(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
利用者が所持する携帯端末と、前記携帯端末と通信するセンタ装置とを備え、利用者の現在の状態を示す現状態情報を前記携帯端末により監視センタに送信する行動管理システムであって、
前記携帯端末は、
利用者が前記現状態情報を入力する状態入力部と、
入力された前記現状態情報を前記センタ装置に送信する通信部と、
利用者が現在所在している監視区域を検出する監視区域検出部と、
利用者が現在所在している監視区域の警備装置による現在の警備状態を前記通信部を介して前記センタ装置から受信して表示させる警備状態確認部とを有し、
前記監視センタは、
前記携帯端末及び監視区域に設置された前記警備装置と通信する通信部と、
利用者の前記現状態情報を記憶する記憶部と、
前記携帯端末の通信部から受信した利用者の前記現状態情報を前記記憶部に登録する現状態管理部と、
前記警備装置から警備状態を取得する警備状態取得部と、
前記警備装置の現在の警備状態を前記携帯端末に送信する警備状態通知部とを備えており、
さらに前記現状態管理部は、前記警備状態通知部によって前記警備状態を送信した前記携帯端末については、利用者が現在所在している監視区域から移動する状態を現状態情報として前記記憶部に登録し、前記警備状態を送信していない前記携帯端末については、利用者が現在所在している監視区域から移動する状態を前記現状態情報として前記状態記憶部に登録することを禁止することを特徴とした行動管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された警備装置の発明によれば、警備装置の監視を無効にしたままで警備員が監視区域を離れることが防止できるという点では有効であるものの、次の点では問題がある。すなわち、警備員が監視区域を離れるのは監視区域が無人の場合だけでなく、監視区域に他の警備員あるいは正当な利用者がいる場合もあり、また夜間工事など例外的に有人となる状況も考えられる点である。なぜなら、内部に正当な人がいる状態で誤って警備装置の監視を有効にしてしまうと、正当な利用者を侵入として検出してしまい誤警報の原因となってしまうからである。このため、特許文献1の発明のように、警備員と監視区域との距離によって警備状態を自動的に切り替えると却って誤警報が増大するおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した従来の発明における課題に鑑みてなされたものであり、監視区域に警備装置を設置し、当該監視区域に随時立ち入る作業者には、当該作業者の業務上の現況情報を入力できる携帯端末を所持させ、携帯端末から遠隔の監視センタに作業者の業務上の現況情報を送信させるとともに、警備装置の警備状況を携帯端末に送信して表示させる警備システムを提供するとともに、かかるシステムにおいて、業務中に警備解除モードとした警備装置を業務終了後に再び警備セットモードとするのを忘れないようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明は、作業対象施設での業務終了後に、携帯端末を利用して警備装置の警備状況を確認したことを条件として、次の業務地への「出発」等のような利用者の業務上の行為を、現況情報として携帯端末から入力する操作が行えるようにした。さらに、「出発」等の移動する状態の現況情報の入力なしで当該行為に及んだ(つまり出発した)場合には、携帯端末の位置情報が変化したことを検知して異常発報するようにした。これにより、監視領域に設けられた警備装置の警備セット確認忘れを確実に防止することができる。
前述した課題を解決するための手段を本願の特許請求の範囲の各請求項の記載に応じて説明すれば、下記の通りである。
【0009】
請求項1に記載された携帯端末によれば、
利用者の現在の状態を示す現状態情報をセンタ装置に送信する携帯端末であって、
利用者が前記現状態情報を入力する状態入力部と、
入力された前記現状態情報を前記センタ装置に送信する通信部と、
利用者が現在所在している監視区域を検出する監視区域検出部と、
利用者が現在所在している監視区域の現在の警備状態を受信して表示させる警備状態確認部とを有し、
前記状態入力部は、前記警備状態確認部が現在の警備状態を表示させた場合には、利用者が現在所在している監視区域から移動する状態の入力を、前記現状態情報の入力として許容することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載された携帯端末によれば、請求項1に記載の携帯端末において、
現在位置情報を取得する位置取得部と、
利用者が現在所在している監視区域から移動する状態が前記現状態情報として前記状態入力部から入力されず、前記現在位置情報が変化したと判断される場合に警報を出力する位置監視部と、
をさらに備えることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載された携帯端末は、請求項1または2に記載の携帯端末において、
前記警備状態確認部は、利用者が現在所在している監視区域の現在の警備状態を表示すると、所定の事象が生起するまでの間だけ確認フラグを有効状態に設定し、
前記状態入力部は、前記確認フラグが有効状態である場合には、利用者が現在所在している監視区域から移動する状態の入力を、前記現状態情報の入力として許容することを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載された行動管理システムは、
利用者が所持する携帯端末と、前記携帯端末と通信するセンタ装置とを備え、利用者の現在の状態を示す現状態情報を前記携帯端末により監視センタに送信する行動管理システムであって、
前記携帯端末は、
利用者が前記現状態情報を入力する状態入力部と、
入力された前記現状態情報を前記センタ装置に送信する通信部と、
利用者が現在所在している監視区域を検出する監視区域検出部と、
利用者が現在所在している監視区域の警備装置による現在の警備状態を前記通信部を介して前記センタ装置から受信して表示させる警備状態確認部とを有し、
前記監視センタは、
前記携帯端末及び監視区域に設置された前記警備装置と通信する通信部と、
利用者の前記現状態情報を記憶する記憶部と、
前記携帯端末の通信部から受信した利用者の前記現状態情報を前記記憶部に登録する現状態管理部と、
前記警備装置から警備状態を取得する警備状態取得部と、
前記警備装置の現在の警備状態を前記携帯端末に送信する警備状態通知部とを備えており、
さらに前記現状態管理部は、前記警備状態通知部によって前記警備状態を送信した前記携帯端末については、利用者が現在所在している監視区域から移動する状態を現状態情報として前記状態記憶部に登録し、前記警備状態を送信していない前記携帯端末については、利用者が現在所在していない監視区域から移動する状態を前記現状態情報として前記状態記憶部に登録することを禁止することを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載された行動管理システムは、請求項4に記載の行動管理システムにおいて、
前記携帯端末は、
さらに、現在位置情報を取得する位置取得部を備えており、該位置取得部が取得する現在位置情報を前記通信部を介して前記監視センタに送信し、
前記センタ装置は、
利用者が現在所在している監視区域から移動する状態が前記現状態情報として前記記憶部に登録されていない携帯端末について、前記現在位置情報が変化したと判断される場合に警報出力する位置監視部を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載された携帯端末用プログラムは、
利用者の現在の状態を示す現状態情報をセンタ装置に送信し、利用者が所持して利用者の行動の管理に用いられる携帯端末に読み込まれる携帯端末用プログラムであって、
前記携帯端末の少なくとも一部を構成するコンピュータを、
利用者が現在所在している監視区域を検出する監視区域検出部と、
利用者が現在所在している監視区域の警備状態を受信して表示させる警備状態の異なる警備状態確認部と、
前記警備状態確認部が現在の警備状態を表示させた場合には、利用者が現在所在している監視区域から移動する状態の入力を、前記現状態情報の入力として許容する前記状態入力部として機能させることを特徴としている。
【0015】
なお、本発明において「利用者」とは、より具体的には警備装置で警備された監視区域に一時的に出入りする人物であって、本発明の携帯端末を利用する者を意味し、さらに具体的には監視区域で作業する各種作業の作業者であり、その一例としては後に実施形態で説明するように警備員も含まれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、警備員などの利用者が監視区域を離れる場合のように、自身の行動状態を変更する場合には、自身の行動状態を携帯端末から変更登録することが必要であり、その変更登録を行なうために、携帯端末において警備状態を確認したことを条件とした。また、行動状態の変更登録なしで監視区域を離れる等して位置情報が変化すると警報が発令されるようにした。これにより、利用者は、監視区域の警備状態を認識した上でなければ、自らの行動を変更することができないため、警備解除モードとした警備装置を再び警備セットモードに戻すことを忘れたり、不適切な警備状態に設定したままで、次目的地への移動等、次の行動を開始することという不都合が生じにくくなる。
【0017】
請求項1に記載された携帯端末及び請求項6に記載された携帯端末用プログラムによれば、利用者が状態入力部で現状態情報を入力すると、入力された現状態情報は通信部からセンタ装置に送信されて登録される。また、警備状態確認部は、利用者が現在所在している監視区域の現在の警備状態を受信して表示させることができる。そして、状態入力部は、警備状態確認部が現在の警備状態を表示させたことを条件として、利用者が現在所在している監視区域から移動する状態の入力を、正規の現状態情報の入力として許容する。すなわち、現在の警備状態を表示させて確認しない限り、監視区域を移動する出発という動作を監視センタのセンタ装置に登録して実行に移すことができない。このため、業務遂行のために警備解除モードとした警備装置を移動に先立って警備セットモードに戻すことを忘れることがない。
【0018】
請求項2に記載された携帯端末によれば、現在の警備状態を表示させて確認していない場合には、利用者の移動に関係する現状態情報を状態入力部から入力することができない。そして、当該移動に係る現状態情報が入力・登録されていないのに、利用者が移動した場合には、携帯端末の位置取得部が取得している現在位置情報の変化を検知して位置監視部が警報を出力し、当該利用者に警告を与える。
【0019】
請求項3に記載された携帯端末によれば、監視区域の現在の警備状態を表示すると、所定の事象が生起するまでの期間、例えば所定時間が経過する間だけ、確認フラグが有効状態に設定されるので、確認フラグが有効状態である期間だけ、利用者の移動に係る現状態情報の入力が許容される。すなわち、携帯端末において監視区域の現在の警備状態を表示しても、利用者の移動に係る現状態情報の入力が時間的に無制限の状態で許容されることにはならず、一定の時間的制限がかかるので、より安全である。
【0020】
請求項4に記載された行動管理システムによれば、警備装置の警備状態の送信をセンタ装置から受けた携帯端末については、当該携帯端末から入力された利用者の移動に係る現状態情報をセンタ装置の記憶部に登録するが、警備装置の警備状態の送信をセンタ装置から受けていない携帯端末については、当該携帯端末から入力された利用者の移動に係る現状態情報をセンタ装置の記憶部に登録することが禁止される。つまり、利用者は、携帯端末において当該監視区域の警備装置の警備状態を確認しない限り、次業務地への「出発」のような移動を伴う行為を正規の現状態情報として携帯端末やセンタ装置の記憶部に登録することができない。
【0021】
請求項5に記載された行動管理システムによれば、利用者が現在の警備状態を携帯端末で確認せずに当該監視区域から他に移動した場合には、携帯端末の位置取得部が取得している現在位置情報の変化がセンタ装置で認識され、これに基づいてセンタ装置の位置監視部が当該携帯端末から警報を出力させて当該利用者に警告を与える。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照して実施形態の行動管理システムの概要について説明する。
本実施形態の行動管理システム1は、警備システムの作業者である警備員2の行動を管理するための装置である。従って、この行動管理システム1は警備システムに組み込まれていると見ることもでき、
図1は行動管理システム1及び警備システムの両方を示す図であるとも言える。
【0024】
図1に示すように、警備システムが監視すべき領域は複数の監視区域3を含んでいる。各監視区域3には、それぞれ警備装置4が配備されており、当該監視区域3に対する侵入の監視や火災発生の検知等、各種の警備業務を自動的に行なっている。各警備装置4は、電気通信回線5に接続されている。
【0025】
図1に示すように、警備システムを含む行動管理システム1は、各監視区域3とは別の場所に監視センタ6を備えている。監視センタ6には、各監視区域3の警備装置4を統括的に管理するとともに警備員2と通信を行なう機能を備えたセンタ装置7が設置されている。このセンタ装置7も、電気通信回線5に接続されている。
【0026】
従って、ある監視区域3で異常事態が発生し、当該監視区域3の警備装置4がこれを検知して警報を発令すると、その警報は電気通信回線5を経てセンタ装置7に届き、特定の監視区域3で異常事態が発生した事実及び異常事態の種類等が監視センタ6にて把握される。センタ装置7で特定の監視区域3の異常事態が把握されると、センタ装置7による自動通信機能により、又はセンタ装置7を利用したオペレータによる通信若しくはセンタ装置7以外の手段によるオペレータからの通信により、警備員2に現場への出動が指令される。
【0027】
図1に示すように、警備システムを含む行動管理システム1は、システム要員である警備員2の警備機能にサポートされている。すなわち、警備員2は、担当する複数の監視区域3を定期的に巡回して当該区域及び警備装置4等の点検等を行い、又は監視センタ6からの指令を受けて問題が生じた特定の監視区域3に急行する。
【0028】
各警備員2は、通信手段として携帯端末10をそれぞれ所持している。この携帯端末10は、市販されている携帯式の高機能通信端末(いわゆるスマートフォン)に、後述する特定の機能を備えたプログラムを読み込むことで構成できる。警備員2が操作する携帯端末10は、電気通信回線5に接続された基地局8及び電気通信回線5を介して監視センタ6のセンタ装置7と通信することができる。前述したように、監視センタ6では、センタ装置7が特定の監視区域3の異常事態を把握した場合、当該監視区域3の位置等に基づいて選択した警備員2の携帯端末10に指令を出し、当該監視区域3に向かうように指示できる。また、監視センタ6のセンタ装置7は、警備業務上の必要情報を、電気通信回線5を介して各警備員2の携帯端末10との間で任意に授受することができる。
【0029】
次に、本行動管理システム1の詳細について、本行動管理システム1の機能ブロック図である
図2及び携帯端末10の表示部及び操作部等を示す
図3を参照して説明する。
【0030】
図2に示すように、行動管理システム1の携帯端末10は記憶部11を備えている。詳細は後述するが、警備員2が次の監視区域3や他の目的地へ移動する「出発」のような行為を示す現状態情報を、後述する状態入力部19から入力して受け付けられた場合には、当該情報はこの記憶部11に登録されるとともに、センタ装置7に送られ、その記憶部にも登録される。また、後述するように、この携帯端末10は現在位置情報を取得する位置取得部13を備えており、自らの位置を定期的に確認しているが、その取得した現在位置情報を記憶部11に記憶させている。
なお、現在位置情報をセンタ装置7に送り、センタ装置7の記憶部26に記憶させるようにしてもよい。
【0031】
また、この記憶部11は、後述する制御部14による制御に必要な各種データやプログラム等を記憶する。その記憶内容は、後述する制御部14の機能により必要に応じて書き込まれ、必要に応じて読み出される。なお、この記憶部11は後述する制御部14の一部分として制御部14に含まれるものとしてもよい。
【0032】
図2に示すように、行動管理システム1の携帯端末10は表示部12を備えている。表示部12は、後述する制御部14によって制御されることにより、警備員2が携帯端末10を操作する際に必要な情報等を表示し、またセンタ装置7から送られる警告等の各種情報を表示することができる。なお、
図3からも理解されるように、表示部12は携帯式高機能端末の液晶画面であり、これは後述する操作部18としてのタッチパネルスイッチとしても機能する。
【0033】
図2に示すように、行動管理システム1の携帯端末10は、当該携帯端末10の現在位置を示す現在位置情報を取得するため、後述する制御部14によって制御される位置取得部13を備えている。位置取得の原理は問わない。位置取得部13は、例えばGPS、Wi−Fi、携帯電話基地局からの電波を利用して、携帯端末10の現在位置に関する現在位置情報を取得することができる。
【0034】
図2に示すように、行動管理システム1の携帯端末10は、マイクロコンピュータ等によって構成される制御部14を備えている。すなわち、本実施形態で説明するような機能を備えた携帯装置用プログラムをマイクロコンピュータ等に読み込むことにより、携帯端末10の制御部14を構成することができる。本実施形態のような機能を有する携帯端末10は、ハード及びソフト共に専用に開発した装置であってもよいが、前述した通りスマートフォンのような携帯端末に、必要な機能を備えた携帯装置用アプリケーション(携帯装置用プログラム)を搭載したものでもよい。
【0035】
図2に示すように、制御部14は、監視区域検出部15と、警備状態確認部16と、位置監視部17を有している。
監視区域検出部15は、利用者が現在所在している監視区域3を検出し、表示部12に表示させる。監視区域検出の原理は問わないが、例えば、携帯端末10を所持した警備員2がある監視区域3に入ると、この監視区域検出部15が当該監視区域3の警備装置4とBluetooth (登録商標)等により近距離無線通信を行い、またはGPSによる位置比較を行い、その結果、
図3(b)に示す行動情報入力画面において、表示部12の対象施設表示欄12aに該当施設名が表示される。警備員2は対象施設表示欄12aの近傍にある入力スイッチ12bを押下して監視区域3の設定を行なうことができる。又は、警備員2が当該監視区域3に到着した際に、現状態情報として対象施設名を操作部18から選択するなどして手入力してもよい。
図3(b)では、対象施設表示欄12aには某銀行某支店の名称が表示される例が示されている。
なお、
図3(b)の行動情報入力画面は、
図3(a)に示す携帯端末10の「メニュー」画面で行動情報入力ボタン12cを押下すれば、「メニュー」画面から遷移する。
【0036】
警備状態確認部16は、警備員2が現在所在している監視区域3の現在の警備状態をセンタ装置7又は当該監視区域3の警備装置4から受信して表示部12に表示させる機能を有する。警備装置4の警備状態としては、少なくとも防犯センサによる検知で異常通報を行なう警備セットモードと、防犯センサによる検知があっても異常通報を行なわない警備解除モードの2つがある。その他、警備解除モードに類する警備状態として保守点検中であることを示す保守モードや警備点検中であることを示す巡回モード等が設定可能であってもよい。警備状態確認部16によれば、
図3(a)に示す携帯端末10の「メニュー」画面で警備状態確認ボタン12dを押下すれば、
図3(e)に示すように、携帯端末10は監視センタ6のセンタ装置7に警備状態を確認するための画面を送信するように要求し、センタ装置7はこれに応えて同画面を携帯端末10にダウンロードしてくる。これにより、携帯端末10の表示部12の画面は
図3(c)に示す「警備状態確認画面」に遷移するので、警備員2は画面の表示で警備状態を確認できる。
図3(c)は「警備セット」と表示されており、警備セットモードとされている表示例である。
【0037】
また、現在所在している監視区域3の現在の警備状態が
図3(c)に示すように「警備状態確認画面」に表示されると、警備状態確認部16は所定の事象が生起するまでの間だけ確認フラグを有効状態に設定する。ここで確認フラグとは、警備員2が移動する行為、例えば次の監視区域3への「出発」のような行為を警備員2が行なう前提として、正規の現状態情報を携帯端末10から入力して後述するセンタ装置7の記憶部26に登録するための条件である。確認フラグが有効状態にあるとは、警備員2が携帯端末10から監視区域より移動するような現状態情報を入力できる条件が成立していることを意味し、確認フラグが無効状態にあるとは、監視区域より移動するような現状態情報が入力できないことを意味する。ここで、前述した所定の事象は任意に設定できるが、本実施形態では所定の時間が経過することとした。さらに具体的には3分間である。
【0038】
これは、現在の監視区域3から次の監視区域3に移動したいと警備員2が考えた場合、携帯端末10から「出発」の現状態情報を入力してセンタ装置7に登録する必要があるが、それを可能にするためには、警備員2が現在所在している監視区域3の現在の警備状態を携帯端末10に表示させる必要があるということを意味する。なぜなら、現在の監視区域3の警備状態が携帯端末10の表示部12に表示されれば、警備員2は必ずこれを見るはずであるから、出発の前に警備装置4を警備解除モードから警備セットモードに戻すのを忘れる可能性が小さくなると考えられるからである。あるいは、監視区域3を例外的に警備セットモードにすることなく移動を開始する場合にも、現在の警備状態が誤って設定されていないか、意識的に確認することになる。
【0039】
また、上述した確認フラグの作用により、警備員2が携帯端末10から「出発」等の現状態情報を入力できるのは、携帯端末10に警備状態を表示させてから3分間であり、比較的短時間であるから、視認した現在の監視区域3の警備状態を忘れてしまう恐れも小さい。
【0040】
位置監視部17は、警備員2が「出発」等の現状態情報を携帯端末10から入力しないで「出発」した場合に、警備員2に警告を与えるものである。すなわち、携帯端末10は、位置取得部13により、常時または定期的に、現在位置情報を取得し、記憶部11に記憶させている。位置監視部17は、記憶部11に記憶させた現在位置情報を利用して現在位置情報の変化を監視しており、「出発」等の監視区域より移動する現状態情報が携帯端末10から入力されていないのに、現在位置情報の変化が所定値を越えた場合には、携帯端末10を所持している警備員2が当該監視区域3を出たものと見なし、警報を出力して注意を促す。警報の種類は特に限定しないが、表示部12に警報表示してもよいし、振動素子を作動させてバイブレーションを発生させてもよい。
なお、この位置監視部17は、後述するようにセンタ装置7に設けるようにしてもよい。
【0041】
図2に示すように、行動管理システム1の携帯端末10は、警備員2が操作する操作部を備えている。この操作部18は、
図3に示すように、液晶表示素子からなる表示部12に設けられるタッチスイッチであり、警備員2が作業時等に必要な情報等を入力するために使用される。
【0042】
図2に示すように、操作部18は、警備員2が前述した「出発」等の現状態情報を入力するための状態入力部19を有している。
図3(b)に示すように、本実施形態の状態入力部19は、現状態表示欄12cの横にあるプルダウンスイッチであり、これを押下することで、プルダウンメニューとして、例えば、「到着」、「作業中」、「出発」、「休憩中」等が表示されるので、必要な項目を選択することで現状態情報の入力を行なうことができる。選択した現状態情報は現状態表示欄12cに表示される。
図3(b)では「作業中」と表示されている。この例では、入力の後、「登録」ボタンを入力することで、入力された現状態情報が記憶部11に登録されるとともに、センタ装置7に送られる。
【0043】
警備状態確認部16により現在の警備状態が表示部12に表示された場合には、警備員2がこの状態入力部19を操作して現状態情報として「出発」を選択すると、前述した確認フラグが有効状態である期間に限り、現状態情報の入力が許容されて記憶部11及びセンタ装置7の記憶部26に登録される。しかし、現在の警備状態を表示部12に表示しないと、状態入力部19を操作して「出発」を選択・入力しようとしても受け付けられない。また、現在の警備状態を表示部12に表示したとしても、一端有効になった確認フラグが時間の経過により再び無効になってしまえば、「出発」を選択・入力しようとしても受け付けられない。すなわち現状態情報の「出発」入力は許容されず、記憶部11及びセンタ装置7の記憶部26に登録されない。
このように、本実施形態では、確認フラグの条件により「出発」情報の選択・入力を受け付けるか否かを携帯端末10において決定している。
【0044】
図2に示すように、補足情報入力部20は、業務に必要な種々の情報を入力することができる。例えば、
図3(b)に示すように、「行動情報入力画面」において補足情報入力部20としての入力ボタンを押下すると、画面が遷移して
図3(d)に示すように「出発の理由/備考」画面が表示されるので、チェックボックスにチェックを入れて補足情報を入力したり、自由入力欄に必要な情報を書き込むことができる。
図3(d)に示す画面で「確定」ボタンを入力すると、
図3(b)に画面が遷移するとともに、入力された補足情報が「補足情報」欄12fに反映される。この例では「お客様都合」と入力されている。
【0045】
図2に示すように、行動管理システム1の携帯端末10は通信部21を備えている。通信部21は、制御部14によって制御されることにより、状態入力部19から入力した現状態情報をセンタ装置7に通報し、また位置取得部13が取得した現在位置情報をセンタ装置7に通報することができる。
【0046】
次に、各監視区域3から離れた遠隔地の監視センタ6内に設けられたセンタ装置7について説明する。
図2に示すように、行動管理システム1のセンタ装置7は、後述する制御部30によって制御されることにより、監視区域3に設置された警備装置4と通信して警備装置4の警備状態を受信するとともに、携帯端末10から送信されてくる現在位置情報や現状態情報を受信する通信部25を備えている。
【0047】
図2に示すように、行動管理システム1のセンタ装置7は、携帯端末10から送られた警備員2の現状態情報と、携帯端末10から送られた現在位置情報(現在位置)を記憶する記憶部26を備えている。この記憶部26は、後述する制御部30による制御に必要な各種データやプログラム等を記憶することもできる。その記憶内容は、後述する制御部30の機能により必要に応じて書き込まれ、必要に応じて読み出される。なお、この記憶部26は後述する制御部30の一部分として制御部30に含まれるものとしてもよい。
【0048】
図2に示すように、行動管理システム1のセンタ装置7は、センタ装置7のオペレータ等が操作する操作部27を備えている。この操作部27は、後述する制御部30によって制御され、オペレータが警備員2の監視作業時等に必要な情報等を入力するために使用される。
【0049】
図2に示すように、行動管理システム1のセンタ装置7は表示部28を備えている。表示部28は、後述する制御部30によって制御されることにより、オペレータがセンタ装置7を操作する際に必要な情報等を表示し、また携帯端末10から送られる情報等を表示することができる。
【0050】
図2に示すように、行動管理システム1のセンタ装置7は、マイクロコンピュータ等によって構成される制御部30を備えている。制御部30は、現状態管理部31と、警備状態取得部32と、警備状態通知部33と、位置監視部34を備えている。
【0051】
現状態管理部31は、携帯端末10から受信した利用者の現状態情報、例えば「到着」、「作業中」、「出発」、「休憩」等の状態を記憶部26に登録する。
【0052】
警備状態取得部32は、警備セットモード又は警備解除モードの何れかである警備装置4の警備状態に関する情報を警備装置4から取得する。例えば、警備装置4が、警備状態が変化する度にセンタ装置7に状態を通知してもよいし、センタ装置7が定期的に警備装置4を呼び出して警備状態を取得してもよい。
【0053】
警備状態通知部33は、携帯端末10の警備状態確認部16からの要求があった場合、警備状態取得部32が取得した警備装置4の現在の警備状態を携帯端末10に送信するように通信部25を制御する。
【0054】
位置監視部34は、「出発」等のような現在位置の変更を伴う現状態情報が記憶部26に登録されていない携帯端末10について、記憶部26に登録した現在位置情報が所定の程度を越えて変化したと判断される場合に、通信部25から当該携帯端末10に警報を送信して携帯端末10の表示部12に警報を表示させ、センタ装置7の表示部28にも警報を表示させる。
【0055】
次に、本行動管理システム1の携帯端末10の制御動作例を
図4〜
図6を参照して説明する。
図4は、警備員2が、自己の現状態、例えば現場への到着、次現場への出発等を、携帯端末10の状態入力部19を操作して入力する場合の制御手順を示すフローチャートである。
【0056】
警備員2が現状態入力の手順を開始する(S1)。警備員2が、
図3(b)に示す携帯端末10の状態入力部19であるプルダウンスイッチを操作して現在の状態を選択すると、その入力しようとする現状態情報の種類が判断される(S2)。
【0057】
その現状態情報の種類が現在の監視区域3から移動する状態(「出発」)である場合(S2、YES)には、確認フラグのON又はOFFが判断される(S3)。確認フラグがON、すなわち有効であれば(S3、YES)、携帯端末10の表示部12に警備情報を表示させてから所定時間が経過しておらず、現状態情報である「出発」の入力、登録が許容される条件が整っているため、現状態を「出発」に更新し(S4)、終了する(S5)。
【0058】
確認フラグがOFF、すなわち無効であれば(S3、NO)、携帯端末10の表示部12に警備情報を表示させていないか、又は警備情報を表示させてから所定時間が経過しており、現状態情報である「出発」の入力、登録が許容される条件が整っていないため、現状態を「出発」に更新することはできず、表示部12に更新NGの表示を行ない(S6)、終了する(S5)。
【0059】
警備員2が入力しようとする現状態情報の種類が、現在の監視区域3から移動する状態(「出発」)以外である場合(S2、NO)には、現状態を当該選択された現状態情報(例えば「作業中」、「休憩中」等)に更新し(S4)、終了する(S5)。
【0060】
このように、警備員2が入力しようとする現状態情報の種類が、現在の監視区域3から移動する「出発」等である場合にのみ、確認フラグのON/OFFによって現状態情報の更新の可否を判断しているので、業務中に物件等の警備装置4のセット確認を忘れたままで出発するのを防止することができる。
【0061】
図5は、警備員2が、自己が現在所在している監視区域3の現在の警備状態を携帯端末10を用いて確認する場合の制御手順を示すフローチャートである。
警備員2は、警備状態の確認操作を任意のタイミングで行なうことができる。例えば前の監視区域3から後の監視区域3に向けて出発する直前に、
図3(a)に示すメニュー画面で警備状態確認ボタン12dを押下すれば、画面は
図3(c)に示す警備状態確認画面に遷移し、警備状態を確認できる。警備状態を確認すれば、前の監視区域3の警備装置4の侵入監視を解除のままにして出発する等の不都合が防止できる。また、例外的に侵入監視を解除のままにして移動する場合であっても、意識的に現状態を確認させることができる。
【0062】
警備員2が警備状態確認ボタン12dを押下して警備状態の確認を開始すると(S21)、携帯端末10の監視区域検出部15が、当該携帯端末10が現在所在している監視区域3を検出する(S22)。当該携帯端末10が現在所在している監視区域3は、
図3(b)に示す行動情報入力画面において対象施設表示欄12aに表示され、記憶部11にも登録されている。
【0063】
携帯端末10は、登録された監視区域3の情報に基づき、センタ装置7に当該監視区域3の警備状態の情報を要求する。センタ装置7が携帯端末10に当該監視区域3の警備状態の情報を送信すると、
図3(c)に示すように警備状態確認画面に警備状態が表示される。ここでは「警備セット」が表示されているが、「警備解除」の表示であっても、警備員2が確認して実際の状況を考慮して問題がなければそれでかまわない。
【0064】
警備状態確認画面が表示されると確認フラグがON(有効)となり(S24)、この確認フラグがOFF(無効)となるまで所定時間の計時が開始される(S25)。確認フラグがON(有効)の間は、現状態情報である「出発」の入力、登録が可能である。所定時間が経過すると(S26、YES)確認フラグがOFF(無効)となり(S27)、現状態情報である「出発」の入力、登録ができなくなり、制御は終了する(S28)。
【0065】
このように、監視区域3の現在の警備状態を表示部12に表示すると、所定時間が経過する間だけ、確認フラグが有効状態に設定されるので、その期間だけ、警備員2の移動に関係する「出発」のような現状態情報の入力が可能となる。すなわち、携帯端末10において監視区域3の現在の警備状態を表示しても、警備員2の移動に関係する「出発」等の入力が時間的に無制限で許容されることはなく、一定の時間的制限がかかるので、警備員2が出発前に警備状態を確認する作業が一層確実になるため、必要な場合に警備装置4を警備セット状態に復帰するのを忘れるといった不都合が生じにくくなる。
【0066】
図6は、携帯端末10が取得した現在位置に基づいて警備員2の行動を管理する際の制御手順を示すフローチャートである。
携帯端末10の位置取得部13は、任意のタイミングで現在位置情報を取得している(S31)。例えば、所定の時間間隔で現在位置情報を取得してもよいし、携帯端末10の操作が所定時間を越えて行なわれない場合等に現在位置情報を取得することとしてもよい。
【0067】
位置取得部13が現在位置情報を取得すると、これを記憶部11に記憶し(S32)、記憶部11に登録されている現状態が、警備員2が移動する「出発」のような状態であるか否かが判断される(S33)。記憶部11に登録されている現状態が「出発」のような移動に係る状態であれば(S33、YES)、現在位置が変化しても問題はなく、制御を終了する(S36)。
【0068】
しかし、記憶部11に登録されている現状態が「出発」のような移動に係る状態でなければ(S33、NO)、実際に当該監視区域で過去時点に取得した位置情報から所定距離以上現在位置が変化しているか否かが判断される(S34)。「出発」等が登録されていないのに現在位置が変化していれば(S34、YES)、異常出力を行い(S35)、制御を終了する(S36)。しかし、「出発」等が登録されていなくても現在位置が変化していなければ(S34、NO)、異常出力を行うことなく制御を終了する(S36)。異常出力は、携帯端末10の表示部12で行なうとともに、センタ装置7の表示部28でも行なう。
【0069】
携帯端末10において、現在の警備状態を表示させて確認していない場合には、警備員2の移動に係る「出発」等の状態を状態入力部19から入力できないが、それにも係わらず警備員2が移動した場合には、非常事態などの可能性もあるので位置監視部17が表示部12に警報を表示出力し、当該警備員2に警告を与える。
【0070】
図6を参照して説明した警備員2の行動管理のための制御手順は、携帯端末10の位置取得部13及び位置監視部17が主体となって実行するが、先に述べ、
図2にも示すように、センタ装置7の制御部30に設けた位置監視部34によって携帯端末10の位置監視部17を代替しても構わない。また双方に位置監視部を置いてもよい。
【0071】
以上説明した実施形態では、携帯端末10において、現在の警備状態を表示させた場合に限り、状態入力部19によって「出発」の現状態情報を入力・登録できるようにしている。すなわち、「出発」情報の選択・入力を受け付けるか否かは携帯端末10において決定している。しかしながら、これと同様の制御を、センタ装置7において実行するようにしてもよい。
【0072】
例えば、本実施形態では、センタ装置7の制御部30に設けた現状態管理部31は、携帯端末10から受信した利用者の現状態情報、例えば「到着」、「作業中」、「出発」、「休憩」等の状態を記憶部26に登録する機能を備えるものとしたが、携帯端末10の状態入力部19に替えて、上述した状態入力部19と同様の機能を持たせてもよい。
【0073】
この場合の現状態管理部31の処理は
図4を参照して説明した手順と同様である。すなわち、警備員2の監視区域3外への移動を伴う「出発」等については、センタ装置7の現状態管理部31は、携帯端末10からの要求を受けて警備状態通知部33が警備状態を送信した携帯端末10については、その携帯端末10の通信部21から送信された「出発」等の現状態情報を記憶部26に登録するが、警備状態を送信していない携帯端末10については、その携帯端末10の通信部21から送信された「出発」等の移動を伴う現状態情報を記憶部26に登録しないようにしてもよい。この場合、センタ装置7の現状態管理部31は、現状態情報の登録が受け付けられなかったことを携帯端末10に送信して警備員2に通知してよい。