【実施例】
【0036】
(実施例1)
図6は、実施例1に係る発光装置10の平面図である。
図7は、
図6から封止膜210、隔壁170、第2電極150、有機層140、及び絶縁層120を取り除いた図である。
図8は
図6のB−B断面図であり、
図9は
図6のC−C断面図であり、
図10は
図6のD−D断面図である。
図11は
図6のE−E断面図である。なお、
図6のF−F断面図も、
図11と同様である。
図12は、
図6のG−G断面図である。本図に示す発光装置10は、例えばディスプレイとして用いられる。
【0037】
発光装置10は、基板100、第1電極110、有機EL素子102、絶縁層120、複数の開口122、複数の開口124、複数の引出配線130、有機層140、第2電極150、複数の引出配線160、及び複数の隔壁170を有している。引出配線130,160は、実施形態における配線300に対応している。
【0038】
第1電極110は、基板100の第1面側に形成され、第1方向(
図6におけるY方向)にライン状に延在している。第1電極110は透光性の材料によって形成されている。第1電極110は、光が透過する程度に薄い金属薄膜であっても良い。そして第1電極110の端部は、引出配線130に接続している。
【0039】
引出配線130は、第1電極110を端子に接続する配線である。本図に示す例では、引出配線130の一端側は第1電極110に接続しており、引出配線130の他端側は端子となっている。引出配線130は、実施形態における配線300の一例であり、実施形態に示した配線300と同様の構成を有している。引出配線130の各層の構成は、実施形態と同様である。
【0040】
絶縁層120は、
図6、及び
図8〜
図10に示すように、複数の第1電極110上及びその間の領域に形成されている。絶縁層120には、複数の開口122及び複数の開口124が形成されている。複数の第2電極150は、詳細を後述するように、第1電極110と交差する方向(例えば直交する方向:
図6におけるX方向)に互いに平行に延在している。そして、複数の第2電極150の間には、詳細を後述する隔壁170が延在している。開口122は、平面視で第1電極110と第2電極150の交点に位置している。複数の開口122は、所定の間隔を空けて設けられている。そして、複数の開口122は、第1電極110が延在する方向(
図6におけるY方向)に並んでいる。また、複数の開口122は、第2電極150の延在方向(
図6におけるX方向)にも並んでいる。このため、複数の開口122はマトリクスを構成するように配置されていることになる。
【0041】
開口124は、平面視で複数の第2電極150のそれぞれの一端側に位置している。また開口124は、開口122が構成するマトリクスの一辺に沿って配置されている。そしてこの一辺に沿う方向(例えば
図6におけるY方向、すなわち第1電極110に沿う方向)で見た場合、開口124は、所定の間隔で配置されている。開口124からは、引出配線160の一部分が露出している。そして、引出配線160は、開口124を介して第2電極150に接続している。言い換えると、複数の引出配線160は、互いに異なる有機EL素子102に接続している。
【0042】
引出配線160は、第2電極150を端子に接続する配線である。引出配線160の一端側は開口124の下に位置しており、引出配線160の他端側は、絶縁層120の外部に引き出されている。そして本図に示す例では、引出配線160の他端側が端子となっている。引出配線160は、実施形態における配線300の一例である。
【0043】
また、引出配線160の一部は絶縁層120によって覆われている。そして、
図6及び
図12に示すように、第2電極150(導電層)は、絶縁層120のうち引出配線160が位置している領域の上にも形成されている。このため第2電極150は、その第2電極150とは異なる第2電極150に接続する引出配線160(すなわちその第2電極150から電気的に独立している引出配線160)と、絶縁層120を介して対向している。従って、引出配線160の第2層326の端部が折れて絶縁層120を突き破った場合、その引出配線160は、他の第2電極150と短絡する可能性が出てくる。本実施例では、
図11に示すように、引出配線160において、第2層326の幅は第1層324よりも狭くなっているため、第2層326の端部が折れる可能性は低い。従って、このような短絡が生じることを抑制できる。
【0044】
なお、第2電極150(導電層)は、絶縁層120のうち引出配線160が位置している領域の上にも形成されている。第2電極150(導電層)にアルミニウムなどの無機材料の導電材料を利用した場合、第2電極150は水分や酸素等の保護膜としても機能する。このため、引出配線160は第2電極150によって水分や酸素等から保護されることになる。従って、引出配線160に水分や酸素が到達して引出配線160が変質することを抑制できる。
【0045】
開口122と重なる領域には、有機層140が形成されている。有機層140の正孔輸送層は第1電極110に接しており、有機層140の電子輸送層は第2電極150に接している。このようにして、有機層140は第1電極110と第2電極150の間で挟持されている。
【0046】
なお、
図8及び
図9に示す例では、有機層140を構成する各層は、いずれも開口122の外側まではみ出している場合を示している。そして
図6に示すように、有機層140を構成する各層は、隔壁170が延在する方向において、隣り合う開口122の間にも連続して形成されていてもよいし、連続して形成していなくてもよい。ただし、
図10に示すように、有機層140は、開口124には形成されていない。
【0047】
上記したように、有機層140は、第1電極110及び第2電極150に挟持されている。第2電極150は、
図6、
図8〜
図10に示すように、有機層140より上に形成され、第1方向と交わる第2方向(
図6におけるX方向)に延在している。第2電極150は、有機層140に電気的に接続している。例えば第2電極150は、有機層140上に形成されていても良いし、有機層140の上に形成された導電層の上に形成されていても良い。発光装置10は、互いに平行な複数の第2電極150を有している。一つの第2電極150は、複数の開口122上を通過する方向に形成されている。
【0048】
隣り合う第2電極150の間には、隔壁170が形成されている。隔壁170は、第2電極150と平行すなわち第2方向に延在している。隔壁170の下地は、例えば絶縁層120である。隔壁170は、例えばポリイミド系樹脂などの感光性の樹脂であり、露光及び現像されることによって、所望のパターンに形成されている。隔壁170は、例えばネガ型の感光性樹脂を用いて形成される。なお、隔壁170はポリイミド系樹脂以外の樹脂、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂、二酸化珪素等の無機材料で構成されていても良い。
【0049】
隔壁170は、断面が台形の上下を逆にした形状(逆台形)になっている。すなわち隔壁170の上面の幅は、隔壁170の下面の幅よりも大きい。このため、隔壁170を第2電極150より前に形成しておくと、蒸着法やスパッタリング法を用いて、第2電極150を基板100の一面側に形成することで、複数の第2電極150を一括で形成することができる。
【0050】
また、隔壁170は、有機層140を分断する機能も有している。
【0051】
また、発光装置10は封止部材200を備えている。封止部材200は、複数の有機EL素子102を封止しており、基板100と同様の多角形の金属箔又は金属板(例えばAl箔又はAl板)の縁部の全周を押し下げた形状を有している。そして、縁部は接着材202(又は粘着剤)で基板100に固定されている。ただし、封止部材200はガラスで形成されていてもよい。この場合、封止部材200は基板100とに接着剤を用いて固定されても良い。
【0052】
次に、本実施例における発光装置10の製造方法を説明する。まず、基板100上に第1電極110、引出配線130,160の透明導電層310を形成する。これらの形成方法は、実施形態と同様である。
【0053】
次いで、透明導電層310上に導電層320を形成する。導電層320の形成方法は、実施形態と同様である。次いで、絶縁層120を形成する。絶縁層120の形成方法は、実施形態と同様である。この工程において、複数の開口122及び複数の開口124が形成される。
【0054】
次いで、絶縁層120上に隔壁170を形成し、さらに有機層140及び第2電極150を形成する。これらの形成方法は、実施形態と同様である。
【0055】
本実施例によっても、第2層326の端部が折れて絶縁層120を突き破ることを抑制できる。従って、第2電極150を、絶縁層120のうち引出配線160が位置している領域の上にも形成しても、その第2電極150が、他の第2電極150に接続している引出配線160と短絡することを抑制できる。
【0056】
(実施例2)
図13は、実施例2に係る発光装置10の構成を示す平面図である。
図14は、
図13のE−E断面図である。
図13は、実施例1の
図6に対応しており、
図14は実施例1の
図11に対応している。本実施例に係る発光装置10は、封止部材200の代わりに封止膜210(被覆膜)を備えている点を除いて、実施例1に係る発光装置10と同様の構成である。
【0057】
封止膜210は例えば酸化アルミニウム膜であり、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて形成されている。封止膜210の膜厚は、例えば10nm以上200nm以下である。封止膜210は、絶縁層120、有機EL素子102、引出配線160、及び引出配線130を被覆している。なお、封止膜210は、ALD法以外の成膜法、例えばCVD法を用いて形成されても良い。封止膜210は、段差被覆性が高い。このため、封止膜210は、基板100の上及び配線300の端面も連続して被覆している。
【0058】
なお、封止膜210は、発光装置10の端子(すなわち引出配線130,160の端部)を覆っていない。そしてこの端子には、導電部材の一端、例えばボンディングワイヤ400の一端が接続している。導電部材の他端、例えばボンディングワイヤ400の他端は、回路基板に接続している。この回路基板には、発光装置10の制御回路が形成されている。
【0059】
ここで、引出配線130、160の断面形状は、絶縁膜120で覆われた箇所と端子部分とで互いに同じ断面構造となっている。そして、端子の第2層326をMo又はMo合金、第1層324をAl又はAl合金で形成している場合、ボンディングワイヤ400は、第2層326を突き破り、第1層324と接合している。そして、第1層324は、第2層326よりもボンディングワイヤ400との接触抵抗が低い。特に、ボンディングワイヤ400の芯部に銅を利用した場合には、銅と第1層324のAlとの合金が形成され、電気的にも、物理的にも良好な接続構造を構築できる。また、ACF(異方性導電膜)を利用する場合でも、導電粒子は、第2層326を突き破るため、第1層324との物理的に接触することができるため、これまでの低抵抗な接続構造になる。
【0060】
本実施例によっても、第2層326の端部が折れて絶縁層120を突き破ることを抑制できる。また、第2電極150を、絶縁層120のうち引出配線160が位置している領域の上にも形成しても、その第2電極150が、他の第2電極150に接続している引出配線160と短絡することを抑制できる。
【0061】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。