特許第6441341号(P6441341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441341
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】帯水層浄化用コロイド剤
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20060101AFI20181210BHJP
   B01J 13/00 20060101ALI20181210BHJP
   B09C 1/02 20060101ALI20181210BHJP
   B09C 1/08 20060101ALI20181210BHJP
   C09K 17/40 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   C02F1/28 DZAB
   B01J13/00 B
   B09B3/00 304K
   C09K17/40 Z
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-531939(P2016-531939)
(86)(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公表番号】特表2016-532549(P2016-532549A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】US2014049468
(87)【国際公開番号】WO2015017820
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2017年7月28日
(31)【優先権主張番号】61/861,854
(32)【優先日】2013年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504066575
【氏名又は名称】リジェネシス バイオリメディエイション プロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】モーク、ベンジャミン ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】グラビット、ジョイ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ファーガソン、リアン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】リッテンハウス、ステファニー アール.
(72)【発明者】
【氏名】ソレソン、クリステン エイ.
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−508130(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0189761(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0058724(US,A1)
【文献】 特表平07−505336(JP,A)
【文献】 特開昭63−280127(JP,A)
【文献】 Katrin Mackenzie(外3名),Carbo-Iron An Fe/AC composite - As alternative to nano-iron for groundwater treatment,WATER RESEARCH,2012年,46,3817-3826
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/28
B01J 13/00
B09C 1/02
B09C 1/08
C09K 17/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯水層浄化において使用するための組成物であって、
粒状活性炭と、
安定化ポリマーと、
水と、
分散強化剤であって、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー、及びキレート剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記キレート剤はクエン酸塩と、リン酸塩と、ケイ酸塩と、ホウ酸塩と、硫酸塩と、炭酸塩と、アミノカルボン酸及びその塩と、ポリアミンと、それらの組み合わせとからなる群から選択される、分散強化剤とを含み、
粒状活性炭:安定化ポリマー:分散強化剤の比は、重量による互いに対する相対量で、1:0.01〜1.0:0.01〜1.0の範囲の比で存在し、前記粒状活性炭は水に対し0.01%〜70.0重量%で存在する、組成物。
【請求項2】
粒状活性炭:安定化ポリマー:分散強化剤の前記相対量は、1:0.05〜0.5:0.025〜0.5の範囲の比にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記安定化ポリマーは、アニオン性ポリマー及び非イオン性ポリマーからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記安定化ポリマーは、カルボキシルメチルセルロースと、カラギーナンと、ポリアクリレートと、キサンタンガムと、それらの組み合わせとからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記分散強化剤の前記非イオン性界面活性剤は、アルキルポリエチレンオキシドと、エチレンオキシドポリマーと、ポリエチレンオキシドラウリルエーテルと、エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーと、それらの組み合わせとからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記粒状活性炭は、前記水に対し重量で0.05%〜40.0%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記粒状活性炭は、前記水に対し重量で0.1%〜20.0%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記粒状活性炭は0.1〜10μm(ミクロン)の範囲の粒子サイズを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
土壌及び地下水からの汚染物質を捕捉又は固定化する方法であって、
a)水性混和物を生成する工程であって、前記水性混和物は、
粒状活性炭と、
安定化ポリマーと、
水と、
分散強化剤であって、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー、及びキレート剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記キレート剤はクエン酸塩と、リン酸塩と、ケイ酸塩と、ホウ酸塩と、硫酸塩と、炭酸塩と、アミノカルボン酸及びその塩と、ポリアミンと、それらの組み合わせとからなる群から選択される、分散強化剤とを含み、
粒状活性炭:安定化ポリマー:分散強化剤の比は、重量による互いに対する相対量で、1:0.01〜1.0:0.01〜1.0の範囲にあり、
前記粒状活性炭は、前記水に対し重量で0.01%〜70%の範囲の量で存在する、工程と、
b)工程a)で生成される前記水性混和物を前記土壌及び前記地下水に与える工程と、を備える、方法。
【請求項10】
工程b)において、前記水性混和物は前記土壌及び前記地下水への注入によって与えられる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記注入は、高圧注入又はフラクチャリングを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程b)において、前記水性混和物は前記土壌及び前記地下水に対する重力供給によって与えられる、請求項に記載の方法。
【請求項13】
工程b)において、前記水性混和物は浸透によって与えられる、請求項に記載の方法。
【請求項14】
工程a)において、前記粒状活性炭は0.1〜10μm(ミクロン)の範囲の粒子サイズを有する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状活性炭の安定化された組成物と、土壌及び地下水から汚染物質を吸収するためのこのような組成物の使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭は、水から有機及び無機汚染物質を除去するための吸着媒体として一般に使用される。活性炭は、工業プロセス用水を無害化するための処理システムにおいて、及び汚染地下水の地上処理のための汲み上げ処理システムにおいて使用される。使用において、活性炭は、典型的には、粒体又は粉体の形態で生産及び使用され、その粒子は移動床又は固定床処理システムに充填されるか、汚染を受けている領域上に散布又は分散される。
【0003】
土壌及び地下水に対する活性炭の原位置(現場)適用によって、炭素上への吸着を介して地下水からの汚染物質の捕捉又は固定化が可能となる。それにより、汚染プルームの移動が抑制され、人の健康や生態系を損なうリスクが低減される。環境浄化における使用のための炭素系組成物に関する従来技術による教示の例には、以下の参照文献が含まれる。
【0004】
フェントン(Fenton)に対し1987年5月12日に発行された特許文献1(「地下水汚染対策(GROUNDWATER POLLUTION ABATEMENT)」)では、プルームを停止させるため、地中に縦穴を掘削し、地下水プルームの経路に汚染物質用の吸着剤を注入することが開示されている。特許文献1では、吸着剤としての活性炭の使用と、吸着剤スラリーに対する安定化物質の添加とがさらに開示されている。
【0005】
コピンケ、エフ.−ディー.(Kopinke,F.−D.)、ウォスジードロ、エス.(Woszidlo,S.)、ジョージ、エー.(Georgi,A.)による2004年3月2日に出願された特許文献2(「汚染された帯水層の原位置除染のためのプロセス(Verfahren zur in−situ Dekontamination schadstoffbelasteter Aquifere)」)では、コロイド状炭素の注入による汚染された帯水層の原位置除染のためのプロセスが開示されている。特許文献2では、10μm(ミクロン)未満の炭粒子サイズが最適であることと、イオン強度によってコロイドの輸送が抑制されることとが開示されている。特許文献2の発明の目的は、脱イオン水で流すか帯水層のpHを上昇させることによって、地表下における炭素コロイドの分散を増加させることである。
【0006】
また、非特許文献1でも、コロイド状活性炭による帯水層処理について記載されており、安定性及び移動性のために0.1〜10μmの活性炭の粒子サイズが必要であることが記載されている。最適な粒子サイズは、0.5〜2μmであると開示されている。さらに、非特許文献1では、フミン酸及びカルボキシメチルセルロース(CMC)が活性炭コロイドの安定剤であり、炭素上への10%未満の最大充填を有し得ることが教示されている。
【0007】
非特許文献2は、汚染物質処理用の鉄金属粒子が組み込まれた活性炭材料である「カーボ−アイロン(Carbo−iron)」の使用を教示する論文である。カーボ−アイロンは、主に活性炭からなり、コロイド状材料としての活性炭と同様の挙動を有する。非特許文献2では、カーボ−アイロン上へのCMCの最大充填が7重量%であり、CMCの充填が5重量%を超えると、それ以上の安定化の利益は得られないことが示されている。
【0008】
前述の参照文献の全ての教示が本明細書に援用される。しかし、それらの教示にもかか
わらず、原位置活性炭処理の使用及び有効性に関して相当な制限が存在する。特に、固体の粉体又は粒体材料としては、活性炭は、汚染水の領域に達するように土壌を通じて分散することができない。その代わりに、活性炭は、トレンチを通過する水を処理するためにトレンチの中に与えられる必要があるか、又は、帯水層において限定された移動性しか有しない又は全く移動性を有しないスラリーとして注入される必要がある。この移動性の欠如によって、処理の費用が非常に高くなる一方、汚染水との接触は極めて低いままとなる。この高い費用は、主として、汚染領域を全面的に処理するために必要な適用箇所の数が大きいことによる。
【0009】
汚染された地下水の処理を促進するには、汚染区域に達するように帯水層を通じて効果的に輸送される一方、汚染物質に対する強い吸着剤のままであることができる形態の活性炭を有することが望ましい。
【0010】
前述される従来技術である非特許文献1及び非特許文献2では、カルボキシルメチルセルロースナトリウム(ポリアニオン性ポリマー)がコロイド状活性炭を沈降に対して安定化させることが開示されている。カルボキシルメチルセルロースナトリウムは、原位置での土壌及び地下水を通じた活性炭の輸送を増加させる何らかの影響も有する。汚染された地下水に炭素が接触するにしたがって、汚染物質は溶液から炭素粒子上に吸着される。カルボキシメチルセルロースによって安定化されるコロイド状炭素は、帯水層においても多少は輸送されることができるが、水のイオン強度によって不安定化され堆積する(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,664,809号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1,462,187号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】ジョージ、エー.(Georgi,A.)、シィエルツ、エー.(Schierz,A.)、マッケンジー、ケー.(Mackenzie,K.)、コピンケ、エフ.ディー.(Kopinke,F.−D.)、「移動性コロイド。原位置地下水浄化のためのコロイド状活性炭の適用(Mobile Kolloide. Anwendung von kolloidaler, Aktivkohle zur In−Situ−Grundwasserreinigun)」、テラテック(Terra Tech)、ドイツ、2007年、第16巻、第11−12号、p.2−4
【非特許文献2】マッケンジー、ケー.(Mackenzie,K.)ほか、「カーボ−アイロン。鉄/AC合成物−ナノ鉄地下水処理の代わりとして(Carbo−iron − An Fe/AC composite − As alternative to nano−iron groundwater treatment)」、ウォータ・リサーチ(Water Research)、2012年及び補足情報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、コロイド状活性炭を単純なカルボキシメチルセルロースよりもさらに地表下に分散させる、改良された方法及び組成物を有することが望ましい。同様に、単純な配合で、配置しやすく、土壌及び地下水から汚染物質を吸収するのに十分に有効なコロイド状活性炭の、そのような組成物を提供することが望まれる。その組成物は、散布されることにおいてさらに十分により有効であり、従来技術の活性炭組成物と、環境浄化用のそれらを使用する方法とよりも、土壌及び地下水の体積のより広い領域上に迅速かつ有効に配置されることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、詳細には、その技術における前述で識別される欠陥に対処して、その欠陥を軽減する。これに関して、本発明は、安定化された活性炭の組成物と、環境浄化における、及び、特に、土壌及び地下水における汚染物質吸収の手段としての、その組成物の使用とに向けられる。好適な実施形態にしたがって、本発明は、2つ以上の添加剤によって安定化される活性炭の組み合わせを含む。その活性炭は、好適には、非常に細かい粒子サイズ(典型的には0.1〜10μmの範囲、好適には0.5〜2μmの範囲)を有するように生成されている。第1の添加剤は、アニオン性又は非イオン性ポリマーのどちらか一方を含み得る安定化ポリマーである。第2の添加剤は、該組成物が土壌及び地下水のマトリックスの周りに分散及び散布される能力を促進するのに有効な、分散強化剤である。好適には、その分散強化剤は、キレート剤、アニオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤からなる群から選択される1つ以上の作用剤を含む。
【0015】
好適な実施形態にしたがって、互いに対する相対量として存在する活性炭:第1の添加剤:第2の添加剤の比は、1(炭):0.01〜1.0(第1の添加剤):0.01〜1.0(第2の添加剤)の範囲にある。より高度に精選される実施形態では、活性炭:第1の添加剤:第2の添加剤の前述の成分の比は、その成分の相対重量に基づいて、1(炭):0.05〜0.5(第1の添加剤):0.025〜0.5(第2の添加剤)の範囲にある。
【0016】
使用において、本発明の組成物は、活性炭の水系コロイドを生成するのに有効であり、水性混和物として配置されることができる。その水性混和物の活性炭成分は、水の重量で0.01%〜70.0%の間の範囲にある。より高度に精選される方法で、本発明の水系コロイドは、水に対し重量で0.05〜40.0%の活性炭の範囲で注入(例えば、高圧注入又はフラクチャリングによって)されることができる。その上、さらにより高度に精選される実施形態では、本発明の水系コロイドは、水に対し重量で0.1〜20.0%の炭の範囲で注入されることができる。注入に加えて、本発明にしたがって生成される水系コロイドは、重力供給又は浸透によって土壌の中に与えられることができる。一般的な適用の比として、本発明の組成物は、土壌及び地下水の1立方メートルあたりの水性混和物が約4.95〜396L(1立方ヤードあたり約1〜80ガロン)の間の比で与えられることができ、好適には1立方メートルあたり約19.8〜297L(1立方ヤードあたり約4〜60ガロン)の間の比で与えられることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
後述される詳細な説明は、本発明の現在の好適な実施形態を記述することを意図しており、本発明が実施又は実行され得る唯一の形態を表すことを意図しない。その記述によって、本発明を行うための工程の機能及びシーケンスが示される。しかし、同一又は均等の機能及びシーケンスが、異なる実施形態により成し遂げられてよく、それらも本発明の範囲中に含まれることが意図されていると理解される。
【0018】
土壌及び地下水を通じた活性炭コロイドの分散の増加を可能にする、新たな組成物及び方法を開発した。これによって、汚染された帯水層の費用対効果の非常に高い処理が可能になり、したがって、地下水及び土壌システム中の汚染物質の移動性に対する制御が可能となる。
【0019】
本発明は、2つ以上の添加剤によって安定化される非常に細かい活性炭(0.1〜10μmサイズ、好適には0.5〜2μmの範囲内)の混合物である。第1の添加剤は安定化ポリマーであり、第2の添加剤は分散強化剤である。1つ以上の分散強化剤の添加によって、従来技術の組成物及び方法に比べ、適用中にコロイド状材料がさらに著しく土壌及び
地下水を通じて分散することが可能となる。
【0020】
第1の添加剤(すなわち、安定化ポリマー)は、アニオン性ポリマー又は非イオン性ポリマーであってよい。例として、カルボキシルメチルセルロース(CMC)と、カラギーナンと、ポリアクリル酸と、キサンタンガム(非イオン性)と、それらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0021】
第2の添加剤(すなわち、分散強化剤)は、以下のリストから選択される:キレート剤、アニオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はそれらの可能な組合せ。
【0022】
キレート剤は、クエン酸塩と、リン酸塩(例えば、SHMP、STTP、TSPP)と、ケイ酸塩と、ホウ酸塩と、硫酸塩と、炭酸塩と、アミノカルボン酸及びその塩(例えば、EDTA、MGDA及びNTA)と、ポリアミン(エチレンジアミンなど)と、それらの組み合わせとを含むが、それらに限定されない。
【0023】
第2の添加剤のアニオン性ポリマーは、硫酸化又はカルボキシル化多糖と、ポリアクリレートと、ポリアクリルアミドと、リグニンスルホン酸塩と、ポリアクリレートコポリマーと、それらの組み合わせとを含むが、それらに限定されない。
【0024】
アニオン性界面活性剤は、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムと、アルキル及びアリール硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)と、アルキルカルボン酸塩(例えば、ラウリル酸ナトリウム)と、それらの組み合わせとを含むが、それらに限定されない。
【0025】
非イオン性界面活性剤は、アルキルポリエチレンオキシドと、エチレンオキシドポリマーと、ポリエチレンオキシドラウリルエーテル(例えば、クローダ・インク(Croda,Inc.)によって製造するBrij30(登録商標))と、エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー(例えば、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)によって製造されるTergitol XD(登録商標))と、それらの組み合わせとを含むが、それらに限定されない。
【0026】
本発明の組成物は、炭:第1の添加剤(安定化ポリマー):第2の添加剤(分散強化剤)の相対重量比が1:0.01〜1.0:0.01〜1.0の範囲にあり、好適には1:0.05〜0.5:0.025〜0.5の範囲にあるように、好適には生成される。
【0027】
本発明を使用する地下水処理の方法は、水中の活性炭濃度が重量で0.01%〜70.0%の間であるような水系コロイドとして、前述の組成物の注入その他による適用を含む。好適には、その材料は、水に対して重量で0.05〜40.0%の活性炭の範囲で注入されることができる。さらにより好適には、水に対して重量で0.1〜20.0%の炭の範囲で注入されることができる。高圧注入及びフラクチャリングなどの注入に加えて、本発明の組成物を含む水性混和物は、汚染された土壌/地下水の所与の領域に存在すると考えられる汚染物質を吸収するのに十分な量で、重力供給又は浸透によって与えられることができる。このように、その場所の地質及び汚染の程度に応じて、一般的な適用の比は、処理される土壌及び地下水の1立方メートルあたりの本発明の水系コロイドの水性混和物が約4.95〜396L(1立方ヤードあたり約1〜80ガロン)の間の範囲であってよく、好適には処理される1立方メートルあたり、水性混和物が約19.8〜297L(1立方ヤードあたり約4〜60ガロン)の間であってよい。
【0028】
本発明を限定するのではなく、説明のために、以下の実施例を示す。実施例1:分散体の調製。一連のコロイド状分散体は、以下の一般組成により調製した:1重量%の活性炭
(約1.5μmの平均粒子サイズ)、0.25重量%の安定化ポリマー、及び0.25重量%の分散強化剤。分散体は以下の通り調製した。安定化ポリマー及び第2の添加剤は、高せん断ミキサーによって徹底的に水に混合し、均質になるまで混ぜた。この混合物に、次いで、活性炭の水スラリーを添加した。各分散体をさらに5分間混合し、非常に均質な黒色のコロイド懸濁液を得た。試験した分散体及びいくつかの比較標本の組成をテーブル1に示す。
【0029】
実施例2:カラム輸送試験。実施例1におけるコロイドの各々を、2,000mg/Lの炭素濃度まで水道水で希釈した。各希釈したコロイドについて25gのアリコートを、93.7/3.9/2.4の砂/シルト/粘土比を有する飽和土壌が充填されたガラスカラム(床寸法2.5×24.0cm)を通して溶出させた。この25gの標本を、同じカラムを通して溶出させ、カラムの溶出液が透明になるまで追加の水道水を流した。各カラム調査からの組み合わされた溶出液中の活性炭を、紫外・可視分光法によって測定した。溶出した炭素の総質量を、検量線を使用して計算した。従来技術と比較するため、CMCのみによって安定化した標準コロイド標本について調べた(標本1)。各標本による溶出炭素の質量についてテーブル1に報告し、その溶出炭素の量も標準に対する百分率として報告する。
【0030】
テーブル1のデータでは、本発明によって土壌及び地下水を通じた活性炭コロイド輸送の有意な増加が生じることが示されている。また、これらのデータから、安定化ポリマー又は分散強化剤単独の使用では非常に貧弱な性能しか生じないことが明白であるため、それらを組み合わせることが必要とされる。本発明によって、汚染帯水層の浄化のための効率の有意な改良と費用の削減とが提供される。
【0031】
テーブル1.組成物とカラム調査データ
【0032】
【表1】
【0033】
キサンタンガムの実験は、より短いカラム上で行ったため、直接比較することはできない
本明細書において利用され、参照される略語:
CMC カルボキシメチルセルロース、ナトリウム塩
DSS ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
EDTA エチレンジアミン四酢酸、ナトリウム塩
MGDA メチルグリシン二酢酸、ナトリウム塩
NTA ニトリロ三酢酸、ナトリウム塩
SDBS ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
SHMP ヘキサメタリン酸ナトリウム
SLS ラウリル硫酸ナトリウム
STPP トリポリリン酸ナトリウム
TSPP ピロリン酸四ナトリウム
本発明の追加の変更と改良も、当業者にとって明白であり得る。したがって、本明細書で記述及び説明された要素及び工程の特定の組み合わせは、本発明の所定の実施形態のみを表すことを意図しており、本発明の精神及び範囲の中における代替的な装置及び方法の限定となることを意図しない。