特許第6441206号(P6441206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441206
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】折り立て収納式舞台
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/24 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   E04H3/24
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-245126(P2015-245126)
(22)【出願日】2015年12月16日
(65)【公開番号】特開2017-110395(P2017-110395A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2017年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】503030506
【氏名又は名称】ニチブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大喜
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−163036(JP,A)
【文献】 実開平06−056492(JP,U)
【文献】 実開平06−004268(JP,U)
【文献】 実開平04−129271(JP,U)
【文献】 米国特許第04026221(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 3/12,3/22−3/30
B66F 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に対向配置した少なくとも一方に車輪を設けた束柱の夫々に前後一対の舞台板の基端を俯仰自在に枢着すると共に、舞台板を屈伸可能に連結することにより、舞台板を水平に伸展させることで舞台に変形させ、伸展状態の舞台板をその連結部で屈曲して二つ折りの舞台板を裏合せに折り立て変形させる様にした折り立て収納式舞台であって、束柱において舞台板の基端枢軸より下方には、舞台板の折り立て状態で無負荷状態の圧縮コイルバネを外嵌すると共に、該圧縮コイルバネの一端を当止め支持するバネ受けを基端側に設けたバネ支持杆の基端を舞台板の俯仰方向に揺動自在に枢着し、無負荷状態の前記圧縮コイルバネの他端に当接してバネ支持杆の先端側を遊嵌するバネ押えを舞台板の適所に固定し、一方の舞台板には、自動又は手動操作される送りねじ機構部を設置し、該送りねじ機構部には、送りねじ棒の回転により該送りねじ棒の軸線に沿って前記一方の舞台板の前後方向に往復可能な移動体を設け、該移動体と前記一方の舞台板を枢着した束柱側の適所との間に移動体の移動に応じて起伏するリンクを枢着連結したことを特徴とする折り立て収納式舞台。
【請求項2】
圧縮コイルバネは、バネ定数の異なる2本以上の圧縮コイルバネを直列に連接して成ることを特徴とする請求項1記載の折り立て収納式舞台。
【請求項3】
壁に凹設された格納庫の奥方床面上に前方束柱を直立固定し、該前方束柱と同一高にして、前後動可能に車輪を設けた後方束柱を前方束柱に対し左右方向で平行に配置し、前方束柱の上部には水平状態と直立状態に俯仰可能な前方大引の基端を枢着し、後方束柱の上部には水平状態と直立状態に俯仰可能な前方大引より長い後方大引の基端を枢着し、前方大引の先端と、該先端に相当する後方大引の先端寄り部位とを相互に左右平行状態で屈伸可能に連結し、後方大引にはその長さに相当する奥行きを有する後方床板を設け、前方大引には、後方大引との水平伸展状態で後方床板の前端に該後方床板と同一平面上に連続する前方床板を設け、前方大引と後方大引とを二つ折りに屈曲させて前方床板と後方床板を裏合せに折り立て変形させた状態で格納庫内に収容可能と成したことを特徴とする請求項1又は2記載の折り立て収納式舞台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り立て収納できる舞台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から体育館や各種ホール等で設置される舞台としては、不使用時に場所の有効利用を図るため折り立て変形して収納できるものが見受けられる。
この折り立て収納式舞台は、舞台板を二分した中央連結部における昇降脚材及び両端の設置脚材によって舞台板の水平状態を支持し、昇降脚材を上昇させて舞台板を折り立てる構成であり、舞台板が重いことからこれの折り立て変形に相当な力を要して扱い難いものであった。
このため、特許文献1に開示される折り立て収納式舞台では、該舞台の束柱において、舞台板の基端枢軸より下方には、舞台板の折り立て状態で無負荷状態の圧縮コイルバネを外嵌すると共に、該圧縮コイルバネの一端を当止め支持するバネ受けを基端側に設けたバネ支持杆の基端を舞台板の俯仰方向に揺動自在に枢着し、無負荷状態の前記圧縮コイルバネの他端に当接してバネ支持杆の先端側を遊嵌するバネ押えを舞台板の適所に固定する様に構成している。
かかる構成により、舞台板の折り立て変形時には、舞台板の進展時に圧縮状態にある圧縮コイルバネを舞台板の折り立て方向へ付勢させられ、かかる圧縮コイルバネの付勢力によって重い舞台板の折り立て方向に持ち上げようとする力を助勢し、軽い力で舞台を円滑に折り立て変形させられ、一方舞台板を進展させる場合には、圧縮コイルバネの付勢力に抗してこれを徐々に圧縮させるため、舞台板が急激に進展して舞台設置面に衝撃を生じさせることなく、安全に舞台に変形させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5593343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の折り立て収納式舞台は、圧縮コイルバネにより舞台の折り立て変形や舞台への進展変形が然程の力を要せず容易に行えて便利であるが、各変形時に舞台に対する力の掛け方が引いたり押したりと異なるため、その操作性に関し更なる改良が望まれた。
そこで、本発明では、圧縮コイルバネを制御することにより、より一層舞台の変形操作を良好に行える様にした折り立て収納式舞台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明の折り立て収納式舞台は、前後に対向配置した少なくとも一方に車輪を設けた束柱の夫々に前後一対の舞台板の基端を俯仰自在に枢着すると共に、舞台板を屈伸可能に連結することにより、舞台板を水平に伸展させることで舞台に変形させ、伸展状態の舞台板をその連結部で屈曲して二つ折りの舞台板を裏合せに折り立て変形させる様にしたものであって、束柱において舞台板の基端枢軸より下方には、舞台板の折り立て状態で無負荷状態の圧縮コイルバネを外嵌すると共に、該圧縮コイルバネの一端を当止め支持するバネ受けを基端側に設けたバネ支持杆の基端を舞台板の俯仰方向に揺動自在に枢着し、無負荷状態の前記圧縮コイルバネの他端に当接してバネ支持杆の先端側を遊嵌するバネ押えを舞台板の適所に固定し、一方の舞台板には、自動又は手動操作される送りねじ機構部を設置し、該送りねじ機構部には、送りねじ棒の回転により該送りねじ棒の軸線に沿って前記一方の舞台板の前後方向に往復可能な移動体を設け、該移動体と前記一方の舞台板を枢着した束柱側の適所との間に移動体の移動に応じて起伏するリンクを枢着連結したことを特徴とする。
又、圧縮コイルバネは、バネ定数の異なる2本以上の圧縮コイルバネを直列に連接して成ることを特徴とする。
更に、壁に凹設された格納庫の奥方床面上に前方束柱を直立固定し、該前方束柱と同一高にして、前後動可能に車輪を設けた後方束柱を前方束柱に対し左右方向で平行に配置し、前方束柱の上部には水平状態と直立状態に俯仰可能な前方大引の基端を枢着し、後方束柱の上部には水平状態と直立状態に俯仰可能な前方大引より長い後方大引の基端を枢着し、前方大引の先端と、該先端に相当する後方大引の先端寄り部位とを相互に左右平行状態で屈伸可能に連結し、後方大引にはその長さに相当する奥行きを有する後方床板を設け、前方大引には、後方大引との水平伸展状態で後方床板の前端に該後方床板と同一平面上に連続する前方床板を設け、前方大引と後方大引とを二つ折りに屈曲させて前方床板と後方床板を裏合せに折り立て変形させた状態で格納庫内に収容可能と成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、折り立て収納式舞台の束柱において、舞台板の基端枢軸より下方には、舞台板の折り立て状態で無負荷状態の圧縮コイルバネを外嵌すると共に、該圧縮コイルバネの一端を当止め支持するバネ受けを基端側に設けたバネ支持杆の基端を舞台板の俯仰方向に揺動自在に枢着し、無負荷状態の前記圧縮コイルバネの他端に当接してバネ支持杆の先端側を遊嵌するバネ押えを舞台板の適所に固定したので、舞台板とバネ支持杆は俯仰(揺動)方向が同じであるが、夫々の回転中心を異にし、バネ支持杆はその先端側が舞台板に固定されたバネ押えを進退自在に挿通して舞台板の俯仰に追従するため、折り立て状態の舞台板を傾倒させると、バネ押えに対するバネ支持杆の先端側の貫通突出長が徐々に長くなり、従ってバネ押えとバネ受け間の間隔が狭まって舞台板の折り立て状態で無負荷状態で自由高さの圧縮コイルバネは徐々に圧縮され、舞台板は進展状態となって舞台が構成される。
これにより、舞台板の折り立て変形時には、上記進展時に圧縮状態にある圧縮コイルバネを舞台板の折り立て方向へ付勢させられ、かかる圧縮コイルバネの付勢力によって重い舞台板の折り立て方向に持ち上げようとする力を助勢し、軽い力で舞台を円滑に折り立て変形させることができる。
又、舞台板を進展させる場合には、圧縮コイルバネの付勢力に抗してこれを徐々に圧縮させるため、舞台板が急激に進展して舞台設置面に衝撃を生じさせることなく、安全に舞台に変形させられ、軽い力で舞台を円滑に折り立て変形させることができる。
そして、一方の舞台板に設置した送りねじ機構部の自動又は手動操作によって、送りねじ棒を単に回転させることにより、該送りねじ棒の軸線に沿って一方の舞台板の前後方向に沿って往復動する移動体の位置に応じ、該移動体と一方の舞台板を枢着した束柱側の適所との間を枢着連結したリンクが起伏するため、一方の舞台板を俯仰させられ、該舞台板に連結した他方の舞台板も同様に俯仰させられ、舞台の折り立て変形や舞台への進展変形をより一層簡単容易に操作できる。
しかも、圧縮コイルバネにより送りねじ機構部の自動又は手動操作時に生じる負荷を軽減できるから、特に自動操作の場合に用いる駆動源は出力の低い小型化を使用でき、このため舞台への設置が容易でそのコストも安価にできる。
又、送りねじ棒の回転により、舞台板の俯仰を上記の様に操作できるから、その俯仰操作中に圧縮コイルバネの付勢力にて舞台板が勝手に俯仰することもなく、圧縮コイルバネの伸縮を制御できるため、上記のいずれの変形においても、その途中で変形を制止でき、変形中に生じた何らかの不具合にも対処でき、舞台の折り立て変形や舞台への進展変形を常に安定的に良好に行え安全である。
【0007】
圧縮コイルバネは、バネ定数の異なる2本以上の圧縮コイルバネを直列に連接して成るので、折り立て状態の舞台板を傾倒させた場合、各圧縮コイルバネに同様の負荷が作用し、その負荷が小さい傾倒当初は圧縮コイルバネの各バネ定数は小さく、1本だけのときよりも縮みの割合が大きくなるため、同じ負荷しか作用させなくてもしなやかに舞台板を傾倒させられる。
そして、舞台板の勾配が緩やかになり負荷が極めて大きくなり、バネ定数の小さい圧縮コイルバネが縮まなくなると、全体のバネ定数はバネ定数の大きい圧縮コイルバネと同じになって大きくなり、その縮みの割合が小さくなる。
この様に、負荷の大きさに応じてバネ定数を変化させられ、傾倒当初は比較的スムーズに傾倒させられ、その勾配が水平に近づくと、揺動が緩やかとなり、舞台板を良好に傾倒操作できる。
又、伸展状態の舞台板を折り立てる場合、圧縮された各圧縮コイルバネは、上記と逆の手順で伸びるので、折り立て当初は、バネ定数の大きい圧縮コイルバネのみによる大きい付勢力で伸びの小さいゆっくりな動作で舞台板の傾斜を助勢でき、その勾配が増すと、各圧縮コイルバネが伸びるため、比較的スムーズに舞台板を直立させられ、舞台板を良好に折り立て操作できる。
【0008】
壁に凹設された格納庫の奥方床面上に前方束柱を直立固定し、該前方束柱と同一高にして、前後動可能に車輪を設けた後方束柱を前方束柱に対し左右方向で平行に配置し、前方束柱の上部には水平状態と直立状態に俯仰可能な前方大引の基端を枢着し、後方束柱の上部には水平状態と直立状態に俯仰可能な前方大引より長い後方大引の基端を枢着し、前方大引の先端と、該先端に相当する後方大引の先端寄り部位とを相互に左右平行状態で屈伸可能に連結し、後方大引にはその長さに相当する奥行きを有する後方床板を設け、前方大引には、後方大引との水平伸展状態で後方床板の前端に該後方床板と同一平面上に連続する前方床板を設け、前方大引と後方大引とを二つ折りに屈曲させて前方床板と後方床板を裏合せに折り立て変形させた状態で格納庫内に収容可能と成したので、二つ折りに折り立て変形させた後方床板の奥行き(高さ)を前方床板よりも長く設定でき、かかる折り立て収納状態で格納庫の開口部を閉塞する後方床板の最も高い前端(上端)に対応する様に、格納庫の天井を高くすることができるため、従来の様に舞台上で演技するときなどに演技者の頭部等が格納庫の開口部上端の壁に激突したりするなどの危険を回避できる。
又、前方及び後方床板の水平伸展状態では、前方大引と後方大引との連結部と前方及び後方床板の継ぎ目が位置ずれしていること、並びに前方大引と後方大引とは左右方向で食い違いに配置され、これらが舞台変形状態における後方床板の前端側を受承していることから、舞台の強度を向上できる等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】折り立て収納式舞台の側面図である。
図2】舞台板を省略した一部破断平面図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4図2のB−B断面図である。
図5図2のC−C断面図である。
図6図3のD−D断面図である。
図7図4のE−E断面図である。
図8図5のF−F断面図である。
図9】開閉器の動作説明図である。
図10】リンクの動作説明図である。
図11】変形中の舞台の側面図である。
図12】折り立て収納状態を示す舞台の側面図である。
図13】送りねじ機構部の拡大平面図である。
図14図13のG矢視図である。
図15図13のH−H断面図である。
図16図13の中央縦断面図である。
図17】動力部の中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
本発明に係る折り立て収納式舞台1は、舞台設置室Rの壁Wに凹設された格納庫Sに折り立て収納可能に設けられるものにして、前後に対向配置した少なくとも一方に車輪3bを設けた束柱2、3の夫々に前後一対の舞台板4、5の基端を俯仰自在に枢着すると共に、舞台板4、5の先端同士を屈伸可能に連結することにより、舞台板4、5を水平に伸展させることで舞台に変形させ、伸展状態の舞台板4、5をその連結部6で屈曲して二つ折りの舞台板4、5を裏合せに折り立て変形させる様に構成されている。
【0011】
束柱2(以下、前方束柱2とも称する。)は、格納庫Sの奥方床面f上にアンカーボルトにて直立固定され、該前方束柱2と同一高にして、前後動可能な車輪3bを設けた束柱3(以下、後方束柱3とも称する。)を前方束柱2に対し前後動自在に配置している。
【0012】
図2に示す様に、前方及び後方束柱2、3は、横手(左右)方向に所定間隔を置いて6本を起立配置し、前後で対応する束柱2、3は左右方向で平行に(食い違い)配置し、図3、5にも示す様に、隣接する前方束柱2同士及び後方束柱3同士は、その上中下段が縛貫7、7a、7bで連結され、該縛貫7、7a、7bは前方及び後方束柱2、3に一体と成している。
【0013】
又、束柱2、3の中間にして、後方束柱3の真正面には中間束柱8を6本起立配置しており、隣接する中間束柱8同士は、その上下段が縛貫9、9aで連結されている(図2、4参照)。
そして、前方束柱2の下段縛貫7bと中間束柱8の下段縛貫9a、及び後方束柱3の下段縛貫7bと中間束柱8の下段縛貫9aとは、所定間隔置きに夫々が4本の連接杆10にて枢着連結されている。
【0014】
舞台板4、5は、横長矩形状の床板11、12(図2では説明の便宜上二点鎖線で示す。)と、該床板11、12裏面の前後方向に所定間隔置きに複数平行配置した根太13(図2では説明の便宜上一部を残して省略)と、該根太13に直交して横手方向に所定間隔置きに6本平行配置した大引14、15とからなる。
【0015】
床板12(以下、後方床板12とも称する。)は、床板11(以下、前方床板11とも称する。)より奥行き(前後方向長さ)が後述する様に長く設定されているが、各床板11、12ともに横幅が同長に設定されている。
【0016】
根太13は、床板11、12と大引14、15の間に介装固定され、床板11下部の根太13の全長は左右側端の束柱2の間隔と同一長に設定され、床板12下部の根太13の全長は左右側端の束柱3の間隔と同一長に設定されている。
【0017】
大引14、15はこれが水平状態から垂直状態へと、又はその逆に回動する様に各基端を束柱2、3の上部に俯仰自在に枢着されており、前方束柱2に枢着した前方の大引14(以下、前方大引14とも称する。)よりも後方束柱3に枢着した後方の大引15(以下、後方大引15とも称する。)を長く設定している。
【0018】
これにより、前方及び後方大引14、15の水平状態では、前方及び後方束柱2、3の内向面2a、3aの上部に対し直角に突出し、垂直状態で前方及び後方束柱2、3の上端面上に直立する様に成している(図2、3、5、6、8参照)。
そして、前方大引14の先端と、該先端に相当する後方大引15の先端寄り部位とを相互に左右平行状態で屈伸可能に連結している。
【0019】
後方大引15の上記先端寄り部位は、中間束柱8の上端上部左右より一対の舌片を後方突設したブラケット8a先端に枢着され、該ブラケット8aの左右舌片間に直角に挿通・離脱する様に回動可能と成しており、中間束柱8は後方大引15の水平状態で束柱2、3の中間となる後方大引15の先端寄り部位より下方へ直角に突出して着地し、後方大引15の直立状態で後方大引15と並列する様にブラケット8aを介して後方大引15に連結されている。
【0020】
又、隣接する中間束柱8同士は、その上段のブラケット8aが縛貫9で、下段が縛貫9aで夫々に連結されている(図2、4参照)。
そして、前方束柱2の下段縛貫7bと中間束柱8の下段縛貫9a、及び後方束柱3の下段縛貫7bと中間束柱8の下段縛貫9aとは、所定間隔置きに夫々が4本の連接杆10にて枢着連結されている。
前方大引14はその先端が中間束柱8間の上段縛貫9における前方束柱2との対向面に水平突設したブラケット16に枢着連結されている(図2、4、7参照)。
【0021】
ここにブラケット16、中間束柱8上端(ブラケット8a)と、これらを一体連結してなる縛貫9とが前方及び後方大引14、15を屈伸させる舞台板4、5の連結部6となる。
【0022】
そして、後方大引15にはその長さに相当する奥行きを有する後方床板12を根太13を介して設けることにより舞台板5(以下、後方舞台板5とも称する。)を構成し、前方大引14には、その基端から後方大引15との水平伸展状態で後方床板12の前端に該後方床板12と 同一平面上に連続する奥行きを有する前方床板11を根太13を介して設けることにより舞台板4(以下、前方舞台板4とも称する。)を構成している。
【0023】
かかる構成により、前方大引14と後方大引15とをその連結部6で二つ折りに屈曲させて前方舞台板4と後方舞台板5を裏合せに折り立て変形させた状態で、最上端となる後方舞台板5の前端に対応して格納庫Sの天井高さが設定され、後方舞台板5が格納庫Sの開口部上端の壁面Wと同一垂直面上に位置して前記開口部を閉塞する様に、格納庫S内に収容可能と成している(図12参照)。
【0024】
各束柱2、3における舞台板4、5(大引14、15)の基端枢軸より下方には、舞台板4、5の折り立て状態で無負荷状態の圧縮コイルバネ17を外嵌すると共に、該圧縮コイルバネ17の一端を当止め支持するバネ受け18を基端側に設けたバネ支持杆19の基端を舞台板4、5の俯仰方向に揺動自在に枢着し、無負荷状態の圧縮コイルバネ17の他端に当接してバネ支持杆19の先端側を遊嵌するバネ押え20を舞台板4、5の適所(図示例では大引14、15裏面)に固定して成る開閉器21を設けている。
【0025】
圧縮コイルバネ17は、内外径は同径だが、バネ定数の異なる2本以上(図示例では2本)の圧縮コイルバネ17a、17bを直列に連接して成り、図示例では、バネ支持杆19の先端側に配した圧縮コイルバネ17aが基端側に配した圧縮コイルバネ17bより短く、バネ定数を圧縮コイルバネ17bの2倍に設定しているが、各圧縮コイルバネ17a、17bの長さ及びバネ定数は適宜に設定される。
尚、開閉器21は、束柱2と大引14、及び束柱3と大引15に同一のものが取付けられており、図9には代表して束柱3と大引15に取付けたものを表しており、図9に示す圧縮コイルバネ17a、17bは一見して区別できる様に夫々の断面を2種のハッチングで表している。
【0026】
バネ支持杆19は、無負荷状態の圧縮コイルバネ17a、17bの直列長さよりも長い螺子棒から成り、その基端を束柱2、3において、大引14、15の基端枢軸より下方の内向面2a、3aに水平突設したブラケット22に枢着している。
又、バネ支持杆19の基端には2個のナット23、23aを螺着すると共に、バネ支持杆19の先端側のナット23には、バネ支持杆19を挿通し、且つ外径が圧縮コイルバネ17bの内径より大きい円板状のバネ受け18を当接している。
【0027】
尚、バネ支持杆19上のナット23、23aの移動にてバネ受け18とバネ押え20との間隔を調整でき、これにより圧縮コイルバネ17a、17bの付勢力を調整可能と成している。
そして、バネ支持杆19には最長の圧縮コイルバネ17bよりも長く、圧縮コイルバネ17a、17bの最小に圧縮した時の直列長さよりも短く、内径がバネ支持杆19より大径で、圧縮コイルバネ17a、17bの内径よりも小径なスリーブ24をバネ支持杆19に挿通し、圧縮コイルバネ17a、17bの伸縮時に各コイル部がバネ支持杆19のネジ山に引っ掛からない様にしている。
【0028】
バネ押え20は大引14、15裏面に束柱2、3の内向面2a、3aに対向する様に垂設した圧縮コイルバネ17a、17bの外径より大きい方形板であり、該方形板の中心にはバネ支持杆19より大径なバネ支持杆19の挿通孔20aを貫設している。
【0029】
次に、舞台板4、5を俯仰操作する俯仰装置25について説明する。
この俯仰装置25は、後方舞台板5において左右側から2本目と3本目の後方大引15間の中央に設置した左右一対の送りねじ機構部26と、該送りねじ機構部26を自動又は手動操作(図示例では手動操作)する様に、後方舞台板5の中央2本の後方大引15間に設置した動力部27とから構成される(図2参照)。
【0030】
送りねじ機構部26は、所定高さを有すると共に、前後に長い略方形枠状のフレーム28を設け、該フレーム28の左右側壁29の外側面中央に前後にわたって水平突設した連結板30と、上記2本目と3本目の後方大引15より水平突設した支持基板31との各先端を上下に接合固定することにより、その左右側壁29を後方大引15と平行になる様にフレーム28を配置している。
【0031】
フレーム28において、左右側壁29の前端と後端寄り部位の間には方形板状の前後壁32、32aを介装し、該前後壁32、32a間の中心には送りねじ棒33を縦貫配置しており、該送りねじ棒33は、その前後端の夫々が前後壁32、32aを貫通してその外側面に設けた軸受34、34aに回転自在に支持されると共に、前後壁32、32a間における送りねじ棒33には、この送りねじ棒33の回転により該送りねじ棒33の軸線に沿って後方舞台板5の前後方向に往復可能な移動体35を設けている。
尚、後壁32aに設けた軸受34aを貫通突出する送りねじ棒33の後端には傘歯車36を軸着し、該傘歯車36に噛合する傘歯車36aは動力部27より延出して左右側壁29後方を軸受Vを以て回転自在に貫通して成る伝動軸27aに軸着されている。
【0032】
移動体35は、送りねじ棒33に螺着した送りナット37を下部中央に挿嵌固定した角形ブロックから成り、その上部には、左右方向に支軸38を挿通し、該支軸38において移動体35左右から突出する端部を左右側壁29の前後方向にわたって穿設した長穴29aに摺動自在に装着している。
【0033】
そして、移動体35と後方舞台板5を枢着した後方束柱3側の適所との間に移動体35の移動に応じて起伏する左右一対のリンク39を枢着連結している。
尚、図13〜16に示すリンク39は倒伏状態を示している。
各リンク39は、前端が上方へ所定角度屈曲形成されると共に、移動体35と左右側壁29の間に有する間隙に露出する支軸38に枢着され、後端は図5に示す様に上記2本目と3本目の後方大引15間に配置した中段縛貫7aと下段縛貫7bの中間部左右にリンク39同士の間隔を以て垂直に掛け渡した左右一対の補助杆7cの適宜高さ位置より所定長さ水平に突設した突片40の先端に枢着されている。
又、突片40の先端間には、リンク39の後端を枢着する支軸41が架設され、突片40の後方間には方形板状の補強板40aが架設されている。
【0034】
尚、前後壁32、32aの内向面の下端左右には所定長さの止めねじ42、42aが突設され、該止めねじ42、42aの先端に移動体35下部の前後面が当て止めされる様に成し(図16参照)、前方止めねじ42に移動体35の前面が当て止めされた状態でリンク39は倒伏し、後方止めねじ42aに移動体35の後面が当て止めされた状態でリンク39は起立する様に設定している。
【0035】
動力部27は、後方舞台板5の中央2本の後方大引15間の中央にして、且つ後方2本の根太13(図2にその一部を示す。)間に固定したギヤボックス43を装備している。
【0036】
ギヤボックス43は、底抜けの方形箱状に形成され、その左右側壁44に水平突設した突片45を上記根太13間に所定間隔を以て架設して成る左右一対の水平杆46に接合固定している。
【0037】
ギヤボックス43には、その左右側壁44を伝動軸27aが軸受Vを以て回転自在に貫通し、該伝動軸27aは上述の如く送りねじ機構部26におけるフレーム28の左右側壁29を貫通し、その左右端が、左右側から2本目の後方大引15を軸受Vを以て回転自在に貫通支持されている(図2、13参照)。
【0038】
又、ギヤボックス43の上面には、その内部で伝動軸27aに軸着された傘歯車47aに噛合して成る傘歯車47を軸着した回転軸48を軸受Vを介して上方突出して成り、該回転軸48の上端は、後方床板12に穿設した受け口49内に挿入配置されている。
【0039】
そして、受け口49内に配置される回転軸48の上端には、着脱式の回転握り50a付きクランクハンドル50の連結端部50b、又ハンディータイプの電動ハンドル(図示せず)の連結端部を着脱自在と成し、回転軸48に連結したクランクハンドル50又は電動ハンドルによって伝動軸27aを正逆回転自在にして送りねじ機構部26を手動又は自動操作する様に成している。
当然ながら、舞台の変形操作時以外は、クランクハンドル50及び上記電動ハンドルは回転軸48より離脱され、受け口49は図示しない蓋体にて閉塞される。
【0040】
尚、ギヤボックス43内の伝動軸27aには、歯車列等の適宜伝動機構(図示せず)を介して電動モータ(図示せず)を連繋する様に固定し、該電動モータの作動により伝動軸27aを正逆回転自在にして送りねじ機構部26を自動操作する様に成しても良い。
【0041】
動力部27の回転軸48にハンディタイプの電動ハンドルを連結したり、或いは動力部27の伝動軸27aに電動モータを連繋した自動操作の場合、圧縮コイルバネ17a、17bによる後述の作用により、電動モータや電動ハンドルは出力の低い小型のものが使用でき、このため舞台固定タイプの電動モータではその設置スペースを縮小でき、舞台への設置が容易でそのコストも安価にできる。
【0042】
上記の様に構成された折り立て収納式舞台1にあっては、前方大引14と後方大引15とをその連結部6で二つ折りに屈曲させて前方舞台板4と後方舞台板5を裏合せに折り立て変形させた状態で、後方舞台板5が格納庫Sの開口部上端の壁面Wと同一垂直面上に位置して、その開口部を閉塞する様に、格納庫S内に収容される。
【0043】
よって、二つ折りに折り立て変形させた後方舞台板5の奥行き(高さ)を前方舞台板4よりも長く設定することにより、折り立て収納状態で格納庫Sの開口部を閉塞する後方舞台板5の最も高い前端(上端)に対応する様に、格納庫Sの天井を所望の高さに設定でき、舞台板4、5の伸展により構成される舞台1上から格納庫Sの天井までを所望の高さに引き上げることができる。
【0044】
そして、前方及び後方舞台板4、5の水平伸展状態では、前方大引14と後方大引15との連結部6と前方及び後方舞台板4、5の継ぎ目が位置ずれしていること、並びに前方大引14と後方大引15とは左右方向で食い違いに配置され、これらが舞台変形状態における後方舞台板13の前端側を受承していることから、舞台1の強度を向上できる。
【0045】
又、折り立て収納式舞台1の変形操作にあっては、クランクハンドル50の連結端部50bを後方舞台板5上面に露出する受け口49内に配する回転軸48に連結し、回転握り50aをもってクランクハンドル50を回転操作することにより、動力部27の回転軸48を回転させ、これに軸着した傘歯車47に噛合する傘歯車47aと共に伝動軸27aを回転させる。
【0046】
これにより、伝動軸27aに軸着した傘歯車36aに噛合する傘歯車36を送りねじ棒33と共に回転させ、移動体35(送りナット37)を送りねじ棒33に沿って前後方向に移動させ、移動体35と共に長穴29aの前後方向に摺動する支軸38の位置に応じ、図10に示す様にリンク39を起伏させる。
このリンク39の起伏に応じ後方舞台板5を俯仰させられ、これに連結して成る前方舞台板4も同様に俯仰させられる。
【0047】
かかる俯仰において、前方及び後方舞台板4、5とバネ支持杆19は俯仰(揺動)方向が同じであるが、夫々の回転中心を異にし、バネ支持杆19はその先端側が舞台板4、5の大引14、15の夫々に固定されたバネ押え20の挿通孔20aを通じて進退可能なため舞台板4、5の俯仰に追従する。
【0048】
このため、図12に示す折り立て状態の舞台板4、5を傾倒させると、バネ押え20に対するバネ支持杆19の先端側の貫通突出長が徐々に長くなり、従ってバネ押え20とバネ受け18間の間隔が狭まって舞台板4、5の折り立て状態で無負荷状態で自由高さの圧縮コイルバネ17は徐々に圧縮されることで負荷が付与され、舞台板4、5は進展状態となって舞台が構成される。
【0049】
又、舞台板4、5の傾倒中では、圧縮コイルバネ17a、17bのどちらにも同様の負荷が作用し、その負荷が小さい傾倒当初は圧縮コイルバネ17a、17bの2本のバネ定数は小さく、1本だけのときよりも縮みの割合が大きくなるため、同じ負荷しか作用させなくてもしなやかに舞台板4、5を傾倒させられる(図9、11参照)。
そして、舞台板4、5の勾配が緩やかになり負荷が極めて大きくなり、バネ定数の小さい圧縮コイルバネ17bが縮まなくなると、全体のバネ定数はバネ定数の大きい圧縮コイルバネ17aと同じになり大きくなり、その縮みの割合が小さくなる。
【0050】
この様に、負荷の大きさに応じてバネ定数を変化させられ、傾倒当初は比較的スムーズに傾倒させられ、その勾配が水平に近づくと、圧縮コイルバネ17の付勢力に抗してこれを徐々に圧縮させられること、並びに送りねじ棒33の回転で起伏するリンク39にて舞台板4、5の俯仰を操作できることから、舞台板4、5が急激に進展して床面fに衝撃を生じさせることなく、揺動が緩やかとなり、舞台板4、5を良好に傾倒操作でき、安全に舞台に変形させられる。
【0051】
そして、伸展状態の舞台板4、5の折り立て変形時には、圧縮状態にある圧縮コイルバネ17を舞台板4、5の折り立て方向へ付勢させられ、かかる圧縮コイルバネ17の付勢力によって重い舞台板4、5の折り立て方向に持ち上げようとする力を助勢し、リンク39を起伏操作するクランクハンドル50を軽い力で回転させられ、舞台を円滑に折り立て変形させられる。
【0052】
この時、圧縮された圧縮コイルバネ17a、17bは、上記と逆の手順で伸びるので、折り立て当初は、バネ定数の大きい圧縮コイルバネ17aのみによる大きい付勢力で伸びの小さいゆっくりな動作で舞台板4、5の傾斜を助勢でき、その勾配が増すと、圧縮コイルバネ17a、17bが伸びるため、比較的スムーズに舞台板4、5を直立させられ、舞台板4、5を良好に折り立て操作できる。
【0053】
この様に、クランクハンドル50を単に回転させることにより、舞台の折り立て変形や舞台への進展変形をより一層簡単容易に行うことができ、しかも舞台板4、5を俯仰させるリンク39の起伏を送りねじ棒33を回転操作することで、圧縮コイルバネ17a、17bの伸縮をも制御できるため、上記のいずれの変形においても、クランクハンドル50の回転を止めるだけで人手もいらず、その途中で変形を制止でき、変形中に生じた何らかの不具合にも対処でき、舞台の折り立て変形や舞台への進展変形を常に安定的に良好に行え安全である。
【符号の説明】
【0054】
2 (前方)束柱
3 (後方)束柱
3b 車輪
4 (前方)舞台板
5 (後方)舞台板
6 連結部
11 前方床板
12 後方床板
14 前方大引
15 後方大引
17 圧縮コイルバネ
17a 圧縮コイルバネ
17b 圧縮コイルバネ
18 バネ受け
19 バネ支持杆
20 バネ押え
26 送りねじ機構部
33 送りねじ棒
35 移動体
39 リンク
f 床面
S 格納庫
W 壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17