特許第6441352号(P6441352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6441352薬物送達デバイス用キャップアセンブリおよび薬物送達デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441352
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス用キャップアセンブリおよび薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20181210BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   A61M5/32 500
   A61M5/315 550G
【請求項の数】15
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-537253(P2016-537253)
(86)(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公表番号】特表2016-529012(P2016-529012A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014068022
(87)【国際公開番号】WO2015028440
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2017年8月10日
(31)【優先権主張番号】13182223.1
(32)【優先日】2013年8月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・オーブリー・プランプトリ
【審査官】 杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−101788(JP,U)
【文献】 特開2008−023145(JP,A)
【文献】 実開昭55−047356(JP,U)
【文献】 特開2006−343439(JP,A)
【文献】 実開平03−098094(JP,U)
【文献】 実開昭62−085472(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 3/00− 9/00
A61M 31/00
A61M 39/00−39/28
B43K 23/00−23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス用のキャップアセンブリ(200)であって、
連結機能(154)を有する固定要素(134)と、
開口部(164)を有する外側部材(130)と、
該外側部材(130)の内側に位置する内側部材(131)とを含み、該内側部材(131)はさらに対応連結機能(170)を含み、ここで、固定要素(134)の一区間は、連結機能(154)と対応連結機能(170)との相互作用によって固定要素(134)が内側部材(131)に連結されるように、外側部材(130)の開口部(164)を通って延び、連結機能(154)の遠位面と対応連結機能(170)の近位面とは当接し、
キャップアセンブリ(200)は、キャップアセンブリ(200)の近位端に開口部を有する、前記キャップアセンブリ。
【請求項2】
連結機能(154)と対応連結機能(170)の相互作用はスナップ相互作用である、請求項1に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項3】
固定要素(134)は、内側部材(131)が外側部材(130)の中に保持されるようにして連結機能(154)が外側部材(130)に対する内側部材(131)の動きを阻止するように構成される、請求項1または2に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項4】
固定要素(134)は、内側部材(131)に対する外側部材(130)の動きを固定要素(134)が阻止するように構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項5】
内側部材(131)はスリーブであり、キャップアセンブリ(200)は、デバイスのカートリッジ(180)の少なくとも一区間およびデバイスの注射針(182)を内側部材(131)によって収容できるように寸法設定される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項6】
固定要素(134)は、キャップアセンブリ(200)を別の要素に取り付けるためのクリップである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項7】
固定要素(134)は取付け機能(160)を含み、外側部材(130)は、開口部(164)から軸方向に離隔されている凹部(166)を含み、取付け機能(160)は、凹部(166)内で外側部材(130)と接触する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項8】
固定要素(134)は案内要素(150)を含み、外側部材(130)は対応案内機能(170)を含み、案内要素(150)および対応案内機能(170)は、外側部材(130)に対する固定要素(134)の半径方向の動きを防止するために協働するように構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項9】
案内要素(150)はT字形区間を含む、請求項8に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項10】
開口部(164)は、対応案内機能(162)を画成するように構成される、請求項8または9に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項11】
開口部(164)は、案内要素(150)の受け部分(152)を受けるために、受け部分(152)が外側部材(130)の内側に配置されるように構成され、対応案内機能(162)は、案内要素(150)の案内部分(158)を受けるために、案内要素が対応案内機能(162)の内側に配置されるように構成される、請求項10に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項12】
外側部材(130)は金属部材である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項13】
内側部材(131)はプラスチック部材である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項14】
キャップアセンブリ(200)は、遠位端および近位端を有しかつキャップアセンブリ(200)の近位端開口部を有し、外側部材(130)は近位区間、および近位区間の内面に位置する空洞(171)を有し、内側部材(131)は、変形可能領域(151)およびキャップスナップ手段(149)を含む近位区間を有し、内側部材(131)の変形可能領域は、外側部材(130)の空洞(171)の中に変形可能である、請求項1〜13のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(200)。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ(200)を含む薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペン型デバイスなどの薬物送達デバイス用のキャップアセンブリ、および薬物送達デバイスに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本開示の目的は、薬物送達デバイス用の改善されたキャップアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態および改善点は、従属請求項の主題である。
【0004】
本開示の一態様は、薬物送達デバイス用のキャップアセンブリに関し、このキャップアセンブリは、連結機能を有する固定要素、開口部を有する外側部材、および外側部材の内側に位置する内側部材を含む。内側部材はさらに、対応連結機能を含む。固定要素の一区間(section)は、連結機能と対応連結機能との相互作用によって固定要素が内側部材に、好ましくは確実に連結されるように、外側部材の開口部を通って延びる。有利には、固定要素は、別の構成要素(下記参照)へのキャップアセンブリの固定または取付けを可能にする。さらに、内側部材および/または外側部材の動きは、固定要素の手段によって防止される、または範囲を定められる。好ましくは、開口部は外側部材の遠位端またはその近くに配置される。近位端に、外側部材はさらに、たとえばカートリッジ用またはカートリッジホルダ用の挿入開口部を含む。
【0005】
本開示の別の態様は、薬物送達デバイス、たとえば、キャップアセンブリを含むペン型デバイスなどの、注射器型デバイスに関する。
【0006】
一実施形態では、連結機能と対応連結機能の相互作用はスナップ相互作用である。この実施形態では、特に、費用対効果が大きく容易な固定要素と内側部材の連結が可能になる。
【0007】
キャップアセンブリは、長手方向軸を含む。長手方向軸は、キャップアセンブリの近位端およびキャップアセンブリの遠位端を通って延びる。
【0008】
キャップアセンブリ、薬物送達デバイス、またはアセンブリおよび/またはデバイスの構成要素の「遠位端」とは、薬物送達デバイスの投薬端に最も近い端部を意味する。キャップアセンブリ、薬物送達デバイス、またはアセンブリおよび/またはデバイスの構成要素の「近位端」とは、デバイスの投薬端から最も遠い端部を意味する。
【0009】
一実施形態では、固定要素は、内側部材が外側部材の中に保持されるようにして連結機能が外側部材に対する内側部材の動きを阻止するように構成される。特に、外側部材に対する内側部材の近位の動きは、連結機能によって阻止される。適切には、これは、外側部材に対する内側部材の固定を可能にする。
【0010】
一実施形態では、固定要素は、内側部材に対する外側部材の動きを固定要素が阻止するように構成される。特に、内側部材に対する外側部材の遠位の動きが固定要素によって阻止される。有利なことに、それによって外側部材は内側部材に対して固定される。
【0011】
一実施形態では、薬物送達デバイスは注射針またはニードルアセンブリを含む。前記注射針またはニードルアセンブリを通して、デバイスのカートリッジ内に保持される薬物または医療物質が薬物送達デバイスから投薬される。
【0012】
一実施形態では、内側部材はスリーブであり、キャップアセンブリは、カートリッジの少なくとも一区間および、好ましくはデバイスの注射針を内側部材によって収容できるように寸法設定される。有利な点として、キャップアセンブリは、カートリッジの少なくとも一区間および薬物送達デバイスの注射針を収容し、かつ/または外部の影響から保護する。カートリッジの一区間はさらに、カートリッジの主要区間に関連する。
【0013】
一実施形態では、外側部材は、内側部材を収容するスリーブである。
【0014】
一実施形態では、固定要素は、キャップアセンブリを別の要素に取り付けるためのクリップである。この別の要素は、キャップアセンブリおよび/または薬物送達デバイスの使用者がキャップアセンブリを固定または取り付けることができる任意の要素、たとえばシャツポケットである。
【0015】
一実施形態では、固定要素は取付け機能を含み、外側部材は、開口部から軸方向に離隔されている凹部を含み、取付け機能は、凹部内、または少なくともその近傍内で外側部材と接触する。取付け機能は、たとえば凹部の中に延びる。この実施形態によれば、別の要素へのキャップアセンブリまたは薬物送達デバイスの固定または取付けが容易になる。特に、取付け機能と凹部の接触、好ましくは機械的接触は、取付け機能と外側部材の間の摩擦を増大させ、それによってキャップアセンブリと別の要素の取付けまたは固定の確実性を向上させる。言い換えると、キャップアセンブリおよび/または薬物送達デバイスは、別の要素にいっそう確実に固定または取り付けられる。
【0016】
一実施形態では、固定要素は案内要素を含み、外側部材は対応案内機能を含み、案内要素および対応案内機能は、外側部材に対する固定要素の半径方向の動きを防止するために協働するように構成される。この実施形態によって、固定要素が、特に半径方向の動きにより、キャップアセンブリの残りの部材から取り外されることが防止される。対応案内機能は案内スロットである。
【0017】
一実施形態では、案内要素はT字形区間を含む。T字形区間によって、特に、外側部材に対する固定要素の半径方向の動きを防止する対策がもたらされる。
【0018】
一実施形態では、案内要素は、固定部分または本体、受け部分および案内部分を含み、受け部分は、好ましくは案内部分を介して固定部分に連結される。受け部分は、上記のT字形区間の「T」の水平の一画すなわち横棒を構成し、案内部分は、前記「T」の垂直の一画を構成する。
【0019】
一実施形態では、開口部は、対応案内機能を画成するように構成される。この実施形態の利点として、対応案内機能および開口部は、単一プロセスステップで、たとえば外側部材の製作中に確立される。
【0020】
一実施形態では、開口部は、案内要素の受け部分を受けるために、受け部分が外側部材の内側に配置されるように構成され、対応案内機能は、案内要素の案内部分を受けるために、案内部分が対応案内機能の内側に配置されるように構成される。それによって、特に、受け部分は外側部材の内側に保持され、それにより、外側部材に対する上記の固定要素の半径方向の動きを確実に防止することができる。それによって、受け部分もまた、好ましくは、内側部材の内部に配置される。組立ての際、案内部分は、好ましくは、キャップアセンブリの外側から外側部材の対応案内機能を通って延びる。それによって、案内部分は、たとえば固定部分から逸れた方を向く外側部材の内側に配置される。受け部分はさらに、適切には、案内部分よりも広く構成される。
【0021】
一実施形態では、外側部材は金属部材である。この実施形態によって、外側部材はより丈夫に、または長持ちするように具現化される。さらに、設計の面で、金属製外側部材は有利であり、かつ/または望ましい。
【0022】
一実施形態では、内側部材はプラスチック部材である。それによって、内側部材は、費用効率の高い、たとえば射出成形によって製造することができる。
【0023】
一実施形態では、キャップアセンブリは近位端に開口部を有する。外側部材は近位区間、および近位区間の内面に位置する空洞を有する。内側部材は、変形可能領域およびキャップスナップ手段を含む近位区間を有し、内側部材の変形可能領域は、外側部材の空洞の中に変形可能である。この実施形態によれば、薬物送達デバイスの別の構成要素へのキャップアセンブリの組立てが容易になる。特に、空洞は、キャップアセンブリが上記の薬物送達デバイスの構成要素に組み立てられる、または取り付けられるときに、内側部材の近位区間のたわみを受ける空間を提供する。
【0024】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、好ましくは少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0025】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0026】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0027】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0028】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0029】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0030】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0031】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0032】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0033】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0034】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0035】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0036】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0037】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0038】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0039】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0040】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0041】
異なる態様または実施形態と併せて以上および以下に本明細書で説明される特徴はまた、他の態様および実施形態にも当てはまる。本開示の主題のさらなる特徴および有利な実施形態は、図と併せた例示的な実施形態についての以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明によるキャップが取り付けられている薬物送達デバイスを示す図である。
図2】キャップが除去され79単位の用量がダイヤル設定されている図1の薬物送達デバイスを示す図である。
図3図1の薬物送達デバイスの構成要素を分解組立図で示す図である。
図4図1の薬物送達デバイスの外側本体を示す図である。
図5a図1の薬物送達デバイスの内側本体を示す図である。
図5b図5aの内側本体の細部を示す図である。
図6図1の薬物送達デバイスのカートリッジホルダを示す図である。
図7a図1の薬物送達デバイスの第1の表示部材構成要素を示す図である。
図7b図7aの第1の表示部材の細部を示す図である。
図8図1の薬物送達デバイスの第2の表示部材構成要素を示す図である。
図9図1の薬物送達デバイスの第1の駆動体構成要素を示す図である。
図10図1の薬物送達デバイスの第2の駆動体構成要素を示す図である。
図11図1の薬物送達デバイスの第3の駆動体構成要素を示す図である。
図12図1の薬物送達デバイスの最終用量ナットを示す図である。
図13図1の薬物送達デバイスのクラッチ部材を示す図である。
図14図1の薬物送達デバイスの第1のクリッカ部材を示す図である。
図15図1の薬物送達デバイスの第2のクリッカ部材を示す図である。
図16図1の薬物送達デバイスのボタンを示す図である。
図17】ボタンが解放されているゼロ単位位置で図1の薬物送達デバイスの近位区間を示す切取図である。
図18】ある単位がダイヤル設定されている位置で図1の薬物送達デバイスの近位区間を示す切取図である。
図19】ボタンが押されているゼロ単位位置で図1の薬物送達デバイスの近位区間を示す切取図である。
図20】キャップの分解組立図である。
図21】外側キャップ要素の近位領域の断面図である。
図22】外側キャップ要素の三次元切取図である。
図23】取付け中のキャップの近位区間の断面図である。
図24】取付け後のキャップの近位区間の断面図である。
図25】取付け後のキャップの代替形態の近位区間の断面図である
図26】固定要素の斜視図である。
図27】外側部材の斜視図である。
図28】内側部材の斜視図である。
図29】キャップアセンブリの部材の概略断面図である。
図30】キャップアセンブリの一部分を長手方向断面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
同様の要素、同じ種類の要素、および全く同様に作動する要素は、図中で同じ参照番号を用いて提示される。加えて、図は正確には原寸に比例していない。むしろ、いくつかの機能は、重要な原理をよりよく図示するために誇張して描かれている。
【0044】
図1および図2は、注射ペンの形の薬物送達デバイス1を示す。このデバイスは、遠位端(図1で下端)および近位端(図1で上端)を有する。薬物送達デバイス1の構成要素部材は、より詳細に図3に示されている。薬物送達デバイス1は、外側ハウジング部材10、内側本体20、ピストンロッド30、駆動体40、ナット50、表示部材60、ボタン70、カートリッジ81を受けるためのカートリッジホルダ80、クラッチ90、クリッカ100、ばね110、キャップ120、および窓挿入物230を含む。ニードルハブおよびニードルカバーを含むニードル配置(図示せず)が、上記で説明されたように交換できる追加構成要素として提供される。ピストンロッド30は支承部31を含む。駆動体は、遠位駆動体部材41、近位駆動体部材42、およびカプラ43を含む。表示部材60は、数字スリーブ61およびダイヤルスリーブ62を含む。クリッカは、遠位クリッカ部材101、近位クリッカ部材102、およびばね103を含む。
【0045】
図4に示されている外側ハウジング部材10は、内側本体20を取り付けるための遠位部材11、および近位部材を有する概して管状の要素であり、最大単位(この例では80U)止め具が係合されたときに表示部材60の嵌合面に接触するその内面(図示せず)に、回転硬質止め具12を備える。端面はまた、ボタン70の用量投薬止め具の端部としても機能し、端面の穴は、ダイヤル設定中にも投薬中にも表示部材60を中心に合わせる。開口部13が、窓挿入物230を受けるために設けられる。外側本体10は使用者に、投薬中につかみ反作用するための面を提供する。
【0046】
内側本体20は、異なる半径領域を有する概して管状の要素である。図17〜19で分かるように、内側本体20は、外側本体10に受け入れられると共に、外側本体10に対する内側本体20のいかなる相対運動も防止するように恒久的にそこに固定される。内側本体は、内部スプラインによってクリッカおよび最終用量ナット50を案内して駆動機構を中に収容する機能、ピストンロッド30(親ねじ)を駆動するための内側ねじ山を提供する機能、数字スリーブ61およびダイヤルスリーブ62を外側ねじ山形状によって支持および案内する機能、カートリッジホルダ80を固定する機能、ならびに外側本体10および窓挿入物230を固定する機能を有する。
【0047】
内側本体20の最も外側の直径部はまた、視覚設計の一部を形成し、キャップ120が、外側本体10からキャップ120を分離するリングとしてのカートリッジホルダ80に固定されているときには可視のままである。この可視リングはまた、カートリッジホルダが適正に嵌められたことを示すために、カートリッジホルダ80上のキャップスナップ機能と位置合わせする凹部を有する。
【0048】
外側ねじ山21が、内側本体20の外面に設けられる。さらに、スプライン22(図5b)が内側本体20の内面に設けられる。これらの内面スプライン22は、ダイヤル設定中でも投薬中でもクリッカ100を軸方向に案内し、また最終用量ナット50が回転しないようにする。スプラインのいくつかは、内部部材の適正な回転組立てを確実にするために幅がより広く、これらの幅がより広いスプラインは、最終用量ナット50が組立て中に遠位駆動スリーブ41上の止め面に突き当たって回転することを助長するために、段を有する入口および傾斜した面を有する。図5bに示された開放端には追加の短いスプラインがあり、これは交互の長いスプライン22と一緒に使用されて、投薬の終わりにボタン70(用量ダイヤルグリップ)を回転ロックすると共に、ボタン70が押し下げられたときの0Uダイヤル止め具の強度を増す働きをする。これは、クラッチ部材90上の雄スプライン機能との係合によって実現される。
【0049】
バヨネット機能23は、カートリッジ取替中にカートリッジホルダ80を機構の中に案内して、カートリッジ付勢ばね110を圧縮し、次に、機構内の軸方向遊びを減らすために、カートリッジホルダ80を短い距離後退させる。内側本体20の内部のスナップ機能は、カートリッジホルダ80を、それが適正に嵌められたときに回転ロックする。これらのスナップの特性は、使用者がカートリッジホルダ80を不完全に嵌めないようにすることを狙いとし、カートリッジ付勢ばね110は、スナップが少なくとも係合し始めていない場合にカートリッジホルダ80を排出する。窓保持ノーズ24は、外側本体10と窓挿入物230のアセンブリが内側本体20に軸方向に挿入されたときに窓挿入物230を保持する。直径方向に向かい合わせの2つの止め面25が、数字スリーブ61の回転端位置を画成する。この端位置は、最小用量(0U)の用量デテント位置の端部になる。
【0050】
ピストンロッド30は、方向が反対の互いに重なり合う2つの外側ねじ山32、33を有する細長い要素である。これらのうちの1つのねじ山32は、内側本体20の内側ねじ山と係合する。円板状の支承部31がピストンロッド30の遠位端に設けられる。支承部31は、図3に示された別個の部材であっても、所定の破断点を介した一体化部材としてピストンロッド30に取り付けられてもよい。
【0051】
ピストンロッド30は、投薬負荷を駆動体40から支承部31まで伝達して、駆動体40のねじ山インターフェースによってピストンロッド30に対して生成されるトルクを、ピストンロッドが内側本体20内のねじ山を通過するときに追加の軸方向負荷に変換することによって、1:1より大きい機械的利益を生み出す。ピストンロッド30は、支承部31を押すことによってリセットされ、これにより次にピストンロッドが回転し内側本体20の中に戻る。これにより遠位駆動スリーブ41が係合解除し、次に回転して、最終用量ナット50を遠位駆動スリーブ41上のその始動位置まで戻してリセットする。
【0052】
駆動体40は、図に示された実施形態では3つの構成要素を有する概して管状の要素であり、これらの構成要素は、より詳細に図9〜11に描かれている。
【0053】
遠位駆動スリーブ41は、ピストンロッドねじ山33と係合して、用量送達中にピストンロッド30を内側本体20中で駆動する。遠位駆動スリーブ41はまた、カプラ43に恒久的に連結され、そうするとカプラは、リセットクラッチ機能によって近位駆動スリーブ42に解放可能に係合される。駆動スリーブの二等分したものは、ダイヤル設定中および投薬中、回転・軸方向連結されるが、デバイスリセット中は、互いに回転できるように回転デカップリングされる。
【0054】
外側ねじ山44は、最終用量ナット50と係合する。このねじ山形状は、ナット50がその上で移動してダイヤル設定単位の大部分を数える浅い第1の段(図9の左側)と、ストップ面に係合する前に最終用量ナットがその上で速く軸方向に動く急速段と、止め面が係合したときにナット50による軸方向拘束がねじ山形状の適当な長さにわたって及ぶことを確実にする、最後の浅い区間との3つの段を有する。4つの等間隔止め面45が最終用量ナット50上の嵌合止め面51と係合して、ダイヤル設定することができる単位数を制限する。遠位駆動スリーブ41にカチッと留められるカプラ43との間でトルクを伝達するために、スプライン46が遠位駆動スリーブ41の近位端に設けられる。
【0055】
図10に示される近位駆動スリーブ42は、クリッカ部材100およびクラッチ90を支持し、回転運動を用量ボタン70からカプラ43および遠位駆動スリーブ41まで伝達する。
【0056】
近位駆動スリーブ42の遠位端に位置する歯機能47がカプラ43上のリセットクラッチ機能と係合して、ダイヤル設定中および投薬中に駆動スリーブの両半分を連結する。リセット中、これらの歯47が係合解除する。
【0057】
いくつかのスプラインが、遠位および/または近位クリッカ部材101、102と係合する近位駆動スリーブ42の外面に設けられて、ダイヤル設定中および投薬中の相対回転を防止する。近位駆動スリーブ42の中間領域に位置する別のスプラインが、クラッチ90部材と係合する。これらのスプラインは、様々なクリッカ部材が誤って上下逆に組み立てられないように非回転対称に配置される。
【0058】
近位駆動スリーブ42の近位部分は、4つのアームすなわちフィンガ48を有する。フック状の支承部面49が、可撓フィンガ48の端部のフランジセグメントの下側(図10で見て)に存在する。可撓フィンガ48は、間隙またはスロットで分離され、これらは、ボタン70がクラッチ90にカチッと留まるための空間を作り、またこれらのフィンガがダイヤルスリーブ62と近位駆動スリーブ42の組立て中に内側に曲がることを可能にもする。組立て後にフック49は、ばね103からの反力を受けて近位駆動スリーブ42をダイヤルスリーブ62に対して保持する。投薬中、ボタン70は、クラッチ90およびクリッカ部材を介してばね103を押し下げ、このばね103は、カプラ43を通して近位駆動スリーブ42に対して反作用し、次に、この近位駆動スリーブは、これらの支承面を通して軸方向負荷をダイヤルスリーブ62に加える。この軸方向負荷は、ダイヤルスリーブ62を駆動し、したがって、数字スリーブ61を内側本体20の螺旋ねじ山に沿って駆動して、数字スリーブ61の0U止め面が内側本体20に接触するまでデバイスの本体の中に戻す。
【0059】
図11に示されるカプラ43は、駆動スリーブの二等分したものを、リセット中はデカップリングできるようにしながら、ダイヤル設定中および投薬中に一緒に連結する。カプラ43はまた、最終用量保護止め負荷を近位駆動スリーブ42から遠位駆動スリーブ41まで伝達しなければならない。歯46および歯47にそれぞれ係合する2つの歯のセットがカプラ43内に設けられる。カプラ43は、遠位駆動スリーブ41の上にカチッと留められて、近位駆動スリーブ42に対して制限された相対軸方向運動を可能にする。
【0060】
ナット50は、内側本体20と駆動体40の遠位駆動スリーブ41との間に設けられる。止め面51は、止め面51が遠位駆動スリーブ41の止め面45に接触した場合にダイヤル設定できる単位数を制限するために、最終用量ナット50の近位面に位置する。最終用量ナット50の機能は、使用者が限定量を超えてダイヤル設定することを防止することである。この制限は、カートリッジ81の投薬可能容積に基づいており、到達したとき、使用者はカートリッジ81を取り替え、デバイスをリセットしなければならない。
【0061】
ナット50の外側リブ52が内側本体20のスプライン22に係合する。ナットの内側ねじ山53が遠位駆動スリーブ41の外側ねじ山44に係合する。代替形態として、スプラインおよびリブをナット50と駆動体40の間の境界面に設け、ねじ山をナット50と内側本体20の間の境界面に設けることもできる。別の代替形態として、ナット50は、たとえば半割ナットとして設計される。
【0062】
表示部材60は、数字スリーブ61およびダイヤルスリーブ62から構成される概して管状の要素であり、これら2つの構成要素は、これらを軸方向拘束および回転拘束するように組立て中に一緒にしてカチッと留められ、したがって、単一部材として機能する。
【0063】
図8に描かれた数字スリーブ61の主要機能は、ダイヤル設定された用量を表示するために用量数を印刷できる面を提供すること、内側本体20にねじ山が付けられた場合に、ピストンロッド30上の螺旋ねじ山形状をたどるように内部機構の螺旋経路をダイヤル設定中に案内すること、ならびにダイヤルスリーブ62に取り付けることである。
【0064】
数字スリーブ61は、ダイヤル設定中および投薬中に外側本体10内に完全に密閉されるように設計され、したがって、使用者にはダイヤル設定用量だけが窓開口部を通して見える。数字スリーブは、内側にダイヤル設定されたときにその行程を制限するための0U(最小用量)止め面63を有するが、外側ダイヤル設定条件を制限する80U(最大用量)止め面はダイヤルスリーブ62上に位置する。各投薬ストロークの終わりに、この止め面63は、内側本体20上の嵌合面25と係合して数字スリーブ61の回転位置を制限する。
【0065】
螺旋駆動面64は、ダイヤル設定中および投薬中に内側本体上の螺旋経路21をたどるように数字スリーブ61を案内するねじ山を形成する。
【0066】
ダイヤルスリーブ62は、組立て後に相対運動が不可能になるように数字スリーブ61と組み立てられる。その部材は、成形と組立ての両方を可能にするために、別個の部材として作られる。また、数字スリーブ61は、たとえば黒色の用量数字に対するコントラストを得るために、好ましくは白色であるのに対し、ダイヤルスリーブ62の色は、美的感覚に適合させるように、あるいは薬物タイプを区別するように選択することができる。
【0067】
用量近位端にダイヤルスリーブ62は、ダイヤル設定中にクラッチ部材90と係合し投薬中にクラッチから係合解除する内側クラッチ機能65を有する。これらのクラッチ機能65は、ダイヤル設定中、および0U止め具と80U止め具が係合されるとき、ダイヤルスリーブ62をクラッチ90に回転ロックする。ボタン70が押し下げられるとき、これらのクラッチ機能は係合解除して、クラッチ90および駆動機構が軸方向に動くと同時に、ダイヤルスリーブ62および数字スリーブ61が0U開始位置まで回転して戻ることを可能にする。
【0068】
ダイヤルスリーブ62は、ダイヤル設定中にクラッチ90および数字スリーブ61との係合により外側に回転し、投薬中に、ダイヤルスリーブの端部のフランジ状支承面66に対し近位駆動スリーブ42によって加えられた軸方向力を受けて、内側に逆に回転する。この支承面66は、投薬中に、近位駆動スリーブ42の可撓アーム48と係合する。直径方向に向かい合う2つの面67が、最大用量(たとえば、80U)がダイヤル設定されたときに外側本体10と係合して、最大用量止め面を形成する。
【0069】
ラチェットアーム68が、投薬中に可聴フィードバックを提供するようにボタン70(用量ダイヤルグリップ)上のラチェット機能と係合して、1単位が送達されるごとに1つのクリック音を与える。さらにこれは、使用者が、ボタン70が押し込まれたまま数字スリーブ61をつかみ、部分的に外側にダイヤル設定された位置から外向きに回転させることを防止する。これはピストンロッド30を逆に巻くことになり、これがその後のダイヤル設定用量に対して過少用量をもたらすことになる。これはさらに、0U止め具を強化する。
【0070】
図16に示されるボタン70は、用量ダイヤルグリップとして機能し、クラッチ90によって保持されて使用者の動作をクラッチに伝達する。これはまた、ダイヤルスリーブ62上の、可聴フィードバック(ラチェットクリック音)を与える投薬クリッカとして機能するラチェットアーム68と係合するラチェット歯71と、外側本体10と共に用量完了止め面として機能する端面72とを保持する。すなわち、この端面72は、投薬中にそれが外側本体10と接触するときに端部位置を画成する働きをして、用量精度を改善する非常に確実な止め具を提供する。
【0071】
ボタン70の中心のスリーブ状部分は、フック状のスナップ機能74をそれぞれの遠位端に有する4つのアーム73を備える。アーム73は、クラッチ90と係合してトルクをボタン70からクラッチを経由してダイヤルスリーブ62および近位駆動スリーブ42まで伝達するスプライン付面を形成する。スナップ機能74は、クラッチ90の開口部に係合し、ボタン70をペン本体10の外に引っ張る軸方向負荷が加えられたときに、傾斜したアンダーカット面によって係合を維持するように設計されている。アーム73間の空間は、用量投薬中にボタン70が押し下げられ解放されたときに、近位駆動スリーブ42の可撓アーム48がボタン70およびクラッチ90に対して自由に摺動するための隙間を与えるポケットを画成する。
【0072】
カートリッジホルダ80は、バヨネット連結部82によって内側本体20に取り付け、投薬予定の薬剤を含むガラスアンプルまたはカートリッジ81を収容する。カートリッジホルダ80は、後面(図6で見て)に開口部83を含み、これは、使用者につかまれた場合に、カートリッジホルダが内側本体20から取り出されるときにアンプルが外に落ちることを防止する。前面には用量数目盛が印刷される。ねじ付遠位端84は、使い捨てペン型針を取り付けるために使用される。
【0073】
管状クラッチ90が、表示部材60とボタン70の間に設けられる。クラッチは、ボタン70に対して固定され、このボタンを保持し、また一緒になってこれらが、ボタン70が投薬中に押し下げられたときに近位駆動スリーブ42に対して軸方向に移動して、クラッチ歯をダイヤルスリーブ62から係合解除する。これはまた、トルクをボタンから近位駆動スリーブ42まで伝達し、ダイヤル設定負荷および0U/80U止め負荷をボタンからクラッチ歯を介してダイヤルスリーブおよび数字スリーブまで伝達する。
【0074】
クラッチの内面に設けられた駆動スリーブスプライン91は、近位駆動スリーブ42と係合する。遠位端面にクラッチ付勢歯92が設けられ、これは、近位クリッカ部材102上の類似の歯と嵌合して、ボタン外側位置(ダイヤル設定用量)においてクラッチが、クラッチばね103の付勢作用を受けて近位クリッカ部材102に回転ロックされることを確実にする。歯92は、ダイヤル設定中に近位クリッカ部材102が近位駆動スリーブ42上のスプラインと係合しないように、高さが浅い。4つのスナップ開口部93は、ボタン70のスナップ機能74を保持する働きをする。クラッチは、その近位端近くにスプライン94を有し、これは、投薬の終わりにボタン70が押し下げられた状態で内側本体20にロックして、使用者が0U位置より下でボタン70を回転させることを防止する。
【0075】
クラッチ歯95は、ダイヤルスリーブのクラッチ歯65と係合して、クラッチを介しボタン70を数字スリーブ61に回転連結する。投薬中、クラッチは、これらのクラッチ歯95を係合解除するように軸方向に動き、それによってダイヤルスリーブ62を解放してデバイスの中に回転して戻り、一方でクラッチ90、したがって駆動体40は、軸方向に動いて用量を投薬する。
【0076】
クリッカ100は、遠位クリッカ部材101、近位クリッカ部材102、およびばね103を含む。クラッチばね103は、用量の終わりにボタン70が飛び出て、クラッチ90をダイヤル設定の用意ができているダイヤルスリーブ62と再係合するように、ボタン70に付勢する働きをする。さらにクラッチばねは、クリッカ部材がクリッカとして、また数字スリーブ61のデテント位置として機能するためのばね力を提供する。加えてクラッチばねは、駆動スリーブの二等分したもの41、42を、デバイスリセット中には係合解除できるようにしながら、ダイヤル設定中および投薬中は回転係合のままにしておく。
【0077】
遠位クリッカ部材101は、近位駆動スリーブ42に恒久的にスプライン連結され、また近位クリッカ部材102と係合し、そうして近位クリッカ部材が内側本体20にスプライン連結される。ダイヤル設定中、駆動スリーブが内側本体に対して回転すると、2つのクリッカ部材101、102は、クラッチばね103の圧縮力を受けて互いに回転する。各クリッカの端面に形成されたクリッカ歯と合わさったこの力は、クリック音をもたらし、ダイヤル設定デテント位置もまたもたらす。
【0078】
投薬中、2つのクリッカ101、102は、投薬負荷を受けて一緒になるように押し付けられ、したがって、近位駆動スリーブ42と内側本体20の間の相対回転を防止して、用量を送達するようにピストンロッドを前方に駆動する。内側穴のスプライン104は、遠位クリッカ部材101を常に近位駆動スリーブ42に連結するが、投薬中にボタン70が押し下げられたとき、およびダイヤル設定中に2つのクリッカが互いに乗り越えたときには、自由な軸方向運動を可能にする。遠位クリッカ部材101上と近位クリッカ部材102上の両方のクリッカ歯105、106の輪郭は同一であり、ダイヤル設定中にばね103からの圧縮負荷を受けて互いに乗り越える。
【0079】
近位クリッカ部材102は、ダイヤル設定中も投薬中も内側本体20との相対回転を防止する外側スプライン107によって内側本体に恒久的にスプライン連結されて、ダイヤル設定中にクリック音をもたらし、投薬中に近位駆動スリーブ42の回転をロックする。追加の円筒成形スプライン108もまた、ボタン70が押し下げられたときに近位クリッカ部材102を近位駆動スリーブ42に回転連結し、これは使用者が、ボタンが押し下げられた状態で80単位を超えてダイヤル設定することを防止する。近位クリッカ部材102は、近位クリッカ歯106に加えて、反対側の端面にクラッチ付勢歯109を有する。これらの歯は、クラッチ上の類似の歯92と嵌合して、ボタン外側位置(ダイヤル設定用量)でクラッチが、クラッチばね103の付勢作用を受けて近位クリッカ部材102に回転ロックされることを確実にする。
【0080】
カートリッジ付勢ばね110は、2つの構成要素として1つずつ、下側が1番目で上側が2番目に組み立てられる。このばね組合せは、許容範囲の極値で端部負荷をカートリッジ81に加える働きをして、カートリッジを前方へ、カートリッジホルダ80のフェルールの端面に対し付勢する。これは、使用者が針を取り外し、また取り付けるときに、針カニューレとカートリッジのセプタムの間の摩擦によりカートリッジ81をカートリッジホルダ80に対して軸方向に動かさないことを確実にする。バイアスばね110はまた、使用者が対抗してカートリッジホルダ80を連結しなければならない力をもたらすようにも作用し、この力は、このバヨネットジョイントの触覚フィードバックを増加する。ばね110はまた、カートリッジホルダが安全確実な位置にまで回されていない場合にカートリッジホルダ80を排出する働きをして、この間違いが使用者に目立つようにする。
【0081】
キャップ120は、カートリッジホルダ80を損傷から保護し、カートリッジ81自体をセプタムまわりの領域へのほこり汚れ侵入から保護する働きをする。キャップは、標準的なペン型注射器針を収容するように設計されている。
【0082】
窓挿入物230は、用量数字をたとえばその印刷サイズから約25%拡大するレンズを含む。窓挿入物230は、印刷面を摩耗から保護するために、また窓開口部から入る光を最大にして用量数字、およびこれらの数字まわりの白い領域の均一な照明を与えるために、裏面印刷される。ダイヤル設定された用量を示す矢印が、窓開口部に隣接して印刷される。
【0083】
以下では、薬物送達デバイスおよびその構成要素の機能について、図17〜19を参照してより詳細に説明する。
【0084】
このデバイスを使用するには、使用者は用量を選択しなければならない。図17に示された開始(静止)状態では、表示部材60は、ダイヤル設定された用量数を使用者に示す。ダイヤル設定された単位数は、外側本体10の用量窓230を通して見ることができる。表示部材60と内側本体20の間のねじ係合により、ボタン70が時計回りに回転すると、表示部材60がデバイスを出て螺旋状に進み、送達予定の単位の数に徐々に達することになる。図18は、ダイヤル設定の中間段階を示す(たとえば80単位の7)。
【0085】
用量設定中にボタン70、駆動体40および表示部材60は、クラッチ90を介して一緒に回転ロックされる。さらに、ボタン70、駆動体40および表示部材60は、軸方向に連結される。したがって、これら3つの部材は、用量設定中に外側ハウジング10を出て螺旋状に進む。ボタン70が時計回りに回転することにより駆動体40が回転することになり、そうしている間、駆動体はダイヤル設定の間ずっと固定されたままのピストンロッド30に沿って進む。クリッカ配置100は、用量をダイヤル設定するときに触知でき可聴であるフィードバックを使用者に提供する。80単位の最大設定可能用量において、止め機能12と67は係合して、これ以上のダイヤル設定を防止する。
【0086】
最終用量ナット50は、投薬単位の数を数える機能を提供する。ナット50は、カートリッジ寿命の終わりにデバイスをロックし、そのため使用者がそれ以上の薬物をダイヤル設定することはできない。最終用量ナット50と駆動体40は、上記で説明したねじ付境界面を介して連結することができる。さらに、最終用量ナット50は、ナット50と内側本体20が一緒になって(常時)回転ロックされるように、スプライン22に組み込まれる。ダイヤル設定中に駆動体40が回転すると、ナット50は、ねじ山44に沿って前進することになる。ナット50は、内側本体20の中で軸方向に常に自由に摺動し、そのためナットの前進が可能になる。図9に示されたねじ山44のピッチが最終用量に向かって変わることにより、カートリッジ寿命の終わりのロックアウト状態に向かうナット50の前進が軸方向に加速する。寿命の終わりの状態で、最終用量ナット50の止め機能51は、駆動体40上の対応する機能45と接触する。内側本体20とのスプライン接触は、これらの止め機能45によって伝達されるいかなるトルクにも対応する。
【0087】
所望の用量がダイヤル設定されていると、デバイス1は薬物投薬の準備ができている。薬物投薬は基本的に、ボタン70を押すことが必要であり、これによりクラッチ90がダイヤルスリーブ62から係合解除することになり、それによって、表示部材60とボタン70の間の相対回転が可能になる。すべての状態において、駆動体40とボタン70は一緒に、アーム73とフィンガ48の係合によって、また近位駆動スリーブ42上の対応するスプラインに係合するスプライン91によって、回転ロックされている。すなわち、クラッチ90が係合解除された(ボタン70が押し込まれた)状態で、ボタン70と駆動体40は一緒に回転ロックされ、ボタン70、駆動体40および表示部材60はなお軸方向に連結されている。
【0088】
用量を投薬するとき、用量ボタン70およびクラッチ90は、クラッチばね103を圧縮する機構に対して軸方向に動く。近位クリッカ部材102が内側本体20にスプライン連結され、クリッカ歯105、106を貫通する軸方向負荷が遠位クリッカ部材101を近位クリッカ部材102に回転ロックするので、この機構は、軸方向に動くことを強制されるが、ダイヤルスリーブ62および数字スリーブ61は自由に回転して外側ハウジング10の中に戻る。ピストンロッド30、駆動体40および内側本体20の間の嵌合ねじ山の相互作用は、2:1の機械的利益を出す。言い換えると、駆動体40を軸方向に前進させることがピストンロッド30を回転させ、この回転が、内側本体20とピストンロッド30のねじ係合により、ピストンロッドを前進させる。用量投薬中、投薬クリッカ68、71が動作しており、これにはボタン70および表示部材60を要する。投薬クリッカは主に、薬物が投薬されているという可聴フィードバックを使用者に提供する。
【0089】
このステップの終了は図19に示されている。この時点で用量は完了しており、使用者が用量ボタン70の端部から力を取り除くと、クラッチばね103はこの用量ボタン70を後方へ押して、クラッチとダイヤルスリーブの間で歯65と95を再係合する。
【0090】
デバイスをリセットすることは、カートリッジホルダ80を除去すること、および空カートリッジを満カートリッジ81と交換することから始まる。カートリッジホルダが再取付けされると、新しいカートリッジの栓が支承部31に接触し、それによって、ピストンロッド30がハウジングの中に押し戻される。最初にピストンロッド30は、内側本体20の中にねじのように回って入り、それによってカプラ43を近位駆動スリーブ42から、ばね103の付勢力に抗して係合解除する。係合解除されるとカプラ43は、遠位駆動スリーブ41と一緒に自由に回転し始め、そうすることを、カートリッジホルダ80が軸方向に内側本体20と係合するまで動きながら続ける。すなわち、遠位駆動スリーブ41は、クリッカ部材101と102が一緒になるようにばね103によって圧縮されているので依然として内側本体20内に回転拘束されている、近位駆動スリーブ42に対して回転する。遠位駆動スリーブ41が回転すると、最終用量ナット50がその(遠位)開始位置にリセットされる。カートリッジホルダ80を内側本体20に連結することが、カプラ43と、したがって遠位駆動スリーブ41と近位駆動スリーブ42の再係合を可能にするバヨネット構造23により、機構を後退させる。
【0091】
以下では、図20〜25を参照してキャップ120についてより詳細に説明する。
【0092】
遠位端121および近位端122を有するキャップ120は、カートリッジホルダ80を覆って損傷から保護する働き、およびカートリッジ81自体を、セプタムまわりの領域へのほこりおよび汚れの侵入から保護する働きをする。キャップ120は、キャップ120の近位開口部からキャップ120の中へと動くペン型注射器の遠位区間を収容するように設計されている。キャップ120は、カートリッジおよびカートリッジホルダ80に取り付けられた針配置180がキャップ120の内側に位置するようにして、薬物送達デバイス1に取り付けられる。キャップ120は、薬物送達デバイス1の使用の前に取り外される。キャップ120の内側は、カートリッジおよびカートリッジホルダ80に取り付けられる針配置180のために十分な空間があるように形成される。カートリッジホルダ80および針配置180を案内および保持する手段(図示せず)が、キャップ120の内面に設けられる。
【0093】
図20は、外側キャップ要素130、内側キャップ要素131、およびクリップ要素134を含むキャップ120の分解組立図を示す。一緒に組み立てられて取外し可能キャップ120を形成することができる外側および内側キャップ要素130、131は、それぞれ金属スリーブおよびプラスチックスリーブで作られている。外側と内側キャップ要素130、131は、適切な手段、たとえば接着手段、ポジティブロッキング、摩擦ロッキングおよび/またはスナップ相互作用によって連結される。クリップ要素134は、キャップ120の手段によって注射器ペン1をシャツまたはジャケットのポケットに連結できるようにし、その理由のために常に便利である。外側キャップ要素130の開口部135は、クリップ要素134が内側キャップ要素131にカチッと留まることができるようにする。
【0094】
外側キャップ要素130は、好ましくは金属で作られ;内側キャップ要素131は、好ましくはプラスチックで作られる。金属外側キャップ要素130とプラスチック内側キャップ要素131の組合せにより、高品位の外見および快い手触りを提供することが可能になる。キャップ120は重すぎず、快適な取扱いを可能にする。キャップ120の内側構成要素の設計により、クリップ要素134を保持することが可能になり、キャップ120の内側のカートリッジホルダ80に嵌められる標準的な針および針カバーを収容するのに十分な空間がもたらされる。
【0095】
外側キャップ要素130は、ポリマー製内側キャップ要素131を覆う金属皮膜を提供する0.4〜0.6mm厚のアルミニウム要素である。キャップ120の形状は、完全にプラスチックで作られたキャップの1つと類似している。このようなキャップ120は、完全にプラスチックで作られたキャップに、取付け中の触感が変わることなく取って代わることができる。同様なプラスチック機能は、そうでなければ無地の金属スリーブを既存のプラスチックカートリッジホルダ保持機能に取り付ける場合に生じる摩耗の危険を低減する。
【0096】
内側および外側キャップ要素131、130は、スリーブ形になっている。金属スリーブは、金属シートから搾り加工され、次に、少なくとも外面を覆って陽極酸化される。陽極酸化は、高品位で長持ちする外面をキャップ120に提供し、キャップ120に様々な金属色を与えることを可能にする。金属外側キャップ要素130およびプラスチック内側キャップ要素131を含む取外し可能キャップ120は次に、やはり同様の金属スリーブでできているペン型ハウジング/機構に取り付けられて、高品位の美しく堅牢な表面を有する再使用可能注射デバイスを提供する。
【0097】
この設計は、コストを最小限にし、堅牢で長持ちする機能を提供する。したがって、金属とプラスチックのスリーブ形構成要素の組合せを使用することにより、プラスチックスリーブを、プラスチックカートリッジホルダキャップ保持手段に取り付ける機能と共に成形することが可能になる。
【0098】
図21は、外側キャップ要素130の近位領域の断面図を示す。図22は、この構成要素の三次元切取図を示す。外側キャップ要素130は、開放端部で厚さが低減されている、深絞り加工された金属スリーブによって形成される。非常に近位の領域が丸められて、丸みのある、または折曲げ端161を形成する。このような材料の巻き返しでビーディングを形成する。この実施形態では、外側キャップ要素130の材料は1回曲げられている。しかしながら、材料は1回より多く曲げることもできる。このような曲げにより、外側キャップ要素130の内面に鋭い縁部147を形成することが可能になる。
【0099】
深絞り処理によって生じる開放端の薄い材料、およびその後にビーディングを形成することにより、周辺凹部143が外側キャップ要素130の内面に形成される。この凹部143は、キャップ120をカートリッジホルダ80に取り付けるときに内側キャップ要素131がその形に変形することができる空間として機能する。鋭い縁部147は、凹部143の近位縁部であり、組立て後にプラスチック内側キャップ要素131を保持する働きをする。
【0100】
図23は、薬物送達デバイス1に取付け中のキャップ130の近位区間141の断面図を示す。取付け中、内側および外側キャップ要素131、130を含むキャップ120は、カートリッジホルダ80がキャップ120の中へ入るようにしてカートリッジホルダ80に対して近位に動く。
【0101】
外側キャップ要素130は、外側キャップ要素130の内面に空洞143を含む近位区間141を有する。空洞143は、この実施形態では円周方向に伸びる凹部として形成されている。あるいは、空洞143は、内側キャップ要素131の変形可能領域151の形状およびサイズに対応する別の形を有することもできる。
【0102】
空洞143の領域内の外側キャップ要素130の厚さは、外側キャップ要素130の遠位区間または中間部の厚さよりも薄い。空洞143の遠位縁部145は、外側キャップ要素130の中間部と近位区間141に位置する空洞143との間のゆるやかな移行を可能にする傾斜路形に形成される。空洞143の近位縁部147は、遠位縁部145よりも急峻であり、鋭い縁部として形成される。
【0103】
内側キャップ要素131は、内側キャップ要素131の近位区間の内側に位置する、また薬物送達デバイス1のカートリッジホルダ80上に位置するキャップ保持手段155と係合するのに適している、キャップスナップ手段149を含む。キャップスナップ手段149は、キャップスナップ手段149を薬物送達デバイス1のキャップ保持手段155にロックするために、またキャップスナップ手段149をキャップ保持手段155から解放するために、取付けおよび取外し中に変形することができる変形可能領域151の少なくとも近位区間によって形成される。キャップスナップ機能149は、高くなったノーズ153またはフィンガ、および空洞171を含み、空洞171の領域内の内側キャップ要素131は他の領域よりも薄く;空洞171は変形可能領域151によって形成される。ノーズ153は、遠位斜面より急峻ではない近位斜面を有する。
【0104】
内側キャップ要素の空洞171の厚さの低減によりキャップスナップ手段149の変形が可能になり、それによってキャップ保持機能155に係合することが可能になる。外側キャップ要素130の空洞143により、外側および内側キャップ要素130、131の間に隙間がある。変形可能領域151は、外側キャップ要素130の空洞143の中に変形可能である。言い換えると、変形可能領域151は、外側および内側キャップ要素130、131の間の隙間の中に変形可能である。
【0105】
キャップスナップ手段149の近位端173は、空洞143の近位縁部147を近位で越えて延び;近位縁部147は、キャップスナップ手段149の近位端173の外向きの動きを防止して、この端部を円形に保持する。
【0106】
キャップ保持手段155は、プラスチックカートリッジホルダ80の外面に位置する。キャップ保持手段155は、台形、円形、三角形または他の任意の形状として形成されるベース領域がある高所157を含む。一実施形態では、図3および図6に示されるように、2つの高所157がカートリッジホルダ80の両側に配置される。一実施形態では、薬物送達デバイス1上に均等または不均等に間隔をあけて配置されている2つ以上の高所がある。
【0107】
高所157は、近位斜面および遠位斜面を有し;後者は高所157の近位斜面よりも急峻ではない。遠位斜面は、取付け中にノーズ153の近位斜面が高所157の上部を越えて容易に摺動できるようにする。高所157とノーズ153の両方のより急峻な斜面は、ノーズ153が高所157の上部を越えて動いた後、それが遠位に動くことを妨げ、それによって、取付け後のノーズ153の後向きの動きが防止される。しかし、キャップ120を引っ張る使用者による十分な力の衝撃は、ノーズ153を再び高所157を越えて遠位に引っ張り、それによってキャップ120を取り外すことが可能になる。ノーズ153の遠位斜面および高所157の近位斜面が急峻であるので、取外しに必要な力は取付けに必要な力よりも大きく、そのためキャップ120が偶発的に取り外されることが防止される。しかしながら、代替のノーズ153および高所157の実施形態では、対称である他の斜面設計があり得る。
【0108】
ノーズ153が高所157を越えて摺動するとき、ノーズ153は外側キャップ要素130の方へ押される。キャップスナップ手段149の近位端173がその位置に、外側キャップ要素130の近位縁部147によって保持されているので、結果として生じるトルクが変形可能領域151を外向きに変形させ、ノーズ先端が高所157を越えて摺動することを可能にする。外側キャップ要素130の空洞143は、キャップ120の取付け中にノーズ153が高所157を越えて摺動するとき、プラスチック内側キャップ要素131の変形の少なくとも一部に対応するための空間を与える。
【0109】
図24は、薬物送達デバイス1への取付け後のキャップ120の近位区間の断面図を示す。
【0110】
ノーズ153は、高所157の近位縁部の後ろに係合される。高所157は、内側キャップ要素131の空洞171に係合する。ノーズ153は高所157を越えて摺動しているが、キャップスナップ機能149は依然として、外側キャップ要素130の空洞143の中に変形されている。キャップスナップ手段149の近位端173を強制的にその位置にする外側キャップ要素130の近位縁147と、変形可能領域151を外側キャップ要素130の空洞143に押し込む高所157との組合せにより、キャップスナップ機能149が高所157を越えて適正に整合することになり、それによってキャップ120が取付け位置に保持される。
【0111】
図25は、薬物送達デバイス1への取付け後のキャップ120の別の実施形態の近位区間の断面図を示す。
【0112】
この実施形態は、上述のものとは内側キャップ要素131の設計が異なる。キャップスナップ手段149の近位端173は、空洞143の近位縁部を越えて延びず、これにより、取付け中に近位縁部173もまた空洞143に入るようにした変形が可能になる。この実施形態では、高所157はキャップスナップ手段149を変形するにすぎず、トルクが大幅に低減されるので、キャップスナップ手段149に衝撃を与える応力が小さい。
【0113】
上記の実施形態の機能は組み合わせることができる。構成要素の配置、機能および数は、別の実施形態で変えることができる。
【0114】
図26は、上記のクリップ要素であっても関連があってもよい固定要素134を示す。固定要素134は、ペン型デバイスなどの薬物送達デバイス用のクリップ要素である。クリップ要素134によって、薬物送達デバイスのキャップもしくはキャップアセンブリ(下記参照)、または薬物送達デバイスの固定もしくは取付けは、別の構成要素に、たとえばデバイスの使用者のシャツポケットに固定することができる(上記のように)。それに応じて、固定要素134は、細長い形状と、固定要素134の遠位端(図26では左側)のわずかな湾曲とを有する固定部分168すなわち本体を含む。固定要素134はさらに、案内要素150を含む。案内要素150は、固定要素134の遠位端近くの、上記の湾曲部の内側に配置される。案内要素150は、固定要素134が、案内要素150を受ける要素によって、好ましくは固定要素またはデバイスの長手方向軸に沿って案内されるようにレールを構成する、または含む。案内要素は、固定要素134の軸方向延長部の半分未満を越えて延びる。案内要素150はさらに、上記の案内機能を助長するためのT字形横断面を含む(たとえば、図29も参照)。T字形断面を形成するために、案内要素150は受け部分152を含む。受け部分152は、T字形断面の「T」の水平の一画すなわち横棒を構成する。好ましくは、受け部分152は、たとえばキャップアセンブリの中で固定要素134が取り付けられるべき構成要素の、1つまたはそれ以上の開口部もしくは開口部で受けられるように構成される(図29および図30参照)。
【0115】
さらに、案内要素150は、案内部分158を含む。案内部分158は、好ましくは、案内要素150のT字形断面の「T」の水平の一画すなわち横棒を構成する。案内部分158は、固定要素134の固定部分168を受け部分152に連結するウェブである。案内部分158はさらに、たとえば上記のキャップアセンブリの中で固定要素134が取り付けられるべき構成要素の、1つまたはそれ以上の開口部で受けられる、またはその中に配置される。
【0116】
案内要素150は、固定要素134の内側で半径方向に突出する突起を含む、または構成する連結機能154を含む。好ましくは、連結機能154は、たとえば内側部材131(図28参照)の対応連結機能と相互作用するように構成される。連結機能154は、案内要素150の近位端に配置される。連結機能154はさらに、案内要素150の遠位面を含む、または構成する。
【0117】
案内要素150または固定要素134はさらに、当接機能156を含む。当接機能156は、固定要素134の長手方向軸に垂直な半径方向当接面(明確には示されていない)と、製造および組立ての際の許容誤差により生じる固定要素134と外側部材130の間の隙間があれば隠す、または覆い隠すように設計されている長手方向当接面とを含む。当接機能156は、好ましくは、たとえばキャップアセンブリ200(図30参照)の中で固定要素134が取り付けられるべき、1つまたはそれ以上の対応する構成要素に当接するように構成される。
【0118】
さらに、固定要素134は、取付け機能160を含む。取付け機能160は、別の構成要素(図27の凹部機能166参照)と相互作用するように構成される。取付け機能160は隆起を含む、または構成する。取付け機能はさらに、案内要素150から軸方向に間隔があけられ、固定要素134の近位端近くに配置される。取付け機能160は、好ましくは、機械的接触によって外側部材130と相互作用するように構成される。それによって、キャップアセンブリまたは薬物デバイスを、アセンブリまたはデバイスの使用者のシャツポケットなどの別の要素に固定または取付けることが簡単になり、または助けられる。特に、前記機械的接触は摩擦を増大させ、またそれによって、キャップアセンブリおよび別の要素の取付けの確実性を向上させる。
【0119】
図27は、上記の外側キャップ要素である、またはそれと関係がある外側部材130の斜視図を示す。外側部材130は細長い形状を含む。外側部材130はさらに、スリーブ状の形状を含む。好ましくは、外側部材130は金属で作られ、たとえばアルミニウムから作られる。この目的で外側部材130は、好ましくは深絞りで形成または製造される(上記のように)。外側部材130はさらに、開口部164を含む。開口部164は、外側部材130の遠位端に配置される。開口部164は、好ましくは打抜きによって外側部材130から形成される。外側部材はさらに、図27には明確に示されていない近位開口部を含む。開口部164内に、図26によって描かれている案内要素150に対応する、対応案内機能162が形成される。対応案内機能162は、開口部164から始まって、外側部材130の近位方向に延びる。対応案内機能162は案内スロットである。対応案内機能162は、案内要素150の案内部分158を受けるために、案内部分が対応案内機能162の内側に配置されるように構成される。好ましくは、開口部164、対応案内機能162および固定要素134は、案内要素150を開口部164に導入できるように、または開口部164で受けることができるように構成される。次に、たとえばキャップアセンブリの組立て中の場合に、固定要素は近位に押され、案内部分158は、対応する案内機能162で受けられ、またはその中に配置され、受け部分152は、好ましくは開口部164の残りだけで受けられ、外側部材130および/または内側部材の内側に配置される(図29および図30参照)。
【0120】
外側部材130はさらに、凹部166を含む。凹部166は、好ましくは、たとえば固定要素134と外側部材130がキャップアセンブリ200に組み立てられるときに、上記の固定要素の取付け機能160を受ける、またはそれと相互作用する(下記の図29および図30参照)。好ましくは、取付け機能は凹部166の中へと延び、かつ/または凹部166内で外側部材130と接触する。凹部166は軸方向に、特に近位に、外側部材130の長手方向軸に沿って開口部164から離隔される。凹部166は、好ましくは、取付け機能に従って、すなわち、取付け機能160(図26参照)の上記の隆起と同じ曲率で形づくられる。
【0121】
図28は、内側部材131の斜視上面図を示す。内側部材131はスリーブであり、外側部材130に導入されるように構成される。内側部材131は、対応連結機能170を含む。対応連結機能170は、連結機能154と対応連結機能170の相互作用によって固定要素134を内側部材131に連結できるように、固定要素134の連結機能154に対応する(図29および図30参照)。対応連結機能170は、内側部材131の近位面を構成する、または含む。内側部材131はさらに、開口部172を含む。開口部172は、内側部材131の遠位端またはその近くに配置される。開口部172はさらに、外側部材の開口部164と同様に形づくられる(図27参照)。
【0122】
図29は、キャップアセンブリ200の部材の断面図を示す(図30参照)。アセンブリ200は、固定要素134、外側部材130および内側部材131を含む。図29は、上記の構成要素を組み立てられた状態で示す。図29に示された区間の下部にキャップアセンブリ200の内側が示され、上部に外側部材が示されている。描かれた状況では、内側部材131が外側部材130内に配置され、固定部材134および/または案内要素150の少なくとも一区間が、外側部材の開口部164を通って、好ましくはまた、内側部材131の開口部172も通って延びる。この目的で、開口部164と172は、キャップアセンブリ200内で重なり合う。図29にはさらに、上述のように、案内要素150がT字形断面を含むことが示されている(前記Tは上下逆に描かれている)。それによって、固定要素134全体の断面はH状に形づくられる。案内部分158は、対応案内機能162内に配置される(図29も参照)。案内要素150、特に受け部分152は、たとえば、外側部材130および/または内側部材131に対する固定要素134の(外向き)半径方向の動きを防止する。これは、対応案内機能162が、受け部分152に対応案内機能162を半径方向に通過すること、または通り抜けることを可能にするには狭すぎるからである。
【0123】
図30は、キャップアセンブリ200の部材の長手方向断面図を示す。キャップアセンブリ200は、長手方向軸Xを含む。長手方向軸は、固定要素134、外側部材130、および内側部材131の長手方向軸と対応する。また、キャップアセンブリ200が適用される薬物送達デバイスも図30に示されている。
【0124】
固定要素134は、内側部材131の開口部172および外側部材130の開口部164を、キャップアセンブリ200が丸みのある形状になるように閉ざす。固定要素134の連結機能154は、少なくとも一部は外側部材130の開口部164内、ならびに内側部材131の開口部172内に配置される(図30には開口部が明確に示されていない)。特に、対応案内機能162は、案内要素150の受け部分152を受けるように構成され、その結果、受け部分152が外側部材130の内側に、また内側部材131の内側にも配置されるようになる。
【0125】
固定要素134と内側部材131は互いに連結される。特に、連結機能154は、固定要素134と内側部材131が互いに連結されるように、スナップ相互作用によって対応連結機能170と相互作用し、好ましくは当接する。固定要素134と内側部材131は、好ましくは、連結機能154の遠位面と対応連結機能170の近位面とが当接するとき、互いに確実に連結される。上記の構成要素を連結するために、または連結中に、固定要素134および内側部材131のうちの少なくとも1つが、少なくともわずかに変形される。連結機能154は、内側部材131が外側部材130の中に保持されるように、外側部材130に対する内側部材131の近位の動き(すなわち、図30で左向き)を阻止する。
【0126】
当接機能156はさらに、内側部材131の遠位面と、ならびに外側部材130の遠位面および半径方向面と軸方向に当接する(各面は明確に示されていない)。上述の当接によって、内側部材131に対する外側部材130の特に遠位方向の動きが阻止されること、また外側部材130が固定要素134によって固定されることがさらに容易になる。さらに、当接機能156の上記の当接相互作用が、キャップアセンブリ200に対する機械的安定性をもたらした。
【0127】
図30にはこのことが明確に示されていないが、固定要素134の取付け機能160は、好ましくは外側部材130の凹部166に機械的に接触する(上記説明参照)。
【0128】
また、たとえばキャップアセンブリ200が適用される薬物送達デバイスの別の構成要素も示されている。このような構成要素は、薬物(明確に示されていない)を保持するカートリッジまたはカートリッジホルダ180に関連する。さらに、カートリッジまたはカートリッジホルダ180からの薬物と流体連通している注射針182が示されている。内側部材131は針182と、さらにカートリッジまたはカートリッジホルダ180の少なくとも一区間とを収容することが示されている。
【0129】
内側部材は、有利には、射出成形金型一式で1つだけの中子および1つの型空間挿入物を用いた射出成形プロセスによって成形可能になるように設計される。それによって内部部材は、低コスト成形プロセスによって製造することができる。
【0130】
キャップ120(図3参照)は、キャップアセンブリ200であるか、またはこれに関連する。
【0131】
カートリッジまたはカートリッジホルダ180は、カートリッジ81および/またはカートリッジホルダ80であるか、またはこれらに関連する。
【0132】
クリップ要素は、固定要素134であるか、またはこれに関連する。
【0133】
キャップの金属要素は、外側部材130であるか、またはこれに関連する。
【0134】
キャップのプラスチック要素は、内側部材131であるか、またはこれに関連する。
【0135】
外側キャップ要素は、外側部材130であるか、またはこれに関連する。
【0136】
内側キャップ要素は、内側部材131であるか、またはこれに関連する。
【0137】
開口部135は、開口部164であるか、またはこれに関連する。
【0138】
保護の範囲は、本明細書で上記に示された例に限定されない。本発明は、それぞれの新規の特徴、および特徴の組合せとして具現化され、特に、特許請求の範囲に記載されている任意の特徴のすべての組合せを、この特徴またはこの特徴の組合せが特許請求の範囲または例にたとえ明解に記載されていなくても含む。
【符号の説明】
【0139】
1 薬物送達デバイス
10 外側ハウジング部材
11 遠位部材
12 回転硬質止め具/止め機能/第2の回転止め具
13 開口部
20 内側本体
21 外側ねじ山
22 スプライン
23 バヨネット機能
24 窓保持ノーズ/保持手段
25 止め面/第1の回転止め具
30 ピストンロッド
31 支承部
32 外側ねじ山/第1の外側ねじ山
33 外側ねじ山/第2の外側ねじ山
40 駆動体
41 遠位駆動体部材/別個の部材/遠位部分/第1の部材
42 近位駆動体部材/別個の部材/近位部分/第2の部材
43 カプラ
44 外側ねじ山/螺旋溝
45 止め面
46 スプライン
47 歯機能
48 フィンガ/可撓アーム
49 支承部面
50 用量ナット
51 止め面
52 外側リブ
53 内側ねじ山
60 表示部材
61 数字スリーブ/第1の部材
62 ダイヤルスリーブ/別の部材
63 止め面
64 螺旋駆動面/突出ねじ山
65 クラッチ機能/歯
66 支承面/フランジ/接触機能
67 向かい合う面
68 ラチェットアーム/投薬クリッカ/クリッカ機能
70 ボタン
71 ラチェット歯/投薬クリッカ/クリッカ歯
72 端面
73 アーム/フィンガ
74 スナップ機能
80 カートリッジホルダ
81 カートリッジ
82 バヨネット連結部
83 開口部
84 遠位端
90 クラッチ
91 駆動スリーブスプライン
92 クラッチ付勢歯
93 スナップ開口部/スナップ機能
94 スプライン
95 クラッチ歯
100 クリッカ
101 遠位クリッカ部材/第2の歯付要素
102 近位クリッカ部材/第1の歯付要素
103 ばね
104 スプライン
105, 106 クリッカ歯
107 外側スプライン
108 成形スプライン
109 クラッチ付勢歯
110 ばね
120 キャップ
230 窓
101 遠位クリッカ部材
102 近位クリッカ部材
130 外側部材/キャップの金属要素/外側キャップ要素
131 内側部材/キャップのプラスチック要素/内側キャップ要素
132 外側ハウジング部材の金属要素
133 外側ハウジング部材のプラスチック要素
134 固定要素/クリップ要素
135 キャップの開口部
136 外側ハウジング部材の開口部
137 (キャップの)端面
141 近位区間
143 空洞
147 縁部
149 キャップスナップ手段
151 変形可能領域
153 ノーズ
155 キャップ保持機能
157 高所
161 折曲げ端
171 空洞
173 近位端
150 案内要素
152 受け部分
154 連結機能
156 当接機能
158 案内部分
160 取付け機能
162 対応案内機能
164 開口部(外側部材)
168 固定部分
166 凹部
170 対応連結機能
172 開口部(内側部材)
180 カートリッジ/カートリッジホルダ
182 注射針
200 キャップアセンブリ
X 長手方向軸
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30