(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
相手方端子に対して接続される端子接続部、電線に対して圧着される電線接続部、および前記端子接続部と前記電線接続部の側壁同士を繋ぐ連結部を有する圧着端子を前記電線との圧着位置に供給する端子供給装置と、
前記圧着位置に供給された前記圧着端子の底部を支持する第一金型と、
前記第一金型に向けて相対移動しながら前記電線接続部を変形させ、前記電線接続部を前記電線に対して圧着させる第二金型と、
前記第二金型が前記電線接続部を圧着させる際に前記連結部を幅方向の両側から挟み込み、前記連結部の幅が前記端子接続部の幅よりも広くなることを規制する規制部と、
を備えることを特徴とする端子圧着装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係る端子圧着装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
[実施形態]
図1から
図21を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、端子圧着装置に関する。なお、
図13には、
図9のXIII−XIII断面が示されている。また、
図20の断面図には、
図13と同じ断面位置の断面が示されている。
【0015】
まず、本実施形態に係る圧着端子1について説明する。
図1等に示す圧着端子1は、電線50に対して圧着される端子である。圧着端子1は、電線50と一体になった状態で相手側端子(図示略)に対して電気的に接続される。圧着対象の電線50は、端部の被覆52が取り除かれて芯線51が所定の長さ露出している。芯線51は、複数本の素線の集合体であってもよく、同軸ケーブルのような単線であってもよい。圧着端子1は、電線50の端部に圧着されることで、露出している芯線51に対して電気的に接続される。
【0016】
圧着端子1は、端子金具10および止水部材20を有する。端子金具10は、圧着端子1の主体部分である。端子金具10は、母材としての導電性の金属板(例えば銅板、銅合金板)から形成される。端子金具10は、母材に対する打ち抜き加工や折り曲げ加工等により、相手側端子や電線50との接続が可能な所定の形状に形成される。端子金具10は、端子接続部11および電線接続部12を有する。端子接続部11は、相手側端子に対して電気的に接続される部分である。電線接続部12は、電線50に対して圧着される部分であり、芯線51に対して電気的に接続される。端子接続部11と電線接続部12との間には、連結部13が設けられている。言い換えると、端子接続部11と電線接続部12とは連結部13を介して連結されている。連結部13は、端子接続部11の側壁11a,11aと、電線接続部12の側壁であるバレル片部15,16とを繋ぐ側壁13a,13aを有する。一方の側壁13aは、一方の側壁11aと第一バレル片部15とを繋ぎ、他方の側壁13aは、他方の側壁11aと第二バレル片部16とを繋ぐ(
図17参照)。側壁13aの高さは、バレル片部15,16や側壁11aの高さよりも低くなっている。より詳しくは、側壁13aの高さは、端子接続部11から電線接続部12へ向かうに従って低くなっている。
【0017】
端子金具10は、雄端子であっても雌端子であってもよい。端子接続部11は、端子金具10が雄端子である場合、雄型に成型され、端子金具10が雌端子である場合、雌型に成型される。
【0018】
圧着端子1の説明において、相手側端子との接続方向、すなわち相手側端子との挿入方向を第一方向Lと称する。第一方向Lは、圧着端子1の長手方向である。圧着端子1の並列配置方向を第二方向Wと称する。並列配置方向は、後述するように端子連鎖体30において圧着端子1が並列配置される方向であり、圧着端子1の幅方向である。圧着端子1において、第一方向Lおよび第二方向Wの何れとも直交する方向を第三方向Hと称する。第三方向Hは、圧着端子1の高さ方向である。
【0019】
成型工程において、圧着端子1は、平板な板状に成型され、この状態から、端子接続部成形工程において、端子接続部11が
図1に示すように筒状に形成される。端子接続部成形工程では、端子接続部11に対する折り曲げ加工等がなされる。本実施形態の端子接続部11は、断面形状が矩形の筒形状に形成される。電線接続部12は、電線接続部成形工程において、断面形状がU字状となるように成型される。電線接続部成形工程では、電線接続部12に対する折り曲げ加工等がなされる。また、電線接続部12には、貼付工程において、止水部材20が貼付けられる。貼付工程は、電線接続部成形工程よりも前に実行されても、電線接続部成形工程の後で実行されてもよい。
【0020】
図1および
図6に示すように、電線接続部12は、底部14、第一バレル片部15、および第二バレル片部16を有する。底部14は、U字状に形成された電線接続部12の底壁となる部位である。底部14には、圧着加工の際に電線50の端部が載置される。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、U字状に形成された電線接続部12の側壁となる部位である。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、底部14における第二方向Wの端部につながっている。U字状に形成された電線接続部12では、底部14に電線50の端部が載置されると、第一バレル片部15および第二バレル片部16が第二方向Wの両側から電線50を囲む。
【0021】
第一バレル片部15および第二バレル片部16は、底部14側の根元から先端15a,16aの端面までの長さが互いに等しくてもよく、一方の長さが他方の長さよりも長くてもよい。本実施形態の圧着端子1では、第一バレル片部15における根元から先端15aまでの長さと、第二バレル片部16における根元から先端16aまでの長さとが等しい。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、例えば、互いに重なり合いながら電線50に対して巻き付けられる。なお、第一バレル片部15および第二バレル片部16は、所謂Bクリンプと称する加締めがなされてもよい。Bクリンプでは、第一バレル片部15および第二バレル片部16のそれぞれが底部14側に向けて折り曲げられて先端15a,16aが電線50に向けて押しつけられるように加締められる。本実施形態の圧着端子1には、後述する止水部材20が設けられることから、前者の加締め処理が採用される。
【0022】
電線50の端部は、電線接続部12のU字の開口部、すなわち先端15a,16aの隙間からU字状の内側の空間に挿入される。電線接続部12は、電線50の端部が挿入されやすいように形成されている。具体的には、電線接続部12は、底部14側から先端15a,16aの端面へ向かうにつれて第一バレル片部15と第二バレル片部16との第二方向Wの間隔が広がっている。
【0023】
第一バレル片部15および第二バレル片部16は、
図2乃至
図6に示すように、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとの間に連結圧着部12Cが介在している。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、それぞれ圧着部12A,12C,12Bがこの順序で第一方向Lに沿って連続している一枚の片部である。なお、第一バレル片部15および第二バレル片部16は、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとの間にスリットが設けられ、底部14を介して圧着部12A,12Bが互いにつながっていてもよい。
【0024】
芯線圧着部12Aは、電線50の先端の芯線51に対して圧着される部位である。芯線圧着部12Aは、各バレル片部15,16における最も連結部13寄りの部位である。被覆圧着部12Bは、被覆52の端部に対して圧着される部位である。被覆圧着部12Bは、各バレル片部15,16における最も連結部13側から遠い側に位置する部位である。連結圧着部12Cは、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとを繋ぐ部位である。連結圧着部12Cは、電線50における芯線51と被覆52との境界部分に対して圧着される。
【0025】
図5および
図6に示すように、電線接続部12の内壁面、すなわち電線50を覆う側の壁面には、セレーション領域17が設けられている。セレーション領域17は、芯線51を保持する芯線保持領域である。セレーション領域17は、電線接続部12の内壁面において、芯線51に対して巻き付けられる部分を含む領域である。セレーション領域17には、複数の凹部、複数の凸部、または凹部と凸部の組み合わせが配置される。凹部や凸部は、電線接続部12と芯線51との接触面積を増やし、両者の密着強度を高める。本実施形態のセレーション領域17は、矩形の領域であり、第一方向Lの互いに異なる位置に複数の凹部17aが形成されている。
【0026】
ここで、芯線51と、芯線51に対して圧着された電線接続部12との間に水が浸入してしまうことは好ましくない。例えば、芯線51の金属材料と電線接続部12の金属材料とがイオン化傾向の大きさの異なるものである場合、腐食の可能性がある。一例として、芯線51の材料がアルミニウム、電線接続部12の材料が銅である場合、芯線51が腐食してしまう可能性がある。本実施形態の圧着端子1には止水部材20が設けられている。止水部材20は、電線接続部12と芯線51との間への水の浸入を抑制する。
【0027】
止水部材20は、例えば、アクリル系粘着剤等の粘着剤を主とするシート状に形成された部材である。本実施形態の止水部材20としては、シート状の不織布に粘着剤を染み込ませて形成された粘着シートであって、両面に粘着効果を有するものが用いられる。
【0028】
止水部材20は、例えば、
図5に示す平板状の電線接続部12の内壁面に対して貼付けられる。止水部材20は、
図6に示すように、所定形状に形成されており、第一止水部21、第二止水部22、および第三止水部23を有する。第一止水部21は、圧着完了後に第一バレル片部15と第二バレル片部16とが重なり合う部分を止水する。つまり、第一止水部21は、互いに重なり合う第一バレル片部15と第二バレル片部16との間に挟み込まれてバレル片部15,16の間に止水領域を形成する。本実施形態の第一止水部21は、第二バレル片部16に配置されており、第一方向Lに沿って延在している。
【0029】
第二止水部22は、芯線51の先端よりも端子接続部11側を止水する。第二止水部22は、電線接続部12における端子接続部11側の端部に配置されており、第二方向Wに沿って延在している。第二止水部22の少なくとも一部は、芯線51が載置される領域に設けられることが望ましい。第二止水部22は、例えば、重なり合うバレル片部15,16の間に挟み込まれることにより、バレル片部15,16の隙間に止水領域を形成する。第二止水部22は、圧着工程において互いに重なり合うことにより、芯線51の先端よりも端子接続部11側の隙間を塞ぐこともできる。第二止水部22は、電線接続部12と芯線51との間への端子接続部11側からの浸水を抑制する。
【0030】
第三止水部23は、電線接続部12と被覆52との隙間からの水の浸入を抑制する。第三止水部23は、電線接続部12における端子接続部11側と反対側の端部に配置されており、第二方向Wに沿って延在している。第三止水部23は、被覆52と電線接続部12との間に挟み込まれることにより、被覆52と電線接続部12との間に止水領域を形成する。
【0031】
以上示した端子金具10は、母材となる一枚の金属板に対するプレス工程を経て、
図5に示す平板状の電線接続部12を有する形態に加工される。その後の止水部材貼付工程において、その平板状の電線接続部12に止水部材20が貼付される。しかる後、この端子金具10は、折り曲げ工程において、端子接続部11が形成され、かつ、U字状の電線接続部12が形成される。
【0032】
本実施形態では、プレス工程や折り曲げ工程によって、
図7に示す端子連鎖体30が形成される。端子連鎖体30は、複数の圧着端子1が連鎖したものであり、一枚の金属板から形成される。端子圧着装置100には、端子連鎖体30が供給される。端子圧着装置100は、端子連鎖体30に対して圧着工程および端子切断工程を実行する。圧着工程は、端子連鎖体30の圧着端子1を電線50に対して加締めて圧着させる工程である。端子切断工程は、電線50に対して加締められた圧着端子1を端子連鎖体30から切り離す工程である。
【0033】
端子連鎖体30は、圧着端子1の集合体である。端子連鎖体30は、連結片31、複数の圧着端子1、および複数の繋ぎ部32を有する。連結片31、圧着端子1、および繋ぎ部32は、同一の母材から形成されており、一体である。端子連鎖体30において、それぞれの圧着端子1は同一方向を向いており、かつ等間隔で並列に配置されている。端子連鎖体30では、各圧着端子1の一方の端部が連結片31によって互いに繋がれている。連結片31の形状は、例えば、矩形の細長い板状である。連結片31は、第二方向Wに沿って延在している。電線接続部12は、繋ぎ部32を介して連結片31とつながっている。より詳しくは、繋ぎ部32は、底部14における端子接続部11側とは反対側の端部を連結片31に繋いでいる。
【0034】
連結片31には、複数の端子送り孔31aが形成されている。端子送り孔31aは、端子連鎖体30の送り方向に沿って等間隔で配置されている。端子送り孔31aは、連結片31を板厚方向に貫通している貫通孔である。端子送り孔31aによって、後述する圧着装置102に対する圧着端子1の位置決めがなされる。端子連鎖体30は、リール状に巻き取られた状態で端子圧着装置100に対してセットされる。
【0035】
図8に示すように、端子圧着装置100は、端子供給装置101、圧着装置102、および駆動装置103を有する。端子圧着装置100は、この技術分野においてアプリケータと称される装置である。端子供給装置101は、所定の圧着位置に圧着端子1を供給する装置である。圧着装置102は、所定の圧着位置で電線50に対して圧着端子1を圧着する装置である。駆動装置103は、端子供給装置101および圧着装置102を動作させる装置である。
【0036】
端子供給装置101は、リール状に巻き取られている端子連鎖体30を外周側から順次引き出す。端子供給装置101は、引き出した端子連鎖体30の圧着端子1を先頭側から順に圧着位置に供給する。端子供給装置101は、先頭の圧着端子1が電線50に対して圧着され、かつ連結片31から切り離されると、新たに先頭となった圧着端子1を圧着位置に供給する。端子供給装置101は、一つの圧着端子1の圧着工程および端子切断工程が完了する毎に供給動作を行って次の圧着端子1を圧着位置に供給する。
【0037】
端子供給装置101は、端子送り部材101aおよび動力伝達機構101bを有する。端子送り部材101aは、連結片31の端子送り孔31aに挿入される突起部を有する。端子送り部材101aは、端子送り孔31aに突起部が挿入された状態で端子連鎖体30を送り方向に移動させる。動力伝達機構101bは、圧着装置102による圧着動作(後述するラム114A等の上下動)に連動して端子送り部材101aを動作させる。端子供給装置101は、圧着装置102の圧着動作に連動して、端子送り部材101aを上下方向および送り方向に移動させることによって圧着端子1を圧着位置に供給する。
【0038】
圧着装置102は、供給された圧着端子1を電線50に圧着させる圧着工程と、この圧着端子1を連結片31から切り離す切断工程とを実行する。圧着装置102は、圧着機110および端子切断機構120を有する。
【0039】
圧着機110は、圧着端子1を電線50の端部に加締めることにより、圧着端子1を電線50に圧着させる装置である。本実施形態の圧着機110は、圧着端子1の第一バレル片部15および第二バレル片部16を電線50の芯線51および被覆52に対して巻き付けるように加締めることで圧着端子1を電線50に圧着させる。圧着機110は、フレーム111、第一金型112、第二金型113、および動力伝達機構114を有する。
【0040】
フレーム111は、基台111A、アンビル支持体111B、伝達部支持体111C、および支持台111Dを有する。基台111Aは、端子圧着装置100の土台をなす部材である。基台111Aは、端子圧着装置100が載置される載置台に対して固定される。アンビル支持体111B、伝達部支持体111C、および支持台111Dは、基台111Aの上に固定される。
【0041】
伝達部支持体111Cは、アンビル支持体111Bに対して後方(
図8の紙面右方)かつ上方(
図8の紙面上方)に配置される。より具体的には、伝達部支持体111Cは、立設部111C
1およびラム支持部111C
2を有する。立設部111C
1は、アンビル支持体111Bの後方に配置されており、基台111Aから上方に向けて立設されている。ラム支持部111C
2は、立設部111C
1の上部に保持されている。ラム支持部111C
2は、後述するラム114Aを支持する支持部である。ラム支持部111C
2は、アンビル支持体111Bの上方に、アンビル支持体111Bとの間に所定の間隔をあけて配置されている。支持台111Dは、圧着端子1の端子接続部11を支持する台である。支持台111Dの上面の高さ位置は、第一金型112の上面の高さ位置と略同様の位置である。
【0042】
第一金型112と第二金型113とは対をなしている。第一金型112と第二金型113とは上下方向において間隔をあけて配置されている。第一金型112および第二金型113は、
図10に示すように圧着端子1および電線50を間に挟み込むことで、圧着端子1を電線50に対して圧着させる。第一金型112は、圧着端子1を下方から支持する金型である。第一金型112は、二つの下型が形成されたものであり、第一の下型としての第一アンビル112Aおよび第二の下型としての第二アンビル112Bを有する。第一アンビル112Aと第二アンビル112Bとは、例えば、一体に成形される。第二金型113は、第一金型112に対して上方に配置されている。第二金型113は、二つの上型が形成されたものであり、第一の上型としての第一クリンパ113Aおよび第二の上型としての第二クリンパ113Bを有する。
【0043】
第一アンビル112Aと第一クリンパ113Aとは上下方向において互いに対向している。第一アンビル112Aおよび第一クリンパ113Aは、芯線圧着部12Aを圧着させる。すなわち、第一アンビル112Aおよび第一クリンパ113Aは、その相互間の間隔を狭めていくことにより、U字状の芯線圧着部12Aを電線50の芯線51に対して巻き付け、芯線51に圧着させる。
【0044】
第二アンビル112Bと第二クリンパ113Bとは上下方向において互いに対向している。第二アンビル112Bおよび第二クリンパ113Bは、被覆圧着部12Bを圧着させる。すなわち、第二アンビル112Bおよび第二クリンパ113Bは、その相互間の間隔を狭めていくことによって、U字状の被覆圧着部12Bを被覆52に対して巻き付け、被覆52に圧着させる。
【0045】
駆動装置103は、動力を動力伝達機構114に伝えることによって、圧着工程では第一金型112と第二金型113との間隔を狭め、電線接続部12を電線50に対して圧着させる。一方、駆動装置103は、圧着工程が完了すると第一金型112と第二金型113との間隔を広げる。本実施形態の圧着装置102では、第二金型113が第一金型112に対して上下動することにより、一対の金型112,113の間隔が変化する。本実施形態の圧着装置102では、第一アンビル112Aと第一クリンパ113Aとによる芯線圧着部12Aの圧着動作が開始された後に、第二アンビル112Bと第二クリンパ113Bとによる被覆圧着部12Bの圧着動作が開始される。
【0046】
なお、第一金型112において、第一アンビル112Aと第二アンビル112Bとが別体とされ、第二金型113において第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bとが別体とされてもよい。この場合、駆動装置103および動力伝達機構114は、第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bとを別々に上下動させるように構成されてもよい。
【0047】
動力伝達機構114は、駆動装置103から出力された動力を第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bに伝達する。
図8に示すように、動力伝達機構114は、ラム114A、ラムボルト114B、およびシャンク114Cを有する。
【0048】
ラム114Aは、ラム支持部111C
2に対して上下動自在に支持された可動部材である。ラム114Aには、第二金型113が固定されている。このため、第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111C
2に対して上下動する。ラム114Aの形状は、例えば、方体状である。ラム114Aには、雌ネジ部(図示略)が形成されている。その雌ネジ部は、ラム114Aの内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成されている。
【0049】
ラムボルト114Bは、雄ネジ部(図示略)を有し、この雄ネジ部がラム114Aの雌ネジ部に螺合されている。このため、ラムボルト114Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111C
2に対して上下動する。また、ラムボルト114Bは、その雄ネジ部の上方に配置されたボルト頭部114B
1を有する。ボルト頭部114B
1には、雌ネジ部(図示略)が形成されている。ボルト頭部114B
1の雌ネジ部は、ボルト頭部114B
1の内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成されている。
【0050】
シャンク114Cは、円柱状の中空部材であり、それぞれの端部に雄ネジ部114C
1と接続部(図示略)とを有する。シャンク114Cの雄ネジ部114C
1は、中空部材の下側に形成されており、ラムボルト114Bのボルト頭部114B
1の雌ネジ部に螺合されている。従って、シャンク114Cは、ラム114Aやラムボルト114Bと一体になってラム支持部111C
2に対して上下動する。シャンク114Cの接続部は、駆動装置103に接続される。
【0051】
駆動装置103は、駆動源(図示略)と、駆動源の駆動力を上下方向の動力に変換する動力変換機構(図示略)と、を有する。シャンク114Cの接続部は、その動力変換機構の出力軸に連結されている。従って、第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bは、駆動装置103の出力(動力変換機構の出力)によって、ラム114A、ラムボルト114B、およびシャンク114Cと一体になってラム支持部111C
2に対して上下動する。駆動装置103の駆動源としては、電動機などの電動アクチュエータ、油圧シリンダなどの油圧アクチュエータ、エアシリンダなどの空気圧アクチュエータ等が適用可能である。
【0052】
第一アンビル112Aに対する第一クリンパ113Aの上下方向における相対位置、および第二アンビル112Bに対する第二クリンパ113Bの上下方向における相対位置は、ボルト頭部114B
1の雌ネジ部とシャンク114Cの雄ネジ部114C
1のねじ込み量を調整することによって、変化させることができる。ナット114Dは、ラムボルト114Bの上方でシャンク114Cの雄ネジ部114C
1に螺合されている。従って、ナット114Dは、ボルト頭部114B
1の雌ネジ部と共に所謂ロックナットの機能を成す。ナット114Dは、上記の相対位置の調整完了後にラムボルト114B側へと締め付けられることによって、その相対位置に第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bを固定することができる。
【0053】
図10に示すように、第一アンビル112Aおよび第二アンビル112Bには、それぞれの上側の先端に、下方に向けて凹ませた凹状面112A
1,112B
1が形成されている。それぞれの凹状面112A
1,112B
1は、U字状の芯線圧着部12AとU字状の被覆圧着部12Bのそれぞれの底部14の形状に合わせて、断面形状が弧状となるように形成されている。この圧着機110においては、それぞれの凹状面112A
1,112B
1が圧着位置となる。底部14を下側にして供給されてきた圧着端子1は、芯線圧着部12Aの底部14が第一アンビル112Aの凹状面112A
1に載置され、被覆圧着部12Bの底部14が第二アンビル112Bの凹状面112B
1に載置される。第一金型112は、凹状面112A
1,112B
1を上方に露出させた状態でアンビル支持体111Bによって支持されている。
【0054】
図10に示すように、第一クリンパ113Aおよびと第二クリンパ113Bには、それぞれに、上方に向けて凹ませた凹状部113A
1,113B
1が形成されている。各凹状部113A
1,113B
1は、第一アンビル112Aおよび第二アンビル112Bのそれぞれの凹状面112A
1,112B
1に対して上下方向で対向させて配置されている。各凹状部113A
1,113B
1は、第一及び第二の壁面115,116と、第3壁面117と、を有する。第一壁面115と第二壁面116とは第二方向Wにおいて互いに対向している。第三壁面117は、第一及び第二の壁面115,116の上端を繋いでいる。各凹状部113A
1,113B
1は、第一から第三の壁面115,116,117を第一バレル片部15および第二バレル片部16に接触させつつ、第一バレル片部15および第二バレル片部16を電線50の端部に巻き付けながら加締めていく。各凹状部113A
1,113B
1は、このような加締め動作を行えるように形成されている。
【0055】
圧着機110で圧着加工された圧着端子1は、端子切断機構120によって連結片31から切り離される。端子切断機構120は、圧着位置に供給された圧着端子1の繋ぎ部32を二つの端子切断部で挟み込んで切断するものであり、その切り離しを圧着工程の進行と連動して行う。
図8に示すように、端子切断機構120は、第二アンビル112Bよりも前側(
図8の紙面左側)に配置されている。端子切断機構120は、端子切断体121、押下部材122、および弾性部材123を備える。
【0056】
端子切断体121は、方体状に成形され、第二アンビル112Bの前面に沿って上下方向に摺動し得るように配置される。端子切断体121には、
図11および
図12に示すように、第二アンビル112Bとの摺接面121aから内方に向けてスリット121bが形成されている。スリット121bは、端子連鎖体30の連結片31の通路である。圧着対象の圧着端子1が圧着位置まで供給されてきた際に、この圧着端子1と繋がる繋ぎ部32の一部がスリット121bから突出する。圧着位置に供給された圧着端子1は、第一金型112によって下方から支持されている。
【0057】
端子切断体121は、第一金型112および圧着端子1に対して相対的に上下動しながら繋ぎ部32を切断する。ここでは、スリット121bへの連結片31等の挿入が可能な位置を端子切断体121の上下方向における初期位置とする。
図13に示すように、繋ぎ部32における電線接続部12側の端部は、スリット121bの摺接面121a側(つまり圧着端子1側)の開口を介して、スリット121bから突出する。端子切断体121においては、その開口における上側のエッジ部(以下、「開口エッジ」という。)121cが一方の端子切断部として利用される。他方の端子切断部は、第二アンビル112Bの上面エッジ112aである。
【0058】
押下部材122は、ラム114Aに固定されており、ラム114Aと一体になって上下動する。押下部材122は、端子切断体121の上方に配置され、下降していって端子切断体121を押し下げる。押下部材122は、方体状に成形されている。弾性部材123は、端子切断体121に対して上方への付勢力を加えるものであり、バネ部材等からなる。この弾性部材123は、押下部材122からの押下力が解除されたときに、端子切断体121を上下方向における初期位置に戻す。
【0059】
この端子切断機構120においては、圧着加工時の第二金型113の下降と共に押下部材122が下降し、端子切断体121を押し下げる。端子切断体121が下降することによって、スリット121bの開口エッジ121cと第二アンビル112Bの上面エッジ112a(
図13)との間に繋ぎ部32が挟み込まれる。この端子切断機構120においては、開口エッジ121cと上面エッジ112aとが鋏の如き作用を為し、繋ぎ部32に対して剪断力を加える。端子切断体121が更に押し下げられることによって、開口エッジ121cと上面エッジ112aとが繋ぎ部32を切断し、圧着端子1を連結片31から切り離す。尚、切断性を高めるため、開口エッジ121cは、摺接面121a上で上面エッジ112aに対して傾斜させている。
【0060】
図13に示すように、圧着対象となる電線50は、端子切断体121と押下部材122との間における所定の位置に配置される。電線50は、具体的に、端子切断体121の上面121dに載置される。このため、端子切断体121の上部と押下部材122の下部の内の少なくとも一方には、その間で電線50が押し潰されないように、電線50の逃げのための空間が設けられている。
【0061】
ここで、所定の位置とは、圧着加工前の電線50の端部を平板状の電線接続部12の底部14の上方に存在させる位置である。また、所定の位置は、圧着加工の開始と共に押し下げられた芯線51の先端が芯線圧着部12Aからはみ出さないように、この芯線51を芯線圧着部12Aの底部14に載置させることが可能な位置のことである。芯線51が圧着加工に伴って軸線方向に伸び、芯線51の先端位置が軸線方向に沿って移動することがある。所定の位置は、その伸びも考慮に入れて決めることが望ましい。
【0062】
一方、電線50は、その端部(先端の芯線51や被覆52)が第二金型113で電線接続部12の内壁面側に押し下げられる。このため、何ら保持されていないと、端子切断体121の上面121dから電線50が浮き上がり、先端の芯線51や被覆52が電線接続部12の底部14に載置されていない状態で圧着されてしまう虞がある。このため、本実施形態の端子圧着装置100には、端子切断体121の上部との間で電線50を所定の位置に保持し、圧着加工中における電線接続部12に対する電線50の端部の位置ズレを抑える電線保持機構が設けられている。
【0063】
電線保持機構は、電線載置部としての端子切断体121の上面121dに載置された電線50を当該上面121dに向けて押さえ付けて保持する電線押さえ118を備える(
図13)。電線押さえ118は、端子切断体121の上方で、かつ、第二金型113と押下部材122との間に配置される。端子切断体121の上面121dと電線押さえ118の下面との間には、電線50の被覆52を保持する空間(以下、「電線保持空間」という。)118Aが形成される。電線保持空間118Aは、圧着工程における端子切断体121の上面121dからの電線50の浮き上がりを抑え、電線接続部12に対する先端の芯線51や被覆52の位置ズレを抑制する。電線押さえ118は、端子切断体121の上面121dに対して上下動可能なものであり、下降していくことによって、端子切断体121の上部との間に電線保持空間118Aを形成する。電線押さえ118は、例えば、ラム114Aに固定され、このラム114Aと一体になって上下動する。電線50は、電線押さえ118の下降と共に形成された電線保持空間118Aに保持される。
【0064】
本実施形態の圧着機110は、サポーティングストッパー19および規制部40を有する。サポーティングストッパー19は、圧着工程において圧着端子1の端子接続部11を支持する。サポーティングストッパー19は、第三方向Hにおいて端子接続部11と対向する位置に配置されている。サポーティングストッパー19は、ラム114Aによって支持されており、ラム114Aと一体になって移動する部材である。サポーティングストッパー19は、ラム114Aの下降と連動して下降し、端子接続部11に対して上方から覆い被さる。サポーティングストッパー19は、
図19に示すように、端子接続部11に対応する溝状の凹部19aを有する。凹部19aは、断面形状が矩形に形成されており、端子接続部11の長手方向、すなわち第一方向Lに沿って延在している。本実施形態の凹部19aの幅は、端子接続部11の幅よりもわずかに広くされている。
【0065】
サポーティングストッパー19が下降すると、凹部19aが端子接続部11に覆い被さる。サポーティングストッパー19は、凹部19aの側面19b,19bによって第二方向Wの両側から端子接続部11を支持する。側面19b,19bは、端子接続部11の両側の側面とそれぞれ対向する。側面19b,19bは、圧着工程において端子接続部11が移動したり変形したりしようとすると、その移動や変形を抑制する。サポーティングストッパー19の底面19cは、第三方向Hにおいて端子接続部11と対向する。サポーティングストッパー19は、凹部19aの底面19cが端子接続部11に当接して端子接続部11を保持する。底面19cは、端子接続部11の移動や変形を抑制する。このように、サポーティングストッパー19は、圧着工程における端子接続部11の移動や変形を抑制する。
【0066】
規制部40は、
図13に示すように、第二金型113とサポーティングストッパー119との間に配置されている。本実施形態の規制部40は、ラム114Aに対して固定されており、ラム114Aおよび第二金型113と一体になって上下動する。規制部40は、以下に説明するように、圧着工程において連結部13を側方から支持し、連結部13の変形を抑制する。
【0067】
図14乃至
図16に示すように、規制部40は、板状の部材である。規制部40は、第三方向Hに沿った全長が第二方向Wに沿った全長よりも長い略長方形の部材である。規制部40の長手方向の一端には、スリット状の凹部43が設けられている。凹部43の奥行きの長さは、圧着工程における規制部40の上下方向のストロークに応じて定められている。規制部40は、凹部43を挟む一対の壁面41,41および奥部壁面42を有する。一対の壁面41,41は、第二方向Wにおいて互いに対向している。奥部壁面42は、一対の壁面41,41の端部同士を繋いでいる。奥部壁面42の形状は、例えば、
図14に示すような円弧形状である。
【0068】
図16に示すように、壁面41は、第一領域41aおよび第二領域41bを有する。第一領域41aは、圧着端子1の端子接続部11を側方から支持する領域である。第二領域41bは、圧着端子1の連結部13を側方から支持する領域である。第一領域41aは、規制部40の板厚方向における一方側に位置する領域であり、第二領域41bは、規制部40の板厚方向における他方側に位置する領域である。第一領域41aは第二領域41bよりも規制部40の長手方向に向けて突出している。従って、規制部40の形状は、先端側の板厚t1が、第二領域41bの存在する部分の板厚t2よりも薄い段差形状となっている。この板厚t1,t2の差に応じて、規制部40の表面40aには段差40bが設けられている。なお、表面40aは、第二金型113と対向する面である。また、一対の壁面41,41の間隔は、第三方向Hに沿って一定とされている。ただし、第一領域41aおよび第二領域41bの先端部の形状は、先端へ向かうに従って間隔が広くなる呼び込み形状とされている。
【0069】
本実施形態において、圧着される前の圧着端子1では、
図17に示すように、連結部13の幅Wd1が端子接続部11の幅Wd2よりも広くなっている。連結部13の幅Wd1は、端子接続部11から電線接続部12へ向かうに従って広くなっている。
【0070】
図18には、圧着工程の初期の様子が示されている。
図18に示すように、第二金型113は、電線接続部12のバレル片部15,16を第二方向Wの両側から押圧し、互いの間隔を狭めるようにバレル片部15,16を変形させる。このときに、規制部40の第一領域41aが端子接続部11と対向している。より詳しくは、第二金型113と共に下降する規制部40の一対の壁面41,41は、圧着工程の初期に端子接続部11の側面と対向し始める。一対の側面41,41が端子接続部11と対向し始める時期は、サポーティングストッパー19が端子接続部11の側面と対向し始める時期よりも早い。言い換えると、規制部40が先に端子接続部11を側方から支持し始め、次にサポーティングストッパー19が端子接続部11を側方から支持し始める。
【0071】
第一領域41aは、サポーティングストッパー19と共に端子接続部11を第二方向Wの両側から支持する。これにより、端子接続部11のローリングやツイストなどの動きが抑制される。ここで、ローリングとは、第一方向Lに沿った軸を中心とする回転の動きであり、ツイストとは、第一方向Lに対して傾く動きである。
【0072】
第二金型113から加えられる押圧力F1により、バレル片部15,16が内側に折り曲げられるように変形し、バレル片部15,16に連なる連結部13も内側に向けて変形する。連結部13が内側に変形し始めると、
図20および
図21に示すように規制部40の第二領域41bが連結部13と対向する。第二領域41bは、
図21に示すように、連結部13を第二方向Wの両側から支持する。これにより、連結部13の変形が抑制される。例えば、以下に説明するように、外側に膨らむような連結部13の変形が抑制される。
【0073】
第二金型113が電線接続部12を第一金型112に向けて押圧して電線50に圧着させる際に、電線接続部12は第一方向Lに沿って伸びようとする。しかしながら、端子接続部11がサポーティングストッパー19によって保持されていることで、この伸びが押さえられてしまう。これにより、連結部13に力が掛かり、連結部13が外側に向けて湾曲するなどの変形が生じる可能性がある。連結部13が外側に膨らむように変形していると、圧着端子1がコネクタ等のキャビティに収容される際に、連結部13の変形箇所がキャビティを傷つけてしまう可能性がある。
【0074】
これに対して、本実施形態の端子圧着装置100では、規制部40が連結部13を外側から支持している。規制部40は、第二方向Wにおいて連結部13の側壁13aと対向し、連結部13の変形を抑制する。本実施形態の規制部40は、圧着工程において連結部13を幅方向の両側から挟み込み、連結部13の幅Wd1が端子接続部11の幅Wd2よりも広くなることを規制する。規制部40は、少なくとも圧着工程が完了したときの連結部13の幅Wd1が端子接続部11の幅Wd2よりも広くなることを規制する。
【0075】
連結部13の幅Wd1を規制する方法として、規制部40は、一対の側面41,41によって連結部13の側壁13aを幅方向の内側に向けて押し込み、能動的に連結部13を変形させてもよい。あるいは、規制部40は、幅方向の外側へ膨らもうとする連結部13の側壁13aを一対の側面41,41により支持し、それ以上の変形をさせないようにしてもよい。これらの規制の態様は、圧着工程における各圧着端子1の変形の仕方に応じて異なることがある。例えば、規制部40が支持し始める前に連結部13が外側に膨らむように変形している場合、規制部40は、この変形を元に戻す方向に連結部13を変形させることができる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係る端子圧着装置100は、端子供給装置101と、第一金型112と、第二金型113と、規制部40とを有する。端子供給装置101は、圧着端子1を電線50との圧着位置に供給する。供給される圧着端子1は、相手方端子に対して電気的に接続される端子接続部11、電線50に対して圧着される電線接続部12、および端子接続部11と電線接続部12の側壁同士を繋ぐ連結部13を有するものである。
【0077】
第一金型112は、端子供給装置101によって圧着位置に供給された圧着端子1の底部14を支持する。第二金型113は、第一金型112に向けて相対移動しながら電線接続部12を変形させ、電線接続部12を電線50に対して圧着させる。規制部40は、第二金型113が電線接続部12を圧着させる際に連結部13を幅方向の両側から挟み込み、連結部13の幅Wd1が端子接続部11の幅Wd2よりも広くなることを規制する。よって、本実施形態の端子圧着装置100は、圧着時における圧着端子1の変形を抑制することができる。より具体的には、端子圧着装置100は、連結部13の幅Wd1が端子接続部11の幅Wd2よりも広くなることを規制することで、コネクタのキャビティや電気接続箱のブロック等に設けられたキャビティに対する圧着端子1の装着を容易とする。また、キャビティに収容される際に連結部13がキャビティの内壁を傷つけてしまう可能性が低減される。
【0078】
本実施形態の規制部40は、連結部13を幅方向の両側から挟み込む一対の壁面41,41を有する。この一対の壁面41,41の隙間の幅Wd3(
図21参照)は、端子接続部11の幅Wd2に対応している。隙間の幅Wd3は、例えば、端子接続部11の幅Wd2と同等の値とされる。この場合、規制部40は、連結部13の幅Wd1を端子接続部11の幅Wd2と同等の値以下とすることができる。隙間の幅Wd3は、端子接続部11の幅Wd2以下とされてもよく、端子接続部11の幅Wd2未満とされてもよい。なお、端子接続部11の幅Wd2が端子接続部11の部位に応じて異なる場合、端子接続部11の幅Wd2の最大値に対して隙間の幅Wd3が設定されてもよい。
【0079】
本実施形態の規制部40は、圧着端子1の幅方向において互いに対向する一対の壁面41,41を有している。一対の壁面41,41は、端子接続部11の側壁11aと対向する第一領域41aと、連結部13の側壁13aと対向する第二領域41bとを有する。圧着工程において第二金型113と共に規制部40が下降していく際に、第一領域41aが端子接続部11の側壁11aと対向し始める時期は、第二領域41bが連結部13の側壁13aと対向し始める時期よりも早い。これにより、第一領域41aが端子接続部11の側壁11aを支持し始めた後に、第二領域41bが連結部13の側壁13aを支持し始める。第二領域41bは、圧着工程が進行して連結部13の側壁13aが閉じ始めたタイミングで側壁13aを支持し始める。これにより、下降していく規制部40が側壁13aの端面と干渉して側壁13aを傷つけてしまうことが抑制される。また、規制部40は、端子接続部11および連結部13の両方を側方から支持する。これにより、端子接続部11と連結部13との相対的なねじれや折れ曲がり等の変形が抑制される。
【0080】
なお、電線50の芯線51の材料はアルミニウムには限定されない。芯線51は、例えば、銅や銅合金であってもよく、その他の導電性を有する金属等であってもよい。圧着端子1の材料は、銅や銅合金には限定されず、その他の導電性を有する金属等であってもよい。
【0081】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。
図22は、実施形態の第1変形例に係る規制部の斜視図、
図23は、実施形態の第1変形例に係る規制部の動作を示す図である。第1変形例の規制部40には、押圧機構47が設けられている。押圧機構47は、圧着工程において連結部13を第一金型112に向けて押圧する。
【0082】
押圧機構47は、押圧部材44、スライド部材45、および弾性部材46を有する。押圧部材44は、棒状の部材であり、例えば円柱形状の部材である。スライド部材45は、板状の部材であり、例えば、矩形に形成されている。スライド部材45は、規制部40の貫通孔40cに配置されている。貫通孔40cは、規制部40を板厚方向に貫通している。貫通孔40cの形状は、例えば、矩形である。スライド部材45は、貫通孔40cの内部を第三方向Hに沿ってスライド自在である。弾性部材46は、スライド部材45を下方に向けて押圧する部材であり、例えばコイルスプリングである。本変形例では、二つの弾性部材46が設けられている。
【0083】
規制部40には、貫通孔40cと凹部43とを連通する連通孔40dが設けられている。押圧部材44は、連通孔40dに挿通されている。押圧部材44の基端は、スライド部材45の下面に固定されている。押圧部材44の先端は、連通孔40dから下方に向けて突出している。押圧部材44は、スライド部材45と一体となって規制部40に対して相対的に上下動する。
【0084】
図23に示すように、圧着工程において、押圧部材44は連結部13の内側面に対して当接する。押圧部材44は、連結部13の底部を第一金型112に向けて押圧する。押圧部材44は、弾性部材46の付勢力に応じた力で連結部13を下方に向けて押圧する。従って、連結部13は、規制部40によって第二方向Wの両側から支持されるだけでなく、押圧部材44によって第一金型112に向けて押さえ込まれる。従って、連結部13のローリング等の動きが好適に抑制される。
【0085】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。圧着端子1および規制部40の形状や寸法等は例示したものには限定されない。例えば、規制部40の一対の壁面41,41の間隔は、凹部43の奥部へ向かうに従って狭くされてもよい。
【0086】
規制部40の一対の壁面41,41において、第一領域41a,41aの間隔と第二領域41b,41bの間隔とが異なっていてもよい。例えば、第一領域41a,41aの間隔よりも第二領域41b,41bの間隔が狭くされていてもよい。
【0087】
規制部40の一対の壁面41,41は、端子接続部11を支持する第一領域41aを有していなくてもよい。
【0088】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。