(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441213
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】リアルタイム医療治療のビデオグラフィック表示
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20181210BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20181210BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20181210BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
A61N5/10 M
A61N5/10 P
A61B6/03 377
A61B6/00 370
A61B6/00 350D
A61B6/03 360J
A61B5/055 390
【請求項の数】21
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-510413(P2015-510413)
(86)(22)【出願日】2013年5月1日
(65)【公表番号】特表2015-520631(P2015-520631A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(86)【国際出願番号】US2013039009
(87)【国際公開番号】WO2013166111
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2016年4月28日
(31)【優先権主張番号】13/462,750
(32)【優先日】2012年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512129837
【氏名又は名称】ビューレイ・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViewRay Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・エフ・デンプシー
【審査官】
小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−517132(JP,A)
【文献】
特許第4382165(JP,B2)
【文献】
国際公開第2012/045153(WO,A1)
【文献】
特開2009−160309(JP,A)
【文献】
特表2009−501043(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/103644(WO,A1)
【文献】
特表2009−538195(JP,A)
【文献】
特開平07−148276(JP,A)
【文献】
特許第3432268(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
A61B 5/055
A61B 6/00
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射装置が、計画された治療計画に従って、放射線治療システムにより制御される上記照射装置から治療領域へのイオン化放射線の1つもしくはそれ以上の放射線ビームを送信するステップと、
イメージング装置が、上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームを送信しながら、上記放射線治療システムにより制御されて上記治療領域の複数のリアルタイム画像を取得するステップと、
上記照射装置が、上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームの送信の間、リアルタイム治療データを取得するステップとを含み、
上記リアルタイム治療データは、上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームの照射状態と、上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームの位置と、上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームの形状との1つもしくはそれ以上を含み、
プロセッサが、イメージング処理技術を用いて、上記複数のリアルタイム画像における関連した人体構造の1つもしくはそれ以上のリアルタイム輪郭を決定するステップと、
表示部が、上記複数のリアルタイム画像のビデオを備えるビデオグラフィック表示を供給するステップとを含み、
上記ビデオは、1つもしくはそれ以上のリアルタイム輪郭と、上記リアルタイム治療データの表現とを含む方法。
【請求項2】
上記イメージング装置は磁気共鳴イメージングシステムである請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記イメージング処理技術は、デフォーマブルイメージレジストレーションである請求項2記載の方法。
【請求項4】
上記ビデオグラフィック表示における上記リアルタイム治療データの上記表現は、上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームがオン状態にあるときの上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームに対するビームのグラフィック表現、累積された放射線堆積量の指標、及び累積されて堆積された放射線量の文字指標の1つもしくはそれ以上を含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
初期画像及び上記複数のリアルタイム画像は、磁気共鳴イメージングシステム、ポジトロン放出断層撮影スキャナ、コンピュータ断層撮影スキャナ、及びX線機器の1つもしくはそれ以上から取得される請求項1記載の方法。
【請求項6】
上記イメージング処理技術は、デフォーマブルイメージレジストレーションである請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記リアルタイム治療データはさらに、手術器具位置情報及び外科手術切開位置情報の少なくとも1つを含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
上記リアルタイム治療データはさらに、器具のグラフィック表現と、上記リアルタイム画像において捕捉される医療専門家の一部との少なくとも1つを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
上記ビデオグラフィック表示は、遠隔装置上に供給される請求項1記載の方法。
【請求項10】
上記ビデオグラフィック表示は、3次元である請求項1記載の方法。
【請求項11】
計画された治療計画に従って、照射装置から治療領域へイオン化放射線の1つもしくはそれ以上の放射線ビームを送信するように構成される照射装置を備えたシステムであって、
上記照射装置はさらに、上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームの上記送信の間にリアルタイム治療データを取得するように構成され、
上記リアルタイム治療データは、上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームの照射状態と、上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームの位置と、上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームの形状とを含み、
上記システムは、
上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームの上記送信の間に上記治療領域の複数のリアルタイム画像を取得するように構成されるイメージング装置と、
イメージング処理技術を用いて、上記複数のリアルタイム画像における関連した人体構造の1つもしくはそれ以上のリアルタイム輪郭を決定し、上記複数のリアルタイム画像のビデオを備えるビデオグラフィック表示を表示部に出力するように構成されるプロセッサとを備え、
上記ビデオは、上記1つもしくはそれ以上のリアルタイム輪郭と、上記リアルタイム治療データの表現とを含むシステム。
【請求項12】
上記イメージング装置は、磁気共鳴イメージングシステムである請求項11記載のシステム。
【請求項13】
上記イメージング処理技術は、デフォーマブルイメージレジストレーションである請求項12記載のシステム。
【請求項14】
上記ビデオグラフィック表示における上記リアルタイム治療データの上記表現は、上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームがオン状態にあるときの上記1つもしくはそれ以上の放射線ビームに対するビームのグラフィック表現、累積された放射線堆積量の指標、及び累積されて堆積された放射線量の文字指標の1つもしくはそれ以上を含む請求項11記載のシステム。
【請求項15】
初期画像及び上記複数のリアルタイム画像は、磁気共鳴イメージングシステム、ポジトロン放出断層撮影スキャナ、コンピュータ断層撮影スキャナ、及びX線機器の1つもしくはそれ以上から取得される請求項11記載のシステム。
【請求項16】
上記治療領域の画像の一部を取得するように構成される第2のイメージング装置をさらに備える請求項15記載のシステム。
【請求項17】
上記リアルタイム治療データはさらに、手術器具位置情報及び外科手術切開位置情報の少なくとも1つを含む請求項11記載のシステム。
【請求項18】
上記リアルタイム治療データはさらに、上記リアルタイム画像において捕捉される器具と、上記リアルタイム画像において捕捉される医療専門家の一部との少なくとも1つのグラフィック表現を含む請求項11記載のシステム。
【請求項19】
上記ビデオグラフィック表示は、遠隔装置上に供給される請求項11記載のシステム。
【請求項20】
上記ビデオグラフィック表示は、ウェブインターフェースを介してソーシャルメディアサイトに供給される請求項11記載のシステム。
【請求項21】
上記ビデオグラフィック表示は、3次元である請求項11記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イメージング装置(画像化装置)と一緒に治療装置により実行されるリアルタイム医療治療のビデオグラフィック表現の生成のためのシステム及び方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
この出願は、2012年5月2日付出願の発明の名称“リアルタイム医療治療のビデオグラフィック表示”を有する米国特許出願第13/462,750号の利益を主張し、そのすべての開示が参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
例えば手術もしくは放射線治療などの特定の医療治療の間、治療される人体の部分の動きは治療の有効性を減少させ、さらに有害な結果を生じさせる可能性がある。例えば、放射線治療の間の腫瘍の動きは、放射線ビームがその腫瘍を外して健康な組織を攻撃する原因となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、治療精度の便利な評価が可能となるように、医療治療の視覚的な確認もしくは文書化を提供することが有利となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
イメージング装置と一緒に動作する治療装置によるリアルタイム治療のビデオグラフィック表示の生成が説明される。治療領域の初期画像が取得される。初期画像における、関連した人体構造の1つもしくはそれ以上の輪郭が供給されもしくは計算される。治療領域のリアルタイム画像データ及びリアルタイム治療データが医療治療の間に取得される。複数のリアルタイム画像における関連した人体構造の1つもしくはそれ以上のリアルタイム輪郭が決定され、ビデオグラフィック表示が生成される。ビデオグラフィック表示はリアルタイム輪郭及びリアルタイム治療データの表現に対応するリアルタイム画像を含むことができる。関連した装置、システム及び技術がまた説明される。
【0006】
一態様では、治療領域のリアルタイム画像が医療治療の間に取得される。複数のリアルタイム画像における関連した人体構造の1つもしくはそれ以上のリアルタイム輪郭が決定される。複数のリアルタイム画像のビデオグラフィック表示が供給される。ビデオグラフィック表示は、対応するリアルタイム輪郭及びリアルタイム治療データの表現を含むことができる。
【0007】
リアルタイム画像は、磁気共鳴イメージングシステムから取得され、デフォーマブルイメージレジストレーションを使用して決定される。一実施例では、医療治療は放射線治療とすることができ、リアルタイム治療データは、放射線治療装置の1つもしくはそれ以上の放射線ビームの照射状態、1つもしくはそれ以上の放射線ビームの位置、1つもしくはそれ以上の放射線ビームの形状、1つもしくはそれ以上の放射線ビームと関連する放射線の強度、及び送信された放射線量の1つもしくはそれ以上を含むことができる。ビデオグラフィック表示におけるリアルタイム治療データの表現は、1つもしくはそれ以上の放射線ビームがオン状態にあるときの1つもしくはそれ以上の放射線ビームに対するビームのグラフィック表現、累積された放射線堆積量の指標、及び累積されて堆積された放射線量の文字指標の1つもしくはそれ以上を含むことができる。
【0008】
初期画像及びリアルタイム画像は、磁気共鳴イメージングシステム、ポジトロン放出断層撮影スキャナ、コンピュータ断層撮影スキャナ、及びX線機器の1つもしくはそれ以上から取得される。リアルタイム輪郭は、デフォーマブルイメージレジストレーションを用いて決定される。
【0009】
リアルタイム治療データは、手術器具位置情報、手術切開位置情報、並びにリアルタイム画像で捕捉される器具及び医療専門家の一部のグラフィック表現のうちの少なくとも1つを含むことができる。ビデオグラフィック表示は遠隔装置上に供給され、3次元とすることができる。
【0010】
もう1つの態様では、システムは、イメージング装置、治療装置、表示部、及びプロセッサを備えることができる。イメージング装置は、医療治療の間に治療領域のリアルタイム画像を取得するように構成される。治療装置は、医療治療の間にリアルタイム治療データを取得するように構成される。プロセッサは、複数のリアルタイム画像における関連した人体構造のリアルタイム輪郭を決定し、複数のリアルタイム画像のビデオグラフィック表示を表示部に出力するように構成される。ビデオグラフィック表示は、対応するリアルタイム輪郭及びリアルタイム治療データの表現を含むことができる。
【0011】
イメージング装置は磁気共鳴イメージングシステムとすることができ、プロセッサはデフォーマブルイメージレジストレーションを用いてリアルタイム輪郭を決定できる。治療装置は、1つもしくはそれ以上の放射線ビームを有する放射線治療装置とすることができ、リアルタイム治療データは、1つもしくはそれ以上の放射線ビームの照射状態、1つもしくはそれ以上の放射線ビームの位置、1つもしくはそれ以上の放射線ビームの形状、1つもしくはそれ以上の放射線ビームと関連する放射線の強度、及び送信された放射線量の1つもしくはそれ以上を含むことができる。ビデオグラフィック表示におけるリアルタイム治療データの表現は、1つもしくはそれ以上の放射線ビームがオン状態にあるときの1つもしくはそれ以上の放射線ビームに対するビームのグラフィック表現、累積された放射線堆積量の指標、及び累積されて堆積された放射線量の文字指標の1つもしくはそれ以上を含むことができる。
【0012】
イメージング装置は、磁気共鳴イメージングシステム、ポジトロン放出断層撮影スキャナ、コンピュータ断層撮影スキャナ、及びX線機器の1つもしくはそれ以上から選択される。システムはさらに、治療領域の画像の一部を取得するように構成される第2のイメージング装置を備えることができる。
【0013】
プロセッサはデフォーマブルイメージレジストレーションを用いてリアルタイム輪郭を決定できる。リアルタイム治療データは、手術器具位置情報、手術切開位置情報、及びリアルタイム画像で捕捉される器具と医療専門家の一部とのうちの少なくとも1つのグラフィック表現のうちの少なくとも1つを含むことができる。その表示は遠隔装置上に表示させることができ、3次元とすることができる。ビデオグラフィック表示は、ウェブインターフェースを介してソーシャルメディアサイトに供給することができる。
【0014】
本開示のこれらの及び他の複数の特徴、複数の態様、及び複数の利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を参照してより理解されるであろう。
【0015】
本開示の複数の特徴、複数の態様、及び複数の実施態様が、添付した複数の図面とともに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】現在の主題の実施例と一致するシステムの態様を例示する簡易図である。
【
図2】例示的なイメージング装置と一緒に動作する治療装置の例を図示する。
【
図3】例示的なイメージング装置と一緒に動作するもう1つの例示的な治療装置を図示する。
【
図4】イメージング装置と一緒に動作する治療装置のさらにもう1つの例を図示する。
【
図5】現在の主題の実施例と一致する方法の態様を例示する簡易図である。
【
図6】現在の主題の実施例と一致するビデオグラフィック表示を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで説明される主題は多くの利点を提供し、それらのいくつかが以下で説明される。リアルタイム医療治療のビデオグラフィック表示の生成は、治療の視覚的な文書化が医者、患者、家族の一員、介護者などに共有されることを可能とする。観察者は、ビデオグラフィック表示を介して、治療された人体の部分と、(例えば、ロボット外科手術用メスによる切開や放射線治療装置による放射線などの)それらの人体部分に対して影響を与えて患者を治療する治療装置の動作とを見ることができるであろう。従って、ビデオグラフィック表示は、患者が適切に治療されたかどうかの証拠を提供することができ、それにより患者及び他の観察者に対して情報及び潜在的な心理的な満足を提供することができる。ビデオグラフィック表示はまた教育するために使用することができ、さらに付加的な治療もしくは医療ケアを必要とするか否かを評価するために使用することができる。治療においてそれらの役割が記録されかつ患者及び他の個人に共有されるので、治療のそのようなリアルタイムビデオグラフィック表示はまた、複数の臨床医間の効率性を確実なものとできる。
【0018】
図1は、現在の主題の実施例と一致するシステム100の態様を例示する簡易図である。システム100は少なくとも、治療装置102と、イメージング装置104と、プロセッサ106と、表示部108とを含むことができる。治療装置102は、放射線治療装置、1つもしくはそれ以上のロボット外科手術用アーム、1つもしくはそれ以上の外科手術用メス、もしくは例えば高密度焦点式超音波(HIFU)アブレーション(焼灼)装置、凍結アブレーション装置、レーザアブレーション装置、RFアブレーション装置、及び例えば近接照射療法、ステント、塞栓症装置、血管移植片、カテーテル、これらに限定されないがスクリューやプレートなどを含む整形外科用装置などの治療を実現させるための他の装置などの任意の他の適切な治療装置とすることができる。イメージング装置104は、磁気共鳴イメージング(MRI)システム、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャナ、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ、X線機器、または他のイメージング装置もしくはイメージング装置の組み合わせとすることができる。プロセッサ106は、少なくとも1つのマイクロプロセッサと、複数の命令を格納できる機械可読媒体とを含むコンピュータを含むことができ、またはプロセッサは、本開示のシステム及び方法を実装するように構成される任意の他のコンピュータ構成要素を備えてもよい。表示部108は、例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータ、携帯電話、テレビ、ホログラフィックジェネレータもしくは任意の他の表示媒体などの端末装置を含むことができる。いくつかの実施例では、端末装置は、治療装置102とイメージング装置104とから遠く離れた遠隔装置とすることができる。各矢印110、112及び114は、例えばセルラーネットワーク、インターネット、ローカルエリアネットワーク、もしくはワイドエリアネットワークなどの有線接続もしくは無線接続のいずれかを別々に特徴付けることができ、各接続は複数の接続を含んでもよく例えばサーバ、クラウドコンピューティング装置などの付加的な素子を通過して当該付加的な素子と相互作用してもよい。リアルタイム治療データは、接続110を介して治療装置102からプロセッサ106に送信され、リアルタイム画像データは、接続112を介してイメージング装置104からプロセッサ106に送信される。ビデオグラフィック表示を生成するために必要とされる情報は、接続114をわたってプロセッサ106から表示部108に伝達される。
【0019】
図2は、本開示で説明されるイメージング装置104と一緒に動作する治療装置102の例を図示する。この例での治療装置102は、回転可能な構台216上に装着される放射線治療装置206である。この例でのイメージング装置104は、磁気共鳴イメージング(MRI)システム208である。放射線治療装置206は、例えば放射線を患者212の所定の人体構造に送信させるように制御されるコバルト60のソースもしくは線形アクセラレータなどの1つもしくはそれ以上のビームソースを含むことができる。放射線治療装置206はさらに、患者212に送信される放射線ビームを形成するための1つもしくはそれ以上のマルチリーフコリメータを含むことができる。従って、1つもしくは複数の放射線ビームがオン及びオフされてもよく、構台116に対して回転され、マルチリーフコリメータもしくは他の装置により変更されるそれらの形状及び強度を有することができる。
【0020】
図3は、本開示で説明されるイメージング装置104と一緒に動作する治療装置102の付加的な例を図示する。この例での治療装置102はロボット外科手術用装置306である。この例でのイメージング装置104は磁気共鳴イメージング(MRI)システム308である。ロボット外科手術用装置306は、患者310上で動作するように患者310の人体に対して移動するように制御される。
【0021】
図4は、本開示で説明されるイメージング装置104と一緒に動作する治療装置102の付加的な例を図示する。この例での治療装置102は外科手術用メス406である。この例でのイメージング装置104は磁気共鳴イメージング(MRI)システム412である。外科手術用メス406は、患者410の人体の一部に対して臨床医408により使用されて外科手術を実行するように構成される。
【0022】
図5は、本開示の方法を実装するように使用されてもよい例示的な処理500の態様を例示する簡易図である。例えば、502において、治療領域の初期画像がイメージング装置104から取得されてもよい。次に、504において、関連した人体構造の1つもしくはそれ以上の輪郭が初期画像において供給されるかもしくは計算されてもよい。例として、複数の輪郭は治療されるべき腫瘍の境界を含んでもよく、その治療において回避される必要がある近隣の人体構造の境界をまた含んでもよい。これらの輪郭は臨床医により手動で展開されてもよい。代わりの実施例では、その輪郭は自動化されたコンピュータプログラムを用いて展開される。
【0023】
医療治療が開始した後、506において、イメージング装置104を用いて、治療領域からリアルタイム画像データが取得される。さらに、508において、リアルタイム治療データが治療装置102から取得される。
【0024】
(治療装置102が放射線治療装置206である)
図2で図示される実施例に対するリアルタイム治療データは、1つもしくはそれ以上の放射線ビームの照射状態、1つもしくは複数のビームの角位置、1つもしくは複数のビームの形状、1つもしくは複数のビームに関連する放射線の強度、及び送信された放射線量などの1つもしくはそれ以上を含んでもよい。そのような治療データは、例えば放射線ソースに関連するセンサ、回転可能構台、1つもしくは複数のマルチリーフコリメータ上のリーフ、及び放射線治療装置の制御システムなどを介して取得される。治療データはまた、イメージング装置102自身から収集されてもよい。他のデータはまた、当業者により理解されるであろうように収集されてもよい。
【0025】
(治療装置102がロボット外科手術用装置306である)
図3で図示される実施例に対するリアルタイム治療データは、ロボット外科手術用装置306の位置及び軌道、患者310の人体への切開の(例えば、デカルト座標、球面座標、もしくは円筒座標などの)座標、ロボット外科手術装置306の手術器具の形状、手術に従事する1人もしくはそれ以上の臨床医の音声及び/もしくは視覚の記録などの1つもしくはそれ以上を含んでもよい。そのような治療データは、例えば、その軌道、位置もしくは形状における変化を記録するためのロボット外科手術用装置306と関連するセンサまたはロボット外科手術用装置306と一緒に使用されるグラフィックもしくはビデオグラフィックカメラまたは他のイメージングモダリティを介して取得される。治療データはまた、イメージング装置102から収集されてもよい。他のデータはまた、当業者により理解されるであろうように収集されてもよい。
【0026】
(治療装置102が外科手術用メス406である)
図4で図示される実施例に対するリアルタイム治療データは、ロボット外科手術用装置406の位置及び軌道、患者416の人体への切開の(例えば、デカルト座標、球面座標、もしくは円筒座標などの)座標、外科手術に従事する1人もしくはそれ以上の臨床医の音声及び/もしくは視覚的な記録などの1つもしくはそれ以上を含んでもよい。そのような治療データは、例えば、その軌道もしくは位置を記録するための外科手術用メス406に関連するセンサ、外科手術用メス406と一緒に使用されるグラフィックもしくはビデオグラフィックカメラ、または他のイメージングモダリティを介して取得される。治療データはまた、イメージング装置102から収集されてもよい。他のデータはまた、当業者により理解されるであろうように収集されてもよい。
【0027】
図5での510において、リアルタイム画像における関連した人体構造のリアルタイム輪郭が決定されてもよい。リアルタイム輪郭は、デフォーマブルイメージレジストレーション並びに502及び504で取得される初期画像及び輪郭のみならずリアルタイム画像及び輪郭を用いて決定される。輪郭はまた、例えばエッジ検出、パターン認識などの他の画像処理技術を単独でもしくはこれらの技術を組み合わせて用いて展開されてもよい。
【0028】
複数のリアルタイム画像のビデオグラフィック表示は、
図5における512で生成される。その表示は、複数のリアルタイム画像の対応するリアルタイム輪郭と、リアルタイム治療データの表現とを含むことができる。表示部108は、例えばデスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータ、携帯電話、テレビ、ホログラフィックジェネレータもしくは映像を表示できる任意の装置などの端末装置であってもよい。表示部108は、治療装置102及びイメージング装置104と一緒に設置されてもよいし、もしくはそれはその位置から遠く離れててもよい。上述したように、ビデオグラフィック表示は、例えばセルラーネットワーク、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、ブルートゥースネットワーク、赤外線ネットワーク、ジグビー(ZigBee)無線ネットワーク、ウィブリー(Wibree)ネットワークなどの有線接続もしくは無線接続を利用してもよく、各接続は複数の接続を含んでもよく、例えばサーバ及びクラウドコンピューティング装置などの付加的な素子を通過して当該付加的な素子と相互作用してもよい。一実施例では、ビデオグラフィック表示は、例えば個人が種々の文書化された医療治療に対して掲載して共有してコメントできるソーシャルメディアサイトなどを置くためにウェブインターフェースを介して供給されてもよい。
【0029】
一実施例では、ビデオグラフィックファイルが表示部108に送信されるように、治療データ及び画像データの構成要素はプロセッサ106において一緒に集約化される。代わりの実施例では、治療データ及び画像データの構成要素はプロセッサ106から表示部108に別々に送信され、表示部108において別々に受信された構成要素はビデオグラフィック表示を形成するために集約化される。その集約化は、ビデオグラフィック表示の観察者による選択に基づいて実行される。
【0030】
一実施例では、取得された治療データは、それぞれのリアルタイム画像上に重ね合わされて一連の最後の画像を形成することができ、次にその一連の画像はビデオグラフィック表示を形成するために組み合わされる。この重ね合わせは、治療データ及び対応する画像データの、時間及び空間における相関を用いて実行される。
【0031】
一連の最後の画像データの画像の(例えば所定の数などの)少なくとも一部は、ビデオグラフィック表示を形成するために組み合わされてもよい。所定の数は、例えば、(例えば、直接的な有線接続、セルラーネットワーク、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、ブルートゥースネットワークなどの)利用される通信チャネルや通信チャネルの利用可能な帯域幅や(例えば、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、無線装置などの)表示タイプなどのファクタ及び他のファクタに基づいて変更することができる。1つの例では、表示部108が携帯電話であるときの所定の数は、表示部108が高処理能力のコンピュータであるときの所定の数よりも低くできる。いくつかの実施例では、所定の数は臨床医もしくは患者の個人的な好みに基づいて臨床医により決定される。
【0032】
図6は、本開示の方法及び放射線治療装置の特定の治療装置を利用して生成されるビデオグラフィック表示600の一例を図示する。多数の他のタイプの表示がここでの教示に基づいて生成されることが理解される。ビデオグラフィック表示600は、患者の人体構造602のグラフィックもしくはビデオグラフィック表現を含むことができる。
図6の例では、人体構造602は、肺、心臓、脊椎及び腹部を含む。人体構造602はまた、例えば、治療されるべき腫瘍603を含むことができる。
【0033】
ビデオグラフィック表示600は、2次元もしくは3次元であってもよい。一実施例では、ビデオグラフィック表示600における多次元データがイメージング装置104及び治療装置102からプロセッサ106により取得されるデータの組み合わせとすることができる。患者の異なる方向に対する2次元画像データがイメージング装置104及び治療装置102からプロセッサ106により取得され、この2次元データが組み合わされて3次元データを形成することができる。その組み合わせは、例えば3次元再構築や三角形分割などの再構築アルゴリズムを用いて実行されてもよい。いくつかのそのような再構築アルゴリズムは、異なる2次元画像での画素を整合させることと、3次元空間をサンプリングすることと、(例えば分散、共分散などの統計技術に基づき、)(例えば、色、解剖学的テクスチャなどの)1つもしくはそれ以上の画像パラメータを相関させる一貫性関数を決定することと、各2次元データにおける各画素を3次元におけるベクトルにマッピングすることなどの少なくとも1つの技術を含むことができる。ビデオグラフィック表示600が2次元以上を有するとき、異なる角度から治療を考えるために、ユーザにより押される例えば604などのボタンが提供される。代わりに、タッチスクリーン上でのスワイプが同一の機能を実行させてもよい。一実施例では、ユーザは例えば606及び608などのボタンを用いて多次元表示を拡大もしくは縮小させることができる。
【0034】
異なる人体構造もしくは例えば治療のために目標とされる人体構造の領域などの他の領域を囲むリアルタイム輪郭は、ビデオグラフィック表示内に含まれてもよい。輪郭は異なる色で表示されてもよい。例えば、その表示は、腫瘍603の周りの輪郭610を含んでもよく、それは赤色で表示されてもよい一方で隣接する構造は青色の輪郭で囲まれてもよい。種々の構造はまた、必要に応じて内部シェーディング(陰影付け)を含んでもよく、それは部分的に半透明であってもよい。治療装置102が放射線治療である例では、表示は、(典型的には腫瘍603の外側からある距離まで延伸される)計画された治療ビームの位置を表す付加的な輪郭612を含んでもよい。
【0035】
一実施例では、ビデオグラフィック表示600は、(例えば、臨床医もしくは表示部108のユーザなどの)ユーザが見ることを要求してもよい輪郭を選択できるオプションを含むことができる。例えば、もしユーザが腫瘍に対する輪郭だけを見ることを要求するのであれば、ユーザはまさのその輪郭を選択することができる。
【0036】
治療データは、ビデオグラフィック表示600内に含まれてもよい。例えば、放射線治療装置を利用する
図6の例において図示されるように、ビーム表現614が含まれる。(取得されるリアルタイム治療データにより決定される)治療の間に実際のビームの動作に対応して、ビーム表現はオン及びオフされてもよいし、映像が進展するにつれて形状、角度もしくは強度を変化させてもよい。リアルタイム画像データが静止して可視状態となるように、治療データは半透明とすることができる。ビームのこの表現は、計画された治療計画と一致してオン及びオフするビームを表現してもよく、それらは(患者の動きもしくは通常の臓器の動きの結果として発生に応じて)計画された治療ビームの位置を表す輪郭612を超えて移動する目標となる腫瘍603の結果としてオン及びオフすることを表現してもよい。放射ビーム治療データは、多くの他の方法で表現されてもよい。治療データのもう1つの例の表現は、累積された放射線堆積量の指標を含む。例えば、放射線量は治療の進行にわたって蓄積されるので、放射線量が堆積される領域はより暗い色に変わるようにしてもよい。
【0037】
ビデオグラフィック表示600はまた、例えば患者識別子(ID)、種々の輪郭の色、及び付加的な治療データなどの付加的なデータを表示するための情報表示622を含んでもよい。付加的な治療データの例は、全体の堆積された放射線量、治療時間、ビームオンタイムなどを含む。いくつかの実施例では、堆積された放射線量が治療の間に増加するので、その量はリアルタイムで変化させることができる。
【0038】
他の治療データは、他の治療装置が使用されるとき、ビデオグラフィック表示600内に含まれる。例えば、治療装置102がロボット外科手術用アーム306もしくは外科手術用メス406であるとき、メスもしくは外科手術装置の表現が描写される。代わりに、切開が行われている場所の表現が描写されるか、もしくは治療データの表現がイメージングデータ自身から簡単に目に見える状態となってもよい。表示はまた、治療を実行する医療専門家のすべてもしくは一部を描写するように構成されてもよい。多数の他のタイプの治療データもしくは治療データと他のデータとの組み合わせが描写される。いくつかの実施例では、ユーザにはオプションが提供されて一連の治療データのどれかを選択し、ユーザが見ることを要求しまた任意の他のデータもしくはイメージングデータでさえも描写させるかどうかを選択することを要求する。
【0039】
2,3の実施例が詳細に上述されたが、他の変形例が可能である。例えば、
図5で図示されかつここで説明された方法は、望ましい結果を得るためには、図示された特定の順番、もしくはシーケンシャルの順番は必要とされない。
【0040】
開示された複数の原理に従った種々の複数の実施例が上述説明された一方で、それらは例示だけの方法により提示されたのであって、限定されないということが理解されるべきである。従って、1つのもしくは複数の発明の広さ及び範囲は、上述説明された例示的な複数の実施形態のいずれかにより限定されるべきでないが、この開示から公表する特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってだけに定義されるべきである。本開示において、ここでの実施例で開示される計算がここで教示された同一の概念を適用して多くの方法で実行されてもよく、そのような計算は開示される実施例と均等であるということが理解される。さらに、上述説明された複数の利点は、任意の発行された特許請求の範囲の、複数の利点のいずれかもしくはすべてを伴う複数のプロセス及び複数の構造に対する応用を制限することは意図されない。
【0041】
さらに、セクションの冒頭説明は、この開示から公表されるかもしれないいくつかの複数の請求項において設定される1つのもしくは複数の発明を制限しないであろうし、特徴付けもしないであろう。特に、実施例の方法により、冒頭説明は「技術分野」と呼ぶのだけれど、かかる特許請求の範囲は、いわゆる技術分野を説明するためのこの冒頭説明のもとで選択された言語により制限されるべきでない。さらに、「背景技術」における技術説明は、技術がこの開示における任意の1つのもしくは複数の発明に対する従来技術であることの自白として解釈されるべきでない。「課題を解決するための手段」もまた、公表された特許請求の範囲において説明された1つのもしくは複数の発明の特徴として解釈されるべきでない。さらに、一般的にこの開示に対する任意の参照、もしくは単数における言語「発明」の使用は以下に説明された複数の請求項の範囲に関して任意の制限を意味することは意図されない。複数の発明は、この開示から公表する複数の請求項の複数の限定に従って説明されてもよく、従ってそれらにより保護される複数の請求項は、1つのもしくは複数の発明及びそれらの複数の均等物を定義する。