(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反応器本体の温度を、前記気体が凝縮しない予め定める温度範囲に調整する重合反応器用温度調整部を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の吸水性樹脂の製造装置。
前記第1流路部用温度調整部によって調整される前記第1流路部の温度範囲、および、前記重合反応器用温度調整部によって調整される前記反応器本体の温度範囲は、30[℃]以上150[℃]以下であることを特徴とする請求項2に記載の吸水性樹脂の製造装置。
前記第1流路部用温度調整部によって調整される前記第1流路部の温度範囲、および、前記重合反応器用温度調整部によって調整される前記反応器本体の温度範囲は、前記反応器本体内の前記気相部分の気体の温度をT[℃]とした場合、(T−20)[℃]以上、T[℃]以下であることを特徴とする請求項2に記載の吸水性樹脂の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面を参考にして本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂の製造装置500の構成を示す図である。吸水性樹脂は、水溶性エチレン性不飽和単量体を重合反応させて製造することができる。水溶性エチレン性不飽和単量体の重合方法は特に限定されず、代表的な重合方法である水溶液重合法、乳化重合法、逆相懸濁重合法などが用いられる。
【0023】
水溶液重合法では、たとえば、水溶性エチレン性不飽和単量体の水溶液、内部架橋剤および水溶性ラジカル重合開始剤を、必要に応じて撹拌しながら、加熱することにより重合が行われる。この水溶液重合法では、水が液媒体として扱われ、水溶性エチレン性不飽和単量体を水溶液状態にして重合反応が行われる。
【0024】
また、逆相懸濁重合法では、たとえば、水溶性エチレン性不飽和単量体の水溶液、界面活性剤、疎水性高分子系分散剤、水溶性ラジカル重合開始剤および内部架橋剤を石油系炭化水素分散媒中、撹拌下で加熱することにより重合が行われる。この逆相懸濁重合法では、水と石油系炭化水素分散媒とが液媒体として扱われ、水溶性エチレン性不飽和単量体の水溶液を、石油系炭化水素分散媒中に添加することで重合反応が行われる。
【0025】
本実施形態においては、精密な重合反応制御と広範な粒子径の制御が可能な観点から、逆相懸濁重合法が好ましい。以下では、本発明の実施形態の一例として、逆相懸濁重合法によって吸水性樹脂を製造する製造装置500について説明する。
【0026】
吸水性樹脂の製造装置500は、冷却器として機能する熱交換構造体100と、重合反応器200と、濃縮器300と、乾燥機400とを含んで構成される。
【0027】
重合反応器200は、水溶性エチレン性不飽和単量体を液媒体中で重合反応させて吸水性樹脂を生成するものであり、容器状に形成される反応器本体200Aを有する。この反応器本体200Aには、水溶性エチレン性不飽和単量体と液媒体とが、上部に気相部分を残して(上部に気相部分が形成されるように)収容され、この反応器本体200A内で重合反応が行われる。そして、反応器本体200Aには、気体導出部として機能する気体導出開口部206Aと、冷却流体流入開口部206Bとが上部に設けられ、重合反応液導出開口部204が底部に設けられている。
【0028】
詳細については後述するが、重合反応器200において、反応器本体200A内での重合反応に伴う重合熱によって熱せられた、気相部分に存在する気体は、気体導出開口部206Aを介して反応器本体200Aから導出されて第1配管202内を流れ、その第1配管202を介して熱交換構造体100に流入して冷却される。その熱交換構造体100での冷却によって得られた冷却流体は、第2配管203内を流れて、冷却流体流入開口部206Bを介して反応器本体200A内に流入する。これによって、反応器本体200A内の重合熱を除去することができる。また、反応器本体200A内における重合反応によって得られた重合反応液R1は、重合反応液導出開口部204を介して反応器本体200Aから導出される。
【0029】
重合反応器200を構成する材料としては、銅、チタン合金、およびSUS304、SUS316、SUS316Lなどのステンレス鋼などを挙げることができるが、生成される吸水性樹脂の付着が抑制されるという観点から、内壁面にフッ素樹脂加工などの表面加工が施されていることが好ましい。
【0030】
吸水性樹脂の原料に用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸〔「(メタ)アクリル」とは「アクリル」および「メタクリル」を意味する。以下同じ〕、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸などの酸基を有する単量体およびそれらの塩;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのノニオン性不飽和単量体;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有不飽和単量体およびそれらの四級化物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
なお、酸基を有する単量体を中和して塩とする場合に用いられるアルカリ性化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの化合物が挙げられる。より詳しくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0032】
水溶性エチレン性不飽和単量体の中で、好ましいものとしては工業的に入手が容易である観点から、(メタ)アクリル酸およびその塩が挙げられる。
【0033】
なお、酸基を有する単量体を中和する場合、その中和度は、水溶性エチレン性不飽和単量体の酸基の30〜90モル%であることが好ましい。中和度が30モル%以上であることにより、酸基がイオン化されやすく、吸水能が低くなることを抑制することができる。中和度が90モル%以下であることにより、衛生材料として使用される場合、安全性などに問題が生じることを抑制することができる。
【0034】
本実施形態において、水溶性エチレン性不飽和単量体は、水溶液として使用される。水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の単量体濃度は、20質量%〜飽和濃度であることが好ましい。
【0035】
水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液には、必要に応じて、連鎖移動剤、増粘剤などが含まれていてもよい。連鎖移動剤としては、たとえば、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、次亜リン酸、亜リン酸などの化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
【0036】
石油系炭化水素分散媒としては、たとえば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、n−オクタンなどの炭素数6〜8の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans−1,2−ジメチルシクロペンタン、cis−1,3−ジメチルシクロペンタン、trans−1,3−ジメチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、工業的に入手が容易であることと、安全性の観点から、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、n−オクタンなどの炭素数6〜8の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、およびメチルシクロヘキサンなどの炭素数6〜8の脂環族炭化水素がより好適に用いられる。これらの石油系炭化水素分散媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
さらに、これらの石油系炭化水素分散媒の中でも、逆相懸濁の状態が良好で、好適な粒子径が得られやすく、工業的に入手が容易かつ品質が安定している観点から、n−ヘプタン、シクロヘキサンが好適に用いられる。また、上記炭化水素の混合物の例として、市販されているエクソールヘプタン(エクソンモービル社製:n−ヘプタンおよび異性体の炭化水素75〜85%含有)などを用いても好適な結果が得られる。
【0038】
石油系炭化水素分散媒の使用量は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を均一に分散し、重合温度の制御を容易にする観点から、通常、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して、50〜600質量部が好ましく、50〜400質量部がより好ましく、50〜200質量部がさらに好ましい。
【0039】
逆相懸濁重合においては、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を石油系炭化水素分散媒に分散させて、より安定した重合粒子を得るために、界面活性剤や要すれば疎水性高分子系分散剤を用いる。重合を異常なく安定的に完了させるという観点から、界面活性剤や疎水性高分子系分散剤は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を重合させる前に存在させて、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を石油系炭化水素分散媒中に充分に分散させ、その液滴を安定化させた後に重合を行うことができれば、それぞれ添加する時期は特に限定はされない。既存の技術を鑑みると一部例外はあるが、界面活性剤や疎水性高分子系分散剤は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加する前に、予め石油系炭化水素分散媒に溶解または分散させておくことが一般的である。
【0040】
重合時の分散安定性を保つために用いる界面活性剤としては、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、N−アルキルグルコンアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、およびポリオキシエチレンアルキルアミンなどのノニオン系界面活性剤、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸およびその塩などのアニオン系界面活性剤が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
これらの界面活性剤の中でも、単量体水溶液の分散安定性の観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0042】
使用される界面活性剤の添加量は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜3質量部がより好ましい。界面活性剤の添加量が0.01質量部以上であることにより、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の分散安定性が低くなることを抑制することができ、5質量部以下であることにより、経済的に有利となる。
【0043】
重合時の分散安定性をより高めるために、疎水性高分子系分散剤を界面活性剤と併用してもよい。疎水性高分子系分散剤は、使用する石油系炭化水素分散媒に対し、溶解または分散するものを、選択して使用することが好ましく、たとえば、粘度平均分子量として20000以下、好ましくは10000以下、さらに好ましくは5000以下のものが挙げられる。具体的には、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、無水マレイン化ポリブタジエン、無水マレイン化EPDM(エチレン/プロピレン/ジエン三元共重合体)などが挙げられる。
【0044】
これらの中では無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレンおよび酸化型エチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0045】
疎水性高分子系分散剤の添加量は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して0〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましく、0.05〜2質量部がさらに好ましい。疎水性高分子系分散剤の添加量が5質量部以下であることにより、経済的に有利である。
【0046】
水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、重合反応器200内に予め充填された石油系炭化水素分散媒に添加して分散させる際、撹拌部201によって分散させるが、この撹拌部201による撹拌条件については、所望の分散液滴径により異なるので、一概に決定することはできない。分散液滴径は、撹拌部201の撹拌翼の種類、翼径、回転数などにより調節することができる。撹拌翼としては、たとえば、プロペラ翼、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、リボン翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック株式会社製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業株式会社製)、スーパーミックス(サタケ化学機械工業株式会社製)などを使用することが可能である。
【0047】
重合反応器200の反応器本体200A内では、石油系炭化水素分散媒に所定の添加速度で添加された水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、界面活性剤存在下、石油系炭化水素分散媒中で、撹拌部201により充分撹拌して分散させ、液滴を安定化させる。そして、反応器本体200A内を充分に窒素置換した後、必要により内部架橋剤の存在下にて、水溶性ラジカル重合開始剤により逆相懸濁重合を行い、含水ゲル状架橋重合体の懸濁液を得る。
【0048】
本実施形態で使用される水溶性ラジカル重合開始剤としては、たとえば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素などの過酸化物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンジアミン]四水塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]などのアゾ化合物などが挙げられる。
【0049】
これらの中では、入手が容易で取り扱いやすいという観点から、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムおよび2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩が好ましい。
【0050】
なお、水溶性ラジカル重合開始剤は、亜硫酸塩、アスコルビン酸などの還元剤と併用してレドックス重合開始剤として用いてもよい。
【0051】
水溶性ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部あたり、0.01〜1質量部である。0.01質量部以上であることにより、重合率が低くなることを抑制することができ、1質量部以下であることにより、急激な重合反応が起こることを抑制することができる。
【0052】
水溶性ラジカル重合開始剤の添加時期は特に制限されないが、予め水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加しておくことが好ましい。
【0053】
必要に応じて使用される内部架橋剤としては、たとえば、(ポリ)エチレングリコール〔「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合を意味する。以下同じ〕、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのポリオール類、ポリオール類とアクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸とを反応させて得られる二個以上のビニル基を有するポリ不飽和エステル類、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどのビスアクリルアミド類、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテルなどの二個以上のグリシジル基を含有するポリグリシジル化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
内部架橋剤の添加量は、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0〜3質量部が好ましく、0〜1質量部がより好ましく、0.001〜0.1質量部がさらに好ましい。添加量が3質量部以下であることにより、架橋が過度になることが抑制され、吸水性能が低くなりすぎることを抑制することができる。内部架橋剤は、予め水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加しておくのが好ましい。
【0055】
重合反応器200の反応器本体200A内における逆相懸濁重合の際の反応温度は、使用する重合開始剤の種類や量によって異なるので一概には決定することができないが、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜90℃である。反応温度が30℃以上であることにより、重合率が低くなることを抑制することができ、また、反応温度が100℃以下であることにより、急激な重合反応が起こることを抑制することができる。
【0056】
このようにして得られた、含水ゲル状架橋重合体R2を含有する重合反応液R1(含水ゲル状架橋重合体R2の懸濁液)を1段目の重合とし、以降、幾度か水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加して重合を繰り返す「多段重合」を行ってもよい。特に衛生材用途での使用においては、得られる吸水性樹脂粒子の大きさと生産効率の観点から、2段重合を行うことが好ましい。
【0057】
1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体の重合で得られる粒子の大きさは、多段重合において、適度な凝集粒径を得る観点から、中位粒子径20〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましく、40〜100μmがさらに好ましい。なお、1段目の重合粒子の中位粒子径は、前記1段目の重合が終了した後、脱水、乾燥することで測定できる。
【0058】
2段重合を行う場合、後述の方法に従うことで、1段目の重合にて得られた粒子を凝集し、衛生材料用途に適した比較的平均粒径の大きな吸水性樹脂を得ることができる。
【0059】
このとき、2段目重合に用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液が、独立した液滴を形成しないよう界面活性剤の作用を低下させる必要がある。たとえば、1段目の重合終了後に冷却し、界面活性剤が少なくとも一部析出する温度で2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加することにより、前記凝集した粒子を得ることができる。
【0060】
なお、2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の添加により、凝集粒子が得られる方法であれば、前記方法に限定されるものでない。
【0061】
また、上記のように界面活性剤の界面活性作用を低下させた上で、2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の添加を行うことにより、吸水性樹脂への石油系炭化水素分散媒の残存量は更に低減することができる。
【0062】
2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体としては、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体として例示したものと同様なものが使用できるが、単量体の種類、中和度、中和塩および単量体水溶液濃度は、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体と同じであっても異なっていてもよい。
【0063】
2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加される重合開始剤についても、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体として例示したものから選択して使用することができる。
【0064】
また、2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液にも、必要に応じて、内部架橋剤、連鎖移動剤などを添加してもよく、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体として例示したものから選択して使用することができる。
【0065】
1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対する2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体の添加量は、適度な凝集粒子を得る観点から、50〜300質量部が好ましく、100〜200質量部がより好ましく、120〜160質量部が最も好ましい。
【0066】
2段目の逆相懸濁重合における、撹拌部201による撹拌は、全体が均一に混合されればよい。凝集粒子径は、界面活性剤の析出状態や1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体に対する2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体の量によって、変更できる。なお、衛生材料用途に好適な吸水性樹脂の凝集粒子径としては、200〜600μmが好ましく、250〜500μmがさらに好ましく、300〜450μmが最も好ましい。
【0067】
2段目の逆相懸濁重合における反応温度についても、重合開始剤の種類や量によって異なるので一概には決定することができないが、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜90℃である。2段以上の多段重合を行う場合、以後2段目重合を3段目、4段目と読み換えて実行することができる。
【0068】
本実施形態の吸水性樹脂の製造装置500において、重合反応器200の反応器本体200Aには、第1流路部として機能する第1配管202を介して熱交換構造体100が接続されている。第1配管202は、一端部が反応器本体200Aの気相部分に連通するように、反応器本体200Aの上部に設けられる気体導出開口部206Aに接続され、他端部が熱交換構造体100の気体流入開口部51に接続されている。また、第1配管202には、配管内の流路を開閉する第1バルブ202Aが設けられている。第1バルブ202Aが開放された状態となると、反応器本体200Aの気相部分に存在する気体が、気体導出開口部206Aを介して反応器本体200Aから導出されて第1配管202内を流れ、気体流入開口部51を介して熱交換構造体100に流入する。
【0069】
熱交換構造体100は、反応器本体200A内の熱せられた気体と熱交換流体との間の熱交換によって前記気体を冷却し、その冷却によって得られた冷却流体を、冷却流体導出部として機能する冷却流体導出開口部52を介して外部に導出する。なお、冷却流体導出開口部52を介して導出される冷却流体には、反応器本体200Aから熱交換構造体100に流入してきた気体が、冷却されて凝縮(液化)された液体、および、冷却された気体が含まれる。
【0070】
この冷却流体導出開口部52と、反応器本体200Aの冷却流体流入開口部206Bとの間には、第2流路部として機能する第2配管203が接続されている。第2配管203には、配管内の流路を開閉する第2バルブ203Aが設けられている。第2バルブ203Aが開放された状態となると、熱交換構造体100内の冷却流体が、冷却流体導出開口部52を介して熱交換構造体100から導出されて第2配管203内を流れ、冷却流体流入開口部206Bを介して反応器本体200A内に流入する。なお、熱交換構造体100の構成の詳細については、後述する。
【0071】
吸水性樹脂の製造装置500では、熱交換構造体100において、反応器本体200A内の熱せられた気体と熱交換流体との間の熱交換によって前記気体を冷却し、その冷却された冷却流体が、第2配管203を介して反応器本体200A内に流入されるので、反応器本体200A内の重合熱を除去することができ、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合反応の安定化を図ることができる。
【0072】
反応器本体200Aの底部には、重合反応終了後の反応器本体200Aから、含水ゲル状架橋重合体R2を含有する重合反応液R1を導出するための重合反応液導出開口部204が設けられている。重合反応液導出開口部204を介して反応器本体200Aから導出された重合反応液R1は、濃縮器300に流入する。
【0073】
本実施形態の吸水性樹脂の製造装置500は、特徴的な構成として、第1流路部用温度調整部として機能する第1配管用温度調整部71、および重合反応器用温度調整部72を備えている。
【0074】
第1配管用温度調整部71は、第1配管202の温度を、第1配管202内を流れる気体が凝縮しない予め定める温度範囲(以下、「所定温度範囲」という)に調整する。第1配管用温度調整部71は、第1配管202を外方から加熱する、または保温することによって、第1配管202の温度を所定温度範囲に調整する。
【0075】
本実施形態において「加熱」とは、積極的に熱を与えることをさす。したがって、第1配管用温度調整部71が第1配管202を加熱することによって第1配管202の温度を所定温度範囲に調整する方法としては、(1)第1配管202に外方から熱を与えて一定温度になるまで昇温し、その後は熱を与えないようにする方法、(2)第1配管202に外方から恒常的に熱を与える方法、などが挙げられる。第1配管202に外方から熱を与える方法としては、第1配管202を取り囲むように加熱部材を設ける(第1配管202を取り囲むように加熱部材を接触させて配置する)方法、第1配管202に熱風を吹付ける方法、などが挙げられる。
【0076】
一方、本実施形態において「保温」とは、熱は与えないで熱を逃しにくくすること、すなわち温度を下がりにくくすることをさす。したがって、第1配管用温度調整部71が第1配管202を保温することによって第1配管202の温度を所定温度範囲に調整する方法としては、ロックウールなどからなる保温材(断熱材)を第1配管202に巻き付けるなどして熱を逃げにくくする方法が挙げられる。
【0077】
なお、本実施形態では、第1配管用温度調整部71が、第1配管202を加熱および保温することによって第1配管202の温度を所定温度範囲に調整するように構成されていてもよい。この場合には、第1配管202に保温材を巻き付けて第1配管202を保温しつつ、その第1配管202に直接、外方から熱を積極的に与えて加熱するようにすればよい。
【0078】
本実施形態の吸水性樹脂の製造装置500によれば、第1配管用温度調整部71が第1配管202の温度を、第1配管202内を流れる気体が凝縮しない所定温度範囲に調整するので、反応器本体200Aから導出された気体が接触する、第1配管202の内壁面に、重合体(気体が凝縮し、さらには固化したもの)が付着することを抑制することができる。その結果、第1配管202において、気体が流れる流路の閉塞を防止することができる。また、第1配管202の内壁面に重合体が付着することが抑制されるので、第1配管202、熱交換構造体100、および第2配管203を介して付着物の断片が、気体に同伴して反応器本体200A内に流入することを防止することができる。その結果、反応器本体200A内における重合反応により生成される吸水性樹脂の均質性が低下することを防止することができる。
【0079】
重合反応器用温度調整部72は、反応器本体200Aの少なくとも上部の温度を、反応器本体200Aの気相部分に存在する気体が凝縮しない予め定める温度範囲(所定温度範囲)に調整する。重合反応器用温度調整部72は、反応器本体200Aの少なくとも上部を外方から加熱する、または保温することによって、反応器本体200Aの温度を所定温度範囲に調整する。
【0080】
重合反応器用温度調整部72が反応器本体200Aを加熱することによって反応器本体200Aの温度を所定温度範囲に調整する方法、および、重合反応器用温度調整部72が反応器本体200Aを保温することによって反応器本体200Aの温度を所定温度範囲に調整する方法としては、前述した第1配管用温度調整部71と同様の方法が挙げられる。
【0081】
本実施形態の吸水性樹脂の製造装置500によれば、重合反応器用温度調整部72が反応器本体200Aの温度を、反応器本体200Aの気相部分に存在する気体が凝縮しない所定温度範囲に調整するので、反応器本体200Aの上部における気体が接触する内壁面に、重合体が付着することを抑制することができる。その結果、付着物の断片が反応器本体200A内に混入することを防止することができ、反応器本体200A内における重合反応により生成される吸水性樹脂の均質性が低下することを防止することができる。
【0082】
また、第1配管用温度調整部71によって調整される第1配管202の温度範囲、および、重合反応器用温度調整部72によって調整される反応器本体200Aの温度範囲は、30℃以上150℃以下であることが好ましく、40℃以上90℃以下であることがさらに好ましく、50℃以上80℃以下であることが特に好ましい。第1配管202および反応器本体200Aの温度が30℃未満である場合には、重合体の付着抑制効果が十分に発揮されないおそれがある。また、第1配管202および反応器本体200Aの温度が150℃を超える場合には、150℃以下の温度に比べて、顕著な重合体の付着抑制効果が得られず、そのような高温にすることは経済的に不利である。
【0083】
また、第1配管用温度調整部71によって調整される第1配管202の温度範囲、および、重合反応器用温度調整部72によって調整される反応器本体200Aの温度範囲は、反応器本体200Aの気相部分の気体の温度をT[℃]とした場合、(T−20)[℃]以上T[℃]以下、特には(T−10)[℃]以上T[℃]以下に設定するようにしてもよい。これによって、第1配管202および反応器本体200Aの内壁面に、重合体が付着することをより効果的に抑制することができる。
【0084】
本実施形態の吸水性樹脂の製造装置500において、反応器本体200Aの底部には、前述したように、重合反応終了後の反応器本体200Aから、含水ゲル状架橋重合体R2を含有する重合反応液R1を放出するための重合反応液導出開口部204が設けられている。重合反応液導出開口部204を介して反応器本体200Aから導出された重合反応液R1は、濃縮器300に流入する。
【0085】
濃縮器300は、重合反応液R1から液体成分を留去するものであり、容器状に形成される濃縮器本体300Aを有する。この濃縮器本体300Aには、重合反応液R1が、上部に気相部分を残して(上部に気相部分が形成されるように)収容され、この濃縮器本体300A内で液体成分の留去が行われる。そして、濃縮器本体300Aには、重合反応液流入開口部308、気体導出開口部309A、および分散媒流入開口部309Bが上部に設けられ、濃縮液導出開口部305が底部に設けられている。
【0086】
反応器本体200Aの重合反応液導出開口部204と、濃縮器本体300Aの重合反応液流入開口部308との間には、第3配管205が接続されている。第3配管205には、配管内の流路を開閉する第3バルブ205Aが設けられている。第3バルブ205Aが開放された状態となると、反応器本体200Aから重合反応液導出開口部204を介して導出された、含水ゲル状架橋重合体R2を含有する重合反応液R1が、第3配管205内を流れ、重合反応液流入開口部308を介して濃縮器本体300A内に流入する。
【0087】
濃縮器300は、濃縮器本体300A内において、重合反応液R1から液体成分を留去する。濃縮器300を構成する材料としては、銅、チタン合金、およびSUS304、SUS316、SUS316L等のステンレス鋼などを挙げることができるが、含水ゲル状架橋重合体R2の付着が抑制されるという観点から、内壁面にフッ素樹脂加工などの表面加工が施されていることが好ましい。
【0088】
濃縮器300における重合反応液R1からの液体成分の留去処理は、常圧下でも減圧下でも行ってよく、液体成分の留去効率を高めるために、窒素等の気流下で行ってもよい。また、本実施形態では、濃縮器300の濃縮器本体300A内には撹拌部301が配置されており、この撹拌部301によって重合反応液R1を撹拌しながら液体成分の留去処理が行われる。
【0089】
濃縮器300による留去処理を常圧下で行う場合、濃縮器本体300Aの設定温度は70〜250℃が好ましく、80〜180℃がより好ましく、80〜140℃がさらに好ましく、90〜130℃が最も好ましい。また、濃縮器300による留去処理を減圧下で行う場合、濃縮器本体300Aの設定温度は60〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。
【0090】
また、たとえば濃縮器本体300Aにおける重合反応液R1からの液体成分の留去処理中に、水溶性エチレン性不飽和単量体由来の官能基と反応性を有する官能基を2個以上含有する後架橋剤を添加することが好ましい。重合後に架橋剤を添加し反応させることにより、吸水性樹脂粒子の表面層の架橋密度が高まり、加圧下吸水能、吸水速度、ゲル強度などの諸性能を高めることができ、衛生材料用途として好適な性能が付与される。
【0091】
前記架橋反応に用いられる後架橋剤としては、重合に用いた水溶性エチレン性不飽和単量体由来の官能基と反応しうるものであれば特に限定されない。
【0092】
使用される後架橋剤としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリンなどのポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテルなどのポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリンなどのハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物などの反応性官能基を2個以上有する化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノールなどのオキセタン化合物、1,2−エチレンビスオキサゾリンなどのオキサゾリン化合物、エチレンカーボネートなどのカーボネート化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0093】
これらの中でも、反応性に優れている観点から(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテルなどのポリグリシジル化合物が好ましい。
【0094】
前記後架橋剤の添加量は、重合に付された水溶性エチレン性不飽和単量体の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.02〜3質量部である。後架橋剤の添加量が0.01質量部以上であることにより、得られる吸水性樹脂の加圧下吸水能、吸水速度、ゲル強度等の諸性能を高めることができ、5質量部以下であることにより、吸水能が低くなりすぎることを抑制することができる。
【0095】
さらに、後架橋剤の添加方法は、後架橋剤をそのまま添加しても水溶液として添加してもよいが、必要に応じて、溶媒として親水性有機溶媒を用いた溶液として添加してもよい。この親水性有機溶媒としては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールおよびプロピレングリコールなどの低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、およびテトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、並びに、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが挙げられる。これら親水性有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0096】
前記後架橋剤の添加時期は、重合終了後であればよく、特に限定されない。後架橋反応は、濃縮器300の濃縮器本体300Aにおける重合反応液R1からの液体成分の留去処理中において、吸水性樹脂100質量部に対して、1〜200質量部の範囲の水分存在下に実施されるのが好ましく、5〜100質量部の範囲の水分存在下に実施されるのがさらに好ましく、10〜50質量部の水分存在下に実施されるのがよりさらに好ましい。このように、後架橋剤添加時の水分量を調整することによって、より好適に吸水性樹脂の粒子表面層における後架橋を施すことができ、優れた吸水性能を発現することができる。
【0097】
後架橋反応における温度は、50〜250℃が好ましく、60〜180℃がより好ましく、60〜140℃がさらに好ましく、70〜120℃が最も好ましい。
【0098】
また、濃縮器300による留去処理を常圧下で行う場合、共沸により系外に留出した液体成分のうち、石油系炭化水素分散媒だけを還流させることにより、脱水を進めることができる。このような、濃縮器300における石油系炭化水素分散媒の還流を実現するための構成として、本実施形態では、濃縮器本体300Aには、第4配管302を介して熱交換構造体110が接続されている。第4配管302は、一端部が濃縮器本体300Aの気相部分に連通するように、濃縮器本体300Aの上部における気体導出開口部309Aに接続され、他端部が熱交換構造体110の気体流入開口部51に接続されている。また、第4配管302には、配管内の流路を開閉する第4バルブ302Aが設けられている。第4バルブ302Aが開放された状態となると、濃縮器本体300Aの気相部分に存在する気体(重合反応液R1中の液体成分の蒸気)が、気体導出開口部309Aを介して第4配管302内を流れ、気体流入開口部51を介して熱交換構造体110に流入する。
【0099】
熱交換構造体110は、濃縮器本体300A内の熱せられた気体と熱交換流体との間の熱交換によって前記気体を冷却し、その冷却によって得られた冷却流体を、冷却流体導出開口部52を介して外部に導出する。この冷却流体導出開口部52と濃縮器本体300Aの分散媒流入開口部309Bとの間には、第5配管303が接続されている。第5配管303には、油水分離装置307と、配管内の流路を開閉する第5バルブ303Aとが設けられている。第5バルブ303Aが開放された状態となると、油水分離装置307にて冷却流体から分離された石油系炭化水素分散媒が、第5配管303内を流れ、分散媒流入開口部309Bを介して濃縮器本体300A内に流入する。また、油水分離装置307から分岐する第6配管304が設けられており、油水分離装置307にて冷却流体から分離された水溶液は、第6バルブ304Aが開放されることにより分離回収器401に回収される。
【0100】
なお、本実施形態では、第5配管303に配置される第5バルブ303Aを閉鎖状態にし、油水分離装置307を稼動させないことによって、熱交換構造体110の冷却流体導出開口部52から放出された冷却流体を、分離回収器401に回収することもできる。また、回収した石油系炭化水素分散媒に代えて、新しい石油系炭化水素分散媒を濃縮器本体300Aに添加してもよい。
【0101】
濃縮器本体300Aの底部には、濃縮終了後の濃縮器本体300Aから、所定量の液体成分が留去されて濃縮された重合反応液R1の濃縮液を導出するための、濃縮液導出開口部305が設けられている。濃縮液導出開口部305を介して濃縮器本体300Aから導出された濃縮液は、乾燥機400に流入する。
【0102】
濃縮液導出開口部305と乾燥機400との間には、第7配管306が接続されている。第7配管306には、配管内の流路を開閉する第7バルブ306Aが設けられている。第7バルブ306Aが開放された状態となると、濃縮器本体300Aから濃縮液導出開口部305を介して導出された濃縮液が、第7配管306内を流れて、乾燥機400内に流入する。
【0103】
乾燥機400は、水分率が好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下となるように濃縮液を加熱し、乾燥された吸水性樹脂を得る。乾燥機400により得られた吸水性樹脂は、その流動性などの種々の特性を向上させるために、非晶質シリカ粉末などの種々の添加物が添加されてもよい。なお、前記留去処理は、直接乾燥機400にて濃縮および乾燥を行ってもよく、留去処理の代わりにデカンテーション、ろ過、遠心分離機により、生成粒子を分離し、次いで洗浄、乾燥してもよい。
【0104】
気体の凝縮によって重合体が付着するという問題は、重合反応器200の反応器本体200Aに接続される第1配管202、および反応器本体200Aの内壁面に限られるものではなく、重合反応液R1を収容する濃縮器本体300Aを有する濃縮器300においても発生する。
【0105】
そこで、本実施形態の吸水性樹脂の製造装置500は、前述した第1配管202に設けられている第1配管用温度調整部71と同様に構成される温度調整部が、第4配管302に設けられていることが好ましく、反応器本体200Aに設けられている重合反応器用温度調整部72と同様に構成される温度調整部が、濃縮器本体300Aに設けられていることが好ましい。
【0106】
第4配管302に設けられる温度調整部(以下、「第4配管用温度調整部」という)は、第4配管302の温度を、第4配管302内を流れる気体が凝縮しない予め定める所定温度範囲に調整する。第4配管用温度調整部は、第4配管302を外方から加熱する、または保温することによって、第4配管302の温度を所定温度範囲に調整する。
【0107】
第4配管用温度調整部が第4配管302を加熱することによって第4配管302の温度を所定温度範囲に調整する方法、および、第4配管用温度調整部が第4配管302を保温することによって第4配管302の温度を所定温度範囲に調整する方法としては、前述した第1配管用温度調整部71と同様の方法が挙げられる。
【0108】
本実施形態の吸水性樹脂の製造装置500によれば、第4配管用温度調整部が第4配管302の温度を、第4配管302内を流れる気体が凝縮しない所定温度範囲に調整するので、濃縮器本体300Aから導出された気体が接触する、第4配管302の内壁面に、重合体が付着することを抑制することができる。その結果、第4配管302において、気体が流れる流路の閉塞を防止することができる。また、第4配管302の内壁面に重合体が付着することが抑制されるので、第4配管302、熱交換構造体110、および第5配管303を介して付着物の断片が、気体に同伴して濃縮器本体300A内に流入することを防止することができる。その結果、濃縮器本体300A内に収容される重合反応液R1を濃縮して生成される吸水性樹脂の均質性が低下することを防止することができる。
【0109】
濃縮器本体300Aに設けられる温度調整部(以下、「濃縮器用温度調整部」という)は、濃縮器本体300Aの少なくとも上部の温度を、濃縮器本体300Aの気相部分に存在する気体が凝縮しない予め定める所定温度範囲に調整する。濃縮器用温度調整部は、濃縮器本体300Aの少なくとも上部を外方から加熱する、または保温することによって、濃縮器本体300Aの温度を所定温度範囲に調整する。
【0110】
濃縮器用温度調整部が濃縮器本体300Aを加熱することによって濃縮器本体300Aの温度を所定温度範囲に調整する方法、および、濃縮器用温度調整部が濃縮器本体300Aを保温することによって濃縮器本体300Aの温度を所定温度範囲に調整する方法としては、前述した第1配管用温度調整部71と同様の方法が挙げられる。
【0111】
本実施形態の吸水性樹脂の製造装置500によれば、濃縮器用温度調整部が濃縮器本体300Aの温度を、濃縮器本体300Aの気相部分に存在する気体が凝縮しない所定温度範囲に調整するので、濃縮器本体300Aの上部における気体が接触する内壁面に、重合体が付着することを抑制することができる。その結果、付着物の断片が濃縮器本体300A内に混入することを防止することができ、濃縮器本体300A内に収容される重合反応液R1を濃縮して生成される吸水性樹脂の均質性が低下することを防止することができる。
【0112】
また、第4配管用温度調整部によって調整される第4配管302の温度範囲、および、濃縮器用温度調整部によって調整される濃縮器本体300Aの温度範囲は、30℃以上150℃以下であることが好ましく、40℃以上90℃以下であることがさらに好ましく、50℃以上80℃以下であることが特に好ましい。第4配管302および濃縮器本体300Aの温度が30℃未満である場合には、重合体の付着抑制効果が十分に発揮されないおそれがある。また、第4配管302および濃縮器本体300Aの温度が150℃を超える場合には、150℃以下の温度に比べて、顕著な重合体の付着抑制効果が得られず、そのような高温にすることは経済的に不利である。
【0113】
また、第4配管用温度調整部によって調整される第4配管302の温度範囲、および、濃縮器用温度調整部によって調整される濃縮器本体300Aの温度範囲は、濃縮器本体300Aの気相部分の気体の温度をT[℃]とした場合、(T−20)[℃]以上T[℃]以下、特には(T−10)[℃]以上T[℃]以下に設定するようにしてもよい。これによって、第4配管302および濃縮器本体300Aの内壁面に、重合体が付着することをより効果的に抑制することができる。
【0114】
次に、図面を参照しながら熱交換構造体100,110について説明する。
図2は、製造装置500に備えられる熱交換構造体100,110の構成を示す図である。
【0115】
熱交換構造体100,110は、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合体である吸水性樹脂を含有する重合反応液R1が収容された反応器本体200Aおよび濃縮器本体300Aとそれぞれ接続され、反応器本体200Aおよび濃縮器本体300A内の気体を冷却する。以下では、重合反応液R1が収容された反応器本体200Aと濃縮器本体300Aとを、「収容器」と総称する。
【0116】
熱交換構造体100,110は、収容器から導出された気体が流れる流路となる複数の内部配管11と外殻2とを含む。外殻2は、複数の内部配管11を外方から覆うように筒状(本実施形態では円筒状)に形成される胴部21と、該胴部21の軸線S方向一端部に連なる第1蓋部22と、胴部21の軸線S方向他端部に連なる第2蓋部23とを含んで構成される。
【0117】
胴部21内には、複数の内部配管11が管束1になって設けられている。また胴部21には、内部配管11内を流れる気体との間の熱交換によって気体を冷却する熱交換流体を胴部21内に供給するための開口を形成する熱交換流体供給開口部61と、熱交換流体を外部に導出するための開口を形成する熱交換流体導出開口部62とが形成されている。なお、本実施形態では、熱交換流体供給開口部61は、胴部21における軸線S方向他端部側(第2蓋部23が設けられる側)に設けられ、熱交換流体導出開口部62は、胴部21における軸線S方向一端部側(第1蓋部22が設けられる側)に設けられている。胴部21内には、熱交換流体が、熱交換流体供給開口部61から熱交換流体導出開口部62に向けて流れるようになっている。
【0118】
また、胴部21内には、複数の邪魔板3が設けられている。邪魔板3は、胴部21内を流れる熱交換流体の流れ方向を規則的に変化させるように構成されている。複数の邪魔板3は、軸線S方向に一定間隔をあけて軸線Sに直交して設けられている。邪魔板3には、挿通孔が形成されており、この挿通孔に内部配管11が挿通されている。このような邪魔板3が胴部21内に設けられることによって、熱交換流体が、邪魔板3に案内されて、蛇行するように流れ方向Bを変化させながら胴部21内を流れるので、胴部21に囲繞された内部配管11内を流れる気体と熱交換流体との間の熱交換効率を上げることができる。
【0119】
第1蓋部22は、胴部21の軸線S方向一端部に連なる筒状(本実施形態では円筒状)の第1周壁部22aと、該第1周壁部22aの一端部を塞ぐ天板22bとを含んで構成される。第1蓋部22には、収容器から導出された気体を、第1蓋部22を介して内部配管11内に流入させるための流入開口を形成する気体流入開口部51が形成されている。本実施形態では、気体流入開口部51は、第1蓋部22の第1周壁部22aに設けられている。
【0120】
第2蓋部23は、胴部21の軸線S方向他端部に連なる筒状(本実施形態では円筒状)の第2周壁部23aと、該第2周壁部23aの一端部を塞ぐ底板23bとを含んで構成される。第2蓋部23には、内部配管11内を流れる気体が冷却されて生成された冷却流体を、第2蓋部23を介して外部に導出させるための導出開口を形成する冷却流体導出開口部52が形成されている。本実施形態では、冷却流体導出開口部52は、第2蓋部23の底板23bに設けられている。
【0121】
また、外殻2内には、第1隔壁41と第2隔壁42とが配置されている。第1隔壁41は、第1蓋部22と胴部21とを仕切るものである。第1隔壁41は、胴部21の軸線S方向一端部に周縁部が固定されている。具体的には、第1隔壁41は、胴部21の軸線S方向一端部の内周面に周縁部の外周面が接合されて固定されている。また、第1隔壁41は、胴部21の軸線S方向一端部の端面に周縁部の底面が接合されて固定されていてもよい。この第1隔壁41には、内部配管11の一端部が挿通される挿通孔が形成されている。
【0122】
第2隔壁42は、第2蓋部23と胴部21とを仕切るものである。第2隔壁42は、胴部21の軸線S方向他端部に周縁部が固定されている。具体的には、第2隔壁42は、胴部21の軸線S方向他端部の内周面に周縁部の外周面が接合されて固定されている。また、第2隔壁42は、胴部21の軸線S方向他端部の端面に周縁部の上面が接合されて固定されていてもよい。この第2隔壁42には、内部配管11の他端部が挿通される挿通孔が形成されている。
【0123】
本実施形態の熱交換構造体100,110では、収容器から導出された気体は、第1蓋部22に形成された気体流入開口部51を介して、第1蓋部22と第1隔壁41とで囲まれた空間に流入する。このように、第1蓋部22と第1隔壁41とで囲まれた空間に流入した気体は、筒状の胴部21で囲繞された複数の内部配管11内を流れる。内部配管11内を流れる気体は、胴部21内を流れる熱交換流体との間で熱交換が行われて冷却される。このようにして冷却された冷却流体は、第2蓋部23と第2隔壁42とで囲まれた空間に流入する。第2蓋部23と第2隔壁42とで囲まれた空間に流入した冷却流体は、第2蓋部23に形成された冷却流体導出開口部52を介して外部に導出される。このようにして、熱交換構造体100,110は、収容器から導出された気体を冷却することができる。
【実施例】
【0124】
以下、本発明の実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0125】
(実施例1)
図1に示す製造装置500を使用して、逆相懸濁重合法による吸水性樹脂の製造を行った。実施例1における吸水性樹脂の製造においては、水溶性エチレン性不飽和単量体を、石油系炭化水素分散媒中で、分散安定剤の存在下にラジカル重合開始剤を用いて、逆相懸濁重合法により2段の重合反応を行った。
【0126】
重合反応器200の反応器本体200Aには、第1配管202を介して熱交換構造体100が接続されており、反応器本体200A内の気体が接触する第1配管202および反応器本体200Aの上部に、保温材(ロックウール、厚さ:40mm)を設置した。この保温材が、第1配管用温度調整部71および重合反応器用温度調整部72として機能する。
【0127】
また、濃縮器300の濃縮器本体300Aには、第4配管302を介して熱交換構造体110が接続されており、濃縮器本体300A内の気体が接触する第4配管302および濃縮器本体300Aの上部に、保温材(ロックウール、厚さ:40mm)を設置した。この保温材が、第4配管用温度調整部および濃縮器用温度調整部として機能する。
【0128】
1段目の重合に際し、反応器本体200A内に、石油系炭化水素分散媒として25℃の温度に保持されたn−ヘプタンを9000kg、分散安定剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:サンソフトQ−185S、太陽化学株式会社製)の10質量%n−ヘプタン溶液351kgを仕込んだ。
【0129】
次いで、撹拌部201により反応器本体200A内を撹拌しながら、反応器本体200A内の内容物を90℃になるまで加熱し、分散安定剤を溶解した。次いで、反応器本体200A内の内容物を50℃になるまで冷却した。
【0130】
一方、別の容器に、水溶性エチレン性不飽和単量体として80質量%アクリル酸水溶液3505kgを加え、冷却しながら、アルカリ性中和剤として30質量%水酸化ナトリウム水溶液を3890kg滴下して、中和度が水溶性エチレン性不飽和単量体の酸基の75モル%となるように中和を行った。次いで、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウムを3.5kg、架橋剤としてN、N’−メチレンビスアクリルアミドを0.7kg、水を1908kg加えて溶解し、1段目の重合用の単量体を水溶液として調製した。
【0131】
上記のようにして別の容器で調製した、10℃の温度に保持された1段目の重合用の単量体水溶液の全量を反応器本体200Aに加え、反応器本体200Aの内容物を30℃とし、系内を窒素で十分に置換した。
【0132】
次いで、撹拌部201により反応器本体200A内を撹拌しながら、反応器本体200A内の内容物を55℃になるまで加熱し、重合を開始させた。重合開始後、重合熱により反応器本体200Aの内容物が昇温し、内容物が80℃に到達した時点から80℃で30分間重合を行った後、反応器本体200Aの内容物を13℃になるまで冷却し、1段目の反応混合物を得た。
【0133】
一方、別の容器に、2段目の重合用の単量体水溶液を調製した。具体的には、別の容器に、水溶性エチレン性不飽和単量体として80質量%アクリル酸水溶液3505kgを加え、冷却しながら、アルカリ性中和剤として30質量%水酸化ナトリウム水溶液を3890kg滴下して、中和度が水溶性エチレン性不飽和単量体の酸基の75モル%となるように中和を行った。次いで、ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウムを3.5kg、架橋剤としてN、N’−メチレンビスアクリルアミドを0.7kg、水を1908kg加えて溶解し、2段目の重合用の単量体水溶液を調製した。
【0134】
上記のようにして別の容器で調製した、13℃の温度に保持された2段目の重合用の単量体水溶液の全量を、前記の1段目の反応混合物が収容された反応器本体200A内に投入し、系内を窒素で十分に置換した。
【0135】
次いで、撹拌部201により反応器本体200A内を撹拌しながら、反応器本体200A内の内容物を55℃になるまで加熱し、重合を開始させた。重合開始後、重合熱により反応器本体200Aの内容物が昇温し、内容物が80℃に到達した時点から80℃で30分間重合を行った後、2段目の反応混合物を得た。
【0136】
当該2段目の反応混合物を濃縮器本体300Aに移送し、撹拌部301により濃縮器本体300A内を撹拌しながら、濃縮器本体300A内の内容物を90℃になるように加熱し、n−ヘプタンと水との共沸蒸留によりn−ヘプタンと水を分離し、n−ヘプタンは濃縮器本体300A内へ戻し、7431kgの水を系外へ抜き出した。次いで、架橋剤としてN、N’−メチレンビスアクリルアミドを2.8kg加えて、濃縮器本体300A内の内容物を90℃で反応させ、表面架橋された反応混合物を得た。
【0137】
当該表面架橋された反応混合物を乾燥機400に移送し、さらに加熱することで、所定量の水およびn−ヘプタンを系外へ抜き出し、乾燥された吸水性樹脂を、目開き850μmの篩で篩い、改質された実施例1の吸水性樹脂を7567kg得た。
【0138】
上記のようにして吸水性樹脂を製造する実施例1では、目開き850μmの篩に対する篩未通過物である粒子径異常の吸水性樹脂は存在せず、粒子径異常の吸水性樹脂の発生率は0%であった。このように、粒子径異常の吸水性樹脂の発生率を低減することができたのは、反応器本体200A内の気体が接触する第1配管202および反応器本体200Aの上部、濃縮器本体300A内の気体が接触する第4配管302および濃縮器本体300Aの上部に、保温材を設置したので、第1配管202、反応器本体200A、第4配管302および濃縮器本体300Aの内壁面に対する重合体の付着が抑制され、その結果、反応器本体200Aおよび濃縮器本体300Aに付着物の断片が流入することが抑制されたからである。
【0139】
(比較例1)
第1配管202、反応器本体200Aの上部、第4配管302、および濃縮器本体300Aの上部に保温材を設置しないようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の吸水性樹脂を得た。
【0140】
比較例1では、目開き850μmの篩に対する篩未通過物である粒子径異常の吸水性樹脂が存在し、粒子径異常の吸水性樹脂の発生率は7.7%であった。
【0141】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。