(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドアの開閉の検知結果に応じて前記蓄電機能部への充電の開始または停止を行う状態である第1モードと第1ボタンの操作に応じて前記蓄電機能部への充電の開始または停止を行う状態である第2モードとの間でモードを切り替える切替部を備え、
前記制御部は、前記第1モードに切り替えられた場合、前記ドアの開閉の検知結果に応じて、前記第1信号または前記第2信号を前記外部装置に送信し、前記第2モードに切り替えられた場合、前記第1ボタンの操作に応じて前記第1信号または前記第2信号を前記外部装置に送信する請求項1に記載の電気バス。
前記第2制御部は、予め登録された行先と、前記第1位置に停車する前記電気バスの行先とが一致した場合に、前記準備処理を実行する請求項4から8のいずれか一に記載の充電システム。
前記第2制御部は、前記第1位置の1つ前以上の停留所に設置された他の充電装置から、前記第3信号を受信し、当該受信した第3信号を用いて、前記準備処理を実行する請求項4から9のいずれか一に記載の充電システム。
前記第1制御部は、前記蓄電機能部の残量を検知し、検知した残量が所定値を下回った場合に、前記第1位置への停止を促す情報を前記表示部に表示させ、かつ前記第3信号を前記充電装置に送信する請求項5に記載の充電システム。
前記第1制御部は、前記第1位置への到着予想時刻が運行ダイヤにより定められた前記第1位置の通過時刻より早い場合、前記第1位置への停車を促す情報を前記表示部に表示させ、かつ前記第3信号を前記充電装置に送信する請求項5に記載の充電システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかる電気バスおよび充電システムについて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる充電システムの概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態では、充電システムは、電気エネルギーを動力としかつ路線上の停留所(第1位置の一例)で乗客が乗降する路線バス1(電気バスの一例)と、当該路線バス1の停留所に設けられかつ当該停留所に停車した路線バス1に対して電力を供給して充電を行う充電装置8(外部装置の一例)と、を有する。
【0011】
路線バス1は、乗降部に設置された少なくとも1つのドア2,3を有する。ドア2,3は、路線バス1が停留所に停止した際、乗客が路線バス1に乗降する。本実施形態では、ドア2,3は、路線バス1の乗務員によるドア開閉操作部101(
図2参照)の操作に応じて開閉する所謂自動ドアである。本実施形態では、路線バス1が2つのドア2,3を有する例について説明するが、これに限定するものではない。例えば、路線バス1が連節バスである場合、3つ以上のドアを有していても良い。
【0012】
また、路線バス1は、蓄電池4と、充放電機能部5と、充電口6と、路線バス通信部7とを有する。蓄電池4は、充電装置8から受電した電力により充電されかつ路線バス1の駆動時に放電する蓄電機能部の一例である。本実施形態では、蓄電機能部の一例として蓄電池4を用いているが、これに限定するものではなく、例えば、キャパシタ等を蓄電機能部として用いても良い。
【0013】
充電口6は、充電板等であり、充電装置8が有する充電機構部10に接触して充電装置8から供給される電力を受電する受電部の一例である。本実施形態では、充電口6は、路線バス1の屋根上に設けられ、当該路線バス1の上部に移動した充電機構部10と接触して、当該充電機構部10を介して充電装置8から供給される電力を受電する。
【0014】
充放電機能部5は、充電口6により受電した電力によって蓄電池4を充電する。また、充放電機能部5は、蓄電池4から放電された電力を、供給用電力線112(
図2参照)を介して、路線バス1を駆動させる図示しない駆動部に供給する。ここで、駆動部は、電力変換器、モータ、ディーゼルエンジン等で動作する車両が備える安全機構や電装品、乗客から利用料金を収集する料金収集設備、乗客に対して各種情報を表示する表示部などである。
【0015】
路線バス通信部7は、充電装置8等と通信する通信部である。本実施形態では、路線バス通信部7は、図示しないアンテナを介して電波を発信して、充電装置8等と無線通信を行う。
【0016】
充電装置8は、路線バス1が停車する停留所等に設けられ、商用電力系統,発電機,太陽光発電機等の外部発電装置9から電力の供給を受けて、当該供給された電力を、路線バス1に充電する電力に変換する機能を有する。また、充電装置8は、路線バス1の充電口6に接触して当該充電口6を介して路線バス1に電力を供給する充電機構部10(供給部の一例)を有する。充電機構部10は、給電ポール等であり、路線バス1が停留所に停車した際に、路線バス1の上部に移動して当該路線バス1の充電口6に接触して、路線バス1に対して電力を供給する。さらに、充電装置8は、路線バス1等と通信する通信部である充電装置側通信部11を有する。本実施形態では、充電装置側通信部11は、図示しないアンテナを介して電波を発信して、路線バス1等と無線通信を行う。
【0017】
図2は、第1の実施形態にかかる充電システムが有する路線バスの機能構成の一例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態では、路線バス1は、乗務員がドア2,3の開閉操作に用いるドア開閉操作部101を有する。ドア開閉操作部101は、ドア2を開閉するための第1操作レバー102と、ドア3を開閉するための第2操作レバー103とを有する。そして、ドア開閉操作部101は、第1操作レバー102の操作に応じて、ドア2を開くことまたはドア2を閉じることを指示する第1開閉制御信号104をドア2に出力することによって、ドア2を開閉する。また、ドア開閉操作部101は、第2操作レバー103の操作に応じて、ドア3を開くことまたはドア3を閉じることを指示する第2開閉制御信号105をドア3に出力することによって、ドア3を開閉する。
【0018】
また、ドア開閉操作部101は、ドア2を開くことを指示する第1開閉制御信号104を出力した場合若しくはドア3を開くことを指示する第2開閉制御信号105を出力した場合、充放電機能部5に対して、充電を指示する充電指示信号106を送信する。一方、ドア開閉操作部101は、ドア2を閉じることを指示する第1開閉制御信号104を出力しかつドア3を閉じることを指示する第2開閉制御信号105を出力した場合、充放電機能部5に対して、充電の停止を指示する充電指示信号106を送信する。これにより、ドア開閉操作部101は、充放電機能部5による蓄電池4に対する充電の開始および停止を制御する。
【0019】
充放電機能部5は、充電制御部107と、通信制御部109と、充電制御ボタン113とを有する。充電制御ボタン113は、蓄電池4に対する充電の開始または停止を指示するための第1ボタンの一例である。
【0020】
充電制御部107は、充電口6により受電した電力によって蓄電池4を充電する充電部の一例である。本実施形態では、充電制御部107は、充電口6と接続された充電用電力線110を介して、充電口6により受電した電力を蓄電池4に供給することによって、蓄電池4を充電する。また、充電制御部107(制御部の一例)は、ドア2,3の少なくとも1つのドアが開かれたことを検知した場合(本実施形態では、充電の開始を指示する充電指示信号106が入力された場合)、路線バス1を識別可能とする情報(以下、属性情報と言う)を含みかつ蓄電池4に対する充電の開始を指示する充電器制御信号108(第1信号の一例)を、通信制御部109を介して、充電装置8に送信する。ここで、属性情報は、路線バス1の種別や特性等、路線バス1を識別可能とする情報である。具体的には、属性情報は、路線バス1が搭載する蓄電池4の蓄電容量、充電電圧、蓄電池4から流せる電流などの電気的なパラメータ、予め設定された路線バス1の識別コードや型式名、またはそれらの組合せであっても良い。
【0021】
また、充電制御部107は、ドア2,3の全てが閉じられたことを検知した場合(本実施形態では、充電の停止を指示する充電指示信号106が入力された場合)、通信制御部109を介して、蓄電池4に対する充電の停止を指示する充電器制御信号108(第2信号の一例)を充電装置8に送信する。さらに、充電制御部107は、電池情報監視線111を介して、蓄電池4の電池電圧を検知する。そして、充電制御部107は、検知した電池電圧が所定の電圧に達した場合、蓄電池4に対する充電の停止を指示する充電器制御信号108を、通信制御部109を介して充電装置8に送信する。通信制御部109は、充電制御部107から入力された充電器制御信号108を、路線バス通信部7を介して、無線通信によって充電装置8に送信する。
【0022】
また、本実施形態では、充電制御部107(切替部の一例)は、ドア2,3の開閉の検知結果に応じて蓄電池4への充電の開始または停止を行う状態である自動モード(第1モードの一例)と充電制御ボタン113の操作に応じて蓄電池4への充電の開始または停止を行う状態であるマニュアルモード(第2モードの一例)との間でモードを切り替える。そして、充電制御部107は、自動モードに切り替えた場合には、ドア2,3の開閉の検知結果に応じて、充電器制御信号108を充電装置8に送信する。一方、充電制御部107は、マニュアルモードに切り替えた場合には、充電制御ボタン113の操作に応じて、充電器制御信号108を充電装置8に送信する。
【0023】
具体的には、充電制御部107は、マニュアルモードに切り替えられかつ充電制御ボタン113によって蓄電池4に対する充電の開始が指示された場合、蓄電池4に対する充電の開始を指示する充電器制御信号108を充電装置8に送信する。一方、充電制御部107は、マニュアルモードに切り替えられかつ充電制御ボタン113によって蓄電池4に対する充電の停止が指示された場合、蓄電池4に対する充電の停止を指示する充電器制御信号108を充電装置8に送信する。
【0024】
図1に戻り、充電装置8の充電装置側通信部11は、路線バス1から充電器制御信号108を受信する。そして、充電装置8が有する充電器側制御部801は、充電装置側通信部11により受信した充電器制御信号108が、蓄電池4に対する充電の開始を指示している場合、充電機構部10を制御して、路線バス1の上部に充電機構部10を移動させる。そして、充電器側制御部801は、充電機構部10を充電口6に接触させた後、路線バス1へ電力を供給する。一方、充電器側制御部801は、充電装置側通信部11により受信した受電器制御信号108が、蓄電池4に対する充電の停止を指示している場合、充電機構部10を制御して、路線バス1の上部から充電機構部10を移動させる。そして、充電器側制御部801は、充電機構部10と路線バス1との接触を解除して、路線バス1に対する電力の供給を停止する。また、充電器側制御部801は、路線バス1に対する電力の供給を停止すると(言い換えると、蓄電池4に対する充電が終了すると)、待機モードへ遷移する。ここで、待機モードとは、充電装置8内での電力の消費を抑えて省エネルギー化を図る状態のモードである。本実施形態では、充電器側制御部801は、電磁開閉器を解放させて商用電力系統と充電装置8との接続を解除したり、充電装置8が有するインバータを停止したりすることによって、充電装置8を待機モードへと遷移させる。
【0025】
図3は、第1の実施形態にかかる充電システムにおける充電処理の一例を説明するための図である。本実施形態では、充電制御部107は、ドア2,3のいずれか一方若しくはドア2,3の両方が開かれたことを検知した場合、通信制御部109を介して、蓄電池4に対する充電の開始を指示する充電器制御信号108を充電装置8に送信する。一方、充電制御部107は、全てのドア2,3が閉じられたことを検知した場合、通信制御部109を介して、蓄電池4に対する充電の停止を指示する充電器制御信号108を充電装置8に送信する。
【0026】
このように、第1の実施形態にかかる充電システムによれば、路線バス1のドア2,3の開閉に連動させて蓄電池4に対する充電を開始または停止させることができるので、乗務員が停留所において蓄電池4に対する充電の開始または停止させるための操作を行う必要が無くなるので、乗務員の操作負担を軽減することができる。また、蓄電池4に対する充電の開始または停止させる際の乗務員の操作ミスや蓄電池4に対する充電をし忘れることを防止することができる。
【0027】
本実施形態では、充電制御部107は、全てのドア2,3が閉じられたことが検知されるまで、蓄電池4に対する充電の停止を指示する充電器制御信号108を充電装置8に送信しないものとしているが、蓄電池4に充電中にドア2,3が開けられたまま路線バス1が動きだすことを防止するために、パーキングブレーキ、シフトレバーまたはイグニッションキーが操作された場合に、ドア2,3の開閉の検知結果に関わらず、蓄電池4に対する充電の停止を指示する充電器制御信号108を充電装置8に送信するようにしても良い。これにより、蓄電池4に充電中に路線バス1が動き出すことを防止することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
本実施形態は、蓄電池に対する充電に要する処理である事前準備処理(準備処理の一例)の実行を指示する情報が入力された場合、事前準備処理の実行を指示する予約情報を充電装置に送信する例である。以下の説明では、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0029】
図4は、第2の実施形態にかかる充電システムが有する路線バスの機能構成の一例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態では、路線バス400の充放電機能部401は、充電制御部107、通信制御部109および充電制御ボタン113に加えて、充電予約操作ボタン402と、充電予約部403と、を有する。充電予約操作ボタン402は、蓄電池4に対する充電に要する処理である事前準備処理の実行を指示するためのボタンである。充電予約部403(制御部の一例)は、充電予約操作ボタン402によって事前準備処理の実行が指示された場合、事前準備処理の実行を指示する予約情報404(第3信号の一例)を、通信制御部109を介して、充電装置8に送信する。本実施形態では、予約情報404には、路線バス400の種別や特性等の当該路線バス400の属性を示す情報が含まれる。
【0030】
また、充電予約部403は、路線バス400が有する図示しないキャンセルボタンを乗務員が押下して、事前準備処理のキャンセルが指示された場合、属性情報を含みかつ事前準備処理のキャンセルを指示するキャンセル情報を、通信制御部109を介して、充電装置8に送信する。これにより、事前準備処理の実行を指示したものの、停留所に路線バス400を停車させずに当該停留所を通過した場合に、充電装置8が事前準備処理を実行した状態のまま維持され、充電装置8における消費電力が多くなることを防止できる。
【0031】
本実施形態では、充電装置8の充電装置側通信部11は、路線バス400から予約情報404を受信する。充電器側制御部801は、充電装置側通信部11によって予約情報404を受信すると、受信した予約情報404に従って、事前準備処理を実行する。路線バス400の停留所への到着に先立って事前準備処理を実行しておくことによって、路線バス400が停留所に到着した際に直ちに蓄電池4に対する充電を開始することができるので、蓄電池4に対する充電を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0032】
ここで、事前準備処理は、例えば、充電機構部10を路線バス400の上部に予め移動させたり、電磁開閉器によって商用電力系統との接続を検知したり、充電装置8が有するインバータを起動させたり、当該図示しない充電器の正常性を判定したりする処理である。また、事前準備処理には、蓄電池4に対して急速充電を行うために大電力を放電するキャパシタやバッテリ等に対して充電したり、複数種類の路線バス400に対して充電を行う場合に蓄電池4に印加する電圧を調整したりする処理も含まれる。
【0033】
また、充電装置側通信部11は、路線バス400からキャンセル情報を受信する。充電器側制御部801は、充電装置側通信部11によってキャンセル情報を受信すると、受信したキャンセル情報が含む属性情報が示す路線バス400から指示された事前準備処理の実行をキャンセルする。また、充電器側制御部801は、充電装置側通信部11によって予約情報404を受信した後、所定時間経過しても、蓄電池4に対する充電を指示する充電器制御信号108を受信せず、蓄電池4に対する充電が行われない場合、事前準備処理の実行をキャンセルして待機モードへと遷移する。さらに、充電器側制御部801は、1つも予約情報404を受信せずに所定時間経過した場合に、待機モードへと遷移するようにしても良い。
【0034】
このように、第2の実施形態にかかる充電システムによれば、路線バス400が停留所に到着した際に直ちに蓄電池4に対する充電を開始することができるので、蓄電池4に対する充電を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0035】
(第3の実施形態)
本実施形態は、降車ボタンが押下された場合に、充電装置に対して予約情報を送信する例である。以下の説明では、第2の実施形態と同様構成については説明を省略する。
【0036】
図5は、第3の実施形態にかかる充電システムが有する路線バスの機能構成の一例を示す図である。
図5に示すように、本実施形態では、路線バス500は、第2の実施形態にかかる路線バス400の機能構成に加えて、降車ボタン503と、降車表示部504と、を有する。降車ボタン503は、路線バス500の乗客が押下可能であり、路線バス500の停車を指示するためのボタンである。また、降車ボタン503は、乗客によって押下された場合に、路線バス500の停車を指示する停車指示信号505を、充電予約部403に出力する。
【0037】
本実施形態では、充電予約部403は、降車ボタン503が押下された場合に(すなわち、降車ボタン503から停車指示信号505が入力された場合に)、通信制御部109を介して、予約情報404を充電装置8に送信する。また、充電予約部403は、降車ボタン503が押下された場合に、降車表示部504(表示部の一例)に対して降車ボタン503が押下されたことを示すメッセージを表示する。
【0038】
このように第3の実施形態にかかる充電システムによれば、次の停留所で降車する乗客が降車ボタン118を押下した場合に、事前準備処理を実行することにより、次の停留所で降車する乗客がいる場合には、路線バス500の乗務員が充電予約操作ボタン402を押下しなくても、充電装置8に対して予約情報が送信されて事前準備処理が実行されるので、乗務員の操作負担を軽減することができる。また、乗務員による充電予約操作ボタン402の操作ミスや充電予約操作ボタン402の操作し忘れ等を防止することができる。また、停留所で降車する乗客がおらず、当該停留所を通過する場合に、無駄な事前準備処理が実行されることを防止できる。
【0039】
また、停留所を告げる音声アナウンスを出力するスピーカ等の出力装置を路線バス500が有する場合、充電予約部403は、乗務員が起動ボタンを押下して出力装置から音声アナウンスが出力された後、降車ボタン503が押下されずに、路線バス500が停留所に近づくと、予約情報404を送信していないため、キャンセル情報の送信を行わない。一方、充電予約部403は。降車ボタン503が押下されて予約情報404を充電装置8に送信した後、路線バス500が停留所に停車せず、降車表示部504に表示されたメッセージを消すためのリセットボタンが押下された場合に、降車表示部504へのメッセージを非表示とするとともに、キャンセル情報を充電装置8に送信する。
【0040】
これにより、予約情報404を送信した後、停留所に路線バス500が停車しなかった場合に、乗務員が図示しないキャンセルボタンを押下しなくても、事前準備処理をキャンセルすることができる。なお、予約情報404を送信した後、停留所に路線バス500が停車しなかった場合に、図示しないキャンセルボタンの押下に応じてキャンセル情報を充電装置8に送信するか、若しくは降車表示部504へのメッセージを非表示とする処理に連動して、キャンセル情報を充電装置8に送信するかを切替可能としても良い。
【0041】
(第4の実施形態)
本実施形態は、停留所で路線バスの到着を待つ客が検知された場合に、事前準備処理を実行する例である。以下の説明では、第2の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0042】
図6は、第4の実施形態にかかる充電システムが有する充電装置の一例を示す図である。
図6に示すように、本実施形態では、充電装置600は、第2の実施形態にかかる充電装置8の構成に加えて、カメラ601および検知部602を有する。カメラ601は、赤外線カメラ等により構成され、充電装置600が設けられた停留所で路線バス400を待つ客Pを撮像可能に設けられた撮像部の一例である。検知部602は、カメラ601の撮像により得られた画像を用いて、停留所で路線バス400を待つ客Pを検知する。また、検知部602は、停留所で路線バス400を待つ客Pを検知した場合、カメラ601の撮像により得られた画像を用いて、停留所で路線バス400を待つ客Pの人数を検知する。
【0043】
本実施形態では、充電器側制御部801は、検知部602によって停留所で路線バス400を待つ客Pが検知された場合に、事前準備処理を実行する。また、充電器側制御部801は、検知部602による客の検知結果を、充電装置側通信部11を介して、路線バス400に送信し、当該検知結果が路線バス400の図示しない表示部に表示させても良い。これにより、路線バス400の乗務員に対して、停留所で待つ客Pの有無を認識させることができる。
【0044】
また、充電器側制御部801は、検知部602によって検知された人数が、所定数以下である場合、事前準備処理を実行しない。一方、充電器側制御部801は、検知部602によって検知された人数が所定数を超えた場合、事前準備処理を実行する。これにより、停留所で路線バス400を待つ客Pが多く、路線バス400が停留所に停車する時間が長くなる場合にのみ、事前準備処理を実行するので、路線バス400に乗車する乗客の人数による停車時間の変動に応じて、事前準備処理を実行することができる。
【0045】
このように第4の実施形態にかかる充電システムによれば、停留所で路線バス400を待つ客Pが検知された場合に、事前準備処理が実行され、路線バス400の乗務員が充電予約操作ボタン402を操作する必要が無くなるので、乗務員の操作負担を軽減することができる。また、乗務員による充電予約操作ボタン402の操作ミスや充電予約操作ボタン402の操作し忘れ等を防止することができる。また、停留所で降車する乗客がおらず、当該停留所を通過する場合に、無駄な事前準備処理が実行されることを防止できる。
【0046】
第2,3の実施形態では、充電装置8の充電器側制御部801は、路線バス1,400から、予約情報404を受信すると、直ちに、事前準備処理を実行しているが、これに限定するものではなく、複数の路線バス400の到着予想時刻から事前準備処理に要する時間遡った時刻から事前準備処理を実行するように構成しても良い。これにより、路線バス400が停留所に到着する直前に事前準備処理を完了させることができるので、路線バス400が停留所に停車していない間に、充電装置8において不要な動作が行われることを防止できる。
【0047】
具体的には、路線バス400には、現在時刻を計時する計時部と、路線バス400が停車する停留所間の距離を示す距離情報を記憶する記憶部と、路線バス400の位置を取得する取得部(例えば、GPS(Global Positioning System)受信機等)と、を有している。路線バス400の充電制御部107は、通信制御部109を介して、充電装置600から、当該充電装置600が設置された停留所を識別可能とする停留所識別情報を受信する。次に、充電制御部107は、最後に路線バス400が停車した停留所と受信した停留所識別情報により識別される停留所間の距離情報を、記憶部から読み出す。次いで、充電制御部107は、読み出した距離情報と、取得部により取得した位置と、計時部により計時された現在時刻とに基づいて、路線バス400が次の停留所に到着する時刻である到着予想時刻を求める。そして、充電制御部107は、求めた到着予想時刻を含む予約情報404を、通信制御部109を介して、充電装置600に送信する。
【0048】
充電装置600の充電装置側通信部801は、充電装置600が設置された停留所の停留所識別情報を路線バス400に送信する。また、充電装置側通信部801は、路線バス400から予約情報404を受信する。充電器側制御部801は、充電装置側通信部11によって予約情報404を受信すると、受信した予約情報404が示す到着予想時刻から、事前準備処理の実行に要する時間遡った時刻に、事前準備処理の実行を開始する開始時刻として特定する。そして、充電器側制御部801は、特定した開始時刻から、事前準備処理を実行する。
【0049】
充電器側制御部801は、充電器通信部11によって複数の路線バス400から予約情報404を受信した場合、複数の路線バス400から受信した予約情報404が含む到着予想時刻のうち最も早い到着予想時刻から、事前準備処理の実行に要する時間遡った時刻を、開始時刻として特定する。そして、充電器側制御部114は、特定した開始時刻から、事前準備処理を実行する。これにより、予約情報404を受信した順番と路線バス400が到着する順番が異なる場合に、最も早く停留所に到着する路線バス400の到着予想時刻に合わせて事前準備処理を実行することができる。
【0050】
(第5の実施形態)
本実施形態は、停留所で路線バスを待つ客が充電装置に予め登録した行先と、当該停留所に停車する路線バスの行先とが一致した場合に、事前準備処理を実行する例である。以下の説明では、上述の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0051】
本実施形態では、充電装置8の充電装置側通信部11は、SNS(Social Network Service)等を利用して、携帯電話機やスマートフォン等の外部端末から、路線バス400を利用する客の行先を示す行先情報を受信する。充電装置側通信部11は、外部端末から、行先情報とともに、当該外部端末の位置を示す端末位置情報を受信しても良い。次いで、充電器側制御部801は、受信した行先情報が示す行先を、充電装置8が設置された停留所で路線バス400を待つ客の行先として設定する。
【0052】
そして、充電器側制御部801は、受信した行先情報が示す行先と、充電装置側通信部11によって受信した予約情報404の送信元の路線バス400の行先とが一致した場合に、受信した予約情報404に従って、事前準備処理を実行する。一方、充電器側制御部801は、受信した行先情報が示す行先と、充電装置側通信部11によって受信した予約情報404の送信元の路線バス400の行先とが一致しなかった場合、事前準備処理を実行しない。これにより、停留所で路線バス400を待つ客の行先と、当該路線バス400の路線バスの行先とが異なる場合には、事前準備処理が実行されないので、路線バス400の到着に先立って行われた事前準備処理が無駄になることを防止することができる。
【0053】
また、充電器側制御部801は、行先情報とともに受信した端末位置情報が示す位置が、充電装置8が設置された停留所の位置と一致しなかった場合には、行先の設定を行わない。これにより、充電装置8において事前準備処理が実行されたにも関わらず、停留所に到着した路線バス400に客が乗車しないことを回避することができる。
【0054】
また、充電器側制御部801は、停留所で路線バス400を待つ客が行先を入力するための行先入力ボタンが、停留所の案内板等に設けられている場合、行先入力ボタンを用いて入力された行先を、充電装置8が設置された停留所で路線バス400を待つ客の行先として設定しても良い。さらに、充電器側制御部801は、行先を設定した客の人数と、検知部602により検知された人数とが一致しなかった場合には、行先の設定を行わなくても良い。
【0055】
このように、第5の実施形態にかかる充電システムによれば、停留所で路線バス400を待つ客の行先と、当該路線バス400の路線バスの行先とが異なる場合には、事前準備処理が実行されないので、路線バス400の到着に先立って行われた事前準備処理が無駄になることを防止することができる。
【0056】
また、充電器側制御部801は、行先が設定された客に対して、ルート案内情報の提供、ポイントの付与、路線バス400の運賃の割引等のインセンティブを付与しても良い。
【0057】
(第6の実施形態)
本実施形態は、充電装置が、当該充電装置が設置された停留所の1つ前以上の停留所に設置された他の充電装置から、当該他の充電装置が路線バスから受信した予約情報を取得し、取得した予約情報を用いて、事前準備処理を実行する例である。以下の説明では、上述の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0058】
図7は、第6の実施形態にかかる充電システムの概略構成の一例を示す図である。
図7に示すように、本実施形態では、充電装置700の充電装置側通信部701は、停留所に停止した路線バス400との通信に加えて、当該充電装置700が設置された停留所よりも1つ以上前の停留所に設置された他の充電装置600と無線または有線によって通信する。具体的には、充電装置側通信部701は、他の充電装置600から、当該他の充電装置600が路線バス400から受信した予約情報404を受信する。そして、充電装置700の充電装置側制御部801は、他の充電装置600から受信した予約情報404に従って、事前準備処理を実行する。
【0059】
このように第6の実施形態にかかる充電システムによれば、電波事情やトンネル等の道路事情等によって充電装置700が路線バス400と通信を確立することができない場合であっても、予約情報404を取得することができるので、当該取得した予約情報404に従って、事前準備処理を実行することができる。
【0060】
(第7の実施形態)
本実施形態は、路線バスが、当該路線バスが有する蓄電池の残量が所定量を下回った場合に、乗務員に対して路線バスの停車を促す情報を表示しかつ充電装置に対して予約情報を送信する例である。以下の説明では、上述の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0061】
本実施形態では、路線バス400の充電制御部107は、電池情報監視線111を介して、蓄電池4の電池電圧を検知する。次いで、充電制御部107は、検知した電池電圧に基づいて、蓄電池4の残量を検知する。ここで、充電制御部107は、検知した蓄電池4の残量が、所定量を下回っているか否かを判断する。ここで、所定量は、予め設定された蓄電池4の残量であり、例えば、蓄電池4の使用が許容される残量の下限、停留所間の走行に要する蓄電量等である。
【0062】
そして、充電制御部107は、蓄電池4の残量が所定値を下回っている場合、降車表示部504に対して、乗務員に対して停留所への停車を促す情報を表示する。さらに、充電制御部107は、充電の開始を指示する充電指示信号が入力されたか否かに関わらず、通信制御部109を介して、予約情報404を充電装置8に対して送信する。
【0063】
このように、第7の実施形態にかかる充電システムによれば、蓄電池4の残量が少なくなった場合に、路線バス400に乗客がいなくても、予約情報404が送信されて事前準備処理が実行されるので、蓄電池4に対して充電を行う際の乗務員の負担が軽減することができる。また、蓄電池4に対する充電の開始または停止させる際の乗務員の操作ミスや蓄電池4に対する充電をし忘れることを防止することができる。
【0064】
また、充電制御部107は、次の停留所への到着予想時刻が、路線バス400の運行ダイヤ等によって設定された通過時刻よりも早い場合に、乗務員に対して路線バス400の停車を促す情報を表示しかつ充電装置8に対して予約情報404を送信することも可能である。これにより、路線バス400が停留所を通過する時刻に余裕がある場合に、路線バス400に乗客がいなくても、予約情報404が送信されて事前準備処理が実行されるので、蓄電池4に対して充電を行う際の乗務員の負担が軽減することができる。また、蓄電池4に対する充電の開始または停止させる際の乗務員の操作ミスや蓄電池4に対する充電をし忘れることを防止することができる。
【0065】
具体的には、路線バス400は、現在時刻を計時する計時部と、路線バス400の運行ダイヤ、路線バス400の走行位置(または路線バス400が最後に停車した停留所を識別可能とする停留所識別情報)および停留所間の距離を示す距離情報を記憶する記憶部と、を有する。
【0066】
そして、充電制御部107は、計時部により計時された現在時刻と、記憶部に記憶された路線バス400の走行位置(または停留所識別情報)および距離情報とを用いて、路線バス400が次の停留所に到着する到着予想時刻を求める。そして、充電制御部107は、求めた到着予想時刻が、記憶部に記憶された運行ダイヤによって設定された次の停留所の通過時刻よりも早い場合に、図示しない表示部に対して、乗務員に対して停留所への停車を促す情報を表示する。さらに、充電制御部107は、充電の開始を指示する充電指示信号が入力されたか否かに関わらず、通信制御部109を介して、予約情報404を充電装置8に対して送信する。
【0067】
以上説明したとおり、第1から第7の実施形態によれば、乗務員が停留所において蓄電池4に対する充電の開始または停止させるための操作を行う必要が無くなるので、乗務員の操作負担を軽減することができる。
【0068】
なお、本実施形態の路線バス1,400,500および充電装置8,600,700で実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の路線バス1,400,500および充電装置8,600,700で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0069】
さらに、本実施形態の路線バス1,400,500および充電装置8,600,700で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の路線バス1,400,500および充電装置8,600,700で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0070】
本実施形態の路線バス1,400,500および充電装置8,600,700で実行されるプログラムは、上述した各部(充電制御部107、通信制御部109、充電予約部403、充電器側制御部801、検知部602)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、充電制御部107、通信制御部109、充電予約部403、充電器側制御部801、検知部602が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。