特許第6441276号(P6441276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

特許6441276推定装置、推定方法、および推定プログラム
<>
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000002
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000003
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000004
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000005
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000006
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000007
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000008
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000009
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000010
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000011
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000012
  • 特許6441276-推定装置、推定方法、および推定プログラム 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441276
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】推定装置、推定方法、および推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/10 20060101AFI20181210BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   G01W1/10 T
   G01W1/10 E
   G01W1/00 C
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-167324(P2016-167324)
(22)【出願日】2016年8月29日
(65)【公開番号】特開2017-125833(P2017-125833A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2016年9月14日
(31)【優先権主張番号】特願2016-2708(P2016-2708)
(32)【優先日】2016年1月8日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、独立行政法人科学技術振興機構、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「レジリエントな防災・減災機能の強化(2) 豪雨・竜巻予測技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲也
(72)【発明者】
【氏名】並木 彩
(72)【発明者】
【氏名】水谷 文彦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 隆宏
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−151597(JP,A)
【文献】 特開2006−337347(JP,A)
【文献】 特開2004−317173(JP,A)
【文献】 特開平07−110385(JP,A)
【文献】 特開2005−257639(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0005249(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00 − 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向および鉛直方向に分割された複数の分割領域における雲の有無を判断するための情報である観測データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された観測データから雲の高度情報を導出し、前記導出した少なくとも2つ以上の異なる時刻における水平方向の位置が共通する分割領域群の雲の高度情報から、少なくとも2つ以上の異なる時刻間における雲の高度情報の最大値と最小値との差分に基づいて、前記水平方向の位置が共通する分割領域群のそれぞれに対して複数の時点における雲の高度の変化度合を示す指標を導出し、前記導出した複数の時点における指標に基づいて、前記分割領域群に対する雲の発達段階を推定し、更に観測データに基づいて雲の集合体について推定し、前記分割領域群に対する雲の発達段階に基づいて、前記雲の集合体について、雲の発達段階を推定する推定部と、
を備える推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記複数の時点における前記指標が連続的に所定幅以上増加している場合、前記雲は発達途中の段階にあると推定し、前記複数の時点における前記指標が連続的に所定幅以上減少している場合、前記雲は衰退段階にあると推定する、
請求項1記載の推定装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記複数の時点における前記指標が連続的に所定の範囲内で推移している場合、前記雲は最も発達した最盛期にあると推定する、
請求項1または請求項2記載の推定装置。
【請求項4】
前記推定部は、少なくとも3つの時点における前記指標を導出し、前記導出した3つの時点における前記指標に基づいて、前記雲の発達段階を推定する、
請求項1から3のうちいずれか1項記載の推定装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記取得部によりエコー強度が所定以上の時間的に連続した所定数以上の前記観測データが取得された場合、前記変化度合を示す指標を導出する処理を開始する、
請求項1から4のうちいずれか1項記載の推定装置。
【請求項6】
前記推定部により推定された雲の発達段階を示す情報を含む画像を表示するための情報を生成して表示部に出力する表示情報生成部を、更に備える、
請求項1から5のうちいずれか1項記載の推定装置。
【請求項7】
前記推定部により推定された雲の発達段階が水平方向に分割された複数の分割領域ごとに示された情報を含む画像を表示するための情報を生成して表示部に出力する表示情報生成部を、更に備える、
請求項1から6のうちいずれか1項記載の推定装置。
【請求項8】
前記推定部は、前記導出した雲の高度情報および前記導出した変化度合を示す指標うち、一方または双方に基づいて、前記発達段階を推定した雲が豪雨を引き起こす危険度を推定する、
請求項1からの7のうちいずれか1項記載の推定装置。
【請求項9】
前記推定部により推定された雲が豪雨を引き起こす危険度を示す情報を含む画像を表示するための情報を生成して表示部に出力する表示情報生成部を、更に備える、
請求項8記載の推定装置。
【請求項10】
前記推定部は、水平方向に分割された複数の分割領域ごとに、前記発達段階を推定した雲が豪雨を引き起こす危険度を推定する、
請求項8または請求項9記載の推定装置。
【請求項11】
前記推定部により推定された前記水平方向に分割された複数の分割領域ごとの前記発達段階を推定した雲が豪雨を引き起こす危険度を示す情報を含む画像を表示するための情報を生成して表示部に出力する表示情報生成部を、更に備える、
請求項10記載の推定装置。
【請求項12】
推定装置のコンピュータが、
水平方向および鉛直方向に分割された複数の分割領域における雲の有無を判断するための情報である観測データを取得し、
前記取得された観測データから雲の高度情報を導出し、
前記導出した少なくとも2つ以上の異なる時刻における水平方向の位置が共通する分割領域群の雲の高度情報から、少なくとも2つ以上の異なる時刻間における雲の高度情報の最大値と最小値との差分に基づいて、前記水平方向の位置が共通する分割領域群のそれぞれに対して複数の時点における雲の高度の変化度合を示す指標を導出し、
前記導出した複数の時点における指標に基づいて、前記分割領域群に対する雲の発達段階を推定し、
前記観測データに基づいて雲の集合体について推定し、
前記分割領域群に対する雲の発達段階に基づいて、前記雲の集合体について、雲の発達段階を推定する、
推定方法。
【請求項13】
推定装置のコンピュータに、
水平方向および鉛直方向に分割された複数の分割領域における雲の有無を判断するための情報である観測データを取得させ、
前記取得された観測データから雲の高度情報を導出させ、
前記導出させた少なくとも2つ以上の異なる時刻における水平方向の位置が共通する分割領域群の雲の高度情報から、少なくとも2つ以上の異なる時刻間における雲の高度情報の最大値と最小値との差分に基づいて、前記水平方向の位置が共通する分割領域群のそれぞれに対して複数の時点における雲の高度の変化度合を示す指標を導出させ、
前記導出させた複数の時点における指標に基づいて、前記分割領域群に対する雲の発達段階を推定させ、
前記観測データに基づいて雲の集合体について推定させ、
前記分割領域群に対する雲の発達段階に基づいて、前記雲の集合体について、雲の発達段階を推定させる、
推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、推定装置、推定方法、および推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置により観測される気象データに基づいて、雲の状態を推定する装置が知られている。従来の技術では、短い時間で変化する雲の発達段階を推定することができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−151597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、より精度よく雲の発達段階の推定をすることができる推定装置、推定方法、および推定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の推定装置は、取得部と、推定部とを持つ。取得部は、水平方向および鉛直方向に分割された複数の分割領域における雲の有無を判断するための情報である観測データを取得する。推定部は、前記取得部により取得された観測データから雲の高度情報を導出し、前記導出した少なくとも2つ以上の異なる時刻における水平方向の位置が共通する分割領域群の雲の高度情報から、少なくとも2つ以上の異なる時刻間における雲の高度情報の最大値と最小値との差分に基づいて、前記水平方向の位置が共通する分割領域群のそれぞれに対して複数の時点における雲の高度の変化度合を示す指標を導出し、前記導出した複数の時点における指標に基づいて、前記分割領域群に対する雲の発達段階を推定し、更に観測データに基づいて雲の集合体について推定し、前記分割領域群に対する雲の発達段階に基づいて、前記雲の集合体について、雲の発達段階を推定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】推定システム1の構成を示す図。
図2】推定装置20および表示データ生成装置40の構成を示す図。
図3】推定装置20により実行される処理の流れを示すフローチャート。
図4】観測データDを説明するための図。
図5】高度値の最大値と最小値について説明するための図。
図6】発達段階推定部26がライフステージを判定する様子を示す図。
図7】ライフステージの推定について説明するための図。
図8】危険度判定マップ32の一例を示す図。
図9】高度値と、係数とが互いに対応付けられた高度補正マップの一例を示す図。
図10】端末装置50の表示部に表示される画像の一例を示す図。
図11】端末装置50の表示部に表示される画像の別の一例を示す図である。
図12】推定システム1Aの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の推定装置、推定方法、および推定プログラムを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、推定システム1の構成を示す図である。推定装置20を含む推定システム1は、レーダ装置10と、推定装置20と、表示データ生成装置40とを含んでもよいが、これに限定されない。レーダ装置10と、推定装置20と、表示データ生成装置40とは、LAN(Local Area Network)等のネットワークNW1を介して通信する。また、表示データ生成装置40は、WAN(Wide Area Network)等のネットワークNW2を介して端末装置50と通信する。
【0009】
レーダ装置10は、アンテナ12と、アンテナ側制御装置14とを含む。レーダ装置10は、例えば雨や雪などを含む大気の状態を観測する気象レーダである。また、アンテナ12は、例えば、複数のアンテナ素子を備え、指向角を電子的に変更可能なフェーズドアレイアンテナである。レーダ装置10は、仰角方向を電子的に走査しながら、アンテナ12を水平方向に回転駆動することで、大気の状態を三次元で観測する。アンテナ12は、アンテナ側制御装置14の制御に基づいて、電波を送受信する。
【0010】
アンテナ側制御装置14は、レーダ側制御部16と、データ蓄積部18とを含む。レーダ側制御部16は、仰角ビーム幅の広いファンビームをアンテナ12に送信させる。レーダ側制御部16は、DBF(Digital Beam Forming)処理を行う。レーダ側制御部16は、送信したファンビームが降水粒子などの散乱体に当たり、戻ってきた反射電波を一度に受信して複数の仰角範囲の観測データ(エコー強度)を同時に生成する。データ蓄積部18は、レーダ側制御部16により取得された観測データを蓄積し、蓄積したデータを推定装置20に送信する。ここで、積乱雲のような雲は、10から30分程度で急速に発達する。この場合、積乱雲の高度は、連続的、且つ急速に上昇する。その後、積乱雲の高度は、連続的、且つゆっくりと上昇し、積乱雲の発達は、緩やかになる。そして、積乱雲の高度は最も高くなり、積乱雲は最も発達する。その後、積乱雲の高度は、連続的、且つ急速に下降し、積乱雲は減退して、消滅する。このように積乱雲は、複数のライフステージを有する。複数のライフステージは、例えば、雲の発達段階である。雲の発達段階は、例えば、「発達期」、「最盛期」、および「衰退期」である。発達期では、積乱雲の高度は、連続的、且つ急速に高度が上昇し、積乱雲は急速に発達する。最盛期では、積乱雲の高度は最も高くなり、積乱雲は最も発達する。減退期では、積乱雲の高度は、連続的、且つ急速に下降し、積乱雲は急速に減衰する。
【0011】
図2は、推定装置20および表示データ生成装置40の構成を示す図である。推定装置20は、例えば観測データ取得部22と、指標導出部24と、発達段階推定部26と、推定データ送信部28と、記憶部30を含んでもよいが、これに限定されない。指標導出部24および発達段階推定部26は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現されてよい。また、指標導出部24および発達段階推定部26は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよい。記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置により実現される。記憶部30には、後述する危険度判定マップ32が記憶されている。
【0012】
観測データ取得部22は、無線通信または有線通信を行って、レーダ装置10から観測データを取得する。レーダ装置10から少なくとも2つ以上の異なる時刻における観測データを取得し、取得した観測データを記憶部30に格納させる。なお、推定装置20は、レーダ装置10と一体で形成されていてもよい。この場合、観測データ取得部22は、装置内の通信バス等を利用して、データ蓄積部18から観測データを取得する。
【0013】
指標導出部24は、観測データ取得部22により取得された観測データに基づいて、雲の高度情報(後述)を導出する。指標導出部24は、導出した雲の高度情報に基づいて、雲の高度の変化度合を示す指標を導出する。
【0014】
発達段階推定部26は、指標導出部24により導出された指標に基づいて、雲のライフステージ(発達段階)を推定する。雲の発達段階には、例えば、雲が発達途中である段階、発達が停止して変化が小さくなった最盛期である段階、または雲が衰退途中である段階が含まれる。指標導出部24および発達段階推定部26を合わせたものは、特許請求の範囲における「推定部」の一例である。推定データ送信部28は、発達段階推定部26により推定された推定結果を表示データ生成装置40に送信する。また、推定データ送信部28は、発達段階推定部26により推定された推定結果を記憶部30に格納させる。
【0015】
表示データ生成装置40は、表示データ生成部42と、表示データ送信部44とを含んでよいが、これに限定されない。表示データ生成部42は、推定データ送信部28から送信された推定結果に基づいて、推定結果を含む情報を端末装置50の表示部に表示させるための表示データ(画像データ)を生成する。表示データ送信部44は、表示データ生成部42により生成された表示データを端末装置50に送信する。表示データ生成部42、および表示データ送信部44は、特許請求の範囲における、「表示情報生成部」の一例である。
【0016】
図3は、推定装置20により実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、観測データ取得部22が、レーダ装置10のデータ蓄積部18から送信された観測データDを取得する(ステップS100)。観測データDは、メッシュ(後述)および観測周期ごとにレーダ装置10により取得されたエコー強度を示す情報である。エコー強度は、雲や降水粒子の有無を判断するための情報の一例である。なお、観測データDは、エコー強度を示す情報に限らず、指標導出部24が、雲や降水粒子の存在の有無を判断することができる情報や、後述するメッシュブロックMBの高度値(後述)を導出することができる情報であればよい。
【0017】
また、観測データDは、予め設定された地上面(例えばレーダ装置10が設置された地上面)が基準とされたデータであってもよいし、海水面(海抜)が基準とされたデータであってもよい。また、レーダ装置10が、GPS(Global Positioning System)等の位置認識機能を有する場合、観測データDにはレーダ装置10の位置情報が含まれてもよい。指標導出部24が、例えばレーダ装置10の位置情報などに基づいて、観測データDを補正して、地上面や海水面を基準とした高度値を導出してもよい。
【0018】
図4は、観測データDを説明するための図である。以下、必要に応じてXYZ座標を用いて説明する。観測データDは、レーダ装置10のアンテナ12が水平方向に駆動して、駆動の始点から終点における間に取得されたデータである。始点から終点における間に取得された観測データDは、1周期で取得された観測データである。メッシュMとは、レーダ装置10からの距離方向(Y方向)、方位方向(X方向)、および高度方向(Z方向)に対して、それぞれ所定幅で分割された分割領域である。図示する例では、レーダ装置10から十分に遠い位置の観測データDであるためメッシュMは立方体で近似される。また、水平方向(距離方向および方位方向)が同じであり、高度方向(鉛直方向)のみが異なるメッシュMの集合を、「メッシュブロックMB」と称する。メッシュブロックMBは、「水平方向の位置が共通する分割領域群」の一例である。
【0019】
次に、指標導出部24が、メッシュMごとに観測データDを解析する(ステップS102)。指標導出部24は、例えば、観測データDのうち、メッシュMごとにエコー強度が所定以上であるか否かを判定する。エコー強度が所定以上のエコー強度がメッシュMに含まれている場合、そのメッシュMはある大きさ以上の散乱体(水滴や氷晶)を含んでいるため、指標導出部24は、そのメッシュMに雲が存在する可能性があると判定する。
【0020】
次に、指標導出部24が、レーダ装置10により観測され、同一のメッシュブロックMBで構成される観測データDについて、エコー強度が所定以上のメッシュMを所定数以上含む時間的に連続した3つのデータを取得したか否かを判定する(ステップS104)。
【0021】
同一のメッシュブロックMBについてエコー強度が所定以上のメッシュMを所定数以上含む時間的に連続した3つのデータを取得した場合、指標導出部24が、エコー強度が所定以上のメッシュMを所定数以上含む時間的に連続した3つのデータのそれぞれについて、メッシュブロックMBごとにメッシュブロックMBの高度値(高度情報)を導出する(ステップS106)。メッシュブロックMBの高度値とは、そのメッシュブロックMBに含まれるメッシュMのうち、雲が存在する可能性があると判定したメッシュMの中で最も高度が高いメッシュMの高度である。
【0022】
同一のメッシュブロックMBについてエコー強度が所定以上のメッシュMを所定数以上含む時間的に連続した3つのデータを取得した場合に限らず、指標導出部24は、同一のメッシュブロックMBについてエコー強度が所定以上のメッシュMを所定数以上含む時間的に連続した2つ以上のデータを取得した場合、エコー強度が所定以上のメッシュMを所定以上数含む時間的に連続した2つ以上のデータのそれぞれについて、メッシュブロックMBの高度値(高度情報)を導出する処理、および以降の処理を実行してもよい。
【0023】
同一のメッシュブロックMBについてエコー強度が所定以上のメッシュMを所定数以上含む時間的に連続した3つのデータを取得していない場合は、ステップS100の処理に戻る。これによって、同一のメッシュブロックMBにおいて単発的にエコー強度が所定以上のデータが取得されたときに処理を行わないようにすることで、処理負荷や電力消費の増大を抑制することができる。
【0024】
次に、指標導出部24は、それぞれのデータについて、導出したメッシュブロックMBの高度値の中で、最大値と最小値との差分から変化度合を示す指標を導出する(ステップS108)。例えば、指標導出部24は、導出したメッシュブロックMBのそれぞれについて指標を導出する。図5は、高度値の最大値と最小値について説明するための図である。縦軸は高度値(AL)を示し、横軸は時間(T)を示している。図中では、時間的に連続した周期である1周期目(T1)、2周期目(T2)、および3周期目(T3)のそれぞれで観測されたメッシュブロックMBにおける高度値を示している。例えば、指標導出部24は、1周期目から3周期目の高度値のうち、最大値と最小値との差分(dif)を指標として導出する。なお、指標導出部24は、導出した差分を観測データDの取得間隔(例えば1周期間隔)の値で除算することで、メッシュブロックMBについての指標を導出してもよい。また、1周期目から3周期目のうち、少なくとも2つの周期で高度値があれば、指標を導出してもよい。ここで、指標が導出されないメッシュブロックMBは、雲のライフステージ推定(後述)の対象となるメッシュブロックMB(以下、対象メッシュブロックMBと称する)から除外される。
【0025】
次に、指標導出部24は、ステップS108を3回実行することにより、所定数以上の対象メッシュブロックMBで3つの指標を導出したか否かを判定する(ステップS110)。所定数以上の対象メッシュブロックMBで3つの指標を導出した場合、ステップS112に進み、所定数以上の対象メッシュブロックMBで3つの指標を導出していない場合、ステップS100に進む。なお、ステップS110において、指標導出部24は、2つ以上の任意の数の指標を導出したか否かを判定し、その判定結果に基づいて、ステップS112の処理に進んでもよい。
【0026】
次に、発達段階推定部26が、ステップS108の処理で導出された3つの指標に基づいて、対象メッシュブロックMBの雲のライフステージを推定する(ステップS112)。発達段階推定部26は、例えば、雲のライフステージを「発達期」、「最盛期」、「衰退期」および、「発達期」「最盛期」「衰退期」に分類されない「その他」の4つのうちいずれの段階であるかを推定する。ステップS112において、発達段階推定部26は、2つ以上の任意の数の指標に基づいて、対象メッシュブロックMBの雲のライフステージを推定してもよい。
【0027】
例えば、発達段階推定部26は、指標が時間的(例えば数分程度)に連続して所定幅以上増加している場合、雲のライフステージは「発達期」であると推定する。例えば、発達段階推定部26は、指標が時間的に連続して所定幅以上減少している場合、雲のライフステージは「衰退期」であると推定する。発達段階推定部26は、指標が所定の範囲以内に収まっている場合、雲のライフステージは「最盛期」であると推定する。例えば、発達段階推定部26は、指標が上述した条件に当てはまらない場合は、「発達期」「最盛期」および「衰退期」のうち、いずれにも分類されない「その他」の段階であると推定する。
【0028】
図6は、発達段階推定部26がライフステージを判定する様子を示す図である。縦軸は指標を示し、横軸は時間を示している。例えば、発達段階推定部26は、推移線L1に示すように指標が時間的に連続的して正(上昇)方向に所定幅以上変化している場合、そのメッシュブロックMBにおけるライフステージを「発達期」であると推定する。所定幅は、200、250、または300m/minといった値に設定される。
【0029】
発達段階推定部26は、推移線L2に示すように指標が時間的に連続的して負(下降)方向に所定幅以上変化している場合、そのメッシュブロックMBにおけるライフステージを「衰退期」であると推定する。この所定幅は、発達期の判定基準の所定幅と同じでもよいし、異なってもよい。
【0030】
発達段階推定部26は、推移線L3に示すように指標が所定の範囲以内に収まっている場合、雲のライフステージは「最盛期」であると推定する。この所定の範囲は、発達期の判定基準の所定幅に対応する範囲と同じでもよいし、異なってもよい。
【0031】
次に、発達段階推定部26は、対象メッシュブロックMBの全てについてライフステージを推定したか否かを判定する(ステップS114)。全ての対象メッシュブロックMBのライフステージを推定した場合、ステップS116の処理に進み、全ての対象メッシュブロックMBのライフステージを推定していない場合、ステップS112の処理に戻る。
【0032】
次に、発達段階推定部26は、複数の雲により形成された雲の集合体の雲領域情報を生成する(ステップS116)。例えば、発達段階推定部26は、エコー強度が所定以上のデータを含むメッシュMが所定の数以上、波及的に隣接している領域を雲領域と推定する。
【0033】
また、発達段階推定部26は、以下のような手法により雲領域を推定してもよい。例えば、発達段階推定部26は、レーダ装置10からエコー強度に加え、送信周波数に対する受信周波数、またはその変化量を取得する。発達段階推定部26は、トップラーの原理を利用して、取得した変化量に基づいて散乱体(雨粒)の速度情報を取得する。発達段階推定部26は、散乱体の速度情報に基づいて、大気中の雨粒の動きを推定する。発達段階推定部26は、推定した雨粒の動きから雨粒の周囲の風の様子を推定することで上昇気流になっていると推定される領域を導出する。発達段階推定部26は、導出した上昇気流の領域が所定の条件を満たす場合、その領域の集合に雲の集合体(積乱雲)が存在、または発生している領域と判定する。例えば、発達段階推定部26は、上昇気流の範囲や、上昇気流におけるエコー強度の大きさ等が所定の閾値を越えている場合、当該領域に雲の集合体が存在、または発生していると判定する。
【0034】
次に、発達段階推定部26は、雲領域情報に対するライフステージを推定する(ステップS118)。発達段階推定部26は、ステップS112で推定されたメッシュブロックMBごとのライフステージに基づいて、雲領域情報に対応するライフステージを推定する。図7は、ライフステージの推定について説明するための図である。図中の数字は、ステップS112で推定されたメッシュブロックMBのライフステージを示している。図示する例では、発達期を1、衰退期を2、最盛期を3で示す。
【0035】
発達段階推定部26は、例えば、ステップS116で生成された雲領域情報の雲領域CMに含まれるメッシュブロックMBに対応する各ライフステージのうち、最も数の多いライフステージを、その雲領域CMのライフステージであると推定する。図示する例では、雲領域CM中において、発達期1に対応するメッシュブロックMBの数が最も多いため、発達段階推定部26は、雲領域CMに対応する雲の集合体の集合のライフステージは発達期であると推定する。
【0036】
また、発達段階推定部26は、メッシュブロックMBごとのライフステージを数値化した値を、雲領域CM全体に含まれるメッシュブロックMBの数で除算することで、雲領域CMのライフステージを推定してもよい。なお、発達段階推定部26は、複数の雲領域のそれぞれについて、ライフステージを推定してもよいし、複数の雲領域のうち、任意の雲領域についてライフステージを推定してもよい。
【0037】
雲領域CMにおいて、ライフステージが発達期であると推定されたメッシュブロックMBの数と、ライフステージが最盛期であると推定されたメッシュブロックMBの数とが同数である場合、発達段階推定部26は、雲領域CMに対応する雲の集合体のライフステージは発達期であると推定してよい。
【0038】
また、雲領域CMにおいて、ライフステージが最盛期であると推定されたメッシュブロックMBの数と、ライフステージが衰退期であると推定されたメッシュブロックMBの数とが同数である場合、発達段階推定部26は、雲領域CMに対応する雲の集合体のライフステージは最盛期であると推定してよい。
【0039】
また、雲領域CMにおいて、ライフステージが発達期であると推定されたメッシュブロックMBの数と、ライフステージが衰退期であると推定されたメッシュブロックMBの数とが同数である場合、発達段階推定部26は、雲領域CMに対応する雲の集合体のライフステージは発達期であると推定してよい。
【0040】
このように発達段階推定部26は、雲領域CMにおいて、異なるライフステージに対応するメッシュブロックMBの数が同数である場合、発達段階のうち、発生段階に近い段階の優先度を高くする傾向で発達段階を推定する。このように発生段階に近い段階の優先度を高くすることで、利用者に推定結果を含む情報を提示する場合、注意喚起および避難喚起を行う傾向となる。この結果、安全側で雲の発生段階の推定を行うことができる。
【0041】
次に、発達段階推定部26は、ライフステージを推定した雲の集合体が豪雨を引き起こす危険度を導出する(ステップS120)。これにより本フローチャートの処理は終了する。例えば、発達段階推定部26は、雲領域CMに含まれるメッシュブロックMBの高度値が高くなる程、高度値の変化率が大きくなる程、そのメッシュブロックMBの危険度が高いと判定する。そして、発達段階推定部26は、雲領域CMに含まれる各メッシュブロックMBの危険度を統合して、雲領域CMの危険度を導出する。例えば発達段階推定部26は、記憶部30に記憶された危険度判定マップ32を参照し、メッシュブロックMBごとの危険度を判定する。
【0042】
図8は、危険度判定マップ32の一例を示す図である。危険度判定マップ32には、危険度が、高度値および変化率に対応付けられている。図示するように、危険度判定マップ32は、メッシュブロックMBの高度値が高くなる程、メッシュブロックMBの高度値の変化率が大きくなる程、危険度を高く導出するマップである。発達段階推定部26は、危険度判定マップ32を参照し、雲領域内の各メッシュブロックMBの高度値および変化率に基づいて、各メッシュブロックMBの危険度を推定する。
【0043】
そして、発達段階推定部26は、複数のメッシュブロックMBごとに導出した危険度の平均値や、導出した危険度の分類の数が最も多い危険度を、雲領域CMの危険度として導出する。
【0044】
発達段階推定部26は、雲領域CMごとに推定した発達段階を加味して、危険度を導出してもよい。例えば、発達段階推定部26は、発達期、衰退期、最盛期に対して係数を設定し、設定した係数を、危険度判定マップ32などを用いて導出した危険度に対応する値に対して乗算、加算その他の演算を行って、最終的な危険度を導出してもよい。例えば、係数は、大きい方から順に発達期、最盛期、衰退期の順で設定される。これにより、発達段階推定部26は、より精度よく雲の集合体が豪雨を引き起こす危険度を導出することができる。
【0045】
また、危険度が導出される際の高度値は、予め設定された地上面を基準としてもよいし、海水面(海抜)を基準としてもよい。
【0046】
また、危険度が導出される際の高度値は、高度補正マップに従って補正された後の高度値であってもよい。図9は、高度値と、係数(例えば1以下)とが互いに対応付けられた高度補正マップの一例を示す図である。高度補正マップにおいて、高度値が低くなるに従って、係数は大きくなる傾向で設定される。例えば高い高度値は、中程度の高度値、および低い高度値に比して、係数が低く設定される。中程度の高度値は、低い高度値に比して、係数が低く設定される。例えば、発達段階推定部26は、高度補正マップを参照することで、高度値が高い場合、高度値が低い場合に比して、より高度値の低下率が大きくなる傾向に補正する。
【0047】
また、メッシュブロックMBごとに補正値が対応付けられ、発達段階推定部26は、メッシュブロックMBに対応付けられた補正値を加味して、危険度を導出してもよい。例えば、メッシュブロックMBに含まれる領域において、地盤が脆弱な領域が存在する場合や、大雨が降るとがけ崩れや地盤の沈下などの地盤の変化が生じる可能性が高い場合、そのメッシュブロックMBに対して他のメッシュブロックMBに対応付けられた補正値に比して大きい値の補正値を対応付ける。大きい値の補正値が対応付けられたメッシュブロックMBの危険度は、高い傾向で導出される。この結果、発達段階推定部26は、地盤の特性を反映させた危険度を導出することができる。
【0048】
表示データ生成部42は、雲のライフステージまたは危険度を示す表示データを生成する。表示データ送信部44は、表示データ生成部42により生成された表示データを、端末装置50に送信する。図10は、端末装置50の表示部に表示される画像の一例を示す図である。端末装置50の表示部には、表示データ送信部44により送信された情報が表示される。端末装置50の表示部には、例えば、雲領域、その雲の危険度(高、中、低)、その雲が発達期、衰退期、または最盛期であるかを示す情報が、地図情報に重畳されて表示される。ライフステージに関する情報は、例えば色彩によって区別可能に表示され、危険度に関する情報は、例えばテキスト情報で表示される。また、端末装置50の表示部には、雲領域、その雲の危険度、雲のライフステージに関する情報のうち、一部の情報が省略されてもよい。例えば端末装置50の表示部には、地図情報に重畳されて、雲の危険度のみが表示されてもよいし、ライフステージに関する情報のみが表示されてもよい。
【0049】
また、表示生成装置40は、携帯端末と無線通信してもよい。携帯端末は、表示部を含むスマートフォンや、タブレット端末である。携帯端末は、表示生成装置40から送信された表示データに基づいて、図10で示した画像を、自装置の表示部に表示させる。
【0050】
図11は、端末装置50の表示部に表示される画像の別の一例を示す図である。図11(A)は、利用者によって操作される前の画像の一例である。図11(B)は、利用者によって操作された後の画像の一例である。図11(A)では、雲の危険度が高いことを示す情報、および雲のライフステージのうち、発達期および最盛期に関する情報が表示されている。この場合、利用者が端末装置50に対して所定の操作を実行すると、図11(B)に示すように端末装置50の表示部に表示された領域のうち、所定の領域が拡大されて表示される。所定の操作とは、例えば表示部に表示された領域を拡大表示する操作であって、端末装置50の入力部に対して行われる操作であってもよいし、端末装置50の表示部がタッチパネル式表示部である場合、表示部に対して行われるピンチアウト操作であってもよい。
【0051】
所定の領域が拡大表示されると、例えば、メッシュブロックMBごとに、雲の危険度を示す情報、および/または雲のライフステージを示す情報が表示される。図11(B)は、例えばメッシュブロックMBごとに、地図情報に重畳されて、雲の危険度が高い領域を示す情報が表示された画像の一例である。また、GPS等の位置認識機能を有する携帯端末の表示部に図11(B)に示す画像が表示される場合、地図情報に重畳されて、利用者(携帯端末)Uの位置が表示されてもよい。更に、携帯端末に目的地が設定されている場合、地図情報に重畳されて、目的地Gの位置が表示されてもよい。
【0052】
このように、端末装置50の表示部には雲の領域と、危険度と、その雲が発達期、衰退期、または最盛期であるかを示す情報とが互いに対応付けられて表示されるため、利用者は、直感的に豪雨になる可能性や、危険度を認識することができる。この結果、利用者の利便性が向上する。
【0053】
以上説明した第1の実施形態の推定装置20によれば、雲の高度の変化度合を示す指標に基づいて、雲の発達段階が発達期、衰退期、または最盛期であるかを推定することで、より精度よく雲の発達段階の推定をすることができる。また、推定装置20は、雲の発達段階の推定に加え、更に高度値および高度値の変化度合を示す指標のうち、一方または双方に基づいて、発達段階を推定した雲が豪雨を引き起こす危険度を推定し、推定結果を示す情報を利用者に提供することができる。この結果、利用者の利便性が向上する。
【0054】
なお、上述した実施形態では、表示データは、端末装置50や携帯端末の表示部に表示されるものとして説明したが、表示データは、テレビジョン放送受信装置の表示部に表示されてもよい。この場合、例えば表示データ生成装置40は、表示データを含む情報を重畳させた電波をテレビジョン放送受信装置の受信部に送信する。テレビジョン放送受信装置の受信部は、表示データ生成装置40から送信された電波を受信する。テレビジョン放送受信装置は、受信した電波に重畳された情報に基づいて、自装置の表示部に表示データを含む情報を表示させる。
【0055】
また、ネットワークNW2は、WAN等に代えて、テーブルテレビ等の有線放送に用いられる有線であってもよい。この場合、テレビジョン放送受信装置は、表示データ生成装置40とネットワークNW2を介して通信することで、表示データを自装置の表示部に表示させる。また、テレビジョン放送受信装置は、利用者が操作する操作部を備え、利用者によって操作部に対して所定の操作がされた場合、情報要求信号を表示データ生成装置40に送信する。表示データ生成装置40は、情報要求信号を取得すると、ネットワークNW2を介して表示データを含む情報を、テレビジョン放送受信装置に送信する。情報要求信号に地域を指定する情報が含まれている場合、表示データ生成装置40は、その地域の表示データを含む情報をテレビジョン放送受信装置に送信してもよい。
【0056】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、推定装置20と、表示データ生成部42および表示データ送信部44を含む表示データ生成装置40とは別体であるものとしたが、第2の実施形態の推定装置20Aは、第1の実施形態の推定装置20の構成に加え、更に表示データ生成部34と、表示データ送信部36とを含む点で、第1の実施形態とは異なる。以下、この相違点を中心に説明する。
【0057】
図12は、推定システム1Aの構成を示す図である。第2の実施形態の推定システム1Aは、レーダ装置10と、推定装置20Aとを含んでよいが、これに限定されない。また、推定システム1Aでは、推定データ送信部28は省略される。
【0058】
推定装置20Aは、第1の実施形態の推定装置20の構成に加え、更に表示データ生成部34および表示データ送信部36を含む。表示データ生成部34および表示データ送信部36の機能は、第1の実施形態の表示生成部42および表示データ送信部44と、それぞれ同様のため説明を省略する。
【0059】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、観測データを取得する取得部と、取得部により取得された観測データから雲の高度情報を導出し、導出した少なくとも2つ以上の異なる時刻における雲の高度情報に基づいて、複数の時点における雲の高度の変化度合を示す指標を導出し、導出した複数の時点における指標に基づいて、雲の発達段階を推定する推定部とを持つことにより、より精度よく雲の発達段階の推定をすることができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
1…推定システム、10…レーダ装置、20、20A…推定装置、22…観測データ取得部、24…指標導出部、26…発達段階推定部、28…推定データ送信部、30…記憶部、32…危険度判定マップ、40…表示データ生成装置、34、42…表示データ生成部、36、44…表示データ送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12