特許第6441325号(P6441325)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441325
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】運転支援装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/04 20060101AFI20181210BHJP
   G02C 7/10 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B60J3/04
   G02C7/10
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-517545(P2016-517545)
(86)(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公表番号】特表2016-534918(P2016-534918A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】EP2014070688
(87)【国際公開番号】WO2015044384
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年9月14日
(31)【優先権主張番号】1359280
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】アフィド、エル、イドリッシ
(72)【発明者】
【氏名】コスタダン、ビーブ
(72)【発明者】
【氏名】ダビッド、ユエ
(72)【発明者】
【氏名】スティード、グラシアン
(72)【発明者】
【氏名】マルク、ロックランジェー
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−148675(JP,A)
【文献】 特開2010−143463(JP,A)
【文献】 実開平04−103114(JP,U)
【文献】 特表平06−504146(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3154852(JP,U)
【文献】 特開昭60−146721(JP,A)
【文献】 特開2007−125984(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0126099(US,A1)
【文献】 米国特許第7970172(US,B1)
【文献】 米国特許第4286308(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/04
G02C 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(11)の運転を支援するための装置であって、前記車両(11)の前方の道路シーンと前記車両のドライバーとの間に配置されるようになっている可変透過率スクリーンを備え、前記装置は、前記車両(11)が置かれている環境を表わすデータをもたらすのに適したいくつかのセンサを備え、前記装置は、前記可変透過率スクリーンの透過係数を与えるように構成される、装置において、前記装置は、前記センサによりもたらされるデータを考慮に入れて、前記データを組み合わせることにより透過係数を計算するように構成され
前記センサのうちの第1のセンサは、前記車両(11)の軸線で輝度を測定するように構成されるセンサであり、前記センサのうちの第2のセンサは、別の方向で輝度を測定するように構成されるセンサであり、前記装置は、ドライバーの頭部の方向を考慮に入れて、前記第1及び第2のセンサにより記録されるデータに応じて並びに前記頭部の方向に応じて前記計算を行なうように構成され、
前記可変透過率スクリーンがメガネ(10)を備え、前記第2のセンサが前記メガネ(10)上に位置されることを特徴とする支援装置。
【請求項2】
前記センサは、以下のタイプのデータ、すなわち、
−大気状態
−道路環境
−ドライバーの環境
のうちの1つ以上から環境を表わすデータをもたらすのに適していることを特徴とする請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記装置は、前記車両(11)及び/又はドライバーが置かれている状況をもたらされたデータの全部又は一部から決定するのに適していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の支援装置。
【請求項4】
前記装置は、以下のデータ、すなわち、
−大気状態
−道路環境
−ドライバーの環境
からもたらされるデータから前記状況を決定するのに適していることを特徴とする請求項3に記載の支援装置。
【請求項5】
前記装置は、前記車両(11)の前記状況に応じて前記もたらされたデータの全部又は一部に対して重みを割り当てるとともに、透過係数の計算の際に前記データをそれらの対応する重みによって重み付けるように構成されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の支援装置。
【請求項6】
パルス照明を備え、前記装置は、透過係数と同期する第1のモードで、及び、前記係数とは無関係に第2のモードで、前記パルス照明を駆動させるように構成されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の支援装置。
【請求項7】
自動車両(11)の運転を支援するための方法であって、前記車両(11)には、前記車両(11)の前方の道路シーンと前記車両のドライバーとの間に配置されるようになっている可変透過率スクリーンが備えられ、前記方法は、前記車両(11)が置かれている環境を表わすデータをもたらすステップ(27)と、前記可変透過率スクリーンの透過係数を与えるステップ(28)とを備える、方法において、前記方法は、前記もたらすステップでもたらされるデータを考慮に入れるステップ(29)と、前記データの組み合わせにより透過係数を計算するステップ(30)と、を備え、
前記方法は、第1のセンサにより前記車両(11)の軸線で及び第2のセンサにより別の方向で輝度データをもたらすステップと、ドライバーの頭部の方向を検出するステップとを備え、前記方法において、前記計算するステップは、前記頭部の前記方向に応じて前記輝度データを考慮に入れることによって行なわれるものであり、
前記可変透過率スクリーンがメガネ(10)を備え、前記第2のセンサが前記メガネ(10)上に位置されることを特徴とする支援方法。
【請求項8】
前記環境を表わすデータは、以下のタイプのデータ、すなわち、
−大気状態
−道路環境
−ドライバーの環境
のうちの1つ以上から選択されることを特徴とする請求項に記載の支援方法。
【請求項9】
前記方法は、前記もたらされたデータから前記車両(11)が置かれている状況を決定するステップを備える請求項又は請求項に記載の支援方法。
【請求項10】
前記状況を決定する前記ステップは、以下のデータ、すなわち、
−大気状態
−道路環境
−ドライバーの環境
からもたらされるデータに基づいて行なわれることを特徴とする請求項に記載の支援方法。
【請求項11】
前記方法は、前記車両(11)の前記状況に応じて前記もたらされたデータの全部又は一部に対して重みを割り当てるステップを備え、前記方法は、透過係数の計算のために前記データをそれらの対応する重みによって重み付けるステップを備えることを特徴とする請求項又は請求項10に記載の支援方法。
【請求項12】
前記方法は、透過係数を与えるのと同期して前記車両(11)のパルス照明を駆動させる第1のステップと、後者の透過係数の付与とは無関係に前記照明を駆動させる第2のステップとを備えることを特徴とする請求項7から11のいずれか一項に記載の支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両の運転を支援する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に外側の輝度又は外側の輝度の変化がドライバーの運転に支障を来す場合があるときに自動車両の運転の支援を行なうようになっている方法及び装置に関する。
【0003】
車両が動いている間、車両のドライバーは、事故を引き起こす虞がある任意の危険について警告されるように車両の外側を永続的に見続けなければならない。このとき、ドライバーの視力は、太陽に起因する眩しさからであろうと、対向車両又は後続車両のライトに起因する眩しさからであろうと、或いは更には、トンネルに入る或いはトンネルから出るときのような輝度の急激な変化によるものであろうと、外側の輝度によって定期的に乱される。
【0004】
ドライバーの快適さ及び安全性を向上させるために、いくつかの解決策が提案されてきた。それらの解決策のうちの1つは、例えばドライバーにより着用されるメガネの形態を成す可変透過率スクリーンを使用することにあり、この可変透過率スクリーンの透明度は、前記スクリーンに適用される透過係数に応じて変化する。この係数の計算は、例えば、車両に位置される単一のセンサによる輝度の測定によって行なわれる。したがって、透過係数は、可変透過率スクリーンの透明度を設定するべく前記センサにより検出される周囲環境の輝度に適合される。
【0005】
それにもかかわらず、この解決策は、車両が直面し得るに十分な状況であって特定の処理を必要とする状況に透過係数を適合させることができるようにしない。例えば、強力な光源がドライバーを幻惑させるときに、可変透過率スクリーンは、その透明度を低下させ、したがって、眩しくならないようにドライバーの視力を低下させる。それにもかかわらず、この場合、ドライバーが更に暗い道路の別の領域を見れば、可変透過率スクリーンの透明度の低下は、ドライバーが見えない或いは辛うじて見える場合がある歩行者又は信号機がこの領域に位置されているかもしれない場合であっても、この暗い領域におけるドライバーの視界を低下させる。そのような状況により表わされる危険は容易に理解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既知の運転支援装置及び方法の欠点の少なくとも一部を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明は、自動車両の運転を支援するための装置であって、車両の前方の道路シーンと車両のドライバーとの間に配置されるようになっている可変透過率スクリーンを備え、前記装置が、車両が置かれている環境を表わすデータを回復するのに適したいくつかのセンサを備え、前記装置が、可変透過率スクリーンの透過係数を与えるように構成される、装置において、装置が、センサにより回復されるデータを考慮に入れて、前記データを組み合わせることにより透過係数を計算するように構成されることを特徴とする支援装置に関する。
【0008】
したがって、本発明に係る装置は、複数のデータに依存できるようにして、これらのデータの組み合わせにより透過係数の調整を可能にするとともに、単一のデータのみを考慮するようなことはしない。したがって、可変透過率スクリーンは、様々なセンサからの様々なデータにより表わされる状況に適合する透明度を有する。例えば、対向車からもたらされる強い輝度を1つのセンサが検出するが、ドライバーの凝視が別のポイントの方へ向けられることを別のセンサが検出する場合には、可変透過率スクリーンの透明度を低下させる必要はない。これは、交差点内の他の車両、信号機、道路を横切る歩行者などの危険が位置されるかもしれない領域へとドライバーの凝視が向けられる場合であっても、可変透過率スクリーンの透明度のこの低下がなおさらドライバーの視力の低下を引き起こし得るからである。
【0009】
好適には、また、本発明によれば、センサは、以下のタイプのデータのうちの1つ以上から環境を表わすデータを回復するのに適している。
【0010】
−大気状態、例えば、
雨、風、雪、霧など....
時刻
など
−道路環境、例えば、
地面の状態
別の車両からの或いは所定の光源からの眩しさ
道路の性質(カーブ、トンネル、ハイウェイ等)
ジオロケーション
車両の速度
など
−ドライバーの環境、例えば、
ドライバーの頭部の方向
ドライバーの凝視方向
など
このリストは限定的でもなく包括的でもなく、多くの他のデータを使用できる。
【0011】
本発明のこの態様によれば、これらのタイプのデータのうちの1つ以上を使用して、可変透過率スクリーンに適用されるべき最適な透過係数を最良に計算する。
【0012】
好適には、また、本発明によれば、装置は、回復されたデータの全部又は一部から車両及び/又はドライバーが置かれている状況を決定するのに適している。
【0013】
本発明のこの態様によれば、前記状況は、透過係数の計算のために考慮に入れることが重要である状況のいくつかの所定のタイプから選択される。例えば、状況は、車両が置かれている状況を表わす以下の代わりのもの、すなわち、日中又は夜間、晴れ、曇り、又は、雨の天候での運転、都市又は地方での運転、トンネルへの通過であるか否か等のうちの1つ以上を組み合わせる。状況は、例えば、以下の組み合わせ、すなわち、日中の曇りの天候での都市の運転となり得る。また、状況は、これらの簡単な組み合わせの中間の状態又はある程度のバリエーション、例えば小雨/大雨、夜明け/夕暮れ等を特徴付けることもできる。
【0014】
好適には、また、本発明によれば、装置は、以下のデータから回復されるデータから前記状況を決定するのに適している。
【0015】
−大気状態
−道路環境
−ドライバーの環境
このリストは限定的でもなく包括的でもなく、多くの他のデータも使用できる。
【0016】
本発明のこの態様によれば、装置は、車両が置かれている状況を決定するためにこれらの情報項目のうちの1つ以上を使用する。例えば、また、先の段落の例と関連して、都市における曇りの天候での日中の運転は、都市の運転に関するジオロケーションデータによって、日中の運転に関する時間帯データによって、及び、曇りの天候に関する天候状態データによって決定される。したがって、これらの全てのデータは、状況を決定できるようにする。
【0017】
好適には、また、本発明によれば、装置は、車両の前記状況に応じて回復されたデータの全部又は一部に対して重みを割り当てるとともに、透過係数の計算の際に前記データをそれらの対応する重みによって重み付けるように構成される。
【0018】
本発明のこの態様によれば、車両の決定された状況に応じて回復されたデータに対して重みを割り当てると、データの重みを考慮に入れて透過係数を計算することができ、したがって、決定された状況に適した最良の透過係数を計算できる。実際に、決定された状況に応じて、一部のデータは、透過係数の計算において、より大きな重要性を有する。
【0019】
好適には、また、本発明によれば、前記センサのうちの第1のセンサは、車両の軸線で輝度を測定するように構成されるセンサであり、前記センサのうちの第2のセンサは、別の方向で輝度を測定するように構成されるセンサであり、前記装置は、ドライバーの頭部の方向を考慮に入れて、第1及び第2のセンサにより記録されるデータに応じて並びに頭部の前記方向に応じて前記計算を行なうように構成される。
【0020】
本発明のこの態様によれば、装置は、そのセンサのうちで、少なくとも2つの輝度センサを備え、1つのセンサは、例えば対向車の照明によって引き起こされる眩しさを検出するために車両の軸で輝度を測定するように構成される。装置は、ドライバーの凝視方向を考慮に入れ、それに応じて2つのセンサにより記録される輝度データを重み付ける。すなわち、例えば、ドライバーが車両の軸線に対応する方向を見ている場合には、可変透過率スクリーンの透過係数の計算において、この軸線に向けられるセンサからのデータは、第2のセンサからもたらされるデータよりも支配的である。他方、ドライバーが第2のセンサの方向を主に見ている場合には、可変透過率スクリーンの透過係数の計算において、第2のセンサからのデータが支配的である。これらの2つの方向間で、装置は、ドライバーの凝視方向にしたがって、中間の重みをデータに対して割り当てることができる。
【0021】
好適には、また、本発明によれば、可変透過率スクリーンがメガネを備え、前記第2のセンサが前記メガネ上に位置される。
【0022】
本発明のこの態様によれば、第2のセンサは、ドライバーの眼に可能な限り接近して位置され、したがって、ドライバーに達する輝度に関する正確な情報を与える。したがって、例えば、ドライバーが車両の軸線以外の方向を見る場合には、透過係数の計算において第2のセンサからのデータが支配的である。すなわち、これらのデータは、ドライバーの視界に可能な限り接近して受けられるデータであり、したがって、例えば道路を横切る歩行者の存在、信号機、或いは、交差点からくる車両をチェックするために
ドライバーが側方に目を向ける場合に、ドライバーが例えば、はっきりとした視界を保つことができるようにする。
【0023】
好適には、また、本発明によれば、装置がパルス照明を備え、前記装置は、透過係数と同期する第1のモードで、及び、前記係数とは無関係に第2のモードで、前記パルス照明を駆動させるように構成される。
【0024】
また、本発明は、自動車両の運転を支援するための方法であって、前記車両には、車両の前方の道路シーンと車両のドライバーとの間に配置されるようになっている可変透過率スクリーンが備えられ、前記方法が、車両が置かれている環境を表わすデータを回復するステップと、可変透過率スクリーンの透過係数を与えるステップとを備える、方法において、前記方法が、回復ステップで回復されるデータを考慮に入れるステップと、前記データの組み合わせにより透過係数を計算するステップとを備えることを特徴とする支援方法に関する。
【0025】
したがって、本発明に係る方向は、いくつかのタイプのデータに依存できるようにして、これらのデータの組み合わせにより透過係数を調整できるようにするとともに、単一の回復データのみを考慮するようなことはしない。
【0026】
好適には、また、本発明によれば、環境を表わす前記データは、以下のタイプのデータのうちの1つ以上から選択される。
【0027】
−大気状態、例えば、
雨、風、雪、霧など....
時刻
など
−道路環境、例えば、
地面の状態
別の車両からの或いは所定の光源からの眩しさ
道路の性質(カーブ、トンネル、ハイウェイ等)
ジオロケーション
車両の速度
など
−ドライバーの環境、例えば、
ドライバーの頭部の方向
ドライバーの凝視方向
など
このリストは限定的でもなく包括的でもなく、多くの他のデータを使用できる。
【0028】
好適には、また、本発明によれば、方法は、回復されたデータから車両が置かれている状況を決定するステップを備える。
【0029】
好適には、また、本発明によれば、前記状況を決定する前記ステップは、以下のデータから回復されるデータに基づいて行なわれる。
【0030】
−大気状態
−道路環境
−ドライバーの環境
このリストは限定的でもなく包括的でもなく、多くの他のデータを使用できる。
【0031】
好適には、また、本発明によれば、方法は、車両の前記状況に応じて回復されたデータの全部又は一部に対して重みを割り当てるステップを備え、また、方法は、透過係数の計算のためにデータをそれらの対応する重みによって重み付けるステップを備える。
【0032】
好適には、また、本発明によれば、方法は、車両の軸線で及び別の方向で輝度データを回復するステップと、ドライバーの頭部の方向を検出するステップとを備える。また、前記計算ステップは、頭部の前記方向に応じて前記輝度データを考慮に入れることによって行なわれる。
【0033】
好適には、また、本発明によれば、方法は、透過係数を与えるのと同期して車両のパルス照明を駆動させる第1のステップと、後の透過係数の付与とは無関係に前記照明を駆動させる第2のステップとを備える。
【0034】
本発明の他の目的、特徴、及び、利点は、単に非限定的な態様で与えられて添付の図を参照する以下の説明を読むと明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】車両のフロント及び本発明に係る支援装置の概略図である。
図2】本発明に係る支援装置の概略図である。
図3】本発明に係る支援方法の概略図である。
図4】車両のドライバーが車両の前方に目を向ける状況の概略図である。
図5】車両のドライバーが車両の側方に目を向ける状況の概略図である。
図6】車両のドライバーが異なる角度にしたがって車両の側方に目を向ける状況の概略図である。
図7】本発明の一実施形態に係る支援装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、車両の運転を支援するための装置及び方法に関し、その目的のうちの1つは、可変透過率スクリーンの透過係数を計算することである。可変透過率スクリーンは、車両のドライバーと道路シーンとの間で、車両のドライバーの視野内に配置される。
【0037】
本発明の異なる実施形態によれば、可変透過率スクリーンは、
−例えばサンシールドの態様で折り畳まれ得る、ドライバーとフロントガラスとの間に配置される実際のスクリーン、
−フロントガラス自体、又は、
−サングラス又は矯正メガネのようなドライバーによって着用されるメガネ、
から成ることができる。
【0038】
可変透過率スクリーンの透明度のレベルは、支援装置によって与えられる可変透過率スクリーンリーンの透過係数によって規定され、この透過係数は、スクリーンの最大透明度に対応する最大値と、スクリーンの最小透明度に対応する最小値との間で変化する。したがって、透過係数の変更は、可変透過率スクリーンの透明度の変更をもたらし、それにより、ドライバーが知覚輝度の変更の利益を享受できるようにする。
【0039】
その結果、記載される実施形態は、保護範囲をそのような実施形態に何ら減少させることなく、可変透過率スクリーンとしてメガネ10を使用する。
【0040】
図1は、メガネ10の透過係数の計算に必要な情報を回復するようになっているセンサを備える車両11のフロントを概略的に表わす。複数のセンサが異なる方向12,13,14からもたらされる輝度データを考慮に入れることができるようにし、それにより、透過係数の更に適切な計算を可能にするのが分かる。したがって、図1を参照すると、フロントガラスの上端と同じ高さ、好ましくは前記フロントガラスの内側のバックミラーの取り付け部と同じ高さに位置される輝度、雨、及び、トンネルセンサ15が、いくつかの方向12,13,14から、例えば表示されるように、車両11の軸線からフロントへ向けて、及び、車両11の上側からもたらされる光を拾い上げる。メガネ10に位置される第2のセンサは、凝視方向で或いは少なくともドライバーの頭部で光を拾い上げることができるようにする。
【0041】
図2は、本発明に係る装置を概略的に表わす。前記装置は、多くのセンサ、ここでは以下のセンサを備える。
【0042】
−メガネ10に位置されて、ドライバーの凝視方向の輝度データを回復するフォトダイオード16;
−いくつかの方向12,13(例えば、車両の上側の方向12、及び、車両と対向する方向13)からもたらされる輝度データ及び天候状態データを回復する、輝度、雨、及び、温度センサ15(RLT、Rain Light Tunnelセンサとも称される);
−輝度データをいくつかの方向で回復できるようにするカメラ17;
−例えば車両11が都市にあるか、地方にあるか、トンネル内にあるかどうか等を決定するために、ジオロケーションデータ19を回復するとともに、そのデータをマッピングデータ20と関連付けることができるようにするナビゲーションシステム18、例えばGPS;
−運転が日中に行なわれているか或いは夜間に行なわれているかどうかを決定するために、好ましくは、例えばGPSを使用することによって基準時間に時間サーバと同期される、時間帯域データ回復システム21;
−車両11が走行している地域の天候状態(例えば、晴れ、曇り、雨など)を決定するために、例えばインターネット23に接続される天候データ回復システム22;
−例えば加速度計及び/又はジャイロスコープを備える、ドライバーの頭部の方向を検出するためのシステム24;
−従来のように殆どの車両に組み込まれる、車両の速度を測定するためのシステム25。
【0043】
言い換えると、最初の3つのセンサ15,16,17は、いくつかの方向からもたらされる輝度31を拾い上げる。
【0044】
本発明に係る装置を備える車両11は、好適には、これらのセンサの一部、好ましくは全部、場合によりここに挙げられない他のセンサを備える。
【0045】
これらの回復されたデータは、その後、例えばマイクロコントローラ26で処理され、このマイクロコントローラ26も、ここでは、メガネ10の透過係数の決定を制御する。処理はいくつかの目的を有する。すなわち、第1の目的は、回復されたデータから車両11が置かれている状況を決定することであり、第2の目的は、好ましくは回復されたデータを決定された状況にしたがって重み付けることにより、回復されたデータを組み合わせて透過係数を計算することである。本発明の1つの実施形態では、マイクロコントローラ26がメガネ10に位置され、また、他のセンサにより記録されるデータが無線リンクにより送信される。
【0046】
車両11が置かれている状況の決定は、外側の輝度のタイプ及び有意性に影響を与える外的要素にしたがって透過係数の計算を適合させることができるようにする。例えば、通り過ぎる車両の照明からもたらされる同じ輝度は、それが日中に起こるか或いは夜間に起こるかどうかにしたがって、ドライバーに対して同じ影響を引き起こさない。したがって、装置は、日中運転、夜間運転又は太陽が昇っている或いは沈んでいるときの運転、都市での、地方での、又は、トンネル内での運転、晴れ、曇り、又は、雨の天候、エンジンがかかっているか否か、ドライバーが車にいるか否かなどの運転のタイプを表わす外的要素の組み合わせにしたがって、車両11が置かれている状況を決定する。決定され得る状況は、回復されるデータに依存し、したがって、車両11に存在する様々なセンサに依存する。
【0047】
状況に関与し得る別の重要な情報項目は、ドライバーの頭部の方向である。可変透過率スクリーンがメガネ10である実施形態によれば、輝度センサ16は、好適には、ドライバーの眼に可能な限り接近してドライバーの凝視方向で輝度データを回復するために、図1で与えられるようにこれらのメガネ10に配置される。したがって、ドライバーが自分の頭部を車両11の軸線における方向以外の方向に向ける場合には、ドライバーのメガネ10に位置されるセンサ16に対して有意性が与えられる。この目的は、車両11の軸線で強い輝度が検出されるが、弱く照らされる領域の方向をドライバーが見ている場合にドライバーの視界を低下させないことであり、その場合には、車両11の軸線における強い輝度が障害にならない。
【0048】
車両11の状況が決定された時点で、支援装置は、前のステップで決定された状況にしたがって、回復されたデータに対して重みを割り当てる。このように割り当てられる重みは、透過係数の計算を行なうためにデータを重み付けることができるようにする。そのため、状況にしたがって、計算のために使用されるそれぞれのデータに対して異なる有意性を割り当てることができる。
【0049】
例えば、ドライバーが後進を行なうために車両11の後方に目を向けている場合、車両11のフロントに位置される輝度センサ、例えば輝度、雨、及び、温度センサ15又はカメラ17からもたらされるデータは、殆ど対象にはならない。このとき、装置は、車両11の後方に位置されるセンサ、例えば後進カメラ、及び/又は、メガネ10に存在するセンサ16からもたらされるデータを主に考慮に入れる。
【0050】
別の例において、車両11がトンネルに入ると、メガネ10に位置されるセンサ16は、車両11の外側の輝度を推定するためにもはや十分ではない。このとき、より大きな重みが、車両11のフロントガラス上に位置される輝度、雨、及び、トンネルセンサ15に対して或いはカメラ17に対して与えられる。
【0051】
最後に、ドライバーが車両11の外側にいる場合又はエンジンが停止されている場合、支配的なセンサは、メガネ10に位置されるセンサ16である。マイクロコントローラ26がメガネ10に位置される実施形態では、このとき、マイクロコントローラ26は、メガネ10に位置されるセンサからもたらされる情報のみを受ける。したがって、その情報から、ドライバーが車両11の外側にいることを推測する。
【0052】
本発明に係る支援装置の動作及び本発明に係る支援方法が図3に詳しく示される。既に説明された異なるセンサ15,16,17,18,21,22,24,25からのデータは、車両11が置かれている環境を表わすデータを回復するステップ27において回復される。図示の最後のステップは、可変透過率スクリーンの透過係数を与えるステップ28である。これらの2つのステップの間には、回復ステップで回復されるデータを考慮に入れるステップ28と、前記データの組み合わせによって透過係数を計算するステップ30とが存在する。
【0053】
回復ステップは、マイクロコントローラ26に関しては、好ましくはマイクロコントローラ26がメガネ10に位置されるときにはワイヤレス接続を介して、異なるセンサによりマイクロコントローラへ送信されるデータを回復することにある。データが回復された時点で、考慮に入れるステップは、車両11が置かれている状況を決定するステップ(図示せず)を備える。状況を決定する前記ステップは、異なるセンサからの異なるデータにより与えられる知識の推定に基づくことができる。例えば、RLTセンサ15によって拾い上げられる強い輝度が車両の上側からもたらされる場合、マイクロコントローラ16は、天候状態が強い太陽光であると仮定する。この仮定がインターネットで回復される天候状態により確認される場合、マイクロコントローラは、運転が日中の晴れた天候においてなされていると見なす。そうでない場合には、例えばカメラなどの他のセンサにより記録される輝度などの他のデータを考慮に入れる必要がある。
【0054】
車両が置かれている状況が決定された時点で、透過係数を計算するステップ30がそれに続く。このステップは、既に説明された決定ステップで決定される車両の状況に応じて回復されたデータの全部又は一部に対して重みを割り当てるステップ(図示せず)を備える。それぞれのデータに対して割り当てられる重みは、特に、輝度計算で推定されるその有意性に依存し得る。一般に、重みの割り当ては、保たれる組み合わせ方策に依存する。データの重み付け及びそれらの重み付けは、好適には、いわゆる信念の理論から導き出される異なる方法を使用できる。特に、デンプスター・シェファー方程式を使用するデンプスター・シェファー理論は、証拠となる結果を与える。
【0055】
それぞれのデータに重みが割り当てられると、マイクロコントローラ26は、先行するステップで決定される重み付けられたデータを考慮に入れることによって透過係数を計算する。この計算された透過係数は、その後、可変透過率スクリーンを駆動させるために使用される。
【0056】
方法がどのように進行するのかについての一例が以下に詳述される。様々なセンサにより記録されるデータはマイクロコントローラ26により回復される。これらのデータの一部は、車両11の状況を決定できるようにする。例えば、GPSシステム18は、マッピングデータ20の閲覧により、車両11が地方の道路に位置されていることを示し、また、ジオロケーションデータ19のタイムスタンプによって、車両が置かれている時間帯では時間が2:00PMであることを示す。天候データの閲覧は、天候が晴れであることを示し、また、雨センサは雨を何ら検出しない。したがって、状況は、これらの要素、すなわち、日中の運転、地方の道路での運転、晴れの天候での運転の組み合わせである。
【0057】
マイクロコントローラ26は、所定の設定にしたがって輝度センサからもたらされるデータを重み付ける。重みは、この例では、メガネ10上のセンサ16に関しては70%であり、RLTセンサ15からの(上からくる)垂直輝度に関しては80%であり、RLTセンサ15からの(前からくる)水平輝度に関しては80%であり、及び、カメラ17に関しては80%である。
【0058】
輝度データは、この例では、センサにより測定できる最小輝度とセンサにより測定できる最大輝度とをそれぞれ表わす0〜100の値(パーセンテージとして表わすことができる)によって表わされる。センサは、例えば、メガネ10のセンサ16に関しては30%、RLTセンサ15に関しては垂直で70%、RLTセンサ15に関しては水平で50%、カメラ17に関しては50%を記録する。先のように表わされる重みによってこれらの値を重み付けることにより、以下の値、すなわち、メガネ10のセンサ16に関しては21%、RLTセンサ15に関しては垂直で56%、RLTセンサ15に関しては水平で40%、カメラ17に関しては40%が(パーセンテージの積によって)得られる。これらの値の平均は、測定される平均輝度強度に対応する39%の値を与える。したがって、ドライバーの視界を向上させるために、メガネ10の透過係数、したがって透明度を100−39=61%まで下げることによってこの輝度を下げることが必要である。したがって、マイクロコントローラ26は、この例では、メガネ10の透過係数を61%のこの値に設定する。この例では、簡単な一次方程式y=100−xによって輝度/透明度係数相関関係が意図的に簡略化される。ここで、yは透過係数であり、xは測定される平均輝度強度である。しかしながら、方程式は、特に異なる極値に関して、自動車両運転において想定され得ない完全に不透明な可変透過率スクリーンに対応する0%に透過係数を設定できないため、更に複雑となり得る。
【0059】
1つの実施形態によれば、装置は、車両11のフロント及び軸線に位置されるセンサ(例えばカメラ17又はRLTセンサ15など)の視野及びメガネ10に位置されるセンサ16の視野にしたがって、また、ドライバーの頭部の方向にしたがって、可変透過率スクリーンの透明度を適合させることができるようにする。センサの視野は、水平視野と垂直視野とに分けられ得る。図4図7は、異なる状況に係るセンサの水平視野を表わす。水平視野に関連する特性、及び、これらの水平視野に応じた装置による可変透過率スクリーンの透明度の適合は、異なり得る角度値を伴って、図示されないセンサの垂直視野に同等に置き換えられ得る。
【0060】
図4は、車両の軸線34に沿うドライバーの頭部32を概略的に表わす。車両のフロント及び軸線に位置されるセンサの第1の水平視野が第1の三角形36により表わされ、また、メガネ上に位置されるセンサの第2の水平視野が第2の三角形38により表わされる。第1の水平視野36の角度Alは例えば約50°(又は車両の軸線の両側で±25°)であり、また、第2の水平視野38の角度A2は例えば約120°(又は車両の軸線34の両側で±60°)である。理想的には、第2の水平視野36は、人の眼、ここではドライバーの眼が幻惑させられる虞がある視野に対応する。
【0061】
ドライバーの頭部32の方向を検出するためのシステムは、ドライバーの頭部32の方向、したがってメガネ上に位置されるセンサ16の方向、つまり第2の水平視野38を装置が知ることができるようにする。
【0062】
図5に表わされるように、ドライバー24が自分の頭部32を回転させると、第2の水平視野38は、車両の軸線34に対して角度Oの分だけ移動される。装置は、頭部32の方向の検出によってこの移動を検出する。
【0063】
透明度のレベルは、ドライバーの視野で計算される眩しさのレベル(又は、使用されるセンサのタイプに応じて、輝度のレベル)に応じて決定される。車両のフロン及び軸線に位置されるセンサは、それが車両11のフロントガラスによって或いは車両のドライバーにより着用されるヘッドギアによって遮られる危険がないため、その情報のロバスト性がメガネ上に位置されるセンサ16よりも高いセンサである。したがって、図4に表わされる状況において、車両のフロント及び軸線に位置されるセンサは、第1の水平視野36に対応する領域40における透明度のレベルの計算で考慮に入れられる唯一のセンサである。それにもかかわらず、メガネ上に位置されるセンサ16は、第1の水平視野36よりも広い第2の水平視野38を有する。したがって、第1の水平視野36の一部を形成しない第2の水平視野38の領域42,44に位置付けられる眩しさデータのみが考慮に入れられる。
【0064】
図5に表わされる状況において、第2の水平視野38は、重ね合わされないように2つの水平視野36,38にとって十分に大きい角度Oだけ移動される。このように、ドライバーが幻惑させられる虞がある視野を第2の水平視野38が実質的に表わすため、メガネ上に位置されるセンサ16は、透明度のレベルの計算で考慮に入れられる唯一のセンサである。実際に、メガネ上に位置されるセンサ16は、O>(A1+A2)/2である場合に、すなわち、この例ではO>(50+120)/2=85°の場合に考慮に入れられる唯一のセンサである。この状況は、車両11に並んで到達しているかもしれない車両をチェックするとき或いは死角をチェックするために一般的である。
【0065】
図6は、ドライバーが自分の頭部を約45°に向ける状況を表わす。したがって、2つのセンサの視野36,38は、領域46にわたって部分的に重ね合わされる。既に説明したように、この領域46では、車両のフロント及び軸線に位置されるセンサからもたらされるデータのみが考慮に入れられる。第2の水平視野38の領域48では、メガネ上に位置されるセンサ16からもたらされるデータが考慮に入れられる。本発明の1つの実施形態によれば、ドライバーの視野内における前記根源の位置にかかわらず眩しさの光源によってドライバーが幻惑させられるのを避けることができるようにするために、ドライバーの視野内でセンサにより測定される最上位の眩しさに応じて変化し得る透過係数の計算が行なわれる。
【0066】
図7に表わされる本発明の1つの実施形態によれば、ドライバーの頭部32の方向が急速に変化する場合の装置の性能レベルを向上させるために、更なるセンサを使用して、ドライバーの視野外の領域をカバーすることができ、それにより、ドライバーが自分の頭部32をこれらの領域の方向に向ける場合にこれらの領域からもたらされる任意の眩しさを予想することができる。例えば、2つの更なる眩しさセンサが存在してもよく、それぞれの眩しさセンサは、メガネのアーム上に配置されて、ドライバーの頭部の左右に位置されるドライバーの視野外の領域50,52をカバーする。ドライバーが自分の頭部32の方向を変えなければ、これらの更なるセンサはこれらの領域50,52内の眩しさを測定し、また、これらの測定値は、第1の水平視野36及び第2の水平視野38で測定される値にのみ依存する可変透過率スクリーンの透過係数の計算に関与しない。ドライバーが自分の頭部32の方向をこれらの更なるセンサによりカバーされる領域50,52のうちの一方へと変えれば、装置は、頭部32の回転前にこれらのセンサにより記録されるデータを考慮に入れて、可変透過率スクリーンの透過係数の計算を予想する。
【0067】
本発明の1つの実施形態において、可変透過率スクリーンは、状況に同期して或いは状況に応じることなくパルス照明に結合され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7