(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定盤に対して可動盤が水平方向に型開閉され、複数の金型を備えた回転テーブルが固定盤または可動盤の一方の盤に対して回転可能に設けられた金型回転式射出成形機の金型交換方法において、
複数の金型が回転テーブル側の金型取付板と他方側の金型取付板に取付けられて型部材が構成され、
前記型部材のうち少なくとも回転テーブル側の金型取付板の載置面が前記回転テーブルの回転中心に対して一方または一方と他方に設けられた載置部に載置された状態で、前記型部材の回転テーブルへの位置決めと固定を行うことを特徴とする金型回転式射出成形機の金型交換方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の金型回転式射出成形機の概要について
図1ないし
図3を参照して説明する。本発明の金型回転式射出成形機11は、ベース12上の長手方向の一側に設けられた型締装置13とベース12上の長手方向の他側に設けられた射出装置14a、14bとから基本的な部分が構成される。そして金型回転式射出成形機11は、型締装置13のベース12上に固定的に設けられた固定盤17に対して可動盤18が水平方向に型開閉され、複数の金型33a,33bを備えた付けられる回転テーブル31が前記固定盤17または前記可動盤18の一方の盤に対して回転可能に設けられている。
【0012】
次に金型回転式射出成形機11の型部材15について説明すると、本実施形態では2個の固定金型16a,16bが金型取付板23の前面23aにボルト等で固定され、固定金型16a,16bと金型取付板23を合わせて固定側(他方側)の型部材15aが構成される。また2個の回転金型33a,33bが
回転テーブル側の金型取付板34の前面34aにボルト等で固定され、回転金型33a,33bと金型取付板34を合わせて
回転テーブル側(一方側)の型部材15bが構成される。そして固定金型16a,16bと回転金型33a,33bが型合せされた型部材15a,15bから一体で交換される型部材15が構成される。金型取付板23,34の下面は2個の金型16a,16b,33a,33bが金型取付板23,34の上下方向に並ぶ状態で搬入、載置された際の載置面23b,34bとなっている。そして固定盤17の載置部である型部材移動機構24および回転テーブル31の載置部である型部材移動機構38に
型部材15a,15bが前記状態で載置された状態で型部材15の位置決め、固定が行われるようになっている。従って複数の金型の一方を構成する回転金型33a,33bは金型取付板34を介して間接的に
回転テーブル31に取付けられる。また複数の金型の他方を構成する固定金型16a,16bも金型取付板23を介して間接的に固定盤17に取付けられる。
【0013】
また固定側の金型取付板23には、2本の射出装置14a、14bのノズルが挿入可能な孔またはノズルタッチ面が形成されている。本実施形態では金型取付板23の内部にもホットランナが形成されており、金型取付板23を介して上下方向に取付けられた固定金型16a、16b内のホットランナから金型取付板23取付時に水平方向に位置するノズルタッチ面にホットランナにより接続されている。
【0014】
固定金型16a,16bについては、固定側の型部材15aが固定盤17に固定されたときに操作側(
図2において型締装置の下側)および反操作側(
図2において型締装置の上側)に向けられる面に温調ホースの接続口60と油圧コアの油圧配管の接続口61が設けられている。そのため作業者による温調ホースや油圧配管の取付・取外し作業が操作側または反操作側から容易にできるようになっている。なお固定金型16aと固定金型16bは同じ側に温調ホースの接続口59を設けてもよく、同じ側に温調ホースの
接続口59と油圧配管の接続口61を設けてもよい。
【0015】
回転金型33a,33bについても、回転金型33a,33bが金型取付板34を介して回転テーブル31に固定されたときに操作側および反操作側に向けられる面に温調ホースの接続口62と油圧コアの油圧配管の接続口63が設けられている。すなわち型部材15の取付時に側面となる面に温調ホースの接続口62と油圧コアの油圧配管の接続口63が設けられることにより、作業者によるホースや配管の取付・取外し作業が操作側または反操作側から容易となっている。なお回転金型33aと回転金型33bは、同じ側に温調ホースの接続口62を設けてもよく、同じ側に温調ホースの接続口62と油圧配管の接続口63を設けてもよい。また固定金型16a,16bまたは回転金型33a,33bにソレノイドバルブや各種センサを設ける場合はそれらの信号線のコンセントも型部材15の取付時に側面となる面に設けられることが望ましい。更に温調ホースしか接続されない場合等では、金型の取付時に側面となる一方の面にしか接続口が設けられない場合もあり、接続口は少なくとも一方の側面に設けられていればよい。
【0016】
本実施形態において固定盤17に載置される金型取付板23と回転テーブル31に載置される金型取付板34は、同一形状、同一面積となっている。また異なる成形品を成形するため交換用に準備される各型部材15についても、金型取付板23,34は同一形状、同一面積のものを用いることが好ましい。また特に回転テーブル側の金型取付板34は、形状に若干の相違があったとしても、金型取付板34の回転中心Oから載置面34bまでの距離がそれぞれ同一であることが望ましい。それらにより固定盤17の載置部と回転テーブル31の載置部に金型取付板23,34を載置した際に盤に対する金型をあるべき位置に保持することができる。なお型部材15の回転テーブル側の金型取付板34と他方側の金型取付板23に固定される金型の数は、複数であれば限定されない。そして複数の金型が金型取付板に取付けられた型部材15を複数、回転テーブル31に固定するものでもよい。
【0017】
射出装置14a、14bは公知のものであり、通常はそれぞれ別の材料を射出する目的で射出装置が2本並列状態に設けられている。なお射出装置の配置は、
図2に示されたものに限定されず、1本の射出装置が型締装置の横にノズルを金型側に向けて設けられたものや、3本以上の射出装置を有するものなどでもよい。
【0018】
型締装置13については、固定盤17の四隅近傍にはそれぞれ型締機構の型締シリンダ19が設けられ、その型締シリンダ19のロッドがそれぞれタイバ20となっている。従って
図3に示されるようにタイバ20は上下にそれぞれ2本づつが設けられている。またベース12上(または固定盤17)には型開閉機構21のサーボモータ22が固定されるとともにボールネジが軸支されている。一方可動盤18には型開閉機構21のボールナットが固定され、前記ボールナットにはボールネジが挿通されている。そして可動盤18は、固定盤17に対して水平方向に型開閉可能となっている。(
図1においては反操作側の型開閉機構21は省略して記載されている。)本発明のように可動盤18を水平方向に移動させるものは、可動盤を垂直方向に昇降させるものとの比較において、成形サイクル時間を短縮し消費電力を削減できる場合が多い。なお型締機構はトグル機構等異なる機構のものでもよく、型開閉機構21も油圧シリンダ等異なる機構のものでもよい。本発明では、金型回転式射出成形機は、型締装置13、射出装置14a、14b、型部材15等から構成される。
【0019】
固定盤17の射出装置側の面には、前記2本の射出装置14a、14bのノズルが挿入可能な凹状の穴17b,17cが形成されている。また特に
図1に示されるように固定盤17の型部材取付面17aの下部には、型部材15を水平方向に移動可能な型部材移動機構24が設けられている。型部材移動機構24は、水平方向に一列に並んだ複数の転動ローラ25から構成される。転動ローラ25は、固定盤17の型部材取付面17aに対して直角方向に一定長さ突出した支持軸が設けられ、前記支持軸に対してローラ26が回転可能に取付けられている。そして前記ローラ26の上面に金型取付板23の載置面23b(下面)が載置可能となっている。従って固定盤17の型部材移動機構24は、金型取付時に固定側の金型取付板23を載置する載置部を兼ねている。
【0020】
型部材移動機構24の転動ローラ25が設けられる位置は、固定盤17の中央よりも下方であって、ローラ26の上面を結んだ線が、下側の2本のタイバ20,20を結んだ線よりも僅かに上方となる位置に設けられている。ここでは転動ローラ25は4個が記載されているが、その配置や数は限定されない。また転動可能なローラは固定盤17内にベアリングを設けて転動ローラ全体が回転されるもの等でもよい。更に型部材移動機構24は、転動ローラ25を用いたものに限定されず、転動ボール、潤滑性の高い滑り板等を用いたもの等でもよい。
【0021】
また固定盤17の型部材取付面17aの上部側と下部側の2箇所づつには、固定側の型部材15aの固定機構である油圧クランプ装置27が設けられている。そして金型取付板23は、合計4箇所の油圧クランプ装置27で、固定盤17に固定される。金型取付板23を固定盤17に固定する固定機構は、油圧クランプ装置27以外に、電磁ロック式のクランプ装置、電磁石を用いたマグネットクランプ装置、ボルトにより金型取付板23を固定する固定機構等でもよい。また固定盤17の型部材取付面17aの操作側寄りには挿入した型部材15を位置決めするためのストッパ部材64が設けられている。
【0022】
可動盤18については、前記タイバ20が可動盤18の四隅近傍の孔にそれぞれ挿通されている。そして可動盤18の背面18bの四隅近傍にはハーフナット28が設けられ、タイバ20の図示しない係止溝と係合・離脱可能となっている。また可動盤18の背面側には図示しないエジェクタ機構が設けられている。エジェクタ機構は、回転金型33aと回転金型33bが
図3に示されるように上下位置となるように180°づつ正転と反転をする場合、上側の回転金型33の停止位置の背面に設けることが望ましい。即ち図示しない取出機は通常、固定盤等の上面に取付けられるので、取出機による成形品取出時のストロールを短くすることができ、成形サイクル時間を短縮することが可能である。更に可動盤18の上面には回転テーブル31を回転させる回転機構のサーボモータ29が取付けられている。更にまた可動盤18の下面側には、ベース12上を可動盤18を摺動させるためのガイドブロック30等が設けられている。
【0023】
また可動盤18の固定盤側の面18a(他方の盤である固定盤17と対向する面)には回転テーブル31が回転可能(回転可能とは一定角度回転して停止後に反転するものも含む)に取付けられている。回転テーブル31は一定の厚みを有する円盤状の盤体であり、回転テーブル31の中心位置には円筒状の回転軸32が反固定盤側に向けて固着されている。そして回転テーブル31の回転軸32は、可動盤18の中央の貫通孔に対して図示しないベアリングまたはブッシュを介して挿入されている。従って回転テーブル31は、水平方向の軸を中心に回転される。また回転テーブル31の型部材取付面31a(他方の盤である固定盤17と対向する面)には、回転金型33a,33bが取付け可能となっている。なお本実施形態では2個の回転金型33a,33bが回転テーブル側の金型取付板34を介して回転テーブル31の型部材取付面31aに取付けられている。
【0024】
回転テーブル31の回転中心O(回転軸32の中心)から一方側の2箇所と他方側の2箇所には、回転テーブル側の型部材15bの固定機構である油圧クランプ装置35が設けられている。そして金型取付板34は、前記合計4箇所の油圧クランプ装置35で、回転テーブル31の型部材取付面31aに固定される。ここでは型部材15bである金型取付板34の固定機構は、油圧クランプ装置35であるが、固定盤側と同様に他の機構でもよい。また上側の油圧クランプ装置35,35の間には金型取付板位置決め固定機構36のエアシリンダが設けられている。一方金型取付板の載置面34b側の中央には凹部が形成されている。そしてエアシリンダのロッドが前記凹部に嵌合することにより金型取付板34は取付時の左右方向の位置決めがなされる。更に油圧クランプ装置35,35の外側には、金型取付板34の水平移動時のガイドをするとともに金型取付板34の浮き上がりを防止するガイド板37が設けられている。
【0025】
更に回転テーブル31の回転中心Oに対して型部材取付面31aの一方には、型部材移動機構38が設けられている。型部材移動機構38は、回転テーブル31の回転中心Oに対して弦方向に一列に配設された複数の転動ローラ39から構成される。転動ローラ39は、型部材取付面31aに対して直角方向に一定長さ突出した支持軸が設けられ、前記支持軸に対してローラ40が回転可能に取付けられている。そして前記ローラ40の上面に型部材15の金型取付板34の載置面34b(下面)が載置可能となっている。従って回転テーブル31の型部材移動機構38は、回転テーブル側の金型取付板34を載置する載置部を兼ねている。しかし固定盤17の型部材移動機構24(載置部)および回転テーブル31の型部材移動機構38(載置部)は、転動ローラに限定されず、盤などから固定的に部材が突出した受け部でもよい。
【0026】
回転テーブル31の型部材取付面31aにおいて、転動ローラ39が設けられる位置は、型部材移動機構38が回転中心Oより最下方となるように回転テーブル31を停止した際に、転動ローラ39のローラ40の上面を結んだ線が、下側のタイバ20,20を結んだ線よりも僅かに上方に位置するような位置に設けられている。ここでは転動ローラ39は4個が記載されているが、その配置や数は限定されない。また転動可能なローラの構造も転動ローラ39に限定されない。更に回転テーブル31の型部材移動機構38についても、転動ローラ39を用いたものに限定されず、転動ボール、潤滑性の高い滑り板等を用いたものでもよい。また転動ローラ39、39の間には金型取付板位置決め固定機構36のエアシリンダが設けられている。また転動ローラ39の外側には、ガイド板42が設けられている(なお
図1において
ガイド板37,42,47は省略して記載されている。)
【0027】
本実施形態では、回転テーブル31の回転中心Oに対して型部材取付面31aの一方に、転動ローラ39と油圧クランプ装置35と
金型取付板位置決め固定機構36のエアシリンダとガイド板42が同じ弦方向に一列に臨む形となっている。より具体的には転動ローラ39の間に油圧クランプ装置35が挟まれて臨む形となっている。また転動ローラ39の間にエアシリンダが挟まれて臨む形となっている。また転動ローラ39のローラ40の上面とガイド板42の型部材取付面31aと直交方向のガイド面は同じ高さとなっており、ガイド板42も型部材移動機構38(載置部)の一部を構成する。ただしガイド板42は必須のものではない。
【0028】
また回転テーブル31が型部材15の交換のために停止した際に型部材15が搬入される側と反対側の型部材取付面31aには、ストッパ部材44が固定されている。ストッパ部材44は、可動盤18に対して反操作方向から搬入された型部材15の金型取付板34が当接されて位置決めされるための部材である。
【0029】
そして回転テーブル31の円筒状の回転軸32の内部には図示しない温調配管や油圧配管が挿入され、温調配管や油圧配管は金型取付板34を介して回転金型33a,33bの接続口62,63に接続されている。また回転テーブル31の外周部31bには、回転テーブル31を回転させるタイミングベルト43と噛合される歯が形成されている。可動盤18に設けられた回転テーブル回転用のサーボモータ29の駆動プーリと回転テーブル31の外周部31bに形成された歯の両方に前記タイミングベルト43が掛け渡されている。なお回転テーブル31の回転機構は前記に限定されない。また可動盤18には回転テーブル31を回転させる際に回転テーブル31を一定だけ前進させる機構や回転をガイドする機構などを設けてもよい。
【0030】
また回転テーブル31の外周部31bまたは外周側の裏面において回転中心Oから180°離れた位置(対称位置)には、それぞれ位置決めピンが挿入される穴31cが設けられている。また可動盤18の固定盤側の面18aの上部と下部の回転テーブル31に隣接する位置または裏面側には油圧シリンダとそのロッドに取付けられた位置決めピンからなる回転テーブル固定機構45がそれぞれ設けられている。また回転テーブル31の一方の位置決めピンが挿入される穴31cの近傍には、カム等の標識部46が設けられ、可動盤18の回転テーブル固定機構45の近傍には前記カム等の標識部を認識する近接スイッチ等の検出機構47が設けられている。これら標識部46と検出機構47は、成形時の第1の成形位置と第2の成形位置の確認機構であって、回転テーブル31の型部材交換可能停止位置の確認機構も兼ねている。そして前記近接スイッチがカムを認識することにより、型部材移動機構38が回転中心Oから下方の位置で水平状態となって回転テーブル31が停止され型部材交換可能停止位置となっていることが認識されるようになっている。なお型部材交換可能停止位置の確認は、サーボモータ29のロータリエンコーダのみにより回転角度を検出して行うようにしてもよい。
【0031】
次に型部材15(複数の金型と金型取付板23,34)を交換するための型部材交換機構41について
図2により説明する。金型回転式射出成形機11の側方(ここでは反操作側)には、型開閉方向と平行にレール48が2本設けられ、前記レール48の上を型部材交換台車49が移動機構である油圧シリンダ65により型開閉方向に移動可能となっている。なお型部材交換台車49の移動機構は自走式のモータであり
型部材交換台車49に搭載されたものでもよく、金型棚の近傍から自走するものでもよい。型部材交換台車49は、成形の終了した型部材15を降ろす搬出ステージ50と、次回に成形を行う型部材15を載置しておく搬入ステージ51とが設けられている。これら搬出ステージ50と搬入ステージ51はその上面に転動ローラ52,53をそれぞれ備えている。また型部材交換台車49には搬出ステージ50を金型回転式射出成形機11に向けて進退させる油圧シリンダ54等の移動機構と、搬入ステージ51を金型回転式射出成形機11に向けて進退させる油圧シリンダ55等の移動機構とが設けられている。更には搬出ステージ50には成形の終了した型部材15を搬出するための油圧シリンダ56等の移載機構が設けられている。また搬入ステージ51にも次回に成形を行う型部材15を搬入するための油圧シリンダ57等の移載機構が設けられている。そして前記油圧シリンダ56,57のロッドの先端には型部材15を連結するための型部材連結部58,59がそれぞれ取付けられている。
【0032】
なお型部材交換機構41については上記したものに限定されず、型部材交換台車49に替えて型締装置13の側方に移動不可能に設置された型部材交換台を設けたものでもよい。前記型部材交換台車49や型部材交換台においては、搬出ステージ50を型部材15の搬入用に使用することも可能であり、搬入ステージ51を搬出用に使用することも可能である。また搬出ステージ50や搬入ステージ51は型開閉方向と直交方向に移動不可能なものでもよい。その場合、金型回転式射出成形機11と型部材交換台車49の間に、型部材15を移動させるための別部材からなる渡り通路を設けることや、固定盤17や可動盤18のタイバ20の外側にも転動ローラを設けること等が想定される。更に型部材交換台車49や型部材交換台は、一つの型部材15の載置面しか備えないものでもよい。
【0033】
次に金型回転式射出成形機11による成形方法について説明する。型締装置13の固定盤17および可動盤18の回転テーブル31に型部材15が取付けられて成形を行う際、図示しない制御装置からの指令によりサーボモータ29が作動されて回転テーブル31が第1の成形位置に位置決め制御され停止され、型閉および型締された際には、射出装置14aから固定金型16aと回転金型33aが型合せされて形成されたキャビティに対して射出がなされる。また同時か前後して射出装置14bから固定金型16bと回転金型33bが型合せされて形成されたキャビティに対して別の樹脂を用いて射出がなされる。そしてそれぞれのキャビティの溶融樹脂が冷却固化後に型開きされて回転金型33bから2材料からなる成形品が取り出された後に、サーボモータ29が駆動されて回転テーブル31と型部材15bが180°回転され、回転金型33a,33bは第2の成形位置に回転移動される。そしてサーボモータ29の位置決め制御により回転テーブル31は停止され、回転テーブル固定機構45の双方の位置決めピンが挿入される。そして再び型閉および型締されると、射出装置14aから固定金型16aと回転金型33bが型合せされて形成されたキャビティに対して射出がなされ、射出装置14bから固定金型16bと回転金型33aが型合せされて形成されたキャビティに対して別の樹脂を用いて射出がなされる。次にそれぞれのキャビティの溶融樹脂が冷却固化後に型開きされた際は、回転金型33aから2材料からなる成形品が取り出される。そして再びサーボモータ29が駆動されて
回転テーブル31と型部材15bが180°回転(反転)され、回転金型33a,33bは第1の成形位置に移動され、以後同様に成形が反復される。本実施形態では、回転テーブル31が第1の成形位置にあるとき、型部材移動機構38の転動ローラ39が回転中心Oから下方に停止される型部材交換可能位置となるようになっている。
【0034】
次に金型回転式射出成形機11の金型の交換方法について説明する。
図2に示されるように型部材交換台車49は成形の完了した型部材15を降ろす搬出ステージ50が、型閉時の固定盤17と可動盤18の間に正対する台車の型部材交換位置(搬出位置)に停止されている。また搬出ステージ50の隣の搬入ステージ51には次回の成形に使用する型部材15が載置されている。そして連続成形が終了して作業者が金型回転式射出成形機11の操作盤において型部材交換モードを選択した際に、
図3に示されるように型部材移動機構38が他方の固定盤17の型部材移動機構24と対向する状態に回転テーブル31を位置決め制御により停止させて型部材15の交換が行われる。より具体的には、サーボモータ29のエンコーダによる回転テーブル31の回転位置(角度)検出と、検出機構47の近接スイッチがカム等の標識部46を検出することにより、回転テーブル31は型部材移動機構38が回転中心Oから下方の位置で水平状態となるように確実に停止される。そして次に回転テーブル固定機構45の位置決めピンが回転テーブル31の穴31cに挿入され、回転テーブル31は可動盤18に対して回転不可能に固定される。
【0035】
本実施形態では、回転テーブル31の型部材移動機構である転動ローラ39が回転テーブル31の回転中心Oよりも下方の型部材交換位置となるように回転テーブル31が停止されたことかが検出された際のみ型部材15の交換作業を開始可能なようにインターロック回路が組まれている。より具体的にはサーボモータ29のエンコーダの情報確認のみか前記に加えて位置決めピンの挿入確認により型部材15の交換作業を開始可能か判断する。次に型開閉機構21により可動盤18が前進して固定金型16a,16bに対して回転金型33a,33bが型閉される。この状態で金型(固定金型16a,
16b、回転金型33a,33b)に接続されていた温調ホース、油圧コアの油圧配管等の接続部材が接続口60,61,62,63から外される。
【0036】
次に固定盤17の型部材の固定機構である油圧クランプ装置27による金型取付板23のクランプを停止する。また同時に回転テーブル31が取付けられた可動盤側の型部材15bの固定機構である油圧クランプ装置35による金型取付板34のクランプを停止する。そして次に可動盤18をごく僅かに型開側に移動させる。このことにより固定盤17の型部材取付面17aと金型取付板23との間に僅かに間隙が形成され、
回転テーブル31の型部材取付面31aと金型取付板34の間にも僅かに間隙が形成される。なお温調ホース等の接続部材を外す手順やクランプを解除する手順は前記したものに限定されない。
【0037】
次に型部材交換台車49の移動機構の油圧シリンダ54を作動させ、搬出ステージ50を回転式射出成形機11の下側のタイバ20の近傍位置まで前進させる。この際に搬出ステージ50と型部材移動機構24,38の高さは略同じ高さになるように設けられている。そして搬出ステージ50の移載機構の油圧シリンダ56のロッドを前進させ、その先端の型部材連結部58を、型部材15の金型取付板23の移載機構連結部23cに連結する。ただし型部材15の連結される部分は別の部分でもよい。そして油圧シリンダ56のロッドを退縮させて型部材15全体を転動ローラ25,39の上を反操作側へ水平方向に移動させる。そして型部材15全体が、移動機構により転動ローラ25,39の上から反操作側の上下のタイバ20,20間および型開閉機構21の上方を通過して搬出ステージ50の転動ローラ53の上に移動される。型部材15全体が搬出ステージ50の定位置まで移動されると油圧シリンダ56が作動されて搬出ステージ50が型部材交換台車49上の定位置まで後退される。
【0038】
次に型部材交換台車49の移動機構の油圧シリンダ65が作動され、型部材交換台車49が型閉方向(射出装置14a,14bの方向)に移動される。そして型部材交換台車49の搬入ステージ51が、固定盤17と可動盤18の間に正対する台車の型部材交換位置(搬入位置)に停止される。次に移動機構の油圧シリンダ55を作動させ、次回に成形機に取付けられる型部材15を載置した搬入ステージ51を
金型回転式射出成形機11の下側のタイバ20の近傍位置まで前進させる。この際に搬入ステージ51と型部材移動機構24,38の高さは略同じ高さになるように設けられている。そして更に搬入ステージ51の移載機構の油圧シリンダ56のロッドを前進させ、ロッドの型部材連結部59に連結された型部材15を前進させる。型部材15は反操作側の上下のタイバ20,20間を通過して、搬入ステージ51の転動ローラ53の上から固定盤17に設けられた型部材移動機構24の転動ローラ25と可動盤18の回転テーブル31に設けられた型部材移動機構38の転動ローラ39の上をガイド板37、42、47にガイドされて水平方向に移動される。
【0039】
この際の型部材15における金型の位置関係は、固定金型16aと回転金型33aが型合せされた金型と、
固定金型16bと回転金型33bが型合わせされた金型が、金型取付板23,34に対して上下方向に並ぶ状態で金型回転式射出成形機11に搬入され、型部材移動機構24(載置部)および型部材移動機構38(載置部)の上面に載置される。そして載置状態を保ったまま型部材15の金型取付板23、34が固定盤17と
回転テーブル31に固定される。
【0040】
より具体的には金型取付板23の前進側(操作側となる側)の側面が固定盤17の
ストッパ部材64に当接されるとともに、金型取付板34の前進側(操作側となる側)の側面が回転テーブル31のストッパ部材44に当接されると、油圧シリンダ56のロッドの前進が停止される。この際型部材15の金型取付板23は型部材移動機構24の転動ローラ25に載置され、金型取付板34は、型部材移動機構38の転動ローラ39に載置されている。型部材15の回転テーブル31および固定盤17への載置が終了すると、油圧シリンダ56のロッドの先端の型部材連結部58と金型取付板23の移載機構連結部23cの連結が解除される。そして油圧シリンダ56のロッドが退縮され、搬入ステージ51も移動機構の油圧シリンダ55のロッドの退縮により型部材交換台車49の定位置まで後退される。
【0041】
そして次に金型取付板位置決め固定機構36のエアシリンダのロッドが前進作動されて金型取付板34の凹部に嵌合され、回転テーブル31に対する型部材15の水平方向の位置決めがなされる。なお固定盤側も同様に他方の金型取付板23の水平方向の位置決めを行ってもよい。また前記位置決め後に油圧シリンダ56のロッドの連結を解除してもよい。次に型開閉機構21の作動により可動盤18と回転テーブル31が僅かに前進されて、固定盤17の型部材取付面17aと金型取付板23の間が完全に密着される。また同時に
回転テーブル31の型部材取付面31aと金型取付板34の間
が完全に密着される。
【0042】
そして次に固定盤17の油圧クランプ装置27が作動して型部材移動機構(載置部)24に載置されていた固定盤側の金型取付板23の固定盤17の型部材取付面17aへの固定が行われる。また同時か僅かに前後して
回転テーブル31の油圧クランプ装置35が作動して型部材移動機構(載置部)38に載置されていた回転テーブル側の金型取付板34のの回転テーブル31の型部材取付面31aへの固定が行われる。
【0043】
型部材15の固定盤17および回転テーブル31への取付け完了後、再び型開きして回転テーブル31を180°回転し、再び型閉して、固定金型16a,16bと回転金型33a,33bとが第1の成形位置と第2の成形位置の両方の位置で良好に型閉嵌合されることが確認される。そして新しく取付けられた型部材15の金型(固定金型16a,
16b、回転金型33a,33b)の操作側と反操作側に面した
接続口60,61,62,63に、温調ホース、油圧コアの油圧配管等の接続部材が接続される
。この際作業員が操作側と反操作側の側方から金型に温調ホース等を取付けることができるので作業性がよい。なお型部材15の取付後すぐに温調ホース等の取付けを行ってもよい。
【0044】
上記の本実施形態では、温調ホース等の接続部材の接続以外の可動盤18や型部材交換台車49の制御は型部材交換モードを選択すると図示しない制御装置からの制御により自動で行われる。しかしながら型部材交換モードを選択した際に、型部材15の少なくとも一部の移動制御のみが制御装置から自動で行われるものでもよく、全ての作業を作業者が手動で行うものでもよい。手動で行うものにおいては作業者が操作ボタンを押すことにより油圧シリンダ54,55,56,57等の装置が作動されるものでもよく、型部材15の押込み搬入・搬出等の移動、盤への取付け等を作業者自身の人力で行うものでもよい。
【0045】
また型部材15の金型回転式射出成形機11への搬出・搬入は、操作側の上下のタイバ20,20間から行うようにしてもよく、操作側と反操作側の両方の上下のタイバ20,20間から搬出・搬入が可能となるようにしてもよい。更に型部材15の交換を行う際の回転テーブル31の型部材交換位置(回転テーブル31の回転角度)は、成形位置と別の位置(別の回転角度)としてもよい。例えば回転テーブル31側に先に金型取付板34のみを回転金型33a,33b等が上下方向になるように取付け、温調ホース等を取付けた後、回転テーブル31を90°回転させてから固定盤17に固定盤側の金型取付板23を取付けることにより、水平方向に設けられた射出装置14a,14bに対して固定金型16a,16bの背面が正対することになり、直接固定金型16a,16bにノズルタッチしたい場合など有利になることもある。
【0046】
また上記の本実施形態では、金型回転式射出成形機11の回転テーブル31が一方の盤である可動盤18に対して回転可能に設けられている。しかし金型回転式射出成形機においては一方の盤が固定盤であって、固定盤に対して水平方向の軸を中心に回転する回転テーブルが取付けられたものでもよい。その場合も固定盤の回転テーブルの型部材移動機構を、可動盤に設けられた型部材移動機構と対向する状態に回転テーブルを停止させて型部材15の交換を行う。またいずれの盤に回転テーブルが設けられた場合であっても、回転テーブル31は常に同方向に回転するものでも、正転後に反転するものでもよい。3個の金型を回転テーブルに取付けて120°づつ回転させる場合は、成形サイクル時間の短縮等のために常に同方向に回転することが望ましい場合が多い。
【0047】
また上記の本実施形態では、型部材移動機構24,38は固定的に設けられるが、上下方向の位置を調整可能なものとしてもよい。そのことにより金型取付板23,34の大きさが異なる場合に対応することが可能となる。そして型部材移動機構24,38の高さを調整可能とする場合、簡易的なものではボルトの固定位置を変更するなどの方式が考えられる。また油圧シリンダ等のアクチュエータにより型部材移動機構24,38の高さを調整可能としてもよい。
【0048】
また回転テーブル31に設ける型部材移動機構38は、上記のように回転中心Oに対して一方のみに弦方向に1セットだけ設けることがコストの点や金型の熱膨張の点で望ましい。しかしながら回転テーブル31の回転中心Oに対して一方と他方の両側に型部材移動機構38を2セット設けるようにすることも考えられる。そのようにすれば回転テーブル31が180°正転した停止位置、および180°反転した停止位置のいずれの場合であっても、水平移動方式による型部材15の交換を実施できる。前記の例では金型の熱膨張を考慮して少なくとも一方の転動ローラ39と盤の間にバネ等の遊びを設けることも考えられる。
【0049】
更には、本発明は固定盤17に設けた型部材移動機構24(載置部)は必須ではなく、型部材15のうち少なくとも回転テーブル側の金型取付板34が
回転テーブル31の型部材移動機構38(載置部)に載置された状態で、型部材15の
回転テーブル31への位置決めと固定を行うものでもよい。しかしながら固定盤側も型部材移動機構24
(載置部)を設けることが望ましい場合が多い。
【0050】
更に本発明はクレーンを用いて上側の2本のタイバ20の間から複数の金型が取付けられた金型取付板23,34とからなる型部材15を搬入するものや多関節ロボットを用いていずれかのタイバ20,20の間から金型取付板23,34とからなる型部材15を搬入するものであってもよい。その場合は、型部材15の他方側の金型取付板23の
載置面23bが固定盤17の下部側に設けられた載置部(位置決め部)に載置され、
回転テーブル側の金型取付板34の載置面34bが回転テーブル31に設けられた載置部(位置決め部)に載置される。この場合、回転テーブル31の載置部については、ローラでなく固定的な受け部でよい。そしてその状態で型部材15の固定が行われる。本発明の金型取付板を用いることによりクレーンやロボットを用いたものの場合も1個づつ金型を取付けるよりも早く金型交換が行える。ただし上下のタイバ20の間から水平方向に搬入する例と比較すると時間を要する場合が多い。