特許第6441091号(P6441091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441091
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】点灯パターン設定装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   H05B37/02 G
   H05B37/02 H
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-11565(P2015-11565)
(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公開番号】特開2016-136493(P2016-136493A)
(43)【公開日】2016年7月28日
【審査請求日】2017年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南田 宗佑
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−196886(JP,A)
【文献】 特開2011−153759(JP,A)
【文献】 特開2006−085934(JP,A)
【文献】 特開2005−085588(JP,A)
【文献】 特開平09−312198(JP,A)
【文献】 特開2014−183034(JP,A)
【文献】 特開2016−136495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより指定された、複数の照明器具が設置された部屋の一部分の領域を受け付ける受付手段と、
前記部屋に設置された複数の照明器具それぞれの点灯又は消灯による点灯パターンであって前記部屋における照度が所定の目標を達成する点灯パターンが設定された上で、更に前記領域に設置された複数の照明器具それぞれの点灯又は消灯による点灯パターンであって前記領域における照度が所定の目標を達成する点灯パターンを設定する点灯パターン設定手段と、
設定された点灯パターンを出力する出力手段と、
を有することを特徴とする点灯パターン設定装置。
【請求項2】
前記点灯パターン設定手段は、前記領域を前記領域内の照明器具の設置位置それぞれに対応した複数の小領域に区切った場合において、前記各小領域における照度の関係に関する所定の目標を達成する点灯パターンを設定することを特徴とする請求項1に記載の点灯パターン設定装置。
【請求項3】
前記点灯パターン設定手段は、前記各小領域における照度うち最高照度と最低照度との差を所定の閾値未満とするという所定の目標を達成する点灯パターンを設定することを特徴とする請求項2に記載の点灯パターン設定装置。
【請求項4】
前記点灯パターン設定手段は、隣接した前記小領域における照度の差を所定の閾値未満とするという所定の目標を達成する点灯パターンを設定することを特徴とする請求項2に記載の点灯パターン設定装置。
【請求項5】
前記点灯パターン設定手段は、前記領域に対応する所定の目標を達成する点灯パターンであって省エネ効果の高い点灯パターンを設定することを特徴とする請求項3又は4に記載の点灯パターン設定装置。
【請求項6】
前記点灯パターン設定手段は、前記各小領域における照度の平均照度又は前記各小領域における照度うち最低照度を所定の閾値以上とするという所定の目標を達成する点灯パターンを設定することを特徴とする請求項に記載の点灯パターン設定装置。
【請求項7】
前記点灯パターン設定手段は、前記各小領域における照度の平均照度又は前記各小領域における照度うち最高照度を所定の閾値以下とするという所定の目標を達成する点灯パターンを設定することを特徴とする請求項に記載の点灯パターン設定装置。
【請求項8】
前記点灯パターン設定手段は、前記領域内の照明器具の全てを点灯させてから前記領域における照度が所定の目標を達成する点灯パターンを設定することを特徴とする請求項に記載の点灯パターン設定装置。
【請求項9】
コンピュータを、
ユーザにより指定された、複数の照明器具が設置された部屋の一部分の領域を受け付ける受付手段、
前記部屋に設置された複数の照明器具それぞれの点灯又は消灯による点灯パターンであって前記部屋における照度が所定の目標を達成する点灯パターンが設定された上で、更に前記領域に設置された複数の照明器具それぞれの点灯又は消灯による点灯パターンであって前記領域における照度が所定の目標を達成する点灯パターンを設定する点灯パターン設定手段、
設定された点灯パターンを出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯パターン設定装置及びプログラム、特に部屋に設置された照明器具を間引くことで所定の目標を達成するためのシミュレーションに関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ対策等のために、部屋に設置された複数の照明器具のうちいくつかを消灯することによって照明器具を間引くことは一般的に行われている。どの照明器具を消灯して消費電力を抑えるかということは、一般的に、その対策を行う実施者が経験と感覚を頼りに行っていた。近年では、複数の照明器具それぞれの照度を調整して所望の照度を実現するための制御システムが提案されている(例えば特許文献1,2)。
【0003】
ところで、企業の部や課といった組織単位毎に机を向かい合わせて連結して島を構成する対向島型というオフィスレイアウト様式がある。そして、パーティション等で区切ることなく各島を大きな部屋に設ける場合も少なくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−49445号公報
【特許文献2】特開2014−179286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来においては、照明器具を間引く際、部屋全体において所望の照度となるように調整している。しかしながら、従来においては、島が設けられている部屋の一部分の領域における照度のばらつきなどについて配慮されていない。
【0006】
本発明は、複数の照明器具が設置された部屋全体において所定の目標を達成すべき照度器具の点灯パターンを設定することとは別に、当該部屋の一部分の領域に対して所定の目標を達成すべき当該領域における照度器具の点灯パターンを設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る点灯パターン設定装置は、ユーザにより指定された、複数の照明器具が設置された部屋の一部分の領域を受け付ける受付手段と、前記部屋に設置された複数の照明器具それぞれの点灯又は消灯による点灯パターンであって前記部屋における照度が所定の目標を達成する点灯パターンが設定された上で、更に前記領域に設置された複数の照明器具それぞれの点灯又は消灯による点灯パターンであって前記領域における照度が所定の目標を達成する点灯パターンを設定する点灯パターン設定手段と、設定された点灯パターンを出力する出力手段と、を有するものである。
【0008】
また、前記点灯パターン設定手段は、前記領域を前記領域内の照明器具の設置位置それぞれに対応した複数の小領域に区切った場合において、前記各小領域における照度の関係に関する所定の目標を達成する点灯パターンを設定するものである。
【0009】
また、前記点灯パターン設定手段は、前記各小領域における照度うち最高照度と最低照度との差を所定の閾値未満とするという所定の目標を達成する点灯パターンを設定するものである。
【0010】
また、前記点灯パターン設定手段は、隣接した前記小領域における照度の差を所定の閾値未満とするという所定の目標を達成する点灯パターンを設定するものである。
【0011】
また、前記点灯パターン設定手段は、前記領域に対応する所定の目標を達成する点灯パターンであって省エネ効果の高い点灯パターンを設定するものである。
【0012】
また、前記点灯パターン設定手段は、前記各小領域における照度の平均照度又は前記各小領域における照度うち最低照度を所定の閾値以上とするという所定の目標を達成する点灯パターンを設定するものである。
【0013】
また、前記点灯パターン設定手段は、前記各小領域における照度の平均照度又は前記各小領域における照度うち最高照度を所定の閾値以下とするという所定の目標を達成する点灯パターンを設定するものである。
【0014】
また、前記点灯パターン設定手段は、前記領域内の照明器具の全てを点灯させてから前記領域における照度が所定の目標を達成する点灯パターンを設定するものである。
【0015】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、ユーザにより指定された、複数の照明器具が設置された部屋の一部分の領域を受け付ける受付手段、前記部屋に設置された複数の照明器具それぞれの点灯又は消灯による点灯パターンであって前記部屋における照度が所定の目標を達成する点灯パターンが設定された上で、更に前記領域に設置された複数の照明器具それぞれの点灯又は消灯による点灯パターンであって前記領域における照度が所定の目標を達成する点灯パターンを設定する点灯パターン設定手段、設定された点灯パターンを出力する出力手段、として機能させるためのものである。

【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の照明器具が設置された部屋の一部分の領域に対して所定の目標を達成すべき当該領域における照度器具の点灯パターンを設定することができる。
【0017】
また、領域に含まれる小領域における照度の関係に関する所定の目標として、小領域の照度のうち最高照度と最低照度の差を閾値未満、あるいは隣接する小領域の照度の差を閾値未満を達成する点灯パターンを設定することで、領域における照度のばらつきを無くすことができる。
【0018】
また、領域全体における照度に関する所定の目標として、各小領域における照度の平均照度又は小領域における照度うち最低照度を所定の閾値以上を達成する点灯パターンを設定することで、領域において一定以上の照度を確保することができる。
【0019】
また、領域全体における照度に関する所定の目標として、各小領域における照度の平均照度又は小領域における照度うち最高照度を所定の閾値以下を達成する点灯パターンを設定することで、領域における照度を一定以下に抑えることができる。
【0020】
また、部屋全体における使用電力の削減量が所定の目標値以上となる点灯パターンを領域に設定するようにしたので、部屋全体における使用電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る点灯パターン設定装置の一実施の形態を示したブロック構成図である。
図2】実施の形態1における点灯パターン設定装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
図3】実施の形態1においてシミュレーションが実行される際にディスプレイに表示されるシミュレーション画面の一例を示した図である。
図4】実施の形態1において部屋全体に対して実行するシミュレーション処理を示したフローチャートである。
図5A】実施の形態1においてシミュレーション処理の実行結果としてディスプレイに表示されるシミュレーション画面の一例を示した図である。
図5B図5Aに示した領域Aの拡大図である。
図6】実施の形態1において特定エリアに対して実行する特定エリアシミュレーション処理を示したフローチャートである。
図7】実施の形態1において特定エリアが指定されたシミュレーション画面の表示例を示した図である。
図8】実施の形態1において特定エリアの点灯パターンの遷移を示した図である。
図9】実施の形態2において特定エリアに対して実行する特定エリアシミュレーション処理を示したフローチャートである。
図10】実施の形態3において特定エリアに対して実行する特定エリアシミュレーション処理を示したフローチャートである。
図11】実施の形態4において特定エリアに対して実行する特定エリアシミュレーション処理を示したフローチャートである。
図12】実施の形態5において特定エリアに対して実行する特定エリアシミュレーション処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0023】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る点灯パターン設定装置の一実施の形態を示したブロック構成図である。図2は、本実施の形態における点灯パターン設定装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において点灯パターン設定装置10を形成するコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)等従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、点灯パターン設定装置10は、図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示装置として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークコントローラ29を内部バス30に接続して構成される。
【0024】
図1に戻り、本実施の形態における点灯パターン設定装置10は、情報受付部11、シミュレーション画面表示処理部12、シミュレーション実行部13、制御部14、シミュレーション設定情報記憶部16及びシミュレーション結果蓄積部17を有している。本実施の形態においては、後述するように照明器具を間引くシミュレーションを実行するが、情報受付部11は、外部システムから送信されてくる、あるいは人手により入力されたシミュレーションの実行に必要な情報を受け付けてシミュレーション設定情報としてシミュレーション設定情報記憶部16に設定登録する。シミュレーション設定情報には、部屋に関する情報、照明器具に関する情報及び照明器具の電力使用に関する情報が含まれている。部屋に関する情報には、部屋の広さ、内装色、部屋に設置された照明器具の配置、横方向照明ユニット数、縦方向照明ユニット数、机上−天井の高さ、横方向照明ユニット間隔及び縦方向照明ユニット間隔等の情報が含まれる。照明器具に関する情報には、埋込型等の設置方法、照明器具の照明ユニット種別、蛍光灯数、蛍光灯種別、光度特性等の情報が含まれる。照明器具の電力使用に関する情報には、1[w]当たりの電気料金、照明ユニット1台当たりの消費電力及び照明器具の汚れや劣化具合を示す保守率等の情報が含まれる。これらのシミュレーション設定情報を参照することでシミュレーションを実行する上で照度をより正確に算出でき、また、照明器具が使用する電力量を精度良く算出できる。もちろん、これらの情報に限定するものではなく、例えば窓の数や大きさ、壁の材質等に基づく外光や反射を考慮した係数等、後述するシミュレーションの精度を向上させるための情報を更に含めるようにしてもよい。
【0025】
シミュレーション画面表示処理部12は、シミュレーションを実行する際にディスプレイ27に表示されるシミュレーション画面の表示処理を実行する。更に、シミュレーション画面表示処理部12は、シミュレーションの実行者により指定された、複数の照明器具が設置された部屋の一部分の領域(以下、「特定エリア」とも称する)を受け付ける受付手段としても機能する。
【0026】
シミュレーション実行部13は、シミュレーションの実行者による実行指示に応じて、シミュレーション設定情報記憶部16に登録されているシミュレーション設定情報の設定内容に基づいて所定の目標を達成すべき照明器具の点灯パターンを探索するシミュレーションを実行する。点灯パターンというのは、複数の照明器具それぞれが点灯又は消灯していることにより形成されるパターンである。照明器具の間引きは、省エネを基本的な目的として実施されるが、室内の快適性や居住性を考慮し、部屋に応じて最低照度を確保すべきである。本実施の形態では、室内に要求される最低照度を所定の目標として設定する。シミュレーション実行部13に含まれる特定エリアシミュレーション実行部131は、点灯パターン設定手段として設けられ、特定エリアにおいてシミュレーションを実行することで、シミュレーション画面表示処理部12により受け付けられた特定エリアに設置された複数の照明器具による点灯パターンであってその領域における照度が所定の目標を達成する点灯パターンを設定する。制御部14は、他の構成要素11〜13と連携動作して、点灯パターン設定装置10におけるシミュレーションの実行を制御する。
【0027】
シミュレーション設定情報記憶部16には、情報受付部11により取得されたシミュレーション設定情報が記憶される。シミュレーション結果蓄積部17には、シミュレーション実行部13によるシミュレーションの実行結果が蓄積される。
【0028】
点灯パターン設定装置10における各構成要素11〜14は、点灯パターン設定装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部16,17は、点灯パターン設定装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0029】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0030】
図3は、本実施の形態においてシミュレーションが実行される際にディスプレイ27に表示されるシミュレーション画面の一例を示した図である。シミュレーション画面には、シミュレーションの実行結果が表示される。なお、その他にも照明器具が間引かれたときの省エネ効果やシミュレーション設定情報記憶部16に登録されているシミュレーション設定情報を編集可能に表示するなど、図3に例示した以外の情報を合わせて表示してもよいが、これらの情報は本実施の形態の説明に用いないので省略する。
【0031】
ところで、照明器具を間引くというのは、点灯されている照明器具をオフにして消灯することを言う。本実施の形態におけるシミュレーションは、「1本間引く」ボタン31が押下されると、部屋に設置された照明器具が全て点灯されている状態から1本ずつオフにする度に照度を測定し、これを最終的に1本の照明器具が残るまで繰り返すという処理を実行する。また、照度指定領域33に目標とする照度が設定された後、「照度指定で間引く」ボタン32が押下されると、基本的には「1本間引く」ボタン31が押下された場合と同様の処理を実行する。ただ、「1本間引く」ボタン31が押下された場合は、常に残り1本になるまで間引く処理が実行されるのに対し、「照度指定で間引く」ボタン32が押下された場合は、照度指定領域33に設定された照度を下回る直前まで間引く処理が実行される。「初期設定に戻す」ボタン34は、部屋に設置された照明器具が全て点灯されている初期状態に戻すためのボタンである。
【0032】
本実施の形態では、シミュレーションの実行中に得られる情報、すなわち全て点灯されている状態からシミュレーション処理が終了するまでに得られた情報を「シミュレーション結果」として取り扱う。例えば、10本の照明器具が部屋に設置されている場合、1〜9本の照明器具が間引かれた状態のシミュレーション結果もその都度記録する。
【0033】
本実施の形態では、部屋を照明器具の設置位置に対応させて矩形形状の領域に分割する。図3における点灯パターン表示領域35では、部屋に設置されている照明器具の配置と、照明器具の点灯パターン、すなわち各照明器具が点灯しているか、あるいは消灯しているかの状態を示す。本実施の形態では、便宜的に、部屋の天井には照明器具が縦横に整列して設置されていることにしているので、点灯パターン表示領域35には、シミュレーション設定情報に含まれる横方向照明ユニット数及び縦方向照明ユニット数を参照して、各照明器具を示す矩形が整列して表示される。そして、点灯中の照明器具は相対的に明るい色で、消灯中の照明器具は相対的に暗い色で表示することで、点灯と消灯の別を容易に視認できるようにしている。もちろん、色の明暗でなく配色や装飾等によって点灯と消灯に違いを表現してもよい。図5Bは、図5Aにおける領域Aの拡大図であるが、図5Bに例示したように消灯した照明器具に対応する矩形42の中には、消灯された順番が表示される。
【0034】
照度値表示領域36では、点灯パターン表示領域35において示された点灯パターンにおいて、各照明器具に対応する領域の位置において測定された照度[lx]が数値にて示される。
【0035】
次に、本実施の形態におけるシミュレーション実行部13が実行するシミュレーション処理について図4に示したフローチャートを用いて説明する。ここでは、指定された照度まで照明器具を間引く場合について説明する。
【0036】
部屋は、前述したように各照明器具の設置位置に対応する領域に区切られている。シミュレーションの実行者がシミュレーション画面上の照度指定領域33に目標とする照度が設定された後、「照度指定で間引く」ボタン32を押下することでシミュレーションが開始される。シミュレーションの開始時点では、「初期設定に戻す」ボタン34が押下された後と同様、図3に示したように全ての照明器具が点灯されている。「照度指定で間引く」ボタン32が押下されると、シミュレーション実行部13は、この状態において、部屋における各領域における照度を算出する(ステップ101)。各領域の照度は、部屋と照明器具の情報に基づいて逐点法という周知の算出法により算出することができる。なお、全ての照明器具が点灯しているときの各領域の照度は、シミュレーション画面がディスプレイ27に表示されたときの初期状態として事前に算出して照度値表示領域36に表示するようにしてもよい。
【0037】
シミュレーション実行部13は、算出される照度の中から最も高い照度の領域を特定する(ステップ102)。そして、その特定された照度の領域に最も近くに位置する照明器具を特定する。基本的にはその領域に設置された照明器具がこれに該当することになるが、シミュレーション実行部13は、その特定した照明器具を消灯する(ステップ103)。なお、実際に照明器具を消灯しないので、正確には、シミュレーション上、当該照明器具を消灯対象として特定することになる。続いて、シミュレーション実行部13は、消灯したことにより各領域における照度を再度計算する(ステップ104)。そして、1本の照明器具の消灯に応じてシミュレーション画面に表示されているシミュレーション結果をそれぞれ更新する(ステップ105)。
【0038】
すなわち、シミュレーション実行部13は、点灯パターン表示領域35において、消灯した照明器具に対応する矩形を消灯の表示形態に変更する。なお、図5Bに示した矩形37のように、消灯した照明器具に対応する矩形の表示形態を、点灯状態及びすでに消灯状態である照明器具に対応する矩形と異なる表示形態にて表示することで、今回間引かれた照明器具であることが一目瞭然に把握できるように表示してもよい。また、シミュレーション実行部13は、消灯した後に再計算された照度値で照度値表示領域36に表示する照度値を更新する。シミュレーション実行部13は、以上のようにして1本の照明器具を消灯したことにより得た、各領域の照度値等のシミュレーション結果でシミュレーション画面の表示内容を更新すると共に、シミュレーション結果蓄積部17に記録する(ステップ106)。
【0039】
続いて、シミュレーション実行部13は、ステップ102〜104において実施した処理を行うことで、更に1本間引いたときの各領域における照度を算出し、そして、平均照度を求める(ステップ107)。なお、更に1本間引いたときの算出結果は表示に反映させたり記録しないことから、この処理を「仮間引き」と称することにする。
【0040】
シミュレーション実行部13は、この仮間引きにより得た部屋全体の平均照度が、照度指定領域33に指定された照度を下回るかどうかを判断する。部屋全体の平均照度が指定照度を下回らない場合(ステップ108でN)、ステップ102に戻り、前述した処理を実行する。このとき、ステップ102〜104の処理は仮間引きの際にすでに実施したので、その処理結果を有効利用してもよい。
【0041】
一方、仮間引きにより得られた部屋全体の平均照度が指定照度を下回った場合(ステップ108でY)、照度指定領域33に指定された照度以上となる照度のうちの最低照度が得られたことで、この時点で間引き処理を終了する。
【0042】
以上のシミュレーション処理を実行することで所定の目標を達成する点灯パターンを得ることができる。図3に示した目標照度(650[lx])の設定例によると、部屋全体の照度が650[lx]以上であり、かつ照度が650[lx]以上ある中で照明器具を最も間引いたことにより省エネ効果が最も高い点灯パターンが得られることになる。この照度指定がされたときのシミュレーション実行後のシミュレーション画面の表示例を図5Aに示す。図5Aは、結果として15本の照明器具が間引かれたときのシミュレーション画面の表示例である。
【0043】
なお、本実施の形態では、所定の目標を達成する点灯パターンを得る際に部屋全体の平均照度を用いたが、これに限らず、例えば室内に要求される最低照度を用いてもよい。
【0044】
「照度指定で間引く」ボタン32が押下されたときに実行されるシミュレーションは上記の通りであるが、「1本間引く」ボタン38が押下されたときに実行されるシミュレーションは、ステップ107は不要でステップ108における分岐の条件が異なる。すなわち、指定された照度を下回る直前まで繰り返すのではなく、照明器具の間引きを照明器具が残り1本になるまで繰り返し実行すればよい。「1本間引く」ボタン38が押下されたときに実行されるシミュレーションは、例えば、本願と同一出願人を含む特許出願(特願2012−062034号、発明の名称:「照明の点灯パターン設定装置及び方法」)に記載されているのと同じシミュレーションを行えばよい。
【0045】
ところで、部屋に対向島型というオフィスレイアウト様式で座席を配置したとする。前述したシミュレーションでは、部屋全体として省エネ効果が期待できる照明器具の間引きが実現できるかもしれない。しかしながら、座席が部署毎に対向島型にて配置されている場合、同じ部署内において明るい座席と暗い座席が混在してしまう場合が発生しうる。同じ部署(島)であれば、照度が均一となるように照明器具を間引きできるようにすることが好適である。
【0046】
そこで、本実施の形態においては、部屋の一部分の領域(特定エリア)全体における照度が均一となるように特定エリアにおける照明器具を間引きするようにしたことを特徴とする。以下、本実施の形態における特定エリアに限定して実施する特定エリアシミュレーション処理について図6に示したフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、シミュレーションの実行者による図示しないボタン操作等によって開始されるようにしてもよい。
【0047】
まず、シミュレーションの実行者は、例えばシミュレーション画面の点灯パターン表示領域35に対してマウス25を用いてドラッグ操作などの領域指定操作を行うことで、図7に矩形にて示したように特定エリア38を指定する。なお、シミュレーション画面表示処理部12は、図7に例示したように、この領域指定操作に連動させて特定エリア38に対応する照度値を囲む矩形39を照度値表示領域36に表示するようにしてもよい。あるいは、この逆に照度値表示領域36に矩形39を設定することで点灯パターン表示領域35に特定エリア38を設定するようにしてもよい。また、点灯パターン表示領域35に部屋における座席のレイアウトを重畳表示させて特定エリア38を指定しやすいようにしてもよい。
【0048】
特定エリアシミュレーション実行部131は、指定された特定エリア38を取得すると(ステップ111)、特定エリア38に含まれる各領域(小領域)の照度値の中から最高照度及び最低照度を特定し、その差を算出する(ステップ112)。その差がシミュレーションの実行者により設定された閾値N1に満たない場合(ステップ113でN)、その特定エリアにおける照度にはばらつきはなく均一であると判断して処理を終了する。なお、閾値N1は、特定エリアシミュレーション処理の開始時に指定させるようにしてもよい。また、点灯パターン設定装置10に初期値を予め設定しておいてもよい。
【0049】
一方、最高照度と最低照度との差が閾値N1以上の場合(ステップ113でY)、特定エリアシミュレーション実行部131は、シミュレーションの実行者に、特定エリア38内の照明器具の全てを点灯させるか、あるいは現在の点灯パターンから後述する処理を継続するか、すなわち特定エリアシミュレーション処理における特定エリア38の点灯パターンの初期状態を問い合わせる。これは、シミュレーション画面上に、あるいはディスプレイ27に別ウィンドウ画面を表示させるなどして問い合わせればよい。
【0050】
シミュレーションの実行者が全ての照明器具をいったん点灯させることを選択し指示した場合(ステップ114でY)、特定エリアシミュレーション実行部131は、特定エリア38内の照明器具の全てを点灯させ(ステップ115)、その状態での特定エリア38における各領域の照度を算出する(ステップ116)。現在の点灯パターンから引き続き間引きを実施することを選択し指示した場合(ステップ114でN)、何も処理せずステップ117に移行する。図8(a)は、図7における特定エリア38のみを抽出した図であるが、全点灯が選択された場合の特定エリア38の点灯パターンを図8(b)に示す。
【0051】
続いて、特定エリアシミュレーション実行部131は、現在の点灯パターンによる点灯状態から、最も照度の高い照明器具を消灯することで間引く処理を実行する(ステップ117)。この処理は、部屋全体におけるシミュレーション処理において1本の照明器具を間引いた後、照度を算出し、間引いた後の状態の画面表示及び記録を行うステップ102〜106と同様なので詳細な説明は省略する。
【0052】
そして、間引いた後の特定エリア38における各領域の最高照度と最低照度との差が閾値N1を下回るまで(ステップ118でN)、この間引く処理を繰り返し実行する。そして、最高照度と最低照度との差が閾値N1を下回ると(ステップ118でY)、この時点で特定エリア38全体における照度は均一と判断する。なお、以上の説明から明らかなように、最高照度と最低照度との差が閾値N1未満となった点灯状態が特定エリア38全体における照度が均一という状態に等しい。
【0053】
ところで、シミュレーションの実行者は、特定エリア38全体における照度は均一になったとしても、省エネ等の観点から特定エリア38における照明器具をもう少し間引いて特定エリア38全体における照度を下げたい、換言すると省エネ効果を高めたいと考えるかもしれない。
【0054】
そこで、本実施の形態では、特定エリア38における各領域の最高照度と最低照度との差が閾値N1を下回るという所定の目標を達成した場合でも、更に一歩踏み込んで間引きを継続できるようにした。すなわち、最高照度と最低照度との差が閾値を下回った場合(ステップ118でY)、特定エリアシミュレーション実行部131は、シミュレーションの実行者に、特定エリア38における照明器具の間引きを継続して行うか問い合わせる。これは、シミュレーション画面上に、あるいはディスプレイ27に別ウィンドウ画面を表示させるなどして問い合わせればよい。
【0055】
そして、シミュレーションの実行者が継続して行うことを選択し指示した場合(ステップ119でY)、特定エリアシミュレーション実行部131は、前述した処理(ステップ117〜118)を繰り返し実行する。継続して行わないことを選択し指示した場合(ステップ119でN)、処理を終了する。本実施の形態では、このようにして所定の目標を達成する点灯パターンが得られた場合でも、更に間引き処理を繰り返してより省エネ効果の高い点灯パターンを探索できるようにした。この現時点で得られている点灯パターンより省エネ効果の高い、所定の目標を達成する点灯パターンのことを「最適解」ということができる。
【0056】
図8(c)には、図4に示した部屋全体のシミュレーション実行により得られた点灯パターンから継続して特定エリアシミュレーションを実行したときに得られた点灯パターンの例が、図8(d)には、図4に示した部屋全体のシミュレーション実行後に特定エリア38の照明器具を全て点灯してから特定エリアシミュレーションを実行したときに得られた点灯パターンの例が、それぞれ示されている。
【0057】
本実施の形態によれば、特定エリア38における最高照度と最低照度との差を閾値未満に抑えるという所定の目標を達成する点灯パターンを探索し、その点灯パターンにて特定エリア38に設置された各照明器具を点灯又は消灯に設定することで、特定エリア38において照度のばらつき(照度ムラ)を無くすことができる。これにより、同じ島の中で照度のばらつきに対する不満や不公平感を生じさせないことができる。
【0058】
実施の形態2.
上記実施の形態1において、特定エリア38における領域の最高照度と最低照度との差を抑えることで特定エリア38において照度のばらつきを無くすようにした。本実施の形態では、隣接した領域の照度の差を抑えることで特定エリア38において照度のばらつきを無くすようにしたことを特徴とする。
【0059】
本実施の形態における構成及び部屋全体におけるシミュレーション処理は実施の形態1と同じでよく、図6に示した特定エリアシミュレーション処理が実施の形態1と若干異なる。
【0060】
以下、本実施の形態における特定エリアシミュレーション処理について図9に示したフローチャートを用いて説明する。なお、実施の形態1と同じ処理には同じ符号を付け、説明を適宜省略する。また、閾値の指定方法等、実施の形態1において説明した応用例や変形例は、本実施の形態においても適用可能である。以下の説明する実施の形態においても同様である。
【0061】
特定エリアシミュレーション実行部131は、指定された特定エリア38を取得すると(ステップ111)、特定エリア38内にある照明器具それぞれの、隣接する照明器具との照度の差を算出する(ステップ211)。そして、算出した全ての照度の差がシミュレーションの実行者により設定された閾値N2に満たない場合(ステップ212でN)、特定エリア38において照度のばらつきはなく均一であると判断して処理を終了する。
【0062】
一方、1つでも照度の差が閾値N2以上の場合(ステップ212でY)、特定エリアシミュレーション実行部131は、シミュレーションの実行者に指定された点灯パターン(全点灯状態の点灯パターン若しくは部屋全体のシミュレーション実行により得られた点灯パターン)から(ステップ114〜116)、全ての照度の差が閾値N2に満たなくなるまで(ステップ213でY)、特定エリア38内にある照明器具を1本ずつ間引く処理を繰り返す(ステップ117,213でN)。
【0063】
本実施の形態によれば、特定エリアにおいて隣接した照明器具との照度の差を閾値N2未満に抑えるという所定の目標を達成する点灯パターンを探索し、その点灯パターンにて特定エリアに設置された各照明器具を点灯又は消灯に設定することで、特定エリアにおいて照度のばらつき(照度ムラ)を無くすことができる。これにより、同じ島の中で照度のばらつきに対する不満や不公平感を生じさせないことができる。
【0064】
実施の形態3.
シミュレーション実行部13におけるシミュレーションは、照明器具を間引くことで部屋全体における省エネの実現を図る。そして、上記実施の形態1,2では、部屋全体における省エネの実現を試みた上で特定エリアに含まれる領域(小領域)における照度の関係に関する所定の目標(実施の形態1においては各小領域の照度のうち最高照度と最低照度の差を閾値未満、実施の形態2においては隣接する小領域の照度の差を閾値未満)を達成する点灯パターンを設定することで、特定エリアにおける照度のばらつきを無くすようにした。
【0065】
本実施の形態では、部屋全体における省エネを多少犠牲にしてでも特定エリア全体における照度を維持できるようにしたことを特徴としている。本実施の形態は、例えば、部屋の一角に設けた客室や会議室など部屋の一部分に設けられた特定エリアだけは、一定以上の照度を確保したい場合に有効である。
【0066】
本実施の形態における構成及び部屋全体におけるシミュレーション処理は実施の形態1と同じでよく、図6に示した特定エリアシミュレーション処理が実施の形態1と異なる。
【0067】
以下、本実施の形態における特定エリアシミュレーション処理について図10に示したフローチャートを用いて説明する。なお、実施の形態1と同じ処理には同じ符号を付け、説明を適宜省略する。
【0068】
特定エリアシミュレーション実行部131は、指定された特定エリア38を取得すると(ステップ111)、特定エリア38における平均照度を算出する(ステップ311)。その平均照度がシミュレーションの実行者により設定された閾値N3以上の場合(ステップ312でY)、その特定エリアにおける照度は一定照度(閾値N3)以上であることから十分にあると判断して処理を終了する。なお、閾値N3は、特定エリア38内の照明器具の全てを点灯させたときの平均照度より小さい値である必要がある。
【0069】
一方、その平均照度が閾値N3を下回っている場合(ステップ312でN)、特定エリアシミュレーション実行部131は、特定エリア38内の照明器具の全てを点灯させ(ステップ115)、その状態での特定エリア38における各領域の照度を算出する(ステップ116)。
【0070】
続いて、特定エリアシミュレーション実行部131は、現在の点灯パターンによる点灯状態から、最も照度の高い照明器具を消灯することで間引く処理を実行する(ステップ117)。そして、間引いた後の点灯パターンによる点灯状態から、更に最も照度の高い照明器具を消灯する仮間引き処理を実行する(ステップ313)。
【0071】
そして、特定エリアシミュレーション実行部131は、仮間引きした点灯パターンにおける特定エリア38の平均照度を算出する(ステップ314)。この平均照度が閾値N3未満でない場合(ステップ315でN)、ステップ117に戻り、前述した処理を繰り返し実行する。一方、仮間引きしたときの平均照度が閾値N3未満の場合(ステップ315でY)、処理を終了する。すなわち、全て点灯している状態から特定エリア38における照明器具を1本ずつ間引いていき、特定エリア38における平均照度が閾値を下回る直前の点灯パターンを選択することになる。
【0072】
本実施の形態によれば、特定エリアにおける平均照度が閾値N3以上とし、かつ省エネを犠牲にするとは言いつつも、全点灯状態から一定(閾値N3)以上の照度となる点灯パターンの中では、最も省エネ効果の高い点灯パターンを選択するという所定の目標を達成する点灯パターンを探索し、その点灯パターンにて特定エリアに設置された各照明器具を点灯又は消灯に設定することで、特定エリアにおいて一定以上の照度を確保することができる。なお、本実施の形態では、一定以上の照度を確保するための指標として平均照度を用いたが、最低照度を用いるようにしてもよい。
【0073】
実施の形態4.
上記実施の形態3では、部屋全体における省エネを多少犠牲にしてでも特定エリア全体における照度を維持するようにした。本実施の形態では、その逆に使用電力の削減を重視し、特定エリアの照度を抑えてでも省エネ効果を優先させるようにしたことを特徴としている。例えば、部屋の一角に設けた正社員エリアや倉庫など部屋の一部分に設けられた特定エリアだけは、照度を抑えて特定エリアにおける省エネ効果、ひいては部屋全体における省エネ効果を優先させたい場合に有効である。
【0074】
本実施の形態における構成及び部屋全体におけるシミュレーション処理は実施の形態1と同じでよい。以下、本実施の形態における特定エリアシミュレーション処理について図11に示したフローチャートを用いて説明する。なお、実施の形態3と同じ処理には同じ符号を付け、説明を適宜省略する。
【0075】
本実施の形態における特定エリアシミュレーション処理は、基本的には、実施の形態3と同じであるが、平均照度に基づく条件判定が実施の形態3と異なる。すなわち、平均照度がシミュレーションの実行者により設定された閾値N4以下の場合(ステップ411でY)、その特定エリアにおける照度は一定照度(閾値N4)以下であることから十分に下げられていると判断して処理を終了する。
【0076】
一方、その平均照度が閾値N4を上回っている場合(ステップ411でN)、特定エリアシミュレーション実行部131は、仮間引きしたときの平均照度が閾値N4以下でなければ(ステップ412でN)、間引く処理(ステップ117,313,314)を繰り返し、その平均照度が閾値N4以下となった場合(ステップ412でY)、処理を終了する。
【0077】
本実施の形態によれば、特定エリアにおける平均照度を省エネ効果の見込める閾値N4以下とするという所定の目標を達成する点灯パターンを探索し、その点灯パターンにて特定エリアに設置された各照明器具を点灯又は消灯に設定することで、特定エリアにおける照度を一定以下に抑えることができる。なお、本実施の形態では、一定以下の照度とする指標として平均照度を用いたが、最低照度を用いるようにしてもよい。
【0078】
実施の形態5.
上記実施の形態3,4では、部屋全体における省エネの実現を試みた上で、特定エリア全体における照度に関する所定の目標(実施の形態3においては特定エリアにおける照度を閾値以上、実施の形態4においては特定エリアにおける照度を閾値以下)に関する所定の目標を達成する点灯パターンを設定することで、特定エリアにおける照度のばらつきを無くすようにした。
【0079】
本実施の形態では、部屋全体における使用電力の削減のために、照明器具を間引く領域を部屋全体ではなく特定エリアに絞って実施することを特徴としている。
【0080】
本実施の形態における構成及び部屋全体におけるシミュレーション処理は実施の形態1と同じでよい。以下、本実施の形態における特定エリアシミュレーション処理について図12に示したフローチャートを用いて説明する。なお、実施の形態1と同じ処理には同じ符号を付け、説明を適宜省略する。
【0081】
特定エリアシミュレーション実行部131は、指定された特定エリア38を取得すると(ステップ111)、現時点の部屋全体における点灯パターンによる使用電力量を算出し、その算出した使用電力量と、予め求められている部屋全体における使用電力量(以下、「部屋全点灯時使用電力量」と称する)との差分を算出することで部屋全体における削減電力量を求める(ステップ511)。
【0082】
この算出した現時点における削減電力量がシミュレーションの実行者により設定された閾値N5以上の場合(ステップ512でY)、部屋全体における削減電力量は目標に達していると判断して処理を終了する。
【0083】
一方、現時点における削減電力量が閾値N5を下回っている場合(ステップ512でN)、特定エリアシミュレーション実行部131は、特定エリア38内の照明器具の全てを点灯させ(ステップ115)、その状態での特定エリア38における各領域の照度を算出する(ステップ116)。
【0084】
続いて、特定エリアシミュレーション実行部131は、現在の点灯パターンによる点灯状態から、最も照度の高い照明器具を消灯することで間引く処理を実行する(ステップ117)。続いて、特定エリアシミュレーション実行部131は、特定エリアに限定して照明器具を間引く処理を実行した後、部屋全体の点灯パターンにおける使用電力量を算出し、算出した使用電力量を部屋全点灯時使用電力量から減算して、間引き後の削減電力量を求める(ステップ513)。この削減電力量が閾値N5を下回っている場合(ステップ514でN)、ステップ117に戻り、特定エリア38における照明器具を間引く処理に戻る。そして、間引きした後の部屋全体の点灯パターンにおける削減電力量が閾値N5以上になった時点で(ステップ514でY)、特定エリアシミュレーション処理を終了する。
【0085】
本実施の形態によれば、部屋全体における使用電力の削減量が所定の目標値(閾値N5)以上とするという所定の目標を達成する点灯パターンを特定エリアに限定して探索し、その点灯パターンにて特定エリアに設置された各照明器具を点灯又は消灯に設定することで、部屋全体に設定した削減電力量を達成することができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、部屋全体に設定した削減電力量の達成のために特定エリアに限定して照明器具を間引くよう処理したが、部屋全体ではなく特定エリアに対して削減電力量を設定し、その設定した削減電力量を達成させるために特定エリアにおける照明器具を間引くようにしてもよい。また、本実施の形態では、所定の目標値として削減電力量を設定したが、使用電力量を設定してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 点灯パターン設定装置、11 情報受付部、12 シミュレーション画面表示処理部、13 シミュレーション実行部、14 制御部、16 シミュレーション設定情報記憶部、17 シミュレーション結果蓄積部、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 ハードディスクドライブ(HDD)、25 マウス、26 キーボード、27 ディスプレイ、28 入出力コントローラ、29 ネットワークコントローラ、30 内部バス、131 特定エリアシミュレーション実行部。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12