(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441268
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】穿孔検査装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20181210BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G02B23/24 A
G02B23/24 B
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-157419(P2016-157419)
(22)【出願日】2016年8月10日
(65)【公開番号】特開2017-37075(P2017-37075A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】10 2015 010 225.7
(32)【優先日】2015年8月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513235603
【氏名又は名称】イェノプティク・インダストリアル・メトロロジー・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ルードルフ
【審査官】
齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−096996(JP,A)
【文献】
特開2012−112694(JP,A)
【文献】
特開2010−261950(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0238774(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/02
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査すべき穿孔(4)に挿入可能であり、穿孔(4)に対して相対的に異なる位置に移動可能である内視鏡として構成された測定ヘッド(8)であって、この測定ヘッドが、穿孔(4)の内面を写像するためのパノラマ視野を有する写像光学系(10)を備え、この写像光学系(10)が画像を伝送する形態でデジタル画像記録器(12)と接続されている、測定ヘッド(8)と、
この測定ヘッド(8)の異なる軸方向位置で撮影された画像を保存するメモリ(14)と、
このメモリに保存された画像を評価する評価機器(16)と、
を有する、加工物(6)の穿孔(4)を検査する穿孔検査装置(2)において、
穿孔(4)の内面の表面の深さ情報を取得するために、測定ヘッド(8)の一つの軸方向位置において、視野角範囲の境界を画定する周縁光線(32,34)の異なる二つの視野角(φ1,φ2)において観察される、穿孔(4)の内面の周囲を巡る二つの異なる表面箇所の母線(28,30)のパノラマ視野をそれぞれ二つの円(32,34)としてデジタル画像記録器(12)に写像し、
円として読み取られた画像(32,34)がそれぞれ一線ずつ直交座標画像に変換されてメモリ(14)に保存され、
測定ヘッド(8)を軸方向に動かしながら、穿孔(4)の内面の各表面箇所を所定の間隔で時間的に連続して撮影することで、それぞれ視野角(φ1,φ2)を一定にしながら撮影されたその時々の画像をメモリ(14)に保存していき、
測定ヘッド(8)が、穿孔(4)の軸方向の深さ全体を捕捉するまで軸方向に穿孔(4)に挿入された後では、メモリ(14)に保存された画像が、穿孔(4)の内面の全体を表すようにし、
これにより、その時々の表面箇所に関して写像光学系(10)の異なる二つの視野角(φ1,φ2)で連続して撮影されたそれぞれ視野角(φ1,φ2)が異なる二つの画像(36,38)を作成し、
この評価機器(16)が、その時々の表面箇所に関して写像光学系(10)の異なる二つの視野角(φ1,φ2)で連続して撮影されたそれぞれ視野角(φ1,φ2)が異なる二つの画像(36,38)を三次元再構成方法により評価するように構成、装備され、
当該の評価機器(16)が、表面箇所に関して異なる視野角で撮影された画像をステレオ三角測量方法により評価するように構成、装備され、
当該のその時々の表面箇所に関する異なる視野角が、測定ヘッド(8)の異なる軸方向位置に対応することを特徴とする穿孔検査装置。
【請求項2】
測定ヘッド(8)には、異なる軸方向位置を設定するために、そのため、有利には、内壁の一つの表面箇所に関して写像光学系(10)の異なる視野角を設定するために、制御機器(20)により駆動可能な送り機器(22)が配備されていることを特徴とする請求項1に記載の穿孔検査装置。
【請求項3】
測定ヘッド(8)のその時々の軸方向位置をその位置で撮影された画像に対応付けるために、当該の制御機器(20)が、測定ヘッド(8)のその時々の軸方向位置を表す位置データを評価機器(16)に伝送することを特徴とする請求項2に記載の穿孔検査装置。
【請求項4】
穿孔(4)の内面における写像光学系(10)により捕捉される写像範囲を明暗視野照明により照明する照明機器(24)が配備されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の穿孔検査装置。
【請求項5】
穿孔の内面を写像するためのパノラマ視野を有する写像光学系を備えている、内視鏡として構成された測定ヘッドが使用され、この写像光学系が画像を伝送する形態でデジタル画像記録器と接続され、この測定ヘッドが、穿孔に挿入されて、異なる軸方向位置に動かされ、
測定ヘッド(8)の一つの軸方向位置において、視野角範囲の境界を画定する周縁光線(32,34)の異なる二つの視野角(φ1,φ2)において観察される、穿孔の内面の周囲を巡る二つの異なる表面箇所の母線(28,30)の画像がそれぞれ円としてデジタル画像記録器(12)により撮影され、
この測定ヘッドの異なる軸方向位置で連続して撮影された画像が、メモリに保存され、 このメモリに保存された画像が、評価機器を用いて評価される、
加工物の穿孔を検査する穿孔検査方法において、
円として読み取られた母線(28,30)の画像(32,34)が一線ずつ直交座標画像に変換されてメモリ(14)に保存され、
測定ヘッド(8)を軸方向に動かしながら、穿孔(4)の内面の各表面箇所を所定の間隔で時間的に連続して撮影することで、それぞれ視野角(φ1,φ2)を一定にしながら撮影されたその時々の画像をメモリ(14)に保存していき、
測定ヘッド(8)が、穿孔(4)の軸方向の深さ全体を捕捉するまで軸方向に穿孔(4)に挿入された後では、メモリ(14)に保存された画像が、穿孔(4)の内面の全体を表すようにし、
これにより、その時々の表面箇所に関して写像光学系(10)の異なる二つの視野角(φ1,φ2)で連続して撮影されたそれぞれ視野角(φ1,φ2)が異なる二つの画像(36,38)を作成し、
その時々の表面箇所の表面の深さ情報を取得するために、内壁の一つの表面箇所に関して写像光学系(10)の異なる二つの視野角(φ1,φ2)で各表面箇所がそれぞれ撮影された前記二つの画像が三次元再構成方法により評価され、
穿孔の内面の表面の深さ情報を取得するために異なる視野角で撮影された画像が、ステレオ三角測量方法を用いて評価され、
当該のその時々の表面箇所に関する異なる視野角が、測定ヘッドの異なる軸方向位置に対応することを特徴とする穿孔検査方法。
【請求項6】
測定ヘッドは、異なる軸方向位置を設定するために、そのため、有利には、内壁の一つの表面箇所に関して写像光学系の異なる視野角を設定するために、制御機器により駆動可能な送り機器を用いて動かされることを特徴とする請求項5に記載の穿孔検査方法。
【請求項7】
測定ヘッドのその時々の軸方向位置をその位置で撮影された画像に対応付けるために、測定ヘッドのその時々の軸方向位置を表す位置データが、当該の制御機器から評価機器に伝送されることを特徴とする請求項6に記載の穿孔検査方法。
【請求項8】
穿孔の内面における写像光学系により捕捉される写像範囲が、照明機器を用いて、明暗視野照明により照明されることを特徴とする請求項5から7までのいずれか一つに記載の穿孔検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に挙げられた形式の加工物の穿孔を検査するための穿孔検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような穿孔検査装置は、内部検査センサとも、以下において、短く「装置」とも呼ばれ、例えば、燃焼エンジン用のクランク室内での穿孔検査時に用いられる。それらは、穿孔の半径方向の内面を撮影して、その画像に基づき、表面特性に関する所定の要件を満たしているかとの趣旨で、画像処理及びパターン認識方法により調べる役割を果たす。
【0003】
それに対応する装置は、例えば、特許文献1〜4により周知である。
【0004】
特許文献5により、例えば、内視鏡に基づく医学検査時に用いることができる、物体の内部を三次元写像するための写像システムが知られている。特許文献6により、医療用内視鏡が周知である。
【0005】
特許文献7により、白色干渉方式に基づき動作する、測定物体の面を計測する光学測定装置が知られている。
【0006】
特許文献8により、面の形状を計測する干渉式測定装置が周知である。
【0007】
特許文献9により、検査すべき穿孔に挿入可能であり、穿孔に対して相対的に異なる軸方向位置に移動可能な内視鏡として構成された測定ヘッドを有する、加工物の穿孔を検査する当該の形式の穿孔検査装置が知られており、その測定ヘッドは、穿孔の内面を写像するためのパノラマ視野を有する写像光学系を備え、その写像光学系は、画像を伝送する形態でデジタル画像記録器と接続されている。その周知の装置は、更に、測定ヘッドの異なる軸方向位置で撮影された画像を保存するメモリと、そのメモリ内に保存された画像を評価する評価機器とを有する。その文献により周知の検査装置は、速く正確な手法により穿孔を検査することを可能とする。
【0008】
同様の装置は、特許文献10と11によっても周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際特許公開第2009/003692号明細書
【特許文献2】ドイツ特許公開第4416493号明細書
【特許文献3】ドイツ特許第4320845号明細書
【特許文献4】ドイツ特許第3232904号明細書
【特許文献5】米国特許公開第2010/0048995号明細書
【特許文献6】米国特許公開第2014/0055982号明細書
【特許文献7】ドイツ特許公開第102004045808号明細書
【特許文献8】ドイツ特許公開第10131780号明細書
【特許文献9】ドイツ特許第102009019459号明細書
【特許文献10】ドイツ特許公開第102007031358号明細書
【特許文献11】ドイツ特許公開第102008009975号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Oliver Schreer,“Stereoanalyse und Bildsynthese”, Springer−Verlag 2005, ISBN 3−540−43439−X
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、穿孔の内壁における表面欠陥の検出に関して改善された、請求項1の上位概念に挙げられた形式の装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本課題は、請求項1に記載された発明によって解決される。
【0013】
本発明の基本的な考えは、穿孔の内面の表面の深さ情報を取得するのに適しているように周知の装置を修正することである。そのため、内面の画像内に保持され、それにより検出される表面の異常が窪み又は隆起である可能性があるので、この表面の深さ情報を取得することは、本発明の意味において重要である。それが窪みである場合、場合によっては、穿孔を中に持つ加工物を使用不可とする可能性の有る表面欠陥が出現している。それに対して、その異常が隆起である場合、場合によっては、それは、さもなければ欠陥の無い表面に付着した、除去できる汚れに起因するものである。そのため、表面の深さ情報は、穿孔検査装置を用いて検査される加工物の分類及び検査時における重要な情報である。
【0014】
穿孔を検査する場合、本発明による装置の測定ヘッドが穿孔に挿入されて、穿孔に対して相対的に異なる軸方向位置に動かされる。測定ヘッドの異なる軸方向位置において、画像が撮影され、その画像が保存されて、評価機器で評価される。本発明では、パノラマ視野を有する写像光学系、即ち、円周方向に360度の角度に渡り穿孔の内面を写像する写像光学系を使用することによって、測定ヘッドの各軸方向位置において、穿孔の内面における周囲を巡る閉じた母線に対応する画像がデジタル画像記録器に写像される。この母線は、軸方向において、直線形状とすることができる、即ち、例えば、画像記録器の一つの画素だけの幅又はそれより広い幅の直線とすることができる。
【0015】
そのため、測定ヘッドが穿孔を通して完全に動かされている間に、穿孔の内面全体が写像され、測定ヘッドの異なる軸方向位置で撮影された画像がメモリに保存されて、評価機器を用いて評価される。この場合、画像センサのデジタル出力信号は、特に、穿孔の内面を展開した画像である直交座標画像に変換することができる。これに関しては、特許文献10を参照されたい。次に、この結果得られた直交座標画像は、穿孔の内面の異常を検出するために、周知の画像処理及びパターン認識方法により調べることができる。
【0016】
このことを出発点として、本発明は、測定ヘッドを軸方向に動かしている間のその時々の写像光学系に関して有効な視野角範囲に対応した異なる視野角で所与の表面箇所が撮影されることを利用している。言い換えると、内壁の各表面箇所が複数の画像で、詳しくは、測定ヘッドのその時々の軸方向位置に対応した異なる視野角で写像される。
【0017】
このことを出発点として、本発明は、評価機器が一つの表面箇所に関して写像光学系の異なる視野角で撮影された画像を三次元再構成方法により評価するように構成、装備され、そのようにして、その時々の表面箇所に関する表面の深さ情報を取得すると規定する。
【0018】
例えば、特に、三次元再構成方法として、ステレオ三角測量方法を使用することができる。
【0019】
このステレオ三角測量方法の基本構成では、測定箇所に関する表面の深さ情報は、二つのカメラを用いて、異なる視野角で測定箇所を写像することによって得られる。そして、撮影された画像から、ステレオ三角測量方法に対応して、測定箇所の三次元再構成を実施することができる、即ち、本発明の意味する所の表面の深さ情報を取得することができる。
【0020】
本発明による装置は、二つのカメラの代わりに、単一の写像光学系を備えた単一のデジタル画像記録器を使用するが、有利な手法により、例えば、測定ヘッドを軸方向に動かしている間に写像光学系の視野角が所定の表面箇所に関して変化することを利用している。例えば、測定ヘッドの異なる軸方向位置で、そのため、一つの表面箇所に関して異なる視野角で撮影され、何れにせよメモリに保存される画像は、次に、表面箇所の三次元再構成のために、即ち、表面箇所の表面の深さ情報を取得するために相応に使用することができる。
【0021】
そのため、本発明による装置は、異常を検出するために穿孔の内面を写像するだけでなく、更に、三次元再構成から得られる表面の深さ情報を評価することによって、検出された異常が窪みであるのか、或いは隆起であるのかに関して、その異常を分類することを可能とする。それによって、周知の装置と比べて、検査結果の情報内容が、特に実用的な手法で拡張される。
【0022】
本発明による装置の特別な利点は、表面の深さ情報が、測定ヘッドを軸方向に動かしている間に何れにせよ撮影される画像から得られること、即ち、表面の深さ情報の取得が追加時間を必要としないことである。このことは、穿孔を検査する場合のサイクルタイムを短くするとの意味において極めて有利である。本発明による装置の別の利点は、当該の形式の装置において何れにせよ存在する評価機器が比較的簡単な手法で三次元再構成に関して拡張できることである。
【0023】
本発明では、異なる視野角で撮影された画像の評価に基づく任意の好適な三次元再構成方法を使用することができる。本発明の特に有利な実施形態は、その点において、評価機器が一つの表面箇所に関して異なる視野角で撮影された画像をステレオ三角測量方法に基づき評価するように構成、装備されると規定する。このステレオ三角測量方法は、撮影された画像の評価を速く比較的簡単な手法により可能とする。この方法は、それ自体当業者に一般的に知られている。それに関しては、例えば、非特許文献1を参照されたい。
【0024】
別の有利な改善構成は、異なる軸方向位置に設定するために、そのため、有利には、内壁の一つの表面箇所に関して写像光学系の異なる視野角に設定するために、制御機器により駆動可能な送り機器が測定ヘッドに配備されると規定する。
【0025】
前記の実施構成の有利な改善構成は、この制御機器が、測定ヘッドのその時々の軸方向位置をその位置で撮影された画像に対応付けるために、測定ヘッドのその時々の軸方向位置を表す位置データを評価機器に伝送すると規定する。この実施構成では、測定ヘッドの一つの軸方向位置を、そのため、一つの表面箇所に関して、その箇所から得られる写像光学系の視野角をその軸方向位置で撮影された画像に対応付けることが、特に簡単な手法により可能となる。
【0026】
本発明の別の有利な改善構成は、穿孔の内面における写像光学系が捕捉する写像範囲を明暗視野照明により照明する照明機器を規定する。この照明機器の実施形態及び明暗視野照明による照明で得られる可能性に関しては、特許文献9と10を参照されたい。
【0027】
本発明による加工物の穿孔を検査する穿孔検査方法は請求項7に提示されている。本方法は、内壁の一つの表面箇所に関して写像光学系の異なる視野角で撮影された画像が、その時々の表面箇所の表面の深さ情報を取得するために三次元再構成方法を用いて評価されることを特徴とし、三次元再構成方法として、有利には、ステレオ三角測量方法を使用することができる。本方法は、その意味において、本発明による装置と同じ利点が得られる。本発明による穿孔検査方法の目的に適う有利な改善構成は、従属請求項8〜11に提示されている。
【0028】
本発明の意味において、穿孔とは、例えば、ドリル、それ以外の切削処理方法、注型、或いはそれらと同等の方法による加工物に穴を開ける手法に関係無く、加工物の回転対称な穴又はほぼ回転対称な穴であると理解する。本発明の意味において、ほぼ回転対称な穴とは、穴の基本形状が回転対称であるが、例えば、溝又はそれと同等の構成要素を含むことができると理解する。本発明の意味において、回転対称な穴とは、当然のことながら、基本形状が異常のために回転対称からずれている穴であるとも理解する。
【0029】
そのため、本発明の意味において、「軸方向に」又は「軸方向」との用語を使用する場合、写像光学系の光軸により定義される写像光学系の軸方向と一致する穿孔の軸方向を意味する。
【0030】
以下において、本発明による穿孔検査装置の実施例を著しく模式的に図示した添付図面と関連して本発明を詳しく説明する。この場合、本明細書に記述された、図面に図示された、並びに請求項に記載された全ての特徴は、それ自体で、並びに任意に好適に互いに組み合わされて、その特徴の請求項への統合及び参照と関係無く、並びにその記述又は図面での図示に関係無く、本発明の対象を構成する。請求項1の個別又は複数の特徴を省いた、或いは別の特徴で置き換えられた請求項1の下位の組合せも本出願の開示内容に属する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による穿孔検査装置の実施例の著しく模式的な図
【
図2】デジタル画像記録器を用いて撮影された画像の直交座標画像への変換の著しく模式的な図
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、本発明による加工物6の穿孔を検査する穿孔検査装置2の実施例が図示されており、この装置は、検査すべき穿孔4に挿入可能である、穿孔4に対して相対的に異なる軸方向位置に移動可能な内視鏡として構成された測定ヘッド8を有し、この測定ヘッドは、穿孔4の内面を写像するためのパノラマ視野を有する写像光学系10を備えている。この写像光学系は、画像を伝送する形態でデジタル画像記録器12と接続されている。
【0033】
本装置2は、更に、測定ヘッド8の異なる軸方向位置で撮影された画像を保存するメモリ14を有し、このメモリ14は、画像を伝送する形態でデジタル画像記録器12と接続されている。
【0034】
メモリ14に保存された画像を評価するために、評価機器16が配備されている。
【0035】
穿孔4の軸方向に穿孔に対して相対的に測定ヘッド8を動かすために、そのため、測定ヘッド8を軸方向に位置決め(両矢印18)するために、測定ヘッド8には、制御機器20により駆動可能な送り機器22が配備されている。
【0036】
この制御機器20は、画像を伝送する形態で評価機器16と接続されており、測定ヘッド8のその時々の軸方向位置をその位置で撮影された画像に対応付けるために、測定ヘッド8のその時々の位置を評価機器16に伝送する。
【0037】
穿孔4の内面における写像光学系10により捕捉される写像範囲を明暗視野照明により照明するために、照明機器24が配備され、この実施例では、例えば、複数のLEDから成る、リング形状の光源を有する。この照明機器24の実施形態に関して、特許文献9と11が参照され、それらを参照して、それらの内容全体を本出願に取り込むものとする。
【0038】
本発明による装置2及び本発明による方法の動作形態は、以下の通りである。
【0039】
穿孔4を検査するために、測定ヘッド8が写像光学系10と共に穿孔4に挿入され、その際、測定ヘッド8が送り機器22を用いて両矢印18の方向に軸方向に位置決めされる。
【0040】
穿孔4の内壁における周囲を巡る母線は、パノラマ視野を有する写像光学系10により、円として画像記録器12に写像される。
【0041】
図2では、センサ面が象徴的に図示されており、符号26で表示されている。この場合、画像記録器12のz方向における異なる場所での母線は、異なる視野角φ1及びφ2で写像される。
【0042】
図1では、二つの母線が符号28と30で象徴的に表示されている。
図1では、写像光学系10の視野角範囲の境界を画定する周縁光線が符号32,34で表示されている。
【0043】
図1では、右上に、測定ヘッド8の図示された位置において、母線28が視野角φ1で観察され、母線30が視野角φ2で観察されることが図示されている。
【0044】
穿孔4の内面の完全な画像を得るために、測定ヘッド8は、穿孔4に対して相対的に軸方向に動かされて、所定の間隔で画像が撮影される。このカメラ画像は、それぞれ円形に読み取られたものであり、極座標変換により、線状に直交座標画像に変換され、そのようにして撮影された画像がメモリ14に保存される。
【0045】
図2には、画像記録器12のセンサ面26に写像された母線32,34が直交座標画像36,38に如何にして変換されるかが象徴的に図示されている。
【0046】
測定ヘッド8が、穿孔の軸方向の深さ全体を捕捉するまで軸方向に穿孔4に挿入された後では、メモリ14に保存された画像は、穿孔4の内面の全体を表す。
【0047】
測定ヘッド8を軸方向に動かしている間に、穿孔4の内壁の各表面箇所が時間的に連続して、測定ヘッド8のその時々の軸方向位置に対応して異なる視野角で観察、写像されることは明らかである。表面の深さ情報を得るために、その時々の表面箇所に関して異なる視野角で撮影された画像がステレオ三角測量方法に基づく評価される。
【0048】
撮影された画像に基づき、穿孔4の内壁に異常が確認された場合、表面の深さ情報を用いて、それが窪みであるのか、そのため、表面欠陥であるのか、或いは、場合によっては、さもなければ欠陥の無い表面の汚れに起因する隆起であるのかを決定することができる。
【0049】
従って、本発明による装置2及び本発明による方法は、異常を検出するだけでなく、分類することも可能とする。
【0050】
本発明による装置2及び本発明による方法の特別な利点は、表面の深さ情報が検査の進捗中に何れにせよ撮影される画像から算出されることである。従って、表面の深さ情報の取得は、検査時間を長くする必要が無い。
【0051】
図の異なる図面と異なる実施例において、同じ又は対応する構成部品は、同じ符号を付与されている。図の図面において、図示又は図解する理由から、構成部品が省かれている場合、当該の構成部品は、それぞれ別の図面において、その意味に応じて補完される。当業者には、個別の実施例の特徴が、それらの実施例においても置き換えることが可能である、即ち、一つの実施例に関して開示された特徴が、別の実施例でも同じように、或いはその意味に応じて規定できることは明らかである。更に、当業者には、個別の実施例に開示された特徴が、それぞれ本発明それ自体を改善構成する、即ち、各実施例の別の特徴に依存せずに改善構成することは明らかである。
【符号の説明】
【0052】
2 穿孔検査装置
4 穿孔
6 加工物
8 測定ヘッド
10 写像光学系
12 デジタル画像記録器
14 メモリ
16 評価機器
18 移動(位置決め)方向
20 制御機器
22 送り機器
24 照明機器
26 センサ面
28 母線
30 母線
32 周縁光線
34 周縁光線
36 直交座標画像
38 直交座標画像
φ1 視野角
φ2 視野角