特許第6441300号(P6441300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441300
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】組織を固定するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20181210BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   A61B17/04
   A61B17/56
【請求項の数】4
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-501115(P2016-501115)
(86)(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公表番号】特表2016-512071(P2016-512071A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2014022973
(87)【国際公開番号】WO2014164605
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年2月8日
(31)【優先権主張番号】61/778,350
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515245088
【氏名又は名称】ジップテク エルエルシー.
(74)【代理人】
【識別番号】100088029
【弁理士】
【氏名又は名称】保科 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,ウィリアム,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ギャラッツ メンデッツ,ラムセス
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス ロモ,ダニエル,フランシスコ
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−512203(JP,A)
【文献】 特表平10−507398(JP,A)
【文献】 特表2002−506376(JP,A)
【文献】 特表2002−516585(JP,A)
【文献】 実開昭60−186170(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0203250(US,A1)
【文献】 米国特許第06491714(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
A61B 17/56−17/92
B25B 15/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕獲(つまりは、捕獲具)を縫合糸に沿って動かすための改良工具であり、前記縫合糸は、その縫合糸に沿って配置した一連の突出部をもち、しかもまた、前記捕獲は中央の捕獲穴をもち、その捕獲穴が捕獲を前記縫合糸の一連の突出部を越えて、第1の方向に動かすことができるのに対し、第2の方向に動かすことを阻止するようになった改良工具であって、次の構成および条件を備える、工具。
・基部端から末端まで伸びるシャフトを支えるハンドルをもつ回転ドライバー。
・骨アンカーを受けるため前記シャフトの前記末端に定まるソケット。
・前記ソケットと前記ドライバーの外面とを連絡する第1および第2の細孔であり、前記骨アンカーを通して縫合糸を通すもの。
・前記シャフトの前記末端の前記ソケットにある中心穴から伸び、シャフトの軸方向に伸びて、前記シャフトの末端の外側表面にまで伸びるチャンネルがあり、そのチャンネルを通して前記縫合糸を伸ばし前記シャフトの外側まで伸ばすことができること。
・前記シャフトの末端は、前記捕獲を前記チャンネルの前記中心穴に位置合わせするように形作られており、それにより、前記ドライバーは前記縫合糸に対し相対的な動きをして前記縫合糸に沿って前記捕獲を押すことができること。
【請求項2】
前記シャフトの前記末端は、前記捕獲を前記縫合糸に沿って第1の方向に押し、第2の方向の動きを阻止するところに位置させることができる、請求項の工具。
【請求項3】
捕獲(つまりは、捕獲具)を縫合糸に沿って動かすための改良工具であり、前記縫合糸は、その縫合糸に沿って配置した一連の突出部をもち、しかもまた、前記捕獲は中央の捕獲穴をもち、その捕獲穴が捕獲を前記縫合糸の一連の突出部を越えて、第1の方向に動かすことができるのに対し、第2の方向に動かすことを阻止するようになった改良工具であって、次の構成および条件を備える、工具。
・基部端から末端まで伸びるシャフトを支えるハンドルをもつ回転ドライバー。
・骨アンカーを受けるため前記シャフトの前記末端に定まるソケット。
・前記ソケットと前記ドライバーの外面とを連絡する第1および第2の細孔であり、前記骨アンカーを通して縫合糸を通すもの。
・前記ャフトの前記末端の前記ソケットにある中心穴から伸び、シャフトの軸方向に伸びて、前記シャフトの末端の外側表面にまで伸びるチャンネルがあり、そのチャンネルを通して前記縫合糸を伸ばし前記シャフトの外側まで伸ばすことができること。
・前記シャフトの末端は、前記縫合糸に沿って前記捕獲を押すように形作られており、それにより、前記ドライバーは前記縫合糸に対し相対的な動きをして前記縫合糸に沿って前記捕獲を押すことができること。
【請求項4】
中央穴をもつ捕獲(つまりは、捕獲具)を縫合糸に沿って動かすための改良工具であって、次の構成および条件を備える、工具。
・基部端から末端まで伸びるシャフトを支えるハンドルをもつ回転ドライバー。
・ねじの頭を受けるため前記シャフトの前記末端に定まるソケット。
・前記ソケットと前記ドライバーの外面とを連絡する第1および第2の細孔であり、前記ねじを通して縫合糸を通すもの。
・前記第1および第2の細孔が定める第1および第2の切断刃であり、それらの切断刃が、前記回転ドライバーの回転に応じて、前記骨を切り、同時に、前記ねじを挿入し、前記骨の中のさら穴に前記ねじの頭を埋めることができる。
・前記シャフトの前記末端の前記ソケットにある中心穴から伸び、シャフトの軸方向に伸びて、前記シャフトの末端の外側表面にまで伸びるチャンネルがあり、そのチャンネルを通して前記縫合糸を伸ばし前記シャフトの外側まで伸ばすことができること。
・前記シャフトの末端は、前記縫合糸に沿って前記捕獲を押すように形作られており、それにより、前記ドライバーは前記縫合糸に対し相対的な動きをして前記縫合糸に沿って前記捕獲を押すことができること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外科の技術に関し、特に、組織を固定するための装置および方法であって、縫合糸を外科ボタン、ガーゼあるいは捕獲(capture)に固定するための新規なねじアンカーおよび回転ドライバーを備える技術である。
【背景技術】
【0002】
近年、外科技術において、捕獲(capture)を用いることが多くなっている。一般に、捕獲は、縫合糸と関連して用いられ、縫合糸に結び目を作ることなく縫合糸を固定する。捕獲を使用することには、縫合糸を結ぶ在来の技術に勝るいくつかの利点がある。第1に、捕獲によれば、縫合糸を結ぶ在来の技術よりも速く縫合糸を固定することができる。第2に、捕獲によれば、縫合糸を結ぶ在来の技術よりも通例より安定した保持力を得ることができる。第3に、スペースの制約から外科医が結び目を作ることができない、関節鏡検査外科手術に捕獲を用いることができる。
【0003】
次の先行技術は、外科技術のためのアンカー、ファスナーおよびねじを含む捕獲およびその同種物の発展の例である。それらの先行技術例は、医療、動物医療および歯科用インプラントを含むいろいろな外科的な処置において用いられる。
【0004】
ガッツナほかの米国特許第4,898,156号は、在来の縫合糸の一端を骨に固定するための縫合糸アンカーを示す。その縫合糸アンカーは、少なくとも1つのバーブ(あご)を伴う結合部材を備える。バーブは、結合部材から突き出た弾力性のある伸縮材料から構成されている。そして、縫合糸の一端を縫合糸アンカーに取り付ける構造である。結合部材および少なくとも1つのバーブは、縫合糸をアタッチメント構造に取り付ける際、縫合糸の一端を骨の中に確実に固定するようにする。それにより、骨の外側に延びる縫合糸の他方の端によって、対象物を骨に取り付けることができる。
【0005】
ディンスデールの米国特許第5,733,307号は、縫合糸を用いて組織に骨を取り付けるための、縫合溝を伴う骨アンカーを示す。その骨アンカーは、大径、小径、先端、および駆動ヘッドをもつ、糸通し骨アンカー本体を備える。縫合溝はアンカー本体の内部に形成されており、その幅は縫合糸の直径と等しいか大きく、そして、その深さは縫合糸の直径と等しいか大きい小径よりも深い。縫合糸の通路によって、縫合溝の反対部分に連絡する。骨アンカーを骨の中に挿入する間、縫合糸は縫合溝の内部に位置する。
【0006】
ブランチの米国特許第5,370,661号は、骨に組織を取り付けるための方法を示し、その方法は、フィラメント部材と、そのフィラメント部材を捕え、組織を所定位置に保持するヘッド部材とを備える。また、組織の破損を修復する装置および方法をも示し、フィラメント部材と、そのフィラメント部材を捕える少なくとも1つの部材を教えている。
【0007】
ページダスの米国特許第5,413,585号は、自己ロックの縫合ロック装置を示す。その装置は、外科的な縫合の前に、その中に糸を固定する第1の縫合糸孔と、後ろ側よりも前側の方が大きい、円錐形の第2の縫合ロック孔とを備える。そして、縫合糸を一方向だけに受け入れるようになっており、それにより、縫合を完了した後で引っ込まないようにロックし、外科的な結び目を必要とせずに糸をロックする。第2の孔の中の舌状部によって、糸は前側から後ろ側へと円錐形の第2の孔を通ることができるが、後ろ側から前側へと糸を通すことはできず、あるいは、一旦糸を通したら第2の孔から引き出すことができない。自己ロックする縫合装置の前側は、明示的に着色することにより、外科医が縫合装置のどちら側が縫合糸を受け入れるかを分かるようにしている。第1の孔は、変形可能な細長い孔、一対の孔、あるいは他の形態にすることができる。舌状部は、第2の孔の端、細長い孔、あるいは一方向性のロック構造にかみ合う。
【0008】
グリーンフィールドの米国特許第5,584,835号は、柔軟な組織を骨に縫合するための2部構成の装置を示す。その装置は、骨に取り付ける骨アンカーと、柔軟な組織に結合し、そして、骨アンカーにかみ合う縫合アンカーとを用いる。骨アンカーに対する縫合アンカーのかみ合いあるいは係り合いは、縫合の配置調整を可能にするため、容易に元に戻すことができる。これを実施するとき、骨アンカーを入れるための骨孔を孔開けすることを除いて、元に戻すことができない工程はない。丸い内部断面をもつ骨アンカーの取付けを容易にするため、特別な工具が描かれている。縫合アンカーは、圧力のみを直接加えることによって取り付けることができ、そして、ねじドライバーのような取外し工具を用いて、反時計回りに回転することによって取り外すことができる。縫合は、縫合アンカー中の孔に糸通しをし、その縫合の結合は、縫合と骨アンカーとの間の摩擦はめ合いによって増大する。
【0009】
ベンデレブほかの米国特許第5,938,686号は、骨の上方に位置する骨アンカー植込み装置、および骨に取り付けた骨アンカーを示す。
【0010】
ラーセンほかの米国特許第5,948,000号は、縫合アンカー配置システムを示す。システムは、ハンドル部分と動作部分とをもつ装置を含む。ハンドル部分には、スプリング、ニードルパーク、および一定の長さの縫合糸を解放可能に保持する部材がある。動作部分には、被覆管および被覆管の穴内にスライド可能に配置したプランジャーロッドがある。プランジャーロッドは、ハンドルの基部端にしっかりと支持されている。縫合アンカーは、プランジャーロッドの末端部分に開放可能にかみ合っている。被覆管はハンドルに支持され、ハンドルに関して末端と基部端との間を移動可能である。被覆管は、スプリングによって末端に向かって弾性的に力を受けており、被覆管の末端に充分な大きさの基部に向かう力が加わることに応じて、基部に向かって移動可能である。被覆管には、骨の穴径よりも大きな外径をもつ部分があり、それにより、取付け工具を骨に向かって押すとき、被覆管がハンドル中に引っ込み、骨に予め作った穴の中へと縫合アンカーを進める。当初はぴんと張った状態の縫合糸は、被覆管が基部の位置に移動することに応じて解放される。
【0011】
ベネットの米国特許第6,013,083号は、組織掴みによって骨の外部に位置する回旋筋カフのような、剥がれた組織を示す。カニュールが皮膚を貫いて、実質的に剥がれた組織まで挿入するようにする。ドリルガイドをカニュール中に挿入し、そのドリルガイドにドリルビットを挿入し、剥がれた組織および完全に骨を貫通するよう穴を開ける。ドリルビットを取り外し、内部のカニュールをドリルガイドに通して、その末端が剥がれた組織にかみ合うまで出すか、あるいはその末端が開けた穴の遠い端に位置するまで穴を通して交互に出す。その末端に拡張可能な翼をもつ柔軟な組織アンカー、およびその基部端のアイレットに固定した縫合糸は、管状の拡張工具末端に解放可能に結合されている。拡張工具には、それを通して伸びる縫合糸の自由端を伴う。拡張工具は、内部のカニュールおよび開けた穴を通り抜け、拡張可能な翼が穴の遠い端を充分な距離通り越し、開けた穴の直径よりも大きな径に拡がるようにする。拡張工具、内部カニュール、ドリルガイド、およびカニュールを取り除き、そして、組織に張力を加え、開けた穴を取り囲む骨の外部表面にアンカーの拡張した翼をかみ合わせる。カニュールを通してボタンを縫合糸上に動かし、縫合糸によって剥がれた組織上に固定する。そうして、剥がれた組織を骨に固定し、しかもまた、拡張したアンカーによって縫合糸を、骨の堅い外部表面に取り付けるようにしている。
【0012】
トーマラほかの米国特許第6,015,410号は、体の上部位置にある柔軟な組織を支持するのに用いる、生体吸収性の外科用移植片を示す。外科用移植片は、移植片を骨あるいは堅い組織に結合するシャフトと、シャフトに固定したヘッドとを備える。移植片のヘッドには、凹状の下面があり、それにより、ヘッド下のシャフト周りに1本あるいは複数の縫合糸を容易に巻くことができ、骨あるいは堅い組織に対してヘッドを締め、そして、骨あるいは堅い組織の中へとシャフトを圧し、あるいは回転することにより、その位置に固定するようになっている。結合シャフトおよびヘッドは、生体吸収性ポリマー、コポリマー、ポリマーアロイ、コンポジットから形成することができる。それにより、少なくとも患者の治療期間に等しい間、所定の強度を維持する。その後に、外科用移植片は、治療に要する期間中、体に実質的に吸収される。この外科用移植片は、特に、内視鏡フェイスおよび/またはブローリフト外科、ならびに、他の内視鏡美容整形、形成および整形外科処置に用いることに適し、そこでは、縫合糸で組織を持ち上げる。
【0013】
シュミーディングほかの米国特許第6,117,162号は、先細の中央コアの周りに連続的なねじらせんをもつ栓抜き型の縫合糸アンカーを示す。縫合糸アンカーは、末端が丸い点で終わる。縫合糸アンカーの基部端には、縫合糸を入れる穴(アイ)がある。縫合糸アンカーは、ねじの巻きごとに大きなねじ面をもつ。反−撤回隆起部を、ねじの前面および/または後面に形成することができる。縫合糸アンカー用のドライバーを備える。そのドライバーは、中心軸線、長さ、末端、および基部端を備える。シャフトには、その末端に、シャフトの中心軸線に並べた開口があり、その開口に縫合糸アンカーの6角形の基部端を受け入れる。縫合糸穴を糸通しした1あるいは2以上の縫合糸は、中空の管状シャフトを通して糸通しされる。縫合糸は引き込まれて、ハンドルの基部端のV形ノッチに捕獲され、捕獲された縫合糸張力の下、ドライバーの末端の所定位置に縫合糸アンカーを保持する。
【0014】
ベネットの米国特許第6,206,886号は、組織掴みによって骨の外部に位置する回旋筋カフのような、剥がれた組織を示す。カニュールが皮膚を貫いて、実質的に剥がれた組織まで挿入するようにする。ドリルガイドをカニュール中に挿入し、そのドリルガイドにドリルビットを挿入し、剥がれた組織および完全に骨を貫通するよう穴を開ける。ドリルビットを取り外し、内部のカニュールをドリルガイドに通して、その末端が剥がれた組織にかみ合うまで出すか、あるいはその末端が開けた穴の遠い端に位置するまで穴を通して交互に出す。その末端に拡張可能な翼をもつ柔軟な組織アンカー、およびその基部端のアイレットに固定した縫合糸は、管状の拡張工具末端に解放可能に結合されている。拡張工具には、それを通して伸びる縫合糸の自由端を伴う。拡張工具は、内部のカニュールおよび開けた穴を通り抜け、拡張可能な翼が穴の遠い端を充分な距離通り越し、開けた穴の直径よりも大きな径に拡がるようにする。拡張工具、内部カニュール、ドリルガイド、およびカニュールを取り除き、そして、組織に張力を加え、開けた穴を取り囲む骨の外部表面にアンカーの拡張した翼をかみ合わせる。カニュールを通してボタンを縫合糸上に動かし、縫合糸によって剥がれた組織上に固定する。そうして、剥がれた組織を骨に固定し、しかもまた、拡張したアンカーによって縫合糸を、骨の堅い外部表面に取り付けるようにしている。
【0015】
シュミーディングほかの米国特許第6,214,031号は、先細の中心コアの周りに連続的なねじらせんをもつ栓抜き型の縫合糸アンカーを示す。縫合糸アンカーは、末端が丸い点で終わる。縫合糸アンカーの基部端には、縫合糸を入れる穴(アイ)がある。縫合糸アンカーは、ねじの巻きごとに大きなねじ面をもつ。反−撤回隆起部を、ねじの前面および/または後面に形成することができる。縫合糸アンカー用のドライバーを備える。そのドライバーは、中心軸線、長さ、末端、および基部端を備える。シャフトには、その末端に、シャフトの中心軸線に並べた開口があり、その開口に縫合糸アンカーの6角形の基部端を受け入れる。縫合糸穴を糸通しした1あるいは2以上の縫合糸は、中空の管状シャフトを通して糸通しされる。縫合糸は引き込まれて、ハンドルの基部端のV形ノッチに捕獲され、捕獲された縫合糸張力の下、ドライバーの末端の所定位置に縫合糸アンカーを保持する。
【0016】
シュワルツほかの米国特許第6,293,961号は、一旦縫合糸を組織内部に配置したなら、結び目を作ることを必要せずに縫合糸を所定位置にロックするための装置を示す。その装置は、前方部分および後方部分をもつアンカーと、それらを通して縫合糸が伸びる、前方部分および後方部分を通して伸びるカニュールと、縫合糸の端付近に位置し、縫合糸をカニュール内部にロックするためのビーズとを備える。
【0017】
ベネットの米国特許第6,491,714号は、組織基材の外側あるいは外部に対して、回旋筋カフのような剥がれた組織を固定および再取付けするための外科用の装置を示す。その装置は、拡張可能な翼をもつような組織基材アンカーと、その組織基材アンカーに基部端を固定可能な細長い縫合部材と、それらの間にインターロック構造を組み合わせることによって、縫合部材の長さに沿ってかみ合うように取り付け可能な、剥がれた組織保持部材とを備える。組織基材の外側面に、剥がれた組織を固定するため、組織保持部材が縫合部材の長さ方向に沿って不可逆的に動く間、縫合部材の自由な末端に張力が加えられる。剥がれて分離した組織を掴むグリップ部材をも備えることができ、それにより、剥がれた組織を組織基材に対して、広くかつ強く固定する。また、別の例では、組織アンカーを縫合部材とユニット化しており、それにより、たとえば、内部メニスカス組織あるいは仕切りのクロージュアのような組織修復の追加の形態が可能である。
【0018】
ボジャースキほかの米国特許第6,533,802号は、骨通路内部の組織移植片を固定する方法を示す。その方法は、一対の対立するループ部分をもつ閉ループを備える移植片固定部材を供給する工程と、固定部材内部の閉ループの第1のループ部分を捕獲する工程とを備える。閉ループの対立する第2のループ部分は、組織移植片の開口を通り抜け、固定部材に固定される。
【0019】
ディーンの米国特許第7,303,577号は、柔軟な組織のキズを外科的に修復することを高めるための方法、システムおよび装置を示す。その技術において、ブリッジ部材の第1端を健康な組織の第1の部分に取り付け、そして、ブリッジ部材の第2端は健康な組織の第2端に取り付ける。ブリッジ部材(単数、複数)は、柔軟な組織の修復を高めるために用いるが、そのブリッジ部材は独立に関連あるいは機能する。ブリッジ部材の柔軟性および弾性については、状況によって決め、治療を増進するために変更する。装置は、関節鏡処置に用いることができ、いろいろな長さに製造することができるし、あるいはある長さに製造し、必要な長さに切ることができるし、また、別の方法で最適な長さのブリッジ部材を得ることができる。
【0020】
ペリーロほかの米国特許第7,530,990号は、骨通路内部の組織移植片を固定する方法を示す。その方法は、一対の異なる大きさのループ部分をもつ閉ダブルループを備える移植片固定部材を供給する工程と、固定部材内部の閉ループの両部分を捕獲する工程とを備える。より長いループ部分は、組織移植片の開口を通り抜け、その後、小さい方のループを通り抜けて、固定部材に撚られて結び目を形成する。
【0021】
グリーンほかの米国特許第7,585,311号は、骨などの堅い材料に柔軟な組織を固定するための方法および装置を示す。骨アンカーは、ベースおよびトップを備え、縫合材料がベースとトップの面間に圧縮され、その縫合材料をアンカーに固定する。また、差込み工具についても説明されている。その差込み工具は、骨アンカーを骨の中へ入れるために用いることができ、アンカーのベースに関してアンカーのトップを動かし、それらの間に縫合材料をクランプする。そしてまた、柔軟な組織、ならびに骨貫通アンカーおよび関連の差込み工具が示されている。さらに、骨アンカーを用いることにより、多数の長さの組織材料を供給し、骨に対して大面積の柔軟な組織を押し付ける方法が示されている。
【0022】
ホワイトほかの米国特許第7,615,061号は、骨アンカー上に縫合糸を載せるための縫合糸載置システム、方法および装置を示す。そのシステムは、縫合糸の脚固定構造およびアンカー上の複数の本体孔を含む骨アンカーと、立っている端部分および作用する端部分を含む縫合糸と、縫合糸の脚固定構造によって縫合糸の立っている端部分をガイドする、立っている端部分の道と、アンカーの本体孔によって縫合糸の作用する端部分をガイドする、作用する端部分の道とを備える。
【0023】
フォアスターほかの米国特許第7,637,926号は、腱のような柔軟な組織を骨に固定するための、革新的な骨アンカーおよび方法を示す。その技術によれば、皮質骨表面の全く下に横たわる組織の取付けをすることができる。有益なことには、柔軟な組織と骨アンカーとの間の縫合糸を、結び目を作る必要がなく固定する。骨アンカーに縫合糸を取り付けることには、骨アンカー内部のプーリ周りに長さの有る縫合糸を巻くことと、縫合糸と取り付けた柔軟な組織をしっかりと締めること、および、骨アンカーの内部に縫合糸をクランプすることを含む。骨アンカーは、その中に縫合糸をクランプする、複数の縫合糸ロック要素を包含する内腔をもつ管状体である。ロック要素は薄く、Cの形をしている。分離可能な駆動ロッドに取り付けた、1あるいは2以上のロックプラグが、内腔の内部に軸方向に置き換わり、ロック要素に作用し、それらを半径方向に置き換える。最初の位置において一般に均一であった、ロック要素の通路は、ロックプラグがそれらの要素を第2の位置に置き換えた後には、小さな不規則な通路へと変わり、それにより、縫合糸を有効にクランプする。骨アンカーは、さらに、それ自体を骨の空洞内に固定するためのロック構造を備えることができる。
【0024】
リの米国特許第7,658,750号は、縫合糸固定システムおよび方法を示す。その技術は、関連する複数のアンカー部材を備え、それらから伸びる縫合糸と一緒にアンカーアセンブリを形成する。アンカーアセンブリは、差し込み形態であり、その中に複数のアンカー部材が実質的に直線状に配列され、身体組織の開口を通して受渡しするようになっている。そしてまた、アンカーアセンブリは、広がり形態であり、その中において複数のアンカー部材が非直線状の配列に変わり、アンカーアセンブリが開口を通して戻らないようになっている。
【0025】
ストーンほかの米国特許第7,658,751号は、縫合糸構造および縫合糸構造を形成する方法を示す。その構造では、縦の通路を定める増大した中心体部分をもつ縫合糸を利用する。その縫合糸の第1端および第2端は、縦の通路と関連する第1開口および第2開口を通して通り、一対のループを形成する。縫合糸の部分は、縫合糸の内部に互いに平行に置かれている。縫合糸構造に張力を加えると、縦の通路を狭めることになり、それにより、縫合糸の捕獲部分の相対的な動きを防ぐ。
【0026】
アマードの米国特許第7,662,157 B2号は、骨に突き通すように形成されたねじ部分を含む骨アンカーを示す。そのねじ部分には、長さのあるじ部分の少なくとも一部に広がる保持ねじ、およびねじ部分の第1端の歯先を含む。骨アンカーは、ねじ部分の第2端に隣接する突出部を備える。第2端は、ねじ部分の第1端の反対側である。突出部は、複数の外へりを備え、外へりは形、および突出凹みを取り囲む丸い内側面を形作っている。丸い内側面には、突出凹みの中に少なくとも部分的に構成要素を保持するように形成した逃がし部を含む。突出部の最大の幅は、ねじ部分の最大径よりも小さく、それにより、突出部がねじ部分の第2端に合う肩が形成されるようになっている。
【0027】
フォレスターほかの米国特許第7,674,274号は、結合組織を骨に取り付けるための骨アンカー装置を示す。その装置は、結合組織を取り付けるべき骨の部分に挿入するようにしたディスクを備える。そのディスクは、小さな断面をもたらす曲げ配置と、大きな断面をもたらす拡大配置との間を移動可能である。曲げ配置は、ディスクを小さな穴を通して皮質骨層の真下の海綿状の骨の領域に挿入するために利用する。その配置の後で、ディスクは、拡大配置に動かし、それが海綿状の骨に永久に固定されるであろう。というのは、ディスクが大きいため、皮質骨層の穴を通って基部が戻ることができないからである。2つの例が示されており、第1の例では、ディスクは、ばね鋼で初めは拡大配置に形成されている。第2の例では、ディスクは、初めは曲げ配置に形成されており、ばね鋼を必要としない。
【0028】
ウルフほかの米国特許第7,686,838号は、断裂した靭帯あるいは腱、主には膝の前部の十字靭帯の修復のための外科用アンカー装置を示す。その装置は、関節内面から大腿骨の末端部の大腿骨トンネル内部に靭帯を張るために用いる。装置は、縫合糸用のプーリを装備している。それにおいて、縫合糸の自由端は装置を追い越し、靭帯移植皮片に取り付けた縫合糸を大腿骨トンネル内部に引っ張り、骨トンネル内部に靭帯移植皮片を固定する。装置の取付けは、脛骨の穴を通して装置を挿入することにより行う。外側の大腿皮質から大腿トンネルを通して、取り付けた縫合糸を引き、同時に外側の大腿皮質に対して装置を平らに伸ばす。それから、靭帯移植皮片に縫合糸の一方の端を取り付け、縫合糸の他方の端を引き、大腿骨トンネル内に正しく位置するようにする。そして、縫合糸の自由端を結び、移植皮片を大腿骨トンネル内部に保持する。
【0029】
フォレスターの米国特許第7,695,494号は、結合組織を骨に取り付けるための装置を示す。その装置は、縦あるいは長さ方向の軸線をもち、環状のトグル部材およびそのトグル部材の末端に配置した本体部材を備える。トグル部材と本体部材との間には、軸線方向のスペースがある。トグル部材は、未発達の位置と発達した位置との間を移動可能である。未発達の位置において、トグル部材は、軸線を横切る方向の外形が小さく、また、発達した位置において、トグル部材は、軸線を横切る方向の外形が大きい。適した骨における必要な処置を行う場所に設置するとき、縫合糸材料は、トグル部材に固定されることなく、あるいはトグル部材に接触することなく、環状のトグル部材の中心開口を通して軸線方向に伸びる。このアプローチにより、皮質骨表面真下に位置する縫合糸の取付けを行うことができ、さらには、骨アンカーに対する縫合糸の取付けを結び目を作る必要なく行うことができる。そのことは、関節鏡処置の場合、特に困難であり、しかも、技術的に過酷である。
【0030】
ストーンほかの米国特許第7,713,285号は、縫合糸を固定する解剖学上の選択した部分に縫合糸を固定するための縫合糸アンカー装置を示す。その縫合糸アンカー装置は、解剖学上の結合部分と縫合糸結合部分とを備え、それらの両結合部分は、移植の後、解剖学上の部分の外部よりも下に実質的に配置されるように合わせる。縫合糸のアイレットは、縫合糸結合部分に与えられ、縫合糸通路は、それらのアイレットに相互に連絡するよう形成される。それにより、縫合糸結合部分において、縫合糸を第1のアイレットから第2のアイレットへと容易に糸通しできる。
【0031】
バルレットの米国特許出願公開第2002/0004668号は、縫合糸アンカーを示す。そのアンカーは、穴隣接面を伴う、一般に4辺形の本体であり、穴隣接面の一方の端には主グリップエッジ、その穴隣接面の他方の端には従グリップエッジがある本体と、一般に穴隣接面の反対側にあり、主および従のグリップエッジにそれぞれかみ合う、弧状の部分および直線部分をもつ閉鎖面とを備える。本体は、さらに、それを横断するように貫通して伸びる縫合糸穴、および挿入工具を受け入れるようになった挿入具穴を定める。縫合糸は、穴を通して縫合糸アンカーに結合し、骨に身体組織を固定するようになっている。そしてまた、骨の穴に縫合糸アンカーを植え付ける方法だけでなく、結び目のない縫合糸アンカー形態、関連する挿入工具、および縫合糸アンカーキットも示されている。
【0032】
バルレットの米国特許出願公開第2002/0004669号は、縫合糸アンカーを示す。そのアンカーは、穴隣接面を伴う、一般に4辺形の本体であり、穴隣接面の一方の端には主グリップエッジ、その穴隣接面の他方の端には従グリップエッジがある本体と、一般に穴隣接面の反対側にあり、主および従のグリップエッジにそれぞれかみ合う、弧状の部分および直線部分をもつ閉鎖面とを備える。本体は、さらに、それを横断するように貫通して伸びる縫合糸穴、および挿入工具を受け入れるようになった挿入具穴を定める。縫合糸は、穴を通して縫合糸アンカーに結合し、骨に身体組織を固定するようになっている。そしてまた、骨の穴に縫合糸アンカーを植え付ける方法だけでなく、結び目のない縫合糸アンカー形態、関連する挿入工具、および縫合糸アンカーキットも示されている。
【0033】
バルレットの米国特許出願公開第2002/0007196号は、縫合糸アンカーを示す。そのアンカーは、穴隣接面を伴う、一般に4辺形の本体であり、穴隣接面の一方の端には主グリップエッジ、その穴隣接面の他方の端には従グリップエッジがある本体と、一般に穴隣接面の反対側にあり、主および従のグリップエッジにそれぞれかみ合う、弧状の部分および直線部分をもつ閉鎖面とを備える。本体は、さらに、それを横断するように貫通して伸びる縫合糸穴、および挿入工具を受け入れるようになった挿入具穴を定める。縫合糸は、穴を通して縫合糸アンカーに結合し、骨に身体組織を固定するようになっている。そしてまた、骨の穴に縫合糸アンカーを植え付ける方法だけでなく、結び目のない縫合糸アンカー形態、関連する挿入工具、および縫合糸アンカーキットも示されている
【0034】
ホワイトほかの米国特許出願公開第2006/0058844号は、内部組織穿刺閉じ方法および装置を示す。その技術は、穿刺位置にコラーゲンスポンジのような外部からの構成要素を押し付け保持するためのロック装置を与える。そのロック装置は、外部からの構成要素を第1の方向に圧縮するのを助長するが、逆に引くことを防いでロックする。
【0035】
デル リオほかの米国特許出願公開第2006/0106422号は、縫合糸ロック装置を含むアンカーを用いる、医療処置において、縫合糸を結ぶ技術を示す。その装置は、ロック装置に形成した軸方向のサイドスロットでガイドされるスライドピンを備える。ロック装置は縫合糸を押し、その2つの端を縫合糸ロック機構の内部に挿入し、捕獲した縫合糸およびピンを動かし、縫合糸ロック機構の上部の凹所の中にはめ込む。それにより、ピンの上部が縫合糸を凹所の上方内面に拘束するようにする。凹所は、鋸歯状にすることにより、ロック能力を増進することができる。また、ピンは多角形にして、凹所の壁に平行に走る複数の側面を作り、ピンの側面部分が縫合糸を傷つけ弱めないようにしている。縫合糸のロックは、ピンをロック位置に動かす、アンカーの配置に応じて自動的に行われる。それにより、手動で縫合糸に結び目を作る必要がなく、しかもまた、骨に対する縫合糸の固定を良くすることができる。縫合糸ロック機構は、骨に組織を取り付けること、組織を組織およびその類似物に結合することに用いることができる。そしてまた、医療処置において、アンカーと縫合糸ロック装置を組み合わせる配備方法についても示されている。
【0036】
グアンほかの米国特許出願公開第2007/0156151号は、腱を固定するための拡張プラグを示す。その技術は、2部構成のシステムであり、拡張ピンが固定スリーブの内部にはまり合っている。固定スリーブは、直径方向に拡張する形態であり、骨トンネル内部の移植腱に干渉して固定することができる。固定スリーブの拡張は、拡張ピンが2段階にかみ合うことによって遂行される。腱移植片は、拡張ボルトに集まり、骨トンネルの内部に置かれる。通過する縫合糸を利用することにより、拡張ピンの接合ラインの端をトンネル内へと引き、接合ラインの端で固定スリーブをある程度拡張する。拡張ピンの移植端を接合ラインに向かって引くことにより、固定スリーブを拡張し、拡張プラグを完全配備の形態に置く。
【0037】
ヒンドリッチスほかの米国特許出願公開第2007/0282375号は、患者における2つの柔軟な身体組織(たとえば、患者の増帽弁の環に沿うあるいは隣接する2つのポイント)を引っ張って近づけることに用いる移植構造を示す。その移植構造には、少なくとも2つの組織アンカー構造を含み、それらはそれぞれ2つの組織区域の中へ移植可能である。拘束構造が2つの組織アンカーをつなぎ、距離を縮小し、鞍帯構造によってその状態を保持する。アンカーと拘束構造との間には支柱構造が用いられ、たとえ拘束構造に張力が加わったとときでも、拘束構造の軸線を横切るアンカーの縦の軸線を保つように助ける。拘束構造は、クッション機能のあるスリーブで覆われ、その拘束構造によって隣接する組織が浸食させることから保護する。
【0038】
ビショップほかの米国特許出願公開第2008/0082113号は、組織を持ち上げるための、あるいは、組織の伸びにより起こる下垂症状態を正すための、装置および方法の例を示す。ある例では、組織をサポート部材で支持する。また、別のある例では、少なくとも1つの懸垂部材によってサポート部材に張力を加える。記述された例は、いろいろな組織を持ち上げたり、あるいは、別のやり方でそれらに張力を加える方法および装置の例である。適用する組織には、乳房、臀部、もも、腕、腹部、首、および顔がある。
【0039】
ルングほかの米国特許出願公開第2008/0234731号は、組織を骨あるいは他の組織に近づけるための縫合糸アンカーを示す。その縫合糸アンカーは、骨にしっかりとかみ合い、骨に関してアンカーを固定するためのアンカー部材を備える。複数の縫合糸をアンカー部材の基部の端に据え付け、それらの縫合糸がアンカー部材の外に向かって伸びるようにする。それぞれの縫合糸には、鋭くとがった末端の端があり、その端によって組織の内部に入り込む。また、それぞれの縫合糸には、周辺から伸び、縫合糸の本体の長さ方向に沿うようになっている複数のあごがある。それらのあごは、縫合糸が組織を通してとがった端の方向に動くのを許し、そして、組織に対してとがった端の方向とは反他の方向に縫合糸が動くことを妨げる。少なくとも1つの縫合糸の少なくとも1つのとがった末端の端には針がある。
【0040】
セイントほかの米国特許出願公開第2009/0248071号は、患者の身体に組織を支持するのに用いる方法および装置を示す。ある例では、患者の乳房を支持する。また、ある例では、組織を支持し調整するやり方を示し、装置には、組織を支持し調整するための構成要素および例を含む。さらに、ある例では、第1部分、第2部分、およびそれら第1部分と第2部分の間に位置するサポート部材を含むサポート装置を備える。ある例では、サポート装置の第1部分を身体の第1の場所まで進める工程と、サポート装置の第2部分を身体の第2の場所まで進める工程と、サポート装置の第1部分を第1の場所で固定する工程と、身体中の柔軟な組織の位置をサポート部材で移す工程とを備える。
【0041】
ニューエルほかの米国特許出願公開第2009/0287227号は、患者の腹腔上方の皮膚を切開あるいは穿刺し処置するための方法、システム、装置およびアセンブリを示す。切開あるいは穿刺により形成する開口を通して、最初の道を確立する。その路を通して器具を進めて、器具の末端の端を腹腔の内面に接触させる。腹腔の内面を通して少なくとも1つの縫い針を駆動する。その駆動は、少なくとも1つの縫い針が腹腔の内面を出るまで続ける。出口位置にある縫合アンカーにまで、少なくとも1つの縫い針のそれぞれによって縫合糸を運ぶ。各縫合糸に張力を加える。
【0042】
ベネットの米国特許出願公開第2012/0101526号は、組織の修復および傷ついた組織の組織基材へ再取付け、医療用義肢あるいは医療用移植のための、外科用縫合糸システム、縫合糸、および組織結合部材を示す。そのシステムは、その長さに沿って縦方向に離れた複数の突出部をもつ、細長く柔軟な縫合部材と、1あるいは複数の組織結合部材とを備える。組織結合部材のそれぞれは、2つの近くに離れたロック孔をもつ。ロック孔の大きさおよび形は、それを通して縫合部材の1つが入るようになっている。あるいはまた、組織結合部材は、ただ1つの単一ロック孔をもち、長さ方向の張力および/または引っ張りにより、縫合部材がロック孔を通して1方向にのみ動き、縫合部材を引き締める。
【0043】
フォーリンほかの米国特許出願公開第2010/0160963号は、骨に柔軟な組織を取り付けるためのシステムを示し、そのシステムには、アンカー、縫合糸、および組織保持器を含む。アンカーは、骨にかみ合うねじ先と、複数の通路を伴う組織保持部分とをもつ。複数の通路は、縫合糸の第1および第2のアンカー部分のそれぞれが、それらの通路を通して1方向にのみ沿う通路を通して引かれるように配置されている。組織保持器は、縫合糸がどちらの方向にも自由に動く複数の通路をもつ。このように、アンカーおよび組織保持器は、骨および組織にそれぞれ取り付けることができ、そして、縫合糸は、骨および組織を一緒に実質的に逆行できないように引くことができる。別の例では、アンカーが縫合糸の1つの部分のみを受け、そして/または1つの縫合糸の端をアンカーにつなぐ。組織保持器が縫合糸が1方向に沿ってのみ通過することを許しに対し、アンカーは、その代わりに、縫合糸の自由な動きを許す。
【0044】
ベネットの米国特許出願公開第2012/0101524号は、組織の修復および傷ついた組織の組織基材へ再取付け、医療用義肢あるいは医療用移植のための、外科用縫合糸システムを示す。そのシステムは、その長さに沿って縦方向に離れた複数の突出部をもつ、細長く柔軟な縫合部材と、複数の組織結合部材とを備える。組織結合部材のそれぞれは、2つの離れたロック孔をもつ。ロック孔の大きさは、それを通して縫合部材が入るようになっている。それにより、縫合部材がロック孔を通して長さ方向の1方向にのみ動き、縫合部材を引き締める。
【0045】
コヴィディエンの米国特許出願公開第2013/0090686号は、あご付き外科用縫合糸を示す。その縫合糸は、細長い本体と、その本体から伸びる複数のあごとを備える。あごと細長い本体との間に形成したあご針の内部には、生体に作用する薬剤が配置される。あごは、形状記憶ポリマーから作られ、一時的な形状が変形して元の不変の形状に戻る。それにより、縫合糸のあごは、異なる形状で異なるあご針で伸びる。不変の形状をもつあご針は、一時的な形状をもつあご針よりも大きく、それにより、組織に配置した後、生体に作用する薬剤をさらし、および/または放出する。
【0046】
上に述べた先行技術は、外科技術に寄与するが、それらのいずれのものも関節鏡、内視鏡、腹腔鏡あるいは極小の切開を伴う外科術のほかに、全般に用いるのに適した、縫合糸を組織あるいは骨に固定する新しいシステムを提供するものではない。
【0047】
そこで、この発明の目的は、骨の内部にねじを回転して挿入するための回転ドライバーを備える改良工具を提供することである。
【0048】
この発明の他の目的は、その回転ドライバーと一緒に用いるのに適した新しいねじを提供することである。そのねじを用いることにより、縫合糸をねじの横穴に通してねじ込むと同時に、ねじを骨の中へと十分に埋め込むことができる。
【0049】
この発明の他の目的は、捕獲の挿入を促進し、縫合糸の長さ方向に沿って形成した一連の突出部の1つに捕獲をかみ合わせる、回転ドライバーを提供することである。
【0050】
この発明の他の目的は、縫合糸の長さに沿う一連の突出部を形成するための方法を提供することである。
【0051】
上に述べたものは、この発明により関連する目的のいくつかの要点である。それらの目的については、この発明の関連する特徴および適用のいくつかを例証することにより説明する。この発明の考え方の中において、この発明を変更することにより、多くの他の有利な成果を得ることができる。したがって、この発明を十分に理解した下での他の目的については、クレームの記載に加えて、添付の図面と共に、この発明の概要、好ましい実施例を示す発明の詳細な説明を参照することにより理解することができるであろう。
【発明の概要】
【0052】
この発明は、添付の図面に示す特定の実施例と共に、添付のクレームによって定まる。この発明の要点を示すと、この発明の第1の実施形態は、骨の内部にねじを回転して挿入するための改良工具に関する。その工具は、シャフトを支えるハンドルをもつ回転ドライバーを備える。シャフトは、基部端から末端にまで伸びている。シャフトの末端にソケットがあり、ねじの頭を入れ、ねじを骨の内部に回転して挿入するようになっている。ソケットには、第1および第2の細孔があり、第1および第2の切断刃を定めている。それらの切断刃は、回転ドライバーの回転に応じて、骨を切り、同時に、ねじを挿入し、骨の中にねじの頭をさら穴に埋める。そしてまた、ドライバーの鋭い穴を広げる刃にかみ合うことなく、縫合糸をねじからドライバーシャフトに沿って配る。
【0053】
この発明の第2の実施形態は、回転ドライバーによって、生きている組織中に挿入するための改良ファスナーに関する。そのファスナーは、ねじの先端とねじの頭との間に伸びるねじ本体を備える。ねじの頭は、ねじの頭の外側周囲にソケット形状を定め、回転ドライバーによってねじ本体を生きている組織の中へ挿入することができる。横穴が、ねじ本体を貫通してねじの頭の下方に伸びている。ねじの反対側に第1および第2のチャンネルがあり、横穴に連絡している。それにより、回転ドライバーによってねじ本体を生きている組織に挿入する間、縫合糸は第1および第2のチャンネル、ならびに横穴を通して伸びる。第1および第2のチャンネル、ならびに横穴は、それらを通して縫合糸が動くような大きさであり、ねじ本体を生きている組織の中にすっかり埋め込むとき、埋め込みねじを通して縫合糸が左右に動くことができる。
【0054】
この発明の第3の実施形態は、縫合糸で組織を骨に固定するための方法に関する。縫合糸は、その長さ方向に沿って離れた一連の突出部をもつ。方法は、ねじを回転することにより、ねじの横穴を通して伸びる縫合糸と一緒に、ねじを骨の中に動かす工程を備える。縫合糸の第1端は、ドライバーの中心穴を通り抜け、中心穴を通して捕獲にねじ込まれる。捕獲は、縫合糸に沿ってドライバーと一緒に押され、それにより、一連の突出部の1つにロック状にかみ合い、縫合糸の第1端を固定する。縫合糸の第2端は、固定され、骨を組織に固定する。
【0055】
この発明の第4の実施形態は、縫合糸上に突出部を形成するための方法に関する。その方法は、縫合糸を金型キャビティを貫通するように設置する工程を備える。金型キャビティの中に接着剤を挿入する。接着剤は、金型内で固める。縫合糸および付着した突出部を金型から取り除く。なるべくなら、それぞれの金型キャビティが、捕獲の入口開口と協同するための主端の形状と、捕獲の反対の開口と協同するための従端の形状とをもつようにする。他の方法は、溶解物質−かなりの温度が必要、を適用することが必要な工程を含む。その工程は、縫合糸上に物質を配置する工程であり、縫合糸自体を傷める可能性がある。この技術は、周囲温度で配置する接着剤の適用、あるいは縫合糸に悪い影響を及ぼさない他の方法を含む。
【0056】
上に述べたことは、この発明により関連する、重要な特徴についての広範囲なあらましである。これに続く詳しい説明を良く理解することによって、この発明をより完全に認識することができるであろう。この発明のさらなる特徴について、以下に説明する。それらもまた、この発明の対象となるものである。いわゆる当業者は、この発明の考え方およびここに示す特定の実施例に基づいて、この発明の目的と同じ目的を成し遂げるために、一部変更したり、あるいは他の構成を企てることができるであろう。当業者であれば、この発明の考え方の範囲を越えない等価の構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】この発明を組み入れた、回転ドライバーおよびねじを上から見た斜視図である。
図2図1のものを下から見た斜視図である。
図3図1および図2の回転ドライバーおよびねじの上面図である。
図4図3のものの側面図である。
図5図4における5−5線に沿う拡大図である。
図6図4のものの一部の拡大図である。
図7図4における7−7線に沿う拡大断面図である。
図8】回転ドライバーを示す、図3と同様の上面図である。
図9図8における9−9線に沿う拡大図である。
図10図8における10−10線に沿う断面図である。
図11図9における11−11線に沿う断面図である。
図12図1〜7に示すこの発明の改良ファスナーの拡大側面図である。
図13図12のねじの上面図である。
図14】ねじの先端を示す図12のねじの左端面図である。
図15】ねじの頭を示す図12のねじの右端面図である。
図16】組織を骨に固定する第1工程を示し、縫合糸を伴う回転ドライバーを回転することによって、縫合糸を伴う第1のねじを骨に挿入すること、および骨を切りねじの頭が入るようにすることを含む。
図17図16の回転ドライバーの末端の端の拡大図であり、第1のねじの頭が入るように骨を切り、その後、捕獲が骨の表面と同じ高さに座るように捕獲を当てることを示している。
図18図17と同様の図であり、第1のねじを骨に完全に埋め込んだとき、横穴を通して縫合糸が自由に動くことを示している。
図19図18のものの上面図である。
図20】捕獲マガジンの弾力性のループを通して縫合糸の第1端を通し、第1の捕獲の捕獲穴を通して縫合糸の第1端を糸通しする工程を示す。
図21】第1の捕獲の捕獲穴を縫合糸に沿って動かすことを示している。
図22】ドライバーの中心穴を通して縫合糸の第1端を通す工程を示す。
図23】ドライバーで捕獲を縫合糸に沿って押すことにより、一連の突出部の1つに捕獲をかみ合わせ、縫合糸の第1端を固定する工程を示す。
図24図23の1部の拡大図である。
図25】第2のねじおよび縫合糸シャトルを骨の中に挿入し、第2のねじの頭が入るように骨に穴を開けるように切る工程を示す。
図26】縫合糸の第2端を縫合糸シャトルのループの中に挿入する工程を示す。
図27図26のものの拡大図であり、第2のねじを骨に完全に埋め込んだとき、横穴を通して縫合糸シャトルが自由に動くことを示している。
図28】縫合糸の第2端を第2のねじの横穴を通して糸通しする工程を示す。
図29】第2のねじの横穴を通して糸通しした縫合糸の第2端を示す。
図30図29の1部の拡大図である。
図31】捕獲マガジンの弾力性のループを通して縫合糸の第2端を通し、第2の捕獲の捕獲穴を通して縫合糸の第2端を糸通しする工程を示す。
図32】ドライバーの中心穴を通して縫合糸の第2端を通す工程を示す。
図33】ドライバーで第2の捕獲を縫合糸に沿って押すことにより、一連の突出部の1つに第2の捕獲をかみ合わせ、縫合糸の第2端を固定する工程を示す。
図34】一連の突出部の1つにロック状にかみ合った第2の捕獲を示す。
図35図34の1部の拡大図であり、骨の表面と同じ高さの捕獲を示す。
図36】縫合糸の第1の例を示す図であり、捕獲の捕獲穴にかみ合った一連の突出部がある。
図37】縫合糸に突出部を形成する方法における第1工程を示す斜視図であり、縫合糸を金型キャビティを貫通して伸びるように設置することを示している。
図38】縫合糸に突出部を形成する方法における第2工程を示す斜視図であり、金型キャビティに接着剤を入れることを示している。
図39】縫合糸に突出部を形成する方法における第3工程を示す斜視図であり、接着した突出部を伴う縫合糸を金型から取り除くことを示している。
図40】縫合糸の第2の例を示す図であり、捕獲の捕獲穴にかみ合った一連の突出部がある。
図41】縫合糸に突出部を形成する方法における第1工程を示す斜視図であり、一連の金型キャビティをもつ金型内に縫合糸を設置することを示し、それぞれの金型キャビティは主端と従端とをもち、特定の捕獲のためのものである。
図42】金型キャビティに接着剤を入れる工程を示す斜視図である。
図43】接着した突出部を伴う縫合糸を金型から取り除くことを示す斜視図である。
図44】縫合糸上に形成した突出部の第3の例を示す断面図である。
図45】縫合糸上に形成した突出部の第4の例を示す断面図である。
図46】縫合糸上に形成した突出部の第5の例を示す断面図である。
図47】縫合糸上に形成した突出部の第6の例を示す断面図である。
図48】縫合糸上に形成した突出部の第7の例を示す断面図である。
図49】縫合糸上に形成した突出部の第8の例を示す断面図である。
図50】縫合糸上に形成した突出部の第9の例を示す断面図である。
図51】縫合糸上に形成した突出部の第10の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1〜7は、図21〜35に示す、生きている組織20に縫合糸10を固定するための装置5の多数の図である。この例において、縫合糸10は、フレキシブルな構成要素13と一連の突出部(あるいは、こぶ)14とをもつ。一連の突出部14は、一定の間隔をおいて並び、フレキシブルな構成要素13の長さに沿っている。フレキシブルな構成要素13は、モノフィラメントでも良いし、あるいは、組み製(ブレード)のフレキシブルな構成要素13でも良い。突出部14は、フレキシブルな構成要素13の長さに沿って形成あるいは型で成形することができるし、あるいは、フレキシブルな構成要素13の長さに沿って作った結び目でも良い。
【0059】
装置5は、シャフト60を支持するハンドル40をもつ回転ドライバー35として示す改良工具を備える。ハンドル40は、そのハンドル40の反対側に位置する第1および第2の保持器41および42を含む。第1および第2のジャム留め具43および44が、その第1および第2の保持器41および42と協力し合って、少なくとも1つの縫合糸10を一時的に保持する。この実施例においては、第1の保持器41および第1のジャム留め具43が縫合糸10の第1端11を保持し、それに対し、第2の保持器42および第2のジャム留め具44が縫合糸10の第2端12を一時的に保持する。第1および第2の縫合糸保持器41および42に、第1および第2の通り抜け道46および47が定められ、ハンドル10の反対側の間に縫合糸を横切るようにすることができる。以下により詳しく説明するように、縫合糸10は、ねじ100を通して伸びており、縫合糸がねじ100を通して伸びている間に、回転ドライバー35によってねじ100を回転させて組織20に挿入することができる。
【0060】
図4に最もよく示すように、ハンドル40とシャフト60の接合部の近くのハンドル40上に、捕獲マガジン50がある。この実施例では、捕獲マガジン50は、弾力性のワイヤーループ55に糸通しした捕獲51〜54を貯蔵している。弾力性のワイヤーループ55は、各捕獲51〜54内の捕獲穴を通して伸びている。ここおよび後で詳しく述べるように、弾力性のワイヤーループ55は、捕獲51の捕獲穴を通しての縫合糸10の糸通しを容易にする。
【0061】
シャフト60は、ハンドル40に隣接する基部端61から末端62まで伸びる。ソケット64は、シャフト60の末端62に定められ、ねじ100を迎えるようになっている。好ましくは、ねじ100は、ソケット64とねじ100との間の摩擦はめ合いによってソケット64内に保持される。以下に説明するように、シャフト60のソケット64は、捕獲51とかみ合い、回転ドライバー35で捕獲を押すことができるように形作られている。
【0062】
第1および第2の細孔71および72が、シャフト60の末端62のソケット64内に位置する。縫合糸20は、ねじ100から伸び、それら第1および第2の細孔71および72を通って、第1および第2の縫合糸保持器41および42にまで伸び、縫合糸10を一時的にソケット64で保持するようになっている。
【0063】
図8〜11は、図1〜7の回転ドライバー35を示すさらなる図である。この発明のこの実施例において、ソケットは6角形のソケットとしてねじ100にかみ合うように示している。第1および第2の細孔71および72は、6角形のソケット64の反対側に位置する。第1および第2の細孔71および72のエッジは鋭利になり、第1および第2の切断刃81および82を形成する。それら第1および第2の切断刃81および82は、回転ドライバー35の回転に応じて、ねじ100を同時に挿入する間、骨組織を切って進むことができる。
【0064】
図10および図11が最もよく示すように、シャフト60の末端62に、中心穴90がある。中心穴90は、ソケット端91からシャフト端92にまで伸びる。シャフト端92は、シャフト60の外側面に位置し、その間にトンネル93を定める。トンネル93は、シャフト60の末端62の中心に縫合糸10を置く。トンネル93によって、縫合糸10は捕獲51およびトンネル93を通り抜けることができ、回転ドライバー35によって捕獲51を縫合糸10に沿って押すことができる。
【0065】
図12〜15は、この発明のねじ100を示す拡大図である。ねじ100は、海綿質ねじ104として示すらせんねじ山をもつねじ本体102を備える。ねじ本体102は、ねじ先106とねじ頭11との間に伸びる。ねじ頭110は、その外周がソケット形状であり、回転ドライバー35のソケット64を回転してねじ100を生きている組織20に挿入できる。この例において、ねじ頭110は、正多角形、特には正6角形の断面をもつものとして示す。
【0066】
横穴115が、ねじ100のねじ本体102を貫通して伸びる。横穴115は、ねじ先106からねじ頭110に向かって伸びる回転軸線(図示しない)に垂直である。第1および第2のチャンネル121および122が、ねじ頭110の外側周面に凹所となっている。それにより、縫合糸なしにねじを挿入することができ、そして、縫合糸シャトルを用いることにより、植え込んだ後に、埋め込みねじを通して縫合糸を糸通しすることができる。この例において、第1および第2のチャンネル121および122は、正6角形の反対側に凹所となっている。それら第1および第2のチャンネル121および122は、横穴115に連絡し、縫合糸10用ねじ通路125を形成している。ねじ通路125の第1および第2のチャンネル121および122、ならびに横穴115は、ねじ頭110を含むねじ本体102を全体的に生きている組織20に埋め込んだとしても、縫合糸10を容易に動かすことができ、しかも/またはねじ通路125を通して糸通しできるような大きさである。
【0067】
当業者であれば、ねじ100をいろいろな形態および形状にしても、この発明の利益を得ることが理解できるであろう。たとえば、ねじ頭110だけでなく、ねじ本体102、ねじ山104、ねじ先106の長さ、大きさおよび形は、必要な医療処置に応じて変わる。さらに、第1および第2のチャンネル121および122、ならびに横穴115を備えるねじ通路125は、いくつかの形および大きさにすることができ、それにより、縫合糸10を容易に動かし、しかも/またはねじ通路125を通して糸通しすることができる。
【0068】
ねじ通路125の特定の大きさの例を、図13および図15に示す。しかし、この発明が限定されるわけではない。距離Dは、図15に示すねじ頭110の正6角形の反対側の面間の長さである。第1および第2のチャンネル121および122のそれぞれは、凹所深さD/3として、ねじ頭110の正6角形の反対側の面間の長さDの1/3より大きな凹所をもつ。そしてまた、第1および第2のチャンネル121および122のそれぞれは、ねじ頭110の正6角形の反対側の面間の長さDよりも大きな長さをもつ。
【0069】
図1〜7に戻ると、シャフト60の末端62にある第1および第2の細孔71および72は、ねじ頭110の第1および第2のチャンネル121および122に整列している。縫合糸10は、横穴115、ならびに第1および第2のチャンネル121および122を備えるねじ通路125を通して伸び、シャフト60の第1および第2の細孔71および72内に入る。縫合糸10がねじ100の第1および第2のチャンネル121および122を通して伸びるとき、ソケット64がねじ頭110の外側周面にかみ合う。さらにまた、ねじ100の第1および第2のチャンネル121および122によって、縫合糸10は、シャフト60の第1および第2の細孔71および72から伸び、ねじ100の第1および第2のチャンネル121および122ならびに横穴115を通る。と同時に、第1および第2の切断刃81および82が骨21を切断し、骨21の内部にねじ100の頭110を沈めるさら穴を開ける。
【0070】
図16は、柔軟な組織22を骨21に固定する第1工程を示し、縫合糸10を伴う回転ドライバー35を回転することによって、付属した縫合糸10を伴う第1のねじ100Aを骨21に挿入すること、および骨21を切ってさら穴を作り、ねじ100Aの頭110が入るようにすることを含む。
【0071】
図17は、図16の回転ドライバー35の末端の拡大図であり、第1のねじ100Aの頭110が入るように骨21を切ってさら穴を作ることを示す。
【0072】
図18は、図17と同様の図であり、第1のねじ100Aを骨21に完全に埋め込んだとき、横穴15を通して縫合糸10が自由に動くことを示している。
【0073】
図19は、図18のものの上面図であり、横穴15を通して縫合糸10が自由に動くことをさらに示している。
【0074】
図20は、捕獲マガジン50の弾力性のループ55を通して縫合糸10の第1端11を通し、第1の捕獲51の捕獲穴51Xを通して縫合糸10の第1端11を糸通しする工程を示す。第1の捕獲51の捕獲穴51Xを通して縫合糸10のループを糸通しするため、第1の捕獲51を弾力性のループ55から取り外すとき、縫合糸10は、おおよそ180°曲がる。
【0075】
図21は、第1の捕獲51の捕獲穴51Xを縫合糸10に沿って動かすことを示している。
【0076】
図22は、回転ドライバー35の中心穴90を通して縫合糸10の第1端11を通す工程を示す。
【0077】
図23は、回転ドライバー35で捕獲51を縫合糸10に沿って押すことにより、一連の突出部14の1つに捕獲51をロック状にかみ合わせ、縫合糸10の第1端11を固定する工程を示す。
【0078】
図24は、図23の1部の拡大図であり、縫合糸10の一連の突出部14の1つに捕獲51をロック状にかみ合わせることをさらに示している。
【0079】
図25は、第2のねじ100Bおよび縫合糸シャトル30を骨21の中に挿入し、第2のねじ100Bの頭110が入るように骨21にさら穴を開けるように切る工程を示す。
【0080】
縫合糸シャトル30は、第1端31と第2端32との間に伸び、第1端31の位置にループ33がある。好ましくは、縫合糸シャトル30は、第2のねじ100Bの横穴115を通して糸通ししてから、第2のねじ100Bを回転ドライバー35のソケット64の中に挿入する。
【0081】
図26は、縫合糸10の第2端12を縫合糸シャトル30のループ33の中に挿入する工程を示す。
【0082】
図27は、図26のものの拡大図であり、第2のねじ100Bを骨21に完全に埋め込んだとき、横穴115を通して縫合糸シャトル30が自由に動くことを示している。
【0083】
図28は、縫合糸10の第2端12を第2のねじ100Bの横穴115を通して糸通しする工程を示す。縫合糸シャトル30が第2のねじ100Bの横穴115を通して引かれるとき、ループ33は縫合糸10をおおよそ180°曲げ、第2のねじ100Bの横穴115を通して糸通しする、2つ縒りの縫合糸ループを形成する。第2のチャンネル121および122、ならびに横穴115の大きさは、第2のねじ100Bを骨21の中にすっかり埋め込んだとしても、縫合糸10の2つ縒りの縫合糸ループが第2のねじ100Bを通して容易に糸通しできるようにする。
【0084】
図29および図30は、第2のねじ100Bの横穴115を通して糸通しした縫合糸10の第2端12を示す。縫合糸10を固定し柔軟な組織22を骨21にかみ合うようにするため、第2のねじ100Bを骨21の中にすっかり埋め込んだとしても、縫合糸10は、第2のねじ100Bを通して自由に動く。
【0085】
図31は、捕獲マガジン50の弾力性のループ55を通して縫合糸10の第2端12を通し、第2の捕獲52の捕獲穴52Xを通して縫合糸10の第2端12を糸通しする工程を示す。
【0086】
図32は、第2の捕獲52の捕獲穴52Xを縫合糸10を通して移動した後、回転ドライバー35の中心穴90を通して縫合糸10の第2端12を通す工程を示す。
【0087】
図33は、回転ドライバー35で第2の捕獲52を縫合糸10に沿って押すことにより、一連の突出部14の1つに第2の捕獲52をかみ合わせ、縫合糸10の第2端12を固定する工程を示す。
【0088】
図34および図35は、縫合糸10の一連の突出部14の1つにロック状にかみ合った第2の捕獲52を示す。縫合糸10を固定し柔軟な組織22を骨21にかみ合うようにするため、第2のねじ100Bを骨21の中にすっかり埋め込んだとしても、縫合糸10は、第2のねじ100Bを通して自由に動く状態であった。
【0089】
図36は、縫合糸10Aの第1の例であり、捕獲56の捕獲穴56Xにかみ合った一連の突出部14Aをもつものを示す。この捕獲の働きおよび利益については、国際出願PCT/US2013/063277に見出すことができる。そのPCT国際出願を参照によって、ここに組み入れる。
【0090】
図37は、縫合糸10Aに突出部14Aを形成する方法における第1工程を示す斜視図である。金型130Aは、第1金型131Aと第2金型132Aとを備え、第1の金型キャビティ133Aおよび第2の金型キャビティ134Aを定めている。供給管135Aが金型キャビティに連絡し、その金型キャビティに接着剤137Aを入れることができる。フレキシブルな縫合糸構成要素13Aは、金型キャビティ130Aを貫通して伸びるように金型キャビティ133Aおよび134A内に設置する。
【0091】
図38は、縫合糸10Aに突出部14Aを形成する方法における第2工程を示す斜視図であり、供給管135Aを通して金型キャビティ133Aおよび134Aの中に接着剤を入れることを示している。
【0092】
図39は、縫合糸10Aに突出部14Aを形成する方法における第3工程を示す斜視図であり、接着した突出部14Aを伴う縫合糸10を金型130Aから取り除くことを示している。突出部14Aは、全体が接着剤137Aで作られている。
【0093】
図40は、縫合糸10Bの第2の例を示す図であり、捕獲57の捕獲穴57Xにかみ合った一連の突出部14Bがある。この例において、それぞれの突出部14Bは、主端141Bおよび従端142Bをもつ。図36〜39に示す突出部14Aとは違って、主端141Bが従端142Bと対称でない。非対称な突出部14Bは、捕獲57の捕獲穴57Xで特定の捕獲を行うための特別な設計である。
【0094】
図41は、縫合糸10Bに突出部14Bを形成する方法における第1工程を示す斜視図であり、金型130Bは、第1および第2の金型131Bおよび132Bを備え、第1および第2の金型キャビティ133Bおよび134Bを定めている。
【0095】
第1および第2の金型キャビティ133Bおよび134Bは、主金型部分151Bおよび従金型部分152Bを定める。それら主金型部分151Bおよび従金型部分152Bは、突出部14Bの主端141Bおよび従端142Bに対応する。供給管135Bが金型キャビティ130Bに連絡し、その金型キャビティ130Bに接着剤137Bを入れることができる。フレキシブルな縫合糸構成要素13Bは、金型キャビティ130Bを貫通して伸びるように金型キャビティ133Bおよび134B内に設置する。
【0096】
図42は、縫合糸10Bに突出部14Bを形成する方法における第2工程を示す斜視図であり、供給管135Bを通して金型キャビティ133Bおよび134Bの中に接着剤137Bを入れることを示している。
【0097】
図43は、縫合糸10Bに突出部14Bを形成する方法における第3工程を示す斜視図であり、接着した突出部14Bを伴う縫合糸10Bを金型130Bから取り除くことを示している。突出部14Bは、全体が接着剤137Bで作られている。
【0098】
図44図51は、縫合糸10C〜10J上に形成した突出部14C〜14Jの例を示す断面図である。同様の部分には、同様の参照数字を付け、アルファベット文字を付加している。縫合糸10C〜10Jのそれぞれが、フレキシブルな縫合糸構成要素13C〜13Jを備える。その縫合糸構成要素は、曲がり、形作りあるいは拘束されて、接着剤137からのみ作られた突出部14C〜14Jを固定する。フレキシブルな縫合糸構成要素13C〜13Jの曲がった形状あるいは結び目が、機械的な強度を与え、突出部14C〜14Jの滑りを防ぐ。
【0099】
図36図43は、縫合糸10を提供するために、フレキシブルな縫合糸構成要素13に突出部14を形成するための特定の成形プロセスを示す。レキシブルな縫合糸構成要素13に突出部14を形成するために、異なる他のプロセスおよび/または技術を利用することができる。たとえば、いろいろなタイプの成形技術を用いることができるし、互いに異なる接着剤を用いることができる。たとえば、3−D印刷のようなものだけでなく、ワッフル風およびクラムシェル金型(メタルPTFEあるいはポリテトラフルオロエチレン製)を用いることができる。
【0100】
この発明の内容は、以上の説明だけでなく、添付のクレームの内容も含む。ある程度詳しく、好適な実施形態を通してこの発明を説明した。しかし、それらの説明は例を示しただけであり、それに限定されるわけではない。部品や部分の構造、組合せや配列の細部について、多くの変化をすることができる。それらの変化はこの発明の考え方を示すクレームの内容を越えることはない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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