(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記装置が、前記第1の境界面と前記複数の第2の境界面のうちの1つの第2の境界面との間に配置された突起をさらに備えており、前記第2の境界面が前記第1の境界面から離して配置されていると共に物質を受けるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
前記第1の骨部分と前記第2の骨部分とが癒合するように、前記締付け具部材が前記第1の骨部分及び前記第2の骨部分を貫通して延在するように構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図7】一実施形態によるインプラントのブロック図である。
【
図8A】円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図8B】円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図8C】椎間関節内に移植された
図7Aからのインプラントの概略図である。
【
図9A】八角形の円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図9B】八角形の円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図10A】両凹面の円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図10B】両凹面の円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図11A】片面が厚さ可変の円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図11B】片面が厚さ可変の円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図12A】湾曲した円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図12B】湾曲した円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図13】椎間関節内に移植された
図12Aからのインプラントの概略図である。
【
図14A】片面に粗面を有する円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図14B】片面に粗面を有する円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図15A】片面に多孔質表面を有する円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図15B】片面に多孔質表面を有する円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図16A】大きい方の面に粗面を有する屈曲した円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図16B】大きい方の面に粗面を有する屈曲した円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図17】椎間関節内に移植された
図16Aからのインプラントの概略図である。
【
図18A】それぞれ片面に粗面を有する2つの円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図18B】それぞれ片面に粗面を有する2つの円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図19】椎間関節内に移植された
図18Aからのインプラントの概略図である。
【
図20】編組ケーブルを含む締付け具部材の概略図である。
【
図21A】中心に位置する孔を含む締付け具境界面を有する椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図21B】中心に位置する孔を含む締付け具境界面を有する椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図22A】中心を外れた孔を含む締付け具境界面を有する椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図22B】中心を外れた孔を含む締付け具境界面を有する椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図23A】縁部に隣接する孔を含む締付け具境界面を有する椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図23B】縁部に隣接する孔を含む締付け具境界面を有する椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図24A】それぞれ中心を外れた孔を有する2つの円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図24B】それぞれ中心を外れた孔を有する2つの円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図25A】締付け具境界面を有する湾曲した円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図25B】締付け具境界面を有する湾曲した円板を含む椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図26】ケーブルの結び目を使用してケーブルが関節突起に係合される一実施形態を示す図である。
【
図27A】ねじ山付きの端部がねじ山付きのナットを受容するように適合された編組ケーブルを含む締付け具部材の別の実施形態を示す図である。
【
図27B】ねじ山付きの端部がねじ山付きのナットを受容するように適合された編組ケーブルを含む締付け具部材の別の実施形態を示す図である。
【
図28】ケーブル上のねじ山付きのナットを使用してケーブルが関節突起に係合される一実施形態を示す図である。
【
図29】湾曲したインプラント、ケーブル、および2つの止めねじ式の締付け具リングを含む好ましい実施形態を示す図である。
【
図30A】止めねじ式の締付け具リングの一実施形態の立面図である。
【
図30B】止めねじ式の締付け具リングの一実施形態の横断面図である。
【
図31】止めねじ式の締付け具リング内のねじの様々な実施形態の立面図である。
【
図32】止めねじ式の締付け具リング内のねじの様々な実施形態の立面図である。
【
図33】止めねじ式の締付け具リング内のねじの様々な実施形態の立面図である。
【
図34A】縮小状態の摩擦嵌め式の締付け具リングを含む一実施形態の図である。
【
図34B】縮小状態の摩擦嵌め式の締付け具リングを含む一実施形態の図である。
【
図35A】拡大状態の摩擦嵌め式の締付け具リングを含む一実施形態の図である。
【
図35B】拡大状態の摩擦嵌め式の締付け具リングを含む一実施形態の図である。
【
図36A】端部が閉じたねじ山付きの締付け具境界面とねじ山付きの締付け具部材とを有するインプラントを含む実施形態を示す図である。
【
図36B】端部が閉じたねじ山付きの締付け具境界面と枢動可能ワッシャを有するねじ山付きの締付け具部材とを有するインプラントを含む実施形態を示す図である。
【
図36C】端部が閉じたねじ山付きの締付け具境界面と枢動可能ワッシャを有するねじ山付きの締付け具部材とを有するインプラントを含む実施形態を示す図である。
【
図38】椎間関節内へ移植された平坦な円板を含む2部インプラントの横断面図である。
【
図39】椎間関節内へ移植された湾曲した円板を含む2部インプラントの横断面図である。
【
図40A】中心に位置する逆とげ付きの釘を含む一体化された締付け具部材を有する椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図40B】中心に位置する逆とげ付きの釘を含む一体化された締付け具部材を有する椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図41A】中心を外れた逆とげ付きの釘を含む一体化された締付け具部材を有する椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図41B】中心を外れた逆とげ付きの釘を含む一体化された締付け具部材を有する椎間関節インプラントの一実施形態の概略図である。
【
図42】椎間関節内へ移植された
図41Aのインプラントを示す図である。
【
図43】椎間関節内へ移植された2部インプラントを示す図である。
【
図44】複数の係留突起を有するインプラントを含む一実施形態を示す図である。
【
図45】椎間関節内へ移植された
図44のインプラントを示す図である。
【
図46A】剛性の柔組織側面アンカを有するインプラントを含む一実施形態を示す図である。
【
図46B】剛性の柔組織側面アンカを有するインプラントを含む一実施形態を示す図である。
【
図47A】埋込み式の可撓性の柔組織側面アンカを有するインプラントを含む一実施形態を示す図である。
【
図47B】埋込み式の可撓性の柔組織側面アンカを有するインプラントを含む一実施形態を示す図である。
【
図48A】一実施形態によるインプラントの斜視図である。
【
図49】一実施形態によるインプラントおよび締付け具部材を使用して椎骨を安定化させる方法を示す脊柱の一部分の後部斜視図である。
【
図50】一実施形態によるインプラントおよび締付け具部材を使用して椎骨を安定化させる方法を示す脊柱の一部分の後部斜視図である。
【
図51】一実施形態によるインプラントおよび締付け具部材を使用して椎骨を安定化させる方法を示す脊柱の一部分の後部斜視図である。
【
図52】
図49〜51に示すインプラントおよび締付け具部材を使用する方法を示す流れ図である。
【
図53】一実施形態による可撓性の締付けバンドの斜視図である。
【
図54】
図53に示す可撓性の締付けバンドの一部分の斜視図である。
【
図55】一実施形態による可撓性の締付けバンドの側面図である。
【
図57】一実施形態による可撓性の締付けバンドの側面図である。
【
図58】一実施形態による可撓性の締付けバンドの斜視図である。
【
図59】
図58に示す可撓性の締付けバンドの横断面側面図である。
【
図60】
図58に示す可撓性の締付けバンドの線XXIIIに沿って切り取った横断面図である。
【
図61】
図58に示す可撓性の締付けバンドを第1の構成で示す横断面上面図である。
【
図62】
図58に示す可撓性の締付けバンドを第2の構成で示す横断面上面図である。
【
図63】一実施形態による可撓性の締付けバンドの分解図である。
【
図65】
図64に示す可撓性の締付けバンドの横断面図である。
【
図66】一実施形態によるインプラントの前面斜視図である。
【
図70】一実施形態によるインプラントの前面斜視図である。
【
図74】一実施形態によるインプラントの前面斜視図である。
【
図78】一実施形態によるインプラントの前面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の骨部分および第2の骨部分に接触するようにインプラントを配置するステップを含み、インプラントは、(1)抑制部材を受けるように構成された第1の境界面と、(2)第2の境界面とを有する。この方法は、締付け具部材の一部分を第1の境界面内へ挿入するステップをさらに含む。この方法は、締付け具部材を固定するステップをさらに含み、固定後、第1の骨部分および第2の骨部分は、少なくとも部分的に物質によって互いに固定され、物質の少なくとも一部分は第2の境界面を通るように配置される。
【0013】
いくつかの実施形態では、装置は、面と、第1の境界面と、第2の境界面とを有するインプラントを含む。面は、第1の骨部分の形状を実質的に補完する形状であり、第1の境界面は、締付け具部材を受けるように構成され、第2の境界面は、物質を受けるように構成されている。インプラントは、締付け具部材で固定されるように構成され、インプラントが締付け具部材によって固定された後、第1の骨部分および第2の骨部分は、少なくとも部分的に物質によって互いに癒合する。物質の少なくとも一部分は、第2の境界面を通るように配置される。
【0014】
いくつかの実施形態では、キットは、締付け具部材と、物質と、インプラントとを含む。インプラントは、締付け具部材を受けるように構成された第1の境界面と、物質を受けるように構成された第2の境界面とを含むことができる。インプラントは、締付け具部材で固定されるように構成され、固定された後、第1の骨部分および第2の骨部分は、少なくとも部分的に物質によって互いに癒合し、物質の少なくとも一部分は、第2の境界面を通るように配置される。締付け具部材は、第1の骨部分および第2の骨部分にインプラントを固定するように構成されている。物質は、第2の境界面を通じて第1の骨部分を第2の骨部分に癒合させるように構成されている。
【0015】
本明細書では、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上別途明示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、たとえば「ラチェット(a ratchet)」という用語は、単一のラチェットまたは複数のラチェットの組合せを意味するものとする。本明細書では、物質は、それだけに限定されるものではないが医薬品、接着剤などを含む任意の生物学的および/もしくは化学的な物質、および/またはそれだけに限定されるものではないが自己移植片、同種移植片、異種移植片、無生物材料移植片、合成の移植片、および/もしくは移植片の組合せを含む骨移植片、医薬品、ならびに/あるいは接着剤を含むことができる。例示的に椎骨を参照するが、いくつかの実施形態では別の骨を伴うこともできる。特定の椎骨ならびに/または椎骨のサブセットおよび/もしくは分類を具体的に参照することがあるが、任意の椎骨ならびに/あるいは椎骨のサブセットおよび/もしくは分類または組合せを使用できることが理解される。
【0016】
図1に示すように、脊柱2は、交互に並んでいる一連の椎骨4および繊維性の円板6を含み、軸方向の支持および身体の上部部分への運動を提供する。脊柱2は通常、7つの頸椎(C1〜C7)、12個の胸椎(T1〜T12)、5つの腰椎(L1〜L5)、5つの癒合した仙椎(S1〜S5)、および4つの癒合した尾椎からなる33個の椎骨4を含む。
図2Aおよび
図2Bは、典型的な胸椎を示す。各椎骨は、前部8および後弓10を含む。後弓10は、2つの椎弓根12および2つの椎弓板14を含み、これらは後部でつながって棘突起16を形成する。後弓10の各側面から、横突起18、上関節突起20、および下関節突起22が突出する。上関節突起20および下関節突起22の小関節面24、26は、隣接する椎骨の関節突起と椎間関節28を形成する(
図3Aおよび
図3B参照)。椎間関節は、軟骨性表面および関節包を有する典型的な滑膜性関節である。
【0017】
椎間関節の向きは、脊柱のレベルに応じて変動する。たとえばC1およびC2の椎骨では、椎間関節は横断面に対して平行である。
図4A〜6Bは、脊柱の異なるレベルにおける椎間関節の向きの例を示す。
図4Aおよび
図4Bに示すC3〜C7の椎骨の例では、小関節面はそれぞれ、横断面30に対して45度の角度をなす向きであり、前面32に対して平行である。この向きにより、頸椎の椎間関節が収縮、延長、側方収縮、および回転することが可能になる。横断面30に対して45度の角度をなすとき、頸椎の椎間関節は頸椎の運動を制限することなく案内することができる。
図5Aおよび
図5Bは胸椎の例であり、小関節面はそれぞれ、横断面30に対して60度の角度および前面32に対して20度の角度をなす向きである。この向きにより、側方収縮および回転を提供することが可能になるが、収縮および延長は制限される。
図6Aおよび
図6Bは腰椎領域の例を示し、椎間関節は、それぞれ横断面30に対して90度の角度および前面32に対して45度の角度をなす向きである。腰椎は、収縮、延長、および側方収縮が可能であるが、横断面に対する椎間関節の向きが90度であるため、回転はもしあってもほとんどない。脊柱に沿った実際の運動範囲は、個々の椎骨によってかなり変動する可能性がある。
【0018】
椎骨の案内運動に加えて、椎間関節はまた、脊柱の耐荷重能力に寄与する。Kingら、「Mechanism of Spinal Injury Due to Caudocephalad Acceleration」、Orthop. Clin. North Am.6:19、1975年、による研究では、椎間関節の耐荷重性は脊柱のいくつかの位置で30%の高さであることがわかった。椎間関節はまた、椎骨間の剪断応力に耐える役割を担うことができる。時間がたつにつれて、これらの力が椎間関節に作用することで、変性および関節炎を引き起こす可能性がある。
【0019】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、疼痛を低減させるために、脊椎もしくは脊椎の特有の椎骨のさらなる劣化を低減させるために、および/または第1の椎骨と第2の椎骨が癒合するまで、椎間関節インプラントを使用して、第1の椎骨を第2の椎骨に安定、定着、および/または癒合させることができる。いくつかの実施形態では、椎間関節インプラントを移植および導入して、第1の椎骨の上関節突起と隣接する椎骨の下関節突起との小関節面間の空間を回復することができる。いくつかの実施形態では、椎間関節インプラントを移植および導入して、隣接する椎骨を接着剤で安定させるのを助けることができ、ならびに/または薬剤を送達することができる。
図7は、椎間関節インプラント(「インプラント」)160のブロック図を示す。インプラント160は、第1の側162、第2の側164、締付け具境界面166、および物質境界面168を含む。
図8A〜47Bは、異なる実施形態によるインプラントおよび締付け具を示す。
【0020】
図7に示すように、インプラント160は、たとえば実質的に円板の形状とすることができる。他の実施形態では、スペーサは、他の形状、たとえば正方形、長円形、または任意の他の形状とすることができる。第1の側162および/または第2の側164は、たとえば凸状、凹状、または平坦とすることができる。言い換えれば、第1の側162は、凹状、凸状、または平坦とすることができ、第2の側164は、凹状、凸状、または平坦とすることができる。たとえば、第1の側162を凹状とし、第2の側164を凹状とすることができ、第1の側162を凹状とし、第2の側164を凸状とすることができ、以下同様である。そのような実施形態では、この形状は、第1の側162および/または第2の側164が接触するように構成されている骨部分の形状に基づいて決定することができる。言い換えれば、第1の側162および/または第2の側164は、骨部分の形状を実質的に補完するような形状とすることができる。言い換えれば、第1の側162または第2の側164は、対応する骨部分の形状に完全に一致する必要はなく、インプラントと接触する概ね凸状の形状を有する骨部分に対して凹状の形状を有することができ、またはインプラントに接触する概ね凹状の形状を有する骨部分に対して凸状の形状を有することができる。インプラント160は、任意の生体適合材料、たとえばステンレス鋼、チタン、PEEK、ナイロンなどを含むことができる。
【0021】
インプラント160は、締付け具境界面166を含む。締付け具境界面166は、インプラント160を実質的に同じ位置で保持するように構成することができる。具体的には、締付け具境界面166は、締付け具部材(図示せず)を受容してインプラント160の運動を実質的に防止するように構成することができる。締付け具境界面166は、開口および/または他の開口部を含むことができる。締付け具境界面166は、インプラント160を貫通することができ、たとえば第1の側162から第2の側164まで延びることができる。いくつかの実施形態では、締付け具境界面166は、インプラント160の一部分だけを通ることができ、たとえば第1の側162からインプラント160の幅(図示せず)の2分の1未満まで延びることができる。締付け具境界面166は、第1の側162、第2の側164、および/または第1の側162と第2の側164の両方の上および/または中に配置することができる。締付け具境界面166は、インプラント160の中心(図示せず)を通るように配置することができる。他の実施形態では、締付け具境界面166は、インプラント160の上および/または中の任意の位置に配置することができ、たとえば中心からずらすことができる。締付け具境界面166は、実質的に円形(円筒形)とすることができる。他の実施形態では、締付け具境界面166は、他の形状とすることができ、かつ/または締付け具部材の形状に基づく形状、たとえば方形(立方形)とすることができる。いくつかの実施形態では、締付け具境界面166は、少なくとも部分的に締付け具境界面166の位置に基づいて不規則な形状(たとえば
図48参照)とすることができ、かつ/または部分的な形状(たとえば
図23B参照)とすることができる。締付け具境界面166は、締付け具部材が締付け具境界面166を通ってかつ/もしくは締付け具境界面166内へ容易に進むことが可能になるように実質的に平滑な内面(図示せず)を含むことができ、ならびに/または締付け具部材が締付け具境界面166内へ進むことが可能になるようにねじ山付きの内面を含むことができる。
図7では1つの締付け具境界面を含むことを示すが、インプラント160は、2つ以上の締付け具境界面166を含むこともできる。
【0022】
インプラント160は、物質境界面168を含む。物質境界面は、たとえば医薬品、接着剤、骨移植片、および/または物質の組合せなどの癒合を助けるために、物質を保持し、搬送し、かつ/または他の方法で送達するように構成することができる。物質境界面168は、開口および/または他の開口部を含むことができる。物質境界面168は、インプラント160を貫通することができ、たとえば第1の側162から第2の側164まで延びることができる。いくつかの実施形態では、締付け具境界面は、インプラント160の一部分だけを通ることができ、たとえば第1の側162からインプラント160の幅(図示せず)の2分の1未満まで延びることができる。物質境界面168は、第1の側162、第2の側164、および/または第1の側162と第2の側164の両方の上および/または中に配置することができる。物質境界面168は、インプラント160の中心(図示せず)を通るように配置することができる。他の実施形態では、物質境界面168は、インプラント160の上および/または中の任意の位置に配置することができ、たとえば中心からずらすことができる。物質境界面168は、実質的に円形(円筒形)とすることができる。他の実施形態では、物質境界面168は、他の形状とすることができ、かつ/または締付け具部材の形状に基づく形状、たとえば方形(立方形)とすることができる。いくつかの実施形態では、物質境界面168は、少なくとも部分的に物質境界面168の位置に基づいて不規則な形状とすることができる。
図7では1つの物質境界面を含むことを示すが、インプラント160は、2つ以上の物質境界面168を含むこともできる。物質境界面168の位置、寸法、形状、および/または数は、締付け具境界面166の位置、寸法、形状、および/または数に基づいて決定することができる。
【0023】
一実施形態では、椎間関節の2つの小関節面間の間隔を回復するデバイスが提供される。
図8Aおよび
図8Bに示すように、このデバイスは、少なくとも2つの面を有するインプラント34を備え、第1の面36は、椎間関節の一方の小関節面の関節表面に接触するように適合され、第2の面38は、他方の小関節面の関節表面に接触するように適合される。一実施形態では、インプラント34は、概ね円形のプロファイルを有し、椎間関節28の関節包内に概ね嵌合するように寸法設定される。
図8Cは、椎間関節内に位置決めされた
図8Aおよび
図8Bのインプラント34を示す。他の実施形態では、インプラントは、それだけに限定されるものではないが、正方形、長方形、楕円形、星形、多角形、またはそれらの組合せを含む、様々なプロファイルのいずれかを有することができる。
図9Aおよび
図9Bに、八角形のインプラントを示す。一実施形態では、関節突起を放射線透過写真により視覚化した後、かつ/または椎間関節内へX線造影剤を注入して関節包を視覚化することによって、多くのプロテーゼから所望の形状を有するインプラントが選択される。一実施形態では、インプラントは、約4mmから約30mmの直径を有する。別の実施形態では、インプラントは、約5mmから約25mmの直径を有する。さらに別の実施形態では、インプラントは、約10mmから約20mmの直径を有する。一実施形態では、インプラントは、約10mm2から約700mm2の断面積を有する。別の実施形態では、インプラントは、約25mm2から約500mm2の断面積を有する。さらに別の実施形態では、インプラントは、約20mm2から約400mm2または約25mm2から約100mm2の断面積を有する。
【0024】
インプラントは、椎間関節の2つの小関節面間のおよその解剖学的間隔に概ね等しい厚さを有する。インプラントは通常、約0.5mmから約3.0mmの範囲内の厚さを有する。特定の実施形態では、インプラントは、約1mmから約2mmの厚さを有する。1つの好ましい実施形態では、インプラントは、約0.5mmから約1.5mmの厚さを有する。一実施形態では、インプラントの厚さは、同じインプラント内で不均一である。たとえば、
図10Aおよび
図10Bでは、インプラント42の厚さは、面46、48の少なくとも一方、または図示のように両方に沿って、外縁部44全体にわたって増大している。
図11Aおよび
図11Bでは、インプラント42の片面46の縁部44の一部分だけが、中心領域の厚さより大きく、また任意選択で椎間関節の2つの小関節面間の典型的な解剖学的間隔より厚い厚さを有する。縁部の厚さを増大させることで、インプラントが横方向に変位して椎間関節から出ようとするのに耐えることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、インプラントは、関節突起および/または関節包との改善された嵌合を提供するように構成されている。たとえば、
図12Aおよび
図12Bでは、インプラント49は、関節の小関節面の自然の形状に概ね一致するように屈曲、角度、または湾曲50を有する。
図13は、椎間関節内に位置決めされた
図12Aおよび
図12Bのインプラントを示す。インプラントは、事前に形成された屈曲を有する剛性のものとすることができる。別法として、インプラントは、移植後に隣接する小関節面の固有の構成に整合するのに十分な可鍛性を有することができる。
図8Cおよび
図13に示す実施形態などの特定の実施形態では、インプラントは、いずれの骨構造にも固定されることなく、関節突起間および/または椎間関節の関節包内に移植されるように構成されている。したがって、そのような実施形態は、脊椎の骨および/または構造の侵入または破壊を伴うことなく使用することができ、それによって脊椎の骨および/または構造の完全性を維持することができる。
【0026】
一実施形態では、インプラントの1つの表面の少なくとも一部分が高度に研磨される。インプラントの高度に研磨された部分を用いると、インプラントの骨、軟骨、または別の表面に接触するとき、表面摩擦および/またはインプラントのその部分の摩耗を低減させることができる。また、インプラント上の高度に研磨された表面により、インプラントが椎間関節の関節表面間にくい込むリスクを低減させることもできる。インプラントがくい込むと、椎間関節に疼痛が生じたり、椎間関節が動けなくなったりする可能性がある。
【0027】
図14Aおよび
図14Bに示す一実施形態では、インプラント50の1つの表面の少なくとも一部分が粗面52を有する。粗面を用いると、インプラント50が骨に対して滑るのを防止することができ、関節内でインプラント50を維持するのを助けることができるため、骨または組織の表面に接触するときに有利になることがある。
図15Aおよび
図15Bに示す一実施形態では、インプラント50の1つの表面の少なくとも一部分が多孔質表面54を有する。多孔質表面54は、インプラントの表面上への焼結ビーズの適用またはプラズマの噴霧など、当技術分野では知られている任意の様々な方法で作ることができる。多孔質表面54を用いると、骨をインプラント50の表面内へ成長させることまたは表面に付着させることが可能になり、したがってインプラント50を骨に固定することができる。一実施形態では、シアノアクリレート、ポリメチルメタクリレート、または当技術分野では知られている他の接着剤などの接着剤または密閉剤を使用して、インプラントの片面を関節表面に接合する。
【0028】
一実施形態では、インプラントの1つの表面は、粗面または多孔質であり、第2の表面は高度に研磨される。第1の表面は、椎間関節の一方の小関節面に接触または係合し、関節表面間でインプラントを維持するのを助ける。インプラントの第2の表面は高度に研磨されており、椎間関節の他方の小関節面に接触して、その椎間関節で運動を提供する。
図16Aおよび
図16Bは、湾曲または屈曲した円板56を備えるインプラントの一実施形態を表し、円板56は、円板の大きい方の面58に粗面52を有し、小さい方の面62に高度に研磨された表面60を有する。
図17は、椎間関節内に位置決めされた
図16Aおよび
図16Bのインプラントを示す。インプラントは通常、粗面に接触する小関節面に対して固定の位置を維持するが、他方の小関節面とインプラントの高度に研磨された小さい方の面との間では、椎間関節の運動が維持される。
【0029】
図18Aおよび
図18Bは、インプラント64が2つの別個の円板66を含み、各円板が、他方の円板の相補型の第1の面68と関節を形成する第1の面68と、椎間関節28の1つの小関節面の隣接する骨または軟骨に円板を固定するように適合された第2の面70とを含む一実施形態を示す。一実施形態では、1つの円板の厚さは、椎間関節の2つの小関節面間の解剖学的間隔の概ね約2分の1である。他の実施形態では、インプラントは、3つ以上の円板を含む。一実施形態では、すべての円板の全体的な厚さは、2つの小関節面間の解剖学的間隔の概ね約25%から約300%である。別の実施形態では、これらの円板の全体的な厚さは、解剖学的間隔の概ね約50%から約150%である。さらに別の実施形態では、これらの円板の全体的な厚さは、解剖学的間隔の約75%から約125%である。2部インプラントの各円板はまた、別の方法で、それだけに限定されるものではないが、湾曲または屈曲した構成、高度に研磨された表面または粗面、および以下に述べる他の特徴を含む、単板インプラントの特徴に類似の特徴を有することができる。2つの円板は、同じ寸法、厚さ、構成、または特徴を有する必要はない。
図19は、椎間関節28内に位置決めされた2部インプラント64の一実施形態を示す。
【0030】
インプラントは、それだけに限定されるものではないが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエチレン、フッ化ポリマー、ヒドロゲル、もしくはエラストマなどのポリマー、ジルコニア、アルミナ、もしくは窒化ケイ素などのセラミック、チタン、チタン合金、コバルトクロム、もしくはステンレス鋼などの金属、または上記の材料の任意の組合せを含む、当技術分野では知られている様々な材料のいずれかから製造することができる。
【0031】
一実施形態では、インプラントは、椎間関節を取り囲む関節包および/または他の身体組織を利用して椎間関節からのインプラントの移動を制限することによって、椎間関節の2つの小関節面間で維持される。いくつかの実施形態では、インプラント自体の形状は、概ね椎間関節表面間の位置からインプラントが変位するのに耐えることが可能である。一実施形態では、凹状または両凹状の構成を用いると、インプラントの周辺部で厚さを増大させることによって、変位を引き起こすにはより大きい力および/または椎間関節表面のさらなる乱れが必要となるため、インプラントの変位に耐える。他の実施形態では、前述のように、表面処理またはテキスチャ付けを使用して、椎間関節の小関節面に接した状態でインプラントを維持する。いくつかの実施形態では、円板構成、表面のテキスチャ付け、および既存の身体組織または構造の組合せを使用して、インプラントの位置を維持する。
【0032】
骨の成長促進剤、電流、または他の知られている技法を使用して、テキスチャ付きまたは微孔質の係留表面の骨への取込みを加速させることができる。
【0033】
インプラントは、椎間関節の関節包内でインプラントの保持を容易にする締付け具部材に係合(「固定」)するように締付け具境界面で構成することができる。締付け具部材の使用は、使用時間にわたって、またはインプラントが滑り出るのに十分なほど関節表面を乱しうる椎骨の最大の運動範囲で、インプラントの移動を防止するのに有利になることがある。
【0034】
図20〜21Bに示す一実施形態では、締付け具部材はワイヤまたはケーブル72を含み、ワイヤまたはケーブル72は、締付け具境界面78でインプラント76に係合する部分74と、椎間関節を取り囲む骨または柔組織に係合または係留する少なくとも1つの他の部分80とを有する。ワイヤまたはケーブルは、単線、編組、または多繊維のものとすることができる。この実施形態では、締付け具部材について主にケーブルまたはワイヤとして説明するが、ピン、ねじ、および単撚りまたは複撚りのポリマーの紐または織物、ポリマーの網および布、ならびに本明細書の開示を見れば当業者には明らかな他の構造を含む、中心開口を貫通することが可能な様々な細長い構造のいずれも機能することを理解されたい。
【0035】
締付け具部材の断面形状は、それだけに限定されるものではないが、円形、楕円形、正方形、長方形、他の多角形、または任意の他の形状を含む、様々な形状のいずれかとすることができる。ワイヤまたはケーブルは通常、約0.5mmから約2mmの直径および約5mmから約60mmの長さを有する。他の実施形態では、ワイヤまたはケーブルは、約0.25mmから約1mmまたは約0.75mmから約1.25mmの直径を有する。ワイヤまたはケーブルの直径は、ワイヤまたはケーブルの長さに沿って変動させることができる。一実施形態では、ワイヤまたはケーブルは、約10mmから約40mmの長さを有する。別の実施形態では、ワイヤまたはケーブルは、約20mmから約30mmの長さを有する。
【0036】
図21Aおよび
図21Bに示す一実施形態では、インプラント76の締付け具境界面78は、インプラント76の2つの面82、84間の導管であり、開口78を形成する。一実施形態では、開口78の直径はワイヤまたはケーブル72の直径より大きく、それによってインプラント76は、椎間関節の動きに伴って運動することが可能になる。開口78の内径は、係合部分78近傍の締付け具部材の外径または対応する寸法の少なくとも約110%、多くの場合少なくとも約150%、特定の実施形態では少なくとも約200%または300%以上とすることができる。開口78の断面形状は、使用されるワイヤまたはケーブルの断面形状に一致しても一致しなくてもよい。
【0037】
別の実施形態では、締付け具境界面78は、インプラント76を一部だけ通るって延びる。締付け具境界面78は、
図22Aおよび
図22Bに示すように、インプラントの概ね中心に位置することができ、または中心を外れて位置することもできる。
図23Aおよび
図23Bに示す一実施形態では、締付け具境界面78は、孔78の内面がインプラントの外縁部と連続するように、インプラント76の縁部86に位置する。締付け具境界面78のこの構成では、ケーブル72を締付け具境界面78へ入れる必要がなく、締付け具部材とインプラントを容易に係合することができる。
図24Aおよび
図24Bは、2部インプラント88を含む一実施形態を示す。単一のケーブルまたは2つの別個のケーブルのいずれを使用しても、椎間関節内で両方の円板を保持することができる。
図25Aおよび
図25Bは、ケーブルを受容するように適合された締付け具境界面78を有する湾曲したインプラント90を含む別の実施形態を示す。
【0038】
図26では、ワイヤまたはケーブル72は、関節突起によってワイヤまたはケーブルが引っ張られるのに耐えうる1つまたは複数の結び目92をケーブル72に作ることによって、関節突起20、22に固定される。別の実施形態では、ワイヤまたはケーブルの一方または両方の端部が、インプラントの移動に耐えるアンカを備える。
図27Aおよび
図27Bに示すように、ワイヤまたはケーブル72の一方または両方の端部にねじ山を付けることができ、その結果、ワイヤまたはケーブル72上にナット94を締めて、ワイヤまたはケーブルを関節突起20、22に固定することができる。
図28は、ケーブルのねじ山付きの端部上へナットを取り付けることを示す。ワイヤまたはケーブルのねじ山付きの部分96は、ねじ山付きの部分96をケーブル72上へ押し込み、圧着し、またはねじることによって、ケーブルに固定することができる。一実施形態では、ねじ山付きの部分96は、チタン、チタン合金、コバルトクロム、ステンレス鋼、またはこれらの任意の組合せから作られる。
【0039】
一実施形態では、ワイヤまたはケーブルは、骨または軟骨性の組織に係合する2つのねじ山付きの端部96を有し、すなわち椎間関節の各小関節面に対して1つの部分を有する。
【0040】
図29に示す別の実施形態では、ワイヤまたはケーブルは、締付け具リング98で関節突起に固定される。
図30Aおよび
図30Bに示すように、締付け具リング98はリング100を含み、リング100は、中心内腔102と、リング100を締付け具部材に容易にロックするロック要素とを有する。中心内腔102は、中心内腔102内へのワイヤまたはケーブルの挿入を受容するように適合される。図示のロック要素は、近位端108、ねじ山付きの本体110、および遠位端112で回転可能ねじ106を受容するように構成されたねじ山付きの側面内腔104の形である。ねじ山付きの本体110は側面内腔104のねじに対して相補型であり、したがって、ねじ106が遠位端112で回転すると、ねじ106の近位端108がさらに中心内腔102内へ入り、中心内腔102を通って挿入されたワイヤまたはケーブルにさらなる力を加えることが可能である。一実施形態では、ワイヤまたはケーブルに力を加えることで、ワイヤまたはケーブルと締付け具リング98との間の運動に耐える摩擦嵌めまたは機械的な相互嵌合を生じさせることが可能であり、それによってワイヤまたはケーブルを関節突起20または22に固定する。
図31〜33に示すように、ねじ106の遠位端112は、それだけに限定されるものではないが、尖っていない先端部114、湾曲した先端部116、および穿孔用の先端部118を含む、様々な設計のいずれかでワイヤまたはケーブルに係合するように構成することができる。
【0041】
図34Aおよび
図34Bに示す別の実施形態では、ワイヤまたはケーブルは、放射状に内向きのバイアスがかかった突起122が中心内腔124を画定する締付け具リング120で関節突起に固定可能である。中心内腔は、ワイヤまたはケーブルの断面形状より小さい断面形状を有するが、
図35Aおよび
図35Bに示すように、内向きの突起122が離れる方向に屈曲しているときは、拡大が可能である。内向きの突起122を用いると、突起122が屈曲したときに中心内腔124内でワイヤまたはケーブルにさらなる力が加えられ、それによって摩擦嵌めが得られる。
【0042】
一実施形態では、ワイヤまたはケーブル締付け具部材の一方の端部には、関節突起に係合する保持部が事前に形成される。保持部は、ワイヤまたはケーブル締付け具部材の他の部分より大きい断面積を有する事前に形成されたリング、球部、広がった端部、T字形の端部、または様々な形状のいずれかとすることができる。この構成のワイヤまたはケーブル締付け具部材は、ワイヤまたはケーブル締付け具部材の自由端部を関節突起に通すことによって関節突起に係合するように適合され、その結果、事前に形成された保持部を有する端部を関節突起に係合させることができる。
【0043】
一実施形態では、ワイヤまたはケーブル締付け具部材は、2つの関節突起が互いに対して定位置に固定されず、収縮、延長、側方収縮、および/または回転などの運動を実行することが可能なままになるように、固定された端部間またはインプラントと一方の固定された端部との間に十分な弛緩または長さを残して関節突起に固定される。一実施形態では、締付け具部材は、それだけに限定されるものではないが、PEEKもしくはPEKKなどの編組ポリマーを含む編組ポリマーのケーブル、または編組コバルトクロムもしくはチタンなどの編組金属のケーブルを含む。ケーブルは、その椎間関節で異なる運動度を提供する異なる可撓度で選択することができる。ケーブルは、運動を制限するように締付け具境界面でインプラントに係合することが可能な第1の区間を有する。
【0044】
図36Aに示す一実施形態では、締付け具部材は、近位端128、本体130、および遠位端132を有するねじまたはボルト126を備える。ねじまたはボルトの遠位端132は、インプラントまたはスペーサ136上の相補型の締付け具境界面134と機械的な相互嵌合を形成することが可能である。通常、遠位端132はねじ山を備えるが、他の構成を使用して機械的な相互嵌合を形成することもできる。インプラント136上の相補型の締付け具境界面134は、ねじ山付きの貫通孔または端部が閉じた孔とすることもできる。ねじまたはボルト126の近位端128は、ねじまたはボルト126を操作するように回転工具に係合することが可能な当技術分野では知られている6角形または他のタイプの境界面を有する。ねじまたはボルト126の本体は、少なくともインプラントを固定するために関節突起を貫通して作られた孔または導管の長さにまたがるのに十分な長さを有する。
図36Bでは、締付け具部材は、ねじ126の近位端128と関節を形成する枢動表面129を有する枢動可能ワッシャ127をさらに備える。一実施形態では、枢動可能ワッシャ127は、ねじ126に対して様々な位置をとることが可能であり、ねじ126と骨のより良好な表面領域の接触が提供される。
【0045】
図37は、スペーサ136が椎間関節28の1つの関節突起20にボルト留めされている椎間関節28の横断面図である。スペーサ136の位置は、関節28の一方の小関節面24に対して固定されているが、スペーサ136に対する他方の小関節面26では間隔および運動が実現される。
図38および
図39に示す2部インプラントを含む実施形態では、各円板は、独自のねじまたはボルト締付け具部材を有することができる。
図38は、平坦な2部インプラント138を示し、
図39は、湾曲した2部インプラント140を示す。
【0046】
図40A〜41Bに示すいくつかの実施形態では、締付け具部材は、インプラントと一体化され、またはインプラントに取り付けられており、インプラント144から、隣接する関節突起または周辺の組織に係合するように適合された突起142を含む。一実施形態では、突起は、インプラント144の片面から突出する少なくとも1つの釘142またはフックを含む。一実施形態では、釘142またはフックは、骨または組織内へ挿入した後の分離に耐えるように、リブ付き、逆とげ付き、またはねじ山付きとすることができる。
図42は、椎間関節28の小関節面24に係合された
図40Aのインプラント144を示す。
図43に示す2部インプラント146を含む一実施形態では、各円板148は、独自の突起締付け具部材142を有することができる。
図44に示すいくつかの実施形態では、インプラント152に2つ以上の突起150が設けられる。
図45は、椎間関節28内に配置された
図44のインプラントを示す。突起150は、関節の運動による取外しに耐えるように、インプラント152に対して角度をなすことができる。
【0047】
図46A〜47Bは、締付け具部材がインプラント156の側面などから横方向へ延びる突起154を含み、骨または軟骨性の関節突起ではなく椎間関節を取り囲む柔組織に係合するように適合される実施形態を示す。一例では、
図46のインプラントは、関節包に作られた切開部を通じて椎間関節内へ挿入することもできるが、切開部位とは反対側の関節包の完全性は維持され、インプラントに対する係留部位として使用される。突起の向きは、
図44と同様に固定することができ、または柔軟にすることができる。
図47は、ワイヤ158などの可撓性のテザーを示し、その近位端160は、インプラント内に埋め込まれ、または他の方法でインプラントに取り付けられており、遠位端162には、1つまたは複数の逆とげを取り付けることができる。可撓性の突起により、インプラントに対する柔組織の係留部位のさらなる選択を提供することができる。
【0048】
一実施形態では、関節包は、インプラントの配置後に閉鎖される。閉鎖は、接着剤、縫合、ステープリング、または当技術分野では知られている様々な閉鎖機構のいずれかを使用して実行することができる。
【0049】
図48A〜48Cは、一実施形態によるインプラント260を示す。具体的には、
図48Aはインプラント260の前面斜視図であり、
図48Bはインプラント260の側面図であり、
図48Cはインプラント260の横断面側面図である。インプラント260は、上記のインプラント160に類似のものとすることができ、類似の要素および用途を有することができる。例として、インプラント260の締付け具境界面266は、インプラント160の締付け具境界面166に類似のものとすることができる。インプラント260は、凹状の第1の面262と、凸状の第2の面264と、中心に配置された円形の締付け具境界面266と、4つの不規則な形状の物質境界面268とを含む。
【0050】
図49〜51は、一実施形態によるインプラント260を使用して隣接する椎骨を癒合させる方法中の脊柱の一部分の後部斜視図を示す。
図49に示すように、インプラント260および締付け具部材280を使用して、椎骨V1の下関節突起IAP1Aおよび椎骨V2の上関節突起SAP2Aを介して椎骨V1と椎骨V2を癒合させることができる。任意の締付け具部材は、任意の生体適合材料、たとえばステンレス鋼、チタン、PEEK、ナイロンなどを含むことができる。同じく
図49に示すように、インプラント360および締付け具部材380を使用して、椎骨V1の下関節突起IAP1Bおよび椎骨V2の上関節突起SAP2Bを介して椎骨V1と椎骨V2を癒合させる。いくつかの実施形態では、椎骨V1および/または椎骨V2は、インプラント260またはインプラント360の1つのみを使用して癒合される。いくつかのそのような実施形態では、インプラント260および締付け具部材280またはインプラント360および締付け具部材380の1つを使用して、椎骨V1の下関節突起IAP1Aおよび椎骨V2の上関節突起SAP2Aまたは椎骨V1の下関節突起IAP1Bおよび椎骨V2の上関節突起SAP2Bの1つを介して、椎骨V1および/または椎骨V2を安定させることができる。他のそのような実施形態では、締付け具部材280または締付け具部材380の1つを使用して、椎骨V1の下関節突起IAP1Aおよび椎骨V2の上関節突起SAP2A(たとえば、インプラント260との組合せ)と、椎骨V1の下関節突起IAP1Bおよび椎骨V2の上関節突起SAP2B(たとえば、インプラント360との組合せ)との両方を介して、椎骨V1および/または椎骨V2を安定させることができる。
【0051】
図52は、締付け具部材280を有するインプラント260および/または締付け具部材380を有するインプラント360を使用する方法6000を示す流れ図を示す。インプラント260および/またはインプラント360を使用する前に、6002で、手術に向けて患者を準備することができる。手術に向けた準備のいくつかの例は、2010年8月18日出願の「Vertebral Facet Joint Drill and Method of Use」という名称の米国特許出願第12/859,009号(「‘009出願」と呼ぶ)に記載されている。同出願は、全体として参照により本明細書に組み込まれている。‘009出願に記載されているそれらの処置に加えて、いくつかの実施形態では、外科的な処置は、安定させるべき椎骨の直接的な視覚化を含むことができる。言い換えれば、医師は、透視診断を使用することなく動作を実行することができる。この直接的な視覚化は、インプラントの移植に必要な切開部が小さく、たとえば約25mm未満であるため、またインプラントを容易に移植および導入できるため、実現することが可能である。いくつかの実施形態では、使用される外科的な処置は、第1の椎骨の第1の関節突起と第1の椎骨の第2の関節突起との間で実質的に等距離のところで身体組織に開口部を形成することを含むことができる。この開口部にカニューレ(図示せず)を挿入することができ、カニューレの近位端は、椎骨V2の上関節突起SAP2A付近に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、外科的な処置は、たとえば靱帯、軟骨、および/または他の組織のすべてまたは一部分を除去することによって、椎骨V2付近および/または周囲に領域を準備することを含むことができる。たとえば、椎間関節付近および/または周囲の領域は、椎間関節包のすべてまたは一部分を除去することによって準備することができる。
【0052】
6004で、ドリルまたは他のデバイスを使用して、椎骨V2の上関節突起SAP2Aおよび椎骨V1の下関節突起IAP1A内に内腔を形成することができる。具体的には、ドリルを使用して、椎骨V2の上関節突起SAP2Aの小関節面内および椎骨V1の下関節突起IAP1Aの小関節面内に内腔を形成することができる。椎骨内に内腔を形成する方法およびデバイスは、‘009出願に記載されている。6006で、SAP2AおよびIAP1Aの小関節面の表面の一部分を、癒合に向けて準備することができる。具体的には、癒合を助けるために小関節面の表面があらゆる物質によりよく付着するように、および/または他の方法でインプラントにより容易に癒合するように、小関節面の表面の一部分で研削、引っ掻き、粗面化、研磨などを行うことができる。締付け具部材280は、カニューレ内に位置決めすることができ、締付け具部材280の近位端部282が椎骨V2の上関節突起SAP2Aの内腔付近に位置決めされるまで、カニューレを通って前進させることができる。いくつかの実施形態では、カニューレの近位端は、締付け具部材280の近位端部282を椎骨V2の上関節突起SAP2Aの内腔内へ誘導するための屈曲を有することができる。6008で、締付け具部材280の近位端部282は椎骨V2の上関節突起SAP2Aの内腔内へ挿入される。6010で、インプラント260の物質境界面268に物質を配置することができる。いくつかの実施形態では、インプラント260は、外科的な処置の前に、たとえばインプラント260の製造中、製造後、および/またはキットの一部として、物質境界面268内に配置された物質を有することができる。6012で、インプラント260は椎骨V2の上関節突起SAP2Aと椎骨V1の下関節突起IAP1Aとの間に挿入される。
【0053】
6014で、締付け具部材280の近位端部282は椎骨V1の下関節突起IAP1Aの内腔内へ挿入される。6016で、締付け具部材を固定することができる。締付け具部材280の固定は、使用される締付け具部材のタイプに基づいて行うことができる。例として、
図49〜51に示すように可撓性の締付けバンドに類似の締付け具部材を固定することは、締付け具部材280の遠位端部284の締付け機構内へ近位端部282を挿入すること、および締付け機構を通って近位端部282を前進させて締付け機構を固定することを含むことができる。他の実施形態では、締付け具部材は、締付け具部材の第1の部分を締付け具部材の第2の部分に結ぶこと、ねじ山付きの締付け具境界面内へ締付け具部材をねじ留めすること、締付け具境界面を貫通して配置された締付け具部材のねじ山付きの端部上へ締付け具をねじ留めすること、上記の組合せなどによって固定することができる。いくつかの実施形態では、インプラント260を配置してから、締付け具部材280の近位端部を椎骨V2の上関節突起SAP2Aの内腔内へ挿入することができる。カニューレは、たとえば椎骨V2の上関節突起SAP2A内に形成された内腔内へ締付け具部材280の近位端部282を挿入した後、椎骨V1および/もしくは椎骨V2を安定させた後、または方法6000中の他の時点を含む、方法6000中の様々な時点で除去および/または再挿入することができる。
【0054】
締付け具部材が固定された後、椎骨V2の上関節突起SAP2Aは椎骨V1の下関節突起IAP1Aに癒合することができる。癒合は、椎骨V2の上関節突起SAP2Aからの骨材料、椎骨V1の下関節突起IAP1Aからの骨材料、および物質境界面268を通じて椎骨V2の上関節突起SAP2Aを椎骨V1の下関節突起IAP1Aに癒合させる物質の1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、椎骨V2の上関節突起SAP2Aが椎骨V1の下関節突起IAP1Aに癒合した後、締付け具部材280は除去されない。いくつかの他の実施形態では、椎骨V2の上関節突起SAP2Aが椎骨V1の下関節突起IAP1Aに癒合した後、締付け具部材280のすべてまたは一部分を除去することができる。他の実施形態では、椎骨V2の上関節突起SAP2Aと椎骨V1の下関節突起IAP1Aの癒合を開始した後、終了する前に、締付け具部材280を除去することができる。
【0055】
たとえば締付け具部材280などの上記の締付け具部材に加えて、
図53〜65は、他の実施形態による締付け具部材を示す。
【0056】
図53は、締付け具部材480の図を示す。締付け具部材480は、可撓性の締付けバンド(「バンド」)480とすることができる。
図54はバンド480の一部分の図を示し、バンド480は、上記のバンド280に類似のものとすることができ、類似の構成要素を含むことができる。例として、バンド480は、近位端部482と、第1の部分484と、第2の部分486と、締付け機構490を含む遠位端部488とを含む。バンド280とは対照的に、バンド480は円筒形の第2の部分486を含み、それぞれ第3の部分489を含む。
図53〜54に示すように、第3の部分489は第1の部分482と実質的に同じ形状である。
図53および
図54に示すように、バンド480は、ラック歯車487および歯車494を含む。歯車494はそれぞれ、締付け機構490のラチェットを1方向のみに変位させることが可能になるように、くさび形状とすることができる。いくつかの実施形態では、歯車494は、ブロックなどの他の形状とすることもできる。
【0057】
図55は、締付け具部材580の側面図であり、
図56は上面図である。別の実施形態によれば、締付け具部材580は可撓性の締付けバンド(「バンド」)580とすることができる。バンド580は、上記のバンド280およびバンド480に類似のものとすることができ、類似の構成要素を含むことができる。例として、バンド580は、近位端部582と、ラック歯車587を含む第1の部分584と、第2の部分586と、締付け機構590およびラチェット592を含む遠位端部588とを含む。ラック歯車487とは対照的に、ラック歯車587の各歯車594の断面積は、くさび形ではなく方形の形状である。さらに、第1の部分284とは対照的に、第1の部分584は、立方形の形状ではなく円筒形の形状である。このように、締付け機構590の内腔596は円筒形の形状である。この実施形態によるバンドは、隣接する椎骨を安定させるために単一のバンドが使用される場合の導入に特に有用になることがある。このようにして、第2の部分は、第1の椎骨の第1の関節突起の内腔内に配置することができ、第1の部分の一部分は、第1の椎骨の第2の関節突起の内腔内に配置することができる。これらの実施形態では、第1の椎骨の第1の関節突起内のバンド部分と第1の椎骨の第2の関節突起内のバンド部分はどちらも、第1の椎骨の第1の関節突起内の内腔および第1の椎骨の第2の関節突起内の内腔と実質的に同じ形状を有することができる。このようにして、バンド480に関連して上述したように、内腔内の開放空間の量を最小にすることができ、内腔に接触するバンドの第1の部分および/または第2の部分の表面積の量を増大させることができ、その後、第1の椎骨および/または第2の椎骨の運動を低減または最小化することができる。さらに、第1の椎骨および/または第2の椎骨の運動が生じたとき、少なくとも内腔に接触するバンドの表面積が増大するため、第1の部分および/または第2の部分全体にわたって、バンドに作用する力をより等しく分散させることができる。
【0058】
図57は、締付け具部材680の側面図である。一実施形態によれば、締付け具部材680は可撓性の締付けバンド(「バンド」)680とすることができる。バンド680は、上記のバンド280、バンド480、およびバンド580に類似のものとすることができ、類似の構成要素を含むことができる。例として、バンド680は、近位端部682と、ラック歯車687を含む第1の部分684と、第2の部分686と、締付け機構690を含む遠位端部688とを含む。ラック歯車587と同様に、ラック歯車687の各歯車694の断面積は方形の形状である。ラック歯車587とは対照的に、歯車694はそれぞれ、第1の部分584の円周の一部分だけではなく、第1の部分684の円周全体に延びる。さらに、第1の部分584に類似しているが第1の部分284とは対照的に、第1の部分684は、立方形の形状ではなく円筒形の形状である。このように、締付け機構690の内腔696は円筒形の形状である。この実施形態によるバンドは、移植後にバンドの運動および再配置が困難になりうる場合の導入に特に有用になることがある。このようにして、歯車がそれぞれ第1の部分および/または第2の部分の円周全体にあるため、第1の部分および/または第2の部分は、任意の径方向の向きで締付け機構に入り、それでもなおラチェットに係合することができる。
【0059】
図58〜62は、締付け具部材780の図である。別の実施形態によれば、締付け具部材780は可撓性の締付けバンド(「バンド」)780とすることができる。
図58はバンド780の斜視図であり、
図59は横断面側面図である。
図60は、線XXIIIに沿って切り取ったバンド780の横断面図である。
図61は、第1の構成のバンド780の横断面上面図であり、
図62は、第2の構成のバンド780の横断面上面図である。バンド780は、上記のバンド280およびバンド480に類似のものとすることができ、類似の構成要素を含むことができる。例として、バンド780は、近位端部(図示せず)と、ラック歯車787を含む第1の部分784(
図59参照)と、第2の部分786と、締付け機構790およびラチェット792を含む遠位端部788とを含む。バンド280およびバンド480とは対照的に、バンド780は補強片772を含む。
【0060】
補強片772は、締付け具部材に関して上述した材料のいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、補強片772は、第2の部分786および/または第1の部分784より強い材料を含むことができ、たとえば第1の部分784および第2の部分786はPEEKを含み、補強片772はチタンを含むことができる。
図59に示すように、補強片772は、バンド780内で第2の部分786のほぼ長さ全体に沿って配置することができ、補強片772の一部分は、遠位端部788内に配置することができる。いくつかの実施形態では、補強片の長さは、第2の部分786および/または第1の部分784の長さの少なくとも一部分に沿っているが、遠位端部に達しなくてもよい。いくつかの実施形態では、補強片772は、第2の部分786内のみに配置することができる。補強片772は、第1の寸法(長さ)の長さ、第2の寸法(幅)の長さ、および第3の寸法(高さ)の長さを有することができる。本明細書に記載のように、補強片は異なる形状とすることができ、それによって含まれる寸法の数を変更することができる。
【0061】
補強片は、バンド内で成型することができる。言い換えれば、第1の部分、第2の部分、および/または遠位端部が成型可能な材料である実施形態では、補強片を型の中に配置することができ、型の中で補強片の周りに成型可能な材料を注入することができ、または他の方法で入れることができる。他の実施形態では、補強片の周りのバンドの各部分(たとえば、近位端部、第1の部分、第2の部分、第3の部分、および/または遠位端部)は、上半分および下半分を有することができ、上半分と下半分はそれぞれ、補強片の周りに配置して密閉することができる。
図61に示すように、補強片772は支持部材774を含む。
図61は、4つの支持部材774を含む補強片772を示すが、いくつかの実施形態では、使用される支持部材774の数を変更することもできる。支持部材774は、バンド780の成型および/または組立て処理中に、補強片772の位置を維持することができる。
図62に示すように、バンド780が使用される前に支持部材774は除去される。
【0062】
図60に示すように、補強片772は、実質的に均一の立方体の形状を有することができる。他の実施形態では、補強片772は、他の形状を有することができる。補強片の形状は、選択される材料の所望の屈曲および/またはねじれ特性に応じて選択することができる。例として、実質的に平面の立方体形状を用いると、屈曲強度はさらに増大できるが、ねじれ強度はあまり増大できず、円筒形の形状を用いると、屈曲強度は増大できるが、ねじれ強度はほとんど増大できず、実質的に正方形および/または管状の立方体形状を用いると、屈曲とねじれは同様に増大することができる。所望の屈曲およびねじれ強度を実現するために、任意の形状を選択することができる。材料および形状の組合せを考慮することもできる。たとえば、より高いねじれ強度を有する材料と、より低いねじれ強度を有する形状とを組み合わせて、所望のねじれ強度を得ることができる。
図61および
図62に示すように、補強片772は、第1の寸法の長さに沿って分散された孔776を含む。
図61および
図62は、多くの孔776を含むバンド780を示すが、いくつかの実施形態では、使用される孔776の数を変更することもできる。
図61および
図62は、第1の寸法の長さに沿って実質的に等しく分散された孔776を示すが、いくつかの実施形態では、これらの孔は、選択される形状および/もしくは材料、ならびに/または補強片が中実か中空かに応じて、異なる形で、または異なる寸法に沿って、分散させることができる。孔776は、補強片772の重量を低減させながら、それでもなおバンド780に追加の強度を提供するように構成することができる。孔776は、円形、楕円形、正方形、または任意の他の形状とすることができる。
【0063】
図63は締付け具部材880の分解図であり、
図64は斜視図であり、
図65は横断面図である。別の実施形態によれば、締付け具部材880は可撓性の締付けバンド(「バンド」)880とすることができる。バンド880は、上記のバンド280およびバンド480に類似のものとすることができ、類似の構成要素を含むことができる。例として、バンド880は、近位端部882と、第1の部分884と、ラック歯車887を含む第2の部分886と、遠位端部888と、締付け機構890と、ラチェット892とを含む。バンド280およびバンド480とは対照的に、バンド880の締付け機構890は、バンド880の遠位部分888とは別個に形成される。
図63〜65には、実質的に立方体の形状を有するバンド880の第2の部分886を示すが、いくつかの実施形態では、第2の部分886は、実質的に円筒形の形状または本明細書に論じる任意の他の適当な形状とすることができる。
図64および
図65に示すように、バンド880は、ラック歯車887および歯車894を含む。歯車894はそれぞれ、締付け機構890のラチェット892を1方向のみに変位させることが可能になるように、くさび形状とすることができる。いくつかの実施形態では、歯車894は、ブロックなどの他の形状、または本明細書に論じる任意の他の適当な形状とすることもできる。
図63〜65に示すように、遠位端部888は、実質的に円形の形状とすることができ、第2の部分886の幅より大きい直径を有することができる。他の実施形態では、遠位部分888は、他の形状、たとえば楕円形、方形、正方形などを有することができる。
【0064】
たとえばインプラント160などの上記のインプラントに加えて、
図66〜81は、他の実施形態によるインプラントを示す。
【0065】
図66〜69は、一実施形態によるインプラント1060を示す。具体的には、
図66はインプラント1060の前面斜視図であり、
図67はインプラント1060の背面斜視図であり、
図68はインプラント1060の側面図であり、
図69はインプラント1060の横断面側面図である。インプラント1060は、上記のインプラント160およびインプラント260に類似のものとすることができ、類似の要素および用途を有することができる。例として、インプラント1060の締付け具境界面1066は、インプラント160の締付け具境界面166に類似のものとすることができ、インプラント260の締付け具境界面266に類似のものとすることができる。インプラント1060は、凹状の第1の面1062と、凸状の第2の面1064と、中心に配置された実質的に円形の締付け具境界面1066と、6つの実質的に円形の形状の物質境界面1068とを含む。
【0066】
図70〜73は、一実施形態によるインプラント1160を示す。具体的には、
図70はインプラント1160の前面斜視図であり、
図71はインプラント1160の背面斜視図であり、
図72はインプラント1160の側面図であり、
図73はインプラント1160の横断面側面図である。インプラント1160は、上記のインプラント160およびインプラント260に類似のものとすることができ、類似の要素および用途を有することができる。例として、インプラント1160の締付け具境界面1166は、インプラント160の締付け具境界面166に類似のものとすることができ、インプラント260の締付け具境界面266に類似のものとすることができる。インプラント1160は、凹状の第1の面1162と、凸状の第2の面1164と、中心に配置された実質的に円形の締付け具境界面1166と、5つの角の丸い方形の形状の物質境界面1168とを含む。
【0067】
図74〜77は、一実施形態によるインプラント1260を示す。具体的には、
図74はインプラント1260の前面斜視図であり、
図75はインプラント1260の背面斜視図であり、
図76はインプラント1260の側面図であり、
図77はインプラント1260の横断面側面図である。インプラント1260は、上記のインプラント160およびインプラント260に類似のものとすることができ、類似の要素および用途を有することができる。例として、インプラント1260の締付け具境界面1266は、インプラント160の締付け具境界面166に類似のものとすることができ、インプラント260の締付け具境界面266に類似のものとすることができる。インプラント1260は、凹状の第1の面1262と、凸状の第2の面1264と、中心に配置された実質的に円形の締付け具境界面1266と、いくつかの実質的に円形の形状で寸法が変動する物質境界面1268とを含む。
【0068】
図78〜81は、一実施形態によるインプラント1360を示す。具体的には、
図78はインプラント1360の前面斜視図であり、
図79はインプラント1360の背面斜視図であり、
図80はインプラント1360の側面図であり、
図81はインプラント1360の横断面側面図である。インプラント1360は、上記のインプラント160およびインプラント260に類似のものとすることができ、類似の要素および用途を有することができる。例として、インプラント1360の締付け具境界面1366は、インプラント160の締付け具境界面166に類似のものとすることができ、インプラント260の締付け具境界面266に類似のものとすることができる。インプラント1360は、凹状の第1の面1362と、凸状の第2の面1364と、中心に配置された実質的に円形の締付け具境界面1366と、4つの不規則な形状の物質境界面1368と、4つの突起1369とを含む。4つの突起1369はそれぞれ、たとえばインプラント1360の回転、インプラント1360の長手方向の運動、および/またはインプラント1360の横方向の運動など、インプラント1360の運動を防止または低減させるように、骨部分に係合することができ、または他の方法で骨部分内もしくは骨部分上へ掘削、ラッチ、ロック、もしくはフックで留めることができる。このようにして、突起1369は、癒合処置中にインプラント1360を骨部分に固定することができる。いくつかの実施形態では、突起1369は、締付け具部材が除去された後にインプラント1360の位置を実質的に維持することができる。
【0069】
様々な実施形態について上述したが、これらの実施形態は、限定ではなく例示のみを目的として提示したものであり、形状および詳細に様々な変更を加えることができることを理解されたい。たとえば、上記の説明では椎骨の安定化を参照しているが、本明細書に記載の締付け具部材およびインプラントを使用して、たとえば胸骨および/または肋骨などの別の骨を安定させることもできる。別の例では、締付け具部材を使用して、髄内(IM)釘またはネイルを安定および/または定着させることができる。たとえば、締付け具部材は、IM釘またはネイルに沿って長手方向の異なる位置で使用することができ、締付け具部材を使用して、隣接する骨部分をIM釘またはネイルに結合することができる。そのような状況では、所与の締付け具部材は、第1の骨部分、IM釘またはネイル、および第2の骨部分を固定することができ、第1の骨部分、IM釘またはネイル、および第2の骨部分はすべて、締付け具部材の遠位部分と近位部分との間に位置決めされる。さらに別の例では、締付け具部材を使用して、骨片を安定および/または定着させることができる。様々な実施形態について自然の骨の空間(たとえば、下関節突起と上関節突起との間の空間)に関連して上述したが、他の実施形態では、骨の間隔は、人工のもの(たとえば、心臓処置中の胸骨の切開)、および/または負傷によるもの(たとえば、骨折)とすることができる。
【0070】
上記の方法では、特定の事象が特定の順序で行われることを示したが、特定の事象の順序は修正することができる。さらに、これらの特定の事象は、可能な場合、並行処理で同時に実行することができ、ならびに上記のように順次実行することができる。本明細書に記載の装置および/または方法のあらゆる部分は、相互に排他的な組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせることができる。本明細書に記載の実施形態は、記載した異なる実施形態の機能、構成要素、および/または特徴の様々な組合せおよび/または下位の組合せを含むことができる。たとえば、
図54および
図56は単一のラチェット592を含むバンド580を示し、
図57は単一のラチェット692を含むバンド680を示すが、いくつかの実施形態では、これらの締付け具部材のいずれかが、任意の数のラチェットを含むことができる。同様に、締付け具部材のいずれかが、補強片および/またはインプラントを含むこともできる。さらに、インプラントの一実施形態が締付け具部材の一実施形態とともに使用されていることを示した場合でも、他の実施形態では、インプラントおよび締付け具部材は、他のインプラントおよび締付け具部材とともに使用することができる。たとえば、
図28は、インプラントがねじ山付きのワイヤで固定されていることを示すが、いくつかの実施形態では、可撓性の締付けバンドを使用することができる。
【0071】
本願では、下記の発明も提示される。
[項1]
第1の骨部分および第2の骨部分に接触するようにインプラントを配置するステップであって、前記インプラントが、抑制部材を受けるように構成された境界面を有する、配置するステップと、
前記配置後、締付け具部材の一部分を前記境界面内へ挿入するステップと、
前記挿入後、前記締付け具部材を固定するステップであって、それにより、前記固定後、前記第1の骨部分および前記第2の骨部分が互いに癒合する、固定するステップと
を含むことを特徴とする方法。
[項2]
前記境界面が第1の境界面であり、前記インプラントが第2の境界面を含み、前記方法が、
前記締付け具部材を固定するステップであって、それにより、前記固定後、前記第1の骨部分および前記第2の骨部分が、少なくとも部分的にある物質によって互いに癒合する、固定するステップをさらに含み、
前記物質の少なくとも一部分が前記第2の境界面を通るように配置されることを特徴とする項1に記載の方法。
[項3]
前記物質が骨移植片であり、前記第1の骨部分および前記第2の骨部分が前記骨移植片を介して互いに癒合するように、前記第1の骨部分および前記第2の骨部分が互いに癒合することを特徴とする項2に記載の方法。
[項4]
前記締付け具部材が可撓性の締付けバンドであることを特徴とする項1に記載の方法。
[項5]
前記境界面が第1の境界面であり、前記インプラントが第2の境界面をさらに含み、前記方法が、前記第1の骨部分と前記第2の骨部分との間に前記インプラントを配置する前に前記第2の境界面内へある物質を配置するステップをさらに含み、前記第1の骨部分および前記第2の骨部分が前記物質を介して互いに癒合するように、前記第1の骨部分および前記第2の骨部分が互いに癒合することを特徴とする項1に記載の方法。
[項6]
前記インプラントが、前記第1の骨部分の形状を実質的に補完するように構成された面を含むことを特徴とする項1に記載の方法。
[項7]
面および境界面を有するインプラントを備え、
前記面が、第1の骨部分の形状を実質的に補完する形状であり、前記境界面が、締付け具部材を受けるように構成され、
前記インプラントが、前記締付け具部材で固定されるように構成され、それにより、前記インプラントが前記締付け具部材によって固定された後、前記第1の骨部分および第2の骨部分が互いに癒合することを特徴とする装置。
[項8]
前記面が第1の面であり、前記インプラントが、前記第2の骨部分の形状を実質的に補完する形状の第2の面をさらに含むことを特徴とする項7に記載の装置。
[項9]
前記面が第1の面であり、前記インプラントが、前記第2の骨部分の形状を実質的に補完する形状の第2の面をさらに含むことを特徴とする項7に記載の装置。
[項10]
前記境界面が第1の境界面であり、前記インプラントが、骨移植片を受けるように構成された第2の境界面をさらに含み、前記第1の骨部分および前記第2の骨部分が、前記骨移植片を介して互いに癒合することを特徴とする項7に記載の装置。
[項11]
前記面の表面が粗面または多孔質であることを特徴とする項7に記載の装置。
[項12]
前記境界面が、前記面の実質的に中心に配置されることを特徴とする項7に記載の装置。
[項13]
前記境界面が第1の境界面であり、前記インプラントが、不規則な形状を有する第2の境界面をさらに含むことを特徴とする項7に記載の装置。
[項14]
前記境界面が第1の境界面であり、前記インプラントが複数の第2の境界面をさらに含み、前記複数の第2の境界面からの第2の境界面がそれぞれ、前記面の中心の周りで実質的に等距離のところに配置されることを特徴とする項7に記載の装置。
[項15]
締付け具部材と、
前記締付け具部材を受けるように構成された境界面を有するインプラントと、
を備え、
前記締付け具部材が、前記インプラントを第1の骨部分および第2の骨部分に固定するように構成され、それにより、固定後、前記第1の骨部分および前記第2の骨部分が互いに癒合することを特徴とするキット。
[項16]
前記境界面が、面の実質的に中心に配置されることを特徴とする項15に記載のキット。
[項17]
前記境界面が第1の境界面であり、前記インプラントが、不規則な形状を有する第2の境界面をさらに含むことを特徴とする項15に記載のキット。
[項18]
前記境界面が第1の境界面であり、前記インプラントが、骨移植片を受けるように構成された第2の境界面をさらに含み、前記第1の骨部分および前記第2の骨部分が前記骨移植片を介して互いに癒合することを特徴とする項15に記載のキット。
[項19]
前記締付け具部材が可撓性の締付けバンドであることを特徴とする項15に記載のキット。
[項20]
前記インプラントが面を含み、前記面が粗面または多孔質であることを特徴とする項15に記載のキット。
[項21]
前記インプラントが、前記第1の骨部分の形状を実質的に補完する形状の面をさらに含むことを特徴とする項15に記載のキット。