(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなコントラストを有するパターンは、光の反射をコントロールすることにより、光を反射する周囲とのコントラストが呈されている。しかしながら、特許文献1では、突起に異方性があるため、見る角度を変えた場合に、パターン部分が均一に見えないことがある。パターンに形成される凹凸について、光の反射をコントロールして視認性を向上させるため、さらなる工夫が求められる。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、タイヤの外面のパターン領域において、見る角度を変えた場合に、パターン部分の見え方の均一性を高めて視認性を向上させた、タイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係るタイヤは、タイヤの外面に形成され、ベース部を有するパターン領域と、前記パターン領域内に形成され、前記ベース部から0.1mm以上、1.0mm以下の突出高さとされ、平面視で、第1方向に延びると共に該第1方向と直交する第2方向に振幅を有し、前記第2方向に複数配列され、配列ピッチが0.1mm以上1.0mm以下である波状突起と、を備え
、前記波状突起の側壁面と前記ベース部に対する仮想の垂直面とがなす角度は、5°以上30°以下である。
【0007】
本発明のタイヤの外面には、ベース部を有するパターン領域が形成されている。ここで、タイヤの外面とは、タイヤサイド部、トレッド部、トレッドの溝底、溝壁など、タイヤの外側から視認可能な表面をいう。また、本発明のタイヤは、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤの両方を含む。
【0008】
パターン領域内には、波状突起が複数配列されている。当該波状突起は、ベース部から0.1mm以上、1.0mm以下の突出高さとされ、平面視で第1方向に延びると共に該第1方向と直交する第2方向に振幅を有している。そして、配列ピッチは、0.1mm以上1.0mm以下とされている。
【0009】
このような波状突起をベース部に複数配列することにより、パターン領域に入射した光は、反射が抑えられ、パターン領域外とのコントラストを出すことができる。また、波状突起は、平面視で第2方向に振幅を有しているので、振幅を有さないものと比較して、光の反射方向を異ならせることができ、反射光の集中が抑制される。これにより、見る角度を変えた場合の、パターン領域の見え方の均一性を高めて、タイヤ外面の視認性を向上させることができる。
【0010】
請求項2に係るタイヤは、前記波状突起が、平面視で正弦波形状である。
【0011】
このように、波状突起を平面視で正弦波形状とすることにより、波状突起は連続した曲線となる。したがって、反射光の方向を分散させることができ、見る角度を変えた場合のパターン領域の見え方の均一性をより高めて、タイヤ外面の視認性を向上させることができる。
【0012】
請求項3に係るタイヤは、隣り合う前記波状突起の波長が、同一である。
【0013】
このように、隣り合う波状突起の波長を同一にすることにより、波状突起同士の間隔を狭くして、波状突起の配置を密にすることができる。これにより、パターン領域に入射した光の反射をより抑制し、パターン領域外とのコントラストを出して視認性を向上させることができる。
【0014】
請求項4に係るタイヤは、隣り合う前記波状突起の振幅及び位相が、同一である。
【0015】
このように、隣り合う波状突起の波長だけでなく、振幅及び位相も同一にすることにより、波状突起の間隔を狭くして、より波状突起の配置を密にすることができる。これにより、パターン領域に入射した光の反射をより抑制し、パターン領域外とのコントラストを出して視認性を向上させることができる。
【0016】
請求項5に係るタイヤは、隣り合う前記波状突起は、位相が異なる。
【0017】
このように、隣り合う波状突起の位相が異なることにより、隣り合う波状突起の隣接する部分での光の反射方向を異ならせることができ、反射光の集中が抑制される。これにより、見る角度を変えた場合の、パターン領域の見え方の均一性を高めて、タイヤ外面の視認性を向上させることができる。
【0018】
請求項6に係るタイヤは、前記波状突起は、前記第2方向の断面で見て、両側の側壁面間の距離が頂部側から前記ベース部へ向けて長くなる。
【0019】
このように、波状突起の側壁面を構成することにより、頂部側での波状突起の間隔を広げ、広い範囲で光を波状突起間に入射させることができる。そして、波状突起間に入射した光は、傾斜した側壁面で反射されるので、反射光が延出部の間から外側へ戻ることを抑制することができる。また、波状突起が安定して倒れ込みが抑制され、耐久性を向上させることができる。
請求項7に係るタイヤは、前記波状突起のタイヤ径方向と直交する方向の断面が、二等辺三角形状である。
請求項8に係るタイヤは、前記波状突起の前記突出高さは、前記二等辺三角形の底辺長さの0.8倍以上、6倍以下である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、タイヤの外面のパターン領域において、見る角度を変えた場合のパターン部分の見え方の均一性を高めて視認性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1には、本実施形態に係るタイヤ10の側面図が示されている。本実施形態では、タイヤ周方向をC、タイヤ径方向をRで示す。
【0023】
タイヤ10のタイヤサイド部12には、標章部14が形成されている。標章部14は、帯状の円弧状とされ、タイヤ中心軸CE(
図1参照)を挟んで対称位置の2カ所に形成されている。標章部14には、パターン領域20と、文字領域16が配置されている。文字領域16は、平滑面で表示された例えば「ABCDEFGH」の文字で表示されている。
図1の紙面上側の標章部14Aでは、パターン領域20は、標章部14Aの文字領域16以外の部分で、一種の装飾帯であり、文字領域16を囲むように形成されている。一方、
図1の紙面下側の標章部14Bでは、パターン領域20は、標章部14Bの文字領域16と同一領域であり、標章部14Bの文字領域16以外の部分は、タイヤサイド部12の標章部14以外の外面と同様とされている。本実施形態では、標章部14Aについて説明する。なお、パターン領域20を含む標章部14は、レーザー加工によってタイヤのモールド内に対応する凹凸を設けることによって、形成することができる。また、パターン領域20は、タイヤ最大幅部(タイヤサイド部間の直線距離の最大部分)よりもタイヤ径方向Rの外側に配置されることが好ましい。
【0024】
図2に示されるように、パターン領域20は、ベース部22を有している。ベース部22は、パターン領域20内での底面を形成するものであり、このベース部22から波状突起24が突出形成されている。
【0025】
波状突起24は、パターン領域20の平面視において、第1方向としてのタイヤ径方向Rに延出されると共に、第2方向としてのタイヤ周方向Cに振幅を有する正弦波形状とされている。波状突起24は、同一形状の波状突起24(同一振幅、同一波長のもの)が、同位相でタイヤ周方向Cに間隔をあけて複数配列されている。以下、波状突起24の振幅を振幅y、波長を波長λとする。なお、波状突起24の振幅yは、平面視において、振幅方向(タイヤ周方向C)の中心(図中一点鎖線で表示)から、振幅最大部分における波状突起24の幅の中心部分までの長さとする。
【0026】
波長λは振幅yに対して1倍〜20倍であることが好ましい。波長λが振幅yに対して20倍を超える場合には、波状突起24に入射した光の反射方向の変化が少なくなり、見る角度を変えた場合のパターン部分の見え方の均一性の向上が小さくなる。波長λが振幅yに対して1倍未満の場合には、曲率半径が小さくなり、製造時に波状突起24の欠けが生じやすくなる。したがって、波長λは振幅yに対して1倍〜20倍の範囲内とすることが好ましい。なお、波長λは振幅yに対して2倍〜10倍であることが、より好ましい。
【0027】
各々の波状突起24は、パターン領域20のタイヤ径方向Rの一端から他端に架けて延出されている。平面視において、波状突起24のタイヤ周方向Cの一方側(紙面上側)に凸となる部分を第1凸部25A、タイヤ周方向Cの他方側(紙面下側)に凸となる部分を第2凸部25Bと称する。隣り合う波状突起24同士は、平面視において、タイヤ周方向Cにおいてオーバーラップしないように配置されている。
【0028】
波状突起24は、パターン領域20のタイヤ周方向Cの一端から他端に架けて複数配置されている。したがって、パターン領域20の全体に亘って波状突起24が形成されている。波状突起24のタイヤ周方向Cにおける配列ピッチPは、0.1mm以上1.0mmとされている。配列ピッチPは、隣り合う波状突起24の振幅方向中心同士の距離とする。配列ピッチPが0.1mm未満の場合、波状突起24同士の間隔が短くなり、製造時における成形性の確保が難しい。一方、配列ピッチPが1.0mmを超えると、波状突起24が密に配置されておらず、ベース部22での反射光により、パターン領域20の視認性の向上が少なくなる。したがって、配列ピッチPは、0.1mm以上、1.0mm以下としている。なお、配列ピッチPは、0.2mm以上、0.8mm以下の範囲内に設定することがより好ましく、0.3mm以上、0.6mm以下であることが、さらに好ましい。配列ピッチPは、振幅λの2倍よりも長く設定されている。
【0029】
図3(A)に示されるように、波状突起24のタイヤ径方向Rと直交する方向の断面は、平坦な頂部を有する略二等辺三角形状とされている。ベース部22から、波状突起24の突出先端部分(以下「頂部26」という)までの高さ(以下「突出高さH」という)は、0.1mm以上、1.0mm以下とされている。なお、突出高さHは、0.2mm以上、0.8mm以下の範囲内に設定することがより好ましく、0.3mm以上、0.6mm以下であることが、さらに好ましい。
【0030】
なお、隣り合う波状突起24の間のベース部22は、
図3(A)に示されるように、平坦状とされていてもよいし、
図3(B)に示されるように、曲面状とされていてもよい。ベース部22を曲面状にすることにより、入射光の反射が抑制され、パターン領域20外とのコントラストが大きくなり、視認性が向上する。
【0031】
波状突起24の前記二等辺三角形の斜辺を構成する側壁面28は、波状突起24の延出方向と直交する方向の断面で見て、両側の側壁面28間の距離Sが、頂部26側からベース部22へ向けて長くなっている。側壁面28は、ベース部22に対する仮想の垂直面Fに対して、角度θをなしている。角度θは、5°〜30°の範囲内とされていることが好ましく、10°〜20°の範囲内であることがより好ましい。角度θが角度30°よりも大きいと、側壁面28での反射光が、隣り合う波状突起24同士の間から外側へ戻る割合が多くなり、視認性の向上が少なくなる。すなわち、光が反射して、パターン領域20外とのコントラストの差異が小さくなり、視認性の向上が少なくなる。一方、角度θが5°よりも小さいと、波状突起24が倒れやすくなる。したがって、波状突起24の間に入射した光の反射光が波状突起24の間から外側へ戻ることを抑制する効果と、波状突起24の耐久性を考慮し、角度θは、5°〜30°であることが好ましい。
【0032】
また、波状突起24において、突出高さHは、前記二等辺三角形の底辺長さB(ベース部22における側壁面28の基部24B間の距離)の0.8倍〜6倍で有ることが好ましい。突出高さHが底辺長さBの0.8倍よりも小さいと、側壁面28での反射光が波状突起24の間から外側へ戻る割合が多くなり、視認性の向上が少なくなる。すなわち、光が反射して、パターン領域20外とのコントラストの差異が小さくなり、視認性の向上が少なくなる。一方、突出高さHが底辺長さBの6倍よりも大きいと、側壁面28がベース部22に対して垂直に近い角度になるため、波状突起24が倒れやすくなる。したがって、波状突起24同士の間に入射した光の反射光が波状突起24同士の間から外側へ戻ることを抑制する効果と、波状突起24の耐久性を考慮し、突出高さHが底辺長さBの0.8倍〜6倍である、ことが好ましい。
【0033】
次に、本実施形態に係るタイヤの作用効果について説明する。
【0034】
上記のような、タイヤサイド部12のパターン領域20では、パターン領域20に入射する光は、波状突起24の側壁面28に当たり、隣り合う波状突起24の側壁面28の間で反射を繰り返しながら減衰する。これにより、パターン領域20の外側へ反射される光が少なくなり、
図4に示すように、パターン領域20が黒く見え、他の領域(文字領域16や他のタイヤサイド部12)が相対的に白く見える。したがって、パターン領域20と他の領域とのコントラストを出すことができる。本実施形態のように、パターン領域20と、パターン領域20に囲まれた文字領域16とのコントラストが大きくなることにより、文字領域16が明瞭に見え、視認性を向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態の波状突起24は、タイヤ周方向Cに振幅を有しているので、振幅を有さない直線状の突起と比較して、光の反射方向を異ならせることができ、反射光の集中が抑制される。これにより、見る角度を変えた場合の、パターン領域の見え方の均一性を高めて、タイヤ外面の視認性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態の波状突起24は、平面視で正弦波形状とされているので、連続した曲線となる。これにより、光の反射方向を分散させることができ、見る角度を変えた場合のパターン領域の見え方の均一性をより高めて、タイヤ外面の視認性を向上させることができる。
また、各々の波状突起24は、パターン領域20のタイヤ径方向Rの一端から他端に架けて延出されているので、金型を用いてタイヤ10を製造する際に、加硫時にエアを波状突起24の端部からパターン領域20外へ逃がすことができる。これにより、パターン領域20内のエア溜まりによるベア発生を抑制することができ、成形性が向上する。
【0037】
また、本実施形態では、波状突起24の延出方向(タイヤ径方向R)と直交する方向の断面が、略二等辺三角形状とされており、側壁面28が延出方向と直交する断面で見て、両側の側壁面間の距離Sが頂部26側からベース部22へ向けて長くなっている。したがって、隣り合う波状突起24の頂部26同士の間隔がベース部22側の間隔よりも広くなり、広い範囲で光を波状突起24間に入射させることができる。そして、波状突起24間に入射した光は、隣り合う側壁面28間で反射が繰り返されるので、反射光が波状突起24の間から外側へ戻ることを抑制することができる。
【0038】
また、波状突起24の延出方向と直交する方向の断面を上記のようにすることで、製造時に型抜きしやすくなり、成形性を向上させることができる。その結果、波状突起24の倒れ込みが少なくなり、耐久性を向上させることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、隣り合う波状突起24の波長、振幅、及び位相を同一としたが、波長、振幅、及び位相の異なる波状突起24を配列してもよい。本実施形態では、隣り合う波状突起24の波長、振幅、及び位相が同一なので、配列ピッチPを短くして、波状突起24をパターン領域20内に密に配置することができる。これにより、パターン領域20に入射した光の反射をより抑制し、パターン領域20外とのコントラストを出して視認性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態では、波状突起24の各々の延出方向と直交する方向の断面を略二等辺三角形状としたが、他の形状、例えば、
図5(A)に示すように、頂部26の近傍を曲面状として、頂部26Rとしてもよい。曲面状の頂部26Rとすることにより、頂部26Rでの光の反射方向を分散させることができ、見る角度を変えた場合の、パターン領域20の見え方の均一性を高めて、タイヤ外面の視認性を向上させることができる。
【0041】
また、波状突起24は、
図5(B)に示すように、前述の断面を、頂部26Dを有する半楕円形状としてもよい。このような断面形状にすることにより、側壁面28Dが湾曲形状となり、反射光を分散させて視認性を向上させることができる。
【0042】
また、波状突起24は、
図5(C)に示すように、尖った頂部26Tを有する二等辺三角形状にすることもできる。尖った二等辺三角形にすることにより、平坦形状の頂部がなくなるので、反射を抑制することができ、視認性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、隣り合う波状突起24を、互いの第1凸部25Aと第2凸部25Bとがタイヤ周方向Cにオーバーラップしないように配置したが、
図6に示すように、第1凸部25Aと第2凸部25Bとがタイヤ周方向Cにオーバーラップするように配置してもよい。この場合には、平面視において、タイヤ周方向Cの一方側に配置された波状突起24の第2凸部25Bとタイヤ周方向Cの他方側に配置された波状突起24の第2凸部25Aとがタイヤ周方向Cにおいて一部オーバーラップするように配置してもよい。このように、隣り合う波状突起24の一部をオーバーラップさせて配置することにより、波状突起24同士の間隔を狭くして、パターン領域20内に波状突起24を密に配置することができる。これにより、パターン領域20に入射した光の反射をより抑制し、パターン領域20外とのコントラストを出して視認性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、波状突起24を正弦波状としたが、矩形波状、三角波状、のこぎり波状などの、他の振幅を有する形状としてもよいし、
図7に示すような台形波状にしてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、波状突起24の延出方向をタイヤ径方向Rとしたが、タイヤ周方向Cを波状突起24の延出方向としてもよいし、その他の方向、例えば、タイヤ径方向Rに対して傾斜した方向を波状突起24の延出方向としてもよい。本実施形態では、波状突起24の延出方向をタイヤ径方向Rとしたので、波状突起24により、タイヤ周方向Cへのクラックの伝搬を抑制することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施形態では、1本の波状突起24の構成は第1実施形態と同一であり、隣り合う波状突起24との配置関係が第1実施形態と異なっている。
【0048】
図8に示すように、本実施形態では、タイヤ周方向Cで隣り合う波状突起24同士は、位相が半波長(λ/2)ずれて配置されている。隣り合う波状突起24の間には、平面視において、第2凸部25Bと第1凸部25Aとが互いに近づく向きに凸となる幅狭部29Aと、第2凸部25Bと第1凸部25Aとが互いに離れる向きに凸となる幅広部29Bとが交互に形成されている。波状突起24のタイヤ周方向Cにおける配列ピッチPは、0.2mm以上1.0mm以下とされている。なお、同位相の波状突起24の配列ピッチP2は、0.2mm以上、2.0mm以下であることが好ましい。配列ピッチP2が0.2mm未満の場合、波状突起24同士の間隔が短くなり、製造時における成形性の確保が難しい。一方、配列ピッチP2が2.0mmを超えると、波状突起24が密に配置されておらず、ベース部22での反射光により、パターン領域20の視認性の向上が少なくなる。したがって、配列ピッチP2は、0.2mm以上、2.0mm以下であることが好ましい。
【0049】
本実施形態のパターン領域20では、隣り合う波状突起24同士の位相が半波長ずれて配置されているので、隣り合う波状突起24同士の隣接する部分での光の反射方向を異ならせることができ、反射光の集中が抑制される。これにより、見る角度を変えた場合の、パターン領域の見え方の均一性を高めて、タイヤ外面の視認性を向上させることができる。
【0050】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、第1〜第2実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0051】
本実施形態のタイヤ10は、パターン領域20がトレッド30に形成されている点が、第1〜第2実施形態と異なり、パターン領域20の構成については第1〜第2実施形態と同様である。
【0052】
図9に示されるように、タイヤ10は、タイヤ径方向の外側にトレッド30を備えている。トレッド30には、複数の周方向溝32が形成されている。1本の周方向溝32の溝底32Aには、文字領域16とパターン領域20を備えた標章部14が形成されている。パターン領域20は、第1〜第4実施形態と構成が同様のものを形成することができる。
【0053】
本実施形態では、トレッド30の溝底32Aに形成された標章部14の文字領域16とパターン領域20のコントラストを大きくすることができ、トレッド30の視認性を向上させることができる。
【0054】
なお、第1〜第3実施形態のタイヤ10は、空気入りタイヤであってもよいし、非空気入りタイヤであってもよい。
【0055】
<試験例>
本発明の効果を立証するために、本発明を適用した実施例1〜7のタイヤと、比較例1〜比較例4のタイヤを準備し、以下の試験を実施した。
【0056】
(試験条件)
供試タイヤとしては、いずれもサイズが205/55R16でタイヤ断面高さSHが114mmのタイヤを用いた。
【0057】
実施例1〜7、比較例1〜4のタイヤは、本発明の第1実施形態に係るタイヤと同様の構造のタイヤであり、標章部14Aのパターン領域20に形成された波状突起24の、配列ピッチP、突出高さH、角度θ、がそれぞれ、
図10の表1に示すように異なっている。
【0058】
試験では、パターン領域を各方向から見たときの視認性について評価した。まず、それぞれの供試タイヤを適用リムに組み付け、その後、20人の看者が観察して、通常のタイヤよりもパターン領域が黒く見えるかのアンケート調査を行った。その結果を「視認性」として表1に示す。なお、表1では、パターン領域が通常のタイヤよりも黒く見えたと回答した看者の数が18人以上の場合をA、10〜17人の場合をB、9人以下の場合をCとして評価した。なお表1には、パターン部が黒く見えたと回答した看者の人数も併記した。
【0059】
表1に示されるように、本発明を適用した実施例1〜7のタイヤは、比較例1〜4のタイヤと比べて、視認性が向上していることが分かる。