特許第6441110号(P6441110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441110
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】制御装置、成形装置及び産業装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/32 20060101AFI20181210BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B22D17/32 Z
   B29C45/76
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-23000(P2015-23000)
(22)【出願日】2015年2月9日
(65)【公開番号】特開2016-144819(P2016-144819A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2018年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】東芝機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【弁理士】
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中田 隆介
【審査官】 荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−052589(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/054104(WO,A1)
【文献】 特開2002−108406(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0005938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/00−17/32
B29C 45/00−45/76
G05B 9/00− 9/02
G05B 19/00−19/409
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産サイクルでは複数種類の動作を所定の順序で実行させる制御信号を装置本体に出力し、生産サイクル外では前記複数種類の動作を個別に実行させる制御信号を前記装置本体に出力可能な制御装置であって、
生産サイクル外で実行させる1以上の動作を前記複数種類の動作から選択する操作を受け付けるタッチパネル式の表示器と、
スイッチと、
生産サイクル外で前記スイッチが操作されたときに、前記表示器で選択されている動作を実行させる制御信号を前記装置本体に出力するシーケンサと、
を有し、
前記シーケンサは、前記表示器で選択されている動作が所定の第1動作である場合に前記スイッチが操作されたときに、前記装置本体で所定の動作条件が満たされていなければ、前記第1動作を実行させる制御信号を前記装置本体に出力せずに、所定の警告表示を行わせる制御信号を前記表示器に出力する
制御装置。
【請求項2】
前記動作条件は、前記装置本体で動作させることができる、前記複数種類の動作における条件のいずれかであって、前記第1動作を行う動作部とは異なる動作部の動作が、所定の状態まで実行済みであることを含む
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記シーケンサは、前記装置本体で所定の自動設定条件が満たされたときに、前記表示器における前記複数種類の動作の選択状態を、予め定められている選択状態に変更させる制御信号を前記表示器に出力する
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記複数種類の動作は、所定の第2動作を含み、
前記スイッチは、自動復帰型のものであり、
前記シーケンサは、前記表示器によって前記第2動作が選択されている状況で、
前記スイッチの操作がなされている間だけ、前記第2動作を実行させる制御信号を前記装置本体に出力し、
前記スイッチの操作が停止された場合、
所定の時間内に前記スイッチの操作が再開されたときは、前記第2動作を実行させる制御信号の前記装置本体への出力を再開し、
前記所定の時間内に前記スイッチの操作が再開されないときは、前記表示器における前記第2動作の選択を解除する制御信号を前記表示器に出力する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記シーケンサは、前記装置本体が前記複数種類の動作のいずれかを実行しているとき、前記表示器における前記複数種類の動作の選択状態の変更を禁止する制御信号を前記表示器に出力する
請求項1〜4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記表示器は、前記複数種類の動作それぞれの選択の有無を表示するに際して、前記複数種類の動作のうちの一部について示す画面と、前記複数種類の動作のうちの他の一部について示す画面とを選択的に表示する
請求項1〜5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の制御装置と、前記装置本体と、を有する成形装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の制御装置と、前記装置本体と、を有する産業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、成形装置(成形機)及び産業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成形装置(産業装置の一例)の制御装置として、タッチパネル式の表示器と、シーケンサとを有するものが知られている(例えば特許文献1)。表示器は、例えば、射出速度及び型締力等の成形サイクル(生産サイクル)に係るパラメータに対する値の設定等に利用される。シーケンサは、表示器によって設定されたパラメータに基づいて、型締装置及び射出装置等を含む装置本体に制御信号を出力し、装置本体に成形サイクルを実行させる。
【0003】
また、このような制御装置において、成形サイクル外において、各動作部の動作(例えば移動ダイプレートの前後進及び射出プランジャの前後進等)を確認するために、各動作部を個別に(複数の動作部に成形サイクルのときのような連動をさせずに)動作させる制御信号を出力可能なものも知られている。このような制御装置の場合、例えば、作業者は、まず、表示器によって動作させたい動作部及びその動作方向を選択する。次に、制御装置の有する機械式のスイッチ(例えば自動復帰型の押しボタン)を押す。これにより、表示器によって選択された動作部が選択された方向に動作する。
【0004】
上記のように、押しボタンが用いられることによって、例えば、意図せずに動作部が動作するおそれが低減され、安全性が高められている。また、押しボタンに表示器が組み合わされることによって、例えば、一の押しボタンで、複数の動作部を選択的に、且つ、いずれかの方向に選択的に動作させることが可能となり、制御装置の小型化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−52589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような生産サイクル外の動作は、作業者が任意の動作部を任意のタイミングで動作させるものであることから、操作に対する作業者の負担が大きくなりやすい。例えば、予期しない動作部間の干渉が生じることによって産業装置が破損することを避けたり、意図していない動作が実行されることを低減して安全性を向上させたりするために、作業者は、複数の動作部の状態、乃至は、表示器における複数の動作部の選択状態を把握していなければならない。しかし、多数の動作部についてそのような把握をすることは煩わしく、特に、各動作部の選択状態の表示がタブ式のグラフィックユーザーインターフェースのように他画面に亘っている場合には煩わしさが顕著となる。また、例えば、前記のような不都合が生じる動作が禁止されるように制御装置が構成されている場合、作業者がスイッチを操作しても動作部が動作せず、このとき作業者はその原因を見つけることが困難である。
【0007】
従って、操作に対する作業者の負担を軽減できる制御装置、成形装置及び産業装置が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る制御装置は、生産サイクルでは複数種類の動作を所定の順序で実行させる制御信号を装置本体に出力し、生産サイクル外では前記複数種類の動作を個別に実行させる制御信号を前記装置本体に出力可能な制御装置であって、生産サイクル外で実行させる1以上の動作を前記複数種類の動作から選択する操作を受け付けるタッチパネル式の表示器と、スイッチと、生産サイクル外で前記スイッチが操作されたときに、前記表示器で選択されている動作を実行させる制御信号を前記装置本体に出力するシーケンサと、を有し、前記シーケンサは、前記表示器で選択されている動作が所定の第1動作である場合に前記スイッチが操作されたときに、前記装置本体で所定の動作条件が満たされていなければ、前記第1動作を実行させる制御信号を前記装置本体に出力せずに、所定の警告表示を行わせる制御信号を前記表示器に出力する。
【0009】
好適には、前記動作条件は、前記装置本体で動作させることができる、前記複数種類の動作における条件のいずれかであって、前記第1動作を行う動作部とは異なる動作部の動作が、所定の状態まで実行済みであることを含む。
【0010】
好適には、前記シーケンサは、前記装置本体で所定の自動設定条件が満たされたときに、前記表示器における前記複数種類の動作の選択状態を、予め定められている選択状態に変更させる制御信号を前記表示器に出力する。
【0011】
好適には、前記複数種類の動作は、所定の第2動作を含み、前記スイッチは、自動復帰型のものであり、前記シーケンサは、前記表示器によって前記第2動作が選択されている状況で、前記スイッチの操作がなされている間だけ、前記第2動作を実行させる制御信号を前記装置本体に出力し、前記スイッチの操作が停止された場合、所定の時間内に前記スイッチの操作が再開されたときは、前記第2動作を実行させる制御信号の前記装置本体への出力を再開し、前記所定の時間内に前記スイッチの操作が再開されないときは、前記表示器における前記第2動作の選択を解除する制御信号を前記表示器に出力する。
【0012】
前記シーケンサは、前記装置本体が前記複数種類の動作のいずれかを実行しているとき、前記表示器における前記複数種類の動作の選択状態の変更を禁止する制御信号を前記表示器に出力する。
【0013】
前記表示器は、前記複数種類の動作それぞれの選択の有無を表示するに際して、前記複数種類の動作のうちの一部について示す画面と、前記複数種類の動作のうちの他の一部について示す画面とを選択的に表示する。
【0014】
本発明の一態様に係る成形装置は、上記の制御装置と、前記装置本体と、を有する。
【0015】
本発明の一態様に係る産業装置は、上記の制御装置と、前記装置本体と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、制御装置の操作に対する作業者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るダイカストマシンの要部の構成を示す模式図。
図2図1のダイカストマシンの制御装置の信号処理系の構成を示すブロック図。
図3図3(a)及び図3(b)はそれぞれ図2の制御装置のタッチパネルに表示される画面の一例を示す図。
図4図2の制御装置のシーケンサが実行する処理の手順の一例の概要を示すフローチャート。
図5図2の制御装置の表示器が実行する処理の手順の一例の概要を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るダイカストマシン1を示す側面図(一部に断面図を含む)である。
【0019】
ダイカストマシン1は、例えば、固定金型103と移動金型105とを有する金型101のキャビティCaに溶湯を充填してダイカスト品(成形品)を形成する装置として構成されている。なお、溶湯は、溶融状態の金属である。溶湯に代えて、半凝固状態の金属が用いられてもよい。金属は、例えば、アルミニウムである。
【0020】
ダイカストマシン1は、例えば、マシン本体3と、マシン本体3を制御する制御装置5とを有している。
【0021】
マシン本体3は、例えば、金型101の型締めを行う型締装置7と、金型101内に中子107を出し入れする中子出入装置9と、型締めされた金型101内に溶湯を射出する射出装置11と、ダイカスト品を固定金型103又は移動金型105(本実施形態では移動金型105)から押し出す押出装置13と、金型101に離型剤を塗布するスプレイ装置15とを有している。
【0022】
型締装置7は、例えば、ベース17と、ベース17上に固定され、固定金型103を保持する固定ダイプレート19と、ベース17上において型開閉方向(図1の紙面左右方向)に移動可能であり、移動金型105を保持する移動ダイプレート21と、固定ダイプレート19及び移動ダイプレート21に掛架された複数(一般に4本)のタイバー23とを有している。
【0023】
また、型締装置7は、例えば、トグル式のものとされており、駆動源としての型締シリンダ25が伸縮すると、トグル機構を介して移動ダイプレート21が型開閉方向に駆動される。これにより、金型101の開閉がなされる。また、型閉じがなされた状態で型締シリンダ25が伸長されると、タイバー23に引張り力が加えられ、これにより金型101の型締めがなされる。
【0024】
中子出入装置9は、例えば、カプラー式のものであり、固定金型103及び移動金型105の一方(本実施形態では移動金型105)に支持された中子シリンダ27を有している。中子シリンダ27は、そのシリンダ部が移動金型105に固定され、ピストンロッドに中子107が固定されている。そして、中子シリンダ27が駆動されることにより、中子107は、固定金型103及び移動金型105の間に出し入れされる。
【0025】
射出装置11は、例えば、キャビティCaに通じるスリーブ29と、スリーブ29内の溶湯をキャビティCaへ押し出すプランジャ31と、プランジャ31に連結された射出シリンダ33とを有している。射出シリンダ33は、そのシリンダ部が固定的に設けられ、ピストンロッドがプランジャ31に連結されている。
【0026】
不図示の給湯口からスリーブ29内に溶湯が供給された状態で、射出シリンダ33によりプランジャ31がキャビティCaに向かう方向(前進方向)に駆動されると、スリーブ29内の溶湯はキャビティCaに押し出される。すなわち、射出が行われる。また、射出シリンダ33は、キャビティCaに溶湯が概ね充填された後も継続してプランジャ31に前進方向の駆動力を付与する。これにより、溶湯の増圧及び保圧が行われる。また、射出シリンダ33は、溶湯が凝固して型開きが行われるとき、その初期において、プランジャ31に前進方向の駆動力を付与する。これにより、ダイカスト品は、プランジャ31により押され、固定金型103からの離型が促される。すなわち、押出追従が行われる。
【0027】
押出装置13は、例えば、移動金型105からキャビティCa側へ突出可能な押出ピン35と、押出ピン35を駆動する押出シリンダ37とを有している。押出ピン35は、例えば、移動金型105に挿通されている。押出シリンダ37は、そのシリンダ部が不図示の適宜な部材により移動ダイプレート21に対して固定されており、ピストンロッドが押出板や押出ロッドを介して押出ピン35に固定されている。
【0028】
溶湯が凝固して成形品が形成され、型開きがある程度行われた後、押出シリンダ37により押出ピン35がキャビティCa側へ突出するように駆動されると、成形品は、押出ピン35により移動金型105から押し出される。
【0029】
スプレイ装置15は、例えば、固定ダイプレート19の上部に設けられたアーム39と、アーム39に保持された複数のノズル41とを有している。複数のノズル41は、例えば、複数のパイプによって構成されており、型開きされた固定金型103と移動金型105との間にアーム39によって出し入れされる。そして、複数のノズル41が固定金型103と移動金型105との間に配置された状態で、不図示のホース等を介してノズル41から離型剤が噴出されることによって、金型101の内部には離型剤が塗布される。
【0030】
制御装置5は、例えば、固定ダイプレート19の側方等の適宜な位置に設けられている。制御装置5は、例えば、タッチパネル式の表示器43と、1以上のスイッチ45とを有している。
【0031】
図2は、制御装置5の信号処理系の構成を示すブロック図である。
【0032】
制御装置5は、例えば、上述の表示器43及びスイッチ45の他に、これらに接続されるとともに、マシン本体3に接続されたシーケンサ47を有している。
【0033】
シーケンサ47は、例えば、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を含むコンピュータにより構成されている。そして、CPUがROM等に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、シーケンサ47からはマシン本体3の各動作部を制御するための制御信号が出力される。ここでいう動作部は、例えば、型締装置7、中子出入装置9、射出装置11、押出装置13及びスプレイ装置15である。
【0034】
なお、シーケンサ47は、マシン本体3の各動作部のドライバに直接に制御信号を出力するように構成されていてもよいし、動作部毎にドライバに制御信号を出力する制御装置が設けられ、その動作部毎の制御装置に制御信号を出力するように構成されていてもよいし、複数の動作部のドライバ又は制御装置に制御信号を出力する統括的な制御装置が設けられ、その統括的な制御装置に制御信号を出力するように構成されていてもよい。
【0035】
シーケンサ47は、成形サイクルのための制御と、成形サイクル外における各動作部の動作のための制御とを選択的に実行可能である。なお、この制御の切り換えは、例えば、表示器43及び/又はスイッチ45に対する操作によってなされる。
【0036】
シーケンサ47は、成形サイクルにおいては、マシン本体3の複数の動作部が所定の順序で所定の動作を実行するように(複数の動作部が連動して動作するように)、マシン本体3に制御信号を順次出力する。これにより、例えば、成形サイクルにおいては、中子出入装置9による中子107の入り、型締装置7による型閉じ及び型締め、射出装置11による射出、型締装置7による型開き、中子出入装置9による中子107の抜き(戻し)及び射出装置11による押出追従、押出装置13による押し出し、並びに、スプレイ装置15によるスプレイが順次行われる。また、シーケンサ47は、このような成形サイクルが繰り返し行われるように、上記のような制御信号の出力を所定の周期で繰り返し行う。このような成形サイクル又はその繰り返しは、例えば、表示器43及びスイッチ45に対する所定の操作をトリガとして開始される。
【0037】
また、シーケンサ47は、成形サイクル外において、各動作部を個別に動作させるための制御信号を出力可能である。すなわち、シーケンサ47は、複数の動作部のうちの任意の動作部を選択的に動作させる制御信号を任意のタイミングでマシン本体3に出力可能である。また、この際、動作部の制御量(例えば移動量)も任意に設定されてよい。これにより、例えば、成形サイクルを開始する前、又は、成形サイクルにおいて何らかの異常が生じたときなどにおいて、各動作部の動作確認を行うことができる。このような動作は、表示器43及びスイッチ45に対する所定の操作に応じて行われる。
【0038】
表示器43は、例えば、タッチパネル49と、タッチパネル49の表示を制御するとともにタッチパネル49からの信号を受信する表示制御部51とを有している。
【0039】
タッチパネル49は、公知のように、表示装置と、表示装置の画面上において指定された位置(指乃至は専用のペン等によって押圧又は接触された位置。以下同じ。)を検出することによって入力操作を受け付ける入力装置とを組み合わせたものである。その具体的な構造は、公知の適宜なものとされてよい。
【0040】
表示制御部51は、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置等を含んで構成されており、タッチパネル49に所定の表示を行わせるとともに、タッチパネル49からの、画面上において指定された位置の情報を適宜な入力情報に変換してシーケンサ47に出力する。
【0041】
スイッチ45は、例えば、ハード式スイッチ、好ましくは、機械式スイッチにより構成されている。例えば、スイッチ45は、自動復帰型の押しボタンであり、固定接点45aと、固定接点45aに対して接触位置(ON位置)と非接触位置(OFF位置)との間で移動可能な可動接点45bと、可動接点45bを非接触位置へ付勢する弾性部材45cとを有している。スイッチ45がONされることにより生じる信号は、シーケンサ47に出力される。
【0042】
表示器43は、例えば、成形サイクルにおける各動作部の制御パラメータ(例えば、型締力、射出速度、増圧時の圧力等)に対する値の設定に供される。シーケンサ47は、表示器43において設定された制御パラメータの値に基づいて成形サイクルが実行されるように制御信号をマシン本体3に出力する。また、シーケンサ47は、マシン本体3において計測された各種の情報(例えば、型締力、射出速度、増圧時の圧力等)を表示器43に出力し、表示器43は、その情報の表示に供される。なお、このような動作は、一般的なものであり、当該動作を実現するための構成も公知のものと同様とされてよい。
【0043】
以下では、成形サイクル外における表示器43及びシーケンサ47の動作について説明する。
【0044】
図3(a)はタッチパネル49に表示される画面の一例(第1画面111A)を示す図であり、図3(b)はタッチパネル49に表示される画面の他の例(第2画面111B)を示す図である。なお、以下では、第1画面111A及び第2画面111Bを特に区別せずに「画面111」ということがある。
【0045】
画面111は、成形サイクル外において、いずれの動作部にどのような動作をさせるかを作業者に選択させるためのものである。このような画面111に対する操作によっていずれかの動作が選択された状態で、スイッチ45が操作されると(ONされると)、その選択されている動作を実行するための制御信号がシーケンサ47からマシン本体3に出力され、当該選択されている動作が実行される。
【0046】
スイッチ45が操作されることをマシン本体3の各動作部が動作する条件とすることによって、例えば、表示器43に対する操作のみで動作部が動作する構成に比較して、意図せずに動作部が動作するおそれが低減され、安全性が高められている。また、実行される動作が表示器43に対する操作によって選択されることから、例えば、一のスイッチ45で、複数の動作を選択的にマシン本体3に実行させることが可能となっており、ひいては、制御装置5の小型化が図られている。
【0047】
なお、成形サイクル外においてスイッチ45が操作されたとき、ダイカストマシン1は、表示器43で選択されている動作を、スイッチ45が操作されている間(押し続けられている間)だけ実行してもよいし、スイッチ45に対する1回の操作に対して(操作の時間の長短に関わらずに)その動作の駆動限(例えば、型開きであれば型開限)まで実行してもよいし、スイッチ45に対する1回の操作に対して所定の制御量で実行してもよいし、動作の種類に応じて前記のいずれかの態様を選択的に実行してもよい。以下の説明では、選択されている動作が、スイッチ45が操作されている間だけ実行される態様を中心に説明するものとする。
【0048】
表示器43は、成形サイクル外においてマシン本体3に実行させることができる複数の動作(操作項目)を他画面に亘って表示可能に構成されている。すなわち、表示器43では、タブ式に類似したグラフィックユーザーインターフェース(GUI)が実現されている。
【0049】
例えば、画面111では、下方に複数のGUIボタン113が配列されている。このGUIボタン113のうち、例えば、「本体」を押すと第1画面111Aが表示され、「スプレイ」を押すと第2画面111Bが表示される。そして、各画面111では、1以上のGUIボタン部115によって、マシン本体3に実行させる動作を選択可能となっており、両画面111において選択可能な動作は互いに異なっている。
【0050】
具体的には、例えば、第1画面111Aでは、複数のGUIボタン部115によって、型締シリンダ25により移動ダイプレート21を移動させる動作(「移動型」)、押出シリンダ37により押出ピン35を移動させる動作(「押出」)、射出シリンダ33により射出プランジャ31を移動させる動作(「射出」)、及び、中子シリンダ27により中子107を移動させる動作(「移動中子1」)を選択可能となっている。一方、第2画面111Bでは、複数のGUIボタン部115によって、アーム39によりノズル41を移動させる動作(「ノズル」)、不図示の弁を開けてノズル41から離型剤を噴出させる動作(「噴出」)を選択可能となっている。
【0051】
各動作は、その種類によっては、互いに排他的な複数の動作に細分化される。そして、表示器43では、その細分化された動作を選択可能となっている。例えば、移動ダイプレート21の移動は、型開方向への移動と、型閉方向への移動とに分けられる。そして、移動ダイプレート21の移動に対応する第1画面111AのGUIボタン部115(「移動型」)は、型開方向への移動に対応するGUIボタン117(「開」)と、型閉方向への移動に対応するGUIボタン117(「閉」)とを有している。すなわち、「移動型」は、「開」が選択された状態と、「閉」が選択された状態と、「開」及び「閉」のいずれも選択されていない状態とのいずれかにされ得る。
【0052】
なお、1対のGUIボタン117(「開」及び「閉」)は、双方を選択することはできず、例えば、一方を選択した状態で他方を選択すると、前記一方の選択は解除される。一方が選択された状態から、いずれも選択されていない状態にしたいときは、例えば、前記一方を再度押す。このような1対のGUIボタン117の制御は、例えば、表示制御部51のみの制御によって(シーケンサ47によらずに)実現される。ただし、シーケンサ47が制御の一部を担ってもよい。
【0053】
「移動型」を例にとって説明したが、「押出」、「射出」、「移動中子1」及び「ノズル」も同様であり、各GUIボタン部115は、2つのGUIボタン117を含む。一方、ノズル41からの離型剤の噴出については、細分化されておらず、対応するGUIボタン部115(「噴出」)は、一つのGUIボタン117のみを有している。なお、細分化される動作は、高速移動及び低速移動のように、制御量が互いに異なる動作であってもよい。
【0054】
表示器43は、GUIボタン117に対する操作等によって、実行する動作の選択又は選択解除がなされると、記憶部51a(図2)内の、選択状態を記憶しているデータを更新し、また、その更新後の選択状態を表示する。表示器43は、選択状態(GUIボタン117の操作状態)を適宜に表示してよい。例えば、GUIボタン117は、位置保持型の押しボタンのように表示される。すなわち、選択された動作に対応するGUIボタン117は、視覚的に凹んだ状態とされており(「射出」の「出」参照)、選択されていない動作に対応するGUIボタン117は、視覚的に突出した状態とされている。
【0055】
表示器43において、成形サイクル外において実行可能な動作は、1つのみ選択可能であってもよいし、2以上(ただし、上述した「移動型」の「開」及び「閉」のような、細分化された互いに排他的な2以上の動作を除く)を同時に選択可能であってもよい。1つのみを選択可能である場合、例えば、先に選択した動作の選択が自動的に解除されてもよい。このような表示制御は、例えば、表示制御部51のみによって(シーケンサ47によらずに)実現される。ただし、シーケンサ47が制御の一部を担ってもよい。
【0056】
2以上の動作が選択されている場合、例えば、一のスイッチ45が操作されることにより、2以上の動作が同時に実行される。ただし、同時に実行することが不可能な動作の組み合わせ等については、表示器43において選択できないようにされていてもよい。例えば、一の動作が選択されており、次に、この一の動作と同時に実行できない他の動作が選択されたときは、前記一の動作の選択が解除されるか、前記他の動作の選択が拒否されるように表示器43が動作してもよい。このような動作に併せて所定の警告表示が表示器43においてなされてもよい。このような表示制御は、例えば、表示制御部51のみによって(シーケンサ47によらずに)実現される。ただし、シーケンサ47が制御の一部を担ってもよい。
【0057】
以上のとおり、表示器43は、マシン本体3において実行させる動作を選択するためのシーケンサ47への入力装置として利用されている。本実施形態では、さらに、シーケンサ47から表示器43へその動作を制御するための制御信号を出力することによって、操作に対する作業者の負担を軽減している。例えば、以下のとおりである。
【0058】
<負担軽減動作1:動作条件に係る警告表示>
シーケンサ47は、表示器43及びスイッチ45によって所定の動作(例えば、第1動作)が指示されたとき、その動作の前提とされる動作条件が、マシン本体3において満たされているか否かを判定し、満たされていると判定したときは、その動作を実行するための制御信号をマシン本体3に出力し、満たされていないと判定したときは、その動作を実行するための制御信号をマシン本体3に出力せずに、代わりに、その満たされていない動作条件を表示させるための制御信号を表示器43に出力する。表示器43は、例えば、その制御信号に基づいて、画面111の上部に設けられたテキスト表示部119(図3)において警告表示を行う。なお、動作条件は、例えば、シーケンサ47の不図示の記憶部に記憶されている。
【0059】
これにより、作業者は、スイッチ45を操作してもマシン本体3が動作しないときに、その原因を知ることが容易になる。すなわち、成形サイクル外における動作条件について習熟する必要性が低減され、作業者の負担が軽減される。
【0060】
(具体例1−1)
マシン本体3は、例えば、不図示の扉によって固定ダイプレート19と移動ダイプレート21との間への作業者の侵入を禁止可能になっている。そこで、型開閉(型開き又は型閉じ)の前提となる動作条件は、作業者の安全性を確保するために、その扉が閉じられていることを含んでいる。シーケンサ47は、不図示のセンサによってマシン本体3の扉の開閉状態を把握可能である。そして、表示器43によって型開閉が選択されており、且、スイッチ45が操作されたときに、マシン本体3の扉が閉じられていない場合、シーケンサ47は、型開閉を実行するための制御信号をマシン本体3に出力せず、その代わりに、扉を閉じることを指示する警告表示をテキスト表示部119に表示させる。
【0061】
(具体例1−2)
例えば、型閉じがされている状態でスプレイ装置15のノズル41を金型101間に入れようとすると、ノズル41が金型101に当接する。そこで、ノズル41を金型101間へ入れる方向へ移動させる動作の前提となる動作条件は、型開きがなされていることを含んでいる。シーケンサ47は、不図示のセンサによって移動ダイプレート21の位置(すなわち型開閉の状態)を把握可能である。そして、表示器43によってノズル41を金型101間へ入れる方向へ移動させる動作が選択されており、且、スイッチ45が操作されたときに、型開きがなされていない場合、シーケンサ47は、ノズル41を移動させるための制御信号をマシン本体3に出力せず、その代わりに、型開きを指示する警告表示をテキスト表示部119に表示させる。
【0062】
なお、マシン本体3の構成等によっては、金型101を開きながらノズル41を金型101間に入れることも可能であることから、表示器43において「移動型」の「開」が選択されていることを動作条件とすることもできる。すなわち、シーケンサ47は、一の動作の動作条件の判定において、現時点のマシン本体3の状態に基づく判定に代えて又は加えて、表示器43において他の動作が選択されているか否かの判定を行ってもよい。スイッチ45が操作されたときに表示器43において他の動作が選択されているか否かの判定に基づく警告表示は、スイッチ45の信号が直接的に又はシーケンサ47経由で間接的に表示制御部51にも入力されているような場合においては、表示制御部51の制御によって行うことも可能である。
【0063】
<負担軽減動作2:選択状態の自動設定>
また、シーケンサ47は、マシン本体3において所定の自動設定条件が満たされたときに、表示器43における動作の選択状態を予め定められている選択状態に変更させる制御信号を表示器43に出力する。表示器43は、その制御信号に基づいて、記憶部51a内の、選択状態を記憶しているデータを更新し、また、更新後の選択状態に応じた表示を行う。なお、置き換えられる新たな選択状態は、シーケンサ47が保持して表示器43に出力してもよいし、表示器43が保持しており、シーケンサ47は変更を指示するだけであってもよい。
【0064】
これにより、作業者が表示器43に対する操作によって複数の動作について選択・非選択の確認及び変更を行う必要性が低減され、又は、前記の必要性がなくなる。その結果、作業者の負担が軽減される。当該効果は、選択可能な動作が他画面に亘って表示される場合に顕著である。
【0065】
(具体例2−1)
例えば、所定の自動設定条件が満たされると、シーケンサ47は、全ての動作について非選択とするように(別の観点では中立状態とするように)表示器43に制御信号を出力する。その結果、例えば、その後、新たな動作を開始するときに、意図しない(選択を解除し忘れた)動作が実行されるおそれがなくなる。
【0066】
このような全選択解除の自動設定を行う自動設定条件は、例えば、成形サイクルが停止されたこと、型締シリンダ25及び射出シリンダ33等に作動液(例えば油)を供給する不図示のポンプがオフされたこと、所定の異常判定がなされたことである。なお、シーケンサ47は、通常、成形サイクルのための制御、ポンプの制御、マシン本体3における異常判定又はその判定結果の受信を行っているから、当然に、これらの自動設定条件の例が満たされたか否か判定できる。
【0067】
(具体例2−2)
また、例えば、何らかの異常で成形サイクルが停止され、また、その異常が生じた動作部がマシン本体3及びシーケンサ47によって特定可能な場合、その特定がなされたことを自動設定条件として、シーケンサ47は、その動作部の動作のみが選択され、それ以外の動作部の動作が非選択とされるように表示器43に制御信号を出力する。なお、シーケンサ47は、通常、マシン本体3における異常判定等又はその判定結果等の受信を行っているから、当然に、これらの自動設定条件の例が満たされたか否か判定できる。
(具体例2−3)
また、例えば、成形サイクルを停止し、成形条件を変更したときに、その変更がなされたことを自動設定条件として、シーケンサ47は、その成形条件の変更に係る動作部の動作のみが選択され、それ以外の動作部の動作が非選択とされるように、表示器43に制御信号を出力する。なお、成形条件が変更されたこと等は、例えば、表示器43からシーケンサ47に適宜な信号が入力されることにより、シーケンサ47は把握可能である。この具体例は、シーケンサ47によらずに、表示器43のみにおいても実行可能である。
【0068】
<負担軽減動作3:選択の自動解除とその制限>
例えば、成形サイクル外において、作業者が表示器43及びスイッチ45に対する操作によって、一の動作(例えば、第1動作)の後、他の動作(例えば、第2動作)をマシン本体3に実行させる場合、前記他の動作の前に、前記一の動作の選択解除を作業者が忘れるおそれがある。また、忘れないにしても前記一の動作の選択を解除する操作は煩わしい。そこで、シーケンサ47は、スイッチ45に対する操作が停止されると、現在選択されている動作の選択を解除するように表示器43に制御信号を出力する。なお、全ての動作について、選択の自動解除がなされる必要はなく、一部の動作についてのみ、自動解除がなされてよい。
【0069】
スイッチ45を操作している間(押し続けている間)だけ実行される動作(例えば、第1動作,第2動作)については、作業者がスイッチ45の操作及びその一旦停止を適宜に繰り返し、これにより、選択されている動作を任意の制御量で実行することがある。このような場合、スイッチ45の操作を停止するたびに、動作の選択が自動で解除されてしまうと、再度、表示器43に対してその動作を選択する操作をしなければならず、却って煩わしい。そこで、シーケンサ47は、スイッチ45の操作が停止された後、所定の設定時間T(例えば5秒程度)内にスイッチ45の操作が再開されない場合に、現在選択されている動作の選択を解除するように表示器43に制御信号を出力し、設定時間T内にスイッチ45の操作が再開された場合は、現在選択されている動作の選択は解除せず、その動作を実行するための制御信号をマシン本体3に出力する。
【0070】
なお、スイッチ45を操作している間だけ実行され、且つ、選択が自動解除される全ての動作について、設定時間T内にスイッチ45の操作が再開されたときに自動解除が規制される必要はなく、一部の動作についてのみ、自動解除の規制がなされてよい。また、設定時間Tの長さは、複数種類の動作に共通であることが好ましいが、動作毎に異なっていてもよい。
【0071】
スイッチ45の信号が直接的に又はシーケンサ47を経由して間接的に表示制御部51にも出力されているような場合においては、表示制御部51の制御のみによって、上記のような選択の自動解除、及び、その規制を行うことも可能である。
【0072】
<負担軽減動作4:画面ロック>
例えば、マシン本体3が動作を実行している間に表示器43に対して操作がなされ、その操作に応じた信号がシーケンサ47に入力されると、マシン本体3が予期しない動作を実行するおそれがある。そこで、シーケンサ47は、マシン本体3が動作を実行しているときは、表示器43において選択されている動作の変更(選択解除や新たな選択等)を禁止する制御信号を表示器43に出力する。なお、シーケンサ47は、マシン本体3に制御信号を出力してマシン本体3を駆動しているから、マシン本体3が動作を実行中か否か当然に把握できる。
【0073】
表示器43は、例えば、シーケンサ47から選択の変更を禁止する制御信号が入力されている間(又は、そのような制御信号が入力された後、所定の禁止解除のための制御信号が入力されるまでの間)、タッチパネル49に対して操作がなされても、記憶部51aに記憶されている選択状態を示すデータの更新は行わず、また、選択状態が変更されたことを示す表示も行わない。なお、表示器43は、マシン本体3が動作を実行中であり、選択変更を受け付けないことを示す表示を行ってもよい。
【0074】
図4は、上記のような負担軽減動作1〜4を実現するためにシーケンサ47が実行する処理の手順の一例の概要を示すフローチャートである。この処理は、例えば、成形サイクル外において、所定の周期(例えば1s未満)で繰り返し実行される。
【0075】
ステップST1では、シーケンサ47は、スイッチ45が操作されているか否かを判定する。シーケンサ47は、操作されていると判定した場合はステップST2〜ST7に進み、そうでない場合はステップST8〜ST12に進む。
【0076】
ステップST2〜ST7は、表示器43において選択されている動作を実行させる制御信号をマシン本体3に出力する手順を含んでおり、ステップST8〜ST12は、そのような手順を含んでいない。制御信号は、例えば、その制御信号が出力されている間だけマシン本体3が動作するものである。そして、ステップST2〜ST7、及び、ステップST8〜ST12は、その手順が終了すると、ステップST1に戻る。これにより、スイッチ45が操作されている間だけ、選択されている動作が実行される動作が実現される。
【0077】
また、動作の種類によって、スイッチ45の1回の操作につき、所定の制御量でマシン本体3を動作させたり、駆動限までマシン本体3を動作させたりする場合においては、特に図示しないが、例えば、以下のようにすればよい。ステップST2〜ST7の後、ステップST1に戻る前に、シーケンサ47は、そのような動作の種類であるか否か判定する。そのような動作の種類であると判定した場合は、シーケンサ47は、所定の制御量の達成等が実現されたか否か判定し、実現されたと判定されるまで、選択された動作の実行を指示する制御信号を出力する。また、シーケンサ47は、そのような動作の種類でないと判定した場合は、上記の所定の制御量等が実現されたか否かの判定等のステップをスキップしてステップST1に戻る。
【0078】
ステップST2では、シーケンサ47は、表示器43における実行すべき動作の選択状態を取得する。この取得は、例えば、シーケンサ47が表示器43に選択状態を問い合わせる信号を表示器43に出力し、表示器43がその信号に応じて、記憶部51aに記憶されている選択状態を示す情報を含む信号をシーケンサ47に出力することによって実現される。なお、表示器43に操作がなされるたびに、その操作内容を知らせる信号が表示器43からシーケンサ47へ出力され、シーケンサ47は、その信号に基づいて、自らの記憶部における、動作の選択状態を示すデータを更新して、常に選択状態を把握していてもよい。
【0079】
ステップST3では、シーケンサ47は、表示器43において選択されている動作について、上記の負担軽減動作1に係る動作条件が満たされているか否かを判定する。シーケンサ47は、満たされていると判定した場合は、ステップST4〜ST6に進み、満たされていないと判定した場合は、ステップST7に進む。
【0080】
ステップST4〜ST6は、表示器43において選択されている動作をマシン本体3に実行させる制御信号を出力する手順を含んでおり、ステップST7は、そのような手順を含んでいない。これにより、動作条件が満たされているときだけ、選択されている動作が実行される制御が実現される。
【0081】
ステップST4では、シーケンサ47は、表示器43において選択されている動作をマシン本体3に実行させるための制御信号をマシン本体3に出力する。なお、ステップST1、ST2及びST4により、表示器43において選択されている動作がスイッチ45に対する操作によって実行される制御が実現される。
【0082】
ステップST5では、シーケンサ47は、上記の負担軽減動作4に係る選択変更を禁止する制御信号を表示器43に出力する。ステップST5は、基本的には、ステップST4と同一のループに含まれていることから、マシン本体3を動作させるときには基本的に表示器43における選択変更は禁止されることになる。なお、ステップST4とST5との間において、動作の種類を判定し、動作の種類によってはステップST5をスキップして次のステップに進むようなステップを設けてもよい。
【0083】
ステップST6では、シーケンサ47は、タイマ47t(図2)をリセットする。タイマ47tの計数している時間は、負担軽減動作3に係る所定の設定時間Tが経過したか否かの判定に利用される。ステップST6は、基本的には、ステップST1においてスイッチ45が操作されたと判定されたときのループ(ステップST2〜ST7)に含まれていることから、スイッチ45が押されている限り、タイマ47tはリセットされ、タイマ47tの計数している時間は設定時間Tに到達しない。
【0084】
ステップST7では、シーケンサ47は、ステップST3において負担軽減動作1に係る動作条件が満たされていないと判定された結果を受け、表示器43に警告表示を行わせるための制御信号を表示器43に出力する。これにより、ステップST4がスキップされた場合、すなわち、表示器43において選択されている動作が実行されない場合において、その原因を作業者に知らせることができる。
【0085】
ステップST8では、シーケンサ47は、タイマ47tの計数を進める。ステップST9では、シーケンサ47は、タイマ47tの計数している時間が、負担軽減動作3に係る設定時間Tを超えたか否か判定する。そして、シーケンサ47は、設定時間Tを超えたと判定したときは、ステップST10に進み、現在選択されている動作の選択解除を指示する制御信号を表示器43に出力する。また、シーケンサ47は、設定時間Tを超えていないと判定したときは、ステップST10をスキップして次のステップに進む。
【0086】
これらのステップST8〜ST10、並びに、ステップST1及びステップST6により、スイッチ45が操作されていない時間が設定時間Tを超えたときだけ、表示器43において、現在選択されている動作の選択解除がなされる。
【0087】
なお、動作の種類によって選択の自動解除を行わないようにしたい場合は、例えば、ステップST10よりも前に、動作の種類が所定の種類か判定し、所定の種類と判定した場合はステップST10をスキップすればよい。また、動作の種類によって選択の自動解除をする一方でその規制を行わないようにしたい場合は、例えば、ステップST9よりも前に、動作の種類が所定の種類か判定し、所定の種類と判定した場合はステップST9をスキップしてステップST10に進めばよい。
【0088】
ステップST11では、シーケンサ47は、負担軽減動作2に係る自動設定条件が満たされたか否か判定する。そして、シーケンサ47は、自動設定条件が満たされたと判定した場合は、ステップST12に進み、表示器43における選択状態を予め設定されている選択状態に更新するための制御信号を表示器43に出力する。また、シーケンサ47は、自動設定条件が満たされていないと判定した場合は、ステップST12をスキップし、次のステップに進む。
【0089】
図5は、負担軽減動作1〜4を実現するために表示器43(表示制御部51)が実行する処理の手順の一例の概要を示すフローチャートである。この処理は、例えば、成形サイクル外において、所定の周期(例えば1s未満)で繰り返し実行される。
【0090】
ステップST21では、表示器43は、シーケンサ47から選択変更禁止を指示する制御信号(ステップST5)が入力されたか否か判定する。そして、表示器43は、そのような制御信号が入力されたと判定したときは待機し、また、入力されていないと判定したときは、次のステップに進んで動作の選択状態を変更するための手順を実行する。これにより、負担軽減動作4の画面ロックが実現される。
【0091】
ステップST22では、表示器43は、タッチパネル49に対して操作がなされたか否か判定する。そして、表示器43は、操作がなされたと判定したときは、選択状態を変更するためのステップST23に進み、操作がなされていないと判定したときは、ステップST23をスキップする。
【0092】
ステップST23では、表示器43は、タッチパネル49に対する操作に基づいて、記憶部51aに記憶されている選択状態を示すデータを更新する。これにより、動作の新たな選択及び/又は選択解除がなされる。
【0093】
ステップST24では、表示器43は、シーケンサ47から選択変更を指示する制御信号(ステップST10又はST12)が入力されたか否か判定する。そして、表示器43は、操作がなされたと判定したときは、選択状態を変更するためのステップST25に進み、操作がなされていないと判定したときは、ステップST25をスキップする。
【0094】
ステップST25では、表示器43は、シーケンサ47からの制御信号に基づいて、記憶部51aに記憶されている選択状態を示すデータを更新する。これにより、負担軽減動作2に係る選択の自動設定、又は、負担軽減動作3に係る選択の自動解除がなされる。
【0095】
なお、このフローチャートでは、表示器43は、負担軽減動作2に係る制御信号と、負担軽減動作3に係る制御信号とを区別していない。このような場合、例えば、シーケンサ47からは、複数の動作全体について選択の要否を示す情報を含む制御信号が出力される。すなわち、ステップST10において出力される制御信号と、ステップST12において出力される制御信号とは、選択の要否の内容が異なるだけで、同一の形式である。ただし、ステップST10及びST12において互いに異なる形式の制御信号が出力され、また、表示器43において、負担軽減動作2のためのステップと負担軽減動作3に係るステップとが別にされてもよい。
【0096】
また、このフローチャートでは、表示器43に対する操作による選択変更(ステップST23)の後に、シーケンサ47からの指示による選択変更(ステップST25)が実行されることから、結果として、作業者の操作よりも、シーケンサ47からの指示が優先されている。ただし、作業者の操作を優先させたり、作業者の操作から所定の時間が経過していない場合においては、シーケンサ47からの指示による選択変更のステップをスキップしたりしてもよい。シーケンサ47からの指示によって選択変更が行われた場合は、その旨がテキスト表示部119等に表示されることが好ましい。
【0097】
ステップST26では、表示器43は、負担軽減動作1に係る警告表示を指示する制御信号(ステップST7)がシーケンサ47から入力されたか判定し、入力されている場合においては、その制御信号に従って、1以上の動作条件のうちクリアになっていない動作条件をテキスト表示部119等に表示する準備をする。
【0098】
ステップST27では、表示器43は、タッチパネル49に表示する画面の表示内容の更新の必要性を判定する。例えば、ステップST23又はST25が実行されたか否か、ステップST26で警告表示を指示する制御信号を受信したと判定したか否かを判定する。そして、表示器43は、表示内容を更新する必要があると判定した場合はステップST28に進み、更新する必要がないと判定した場合は、ステップST28をスキップする。
【0099】
ステップST28では、表示器43は、ステップST23又はST25において更新した選択状態のデータ、ステップST26において準備した警告表示のためのデータ等に基づいて、タッチパネル49に表示させる画像のデータを更新する。その後、表示器43は、ステップST1に戻る。
【0100】
なお、特に図示しないが、ステップST28において更新された画像データは、所定のフレームレートでタッチパネル49に表示される。
【0101】
以上のとおり、本実施形態では、制御装置5は、成形サイクル(生産サイクル)においては複数種類の動作を所定の順序で実行させる制御信号をマシン本体3に出力し、生産サイクル外においては複数種類の動作を個別に実行させる制御信号をマシン本体3に出力可能なものである。また、制御装置5は、成形サイクル外において実行させる1以上の動作を複数種類の動作から選択する操作を受け付けるタッチパネル式の表示器43と、スイッチ45と、成形サイクル外においてスイッチ45が操作されたときに、表示器43において選択されている動作を実行させる制御信号をマシン本体3に出力するシーケンサ47とを有している。
【0102】
そして、シーケンサ47は、マシン本体3の状態等に基づいて、種々の制御信号を表示器43に出力し、表示器43に適宜な表示をさせたり、データ更新をさせたりする。すなわち、従来は、成形サイクル外においては、動作の選択のみに利用され、基本的にシーケンサ47に信号を出力するのみであった表示器43に、マシン本体3の状態等に基づく制御信号を入力することによって、種々の有意義な動作を実行させることができる。その結果、物理的な構成は従来のまま、操作に対する作業者の負担を軽減することができる。その具体例は既に述べたとおりである。
【0103】
以上の実施形態において、ダイカストマシン1は、生産装置及び成形装置の一例であり、マシン本体3は装置本体の一例である。
【0104】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0105】
例えば、産業装置は、成形装置に限定されず、例えば、工作機械であってもよいし、組み立て等に供されるロボットであってもよい。また、成形装置は、ダイカストマシンに限定されず、例えば、射出成形機であってもよい。
【0106】
また、成形装置の具体的な構成も、図示したものに限定されない。例えば、成形装置は、油圧式のものに限定されず、電動式のものであってもよいし、両者を組み合わせたハイブリッド式のものであってもよい。また、成形装置は、トグル式に限定されず、例えば、直圧式であってもよい。また、成形装置は、横型締横射出に限定されず、縦型締横射出、縦型締縦射出、横型締縦射出等であってもよい。
【0107】
実施形態では、動作部の例として、型締装置、射出装置等を挙げた。ただし、これらを更に細分化した部分が動作部として捉えられてもよい。例えば、型締装置は、移動ダイプレートを移動させる駆動部(例えば、液圧シリンダ、又は、電動機及びボールねじ機構)として、型開閉用の駆動部と、型締用の駆動部とが別に設けられている場合がある。この場合、型開閉用の駆動部及び型締用の駆動部それぞれが動作部とされてもよい。
【0108】
表示器において選択される動作は、一の動作部における最も細分化された動作に限定されず、生産サイクルの連動に比較して連動の数が少ない動作であってもよい。
【0109】
スイッチは、自動復帰型の押しボタンに限定されず、例えば、OFFの位置に自動復帰するレバー型のスイッチであってもよいし、中立位置を含む3位置間で移動され、自動復帰しないスイッチであってもよい。また、スイッチは、固定接点及び可動接点を有する機械式のものであることが安全上好ましいが、産業装置の種類によっては、静電容量式のスイッチとされたり、GUIによって実現されたものとされたりしてもよい。
【0110】
実施形態に示した負担軽減動作は、シーケンサと、表示器(表示制御部)との役割分担を適宜に変更して実現されてもよい。例えば、負担軽減動作1に関して、実施形態では、シーケンサ47が、動作条件が満たされているか否か判定し、所定の警告表示を行わせるための制御信号を表示器43に出力した。しかし、スイッチ45の信号が直接的に又はシーケンサ47を経由して間接的に表示制御部51にも入力されている場合には、表示制御部51からシーケンサ47にマシン本体3の状態等を問い合わせ、表示制御部51が、動作条件が満たされているか否かを判定してもよい。ただし、産業装置の製造者において、汎用の表示器と、当該製造者がプログラミングしたシーケンサとを組み合わせて制御装置を構成することが多いことから、基本的には、実施形態のように、シーケンサが各種の判断を行って、表示器に制御信号を出力することが好ましい。
【0111】
本願からは、以下の発明を抽出可能である。以下の発明においては、動作条件が満たされていないときに、第1動作を実行させる制御信号を装置本体に出力せずに、所定の警告表示を行わせる制御信号を表示器に出力する動作は必須の要件ではない。
【0112】
(別発明1)
生産サイクルでは複数種類の動作を所定の順序で実行させる制御信号を装置本体に出力し、生産サイクル外では前記複数種類の動作を個別に実行させる制御信号を前記装置本体に出力可能な制御装置であって、
生産サイクル外で実行させる1以上の動作を前記複数種類の動作から選択する操作を受け付けるタッチパネル式の表示器と、
スイッチと、
生産サイクル外で前記スイッチが操作されたときに、前記表示器で選択されている動作を実行させる制御信号を前記装置本体に出力するシーケンサと、
を有し、
前記シーケンサは、前記装置本体で所定の自動設定条件が満たされたときに、前記表示器における前記複数種類の動作の選択状態を、予め定められている選択状態に変更させる制御信号を前記表示器に出力する
制御装置。
【0113】
(別発明2)
生産サイクルでは複数種類の動作を所定の順序で実行させる制御信号を装置本体に出力し、生産サイクル外では前記複数種類の動作を個別に実行させる制御信号を前記装置本体に出力可能な制御装置であって、
生産サイクル外で実行させる1以上の動作を前記複数種類の動作から選択する操作を受け付けるタッチパネル式の表示器と、
スイッチと、
生産サイクル外で前記スイッチが操作されたときに、前記表示器で選択されている動作を実行させる制御信号を前記装置本体に出力するシーケンサと、
を有し、
前記複数種類の動作は、所定の第1動作を含み、
前記スイッチは、自動復帰型のものであり、
前記シーケンサは、前記表示器によって前記第1動作が選択されている状況で、
前記スイッチの操作がなされている間だけ、前記第1動作を実行させる制御信号を前記装置本体に出力し、
前記スイッチの操作が停止された場合、
所定の時間内に前記スイッチの操作が再開されたときは、前記第1動作を実行させる制御信号の前記装置本体への出力を再開し、
前記所定の時間内に前記スイッチの操作が再開されないときは、前記表示器における前記第1動作の選択を解除する制御信号を前記表示器に出力する
制御装置。
【0114】
(別発明3)
生産サイクルでは複数種類の動作を所定の順序で実行させる制御信号を装置本体に出力し、生産サイクル外では前記複数種類の動作を個別に実行させる制御信号を前記装置本体に出力可能な制御装置であって、
生産サイクル外で実行させる1以上の動作を前記複数種類の動作から選択する操作を受け付けるタッチパネル式の表示器と、
スイッチと、
生産サイクル外で前記スイッチが操作されたときに、前記表示器で選択されている動作を実行させる制御信号を前記装置本体に出力するシーケンサと、
を有し、
前記シーケンサは、前記装置本体が前記複数種類の動作のいずれかを実行しているとき、前記表示器における前記複数種類の動作の選択状態の変更を禁止する制御信号を前記表示器に出力する
制御装置。
【符号の説明】
【0115】
1…ダイカストマシン(生産装置、成形装置)、3…マシン本体、5…制御装置、43…表示器、45…スイッチ、47…シーケンサ。
図1
図2
図3
図4
図5