(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441326
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】エネルギーを送達するための医療装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
A61B18/12
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-517993(P2016-517993)
(86)(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公表番号】特表2016-523138(P2016-523138A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】US2014041081
(87)【国際公開番号】WO2014197688
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2017年5月8日
(31)【優先権主張番号】61/831,997
(32)【優先日】2013年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/295,745
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】グエン、マン ミン
(72)【発明者】
【氏名】リッチャー、エリック カール
【審査官】
宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−507656(JP,A)
【文献】
特表2002−541905(JP,A)
【文献】
特表2009−515603(JP,A)
【文献】
特開2000−175925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織の壁に熱エネルギーを送達するための医療装置であって、
長尺状部材の近位端部と遠位端部との間に少なくとも部分的に延びる管腔を有する長尺状部材と、
前記長尺状部材の遠位側にバスケットを形成するように前記長尺状部材の遠位部分に結合された複数の脚部であって、前記脚部の各々が組織表面に接触するように構成されている1つ以上の電極を有する、複数の脚部と、
前記複数の脚部の各々に接続され、かつ前記長尺状部材の遠位端部の遠位側に位置する遠位端部品と、
前記遠位端部品に結合され、かつ前記管腔を通って前記複数の脚部の間に延びる作動部材であって、前記作動部材の往復運動は、前記複数の脚部を第1位置から第2位置に可逆的に移動させるように構成されている、作動部材と、
前記作動部材に結合された停止部材であって、前記停止部材の圧縮により前記作動部材の移動を制限するように構成されている停止部材とを備える、医療装置。
【請求項2】
前記停止部材は、前記長尺状部材の長手軸線に沿った前記作動部材の移動を制限するように構成されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記停止部材の少なくとも一部は、前記遠位端部品内に配置されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記停止部材は、前記作動部材の一部を受容するように構成された管腔を画定する、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記作動部材は、前記作動部材の遠位端部に配置された突起をさらに備え、前記突起は前記停止部材を圧縮させるように構成されている、請求項4に記載の医療装置。
【請求項6】
前記突起は前記作動部材の遠位端部に取り付けられた円板であり、前記円板は前記停止部材の管腔の幅より大きな幅を有する、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記円板は前記停止部材の遠位端部に係合して、前記作動部材の移動を制限する、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記作動部材のまわりに配置され、かつ前記停止部材に接続された支持体をさらに備え、前記支持体は前記停止部材の近位端部を支持するように構成されている、請求項4に記載の医療装置。
【請求項9】
前記停止部材は、前記複数の脚部の各々の少なくとも一端に形成されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項10】
前記停止部材は、前記複数の脚部の近位側に配置されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項11】
前記停止部材は、前記作動部材の2つの部分の間に配置されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項12】
前記複数の脚部は第1位置において圧縮されており、かつ第2位置において長手軸線から外側に撓むように構成されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項13】
前記停止部材は、
前記複数の脚部が第1位置にあるときには第1形態にあり、
前記複数の脚部が第2位置にあるときには第2形態にある、請求項1に記載の医療装置。
【請求項14】
患者の組織の壁に熱エネルギーを送達するための医療装置であって、
長尺状部材の近位端部と遠位端部との間に少なくとも部分的に延びる管腔を有する長尺状部材と、
前記長尺状部材の遠位側にバスケットを形成するように前記長尺状部材の遠位端部から延びる複数の脚部であって、前記脚部の各々は組織表面にエネルギーを送達するために前記表面組織に接触するように構成された電極を備え、前記複数の脚部の各々は遠位端部を備える、複数の脚部と、
前記複数の脚部の各々の遠位端部に接続された遠位端部品と、
前記遠位端部品に結合され、かつ前記管腔を通って前記複数の脚部の間に延びる作動部材であって、前記作動部材は前記複数の脚部を第1位置から第2位置に可逆的に移動させるように構成されており、
前記作動部材に近位方向の力が印加されると、前記複数の脚部は第1位置から第2位置へ移動し、
前記近位方向の力が解放されると、前記複数の脚部は第2位置から第1位置へ移動する、作動部材と、
前記作動部材に結合された停止部材であって、前記停止部材の圧縮により前記作動部材の移動を制限するように構成されている停止部材とを有する、医療装置。
【請求項15】
前記停止部材の少なくとも一部は、前記遠位端部品内に配置されている、請求項14に記載の医療装置。
【請求項16】
前記作動部材は前記作動部材の遠位端部に配置された突起をさらに備え、前記突起は、前記作動部材が近位方向に移動されると、前記停止部材に係合するように構成されている、請求項15に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、概して、壁に熱エネルギーを送達するための装置および方法に関する。より具体的には、この開示は肺系統および気道を治療する装置および方法に関する。より具体的には、前記開示は、閉塞性肺疾患のうちの少なくとも1つの症状を有する肺を治療するための医療装置および外科的装置、並びに医学的および外科的方法に関する。前記開示はまた、制御された方法で肺の気道組織にエネルギーを送達するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
壁にエネルギーを送達する装置は、多くの場合、医学的状態を治療するために用いられる。そのような1つの状態は、肺に出入りする空気流を制限する肺気道における閉塞を引き起こし得る進行性疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)である。従って、COPDに罹患した患者は呼吸困難を有し得る。平滑筋収縮、過剰な粘液産生、炎症による気道壁の肥厚、および気道のまわりの構造の変質のようなCOPDの原因である多くの要因が存在し得る。より具体的には、そのような患者の肺気道の壁内に位置する気道平滑筋(ASM:airway smooth muscle)の過剰で不適当な緊縮はCOPDの一因であり得る。よって、過剰なASMを低減することにより、COPDの治療に治療効果を提供することができる。過剰なASMを成功裡に低減したり排除したりするために低侵襲性技術が開発されてきた。
【0003】
過剰なASMを低減する(例えば、縮小する、または減量する)ための低侵襲性技術の一例は、カテーテルを用いた気道壁への熱エネルギーの送達を伴う。前記治療を適用するために、前記カテーテルは気道内の所望の位置に配置される。カテーテルの先端の電極アレイは気道壁と接触するように拡張される。前記電極は、カテーテルのハンドルを圧迫することにより手動で所望の拡張量に拡張される。いくつかの実施形態において、前記治療は、平滑滑筋組織の安静時緊張を低減させるために肺系統の気道の神経組織に損傷を与えることを伴い得る。
【0004】
従来の低侵襲性技術の使用は依然として準最適であることがある。例えば、ハンドルを圧迫し過ぎることにより、電極を過剰に拡張させる可能性があり、これは電極および隣接する体組織の損傷の可能性につながる。加えて、ユーザーがハンドルに充分な圧力を印加しないことがあり、その結果、電極が気道壁に対して均一に接触しなかったり、または熱エネルギーを均一に送達しなかったりする。
【0005】
よって、COPDの少なくとも1つの症状を低減するために用いられる既知の低侵襲性技術に関連する不都合が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、一般的処置および外科的処置を含む特定の医療処置を実行するために、制御された方法で人体の組織壁に熱エネルギーを送達するための医療装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様において、医療装置は、長尺状部材の近位端部と遠位端部との間に少なくとも部分的に延びる管腔を有する長尺状部材を備える。前記医療装置はまた、前記長尺状部材の遠位部分に結合された複数の脚部と、前記複数の脚部の各々に接続され、かつ前記長尺状部材の遠位端部の遠位側に位置する遠位端部品とを備え得る。前記医療装置はまた、前記遠位端部品に結合され、かつ前記管腔を通って前記複数の脚部の間に延びる作動部材を備え得る。前記作動部材の往復運動は、前記複数の脚部を第1位置から第2位置に可逆的に移動させるように構成され得る。前記医療装置はまた、前記作動部材に結合され、かつ前記作動部材の移動を制限するように構成された停止部材を備え得る。
【0008】
本開示の様々な実施形態はまた、以下の態様の1つ以上も含み得る。前記停止部材は前記長尺状部材の長手軸線に沿った前記作動部材の移動を制限するように構成されていてもよい。前記停止部材の少なくとも一部は前記遠位端部品内に配置されていてもよい。前記停止部材は、前記作動部材の一部を受容するように構成された管腔を画定し得る。前記作動部材はさらに、前記作動部材の遠位端部に配置された突起を備え、前記突起は前記停止部材を圧縮させるように構成され得る。前記突起は、前記作動部材の遠位端部に取り付けられた円板であってもよく、前記円板は前記停止部材の管腔の幅より大きな幅を備え得る。前記円板は、前記停止部材の遠位端部に係合して、前記作動部材の移動を制限し得る。支持体は前記作動部材のまわりに配置され、かつ前記停止部材に接続され、前記支持体は前記停止部材の近位端部を支持するように構成され得る。前記停止部材は、前記複数の脚部の各々の少なくとも一端に形成され得る。前記停止部材は、前記複数の脚部の近位側に配置され得る。前記停止部材は、前記作動部材の2つの部分の間に配置され得る。前記複数の脚部は、第1位置において圧縮されており、第2位置において長手軸線から外側に撓むように構成されている。前記停止部材は、前記複数の脚部が第1位置にあるときには第1形態にあり、前記複数の脚部が第2位置にあるときには第2形態にあり得る。
【0009】
別の態様において、本開示は、長尺状部材の近位端部と遠位端部との間に延びる管腔を有する長尺状部材を有する医療装置に関し得る。前記医療装置はまた、前記長尺状部材の遠位端部から延びる複数の脚部も備え得る。前記脚部の少なくとも1本はエネルギーを送達するための電極を備えてもよく、前記複数の脚部の各々は遠位端部を備え得る。前記医療装置はまた、前記複数の脚部の各々の遠位端部に接続された遠位端部品と、前記遠位端部品に結合され、かつ前記管腔を通って前記複数の脚部の間に延びる作動部材とを備え得る。前記作動部材は、前記複数の脚部を第1位置から第2位置に可逆的に移動させるように構成され得る。前記作動部材に近位方向の力が印加されると、前記複数の脚部は第1位置から第2位置へ移動し得、かつ前記近位方向の力が解放されると、前記複数の脚部は第2位置から第1位置へ移動し得る。前記医療装置はまた、前記作動部材に結合され、かつ前記作動部材の移動を制限するように構成された停止部材も備え得る。
【0010】
本開示の様々な実施形態はまた、以下の態様の1つ以上も含み得る。前記停止部材の少なくとも一部は前記遠位端部品内に配置されてもよい。前記作動部材は、前記作動部材の遠位端部に配置された突起をさらに備えてもよく、前記突起は前記作動部材が近位方向に移動されると、前記停止部材に係合するように構成され得る。
【0011】
さらに別の態様において、本開示は、医療装置を用いて、体内管腔の壁にエネルギーを送達する方法に関し得る。前記方法は、体内管腔に医療装置を挿入することと、前記医療装置の遠位端部において拡張可能部材を半径方向に拡張するために作動部材を近位方向に引っ張ることとを含み得る。前記方法はまた、前記作動部材に結合された停止部材を圧縮することにより、前記拡張可能部材の半径方向の拡張を制限することと、前記拡張可能部材を介して体内管腔の壁にエネルギーを適用することとも含み得る。
【0012】
本開示の様々な実施形態はまた以下も含み得る。前記拡張可能部材の半径方向の拡張は、前記医療装置の長手軸線に沿った作動部材の移動を制限することによって制限され得る。前記停止部材の少なくとも一部は、前記医療装置の遠位端部品内に配置されていてもよい。前記停止部材は、前記作動部材の一部を受容するように構成された管腔を画定し得る。
【0013】
開示した主題の付加的な特性、特徴、および利点は、一部は続く説明に示され、一部は前記説明から明らかになるか、または本開示の実施により学習され得る。
本開示の特性および特徴は、添付された特許請求の範囲に具体的に指摘された要素および組み合わせによって実現および達成され得る。
【0014】
前述の概要および以下の詳細な説明は双方とも、例示および説明のためのものに過ぎず、開示した主題を制限するものではないことが理解されるはずである。
この明細書に援用され、この明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の例示的実施形態の例を示し、前記説明と共に、本開示の原理について説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一実施形態に従った例示的な医療装置の概略図。
【
図2】非圧縮位置にある停止部材を示す
図1の医療装置の断面側面図。
【
図3】圧縮位置にある停止部材を示す
図1の医療装置の断面側面図。
【
図4】本開示の実施形態に従った
図1の医療装置の断面側面図。
【
図5】本開示の実施形態に従った医療装置の部分斜視図。
【
図6】本開示の実施形態に従った医療装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、本開示の特定の例示的実施形態について述べ、その実施例を添付図面に示す。同一または同様の部品を参照するために、可能な限り、図面全体にわたって同一の参考番号を用いている。「遠位」という用語は、患者に装置を導入するときに医療従事者から最も遠く離れた端部を指す。「近位」という用語は、患者内に装置を配置するときに医療従事者に最も近い端部を指す。
【0017】
(概要)
本開示の実施形態は、人体の組織壁に一定の熱エネルギーを送達するために構成された装置およびその方法に関する。例えば、開示した装置の実施形態は、喘息を含むが、これに限定されない慢性または可逆性の閉塞性肺疾患のうちの少なくとも1つの症状を低減するために、過剰な気道平滑筋(ASM:airway smooth muscle)を減少させる、縮小させる、減量する、または他の場合には排除するために、制御された方法で肺内の気道の壁に熱エネルギーを送達することを容易にし得る。
【0018】
(例示的な実施形態)
本願において開示した実施形態は、長尺状装置と一緒に用いることができ、前記長尺状装置は、患者の身体内の標的部位に開示した実施形態を導入および送達する手段として機能する内視鏡システムであり得る。しかしながら、本開示の実施形態は、気管支鏡、トロカール、内視鏡、カテーテルシース、腹腔鏡、結腸内視鏡、尿道鏡などのような他の導入装置、シースまたはシステムと一緒に用いられてもよいことに留意すべきである。
【0019】
図1は、本開示に従った治療部位に熱エネルギーを送達するための例示的な医療装置の概略図である。医療装置10は、壁を有する身体の狭い管腔、例えば肺の気道、を通り抜けて、治療部位に到達するように構成され得る。
【0020】
医療装置10は、長尺状部材12が通過し得るシース11を備え得る。長尺状部材12は、遠位端部20、近位端部(図示せず)、および遠位端部20と前記近位端部との間に延びる管腔13を有し得る。長尺状部材12は単一の管腔13を画定し得るが、これに代わって、長尺状部材12は複数の管腔を画定してもよい。いくつかの実施形態において、前記複数の管腔は、長尺状部材12の全長に延びていてもよい。他の実施形態において、長尺状部材12内を部分的にのみ通って延びる付加的な管腔が存在してもよい。いくつかの実施形態において、長尺状部材12は、医療装置10の他の部分に結合していてもよいし、または他の部分まで延びていてもよい。
【0021】
さらに、長尺状部材12およびシース11は、円形断面を画定する管状構造を有し得る。長尺状部材12およびシース11の各々の断面の形状は、例えば気管支鏡などの他の長尺状装置とともに用いられる間に、組み立てたり、取り外したり、使用したりするのが比較的容易であり得る。これに代わって、長尺状部材12およびシース11は、楕円の断面形状のような、しかしこれに限定されない、他の形態を有してもよい。
【0022】
シース11は、長尺状部材12が内部を通過することを可能にする寸法を有する可撓性中空部材であり得る。すなわち、シース11は、長尺状部材12の直径より大きく、かつ気管支鏡(または他の適当な装置)および気道のような体内管腔の双方の直径より小さい直径を有し得る。具体的には、シース11の寸法は、長尺状部材12が内部に配置されることを依然として可能にしながら、気道を通過するために十分に小型であり得る。
【0023】
長尺状部材12およびシース11は、金属、ポリマー、合金等を含むが、これらに限定されない任意の適当な可撓性、生体適合性またはその両方を有する材料を含有し得る。少なくともいくつかの実施形態において、長尺状部材12およびシース11は、ニチノール、シリコーンなどの1種以上から製造される。一実施形態によれば、前記材料は、体内管腔を介して操縦され、かつ例えば気道のような周囲組織にいかなる損傷ももたらすことなく、その内部に配置されるために十分な可撓性を示し得る。
【0024】
長尺状部材12は、長尺状部材12の遠位部分(図示せず)に結合した複数の脚部16を有するバスケット14をさらに備え得る。代替実施形態において、バスケット14は膨張式の拡張可能部材(例えばバルーン)と置き換えられてもよい。脚部16の各々は、脚部16の長手方向長さに沿って配置された電極を含むように構成されてもよい。さらに、脚部16が拡張した場合に、電極が治療部位にエネルギーを送達するために気道壁のような組織表面に接触することができ得るように、各電極は脚部16に沿って配置され得る。しかしながら、脚部16の各々は、治療部位においてエネルギーを伝達するために2つ以上の電極をさらに備えてもよい。前記電極は、当業において既知の任意の適当な手段によって脚部16に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、脚部16の各々は導電性材料を含み、また脚部16の端部は、露出した活性領域を残すように、絶縁材で被覆されていてもよい。
【0025】
構造的に、脚部16の各々は長尺状部材12の管腔から出現する近位部分を有し得る。いくつかの実施形態において、脚部16の各々は、接着剤(または他の取り付け構造または材料)によって互いに接合、または他の場合には結合された近位部分を有してもよく、長尺状部材12を通過する近位接合部を形成し得る。脚部16の各々は、
図1に示すように、長尺状部材12の遠位端部20から連続的に延びる近位部分を有してもよい。さらに、脚部16の各々の遠位部分は、鑞着、固着、溶着、取り付け構造の使用などの当業において既知の様々な機構によって互いに接続され得る。
【0026】
脚部16の各々は、ほぼ任意の所望の間隔または等間隔で離間されて、バスケット14を形成し得る。例えば、
図1は、バスケット14のまわりに約90度の間隔で離間された4つの脚部16を示し得る。5つの脚部16を有する実施形態では、例えば、脚部16は約72度の間隔で離間されてバスケット14を形成し得る。従って、バスケット14のまわりにおける脚部16の数および角度間隔は、標的となる気道の大きさ、各脚部16と気道壁との間の所望の接触などのような様々な要件に依存し得る。
【0027】
脚部16の各々は、バスケット14が拡張して気道の壁と接触することができ、かつ肺の狭い気道を通り抜けることができ得るような長さを有し得る。また、脚部16は、手順中の拡張および収縮の間に破壊または可塑変形しないように、十分な厚さおよびモジュラスを備え得る。
【0028】
バスケット14は、第1の圧縮位置から第2の拡張位置、例えば、外側に撓んだ状態に、およびその逆様に、往復運動するように構成され得る。バスケット14は第1位置から第2位置に半径方向に拡張するように構成されてもよい。第2位置において、バスケット14は、脚部16のアーチ型部分が気道の壁面と接触してエネルギーを送達するように拡張され得る。
【0029】
バスケット14を形成する脚部は、半径方向に拡張している間に、(例えば弾性的に)変形し得ない、弾力があり、高度に伸長性で、かつ生体適合性の材料から形成され得る。そのような材料の例としては、シリコーン、超弾性合金、ステンレス鋼、ニチノールのような形状記憶合金などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、脚部16は長尺状部材12のそれと同一の材料から製造され、円形の断面形状を画定してもよい。しかしながら、脚部16は楕円、矩形などの他の断面形状を有してもよい。
【0030】
上記で検討したように、脚部16の各々の遠位部分は一緒に接合され、遠位キャップまたは遠位端部品18のようなカバーによってさらに包囲され得る。よって、遠位キャップ18は、長尺状部材12の遠位端部20の遠位側に位置し得る。遠位キャップ18は、気道を損なうことなく、肺の狭い気道内への医療装置10の挿入を容易にするように構成された直径を有し得る。従って、遠位キャップ18は非外傷性形態を有し得る。さらに、遠位キャップ18は、遠位キャップ18が気管支鏡(または他の適当な装置)および狭い気道に進入し、それらの中を通過して、退出することができ得るような大きさに形成され得る。
【0031】
遠位キャップ18は、中空の円筒状長尺状部材であり、脚部16の遠位部分が通過または進入するのを許容するように構成され得る。一実施形態において、例えば、遠位キャップ18の遠位端部は閉鎖されていてもよい。遠位キャップ18は、脚部16の遠位部分を実質的に包囲するように十分に長くてもよい。遠位キャップ18の内部構造のさらなる詳細は、後続の図とともに検討されるであろう。いくつかの実施形態において、遠位キャップ18は、絶縁カバーを備えて電気的に導通性であってもよい。
【0032】
遠位キャップ18は円形の断面形状を有し得る。しかしながら、遠位キャップ18は、楕円、矩形、多角形、非対称形、などの他の断面を有してもよい。
遠位キャップ18は可撓性の生体適合性材料から形成され得る。そのような材料の例としては、シリコーン、ニチノールのような形状記憶合金などが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。
【0033】
次に、引張ワイヤーのような作動部材22は、医療装置10の近位部分(図示せず)から延びて、長尺状部材12の管腔を通過し、バスケット14を通って、脚部16の間に延び、脚部6の遠位部分および遠位キャップ18に結合し、さらに遠位キャップ18を通過するように延びるように構成され得る。作動部材22は、医療装置10の近位部分において作動部材22上に力が手動でまたは自律的に印加されると、前後に移動する(すなわち、往復運動する)ように構成され得る。いくつかの実施形態において、作動部材22は編組引張ワイヤーであってもよいし、複数の引張ワイヤーを含んでもよい。
【0034】
作動部材22は、医療装置10の近位部分から、バスケット14内を通って、遠位キャップ18に向かって延びる長尺状ワイヤーとして構成され得る。
作動部材22は任意の適当な生体適合性材料から形成され得る。これに代わって、作動部材22は、ロッド、ひも、結び目、または往復運動が可能な他の適当な機構であってもよい。適当な材料の例としては、ニチノール、他の形状記憶合金、ステンレス鋼、シリコーンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
医療装置10の近位部分は、気管支鏡(図示せず)のような長尺状装置の遠位端部から出現するように構成され得る。前記気管支鏡は細気管支の内部構造を検分するために用いられ得る。医療装置10の最近位端部(図示せず)には、手動でまたは自律的に圧迫されるように構成され得るハンドル(図示せず)が存在し得る。前記ハンドルまたは他のアクチュエータには、医療装置10に電気エネルギーを提供するように構成され得る電気外科用発電機に接続するためのプラグ(図示せず)が存在し得る。
【0036】
図2は、非作動位置にある作動部材22を示す
図1の医療装置10の断面図である。
図2に示されるように、遠位キャップ18は、脚部16の遠位部分の一部を、電極および作動部材22を含めて包囲し得る。さらに、例えばコイルばねのような停止部材201は、作動部材22に作動可能に結合され、その作動部材22を包囲し得る。停止部材201は、作動部材22の遠位部分を受容するように構成された管腔を画定し得る。停止部材201は、長尺状部材12の長手軸線に沿った、少なくとも近位方向における作動部材22の移動を制限するように構成され得る。停止部材201の実質的な部分は遠位キャップ18内に配置され得る。
【0037】
停止部材201は、医療装置10のハンドルにおいて力が印加または解放されると、圧縮および拡張し得る。停止部材201は、圧縮ばね、コイルばね、ベルビルワッシャ、圧縮可能なポリマー材料、圧縮可能な弾性チューブ、水力式または空気式ブラダー、膨張可能部材、板ばね、ゴムバンド、スポンジなどを含み得る。
【0038】
停止部材201は、可撓性の材料、弾力のある材料、圧縮可能な材料、及び生体適合性の材料の少なくとも1つから形成され得る。そのような材料の例としては、ステンレス鋼、形状記憶合金、ポリマー、および弾性を有する他の適当な材料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、所望により、停止部材201を構成するために非弾性材料を用いることもできる。
【0039】
さらに、作動部材22の最遠位端部には、円板のような突起202が配置され得る。突起202は、停止部材201の遠位端部に係合して、作動部材22の、例えば近位方向の移動を制限するように構成され得る。突起202は停止部材201の管腔の幅より大きな幅を有し得る。いくつかの実施形態において、作動部材22を(例えば近位方向に)作動させると、突起202および脚部16の遠位端部の双方も近位方向に移動するように、突起202は脚部16の遠位端部に固定され得る。
【0040】
突起202は円形の断面形状を有するように構成され得る。しかしながら、突起202は、楕円、扁円、多角形、不規則形などに限定されない他の断面および形態を有してもよい。
【0041】
停止部材201の近位端部は、作動部材22のまわりに配置された支持体204にさらに接続されるか、または他の場合には作動可能に結合されてもよい。支持体204は、停止部材201の近位端部を支持し、かつ停止部材201の近位位置を、例えば脚部16の遠位端部分に対して固定するように構成され得る。よって、作動部材22によって脚部16の遠位端部に印加される力は、例えば作動部材22に結合されたハンドルにより作動部材22に印加される力の量によってではなく、支持体204に対する停止部材201の圧縮によって制限され得る。いくつかの実施形態において、ハンドルに印加される力が所定限度を超える場合には、停止部材201は、その過剰な力を吸収して、過剰な力が脚部16の遠位端部に伝達されるのを防止し得る。突起202、支持体204、又はその両方は、弾力のある、可撓性、伝導性、及び生体適合性の少なくとも1つの特性の材料から形成され得る。そのような材料の例としては、ニチノール、シリコーン、ステンレス鋼、金属、合金などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
支持体204は円形の形状であり得る。しかしながら、支持体204は、円環、楕円環、多角形、扁円、不規則形、などの他の形状を有してもよい。
支持体204の近位端部は、作動部材22のまわりに配置されたスペーサー206のような長尺状部材にさらに接続されるか、または他の場合には結合されてもよい。スペーサー206は脚部16の近位部分から遠位部分まで実質的に延在するように構成され得る。スペーサー206はバスケット14の過剰な拡張を防止するための支持を提供するように構成されてもよい。
【0043】
スペーサー206は円筒形であり、円形形状の断面を有し得る。しかしながら、スペーサー206の断面は、いくつかの実施形態では、スペーサー206は作動部材22を包囲するか、または他の場合には取り囲んでいるので、作動部材22の断面に依存し得る。スペーサー206はまた、脚部16の位置を外部から支持するような形状に形成されていてもよい。
【0044】
スペーサー206は、弾力のある材料、可撓性材料、および生体適合性の材料のうち少なくとも1つから形成され得る。そのような材料の例としては、ニチノール、シリコーン、ステンレス鋼、ポリマー、合金などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
図2に示すように、停止部材201は圧縮されておらず、かつバスケット14(
図1参照)は第1の圧縮位置にある。
図3は、圧縮位置にある停止部材201を備えた医療装置10の断面図である。医療装置10の近位端部のハンドルが、引っ張られるか、または他の場合には作動されて、近位方向の引力を作動部材22に印加するにつれ、突起202および作動部材22は医療装置10の近位端部に向かって移動し得る。その結果として、突起202は停止部材201を支持体204に対して押しつけて圧縮させ得る。作動部材22の近位方向の移動により、バスケット14は半径方向に外側へ拡張し得る(例えば、バスケット14の近位端部および遠位端部(図示せず)は、第1位置から第2位置へ移動し得る)。いくつかの実施形態において、脚部16の遠位端部は、突起202に結合されており、突起202が近位方向に移動するにつれ、近位方向へ移動し得る。第1位置において、バスケット14は圧縮されていてもよい(例えば、バスケット14は、閉鎖しているように見え、脚部16は、医療装置10の近位端部から遠位キャップ18の遠位端部までほぼ一直線に延びるように見え得る)。第2位置にある間、バスケット14は、脚部16が半径方向に外側に撓められるように拡張され得る。停止部材201、突起202および支持体204がない場合には、例えば医療装置10のハンドルを引っ張るか、または他の場合には作動させることによって作動部材22に過剰な力を印加してしまう可能があり得、例えばバスケット14の過剰拡張に起因する脚部16や気道壁への損傷をもたらす。しかしながら、突起202は支持体204によって制限される固定量だけ停止部材201を圧縮し得るので、脚部16が所定の限度を越えて移動することが防止され得る。これは、バスケット14の過剰拡張および脚部16の不適当な撓みを回避するのを助け得る。さらに、スペーサー206の固定された長さにより、脚部16は制御された方法で撓むことができ得る。従って、バスケット14の過剰拡張はさらに回避され、脚部16および気道への潜在的な損傷もさらに回避され得る。
【0046】
さらに、医療装置10のハンドルが解放されると、突起202および作動部材22は遠位キャップ18の遠位端部に向かって移動し得る。この遠位方向の移動は停止部材201を圧縮前の状態に戻し、脚部16を第2位置から第1位置へ移動させ得る。すなわち、ハンドルの解放により、停止部材201を圧縮する力が解放され、停止部材201に蓄積した位置エネルギーを解放させて非圧縮位置に戻らせ、その結果、バスケット14は圧縮位置に戻される。このように、作動部材22が往復移動するように構成され得るので、脚部16は圧縮された第1位置と第2の拡張位置との間で往復運動し得る(例えば、作動部材22が近位方向へ移動すると、脚部16は第1位置から第2位置へ移動し得、また作動部材22が遠位方向に移動すると、脚部16は第2位置から第1位置へ移動し得る)。しかしながら、代替実施形態も企図されることに留意されたい。1つの代替実施形態では、作動部材22の遠位方向への移動は、脚部16を第1の圧縮位置から第2の拡張位置に移動させてもよく、一方、作動部材22の近位方向の移動は、脚部16を第2の拡張位置から第1の圧縮位置へ移動させる。
【0047】
図4は、停止部材201を支持するスペーサー206を示す医療装置10の断面図である。
図4の実施形態において、停止部材201は、スペーサー206によって直接支持され得る。スペーサー206は停止部材201の近位端部に隣接して位置し、停止部材201の近位位置を直接固定し得る。よって、作動部材22によって脚部16の遠位端部に印加される力は、スペーサー206に対する停止部材201の圧縮や停止部材201の剛性によって制限され得、例えば作動部材22に結合されたハンドルによって作動部材22に印加される力の量によって制限されない。いくつかの実施形態において、ハンドルに印加された力が限度を超える場合には、停止部材201は過剰な力を吸収して、過剰な力が脚部16の遠位端部に伝達されるのを防止し得る。停止部材201の弾力性はまた、作動により、バスケット14が完全に拡張されたことを示す触覚信号を医師に提供するように、設定することができる。
【0048】
図5は、例示的な医療装置500の別の実施形態を示している。医療装置500は、医療装置10(
図1参照)に実質的に類似しているが、それに加えて、またはそれに代わって、複数の脚部516の遠位端部と一体となった停止部材504を備え得る。脚部516は、上述した脚部16の特徴のうちのいずれか1つ以上に実質的に類似しており、かつその特徴を含み得る。代替実施形態において、停止部材504は、複数の脚部516の各々の近位端部(図示せず)と一体であり得る。脚部516の各々は、長手軸線に沿って配置された電極を備え得る。脚部516は一体であり、スコープのワーキングチャンネルの内径より小さい外径を有するチューブから切り出され得る。これに代わって、脚部516は、材料のシートから切り出されて丸められてもよいし、または別の適当な機構によって形成されてもよい。キャップ(図示せず)が遠位アセンブリ上に延在していてもよい。前記キャップは、組織が停止部材504の空間内に進入したり、停止部材504の圧縮を制限したりするのを防止し得る。
【0049】
作動部材522は、医療装置500の近位端部(図示せず)から遠位端部へ延び得る。突起502は作動部材522の遠位端部に配置され得る。作動部材522および突起502は、それぞれ、
図2に示した作動部材22および突起202のそれに実質的に類似し得る。停止部材504は、作動部材522の実質的な遠位部分を包囲するコイルばねまたは他の適当な弾性部材であり得、突起502の近位側に隣接して位置し得る。停止部材504は、支持体506を介して各脚部516の遠位端部に一体的に接続されていてもよい。すなわち、支持体506は停止部材504と脚部516との間に配置され得る(例えば、支持体506は停止部材504の近位側、かつ脚部516の遠位端部の遠位側にある)。支持体506は概して円筒状であってもよいし、または他の適当な形状を有してもよい。代替実施形態において、個々の脚部516は、遠位端部分に組み込まれた停止部材を備え得る(例えば、4本の脚部516を有するバスケットは、4つの停止部材を備えてもよく、その少なくとも1つは各脚部516の端部に組み込まれている)。
【0050】
作動部材522が近位方向に引っ張られると、脚部516は、第1圧縮位置から第2拡張位置へ半径方向外側に拡張し得る。支持体506は停止部材504の近位端部に隣接して位置し、停止部材504の近位位置を直接固定し得る。よって、作動部材522を介して脚部516の遠位端部に印加される力は、支持体506に対する停止部材504の圧縮によって制限され得、例えば作動部材22に結合されたハンドルによって作動部材22に印加される力の量によって制限されるのではない。いくつかの実施形態において、前記ハンドルに印加される力が所定限度を超える場合には、停止部材504は、過剰な力を吸収して、過剰な力が脚部516の遠位端部に伝達されるのを防止し得る。従って、脚部516によって形成されたバスケットが所定の拡張限界に達すると、作動部材22に印加されるさらなる力はバスケットをそれ以上拡張し得ない。
【0051】
キャップ518の遠位端部は、停止部材504および脚部516の遠位端部を支持するように構成され得る。キャップ518は、長尺状コネクタ519によって、例えば長尺状部材12(
図1参照)のような長尺状部材の遠位端部に接続されるか、または他の場合には結合され得る。キャップ518は、略U字型もしくはC字型であってもよいし、または別の適当な形態を有してもよい。
【0052】
図6は、例示的な医療装置600の別の実施形態を示している。医療装置600は、脚部16の近位側、かつ作動部材602の遠位部分604と近位部分606との間に配置された停止部材608を備え得る。換言すると、停止部材608の遠位端部は、作動部材602の遠位部分604の近位端部に接続され得、かつ停止部材608の近位端部は、作動部材602の近位部分606の遠位端部に接続され得る。作動部材602は、引張ワイヤー、編組引張ワイヤー、複数の引張ワイヤー、制御ロッドなどのような任意の適当な作動部材であり得る。一実施形態において、作動部材602が近位に移動されるにつれ、停止部材608が拡張して、脚部16を第2の拡張位置に拡張させ得る。停止部材608の剛性は、作動部材602の近位方向における過剰拡張を防止するように選択され得る。作動部材602に印加される近位方向の力が所定の限度未満である場合には、その近位方向の力は停止部材608を拡張するのには不十分であり得、そのため遠位部分604、停止部材608および近位部分606は、それらの形態が互いに対してほぼ一定のまま、すべて遠位に移動し得る。しかしながら、前記近位方向の力が、例えばバスケット14および脚部16(
図1参照)の過剰拡張をさもなければ引き起こす時点まで増大されると、停止部材608が拡張し得る。停止部材608の拡張は、過剰な力を吸収し得、過剰な力がバスケット14および脚部16の過剰拡張を引き起こすのを防止する。作動部材602が遠位方向に解放されると、停止部材608は圧縮して、蓄積したエネルギーを開放し、それにより脚部516を第1の圧縮位置に移動させる。
【0053】
開示した医療装置を用いて肺を治療するために気道にエネルギーを送達する方法は、多くの連続的な、非連続的な、同時の、非同時の、または代替の工程を含み得る。最初は、開示した主題の原理に従って製造された医療装置が提供され得る。気管支鏡のような長尺状装置は、患者の口のような自然開口または外科的開口を介して挿入され得る。前記気管支鏡は、患者の肺の細気管支が後続する喉笛のような狭い管を通り抜けることが要求され得る。その後、前記気管支鏡によって治療の標的とされる細気管支が検分され、診察され得る。これに続いて、治療部位の領域に到達するために、前記気管支鏡の管腔内に医療装置10の遠位部分を挿入し得る。医療装置10の近位端部のハンドル(図示せず)は、電気外科用発電機(図示せず)のようなエネルギー発生器にさらに接続され得るプラグ(図示せず)に接続され得る。前記ハンドルまたは他のアクチュエータが引っ張られるか、または他の場合には作動される(例えば、近位に移動される)につれ、作動部材22に結合された突起202は、医療装置10の近位部分に向かって移動し得る。作動部材22の近位方向の移動は、脚部16を半径方向外側に撓ませ、脚部16上に配置された電極が気道壁と接触することを可能にし得る。それと同時に、電気外科用発電機が作動され、電流が前記プラグを通って作動部材22に流れ得る。さらに、作動部材22が前後に移動する(すなわち、往復運動する)際に、前記電流は作動部材22から突起202に伝わり得る。突起202および脚部16が接触し、かつそれらが導電性材料であるために、電流は突起202を介して脚部16の各々に伝えられ得る。脚部16が壁に対して外側に撓み、かつ電気的に活性化されると、電気エネルギーは制御された方法で脚部16から気道壁に伝えられ得る。
【0054】
本開示の実施形態は、気道における以外に、任意の医療環境もしくは非医療環境、または他の用途において用いられてもよく、その場合、壁に対する拡張脚部の制御が所望される装置を介して壁にエネルギーが適用される。加えて、前述の実施形態の少なくとも特定の態様は、本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態の他の態様と組み合わせられてもよいし、または除去されてもよい。
【0055】
本開示の他の実施形態は、本願に開示した明細書および実施形態の実施の検討から当業者には明白になるであろう。本明細書および実施例は、例示的に過ぎないものと見なされることが意図され、本開示の真の範囲および主旨は以下の特許請求の範囲によって示される。