特許第6441246号(P6441246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441246
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】ゲーム機の施錠装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   A63F5/04 512C
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-32533(P2016-32533)
(22)【出願日】2016年2月23日
(65)【公開番号】特開2017-148197(P2017-148197A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】591016138
【氏名又は名称】中東産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】中村 農史
(72)【発明者】
【氏名】中村 常男
(72)【発明者】
【氏名】中村 白
【審査官】 森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−033465(JP,A)
【文献】 特開2012−024623(JP,A)
【文献】 特開2009−254559(JP,A)
【文献】 特開2004−180886(JP,A)
【文献】 特開2005−111223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム機のキャビネット内に、前扉を一体に設けた引出し装置が該キャビネットの前面開口部から引き出し可能に配設され、該引出し装置を施錠するゲーム機の施錠装置において、
該キャビネット内の両側に取り付けられ、係止部を設けた受け金具と、該引出し装置の内側に取り付けられ、該両側の受け金具の係止部に係止される鉤部を両側に設けた施錠部と、を具備し、
該施錠部は、
両側に配した1対の縦基枠部の間に、横基枠部を連結して形成された門形基枠と、
該両側の縦基枠部に各々上下に摺動可能に取り付けられ、該鉤部を有した施錠杆と、
該横基枠部に取り付けられたシリンダ錠と、
該シリンダ錠の錠軸にリンクカムを介して連結され、該横基枠部に摺動可能に取り付けられた連結作動杆と、
該横基枠部の両側端部に回動可能に軸支されるとともに該連結作動杆の両側端部に連結された作動片と、
該両側の施錠杆を該鉤部の該係止部との係止方向に付勢するばね部材と、
を備え、
該シリンダ錠を解錠操作したとき、該リンクカムを介して該連結作動杆が解錠方向に摺動して該両側の作動片が回動し、該作動片の回動によって該両側の施錠杆が解錠方向に摺動し、前記施錠部が解錠されることを特徴とするゲーム機の施錠装置。
【請求項2】
前記施錠杆には、施錠状態の該施錠杆を、解錠操作時を除きロックするロック部材が揺動可能に軸支され、該ロック部材には前記受け金具の係止部に係止可能な被係止部が設けられるとともに、前記作動片が係合可能な係合部が設けられ、解錠操作時、該作動片が該係合部に係合して該ロック部材をアンロック動作させ且つ該施錠杆を解錠方向に摺動させることを特徴とする請求項1記載のゲーム機の施錠装置。
【請求項3】
前記キャビネットの前記前扉の上側に、上前扉が上側に開放可能に取り付けられ、該上前扉の内側に、該上前扉を施錠する上扉施錠具が取り付けられ、前記引出し装置の施錠部を解錠して該引出し装置を引出した状態で、該上扉施錠具が解錠可能とされることを特徴とする請求項1記載のゲーム機の施錠装置。
【請求項4】
前記上扉施錠具には横長の上扉用基枠が設けられ、両側に鉤部を設けた横長の上扉鉤部材が該上扉用基枠内に上下に回動可能に枢支され、該上扉鉤部材に回動操作用のレバーが設けられ、該上前扉を閉じたとき、該上扉施錠具の該上扉鉤部材の該両側の鉤部が該キャビネット側に設けた受け金具に係止されることを特徴とする請求項3記載のゲーム機の施錠装置。
【請求項5】
前記上扉施錠具の受け金具の上扉用係止部は、前記引出し装置の施錠部を施錠する前記係止部の取付枠に設けられたことを特徴とする請求項4記載のゲーム機の施錠装置。
【請求項6】
前記両側の施錠杆及び前記両側の受け金具は縦長に形成され、前記鉤部が該施錠杆の上部と下部に設けられるとともに、該鉤部に係止される係止部が該受け金具の上部と下部に設けられたことを特徴とする請求項1記載のゲーム機の施錠装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機の施錠装置に関し、特にスロットマインなどのゲーム機において前部に設けた引出し装置を施錠する施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スロットマシンは、通常、キャビネット内の上部に、回転して図柄を表示するリールを設けたリールユニットが配設され、その下部に、メダルを払い出すメダル払出し装置が配設され、キャビネットの前面を、前扉により開閉可能に閉鎖するように構成される。前扉は、通常、左側部をヒンジ装置により開閉可能に支持され、前扉の前面には、スタートスイッチ、ストップスイッチなどのスイッチ類、装飾ランプなどが設けられる。また、前扉の右側部に、シリンダ錠を備えた施錠装置が取り付けられ、その施錠装置により前扉がキャビネットに対し施錠される。
【0003】
一方、スロットマシンでは、点検時、メダル充填時などに、上部のリールユニットと下部のメダル払出し装置とが、別々に調整し或いは点検することが行われるため、上部のリールユニットと下部のメダル払出し装置とをキャビネットごと分離し、それらに上前扉と下前扉を設け、別々に扉を開閉可能とした分離型のスロットマシンが、下記特許文献1などで提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−250959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記スロットマシンは、営業中などに、メダル払出し装置にメダルを補充する際、前扉を開いてメダルを払出し装置に補充するが、このとき、下前扉の施錠装置を解錠して下前扉のみを開き、図柄を表示するリールを設けたリールユニットを開かずに、メダル払出し装置にメダルを補充することができる。
【0006】
しかしながら、このスロットマシンの下前扉は、スイッチ類や装飾部などが前方に突出し、左側部に設けたヒンジ装置を介して右開きを行うように構成されるため、下前扉を開放したとき、下前扉の前突出部がキャビネットの左側面からさらに左側に突出し、その下前扉の突出部分がホールの島に設置された隣接機器と干渉しやすいという不具合があった。
【0007】
そこで、下前扉を下部引出しとして構成するとともに、メダル払出し装置を下部引出し内に配設し、キャビネット内から下部引出しを引き出し可能に配設した構造のスロットマシンが検討された。下部引出し内には、メダル払出し装置が内蔵されるため、下部引出しにはそれを施錠する安全性の高い施錠装置が必要とされる。
【0008】
従来のゲーム機の前扉を施錠する施錠装置は、種々の構造のものが製造されているが、何れの施錠装置も、前扉がその左側部を、ヒンジ装置を介して横開き可能に取り付けられるため、ヒンジ装置と反対側の側部のみに施錠装置を設けて構成される。このため、ヒンジ装置を有しない下部引出しに、従来の施錠装置をそのまま適用した場合、一方の片側側部のみが施錠され、他方の片側は無施錠となり、セキュリティ上問題が生じやすい。
【0009】
仮に、上記下前扉とメダル払出し装置を一体化した下部引出しに、別々の施錠装置をその両側に取り付けた場合、解錠時には、別々のキーを用いて、左右別個の施錠装置を解錠操作する必要があり、解錠操作が煩雑化する。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、キャビネットの前部に引き出し可能に配設された引出し装置を、高い安全性で施錠し、良好な操作性で解錠することができるゲーム機の施錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るゲーム機の施錠装置は、
ゲーム機のキャビネット内に、前扉を一体に設けた引出し装置が該キャビネットの前面開口部から引き出し可能に配設され、該引出し装置を施錠するゲーム機の施錠装置において、
該キャビネット内の両側に取り付けられ、係止部を設けた受け金具と、該引出し装置の内側に取り付けられ、該両側の受け金具の係止部に係止される鉤部を両側に設けた施錠部と、を具備し、
該施錠部は、
両側に配した1対の縦基枠部の間に、横基枠部を連結して形成された門形基枠と、
該両側の縦基枠部に各々上下に摺動可能に取り付けられ、該鉤部を有した施錠杆と、
該横基枠部に取り付けられたシリンダ錠と、
該シリンダ錠の錠軸にリンクカムを介して連結され、該横基枠部に摺動可能に取り付けられた連結作動杆と、
該横基枠部の両側端部に回動可能に軸支されるとともに該連結作動杆の両側端部に連結された作動片と、
該両側の施錠杆を該鉤部の該係止部との係止方向に付勢するばね部材と、
を備え、
該シリンダ錠を解錠操作したとき、該リンクカムを介して該連結作動杆が解錠方向に摺動して該両側の作動片が回動し、該作動片の回動によって該両側の施錠杆が解錠方向に摺動し、前記施錠部が解錠されることを特徴とする。
【0012】
このゲーム機の施錠装置によれば、キャビネット内に、前扉を一体に設けた引出し装置がキャビネットの前面開口部から引き出し可能に配設されたゲーム機であっても、施錠部の両側に設けた施錠杆が、引出し装置の両側部を確実に施錠してロックするため、高い安全性をもって引出し装置を施錠することができる。また、解錠時には、横基枠部に設けた1本のシリンダ錠を解錠操作するのみで、簡単に解錠することができる。
【0013】
ここで、上記施錠杆には、施錠状態の施錠杆を、解錠操作時を除きロックするロック部材が揺動可能に軸支され、ロック部材には上記受け金具の係止部に係止可能な被係止部が設けられるとともに、作動片が係合可能な係合部が設けられ、解錠操作時、作動片が係合部に係合してロック部材をアンロック動作させ且つ施錠杆を解錠方向に摺動させるように構成することができる。これによれば、施錠状態の施錠杆は、ロック部材によって解錠操作時を除きロックされるので、針金などの不正工具を差し込んで施錠杆を不正に動かす不正解錠を防止することができる。
【0014】
またここで、上記施錠装置において、上記キャビネットの前扉の上側に、上前扉が上側に開放可能に取り付けられる場合、上前扉の内側に、上前扉を施錠する上扉施錠具を取り付け、上記引出し装置の施錠部を解錠して引出し装置を引出した状態で、上扉施錠具を解錠可能とするように構成することができる。これによれば、シリンダ錠を解錠操作して引出し装置を引出さない限り、上前扉の上扉施錠具を解錠することができないので、簡単な構成の上扉施錠具により、上前扉を確実に施錠することができる。
【0015】
またここで、上記施錠装置において、上記上扉施錠具には横長の上扉用基枠が設けられ、両側に鉤部を設けた横長の上扉鉤部材が上扉用基枠内に上下に回動可能に枢支され、該上扉鉤部材には回動操作用のレバーが設けられ、上前扉を閉じたとき、該上扉鉤部材の両側の鉤部がキャビネット側に設けた受け金具に係止されるように構成することができる。これによれば、上前扉を閉じるのみの簡単な操作で、上扉施錠具の両側の鉤部がキャビネット側の受け金具に係止され、上前扉を容易に施錠することができる。
【0016】
またここで、上記上扉施錠具の受け金具の上扉用係止部は、上記引出し装置の施錠部を施錠する係止部の取付枠に設けることが好ましい。これによれば、上記上前扉用の受け金具が引出し装置の施錠部の受け金具と共用されるので、部品数を削減し、構造を簡単化することができ、引出し装置を開いた状態で、レバーを引くことにより、上前扉を容易に開放することができる。
【0017】
またここで、上記両側の施錠杆及び上記両側の受け金具は縦長に形成され、上記鉤部が該施錠杆の上部と下部に設けられるとともに、該鉤部に係止される係止部が該受け金具の上部と下部に設けられた構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明の施錠装置によれば、キャビネットの前部に引き出し可能に配設された引出し装置を、高い安全性で施錠し、良好な操作性で解錠することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態を示すゲーム機(スロットマシン)の斜視図である。
図2】キャビネットから引出し装置を引き出し、上前扉を上側に開いた状態の、内部を省略した斜視図である。
図3】施錠装置の構成を示すゲーム機の縦断面図である。
図4】キャビネットから引出し装置を引き出し、上前扉を上側に開いた状態の、内部を省略した縦断面図である。
図5】キャビネットを仮想線で示し、施錠装置を背面側から見た斜視図である。
図6】キャビネットを破断して引出し装置を背面側から見たときの、施錠装置の左側部分斜視図である。
図7】キャビネットを破断して引出し装置の背面側から見たときの、施錠装置の右側部分斜視図である。
図8図6のA−A断面図である。
図9】施錠部、受け金具、及び上扉施錠部の構成を示す斜視図である。
図10】施錠部、受け金具、及び上扉施錠部の構成を示す分解斜視図である。
図11】施錠部のシリンダ錠、横基枠部、連結作動杆の分解斜視図である。
図12】施錠部の左側の縦基枠部、施錠杆、ロック部材の分解斜視図である。
図13】施錠部の右側の縦基枠部、施錠杆、ロック部材の分解斜視図である。
図14】引出し装置を閉じて施錠する際の動作説明斜視図である。
図15】引出し装置を閉じて施錠する際の動作説明斜視図である。
図16】シリンダ錠を解錠操作して引出し装置を解錠する際の動作説明斜視図である。
図17】上前扉を解錠する際の動作説明斜視図である。
図18】他の実施形態を示す、上前扉の閉鎖時の動作説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1はゲーム機としてのスロットマシンの斜視図を示し、このスロットマシンのキャビネット1には、その前面開口部の下側に、前扉を一体に設けた引出し装置2が引き出し可能に配設され、その上側に、上前扉6が、撥ね上げ式扉として、上側に開放可能に取り付けられる(図2)。
【0021】
引出し装置2は、図3図4などに示す如く、引出し本体4の両側にスライドレール3を取り付け、引出し本体4の前面に下前扉部を取り付けて構成され、下前扉部には、スタートスイッチ、ベットスイッチなどのスイッチ類、装飾ランプ、装飾モールなどの装飾類が取り付けられている。なお、引出し装置2の引出し本体4内には、図示を省略しているが、メダル用ホッパーなどを含むメダル払出し装置が配設され、メダルの充填や点検時などに、下前扉部に配置したシリンダ錠18をキーにより操作して、本施錠装置の施錠部10を解錠し、引出し装置2を引き出す構造である。
【0022】
また、図2に示すように、キャビネット1の前面開口部の上側には、上前扉6が、上部に設けた上扉ヒンジ8を介して、上開き式に撥ね上げるように開放可能に取り付けられる。上前扉6には、図示を省略しているが、複数の図柄を回転表示するリールユニット用の表示スペース、ストップスイッチ、計数表示部、装飾ランプなどが装着される。上前扉6の下部に、上扉施錠具7が取り付けられ、上前扉6を閉じたとき、上扉施錠具7によりキャビネット1に対し上前扉6が閉鎖され施錠される。
【0023】
上扉施錠具7は、図6図7などに示すように、横長枠状の上扉用基枠30を有して構成され、上扉用基枠30内に、横長枠状の上扉鉤部材31が、両側の支軸33を介して、上下に回動可能に軸支される。上扉鉤部材31の両側端部には、鉤部31a、31bが一体に設けられている。両端の鉤部31a,31bは、係止フックを上向きに配したフック形状に形成され、図17に示すように、キャビネット1側の受け金具40,41の上扉用係止部41a,41bに、係止されて施錠される。また、上扉鉤部材31は、支軸33に装着したばね部材(トーションバネ)32により、施錠方向(上方向)に付勢される。上扉鉤部材31の中間部に、解錠操作用のレバー31cが設けられる。
【0024】
上扉施錠具7は、上前扉6を閉じる側に回動操作したとき、上扉鉤部材31の鉤部31a、31bが、受け金具40,41の上扉用係止部41a,41bに当って回動した後、ばね部材32の付勢力により戻り、上扉用係止部41a,41bに係止され、施錠される。解錠操作時には、このレバー31cを図17のように正面側に引き、これにより、上扉鉤部材31を下側に回動させ、両端の鉤部31a,31bを下側に回動させて、上扉施錠具7を解錠する。このレバー31cは、通常時、引出し装置2の下前扉の内側に位置し、必然的に引出し装置2を解錠して引出した状態で、解錠操作が可能となる。
【0025】
施錠装置の受け金具40,41は、図9などに示すように、縦長の取付枠40d、41dの内側に、係止ピン状の上扉用係止部40a,41a及び係止部40b、40cを突設して構成される。受け金具40,41の取付枠40d、41dは、キャビネット1内の両側面に縦に固定され、引出し装置2の受け金具と上扉施錠具7の受け金具とが共用される構造である。つまり、両側の受け金具40,41の取付枠40d、41dの上部には、上扉用係止部40a,41aが突設され、その中間部から下部には、引出し装置2の施錠杆16,17が係止される2対のピン状の係止部40b、40c、41b、41cが、間隔をおいて突設される。
【0026】
上扉施錠具7の鉤部31a、31bは受け金具40,41の上部に設けた上扉用係止部40a,41aに係止されて施錠される。後述の引出し装置2の両側に設けた施錠杆16,17の2対の鉤部16a,16b,17a,17bは、受け金具40,41の2対の係止部40b、40c、41b、41cに係止される。
【0027】
引出し装置2の施錠装置は、図9図13に示す如く、門形基枠11を有し、2対の鉤部16a,16b,17a,17bを両側の施錠杆16,17に設けた施錠部10と、その両側の施錠杆16,17の鉤部16a,16b,17a,17bが係止される受け金具40,41と、を備えて構成される。施錠部10の門形基枠11は、水平に配置されるチャンネル状の横基枠部12の両側に、縦基枠部13,14を直角に連結固定して形成される。
【0028】
断面コ字状に形成されたチャンネル状の横基枠部12の正面側には、図11に示す如く、シリンダ錠18がそのキー孔先端部を正面に突出すように、末端部に設けたフランジ18bを介して取り付けられる。シリンダ錠18の末端の錠軸18aに、リンクカム19が固定され、リンクカム19の先端は、連結作動杆15にリンクされる。図示は省略されるが、フランジ18b内にトーションバネが設けられ、このトーションバネによって、シリンダ錠18の錠軸18a及びリンクカム19は、常時、ニュートラル位置に付勢される。このため、シリンダ錠18の解錠操作(回動操作)後には、錠軸18a及びリンクカム19は、ばね力でニュートラル位置に復帰するようになっている。また、シリンダ錠18の非操作時、リンクカム19、連結作動杆15及び作動片20,21は、上記トーションバネにより、図6などに示すニュートラル位置(施錠位置)に保持されることとなる。
【0029】
シリンダ錠18を横基枠部12に固定する場合、横基枠部12の左寄りに穿設した大径孔に、背面側からシリンダ錠18を挿入し、フランジ18bを横基枠部12内面にねじ止めし、シリンダ錠18は横基枠部12に取り付けられる。連結作動杆15は、図11に示す如く、横基枠部12の長手方向に沿って、長孔とリベットの嵌合により所定の横幅範囲内で摺動可能に、横基枠部12の背面に取り付けられる。
【0030】
図11に示すように、横基枠部12の左端部に、作動片20が回動可能に軸支され、作動片20の下部に連結作動杆15の左端部がリンクされる。作動片20はフック状の先端部を左上向きにして形成される。また、同様に、横基枠部12の右端部に、作動片21が回動可能に軸支され、作動片21の下部に連結作動杆15の右端部がリンクされる。作動片21はフック状の先端部を右上向きにして形成される。
【0031】
従って、シリンダ錠18にキーを差し込み右に回すと、図16に示す如く、連結作動杆15は背面視右側に移動し、その左端に連結される作動片20は、そのフック状の上端部を、図16の反時計方向に回動させ、その右端に連結される作動片21は、そのフック状の右上端部を、時計方向に回動させる。
【0032】
これにより、左側の作動片20はそのフック状先端部で、ロック部材22の係合部22aを介して、背面視左側の施錠杆16を押し下げる構造である。また、同様に、右側の作動片21はそのフック状先端部で、ロック部材23の係合部23aを介して、背面視右側の施錠杆17を押し下げる構造である。図9図10などに示すように、施錠杆16は、長孔とガイドピンとの係合により、縦基枠部13の内側に、僅かな範囲で上下摺動可能に取り付けられる。施錠杆17は、長孔とガイドピンとの係合により、縦基枠部14の内側に、僅かな範囲で上下摺動可能に取り付けられる。
【0033】
解錠操作時、作動片20、21の回動により両側の施錠杆16,17が押し下げられて、鉤部16a,16b,17a,17bによる受け金具40,41の係止部40b、40c、41b、41cの係合が解除されるが、このとき、ロック部材22,23が作動片20,21の押下動作により、その下部の被係止部22b、23bと受け金具40,41との係合を解除するようになっている。
【0034】
ロック部材22,23は、施錠状態の施錠杆16、17をロックするための部材であり、図12図13に示す如く、各々、施錠杆16、17の上部に、支軸を介して僅かな角度で揺動可能に軸支される。ロック部材22,23の上部には、各々の上部に係合部22a,23aが直角に曲折して形成され、各々の下部に、施錠時、受け金具40,41の係止部40b、41bと係合する被係止部22b、23bが設けられる。図8などに示すように、ロック部材22,23には、各々、ばね部材(コイルばね)24,25が縦基枠部13,14との間に掛けられ、このばね部材(コイルばね)24,25によって、ロック部材22,23は、図8の時計方向のロック位置側に付勢され、且つ施錠杆16,17は施錠側(上側)に付勢される。
【0035】
一方、図12図13のように、施錠杆16、17の上部には、溝16c、17cが設けられ、ロック部材22,23の曲折した係合部22a,23aがこの溝16c、17c内に挿入される。また、この溝16c、17cの幅は、内側に挿入されるロック部材22,23の係合部22a,23aが、作動片20、21の回動に伴い押し下げられたとき、ロック部材22,23の下部の被係止部22b、23bが受け金具40,41の係止部40b、41bのロックを外す範囲で回動可能な幅に形成されている。
【0036】
さらに、施錠杆16、17の上部と下部には、各々、凹部の真下に鉤部16a,16b,17a,17bが上向きに形成され、引出し装置2を閉じたとき、キャビネット1側の受け金具40、41の係止部40b、40c、41b、41cが鉤部16a,16b,17a,17bの傾斜面に押し当てられて、施錠杆16,17が下降し、係止部40b、40c、41b、41cが鉤部16a,16b,17a,17b上側の凹部に嵌り施錠される構造である。
【0037】
このために、縦基枠部13,14の上部と下部には、図12図13に示す如く、各々1対の凹部13a、14aが設けられ、施錠時の受け金具40,41の係止部40b、40c、41b、41cは、図8に示す如く、これらの凹部13a、14a内に進入し保持される。また、施錠時、ロック部材22,23の下部に設けた被係止部22b、23bは、上記凹部13a、14aの真上に位置し、受け金具40,41の係止部40b、41bと係合可能とされて、施錠状態における施錠杆16,17の解錠側への動きをロックする。
【0038】
このように、施錠部10の両側の施錠杆16,17は、キャビネット1に対し引出し装置2を押し込み、閉じると、図14に示すように、先ず、施錠杆16,17は、受け金具40,41の係止部40b、40c、41b、41cによって押し下げられ、ばね部材24,25の付勢力に抗して下側に摺動する。このとき、係止部40b、40c、41b、41cが鉤部16a,16b,17a,17bの凹部に進入すると、ばね部材24,25の付勢力に施錠杆16,17がロック位置まで上昇し、図15に示すように、施錠状態となる構造である。
【0039】
そして、キーによりシリンダ錠18を解錠操作すると、図16に示すように、リンクカム19を介して連結作動杆15が右側に摺動し、これに伴い両端の作動片20、21がその先端を下げる方向に回動し、作動片20、21は、係合部22a,23aとともに、ロック部材22,23と施錠杆16,17を押し下げる。これにより、図16に示すように、ロック部材22,23がその被係止部22b、23bと受け金具40,41の係止部40b、41bとの係合を外すように回動且つ下降し、施錠杆16,17の鉤部16a,16b,17a,17bが係止部40b、40c、41b、41cから離れ、解錠されるようになっている。
【0040】
上記構成の施錠装置の施錠部10は、図2などに示す如く、スロットマシンの下部の引出し装置2の内側に取り付けられ、その施錠杆16,17の鉤部16a,16b,17a,17bに対応して、受け金具40,41が、キャビネット1内の両側面に、取り付けられる。上扉施錠具7は、その上扉鉤部材31が受け金具40,41の上扉用係止部40a,41aに対応する位置で、上前扉6の下部内側に取り付けられる。
【0041】
図4のように上方に開放された上前扉6は、そのまま下側に回動させて閉じると、上扉施錠具7の上扉鉤部材31が作動して施錠される。このとき、上扉鉤部材31の鉤部31a,31bは、キャビネット1側の受け金具40,41の上扉用係止部40a,41aに当たり、上扉鉤部材31が下側に回動され、フック状の鉤部31a,31bが上扉用係止部40a,41aに係止されて、上扉鉤部材31が上側に戻り、図8に示すように施錠状態となり、上前扉6の上扉施錠具7は施錠される。
【0042】
図4のように引出された状態の引出し装置2を、キャビネット1内に押し込むと、その施錠部10が作動して、両側の施錠杆16,17の2対の鉤部16a,16b,17a,17bが両側の受け金具40,41の係止部40b、40c、41b、41cに係止され、施錠される。
【0043】
このとき、引出し装置2をキャビネット1内に押し込むと、図14に示す如く、先ず、受け金具40,41の係止部40b、40c、41b、41cによって施錠杆16,17が押し下げられ、施錠杆16,17はばね部材24,25の付勢力に抗して下側に摺動する。そして、受け金具40,41の係止部40b、40c、41b、41cが施錠杆16,17の2対の鉤部16a,16b,17a,17bの凹部に進入すると、ばね部材24,25の付勢力に施錠杆16,17が施錠位置まで上昇し、図15に示すように、施錠状態となる。
【0044】
このような施錠状態では、図8に示すように、ロック部材22,23の被係止部22b、23bが受け金具40,41の係止部40b、41bと係合する位置になってロックされるため、仮に施錠杆16,17が不正に解錠側(下側)への移動力を受けたとしても、移動できず、不正解錠は防止される。
【0045】
一方、シリンダ錠18にキーを差し込み、右に回して解錠操作すると、図16に示すように、リンクカム19を介して連結作動杆15が図の右側に摺動し、これに伴い両端の作動片20、21がその先端を下げる方向に回動し、作動片20、21は、係合部22a,23aとともに、ロック部材22,23と施錠杆16,17を押し下げる。
【0046】
これにより、図16に示す如く、ロック部材22,23がその被係止部22b、23bと受け金具40,41の係止部40b、41bとの係合を外すように回動且つ下降し、両側の施錠杆16,17における2対の鉤部16a,16b,17a,17bが、受け金具40,41の係止部40b、40c、41b、41cから離れ、解錠状態となり、引出し装置2の引き出しが可能となる。
【0047】
そして、引出し装置2を解錠して引き出せば、上扉施錠具7の上扉鉤部材31の解錠用のレバー31cが現れる。したがって、上前扉6を開く場合には、この状態で、図17に示すように、レバー31cを手前に引くと、上扉鉤部材31が下側に回動し、その両側の鉤部31a,31bが上扉用係止部40a,41aから外れ、上扉施錠具7が解錠される。
【0048】
図18は他の実施形態の上扉施錠具7を示している。図18に示す上扉施錠具7には、上記上扉用基枠30の両側の側壁30aに、転動支持用のローラ34が回転自在に取り付けられ、両側の受け金具40,41に、滑り支持板44が取り付けられる。
【0049】
これにより、上前扉6を閉じる際、ローラ34が滑り支持板40e上を転動し、上前扉6がローラ34と滑り支持板40eを介して円滑に閉鎖できるようになっている。また、閉鎖する際及び閉鎖状態で、上前扉6側のローラ34がキャビネット1側の滑り支持板40e上で支持されるため、上前扉6の自重による垂れ下がりが防止される。さらに、閉鎖状態で、上前扉6の自重が滑り支持板40e上で支持されるため、仮に上前扉6を無理に押し下げる不正荷重が印加されたとしても、上前扉6がずれて隙間などが生じる不具合は防止される。
【0050】
なお、ローラ34は、摩擦係数の小さい合成樹脂製の滑り部材に代えることもできる。その場合には、良好な滑り性を有する合成樹脂製の滑り部材が、上扉用基枠30の両側の側壁30aに取り付けられる。これにより、上前扉6を閉鎖するとき、滑り部材が滑り支持板40e上に接触し、滑り部材が滑り支持板40e上を円滑に滑りながら、上前扉6が閉じられる。また、閉鎖する際及び閉鎖状態で、上前扉6側の滑り部材がキャビネット1側の滑り支持板40e上で支持されるため、上前扉6の自重による垂れ下がりが防止される。
【0051】
このように、キャビネット1内に、下前扉を一体に設けた引出し装置2がキャビネットの前面開口部から引き出し可能に配設されたスロットマシン等のゲーム機であっても、施錠部10の両側に設けた施錠杆16,17が、引出し装置2の両側部を確実に施錠してロックするため、高い安全性をもって引出し装置2を施錠することができる。また、解錠時には、門形基枠11の横基枠部12に設けた1本のシリンダ錠18を解錠操作するのみで、簡単に解錠することができる。
【0052】
また、施錠杆16,17には、施錠状態の施錠杆を、解錠操作時を除きロックするロック部材22、23が揺動可能に軸支され、ロック部材22、23には受け金具40,41の係止部40b、41bに係止可能な被係止部22b,23bが設けられ、作動片20、21が係合可能な係合部22a,23aが設けられ、解錠操作時、作動片20,21が係合部22a,23aに係合してロック部材22,23をアンロック動作させ、且つ施錠杆16,17を解錠方向に摺動させるので、施錠状態の施錠杆16,17は、ロック部材22,23によって解錠操作時を除きロックされ、針金などの不正工具を差し込んで施錠杆を不正に動かす不正解錠を防止することができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、引出し装置2はキャビネット1の下部に設けたが、引出し装置を中間部や上部に引き出し可能に設けることもできる。また、キャビネット1の上部に、上開き式の上前扉6を設け、そこに上扉施錠具7を設け、上扉鉤部材31を、受け金具40,41の上扉用係止部40a,41aに係止させて、上前扉6を施錠するように構成したが、上前扉は他の横開き構造などとすることもでき、上扉用係止部は別の受け金具に設けることもできる。
【符号の説明】
【0054】
1 キャビネット
2 引出し装置
3 スライドレール
4 引出し本体
6 上前扉
7 上扉施錠具
8 上扉ヒンジ
10 施錠部
11 門形基枠
12 横基枠部
13 縦基枠部
13a 凹部
14 縦基枠部
15 連結作動杆
16 施錠杆
16a 鉤部
16c 溝
17 施錠杆
18 シリンダ錠
18a 錠軸
18b フランジ
19 リンクカム
20 作動片
21 作動片
22 ロック部材
22a 係合部
22b 被係止部
23 ロック部材
23b 被係止部
24 ばね部材
30 上扉用基枠
31 上扉鉤部材
31a 鉤部
31c レバー
32 ばね部材
33 支軸
40 受け金具
40a 上扉用係止部
40b 係止部
40d 取付枠
41a 上扉用係止部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図16
図17
図18