いので、フック241を作業者の目線以下の高さで引掛部611,612に取り付けることができるようにワイヤー242の長さを容易に選択できる。また、力学的なモーメントによってライトユニット100が傾き、作業者側に配線面を向けることができるので、作業者は両手を使って、安全かつ効率的に配線作業ができる。このようにライトユニット100を器具本体200に吊り下げて、ライトユニット100を仮保持した状態で配線作業ができるので、ライトユニット100を器具本体200に取り付ける取付工程において、施工性が向上する。
【0063】
図37ではフレーム60−2が2つの引掛部(引掛部611,612)を有する場合を説明したが、引掛部は3つ以上設けてもよい。
図40に示すように、引掛部を3つ以上設ける場合(
図40では4つの場合)、複数の引掛部どうしを多角形をつくるように結ぶ線に囲まれる領域(
図40では4角形620)は、ライトユニット100が器具本体に取り付けられた状態における平面視において、多角形(4角形620)の辺上及び多角形の領域内にライトユニット100の重心701を持たない。
【0064】
なお、上述した実施の形態に係る照明装置は、使用環境条件(温度、湿度)の変化に伴って発生する、LED(光源)が実装されたLED基板(光源基板)を収納する透光カバー10の長手方向における熱膨張と、透光カバー10が取り付けられるフレーム60の長手方向における熱膨張との差を、ライトユニットの長手方向の(左右の)両端部で吸収する構成としているが、これに限らず、ライトユニットの長手方向の一方の端部で吸収する構成としてもよい。このような構成とすることで、さらに簡易な構成とすることができる。
【0065】
また、上述した実施の形態に係る照明装置は、両端が開口した長尺状の中空体(筒体)である透光カバーを用い、その両端部を端部カバーとカバーパッキンとを用いて防水性(水密性)を有する構成としている。しかし、これに限らず、一方の端部が閉じた長尺状の中空体(筒体)である透光カバーを用いて、端部カバーとカバーパッキンとで、開口した他方を塞ぐ構成としてもよい。このような構成とすることで、さらに簡易に防水性(水密性)を有する構成とすることができる。
【0066】
さらに、上述した実施の形態に係る照明装置は、それぞれ1つのライトユニットを備えるものとして説明したが、これに限らず、照明装置は、
図23に示すように、長手方向に複数のライトユニットを備える照明装置であってもよい。
図23は、2つのライトユニット100が器具本体200−2に装着された照明装置300−2を示す斜視図である。
図23では左右のライトユニットの間に、長手方向の膨張を吸収する隙間が設けてある。照明装置は
図23の場合に限らず、3つ以上のライトユニットを有する構成でも構わない。また、照明装置は、短手方向(横手方向)に複数のライトユニットを備える照明装置であってもよい。さらに、照明装置は、斜め方向に複数のライトユニットを備えるものであってもよい。ここで斜め方向とは、例えば短手方向に2つのライトユニットを並べた状態で、一方のライトユニットを長手方向にずらしたような配置である。このように一つの照明装置が複数のライトユニットを有する構成によって、さらに簡易な構成とすることができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態1〜6について説明したが、これらの実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。