(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441337
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】非眼光生物学的刺激
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20181210BHJP
H05B 37/02 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
H05B37/02 D
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-528400(P2016-528400)
(86)(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公表番号】特表2016-529963(P2016-529963A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】EP2014064882
(87)【国際公開番号】WO2015010920
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2017年6月29日
(31)【優先権主張番号】13177538.9
(32)【優先日】2013年7月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ノーラン ジュリアン チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ユーワイク アレクサンダー ヘンリカス ワルテルス
(72)【発明者】
【氏名】ファンデン ウィンガート ヒルブランド
(72)【発明者】
【氏名】ティー ヤリン
【審査官】
宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06350275(US,B1)
【文献】
特表2012−514498(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/049350(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06 − A61N 5/08
A61M 21/00
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一発光を介して非眼光生物学的刺激を提供するように構成される第一光源と、
ユーザの環境を照らす第二発光を介してユーザに眼刺激を提供するように構成される第二人工光源であって、第二発光は眼によって知覚される知覚照明環境を引き起こす、第二人工光源と、
前記第一発光から独立して前記第二発光を制御し、前記第二発光の制御に依存して前記第一発光を制御するコントローラとを有し、
前記コントローラが、ユーザの好みを受信し、前記第二発光が前記ユーザの好みに反することを前記コントローラが検出する場合、前記第二発光により提供される前記眼刺激の前記ユーザに対する影響に反作用するよう、前記コントローラは、前記ユーザの好みに基づき、前記第一発光を制御する、システム。
【請求項2】
前記システムが前記第二人工光源からの前記第二発光を感知するように構成される光センサを有し、前記コントローラが前記光センサによって感知される前記第二発光に依存して前記第一発光を制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが前記第二発光との調整に加えて前記ユーザの概日リズムに従って前記第一発光を提供するように構成される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一光源が前記ユーザの少なくとも一つの外耳道を介して光生物学的刺激を提供するように構成される耳内光源の形をとる、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第二人工光源が周辺光の形で前記第二発光を提供する、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第二人工光源が前記第二発光を介して前記ユーザの環境を照らすように構成される一つ以上の照明器具の形をとる、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第二発光が黄色バイアスを持つことを前記光センサが検出するとき、前記コントローラが、青色又は白色を持つように前記第一発光を制御するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが前記ユーザと関連する一つ以上のユーザ固有設定を有するユーザプロファイルに依存して前記調整を提供するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
一つ以上の処理ユニット上で実行されるときに、
ユーザに非眼光生物学的刺激を提供するように第一光源からの第一発光を制御する動作と、
前記ユーザに眼刺激を提供する少なくとも一つの第二人工光源によって提供される第二発光を制御する動作であって、前記第二発光は眼によって知覚される知覚照明環境を引き起こし、前記第二発光が、前記第一発光から独立して制御され、前記第一発光は、前記第二発光の制御に依存して制御される、動作と、
ユーザの好みを受信する動作と、
前記第二発光が前記ユーザの好みに反することを検出する動作と、
前記第二発光が前記ユーザの好みに反することが検出される場合、前記第二発光により提供される前記眼刺激の前記ユーザに対する影響に反作用するよう、前記ユーザの好みに基づき、前記第一発光を制御する動作と
を実行するように構成される、コンピュータ可読記憶媒体上で具体化されるコードを有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は例えば外耳道を通じて提供される照明を用いる非眼光生物学的刺激(non-ocular photo-biological stimulation)の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
光応答性メラノプシンはヒトの脳の多くの部分で見られる。メラノプシンは概日リズムの調節及び光への他の非視覚反応に関する光色素である。これは青色光に最も感度が高いが、可視スペクトルにおける光の他の波長にも感受性がある。
【0003】
WO2008/029001は感光性頭蓋内神経組織が外耳道を介して刺激され得ることを開示している。耳内光治療は可視スペクトルにおける高照度光を利用する。外耳道は光放射を吸収し、放射エネルギーは外耳道を通じてメラノプシンを含む頭蓋内神経組織の領域へと伝えられる。従って外耳道において提供される可視スペクトル光を通じて生物学的効果が生み出されることができる。これは以下を含む複数の最近発表された論文を通じて立証されている。
【0004】
"A New Independent User Study Published: Bright Light Headset Benefits are Comparable to Those of Bright Light Lamps"(http://www.prnewswire.com/news-releases/a-new-independent-user-study-published-bright-light-headset-benefits-are-comparable-to-those-of-bright-light-lamps-179445141.html)
【0005】
"Light-Responsive Melanopsin Found in Many Parts of the Human Brain"(http://www.prnewswire.com/new-releases/light-responsive-melanopsin-found-in-many-parts-of-the-human-brain-152310145.html)
【0006】
"The Emerging Roles of Melanopsin in Behavioral Adaptation to Light"(Megumi Hatori and Satchidananda Panda, The Salk Institute for Biological studies, http://panda.salk.edu/pdf/emergingrolesofmopn4.pdf)
【0007】
耳内光治療は複合オーディオ・発光ヘッドセットにも組み込まれ得る。
【0008】
さらに、EP2,550,993は外耳道を通じてだけでなく、他の頭蓋外位置からも非眼光治療が提供され得ることを開示している。これらは大脳によって形成される頭の"赤道"下の位置を含み、そこから光エネルギーが脳幹付近にある領域へと達し得る。この文献はそれらの位置から刺激され得る他の感光性タンパク質の存在にも言及する。
【0009】
非眼光治療は季節性情動障害(SAD)、片頭痛、不安神経症、強迫神経症(OCD)、アルコール及びニコチン中毒を含む様々な疾患の治療のために開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ユーザによって経験される雰囲気若しくはムードは、ユーザの環境における周辺光など、眼を通してユーザによって見られる光の強度と色に従って変化し得ることも知られている。本質的に感光性の網膜神経節細胞(ipRGC)若しくはメラノプシン含有神経節細胞など、眼の中の非像形成光受容体は概日リズムの同期化において主要な役割を担うことも知られている。照明環境は主に視覚系(網膜桿状体及び錐体)を介して知覚され、脳で解釈される。ipRGCは視覚系に寄与しないが、例えば体内の概日プロセスを調節する他の機構及び経路と相互作用する感光性細胞(メラノプシンが光色素である)である。例えば、こうした作用は季節性情動障害(SAD)のような疾患を治療する従来の眼光治療において利用され得る。
【0011】
歴史的に光治療は周辺光及び/又は専用作業光を介して眼を通じて適用されていた。従来の照明システムを通じて治療を提供することは、生成される光全てが眼によって知覚され得るので、供給光の視覚効果(例えば光の像形成機能)と供給光の非視覚効果(例えば概日リズムを制御する非像形成機能)とを分離若しくは区別しない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示では、眼刺激と非眼刺激の両方を通じて治療が提供され、ユーザによって受容される周辺光と生物学的光が二つの異なる照明源の間で分けられ得る。周辺光源若しくは他の眼光源は従来手段によって提供され、眼によって検出され得るが、非眼光源は例えばLED及び/又は光ファイバによって提供され、外耳道へ適用され得る。ここでこれは生物学的効果を作り出すメラノプシンなどの光色素付近を照らす。
【0013】
今日、非眼光生物学的光治療及びユーザ環境に偶然存在する任意の周辺光は別々の非協調照明源によって提供される。従って、特別な複合利益はない。例えば、ユーザは周辺光設定との関連で非眼光刺激を個別に調整する能力を持たない。眼刺激と非眼刺激の効果の間にいかなる相乗効果の余地もない。
【0014】
他方で本開示の一態様によれば、第一発光を介してユーザに非眼光生物学的刺激を提供するように構成される第一光源と、ユーザに周辺光若しくは他の眼光刺激を提供するように構成される少なくとも一つの第二光源によって提供される第二発光と第一発光の制御を調整するように構成されるコントローラとを有するシステムが提供される。
【0015】
第一光源はユーザの少なくとも一つの外耳道を介して光生物学的刺激を提供するように構成される耳内光源を有し得る。代替的に若しくは付加的に、第一光源は一つ以上の他の頭蓋外位置から非眼刺激を提供し得る。第二光源は周辺光の形で第二発光を提供し得る。第二光源は人工光源の形を取り得る。例えば、第二光源は第二発光を介してユーザの環境を照らすように構成される一つ以上の照明器具を有し得る。このような場合、コントローラは第二発光によって引き起こされる知覚された照明環境と第一発光の制御を調整する。代替的に若しくは付加的に、第二光源はユーザの一方若しくは両方の眼に光を供給するように構成される、特別に適応された眼鏡若しくはゴーグル、又はバイザー、単眼鏡、ヘッドセット若しくはヘッドレストなど、有向光源を有し得る。しかしながら、眼に接近して(3cm以内)位置付けられる眼光源は対象に対して及び対象に接近して位置付けられ、従って周辺照明環境を引き起こさない。
【0016】
眼発光及び非眼発光は好適には同時に若しくは時間的に重なって適用される。実施形態において、調整は(非眼刺激を提供する)第一発光及び(眼刺激を提供する)第二発光の一方若しくは両方を制御してユーザに対する他方の効果に反作用することを有し得る。代替的に、調整は第一発光及び第二発光の一方若しくは両方を制御して他方の効果を増強することを有し得るか、又はコントローラは異なる状況における使用のためにこれら二つの異形の両方を実現するように動作可能であり得る。コントローラは第一及び第二発光の少なくとも一方を他方に依存して制御するように構成され得る。
【0017】
一実施形態において、システムは第二光源を有し、第二光源は第二発光を介してユーザに眼刺激を提供するように構成され、コントローラは第二発光を制御するように構成される。コントローラは第一発光から独立して第二発光を制御し、第二発光の制御に依存して第一発光を制御するように構成され得る。例えば、コントローラは複数ユーザ間で共有される室内の照明を制御し、多数の好み若しくは共同作業環境に適した特定周辺光設定、例えば航空管制塔、飛行機客室、若しくはラボクリーンルームにおいて見られ得るような薄暗い若しくは黄色バイアスを伴う、並びにユーザに鎮静若しくは沈静効果を及ぼし得る周辺照明を設定し得る。ある特定ユーザが覚醒状態を保ちたい場合、コントローラはユーザの好み若しくは要求を受信し、現在の周辺光設定がその好み若しくは要求に反するという事実を検出し、応答して白色、青色若しくは青色バイアスの光を外耳道へ適用して、覚醒感を誘導して周辺光の効果に少なくともいくらか反作用し得る。
【0018】
第二の、非眼光源を介して適用される光は付加的にユーザの概日リズムに従って制御されてもよく、例えば飛行機での時差ぼけを治療するために、非眼光は客室照明が低く設定されているがユーザの概日リズムは"日中"フェーズにあるという決定に応答して適用され得る。
【0019】
別の実施形態において、コントローラはユーザが単一ユーザオプションの下で一緒に眼光及び非眼光の特定の組み合わせを選択することを可能にし得る。例えばユーザは"居心地がよくリラックスした"、"居心地がよく覚醒した"、"穏やかで覚醒した"、及び/又は"穏やかでリラックスした"などの個別オプションのセットを提示され得る。ユーザが例えばオンスクリーンメニューから例えば単一オプション"居心地がよく覚醒した"を選択する場合、その単一オプションの選択に応答してコントローラは第二の眼光源を赤色若しくは赤色バイアス発光へ、第一の非眼光源を青色若しくは青色バイアス設定へ設定する。
【0020】
別の実施形態において、システムは必ずしも第二光源を有さず、コントローラは必ずしも第二光源を制御するように構成されない。代わりに、システムは第二光源からの第二発光の一つ以上の特性を感知するように構成される光センサを有し、コントローラは光センサによって感知される第二発光に依存して第一発光を制御するように構成され得る。例えば、センサは飛行機客室、管制塔若しくはラボなどの環境における周辺光が薄暗い若しくは黄色バイアスを持つことを検出し、応答してコントローラは白色、青色若しくは青色バイアス光を外耳道に適用し得る。
【0021】
さらに別の実施形態において、コントローラ及び第一の非眼光源は近視など、日光の欠如によって少なくとも部分的に生じる若しくは悪化される疾患を治療するために使用され得る。この場合、第二光源は太陽であり第二発光は自然日光である。ユーザが十分な日光にさらされていないか若しくは日光に全くさらされていない場合、コントローラはタイマーを用いることによって見えない日光と自動的に協調し、太陽の日周リズムを自動的に模倣し、それによってユーザの概日周期を刺激するように構成され得る。
【0022】
本明細書に開示のさらなる態様によれば、コンピュータ可読媒体上で実行されるときに上記コントローラ機能のいずれかに従って動作を実行するように構成されるコンピュータプログラム製品が提供される。
【0023】
本開示のよりよい理解のため、及び実施形態がどのように実施され得るかを示すために、例として添付の図面が参照される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は非眼光治療の一実施例を図示する。ユーザ2は脳6と外耳道を持つ少なくとも一つの耳4とを有するヒト若しくは他の無脊椎動物である。脳6は感光領域8を持つ。第一光源10は可視スペクトル光12の適用を通して一つ以上のかかる領域に非眼光生物学的刺激を提供するように構成される。実施形態においてこの光は外耳道を通じて、高効率LED若しくは他の照明部品を用いて直接、又は間接的に適用され、この場合LED若しくは他の照明部品からの光は光ファイバ部品を用いて耳に伝導される。実施形態において、第一光源10はユーザ2の一つ以上の外耳道への挿入のための一つ以上の耳内照明素子を有する耳内光源の形をとり得る。これらは"イヤホン(ear buds)"とよばれることがあり、インイヤーオーディオヘッドホンに形が類似し得る(並びに実施形態においてユーザ2へ音楽若しくは他のオーディオを再生するように構成される一つ以上のスピーカも有し得る)。
【0026】
第一光源10からの発光12は外耳道及び/又は鼓膜の表面に入射し、放射エネルギーは感光領域8の一つ以上へ伝搬し、生物学的反応を刺激する。このような光生物学的刺激を裏付ける機構は次の通り説明され得る。まず、メラノプシンなどの一つ以上の感光性光色素が網膜以外の脳の領域に存在し、この光色素が外耳道へ導入される光による影響を受け得る。さらに、光刺激下で、メラトニンが生成され、これは親油性であるため脳脊髄液と血液に容易に拡散することができ、そしてこれがユーザ2に対する生物学的効果に関与する。
【0027】
図2及び3を参照すると、非眼光12に加えて、ユーザ2の(両)眼へ流れる第二の光寄与16が、固有特性を持つ光を生成するように構成される一つ以上の照明器具、又は専用照明眼鏡若しくはゴーグル、又は汎用スマート眼鏡若しくはゴーグルなどの第二光源14から提供される。第二光源14はユーザの片眼若しくは両眼に光を供給するためのバイザー、単眼鏡、ヘッドセット、帽子、ブース、ヘッドレスト若しくは他の構成の形もとり得る。一つ以上の照明器具から提供される周辺光の例は以下で言及される。
【0028】
ユーザによって受容される周辺光と非眼光はこのように分離され、二つの異なる照明源が各々をそれぞれ発するために使用される。この構成を用いてユーザは所望の照明環境で家若しくはオフィスなどの環境において周辺光にさらされ得る。非眼光は雰囲気を害さず、なおかつ、例えば知覚された照明環境と通常関連するものとは異なり得るがそれでもその環境になお関連し得る生物学的効果を作り出すために使用され得る。
【0029】
第一の実施形態は
図2に関して記載される。これは、ユーザ2の少なくとも一つの耳に光12を発するための第一光源10;ユーザ2の少なくとも一つの眼によって受容される光16を発するための第二光源14;ユーザ2のための所要の生物学的及び情動的効果に基づいて光を生成するように第一及び第二光源10、14を制御するためのコントローラ18を有する、眼及び耳に光を提供するための制御された光システムを図示する。代替例は耳を通じて提供される光によって作られる所要の生物学的効果と眼を通じて光によって作られる機能的効果とに基づき、後者の実施例はオフィス照明の視覚機能である。コントローラ18は一つ以上の処理ユニットを有するプロセッサ20、及び磁気若しくは電子ストレージなどの一つ以上の記憶媒体を有するメモリ22の形で実現され、プロセッサ20は制御機能を実行するメモリ22上に記憶されるコードを実行するように構成される。代替的にコントローラ18の機能の一部若しくは全部はFPGAなどの専用ハードウェア回路若しくは再構成可能ハードウェアにおいて実現され得る。いずれにしても、コントローラ18は例えば光源10、14への有線若しくは無線接続を伴う専用壁掛けユニットにおいて、又は光源10、14への無線接続を伴う専用若しくは汎用ポータブルユニットにおいて、いかなる適切な一つ若しくは複数のユニットにおいて実現されてもよい。実施形態において、コントローラはスマートフォン、タブレット若しくはラップトップ上で実行される無線アプリケーションとして実現され得る。実施形態において機能及び部品20、22は単一ユニット上で実現されるか若しくは複数(リモート)ユニット間にわけられてもよく、例えばユーザインターフェースはポータブル端末上で実現されるが設定及び/又はプリファレンスはサーバ上に記憶される。
【0030】
開示のアイデアは、眼によって知覚される照明環境が別々に作り出され得るが、網膜領域以外の脳の領域において光色素によって検出される生物学的照明効果と関連を持つ若しくは少なくともある程度の協調を持つように、眼、外耳道及び/又は脳の他の領域における光受容体と関連する光受容体によって検出される光の特性を個別に制御することができる改良された"脳"照明システムを提供することである。
【0031】
実施形態において、非眼光治療が適用される期間は概日リズム及び適用目的に基づき得る。短期効果は集中、覚醒に影響を及ぼす若しくは興奮を高めるために使用され得る。長期使用は概日リズム調節のために要求され得る。
【0032】
システムは複数の方法で構成され得る。例えば(人々がその雰囲気を好きなので)赤色光が眼のために表示され得るが同時に(ユーザを覚醒したままにするために)青色光が耳に適用される。眼のための光はユーザのムードと好みに基づいて変調されてもよい。別の実施例において、耳からの生物学的効果をさらに増強するために眼によって観察される光に青色成分が追加され得る。
【0033】
アイデアは以下の生物学的利点の一つ以上を実現するために使用され得る。第一に、耳内の光に基づいて、好適には少なくともスペクトルの青色端(430〜480nm)へ向かうバイアスを伴って、集中、覚醒及び/又は興奮を増強するために生物学的制御が適用され得る。第二に、光の供給が眼を介さないので、例えば青色光障害に関連する安全性の問題が従来の光治療よりも少ない。第三に、必要なとき、光治療は消費者固有周期的光照射による概日リズム変調のために使用されることができる。高照度光によるドーパミン放出の刺激は近視を抑制することもできる。従ってムードだけでなく健康及び福祉の向上のための照明が注目され得る。
【0034】
従って耳への光の適用からの生物学的効果は、スペクトルの増強青色部分によるSADの治療、概日リズム調節(青色スペクトル制御)、老化防止(自然高メラトニンレベルを維持する青色スペクトルの抑制)、及び/又は(輝度を通じた)近視抑制を含み得る。
【0035】
これらは眼によって知覚される照明環境と組み合わされ得る。赤橙色、赤色、黄色、及び黄緑色などの暖色は晴れやかで居心地のよい雰囲気を引き起こし得る。例えば赤色は暖かい雰囲気と関連し、覚醒、食欲及び会話を刺激し得るが、一方黄色は陽気な雰囲気と関連し得る。紫色、青色及び青緑色などの寒色は沈静効果を持つ雰囲気を引き起こし得る。
【0036】
システムは二つの異なる動作モードの一方若しくは両方で動作するように構成され得る。第一のモードでは周辺及び耳内照明レベル及び特性の両方が単一コントローラ18によって制御され、互いに依存する。コントローラ18のメモリ22はユーザがそこから選択することができる個別オプションのセットを記憶する。各オプションは設定の特定の組み合わせ:眼光用の特定設定と非眼光用の特定関連設定にマップする。眼光及び非眼光設定は従ってそれらが自由に変化することができず、むしろ一方は同じオプションにマップされる他方の対応設定に従って各設定に設定されることを余儀なくされるという意味で互いに依存するといえる。オプションの各々について、各々の関連する眼設定及びその各々の関連する非眼設定はルックアップテーブルなどのデータ構造の各エントリにおいてメモリ22に関連して一緒に記憶される。例えばメモリ22は次のようなオプションのセットを記憶し得る。
【表1】
【0037】
コントローラ18はユーザがオプションの中から選択し、選択したオプションの設定の各ペアを適用するためにそれに従って第一光源10と第二光源14を制御することを可能にするように構成される。オプションは例えば複数のメニュー選択の形でユーザに提示され得る。実施形態において、オプションのセットはシステムデザイナーによって事前設定され得るか、又はユーザが例えばスマートフォンベースコントローラへ自分の好みを入力し得る。
【0038】
例えば、ユーザは自分の意識をよりはっきりさせるために光治療を使用しているかもしれないが、同時にユーザが暖かく心地がよいと感じる雰囲気において作業したいかもしれない。ユーザは従って"居心地がよく覚醒した"を選択する。これは長期の覚醒向上を作り出す青色バイアス耳内光設定と組み合わせて、短期の暖かく居心地がよいムードを作り出す赤色バイアス周辺光レベルを有し得る。結果として照明器具及び耳内照明からの光出力はユーザが所望した長期生物学的照明効果と短期情動的照明効果が実現され得るようなスペクトルを含む特性に関してバランスがとれている。別の実施例として、"冷静で覚醒した"の設定の場合、耳内光源は、(強い青色スペクトルバイアスを含む)その"冷静"設定において照明器具14によって周辺照明が既に提供されている背景において、(例えば青色光によって)ユーザの長期覚醒が最大化され得るようなレベルに設定され得る。
【0039】
別の実施例において、周辺光は短期ムード若しくは情動的効果を制御するために使用され得るが、一方耳内光は長期生物学的効果を提供するために使用され得る。ホルモン効果を持つ光治療は視覚システムを介して直接キャプチャされる周辺光及びムード設定におけるいかなる変化よりも長く持続する。従って長期効果は効果を作り出す光治療の持続期間よりも実質的に長く持続する生物学的効果を持つものとみなされ得る。例えば、ユーザは耳内照明を介して概日リズム治療若しくはSAD治療などの長期光治療を経験しているかもしれない。しかしながら同時にユーザは他の周辺照明要件を伴う環境において作業しているかもしれない。例えば仮にユーザが飛行機若しくはクリーンルームなどの薄暗い又は赤色若しくは黄色バイアス環境にいることに気が付くが、SAD若しくは概日リズム治療は高照度白色光を要するような段階にあるとする。逆に、ユーザは共同オフィスなどの明るく照らされた環境にいることに気が付き得るが、SAD若しくは概日リズム治療は(例えばユーザがその国のオフィスに到着したばかりであり時差ぼけしているので薄明若しくは夕日のような)赤色バイアス光を要している。これらのシナリオに対応するためにコントローラ18及びメモリ22は、"飛行機客室、SAD日中フェーズ"(暖色温度での薄暗い周辺光、明るい白色耳内光);及び"オフィス、SAD薄明フェーズ"(明るい周辺光、赤色バイアス耳内光)などの相補的設定のペアを各々が定義するオプションのセットで構成され得る。
【0040】
第二のモードにおいて、周辺光(例えば短期ムード若しくは情動的効果)及び耳内光(例えば長期生物学的効果)設定は個別に制御されることができ、周辺光16は独立して設定されるが耳内光設定は周辺光設定に依存して制御される。この場合コントローラ18は(複数の)耳内光源10のいかなる設定によっても制約されることなく(複数の)周辺照明器具14へ設定を適用するように構成される。例えばこれは室内のライトのユーザ設定、又は既に存在する自然光の量などの所定条件を検出することに応答してコントローラ18によって設定される自動設定であり得る。コントローラ18は一人以上のユーザの(複数の)耳内光源10の耳内照明12も設定する。しかしながら、耳内照明12は周辺照明16に適用される設定に依存して設定される。実施形態において、コントローラ18は周辺照明設定の効果を相殺するために、又は逆に周辺照明設定の効果を増大するために、耳内照明を自動的に制御するように構成され得る。
【0041】
例えば、複数人が働いているオフィス内で周辺照明は一定であり得るが、個々の労働者はその個人的好み、現在さらされている周辺光、及び/又はその光暴露履歴と関連する長期効果に基づいて、生物学的光に対する異なるニーズに個別に対応することができる。別の実施例において、クリーンルーム環境において労働者はスペクトルの黄色端へ向かう強いバイアスを伴う光にさらされる。この場合労働者は耳内照明を用いてこの終日の生物学的眼光バイアスの望まない生物学的効果を相殺することができる。実施形態において耳内設定はユーザのプロファイル若しくは好みによっても決定され得る。
【0042】
第二の実施形態は
図3に関して記載される。ここでシステムはコントローラ18が第一光源10を制御するが第二光源14を必ずしも制御しないように構成される点を除き
図2のものと同様である。代わりに、コントローラ18は第二光源14からの光16の少なくとも一つの特性、例えばその強度及び/又はその色若しくはスペクトルについての情報を感知するように構成されるセンサ24に結合される。この場合第二光源14は環境内の任意の独立光源であり得、例えば周辺照明を提供し個別コントローラ若しくはスイッチから制御される一つ以上の照明器具であり得る。
【0043】
第一の実施形態のように、第一光源10を制御するコントローラ18はユーザに必要な生物学的効果に基づいて非眼光刺激用の光12を生成するように光源を制御するように構成される。しかしながら第二の実施形態においてこれは第二光源14から発せられる光16を検出するためにセンサ24を使用し、この検出に依存して第一光源(例えば耳内光源)から発せられるべき光12を計算することによってこれを行うように構成される。
【0044】
第二の実施形態は、例えばSADの治療、又は周辺照明の効果に反作用する/増強することなど、第一の実施形態に関して記載された非眼治療と関連する効果若しくは利点のいずれか一つ以上を実現するために使用され得る。
【0045】
コントローラ18は知覚照明環境補正器となるように構成され得る。これはフォトセル若しくはカメラ(例えばモバイルデバイスに組み込まれる)などの光センサを用いて実際の周辺照明環境16の一つ以上の属性を決定する。コントローラ18は例えばユーザの好み、音楽の種類、場所及び/又は活動などにリンクした、所望の照明環境若しくは所望の生物学的効果も決定する。そしてコントローラ18は実際の及び所望の光環境又は実際の及び所望の生物学的効果の間の差を計算し、眼によって知覚される光環境16を補うために耳内発光12の所要属性を決定し、所望の光環境及び/又は所望の生物学的効果を近似するために耳内照明装置10の一つ以上の属性を変化させる。
【0046】
一つの例示的な使用事例において、ユーザは強い黄色バイアスを伴う光によって照らされるクリーンルーム内で作業する。周辺照明条件が検出され、耳内生物学的照明システム10のための設定を決定するために使用される。例えば、ユーザがクリーンルーム照明の効果を補正するために二時間の耳内青色光治療を要することが決定され得る。実施形態においてコントローラはスマートフォンのようなモバイル端末上で少なくとも一部実現され得る。決定された補正レベルはスマートフォンを介してユーザに提示され、そしてユーザはその個人的好み及びニーズに従ってこれを変更する機会を持つ。
【0047】
第三の実施形態は
図4に関して記載される。第三の実施形態はセンサ24の代わりにコントローラ18がタイマー26を有する点を除き第二の実施形態と同様である。また、第二光源14はこの実施例では第一及び第二の実施形態のように人工光源ではなく、太陽である。この実施形態において例えばユーザは一日の全部もしくはほとんどを屋内で過ごすので、ユーザ2は必ずしも第二の(自然)光源14の視界を持たなくてもよい。コントローラ18もこれが同期している光源14の視界を持つ必要がない。代わりに、これは太陽の場合日周リズムである第二光源の周期的リズムに同期するためにタイマー26を用いることによって第二光源14に第一光源10を調整する。
【0048】
例えばコントローラ18は毎日所定時間に自動的にオン及びオフにスイッチするように、又はそのような時間の間に、例えば日中、若しくはユーザがそれ以外は自然光にさらされるべき日中の所定時間帯、変化するようにプログラムされ得る。これは自然周期を奪われるときであっても、ただし高照度光による厳しい若しくは不都合な眼治療の必要なしに、ユーザの概日リズムを刺激するのに役立ち得る。
【0049】
例示的な使用事例は共有オフィス環境において他のユーザを邪魔することなく、また異なる周辺オフィス照明を要することなく、外耳道を介して補助青色光を提供することによって昼食後の眠気を回避することである。オープンプランオフィス内の多くのユーザはその個人的BGMを提供するインイヤーヘッドホンを既に使用しているかもしれないので、この時間ベース、活動ベース若しくはカレンダーベースの非眼光治療は容易に実施されることができる。
【0050】
別の例示的な使用事例は近視を治療することである。高照度光はドーパミン放出を刺激し、それによって近視を抑えることができる。好都合な光の強度と波長は増大した網膜ドーパミンレベルを刺激し得る。例えば"Myopia, Light and Circadian Rhythms"(John R Philips, Simon Backhouse and Andrew V Collins; Advances in Ophthalmology; Department of Optometry and Vision Science, The University of West Aukland, New Zealand)参照。CN1,432,348も参照。
【0051】
網膜以外の場所で産生されるドーパミンが近視抑制に効果を持ち得ることを示す証拠もある。L-Dopaはドーパミン濃度を増す薬剤であり、これは対象が光を奪われるときに生じる近視シフトを抑制することが示されている。"Effects of Apomorphine, a Dopamine Receptor Agonist, on Ocular Refraction and Axial Elongation in a Primate Model of Myopia"(Michael Luvone et al, Investigative Ophthalmology & Visual Science, Vol. 32, No. 5, April 1991);及び"Light Levels, refractive development, and myopia - A speculative review"(Thomas T Norton et al, Experimental Eye Research 2013, 1-10, Department of Vision Sciences, School of Optomometry, University of Alabama at Brimingham, USA, http:dx.doi.org/10.1016/j.exer.2013.05.004)参照。
【0052】
これはドーパミンが眼を通じた光刺激を介して産生されるかどうかにかかわらずドーパミンレベルの増加が近視の進行を抑制し得ることを示す。従ってドーパミンを産生する外耳道を通じた光刺激は近視に対してL-Dopaと同様にプラスの効果を持ち得るが、副作用は伴わない。
【0053】
近視は子供が十分に屋外に出ない都市において大きな問題になり得る。研究者らは毎日2〜3時間屋外に出ることを推奨する。自然光は約5,000‐50,000ルクスの間で変動する。(一定であることとは対照的に)明滅する光はドーパミン産生にとって一層好ましい可能性があり、従って非眼耳内光刺激に非常によく適している。他方で、光は間違った時間(概日リズムと同期しない)に提示される場合、近視にとって悪い可能性がある。
【0054】
特定の問題は近視抑制に役立つドーパミン増強光治療を子供が必要とするが、彼らが正しい時間に治療を行う、又は逆に悪い時間に治療を行わないことを当てにできない場合に起こり得る。
【0055】
第三の実施形態は正しい条件下でのみ自動的に子供及び十代の若者に治療を提供するようにコントローラ18を構成することによって解決法を提供する。光刺激は特定ユーザのために自動的に決定され、ユーザにとって正しい時間(概日リズムに悪影響がない)においてのみ駆動される。これは付加的にユーザ光プロファイル及び要件に基づき得る。
【0056】
実施形態において、耳内光ヘッドセット10は、例えば光を生成して制御するmp3プレーヤーアクセサリを作り出すmp3プレーヤーアタッチメントとともに、イヤホンに組み込まれ得る。
【0057】
システムは概日リズムに従って調節された光刺激を提供し得る。ユーザはタッチスクリーンの指紋など、バイオメトリクス若しくは他のログイン情報でログインする。これに基づいて、コントローラ18は年齢を含むユーザのアイデンティティを決定するように構成される。これは時刻を読む時計26も組み込む。コントローラ18は例えば遺伝子プロファイル情報若しくは使用平均プロファイルからユーザの概日周期を決定し得る。子供が付随光デバイスを伴うmp3プレーヤーを使用し、子供の概日周期の"日中"フェーズにあるとき、コントローラ18は耳を通じて光治療12を提供するために耳内光源10を操作する。所要刺激持続期間を超えると、コントローラ18はこの光10、12をオフにする。コントローラ18及び光源10は子供が耳内光12を手動で駆動するのを防ぐように構成される。
【0058】
オプションとして、コントローラ18は時間依存光プロファイルとユーザ年齢からドーパミン光刺激のためのユーザの推定要件を決定し得る。刺激が要求される場合、コントローラ18は最適強度と持続期間を決定する。刺激が要求されないとみなされる場合、子供が"日中"フェーズにある間にヘッドホンを使用している場合であっても光は駆動されない。コントローラ18はユーザの活動及び光暴露を決定するために利用可能であればセンサデータを用いて、場所、コンピュータ使用パターン及び屋外活動に基づいて推定ユーザ光プロファイルを構築するように構成され得る。コントローラ18は概日周期を決定するために例えば睡眠アプリ若しくはユーザのカレンダーから利用可能であれば睡眠及び/又は歩行データを使用するように構成され得る。実施形態においてコントローラはより多くの利益を作り出すように耳内光12にフリッカーを適用し得る。
【0059】
なおさらなる実施形態において、コントローラ18は異なる状況における使用のための異なるモードとして第一、第二及び第三の実施形態の二つ以上を実施するように構成され得る。
【0060】
当然のことながら上記実施形態はほんの一例として記載されている。開示の実施形態への他の変更は図面、開示、及び添付の請求項の考察から請求される発明を実践する上で当業者によって理解されもたらされることができる。請求項において"有する"という語は他の要素若しくはステップを除外せず、不定冠詞"a"若しくは"an"は複数を除外しない。単一のプロセッサ若しくは他のユニットは請求項に列挙される複数の項目の機能を満たし得る。特定手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実はこれら手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。コンピュータプログラムは他のハードウェアと一緒に若しくはその一部として供給される光学記憶媒体若しくはソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/分散され得るが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムなどを介して他の形式で分散されてもよい。請求項における任意の参照符号は範囲を限定するものと解釈されるべきではない。