(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441273
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】バルブ隙間測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/14 20060101AFI20181210BHJP
F01L 3/24 20060101ALI20181210BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
G01B11/14 H
F01L3/24 B
G03B15/00 L
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-162583(P2016-162583)
(22)【出願日】2016年8月23日
(65)【公開番号】特開2017-44695(P2017-44695A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】10 2015 114 018.7
(32)【優先日】2015年8月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513235603
【氏名又は名称】イェノプティク・インダストリアル・メトロロジー・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】フーベルト・ケラー
【審査官】
齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−286825(JP,A)
【文献】
特開2011−196899(JP,A)
【文献】
特開2015−099686(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/191133(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0230598(US,A1)
【文献】
特開2007−256162(JP,A)
【文献】
特開平11−325862(JP,A)
【文献】
特開2002−039724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/14
F01L 3/24
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼エンジンのめくら穴の空き内腔(6)に押し込まれた弁座リング(8)とこのめくら穴の空き内腔(6)の底部(12)との間の軸方向の隙間を計測するバルブ隙間測定装置(2)において、
本装置が、この内腔(6)の少なくとも一つの周囲箇所における隙間を写像する写像光学系(14)を有し、
本装置(2)が、写像光学系(14)の光軸(24)の周囲方向において互いに等しい間隔を開けた少なくとも三つの周囲箇所でのバルブ隙間を同時に計測する、或いは時間的に順番に計測するように構成され、
この写像光学系(14)が、デジタル画像センサ(16)及びこのデジタル画像センサ(16)の後に配置されたデジタル評価機器(18)と画像を伝送する形態で接続されており、
この評価機器(18)が、画像センサ(16)により記録された画像に基づき、隙間の大きさを検出するように構成、装備され、
当該の評価機器(18)が、画像センサ(16)により捉えられた画像に基づき、バルブ隙間の周囲方向において位置解像度を有する形で隙間の大きさの全周にわたる推移を完全に再構成するように構成、装備されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
当該の隙間を画像センサ(16)に写像するために、有利には、45°の角度で配置された少なくとも一つの偏向ミラー(20,26)が、少なくとも三つの周囲箇所でのバルブ隙間を時間的に順番に計測するために測定ヘッドに配置され、或いは、有利には、45°の角度で配置された少なくとも三つの偏向ミラー(20,26)が、少なくとも三つの周囲箇所でのバルブ隙間を同時に計測するために測定ヘッドに配置されており、この測定ヘッドが、弁座リング(8)により境界を画定された中空空間(22)に挿入可能な内視鏡として構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
測定ヘッドには、写像光学系(14)の光軸(24)の周囲方向において互いに間隔を開けた少なくとも二つの偏向ミラー(20,26)が、少なくとも三つの周囲箇所でのバルブ隙間を時間的に順番に計測するために配置され、或いは、写像光学系(14)の光軸(24)の周囲方向において互いに間隔を開けた少なくとも三つの偏向ミラー(20,26)が、少なくとも三つの周囲箇所でのバルブ隙間を同時に計測するために配置されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
当該の偏向ミラー(20,26)が、写像光学系(14)の光軸(24)の周囲方向において互いに等間隔に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
当該の写像光学系(14)がテレセントリックな光学系であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
当該の写像光学系(14)の焦点を異なる半径方向の場所に合わせる焦点調節手段が配備されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
当該の焦点調節手段がオートフォーカス機器を備えていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
弁座リング(8)により境界を画定された中空空間(22)に測定ヘッドを自動的に挿入して、測定実施後に測定ヘッドを引き戻す操作手段(28)が配備されていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
当該の操作手段を駆動する制御手段(30)が配備されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼エンジンのめくら穴の空き内腔内に押し込まれた弁座リングとこのめくら穴の空き内腔の底部との間の軸方向の隙間を計測するバルブ隙間測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼エンジン(オットーエンジン又はディーゼルエンジン)の製造時において、バルブ毎に、一つの弁座リングが、燃焼エンジンのシリンダヘッドのそれに対応するめくら穴の段付内腔に押し込まれる。理想的には、弁座リングは、軸方向に隙間が無い形でめくら穴の段付内腔の底部と当接し、その結果、弁座リングとめくら穴の段付内腔の底部との間の軸方向の隙間の大きさがゼロとなる。そのために、めくら穴の段付内腔の直径が弁座リングと比べて僅かに小さくなっており、弁座リングが大きな力で押し込まれる。そのように形成された圧入台座の品質は、軸方向の隙間の大きさ(隙間間隔)によって規定される。それは、理想的にはゼロであり、実用的な隙間の大きさは許容可能である。隙間は、隙間の大きさがエンジンの動作中に後からより大きくなった状態となる可能性が有り、それによって、閉鎖状態のバルブの密閉機能が損なわれるとともに、破損するまでのバルブの過剰な磨耗が発生する可能性が有る。そのため、隙間の大きさは、弁座リングとめくら穴の段付内腔との間に形成される圧入台座の品質に関する重要な特徴である。
【0003】
そのため、軸方向の隙間の大きさの測定又は検出は、燃焼エンジンの品質検査時に重大な意味を有する。
【0004】
隙間の大きさを検出するために、空気圧により、或いは流体を用いて動作させて、漏れ測定を実施する間接的な方法が知られている。
【0005】
それに対応する方法は、例えば、特許文献1により周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許公開第10233072号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、高い精度による隙間の計測を簡単な手法で可能とする、燃焼エンジンのめくら穴の空き内腔内に押し込まれた弁座リングとめくら穴の空き内腔の底部との間の軸方向の隙間を計測するバルブ隙間測定装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本課題は、請求項1に記載された発明によって解決される。
【0009】
本発明は、内腔の少なくとも一つの周囲箇所における隙間を写像する写像光学系を規定し、この光学系は、デジタル画像センサ及びこの画像センサの後に配置されたデジタル評価機器と画像を伝送する形態で接続され、この評価機器は、画像センサにより記録された画像に基づき隙間の大きさを検出するように構成、装備される。
【0010】
本発明では、弁座リングとめくら穴の空き内腔の底部との間の軸方向の隙間が画像センサに写像されて、その画像が、隙間の大きさを検出するために評価機器により評価される。この記録された画像に基づき、画像処理及びパターン認識方法により、隙間の大きさを直接検出することができ、そのため、高い測定精度が達成される。
【0011】
以下において短縮して「装置」とも称する、本発明によるバルブ隙間測定装置の別の利点は、本装置が非接触式に動作することである。そのため、本発明による装置では、漏れ測定の原理により動作する装置で必要な、弁座リング領域における機械的な操作が不要である。
【0012】
本発明による装置の別の利点は、本装置が柔軟に使用可能であり、速い測定を可能にすることである。
【0013】
本発明において、「バルブ隙間」とは、弁座リングをめくら穴の空き内腔内に押し込んだ後に、その内腔の軸方向の底部と弁座リングの圧入方向における前方の軸方向端部との間に残された軸方向の隙間であると理解する。
【0014】
本発明において、「隙間の大きさ」とは、弁座リングの圧入方向における前方の軸方向端部とめくら穴の空き内腔の軸方向の底部との間の軸方向の間隔であると理解する。そのため、弁座リングとめくら穴の空き内腔との間の理想的に実現された圧入台座では、隙間の大きさが、理想的にはゼロとなる。
【0015】
本発明では、写像光学系は、基本的に測定ヘッドに配置され、そのため、測定時に、弁座リングにより定義される中空空間内に挿入することができる。直径が比較的小さい弁座リングでもバルブ隙間の計測を実施可能とするため、本発明の有利な改善構成は、隙間を画像センサに写像するために、有利には、45°の角度で配置された偏向ミラーを規定し、このミラーは、弁座リングにより境界を画定された中空空間内に挿入可能な内視鏡として構成された測定ヘッドに配置される。このようにして、計測すべきバルブ隙間の場所に対して相対的に写像光学系を配置することに関する自由度が大幅に向上される。
【0016】
本発明では、それに対応して、弁座リングの少なくとも一つの周囲箇所においてバルブ隙間を計測して、その周囲箇所での隙間の大きさを検出するためのその時々の要件を満たすことができる。この場合、周囲箇所での測定は、圧入台座が所望の手法で実現されているのか否かに関する少なくとも一つの根拠を提供する。この品質検査を更に改善するために、本発明の極めて有利な改善構成は、本装置が写像光学系の光軸の周囲方向における互いに間隔を開けた少なくとも二つの箇所でバルブ隙間を同時に計測する、或いは時間的に順番に計測するように構成されると規定する。この実施構成では、バルブ隙間は、弁座リングの周囲方向における互いに間隔を開けた少なくとも二つの箇所で計測され、そのため、測定結果の妥当性が向上される。例えば、バルブ隙間は、直径上の対向する二つの箇所で計測することができる。これらの測定箇所でのバルブ隙間が満足できるものであるとの測定評価が下された場合、或る信頼度で、弁座リングの周囲方向全体に渡ってバルブ隙間が満足できるものであると推定できる。周囲方向において互いに等間隔の三つの箇所でのバルブ隙間の計測は、計算手法により弁座リングの周囲方向における隙間の大きさの推移を完全に再構成することを可能とする。例えば、特に、周囲方向においてそれぞれ90°互いに間隔を開けた四つの箇所でバルブ隙間を計測することができる。
【0017】
本発明では、基本的に、写像光学系の光軸の周囲方向における異なる箇所を時間的に順番に写像して、隙間の大きさを評価機器により検出することが可能である。そのために、例えば、回転駆動部を用いて、めくら穴の空き内腔の回転対称軸と一致する回転軸の周りに測定ヘッドを回転させることができる。
【0018】
偏向ミラーを備えた実施構成では、弁座の周囲方向における互いに間隔を開けた少なくとも二つの箇所で測定を同時に実施するために、そのため、測定を加速するために、本発明の極めて有利な改善構成は、写像光学系の光軸の周囲方向における互いに間隔を開けた少なくとも二つの偏向ミラーが測定ヘッドに配置されると規定する。
【0019】
本発明の目的に適うこととして、前記の実施構成では、偏向ミラーが、写像光学系の光軸の周囲方向において互いに等間隔に配置される。
【0020】
本発明による装置の写像光学系は、その時々の状況に応じて任意の好適な手法により構成することができる。弁座リングの周囲方向における測定精度を向上させるために、本発明の有利な改善構成は、写像光学系がテレセントリックな光学系であると規定する。
【0021】
この写像光学系は、その時々の要件に応じて、基本的に固定焦点の光学系とすることができる。しかし、本発明の有利な改善構成は、写像光学系の焦点を合わせるための焦点調節手段を規定する。この実施構成は、特に、異なる直径の弁座リングでの測定に本発明による装置を使用することを可能とし、オートフォーカス機器は、写像光学系の焦点をそれぞれバルブ隙間の好適な半径方向の場所に合わせる。
【0022】
このようにして、特に高い柔軟性が得られる。
【0023】
本発明の別の有利な改善構成は、評価機器が、画像センサにより捉えられた画像に基づき、バルブ隙間の周囲方向において位置解像度を有する形で隙間の大きさを検出するように構成、装備されると規定する。このようにして、バルブ隙間の周囲に沿った隙間の大きさが、明確に解像された形で検出、評価することができる。
【0024】
本発明による測定装置を用いた測定を自動化するために、本発明の別の有利な改善構成は、弁座リングにより境界を画定された中空空間内に測定ヘッドを自動的に挿入して、測定実施後に測定ヘッドを引き戻す操作手段を規定する。
【0025】
この場合、操作手段の駆動は、本発明の目的に適うこととして、特に、データを伝送する形で評価機器と接続された制御手段により行なわれ、そのため、評価手段は、画像検出及び/又は評価の実施後に、測定の終了を信号伝送する停止信号を制御手段に伝送し、その結果、制御手段は、測定ヘッドを引き戻すように操作手段を駆動することができる。
【0026】
以下において、本発明による測定装置の実施例を著しく模式的なブロック接続図で図示した添付図面と関連して本発明を詳しく説明する。この場合、本明細書に記述された、図面に図示された、並びに請求項に記載された全ての特徴は、それ自体で、並びに任意に好適に互いに組み合わされて、その特徴の請求項への統合及び参照と関係無く、並びにその記述又は図面での図示に関係無く、本発明の対象を構成する。請求項1の個別又は複数の特徴を省いた、或いは別の特徴で置き換えられた請求項1の下位の組合せも本出願の開示内容に属する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明によるバルブ隙間測定装置の実施例の著しく模式的なブロック接続図
【
図2】
図1のバルブ隙間測定装置を用いて測定した隙間の大きさから検出される隙間の大きさの推移を図解したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、以下において短縮して「装置」とも称する、本発明によるバルブ隙間測定装置2の実施例が著しく模式的なブロック接続図で図示されている。本装置2を用いて測定すべき部品が、
図1に同じく表示されており、符号4を付与されている。この部品4は、燃焼エンジンの部品であり、その中には、弁座リング8を押し込まれためくら穴の空き内腔6が有る。
【0029】
本発明による装置2は、
図1で矢印10により示された圧入方向において前方の、弁座リング8の端部と内腔6の底部12との間の軸方向の隙間を計測する役割を果たす。
【0030】
本装置2は、内腔6の少なくとも一つの周囲箇所における隙間を写像する写像光学系14を有する。この写像光学系14は、デジタル画像センサ16及びこのデジタル画像センサ16の後に配置されたデジタル評価機器18と画像を伝送する形態で接続されている。
【0031】
本発明では、評価機器18は、画像センサ16により記録された画像に基づきバルブ隙間の隙間の大きさを検出するように構成、装備される。
【0032】
図示された実施例には、隙間を画像センサ16に写像するために、この実施例では45°の角度で配置された偏向ミラー20が配備されており、このミラーは、弁座リング8により境界を画定された中空空間22内に挿入可能な内視鏡として構成された、
図1では見易くする理由から図示されていない測定ヘッドに配置されている。
【0033】
この図示された実施例では、本装置は、弁座リング8の周囲方向において互いに間隔を開けた少なくとも二つの箇所でバルブ隙間を同時に計測するように構成されている。写像光学系14の光軸は、
図1では一点鎖線で表され、符号24により表示されている。この光軸24の周囲方向は、弁座リング8の周囲方向と一致することは明らかである。
【0034】
図示された実施例では、光軸24の周囲方向においてそれぞれ90°互いに間隔を開けた四つの偏向ミラーが配備されている。
図1では、偏向ミラー20の外に、そのミラーに対して、光軸24に関する直径上で対向して配置された別の偏向ミラー26が配備されている。図示された実施例では、これらの偏向ミラー20,26に追加して、
図1には図示されていないが、光軸24に対して直角である図面の平面に入る方向又は図面の平面から出る方向において互いに間隔を開けて配置された、詳しくは、光軸24に関する直径上で対向する更に別の二つの偏向ミラーも配備されている。
【0035】
写像光学系14の焦点をバルブ隙間に合わせるために、この実施例ではオートフォーカス機器を備えた焦点調節手段が配備されている。異なる半径方向の場所への焦点合わせによって、本装置2は、異なる直径の弁座リング及びバルブ隙間の計測に適している。しかし、比較的狭い直径範囲内の異なる弁座リングを計測する場合、写像光学系14を固定焦点の光学系として構成することもできる。
【0036】
図示された実施例では、評価機器18は、画像センサ16により捉えられた画像に基づき、バルブ隙間の周囲方向において位置解像度を有する形で隙間の大きさを検出するように構成、装備されている。
【0037】
弁座リングにより境界を画定された中空空間22内に測定ヘッを自動的に挿入して、測定実施後に測定ヘッドを引き戻すために、
図1で単に模式的に表された操作手段28が配備されており、この手段は、例えば、ロボットアームにより構成して、制御手段30により駆動することができる。
【0038】
内腔6に押し込まれた弁座リング8と内腔6の底部との間の軸方向の隙間の計測は、本発明による装置2を用いて、以下の通り実施される。
【0039】
図1には、弁座リング8が軸方向に隙間の無い形で内腔6の底部12に当接する、内腔6への弁座リング8の圧入に関する理想的な位置関係が図示されている。そのため、バルブ隙間の隙間の大きさはゼロである。本発明による装置2の機能形態を説明するために、バルブ隙間の隙間の大きさが少なくとも一つの周囲箇所においてゼロよりも大きいと仮定する、即ち、この周囲箇所において、弁座リング8と内腔6の底部12との間に軸方向の隙間が生じていると仮定する。
【0040】
測定を実施するために、本発明による装置2の測定ヘッドは、操作手段28によって、弁座リング8により境界を画定された中空空間に挿入され、そのため、偏向ミラー20,26及び
図1で見ることができない別の偏向ミラーが、軸方向において内腔6の底部12の高さに配置される。そのため、これらの偏向ミラー20,26及び別の偏向ミラーと写像光学系14とを用いて、弁座リング8の周囲方向において互いに間隔を開けた四つの箇所でのバルブ隙間が画像センサ16に写像される。それに対応する画像が、評価機器18に伝送されて、メモリに保存される。得られたセンサ画像は、
図1で符号32により表されている。
【0041】
評価機器18は、このセンサ画像32に基づき、バルブ隙間の周囲方向において位置解像度を有する形で隙間の大きさを検出する。次に、評価機器18において、周囲方向において90°互いに間隔を開けた四つの周囲箇所で検出された隙間の大きさに基づき、周囲方向において位置解像度を有する形での隙間の大きさの推移を検出することができる。
【0042】
図2は、隙間の大きさが一つの周囲箇所でゼロと異なる推移を単に例示して図示しており、バルブ隙間の周囲方向において、正弦形状の推移が発生している。
【0043】
次に、評価機器18において、そのようにして検出された隙間の大きさの推移に基づき、内腔6への弁座リング8の圧入が所定の要件を満たすのか、即ち、部品4が「正常である」と分類されるのか、或いは部品4が所定の要件を満たさず、そのため「正常でない」と分類されるのかを検出することができる。
【0044】
測定実施後に、測定ヘッドは、操作手段28により引き戻すことができる。次に、同じ部品4又は別の部品の別の弁座において別の測定を実施することができる。
【0045】
本発明による装置2は、柔軟な非接触手法により、燃焼エンジンのめくら穴の空き内腔に押し込まれた弁座リングとめくら穴の空き内腔の底部との間の軸方向のバルブ隙間の隙間の大きさを計測することを可能とする。本装置は、繰り返し可能な測定結果を提供し、単一の測定プロセスだけが必要であり、その測定を特に速く実施することができる。本発明による装置は、動作間隔の変化、即ち、測定ヘッドの偏心的な配置に対して寛容である。更に、例えば、ロボットに支援された測定ヘッドの動きによって、自動測定が簡単に実現可能である。弁座リングの異なる直径への適合は、本装置2を機械的に適合させること無く、簡単な焦点変更によって実施可能である。
【0046】
図の異なる図面において、見易くする理由から、個別の構成部品が省かれている場合、当該の構成部品は、別の図面において、その意味に応じて補完される。個別の実施例の特徴が、それらの実施例においても置き換えることが可能である、即ち、一つの実施例に関して開示された特徴が、別の実施例でも同じように、或いはその意味に応じて規定することができる。個別の実施例に開示された特徴は、それぞれ各実施例をそれ自体で改善構成する、即ち、その実施例の別の特徴に依存せずに改善構成する。
【符号の説明】
【0047】
2 本装置
4 部品
6 めくら穴の空き内腔
8 弁座リング
10 圧入方向
12 底部
14 写像光学系
16 デジタル画像センサ
18 デジタル評価機器
20 偏向ミラー
22 中空空間
24 光軸
26 偏向ミラー
28 操作手段
30 制御手段
32 センサ画像