(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記UV遮断剤は、2−メチルアクリル酸3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]−プロピルエステル(UVB);及び
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−ビニルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(UVAM)
からなる群から選択される、請求項1に記載のSMP。
前記UV遮断剤は、3−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−5−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾ−ル−2−イル)フェネチルメタクリレートである、請求項1に記載のSMP。
【背景技術】
【0003】
人間の眼は、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通して光を透過することにより、及び網膜上の水晶体により画像に焦点を合わせることにより、視覚を与える機能を有する。焦点画像の質は、眼の大きさ、形、並びに角膜及び水晶体の透明性を含む多くの要因に依存する。
【0004】
老化又は病気により水晶体の透明性の低下が生じると、網膜を透過できる光が低減するため、視力が低下する。眼の水晶体におけるこの欠陥は、白内障として医学的に知られる。こ
の疾病について一般に許容される治療は、水晶体の外科的除去及び人口眼内レンズ(IOL)による水晶体機能の代替である。
【0005】
白内障除去のための嚢外又は嚢内手術の後、眼内レンズが水晶体の代替として用いられる。米国において、大多数の白内障水晶体は、水晶体超音波乳化吸引と呼ばれる手術法により除去される。この手術では、水晶体前嚢に開口部をつくり、罹患水晶体に薄い水晶体超音波乳化吸引切断チップを挿入し、超音波により振動させる。振動した切断チップは水晶体を液化又は乳化し、これにより水晶体を眼の外に吸引できる。罹患水晶体を一旦除去した後、人工水晶体と交換する。
【0006】
眼内レンズは、通常、前眼房(すなわち、虹彩と角膜の間)に配置するものと後眼房(すなわち、虹彩の背後)に配置するものの2種類ある。どちらの型のレンズも、1つには患者の要求により、また1つにはレンズを挿入する医者の意向により決定する前房レンズ及び後房レンズ間の選択によって一般的に採用される。虹彩外縁に固定されるので虹彩支持型レンズとして知られる第3の種類のレンズは、その視覚部が前眼房又は後眼房のいずれかにある点で上記2種類のうちの1種であると考えることができる。
【0007】
眼内レンズは、通常、オプティック(optic)から放射状に広がり、前房レンズに対して強膜棘及び後房レンズに対して毛様溝若しくは水晶体嚢内のいずれかに位置する末梢部を含む少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のハプティック(haptic)を備えるオプティックから構成される。このオプティックは、通常、円形の透明光学レンズを含む。多くのレンズにおけるハプティックは、レンズに取り付けられた近接端部と支持末端を形成するためにレンズの外縁から離れて放射状に広がる遠位端を有する軟性繊維若しくはフィラメントである。例えば、各ループの両末端がレンズに接続された一対のC型ループ、及び例えばループの片側の末端のみがレンズに固定されているJ型ループなどのいくつかのハプティック構造が現在使用されている。
【0008】
ハプティックは、通常、放射状に弾性であり、レンズの外縁から外見上に広がり、穏やかにしかし弾性的に虹彩に隣接した若しくは水晶体嚢内の適切な目周辺構造に連動する。この弾性力は、ハプティックの材料の通常の弾性特性に起因する。このため、圧縮されて解放された場合にすぐに制御不能に跳ね返るであろうハプティックを生じる。移植の間、ハプティックを抑圧しなければならないため、この特性は移植工程及びレンズの最終的な位置決めを困難にする。また、配置された際、従来のハプティック材料の柔軟性は、レンズ背後からの硝子体圧力により押されることによる、又は、隣接する眼組織からの圧力に起因する移動による偏心の影響をレンズに及ぼす。また、ハプティック解放の弾性収縮力により生じる力は、繊細な局部組織に損傷を与えるかもしれない。
【0009】
後房レンズの最適な配置は水晶体嚢内である。これは成し遂げる外科医にとって非常に困難な手技である。後房レンズを用いる場合、非常に小さな瞳孔開口を通して配置しなければならず、最終的なハプティック位置は虹彩の後に隠れて外科医には見えない。従って、移植の間は後房レンズの全体寸法をできる限り小さく維持し、外科医の意図する場所(通常、水晶体嚢)に最終的に配置した際にこれが広がることが非常に望ましい。小さな装置は眼の中でより操作しやすく、ハプティックが角膜内皮組織と接触する可能性を減らし、外科医がしばしば直径5〜8mmの瞳孔を通って、全体寸法14mmを有するレンズの挿入をしなければならない場合に、眼内における操作を容易にすることができる。より小さなレンズも、レンズ/虹彩接触を低減し、眼内レンズとそのハプティックが水晶体嚢内に存在することをより保証することができる。
【0010】
近年、比較的柔らかな体部を有するハプティックを備える又は備えない眼内レンズが提供されており、一般的にその体部はレンズの移植中小さな開口部への挿入のためにその直径に沿って折りたたむことができる。挿入前にレンズ本体を折りたたむことができ、その後適切な位置に充填することのできる、鞘中に閉じ込められた液体若しくはヒドロゲルから形成されるレンズが考案されている。残念ながら、これらのレンズ本体に使用されている軟性材料は元の形に戻るために、場合により必要とされる回復力を欠いている。
【0011】
さらに、これらの種類のレンズは、典型的には機械的拘束を解除する際に弾性材料を曲げることにより蓄積された機械的エネルギーが放出される弾性解放機序、又は、レンズが一般的に浸透拡散工程により水を吸収する水和としても知られる水揚げのいずれかを利用することにより配置される。いずれの方法も制御することは難しい。前者の場合、弾性収縮力が局所組織に損傷を与え、又は、レンズを中心から移動させるかもしれない。後者の場合、膨張したレンズが周辺組織と接触した場合にレンズの最終的な形態が歪むかもしれない。さらに、水和物質は弱い形態回復力しか有していないことが知られている。
【0012】
天然レンズにおいては、遠視力と近視力の遠近両性が調整として知られるメカニズムによりもたらされる。年少期、天然レンズは柔らかく、水晶体嚢内に含まれている。水晶体嚢は毛様筋から小帯によりぶら下がっている。毛様筋の弛緩は小帯を緊張させ、水晶体嚢を伸ばす。その結果、天然レンズは平らになりやすい。毛様筋の緊張は小帯の伸張を弛緩させ、水晶体嚢及び天然レンズをより丸みを帯びた形にすることができる。このようにして、天然レンズは近い物体及び遠い物体に対し交互に焦点を合わせることができる。レンズが老化すると、レンズも硬くなり、毛様筋の緊張に反応して変形しにくくなる。これにより、近い物体にレンズの焦点を合わせることが困難になる(老眼として知られる医学的症状)。老眼は、45〜50歳を超えるほとんど全ての成人で発症する。
【0013】
典型的に、天然レンズの白内障又は他の病気を除去し、人工IOLに置換する必要がある場合、患者が近視用のメガネ若しくはコンタクトレンズを使用する必要のあるIOLは単焦点レンズである。いくつかの二焦点IOLも作られているが、広くは受け入れられていない。いくつかのIOL構造は、毛様筋の動きに対してオプティックを前方及び後方へ移動させることのできる軟性ハプティックを有する単一オプティックレンズである。しかしながら、これらの単一レンズ系におけるオプティックの移動量は、有用な調整範囲としては不十分であろう。また、レンズと水晶体嚢の強固な結合をもたらす水晶体線維症をレンズに導くため、1〜2週間、目に投薬して眼の動きを減じなければならない。さらに、これらのレンズの商業用モデルはヒドロゲル又はシリコーン材料から作られている。このような材料は、後嚢混濁(「PCO」)の形成に耐性がない。PCOの治療は、後嚢の一部を気化させるNd:YAGレーザーを用いた嚢切開である。このような後嚢の破壊は、これらのレンズの調整メカニズムを破壊し得る。
【0014】
公知の調節性レンズも低い調整能に加え焦点の伸張深度を欠いている。このような公知のレンズは、適切な機能のために水晶体嚢サイズの範囲にわたってサイジングされた正確なレンズをさらに必要とし、長期の水晶体嚢の固定及び安定性を欠いている。また、現在のレンズ置換手術はより小さな切開サイズへと移行しているため、一般的にIOLはそのような小さな切開を通して送達できる必要がある。
【0015】
二重光学レンズは、毛様体/小帯複合体の能力を利用して水晶体嚢の形を変える。これによりレンズ内の距離を変えることができ、これにより屈折障害を変えることができる。これらの二重光学レンズは、この視覚系を作り出すために必要とされる光学ハードウェアに伴って大きくなり得、目に挿入するためにより大きな角膜切開を必要とする。
【0016】
角膜内レンズは屈折障害又は老眼を治療できるように考案されている。角膜内レンズは角膜インプラントとレンズを含み、刃物若しくはレーザーにより角膜内に開けられた小さな切開から挿入される。角膜の切開により形成されたくぼみはインプラントを配置し、角膜の形を変えるために用いられる。レンズ移植の場合、くぼみは屈折レンズを光学的に効果的な位置に配置するために用いられる。いくつかのレンズは、老眼を治療するためのピンホールタイプ効果を生じる。現存の角膜内レンズはより小さな切開サイズへと移行しており、一般的に装置はそのような小さな切開から送達できる必要がある。フェムト秒レーザーなどのレーザー技術は、このようなより小さい角膜創傷や移植のためのくぼみを作り出す能力を高める。
【0017】
有水晶体眼内レンズは、山形構造により支持された前房、又は虹彩のすぐ後方及びもともとの水晶体の前の後溝のいずれかに移植される。レンズは、縁の最小の挿入傷から移植され、前房に又は前房を通って挿入される。このレンズは屈折障害の治療に用いられ、レンズ及び/又は山形構造に対する外傷を生じる危険性を有する。小さな切開はレンズを折りたたみ、その後眼の中でレンズが展開することを要し、眼内構造に損傷を与える危険性を高める。
【0018】
公知のアクリル製レンズ材料は、十分に圧縮することができ、IOLのための所望の機能に達することができる。アクリル製IOLを折りたたむ又は圧延するための様々な方法が知られているが、これらの方法は、移植に必要とされる移植サイズを最小化する目的で、変形形状の形状因子を低減させる要求に対して取り組んでいるにすぎない。これらのレンズが配置される実際の容積は一定に維持されるので、このようなIOLが到達し得る最小サイズには限りがある。さらに、これらのIOLを折りたたむ又は圧延する能力は、折りたたむ応力により生じるひずみに抵抗する、所望の形状に戻る、及び移植後に必要とされる任意の特性を与える材料の能力により制限される。さらに、移植するとすぐに、IOLのハプティックに現れる組織の外傷を度々引き起こすレンズの変形が生じる速度及び力に対してはほとんど制御できない。
【0019】
本明細書の背景技術に含まれる情報(ここで引用される参照及びその記載又は考察を含む)は、技術的参照目的のためだけに含まれ、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を拘束する主題とみなされるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明で開示するSMPIOLは、既知のアクリルレンズ材料と比較して、変形しやすいため(場合により、65%を超える圧縮及び250%を超える引っ張り歪み)、移植のために、このような装置により変位する体積を実際に小さくすることができる。これにより小さな切開サイズ(2mm以下及び1.8mm以下でさえある)による移植が可能になり、このため、人の眼に対する外傷を軽減することができる。本明細書に開示されるSMPIOLを使用することによりいくつかの他の利点も達成し得る。
【0036】
多くの製剤の屈折率(n
0=1.464)は、比較的高い(人の水晶体組織の屈折率よりも高い)ため、レンズの厚みを薄くし、それにより送達形状のサイズを小さくすることが可能である。SMPIOLの屈折率は、SMP材料の製剤によりさらに修正することができる。
【0037】
移植場所における外傷を軽減し、適切な位置でのIOLの操作及び配置のための十分な時間を外科医にもたらすために、形状回復工程が遅く又は遅延するようSMP材料の製剤を調節することができる。いくつかのSMP製剤により、移植後の修正(例えば、オプティックの曲率又は屈折率を変更すること)が可能となる。これは移植後のレーザー若しくは超音波によるSMPIOL又はその一部の非侵入型加熱の適用により実現できる。このような加熱は、第2若しくは第3の形態変化を活性化できるよう材料の異なる架橋重量%を有する(それによりこれらの領域ではTgが異なる)SMPIOLの特定の部位に適用することができ、屈折率、オプティックの曲率若しくはハプティックの拡張に変化をもたらすために使用できる。例えば、ハプティック−オプティック接合部の構造を、オプティックの湾曲構造を修正できるよう接合部を加熱することにより、変化させることができる。調整を助けるために、このような第2若しくは第3の形態変化を水晶体嚢、硝子体、小帯及び周辺組織との相互作用を促進するのに使用してもよい。また、二重オプティック調節性眼内レンズ系における2つのオプティックの基本的な位置決めは移植の後でさえ変更することができる。
【0038】
SMP材料は、極度に高い形状固定率(95を超え99%以下)を備えてよい。元の成型形状に対する回復した形状変化率として定義される形状固定率が大きくなれば、IOLが意図されるように機能する再現性及び信頼性が大きくなる(例えば、IOLの配置後の形状は、装置の光学的特徴を最大化するために高度に制御されるべきである)。本発明に開示されるSMP材料は、SMP材料が、非弾性の、非溶融性の形状回復工程(すなわち、流動特性を用いる相変化ではない)を用いてSMP材料を配置するので、大部分において極めて高い形状固定率を備える。さらに、SMP材料は、ヒドロゲル又は他の型の水和性材料でない。SMP材料は、ある高度な再現性、非変化性、非クリープ性、非変形性、貯蔵形状から、別の高度な再現性、非変化性、非クリープ性、非変形性、第2の(持続性)形状に変換させる。
【0039】
SMP材料は、予めプログラムされた形状を有してよく;及び配置後のSMP装置は、局所組織に適応し得る又は適応し得ない、プログラムされた形状に移行するための内部貯蔵エネルギーを放出する。局所組織は、SMP装置形状を形作る役割を果たさない。SMP装置はより小さい送達形状のために変形される前に、成形時に元々形成されたそれらの「持続性」形状に戻る。変形された状態から硝子(持続性)状態への全展開速度は、SMP製剤に応じて、1秒未満から600秒を超える幅広い範囲に渡り、変えることができる。
【0040】
開示された高いTg(すなわち、体温以上)のSMP処方は、冷蔵又は冷凍或いは低温
操作環境を必要としないSMP装置を梱包、輸送、保管、及び最終的には移植する工程を
備える。従って、本発明に記載されたSMP材料の大きな利点は、拡大された期間、貯蔵
形態で貯蔵することができ
ること、それらは、慣用の配達系の中、制約された形態で梱包できること、及びそれらは、予め冷凍する又は他の温度に変化させる必要なしに展開できることである。例えば、装置の輸送の間、温度循環による環境の影響及び装置の不用意な変形は、配達系又は輸送系における装置を制限することにより、除外することができる。
【0041】
場合により、本明細書に開示されたSMPIOL製剤は、インビボで移植された後SMPIOLから溶出し、移植時に傷ついた眼組織の治癒過程を補助し、又は別の眼疾患を治療するための治療薬を運ぶことのできる種々の薬剤を含む(例えば含浸させる)ことができる。この薬剤又は活性成分(例えば、生物剤)は、重合工程の一部として、膨張剤(例えば、化学的又は物理的ヒドロゲルポリマー構造)内に、又は最終的なSMPIOL装置の生物分解性薬剤溶出ポリマー部分として、SMPIOLに組み込まれてもよい。SMPIOLに組み込まれ得る典型的な薬剤としては、構成物質、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、生物剤(例えば、抗VEGF剤、siRNAなど)及び緑内障の治療薬(すなわち、眼圧を低下させるための薬剤であって、限定するものではないが、プロスタグランジン、副交感神経/交感神経系薬剤、α−アゴニスト、β-遮断剤、炭酸脱水酵素阻害薬、Rhoキナーゼ阻害剤、アデノシンアゴニスト、エンドセリンアゴニスト及びアンタゴニストなどが挙げられる)などが挙げられる。SMPIOLに結合し得る他の薬剤には、ウィルスベクター及び細胞系治療薬が含まれる。
【0042】
種々の眼内レンズの種類は、特にレンズ形状又は設計の要求を満たすために選択された材料特性を有する、以下に記載されるような製剤により、SMP材料から作製できる。これらのレンズオプションも、以下に記載される。
【0043】
<形状記憶ポリマー材料>
本明細書に開示されるSMP製剤は、IOLが特定の設計要件を満たすために形成されることを可能にする。さらに、SMP製剤は、IOLが拡大可能な液体注入製造技術を用いて製造されることを可能にする。本明細書に開示するSMP製剤は、以下の有利な特性を有するIOLを提供することができる;98.5%を超える形状固定性;包括的に3〜25秒の臨床的に望ましい速度を含む0.25秒〜600秒の回復速度;製造工程の間、任意寸法において少なくとも40%、好ましくは100〜200%の最小装置変形;250kPa〜20,000kPaの弾性係数;折りたたみ、圧縮、及び注入のためのTgの調整;無光沢(眼内レンズ用のポリマー製剤に起こり得る光学的欠陥を記述する工業用語);UV遮断能力;青、黄色、赤色及び緑色又はそれらの組み合わせの配色;30秒〜20分の液体注入製造のためのサイクル時間;高温(例えば400℃程度の温度)成形に基づく製造に対する耐久性;高圧(特に50Mpa程度の圧力)成形に基づく製造に対する耐久性;成形に基づく製造工程の間、極めて狭い経路(100マイクロより小さな径)を通り流れる能力(すなわち、製造温度下で低粘度);及び成形に基づく製造工程における熱硬化後、3%〜15%以下の持続性形状への体積収縮。
【0044】
SMP材料は、形状を変化させ、又は、そうでなければ外部刺激に応じて機械力により活性化する重要な能力を有する。この刺激は、光、熱、化学物質又は他の種類のエネルギー又は刺激であり得る。SMP材料の熱機械的応答は、形状記憶特性を予測し、最適化するために製剤を通して制御することができる。形状記憶ポリマー装置を、特定の生物医学用途及び患者生理学に適合及び対応することのできる高度な適応性に設計及び最適化し得る。
【0045】
ポリマーの元の形状を変形させ、外部刺激に作用されるまで変形した状態で安定なままであり、その後適当な刺激にさらされることにより元の形を回復することができる場合、そのポリマーはSMPであるとみなすことができる。一実施において、刺激は熱であってよい。原形は成形、押出し、スタンピング又は他の典型的なポリマー加工方法により設定することができる。また、円盤状、棒状又は材料の他の形状は上述した方法により形成することができ、その後、材料を凍結し、その後レーザー及び/又は機械的に材料を最終的な形状に切断することを含む処理である極低温処理(cryolathing)により最終形状に形作ることができる。一時的な形状は、熱機械的変形により定められてよい。ポリマーの元の成形形状が変形回復温度より低い温度で機械的に変化している場合であっても、変形したSMP材料を形状変形回復温度を超える温度に加熱することにより原形に回復する。本発明の用途に使用される開示のSMP材料は、適切な製剤において加熱により原形の99%を超える精度で大きな変形を回復する能力を有する。
【0046】
熱刺激を用いる一実施態様において、ポリマー転移温度は体温(約37℃)で変形回復温度をもたらすよう調整されてよく、すなわち、ポリマーのガラス転移温度(Tg)は約37℃に設計される。この方法の明らかな利点は、SMP材料を自然に活性化するための人体の熱エネルギーの利用にある。いくつかの用途に関して、材料の機械的特性(例えば、剛性)はTgに強く依存している。したがって、ポリマーの対応特性に起因してTgが体温に近い場合に非常に硬い装置を設計することは困難であるであろう。医学的用途における他の考慮すべきことは、約37℃のTgを有する形状記憶ポリマーに要求される貯蔵温度が、一般的に展開前の「低温」貯蔵を必要とする室温以下であることである。より高温の輸送又は貯蔵環境においては、装置が初期成形形状に展開しないよう抑制する装置を使用することにより折り畳まれた形状を保持することができる。
【0047】
別の実施態様において、回復温度は体温より高い(すなわち、37℃を超えるTg)。この実施態様の利点は、貯蔵温度を、装置の容易な貯蔵を促進し、使用前の望ましくない展開を回避することができる室温にすることができる点である。折りたたまれた形状を、装置が初期成形形状に展開しないよう抑制する装置を使用することにより保持することができる。しかしながら、展開における材料の局所的加熱がSMP材料の回復に導入することが必要となる。人体のいくつかの組織への局所的損傷は、体温より約5℃高い温度でアポトーシスやタンパク質変性を含む種々のメカニズムによって引き起こされ得る。局所的な熱爆発を高温への暴露を最小にし、組織損傷を避けるために使用できる。他と組み合わせる方法の使用は、標的とする体組織及び、例えばインビボでの機械的特性などで必要とされるような他の装置設計制約に依存する設計決定である。
【0048】
実行し得る最も小さい切開を通してIOLを送達するため、高水準の回復可能な変形を達成するためにSMP装置の機械的特性を開発することができる。張力において、180%以下の歪みは10%の架橋系を達成でき、60%以下の歪みは40%の架橋系を達成できる。圧縮において、80%以上の歪みは、上記割合の架橋で達成できる。張力及び圧縮における望ましい水準の歪みは、送達系中にSMPIOLを適合させるために必要とされる変形水準により決定される。より低い架橋量の製剤は、失敗することなく、高水準の変形に耐えることができる。現在のIOLは、望ましい水準の回復可能な歪みについての材料特性を達成するために、5%〜40%の架橋を利用する。
【0049】
SMPIOL及びSMP材料は、1.45以上、1.46以上、1.47以上、1.48以上、1.49以上、又は1.50以上の屈折率を有してよい。SMPIOL及びSMP材料は、少なくとも1.45、少なくとも1.46、少なくとも1.47、少なくとも1.48、少なくとも1.49、又は少なくとも1.50の屈折率を有してよい。
【0050】
SMPIOL及びSMP材料は、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%、又は0.5%以下の平衡含水率を有してよい。SMPsは、0.5〜3.0%の平衡含水率(EWC)を有してよい。EWCは、乾燥試料の重量と水和試料の重量を比較することにより、重量測定法で測定できる。例えば、まず、乾燥試料の重量を得て、次いで試料を適当な容器に載せ、所定の温度及び時間(例えば少なくとも24時間)、脱イオン水で平衡を保つ。次いで、試料を脱イオン水から除去し、過剰な表面水を除去し、試料の重量を計る。EWCは、以下の式により決定することができる:
%EWC=[(wt
hyd−wt
dry)/wt
hrd]×100
【0051】
本発明に開示するSMPIOL及びSMP材料は、僅かな光沢又は無光沢を示してよい。用語「光沢」は、IOL構造における少ない光反射領域を意味してよい。光沢はIOLのポリマーマトリックスにおける空胞中に水が浸入し、これらの点でレンズの屈折率が変化することにより生じ得ると考えられ、その変化は反射場所又は「光沢」として現れる。光沢は、IOLを移植した患者にまぶしさ及び他の不快感を起こし得る。光沢は、選択された期間(例えば72時間)、選択された温度(例えば50℃)に維持された蒸留水中に試料(例えば、試験片、レンズ、ディスク)を配置することにより測定できる。その後、試料を、DI水から除去し、実体顕微鏡下及び/又は細隙灯顕微鏡検査により調べる。10〜80倍の倍率を用いてよい。全ての試料を、試料の完全な調査を確実にするために、両側及び様々な角度で分析してよい。試料は、接眼レンズで調べられる光沢の数が0である場合、試料は光沢がないと判断できる。
【0052】
<SMP材料の製造のためのモノマー>
SMP材料は、1つ以上のモノマーから調製できる。SMP成分及びその量は、形状記憶、ガラス転移温度、UV遮断性、屈折率、平衡含水率(EWC)及び光沢などの様々な特性を軽減及び/又は選択するために、選択できる。
【0053】
特定の実施態様において、SMPポリマーセグメントは天然又は合成であってもよいが、合成ポリマーが好ましい。このポリマーセグメントは非生物分解性であってよい。医学的用途で使用される非生物分解性ポリマーは、天然由来アミノ酸に存在する以外の芳香族基を含まないことが好ましい。本明細書に開示するIOLで使用されるSMPは非生物分解性であってよい。いくつかの実施態様において、例えば、一時的な殺菌が望ましく、又は付加的な機能を必要とする場合にはSMPIOLにおいて生物分解性ポリマーを使用することが望ましいことがある。
【0054】
ポリマーは、所望のガラス転移温度(少なくとも1つのセグメントが非晶質の場合)又は融点(少なくとも1つのセグメントが結晶質の場合)に基づき、同様に使用環境を考慮して所望する用途に基づき選択できる。代表的な天然ポリマーブロック又はポリマーとしては、タンパク質、例えばゼイン、変性ゼイン、カゼイン、ゼラチン、グルテン、血清アルブミン及びコラーゲン、及び多糖、例えばアルギン酸塩、セルロース、デキストラン、プルラン及びポリヒアルロン酸、並びにキチン、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)、特にポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシオクタノエート)、及びポリ(3-ヒドロキシ脂肪酸)などが挙げられる。代表的な天然生物分解性ポリマーブロック又はポリマーとしては、多糖、例えばアルギン酸塩、デキストラン、セルロース、コラーゲン及びそれらの科学的誘導体(例えばアルキル、アルキレンなどの化学基の置換、付加、ヒドロキシル化、酸化及び当業者が通常行っている他の修飾)、及びタンパク質、例えばアルブミン、ゼイン、並びに単独又は合成ポリマーとの組み合わせでのそれらのコポリマー及び混合物が挙げられる。
【0055】
代表的な合成ポリマーブロック又はポリマーとしては、ポリホスファゼン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ(アミノ酸)、合成ポリ(アミノ酸)、ポリアンヒドライド、ポリカルボン酸、ポリアクリレート、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリオルトエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びそれらのコポリマーが挙げられる。適するポリアクリレートの例としては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)(PEGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDMA)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ブチルアクリレート、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(tert−ブチルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(イソボルニルアクリレート)及びポリ(オクタデシルアクリレート)が挙げられる。
【0056】
合成的に修飾した天然ポリマーとしては、セルロース誘導体、例えばアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース及びキトサンが挙げられる。適当なセルロース誘導体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース、及びセルロース硫酸ナトリウム塩が挙げられる。以下、これらを総称して「セルロース」という。
【0057】
代表的な合成分解性ポリマーセグメントとしては、ポリヒドロキシ酸、例えばポリラクチド、ポリグリコライド及びそれらのコポリマー;ポリ(エチレンテレフタレート);ポリアンヒドライド、ポリ(ヒドロキシ酪酸);ポリ(ヒドロキシ吉草酸);ポリ[ラクチド−コ−(ε−カプロラクトン)];ポリ[グリコシド−コ−(ε−カプロラクトン)];ポリカーボネート、ポリ(疑アミノ酸);ポリ(アミノ酸);ポリ(ヒドロキシアルカノエート);ポリアンヒドライド;ポリオルトエステル;並びにそれらの混合物及びコポリマーが挙げられる。不安定な結合を含むポリマー、例えばポリアンヒドライド及びポリエステルは、その加水分解反応性でよく知られる。これらのポリマーセグメントの加水分解速度は、一般的に、ポリマー骨格及びその配列構造の簡単な変更により変えることができる。
【0058】
非生物分解性の合成ポリマーセグメントの例としては、エチレンビニルアセテート、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルクロライド、ポリビニルフェノール、及びそれらのコポリマー及び混合物が挙げられる。このポリマーは、例えば、Sigma Chemical Co.、セントルイス(ミズーリ州);Polysciences、ウォレントン(ペンシルベニア州);Aldrich Chemical Co.、ミルウォーキー(ウィスコンシン州);FlukA、ロンコンコマ(ニューヨーク);及びBioRad、リッチモンド(カルフォルニア)などの商業的供給源から入手することができる。或いは、このポリマーは、商業的に入手し得るモノマーから一般的な技術を用いて合成することができる。
【0059】
いくつかの実施態様において、「形状記憶ポリマー用のチオール-ビニル及びチオール-イン系」と題する2009年4月22日に出願された国際出願No.PCT/US2009/041359(ここに、参照によりこれを完全に組み込む)に開示されたチオール−ビニル及びチオール−インポリマー化合物をIOLを形成するために使用し得る。別の実施態様において、ポリマー製剤は、最初の硬化段階の後、未反応の官能基の第2光誘起重合を行う2段階の硬化工程を行うことができる。SMP材料を製造するためのこのような2段階硬化系は、「2段階硬化系」と題する2010年11月10日に出願された米国仮出願No.61/410,192(ここに、参照によりこれを完全に組み込む)に記載されている。
【0060】
特定の実施態様において、tertブチルアクリレート(tBA)は、SMP材料に形状記憶特性を与えるために使用できる。そのようなモノマーは、SMP製剤の総重量に基づき、50重量%〜85重量%、又は60重量%〜75重量%の量で供給されてよい。そのようなモノマーは、SMP製剤の総重量に基づき、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、又は約85重量%の量で供給されてよい。
【0061】
特定の実施態様において、n−ブチルアクリレート(
nBA)は、SMP材料のガラス転移温度を調整するために用いることができる。そのようなモノマーは、SMP製剤の総重量に基づき、0重量%〜20重量%、0重量%〜15重量%、又は0重量%〜10重量%の量で供給されてよい。そのようなモノマーは、SMP製剤の総重量に基づき、約0重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、又は約20重量%の量で供給されてよい。
【0062】
特定の実施態様において、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(HPPA)は、SMP材料の屈折率を上昇させるために用いることができる。そのようなモノマーは、SMP製剤の総重量に基づき、0重量%〜20重量%、0重量%〜15重量%、0重量%〜10重量%、15重量%〜20重量%、又は16重量%〜18重量%の量で供給されてよい。そのようなモノマーは、SMP製剤の総重量に基づき、約0重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、又は約20重量%の量で供給されてよい。
【0063】
SMP材料を調製するための架橋剤として適当なモノマーは、限定されないが、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレートポリマー(PEGDMA)及びジエチレングリコールを含む。特定の実施態様において、架橋剤はPEGDMAポリマーである。PEGDMAは、500g/モル〜2,000g/モルの範囲の数平均分子量(Mn)を有してよい。特定の実施態様において、架橋剤は、PEGDMA550、PEGDMA750、PEGDMA1000、及びPEGDMA2000、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。特定の実施態様において、架橋剤はPEGDMA750である。特定の実施態様において、架橋剤はPEGDMA1000である。
【0065】
特定の実施態様において、架橋剤はジエチレングリコールである。
【0066】
架橋剤は、SMP製剤の総重量に基づき、3重量%〜25重量%、5重量%〜20重量%、又は8重量%〜12重量%の量で供給されてよい。そのようなモノマーは、SMP製剤の総重量に基づき、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、又は約25重量%で供給されてよい。
【0067】
SMP材料に含まれるUV遮断剤として適用なモノマーは、限定されないが、ベンゾフェノン及びベンゾトリアゾールを含む。特定の実施態様において、UV遮断剤は、メタクリロイルクロロベンゾトリアゾール、メタクリロイルメトキシベンゾトリアゾール、及び黄色染料、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。適当なメタクリロイルクロロベンゾトリアゾールは、2−メチルアクリル酸3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]−プロピルエステル(UVB)、 及び2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−ビニルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(UVAM)を含む。適当なメタクリロイルメトキシベンゾトリアゾールは、3−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−5−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾ−ル−2−イル)フェネチルメタクリレートである。適当な黄色染料は、(E)−2−(2−シアノ−3−(4−(1,1−ジオキシドチオモルホリノ)フェニル)アクリルアミド)エチルメタクリレート)である。
【0068】
好ましいUV遮断剤は、ベンゾトリアゾール類の化合物を含む。ベンゾトリアゾールは、一般にベンゾフェノンよりもUV遮断効果が大きい。特定の実施態様において、クロロベンゾトリアゾールが好ましく、特に、フリーラジカル機構により重合できるクロロベンゾトリアゾールが好ましい。特定の実施態様において、メトキシベンゾトリアゾールが好ましく、特にフリーラジカル機構により重合できるメトキシベンゾトリアゾールが好ましい。特に好ましいUV遮断剤は、メタクリレート官能性のクロロ−置換ベンゾトリアゾール及びメタクリレート官能性メトキシ−置換ベンゾトリアゾールを含む。
【0069】
クロロベンゾトリアゾール及びメトキシベンゾトリアゾールは、標準的なベンゾトリアゾールよりも高波長の極大吸収を示す。クロロ−置換及びメトキシ−置換により、可視領域における(例えば400nm以下)分子の吸収ピークはシフトする。ピーク吸収波長のシフトとともにUV遮断効果が高いほど、UVスペクトル全体(例えば400nmに近い)を効果的に遮断すると同時に、ベンゾフェノンと比較し、そのようなUVベンゾトリアゾール遮断剤の組み込みが低濃度で可能となる。
【0070】
特定の実施態様において、ベンゾトリアゾールUV遮断剤の組み合わせを使用できる。例えば、標準的なベンゾトリアゾールUV遮断剤は、(より低いピークの吸光度を有する)UVスペクトルのより低い波長部分を遮断するために使用でき、クロロ−置換及び/又はメトキシ−置換ベンゾトリアゾールは、UVスペクトルのより高い(例えば400nmにより近い)波長部分を遮断するために使用できる。
【0071】
UV遮断剤におけるメタクリレート官能性は、特に他のモノマー(例えば架橋剤)が重合性官能基としてメタクリレート官能性を含む形状記憶ポリマー中に、モノマーを組み込むための好適な反応速度を与えることができるので、当該メタクリレート官能性はビニル−
アリル−又は他の官能性と比較し、SMP製剤にとって有利であり得る。
【0072】
特定の実施態様において、黄色染料は可視光スペクトルの紫色領域を遮断する手段として、製剤にとって有利である。メトキシベンゾトリアゾールは黄色染料の代わりであってよい。
【0073】
適当なUV遮断剤は表1に示される。
【表1】
【0074】
UV遮断剤は、SMP製剤の総重量に基づき、0.2重量%〜2重量%、0.25重量%〜1.5重量%、又は0.5重量%〜1重量%の量で供給されてよい。そのようなモノマーは、SMP製剤の総重量に基づき、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、又は約1.5重量%の量で供給されてよい。
【0075】
SMPIOLの製造は、熱開始、光開始、又は2つの方法の組み合わせのいずれかにより達成できる。重合開始剤として適当なモノマーは、限定されないが、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Irgacure651)、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure819)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ラウロイルペルオキシド、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(Perkadox16)、カンファキノン、及びジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド(TPO)を含む。特定の実施態様において、重合開始剤はラウロイルペルオキシドである。製剤に使用できる熱開始剤及び光開始剤を表2に記載する。
【表2】
【0076】
特定の実施態様において、形状記憶ポリマー製剤は、光開始剤を使用して重合できる。例えば、形状記憶ポリマー製剤は、好ましくはUV遮断剤が製剤中に存在しない場合に、光開始剤としてIrgacure651を使用して重合できる。形状記憶ポリマー製剤は、好ましくはUV遮断剤が製剤中に存在しない場合に、光開始剤としてIrgacure819を使用して重合できる。Irgacure819は、競合するUV吸収成分と混合した場合に、光開始剤としての効果を維持できるので、可視領域中の光を吸収することが可能である。
【0077】
特定の実施態様において、形状記憶ポリマー製剤は、熱開始剤を使用して重合できる。熱開始反応に関して、ペルオキシド開始剤及びアゾ開始剤の両方を利用できる。適当な熱開始剤は、限定されないが、AIBN、ラウロイルペルオキシド、及びPerkadox16を含む。熱開始剤は、極低温処理によりIOLを製造する場合に好適に用いることができる。
【0078】
特定の実施態様において、2つの開始系(光及び熱硬化)を、形状記憶ポリマー製剤の重合に作用させるために使用できる。製剤はまず、ポリマーを素早くゲル化させるために、光開始剤により硬化させてよい。重合反応を、連続した光開始剤又は熱開始剤のいずれかにより、完了(モノマーからポリマーへの高変換)させるように操作することができる。ポリマーを熱いオーブン又は浴槽に移動させる分離工程として熱開始反応を操作することができる。
【0079】
特定の実施態様において、光開始剤と熱開始剤との混合物の添加により、同時に作用させることができる。例えば、モノマー製剤への光(UV又は可視光)の照射によって、光化学反応による重合を開始できる。フリーラジカル重合の外熱的性質は熱的機構を介してさらなる重合を生み出すことができる。Perkadox16などのより反応性の高い熱開始剤は、そのような2つの開始系に好適であり得る。
【0080】
開始剤は、SMP製剤の総重量に基づき、0.01重量%〜5重量%、0.05重量%〜3重量%、0.05重量%〜1重量%、0.1重量%〜0.5重量%、又は0.1重量%〜0.2重量%の量で供給されてよい。開始剤は、SMP製剤の総重量に基づき、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.10重量%、約0.15重量%、約0.20重量%、約0.25重量%、約0.30重量%、約0.35重量%、約0.40重量%、約0.45重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、又は約3重量%の量で供給されてよい。製剤は、製造工程の間サイクル時間を最適化し、望ましい熱機械的特性を維持したままにするために、開始剤の量により変化する。
【0081】
特定の実施態様において、着色剤をSMP製剤に添加できる。SPECTRAFLO(商標Ferro)液を用いてSMP材料を調製することができる。製剤は、SMP製剤の総重量に基づき、0.1重量%〜2重量%の着色剤を含んでよい。望ましい熱機械的特性を維持しつつ種々の色を加えることができる。
【0082】
特定の実施態様において、SMP材料又は網状構造は、網状構造が(例えば、製剤中に混合される凝集体として)重合される前に、網状構造の一部を含み得る、又は網状構造の製剤に含むことができる溶解材を含んでよい。溶解材は、材料又は材料の一部が実際に溶解していない又は溶剤が固体中に浸入していないとしても、経時的に分散する材料を含むことができる。換言すれば、本明細書に使用される溶解材は、予測されるポリマーの外的環境により、分解され得る任意の材料であり得る。一実施態様において、溶解材は、SMP網状構造から溶出する薬である。溶解材は、ポリマー網状構造に化学的又は物理的結合により結合してよく、経時的にポリマー網状構造と分離されてよい。
【0083】
経時的なそれらの溶解を通じて、溶解材料は多くの目的のために使用できる。例えば、材料の溶解は、溶解又は経時的に、生物医学的装置の破壊に影響を及ぼし得る。代わりに材料の溶解は、薬理学的な目的を達成するために、薬を分解し得る。医薬品又は薬物は、治療(例えば、抗炎症)に役立てるために、合併症(例えば、抗血栓症)を回避するために、又は起こり得る感染症(例えば、抗生物質)に抵抗するために、SMP装置中にも注入することができる。医薬品は、硬化前に液体ポリマー中に注入することで添加できる。医薬品はまた、様々な表面改変又は塗装技術(例えば、プラズマ蒸着)を用いて、SMP装置予備重合に添加できる。
【0084】
<典型的なSMP製剤>
いくつかの典型的なSMP製剤及びその測定した特性を下記表3に示す。一製剤において、tert−ブチルアクリレート(tBA)を、架橋剤としてポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDMA)1000と組み合わせた。各重量%は、特定の所望する材料特性を有するSMPを設計するために変化し得る。
【表3】
【0085】
最適化の一例として、回復時間は、SMP装置を展開する環境温度(Te)に使用するSMP材料のガラス転移温度(Tg)の関係により制御される。Tg<Teの場合は、Tg=Teの場合よりゆっくりと展開し、Tg>Teの場合は最速速度で展開する。材料のTgは、体内において広い範囲での展開速度の制御を可能にする−35℃〜114℃以下に調節することができる。IOL装置におけるTgの望ましい範囲は、10℃〜60℃、より望ましくは15℃〜45℃の範囲であり得る。1秒未満〜数分で完全に展開する装置を作製した。
【0086】
屈折率を変化させる能力も、SMP製剤への変更を通して検討されている。下記表4は、いくつかの典型的な製剤において使用された種々の成分の屈折率のデータを提供する。
【表4】
【0087】
特定の分子量の架橋剤は表4で測定された屈折率を示す一方、他の分子量は様々な製剤において使用し得る。例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)を500〜2000の種々の分子量で良好な結果をもって使用し得る。
【0088】
下記表5に示すSMPサンプルを作製し、屈折率を測定した。上記の架橋剤ポリマーについて20%の架橋を使用した。結果は、作製された製剤に基づき、屈折率値のわずかな変化を示す。屈折率値をより変化させるために、製剤中の架橋剤含有量の増加を利用し得る。また、屈折率の変化により大きな影響を及ぼすポリ(カーボネート)ジアクリレート、KIFDA−542ジアクリレート(King Industries, Inc .、ノーウォーク、コネティカット州より入手可能)、及びビスフェノール−Aプロポキシレートジアクリレートにより他の製剤を調製することもできる。
【表5】
【0089】
SMP材料により光透過特性を変化させる機能を調べた。2−[3−{2H−ベンゾトリアゾール−2−イル}−4−ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(BTA)を、上記表に示されるような紫外線(UV)波長遮断剤としてSMPIOL製剤に添加した。0.5%UV遮断剤と1%UV遮断剤を含む2つの製剤を作製した後、UV〜可視波長透過率及び動的機械測定を分析した。
図1は、下記3つの材料製剤の0〜100℃の温度範囲にわたる貯蔵弾性率及びタンデルタ(貯蔵弾性率と損失弾性率との比)を示すグラフである:
SMP106:78%のtBAと22%のPEGDMA1000、UV遮断剤配合なし;
SMP122:0.5重量%のBTAで官能化したUV遮断剤を加えたSMP106;及び
SMP123:1.0重量%のBTAで官能化したUV遮断剤を加えたSMP106。
上側の曲線は貯蔵弾性率であり、下側の曲線はタンデルタである。明らかなように、UV遮断剤としての少量のBTAの添加がSMP材料の弾性率に及ぼす影響はあるとしてもわずかであり、Tg(タンデルタ曲線のピーク)は3つの製剤全てで一定である。
【0090】
図2は、
図1のSMP材料におけるBTAUV遮断剤の添加の影響を示す。明らかなように、可視波長における光透過性に対するUV遮断剤の添加の影響は無視し得るものであるが、UVスペクトルの上限である約380nm以下で波長が急激に減衰している。
【0091】
図3は、SMP106との比較における、−20〜100℃の温度範囲にわたる2つの追加SMP製剤の貯蔵弾性率及びタンデルタを示すグラフである:
SMP119:65重量%のtBA、13重量%のブチルアクリレート、22重量%のPEGDMA1000;及び
SMP126:50重量%のtBA、28重量%のイソブチルアクリレート、22重量%のPEGDMA1000。
上側の曲線は貯蔵弾性率であり、下側の曲線はタンデルタである。製剤における差異は、異なる環境における使用のための、及び低い転移温度を有することが有用であり得る異なる用途のための異なるTgをもたらす。SMP119は約25℃のTgを有し、SMP126は約17℃のTgを有する。しかしながら、Tgに違いがあっても、SMP119及びSMP126製剤の貯蔵弾性率はSMP106材料と同等である。
図4もSMP119及びSMP126の光透過特性がSMP106製剤と同等であることを示している。
【0092】
図5は、SMP106、SMP119及びSMP126について、圧縮下の材料の応力歪みデータ曲線を示すグラフである。明らかなように、SMP119及びSMP126製剤は、SMP106製剤と比較して65%の圧縮歪みの下、非常に小さな応力を示す。このことは、これらの材料がより低い温度(例えば室温)でより容易に変形することを可能にする。
図6は、SMP106についての引張下での2つの異なる速度(すなわち、10mm/分と20mm/分)の伸びに対する別の応力歪み曲線である。グラフに示されるように、SMP106は引張下非常によく機能し、両速度において最大250%及び250%を超える歪みに耐えた。
【0093】
UV遮断剤を含むさらなる製剤の開発のために、SMP106を主成分として使用した。最初に、2−メチルアクリル酸3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]−プロピルエステル(UVB)及び2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−ビニルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(UVAM)を、400nmで透過率(T)10%の遮断を達成するために必要とされる量を決定するために、0.5重量%、1.0重量%及び2.0重量%で、SMP106製剤中にそれぞれ組み込んだ。UV/Vis透過率を、これらの各遮断剤を含む試料について測定した。UV遮断剤の添加及びDMPAの吸収スペクトルに起因し、可視スペクトルを吸収する化合物に開始剤を変更した。400nmを超える可視範囲に吸収特性があるため、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE819)を選択した。結果を表6に示す。
【表6】
【0094】
この最初のデータ結果に基づいて、400nmでのT10%の遮断を達成するために必要とされる各UV遮断剤の量を決定するため、線形フィット(linear fit)を使用した。これにより、UVB遮断剤が0.7重量%及びUVAM遮断剤が0.55重量%であると確定された。以下の高Tg及び低Tg製剤を、表7に示されるようなこれらの遮断剤の量で作製した。
【表7】
【0095】
<製剤214、215、218及び219についての重合パラメータ及び試験片調製>
214、215、218及び219製剤の液体モノマー溶液を、各モノマー成分を混合することにより作製した。20mlのシンチレーションバイアル瓶を、0.1mg分解能のはかりに配置した。各モノマー成分を所定量バイアル瓶に添加した。最後に開始剤を添加し、光から混合物を保護するためにバイアル瓶を金属箔で包装した。モノマー溶液を45℃に加熱した撹拌プレート中、500rpmで20分間混合した。次いで成分の完全な混合を確実とするために、各製剤を実際に調べた。重合に使用するまで、製剤を貯蔵し光から保護した。
【0096】
全てのポリマー試料を硬化するために光重合を使用した。1mmの隙間をあけた2つのガラス顕微鏡スライドの間に液体モノマー溶液を注入した。ガラススライドはglAssclAd 18で処理した。40mW/cm
2で10分間、320〜500nmのコリメート光をスライドにあて、ひっくり返し、底側に10分間あてた。光硬化が終了してから、ポリマー試料を90℃で1時間、オーブンにセットした。熱処理が終了してから、ポリマースライドを型から取り除き、冷却させた。
【0097】
各製剤のポリマースライドを2つ製造した。次いで、
図15に示されるように、スライドを切断した。屈折率の測定要件を満たすため、同じ重合条件を用いて、この試験用に大きな試料20mm×8mm×3mmを特別に作製した。
【0098】
<製剤214、215、218、及び219についての透過性試験>
各製剤214、215、218、及び219の厚み1mmのポリマー試験片を慣用の試料容器に入れ、石英キュベット中に挿入した。キュベットを蒸留水で満たし、UV−Vis分光光度計に配置した。2種類のスライドから各製剤の4つの試験片を伝送モードで測定した。1nmの分解能により190nm〜1100nmで試料を解析した。4つの全ての系に関する透過性データを表8に示す。各製剤についての1つの透過曲線を
図16に示す。
【表8】
【0099】
<製剤214、215、218、219、及び230bの屈折率及びEWC>
製剤214、215、218及び219は、UV遮断剤の多くの組み込みを示した;しかしながら、これらの材料の低屈折率(RI)及び高い平衡含水率(EWC)はさらなる製剤を必要とした。表9はこれらの製剤及びさらなる製剤、SMP230についてのRI値及びEWC値の概要を提供する。RIを増大させるため、2-ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(HPPA)を系中に組み込んだ。さらに、EWCを低減させるために、親水性PEGDMA1000の含量を少なくした。UVAMモノマーと比較し、メタクリレート官能性由来の反応性が向上するため、UVB遮断剤を選択した。表10はSMP230b製剤の概要を示す。
【表9】
【表10】
【0100】
<製230bについての重合パラメータ及び試験片調製>
各モノマー成分を混合することにより、SMP230bの液体モノマー溶液を作製した。20mlのシンチレーションバイアル瓶を、0.1mg分解能のはかりに配置した。各モノマー成分を所定量、バイアル瓶に添加した。最後に開始剤を添加し、光から混合物を保護するためにバイアル瓶を金属箔で包装した。次いで、成分の完全な混合を確実とするために、各製剤を調べた。重合に使用するまで、製剤を貯蔵し、光及び熱から保護した。
【0101】
ラウロイルペルオキシド(LP)を用いた熱重合を使用し、ポリマー試料を硬化した。0.7mm又は1.4mmの隙間をあけた2つのガラス顕微鏡スライドの間に液体モノマー溶液を注入した。その稼動温度範囲のため、バイトンをバスケットに使用した。製剤を80℃の水浴で、2時間、型中で硬化させ、次いでオーブンに移し、さらに90℃で2時間硬化させた。二重結合の変化を測定するために、FTIRを用いて特定の間隔で重合度を監視した。重合が終了してから、ポリマー試料を型から取り除き、冷却させた。
【0102】
<製剤230bについての透過性試験>
SMP230b製剤の厚み0.7mm及び1.4mmのポリマー試験片を慣用の試料容器に入れ、石英キュベット中に挿入した。キュベットを蒸留水で満たし、UV−Vis分光光度計に配置した。3つの試験片を伝送モードで測定した。1nmの分解能により190〜1100nmで試料を解析した。試料の透過性データを表11(厚み0.7mmの試料A(sA)の光透過性)及び表12(厚み1.4mmの試料B(sB)の光透過性)に示した。各厚みの透過曲線を
図17に示す。
【表11】
【表12】
【0103】
<SMP230製剤の屈折率及びEWC>
アッベ屈折計を用いて、製剤230のRI測定を行った。各製剤のポリマー試験片を上述のように重合させ、試験用にボタン径6mmに切断した。ポリマー試料を屈折計プリズムに配置し、1分間、温度に順応させた。RI値を測定し、記録した。RIデータを表13に示す。次いで、試料を35℃でDI水により水和し再び測定を行った。EWCデータを表14に示す。
【表13】
【表14】
【0104】
<製剤214、215、218、219、及び230bの消耗抽出による重量損失>
以下のパラメータの下、抽出工程を通して、及び抽出工程中でポリマー試験片を測定した。60℃及び−40トールで72時間、試料を真空乾燥した。製剤214、215、218及び219の6つの試験片の質量を測定し、230bの2種類のポリマーバッチ由来の10個の試験片の質量を測定した。アセトニトリル中に試験片を入れ、35℃で72時間維持した。次いで、アセトニトリルから試験片を取り除き、8時間空気乾燥させた。次いで、空気乾燥試料を72時間、真空のオーブンで乾燥させた。次いで、抽出工程において、アセトニトリル中で消耗抽出を行った。消耗抽出の質量損失の結果を表15に示す。
【表15】
【0105】
<製剤214、215、218、219、及び230bの光沢>
蒸留水中に試験片を入れ、温度50℃で、72時間維持した。各製剤の試験片をDI水から取り除き、分光光度計で測定した。10〜80倍の倍率を使用した。試験片全体は各試料の完全な測定を確実とするために、両側及び様々な角度で分析した。製剤214、215、218、219及び230bが無光沢を示すことを表16に示した。
【表16】
【0106】
<製剤214、215、218、219及び230bの細胞毒性試験>
上述のように、アセトニトリル中に長方形の試料を抽出した。4g/20mlの特定の抽出割合で総質量4gの試料を細胞毒性試験に供給した。
【0107】
前記に基づき、特定の実施態様において、本明細書に開示する典型的な形状記憶ポリマーは、tertブチルアクリレート(tBA)、1つ以上のPEGDMAモノマー(例えば、PEGDMA1000)、1つ以上のUV遮断剤、1つ以上の開始剤(光及び/又は熱)、任意にn−ブチルアクリレート(nBA)、及び任意に2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(HPPA)由来であり得る。
【0108】
任意に1つの製剤は、体温(34〜38℃)近傍のガラス転移温度(Tg)を標的とすることができ;及び第2の製剤は、低ガラス転移温度(13℃未満)を標的とすることができる。製剤は、フリーラジカル重合により架橋性高分子量ポリマーを形成できる。重合形態は、光化学的、熱化学的又は両形態の組み合わせの開始反応であってよい。
【0109】
これらの典型的な製剤に使用されるモノマーを表17に示す。
【表17】
【0110】
表18に示されるように、室温操作で圧縮される機能を促進するために、より高いTgの製剤235及び236を調製した。製剤235及び236は、眼への導入において制御された展開を有する。
【表18】
【0111】
<眼内レンズ>
SMP眼内レンズは、現在商業的に利用可能な折り畳み可能なレンズ技術よりも、非常に小さな切開から挿入することができるよう設計される。典型的なSMP眼内レンズ100を
図1及び2に示し、以下でさらに詳細に説明する。さらに、このレンズ形状は眼の中で展開した後高度に保たれる(すなわち、98%を超える高形状固定性がある)。水晶体嚢内レンズは、前嚢における混濁形成を抑えることのできる前嚢尖ならびに赤道の真後ろの嚢との接触を生じる形状を有し得る。毛様溝レンズは、虹彩への損傷を回避することのできるアーチ型構造を有し得る。前房レンズは、瞳孔ブロックの危険性を減らし、前房山形支持構造への損傷の危険性を減らすための適当なアーチ型構造を有し得る。
【0112】
眼内レンズに適用する場合、SMP技術の多くの利点が存在する。第1に、眼内レンズは圧縮性及び変形性である。材料を圧縮し、小さな骨格を構成する能力は、送達のためのより小さな切開サイズを可能にする。小さな切開を通り抜けるこのようなSMPレンズは大きな利益をもたらす。例えば、白内障手術では乱視はほとんどなく、より速く回復し、また小さな切開による眼への損傷はほとんどない。また、レーザー技術及び改善された超音波技術により、白内障手術をより小さな切開で行うことができる。この選択肢による制限因子は、代替レンズに必要とされる大きな切開である。
【0113】
眼内レンズにおける形状記憶ポリマーの第2の利点は、レンズの展開が弾性回復法ではなくむしろ熱機械的回復を利用する点にある。レンズの展開時間又は速度を変えるために製剤を修正することができる。これは必要とされる展開の場所に依存して変わり得る。例えば、繊細な構造(例えば水晶体嚢中又は角膜内皮の近くなど)の近くでの展開は、これらの構造への損傷を避けるためゆっくりと医師が調整した展開が必要となるであろう。展開速度の修正は、現在利用可能な他のレンズ技術では不可能である。また、SMP材料の弾性係数を、レンズ材料の柔軟性を最適化し眼構造への損傷を最小にするために修正することができる。上述した各種類のレンズに対して、SMP材料特性はゆっくりと調整された展開を可能にし、これによりレンズオプティック又はハプティックと接触する領域への損傷が小さくなる。
【0114】
第3の利点は、レンズの屈折率の容易な修正能力である。屈折率はSMP製剤の変更により変えることができる。また、屈折力を設定するのに重要であるレンズの表面曲率は、液体射出成型法又はレーザーなどによる切断による後成形によって修正することができる。さらに、レンズの曲率及びレンズの屈折率を、移植後に熱、UV又はレーザー光修正により修正することができる。
【0115】
第4の利点は、SMPレンズの表面特性及び移植が、炎症及び細胞混濁を低減し得る点にある。一例として、
図7は、16ナノメーターの平均表面粗さを示す、サンプルSMPレンズ表面の光学形状測定画像である。この低い粗さ測定は、例えば分光フィルタリングなどの光学的な人工物を最小限に抑え、レンズの光学的透明性を最大にする。
図7において、丸で囲まれた濃い領域は右側のスケールで測定された粗さのより高い値に関する(すなわち、203nmの測定値に関する)領域であり、画像中の他の濃い領域は測定された粗さのより低い値に関する(すなわち、〜186nmの測定値)。例えば、水晶体嚢内SMPIOLは、レンズの移動を減らすため水晶体と接触させられるが、表面の平滑性は上皮細胞の移動及びその後の後嚢混濁の形成を遅延させる。
【0116】
SMPレンズは実質的に強固であるため、表面研磨及び眼内レンズの表面での細胞増殖を減らすための他の既知のメカニズムによりレンズを修正することもできる。また、SMPレンズのゆっくりとした展開は細胞混濁を最小限に抑えることができる。水晶体嚢内のぴったりとしたかみ合いに起因して、IOLのサイズとレンズ上の一群の上皮細胞との間には張力が存在する。例えば、水晶体嚢内レンズは水晶体嚢とレンズの移動を減らすようなかたちで接触させられるが、特にかみ合いがきつく物質がレンズ周辺を通ることができない場合には、上皮細胞との接触はその後の後嚢混濁を引き起こし得る。展開中に水晶体嚢が衝撃を受け損傷した場合(これは損傷に応じて細胞生成を高める)、この問題は悪化する。白内障手術とレンズ配置のこの一般的な合併症を減らすための一般的な眼内レンズの構造はよく知られている。しかしながら、SMPレンズにより、水晶体嚢に移植されるSMPレンズのサイズ等を現存のレンズより増加させることができる。これはSMPレンズ材料の圧縮性及び変形性及び損傷を最小に抑えながらぴったりとしたかみ合いを可能にするゆっくりとした展開による。表面を滑らかにする能力は、さらにこの問題を軽減する。
【0117】
<二重光学レンズ>
二重光学レンズや他の調節性眼内レンズのようなより大きなレンズを、屈折障害及び老眼の治療に同時に使用することができる。二重光学レンズは、通常、第1の屈折力及び屈折率を有するオプティックを有する第1眼内レンズ、及び第2の屈折力とおそらく異なる屈折率を有するオプティックを有する第2眼内レンズにより構成される。第2オプティックは、通常第1オプティックに取り付けられ、また、材料支柱又はレンズの外縁の同様の構造により第1オプティックと離れて配置される。2つのオプティック間の関係(すなわち、離れた距離)並びに2つのオプティック間の幾何学的な結合に依存して近視及び遠視の両方を可能にするために相乗的に作用するための2つのレンズは、移植後個々の患者において調整できる(若しくはできない)。
【0118】
これらの二重光学レンズは、目に入れるための従来の切開よりも大きな切開を必要とする場合が多い。これらの大きな基本骨格のレンズはSMP材料により作製することができ、これらはより小さい切開サイズを可能にする高い圧縮性及び変形性を有し、これにより上述した理由で手術結果を向上させることができる。さらに、SMP材料を用いて形成した場合、これらの大きなレンズはよりゆっくりと展開することができ、重要な眼の構造への不用意な損傷及び目的場所における構造の慎重な並置を避けるような方法で医師がレンズを配置することを可能にする。このことは大きな基本骨格レンズが眼に引き起こし得る損傷の危険性を軽減する。さらに、これらのレンズは非常に複雑であり、SMP材料の高い形状固定性により維持される精密な光学性能を必要とする。
【0119】
他の調節性レンズは、正常な人のレンズ機能の再現を追及している。調整メカニズムは、毛様体収縮及び水晶体嚢の毛様小帯変形及びレンズ形状における変化並びに合成レンズの前後方向の移動に続発すると考えられている。天然レンズの作用を再現する能力を有するよう、SMP材料により多種多様な水晶体嚢と密接同格を有するレンズを作ることができる。実際に、水晶体嚢内空間で拡張し、全空間又はその空間より大きな領域を満たし、毛様体-小帯作用に反応するSMPレンズを作製し得る。さらに、SMPレンズはより小さな前嚢開口部から挿入することができ、自然の調整工程に対するレンズの反応性を維持するのに役立つ。異なる架橋密度であるため異なる活性温度(Tg)及び/又は異なる弾性係数であるIOL内にSMP材料を加えることにより調整工程を再現するために形状における変化が必要である場合、SMPレンズの局所的寸法、特に厚みを移植後に変更できる(これは局所的剛性に影響し得る)。
【0120】
<有水晶体眼内レンズ>
有水晶体眼内レンズは角膜切開を通して前房に配置されるレンズである。上述した他の眼内レンズと同様に、現在入手し得るレンズよりも非常に小さな切開からの移植のために、SMP有水晶体レンズを圧縮し得る。角膜内皮損傷又は天然レンズ損傷がほとんどないよう、SMP有水晶体レンズをゆっくりと展開するよう設計することもできる。調整された医師制御による展開は、小柱網又は虹彩を損傷することなく前房構造に対するハプティックの位置決めを可能にする。ハプティックにより山形構造へかかる力は一貫性があり、弾性回復により展開する従来レンズよりもよりも再現性がある。展開中、虹彩面の後方に配置するために前房で展開するようにSMP有水晶体レンズを設計することもできる。現在の有水晶体IOL技術では、虹彩の後方に配置する場合、白内障形成の高い発生率が知られている。このような発生はSMPレンズの調整された遅い展開及び位置決めにより軽減又は排除することができる。
【0121】
<角膜内インプラント>
角膜内インプラント装置は、以下を含むいくつかの制限により、国内及び海外市場において大きな成功をおさめていない:(a)移植の困難性;(b)現存の装置に対応するための角膜における大きな切開の必要性;(c)処置又は手術室に戻すことなく「屈折誤差(refractive surprises)」を修正することができない;及び(d)元々の材料特性に起因する現存の装置の幾何学的構造における制限。一方、SMP角膜内インプラントをSMP材料の圧縮性及び変形性の利点を活用するよう設計することもできる。角膜内インプラントを送達させるための角膜内切開、経路及びくぼみを作製するために、レーザー又はブレードを使用する。最近の課題の1つは、これらの装置を挿入する間に角膜組織に対してしばしば見られる激しい損傷である。角膜内移植を進めるために「ぴったりとしたかみ合い」が適当な角膜内経路とともに必要である。角膜内インプラントを、非外傷的に角膜切開及び所望のくぼみ内を通過できるよう十分に小さく設計してもよい。その後、インプラントの安全な位置決めを考慮してインプラントの熱機械的展開及び減圧が起こる。
【0122】
角膜内インプラントの押出し及び移動は、角膜損傷の最小化及びより小さな切開、経路及びくぼみの存在のため、SMP技術及び射出速度の減速によって低減し得る。従来装置と比較して、角膜内インプラントにSMP材料を使用する利点として、屈折補正のためのより大きな装置直径を達成するその後の形状変化を伴う最小限の侵襲的アプローチ(例えば、フェムト秒レーザーにより作られた切開による)により装置を移植できることを挙げることができる。別の利点は、例えば、「屈折誤差」が生じた場合又は屈折補正におけるさらなる変更が必要な場合にSMP角膜内インプラント装置の形状及びサイズを移植後に角膜内で変えることができる点である。これは、SMPIOLについて上述したような各領域に対して異なるTg及び屈折率値をもたらすために、異なる領域において異なる材料製剤により角膜内インプラントを構成することにより行うことができる。さらなる利点は、より「弾性」状態で装置を移植することができる能力であり、これにより角膜の間質組織への損傷が軽減される。
【0123】
<形状記憶ポリマー眼内圧縮及び梱包>
図8A〜13は、SMPIOLを梱包及び移植のための圧縮形状へ変形する工程における典型的な段階を示す(この点においてSMPIOLは非常に高い形状固定性によりその持続性形状に回復するために変形及び拡張する)。
図8A及び
図8Dは、典型的な一般のSMP眼内レンズ100を示す。SMPIOL100は、中心オプティック102及びオプティック102の反対側から対称的に伸びるハプティック104を有する。各ハプティック104は、オプティック102と接するショルダー106、アーム108及び末端部110を含む部分で形成されている。展開する際、ハプティック104はその圧延され圧縮した状態から展開し、適切な位置でオプティックを固定するために移植空洞を形成する組織に対して末端部110を押し付ける。
【0124】
SMPIOLは、上述した製剤の1つを射出成型することにより形成する。典型的な実施態様において、80〜20(tBA〜PEGDMA550)の組み合わせが、伸張しているハプティック104を備える直径6mmのオプティック102を作製するために用いられる。tBA〜PEGDMA 550の混合物は、モールド内での加熱時に非常に低い粘度を有するため、モールドを容易に流れ、満たすことができ、非常に小さな直径のハプティック104を形成することができる。別の典型的な実施態様において、UV遮断剤BTA(0.5〜1.0%)を含む若しくは含まない、tBA(78%)とPEGDMA1000(22%)の組み合わせ(例えば、それぞれSMP106、SMP122、及びSMP123)をオプティック100を作製するために用いてもよい。これらの処方は、同様に非常に低い粘度を有する。注型法成形において、重合過程の間これらのポリマー化学において典型的に生じる5〜20%の体積収縮に対してモールドは0.1〜20%大きくてもよい。液体射出成型法においては、重合中できる限り体積収縮を最小に抑えるために超高圧(例えば、500を超え40000psi以下)を利用してもよい。また、予備重合工程中の体積収縮をさらに最小に抑えるために、射出成型と前重合技術との組み合わせを実施してよい。
【0125】
一実施態様において、熱サイクルを避けるために硬化温度及び離型温度を同じにしてよい。或いは、材料が最大のロバスト性(典型的にはTgよりわずかに低い(例えば8℃))を示す最適な離型温度までモールドを冷却してよい。モールドから取り出した後、SMPIOL 100はその持続性形状にある。しかしながら、移植において小さな切開から移植できるように、SMPIOL100のサイズ及び形成因子を減らすことが望ましい。
【0126】
図9A及び
図9Bは、SMPIOL202を貯蔵及び最終的には移植のための変形形状にまとめるための、SMPIOL202に対する変形工程における第1段階を概略的に示す。縦経路206を明示する圧延機204をSMPIOL202を初めに圧延するために使用し得る。SMPIOL202は、経路を横切って伸びるハプティックにより配向された経路上に配置される。引張ワイヤー208は、SMPIOL202を横切って、経路206上に平行に配置されるが、引張ワイヤー208の末端は経路206の縦中心と同方向に位置を合わせる。次いで、圧延機204及びSMPIOL202をおおよそTgまで加熱する。ワイヤー上の張力は増し、引張ワイヤー208の全長が経路206内へ引き伸ばされることにより、引張ワイヤーは経路の縦中心と同軸である。これにより、引張ワイヤー208は経路206内でSMPIOL202を圧迫し、引張ワイヤー208周辺でSMPIOL202を半分に折り畳み、SMPIOL202を
図9Bに示されるようなU型202’に変形する。U型SMPIOL202’の第1面(
図2Bにおいて「b」と記す)は経路206内でワイヤー208に折り重ねられる。次いで、U型SMPIOL 202’の第2面(
図9Bにおいて「C」と記す)は、ワイヤー208の第1面に折り重ねられる。その後、引張ワイヤー208を除去することができる。1つの典型的な実施態様において、経路は1.8mm幅、2.0mmの深さであってよく、1.8mm×2.0mmの最大直径寸法を有するSMPIOL202’を生じる。
【0127】
図10Aに示すように、圧延されたSMPIOL302は、圧延機304において経路306内に保持されたまま、次いでTg未満の温度まで冷却される。型経路内でのSMPIOL302の冷却はSMPIOL302を圧延形状に固定する。その後、SMPIOL302を圧延機304の経路306から取り外すことができ、SMPIOL302は
図10Bに示すような圧延形状を維持する。
【0128】
圧延されたSMPIOL402は、
図11で示されるように、圧縮機による圧延SMPIOL402の移送のために、次いでファブリックシース又はファブリックソック404内に配置される。ファブリックソック404は一方の端が閉じられ、反対の端が開いていてもよく、圧延SMPIOL402の周囲にぴったりと合うような大きさにされる。圧縮機によるSMPIOL402の引出しに役立つため、ファブリックソック404は圧延SMPIOL402の長さより有意に長くてもよい。典型的な実施態様において、ファブリックソック404は絹織物から作製し得る。
【0129】
図12A及び
図12Bは、圧縮機502により引出されているファブリックソック404内のSMPIOL402を示す。圧縮機502は、入口側504から出口側506まで圧縮機内を横方向に伸びる掘削孔508を明示する。圧縮機502内の掘削孔508は、種々の直径のいくつかの部分に分かれていてもよい。入口側504まで開いている入口部分510は、SMPIOL402を圧縮機502の掘削孔508内に容易に挿入できるよう、圧延SMPIOL402の直径よりわずかに大きな一定の直径であってもよい。掘削孔508の中間部分512の直径は、入口部分510の直径から出口側506を開けた出口部分514の直径へ移行し、一致するより小さな直径へ徐々に細くなる。圧延SMPIOL402の最大直径が2.0mmである上記典型的な実施態様に続き、入口部分510の直径wは2.0mm又はそれよりわずかに大きく形成されていてよい。その後、中間部分512は、直径2.0mmから1.5mmへと推移してよく、出口部分の直径w‘は1.5mmの一定の直径であってよい。
【0130】
図12A及び
図12Bに示すように、ファブリックソック404の開口端は入口側504から掘削孔508内へ挿入され、掘削孔508の長さに伸び、出口側506まで広がるのに十分な長さである。その後、ファブリックソック404の開口端は、ファブリックソック404内で圧延されたSMPIOL402を掘削孔508の入口部分510へ引き出すために保持され得る。SMPIOL402がTgを超える温度に達し柔らかくなるまで、圧縮機502を使用するSMP製剤のTgより高い温度まで加熱する。次いで、ファブリックソック404を掘削孔508から引出すことにより、同様に圧延SMPIOL402を中間部分512から引出し、半径方向に圧縮する。圧縮機及びそこで圧縮されたSMPIOL402をTg以下の温度まで冷却しながら、圧縮されたSMPIOL402’を小さな直径の出口部分514に放置し、圧縮SMPIOL402’を圧縮状態に固定する。圧縮SMPIOL402’をTg以下まで冷却した後、圧縮機502及びファブリックソック404から取り出し、
図13に示すような、梱包、貯蔵及び最終的には移植のための最大直径w’を有する圧縮形状となる。
【0131】
例示的な実験において、直径6mmのオプティックを有するSMPIOLを1.5mmの最終直径、w’まで圧延及び圧縮した。圧縮SMPIOLを15ゲージの皮下注射チューブ内に充填した。その後、チューブ内の圧縮SMPIOLを体温の温水浴内に投入した。ロッドを皮下注射チューブ内に挿入し、IOLをチューブの末端外へ押し出し、水浴内へ送達した。水浴中で、SMPIOLは拡張、展開し、98%を超えるサイズ及び形状の精密さで直径6mmのオプティックを有する原形に回復した。
【0132】
装置及びIOLを折りたたむための方法の他の典型的な実施態様は、
図14A〜14Cに概略的に示される。
図14Aは、SMPIOL702を貯蔵及び最終的には移植のための変形形状にまとめるためのSMPIOL702に対する変形工程における第1段階を示す。圧延機710は、縦経路706を定めるために機710の上面上へ伸びる一対の平行壁704により形成される。折り畳みに役立ち、最終圧縮形状において相対的に円筒状のSMPIOL702を達成するために、経路706の底は接触部分において弓形若しくは半円であってよい。SMPIOL702を経路706の外側の壁704上に配置し、同様に経路706を横切って伸びるハプティックに位置を合わせる。次いで、圧延機710及びSMPIOL702をおおよそTgまで加熱する。その後、
図10BのIOL302の形状に似た圧延形状を形成するために、SMPIOL702の外側縁を壁704の間の経路706内へ折り畳んでもよい。一実施態様において、ピンセット又は鉗子を使ってIOL702を手で折り畳んでもよい。別の実施態様において、IOL702を経路706に押し込めるために
図9A及び
図9Bで記載したような引張ワイヤーを使用し得る。1つの典型的な実施態様において、経路706は、1.8mmの幅、2.0mmの深さであってよく、1.8mm×2.0mmの最大直径寸法を有するSMPIOL702を生じる。
【0133】
図14Bは、変形装置の第2の構成部品、圧延機710とともに稼働してIOL702をより圧縮する第2圧縮機720を示す。圧延機710の壁704の大きさ(すなわち、長さ、幅及び高さ)と大きさにおいて相補的な又はわずかに大きい(すなわち、長さ、幅及び高さ)一対の平行経路728は、圧縮機720の上面に形成される。したがって、経路728を分離し、定める埋め込み壁724は圧縮機720の上面に形成される。したがって、埋め込み壁724は、圧延機710の経路706と幅において相補的又はわずかに小さなものであり得る。埋め込み壁724の上面は、さらに、カーブした又は半円の接触部分を備える浅溝726を有していてよい。さらに、圧縮機720は、SMPIOL702のTgに又はそれを超えるTgに圧縮機720を維持するために、注入及び排出取付具を備えた1つ以上の流路722により形成されていてよい。
【0134】
圧延機710の経路706でSMPIOL702が圧延されると、圧延機710は反転し、圧縮機720の先端に配置される。圧延機710の壁704は圧縮機720の経路728に適合する。圧縮機720の埋め込み壁724は圧延機710の経路706へ広がり、溝726は経路706内でSMPIOL702と接触する。その後、圧延機710及び圧縮機720に同時に圧力をかけ、SMPIOL702の断面直径で測定するサイズをさらに圧縮する(しかしながら、圧延機710と圧縮機720での半径方向への圧縮下、SMPIOLの軸長はわずかに増えてよい)。
【0135】
図14Cに示すように、圧縮機720内の平行経路728の深さは圧延機710の平行壁704の高さよりわずかに大きいため、圧延機710の上面及び圧縮機720の上面は接触面に達し、SMPIOL702の圧縮を停止する。溝726の深さ及び経路706の深さは、圧縮SMPIOL702の所望する最終直径に対応する経路706の底と溝726の底との分離距離を定めるよう選択される。例示的な実験において、この方法を用いて直径6mmのオプティックを有するSMPIOLを1.6mmの最終直径まで圧縮した。その後、圧縮したSMPIOLを切り出し輸送用の注入装置に充填することができる。
【0136】
別の例示的実施態様において、この技術により折りたたまれたSMPIOLを移植用レンズ注入器に充填してよい。例示的なIOL移植において、小さな切開を角膜縁にブレード又はレーザーにより形成することができ、注入器の先端を前房内に挿入することができる。SMPIOLの遅い展開により、完全な展開後のSMPIOLの種々の操作を避けるため、外科医はレンズの展開中にハプティック及びオプティックを正しい位置に配置することができる。また、白内障摘出及びレンズ移植を、直径1.8mm未満と同じくらいに小さい前嚢切開により行うことができる。水晶体前嚢をほとんど破壊しないより小さな嚢切開は、調整の生理学を妨げられることなく、移植されたレンズの調整能力を高めるであろう。
【0137】
1つの典型的な実施態様においては、注入器先端を角膜切開から前房を横切って、小さな前嚢開口部内に挿入し得る。レンズを直接水晶体嚢内に挿入し、水晶体嚢に対する著しい損傷なくゆっくりと展開し得る。これは、しばしば水晶体嚢裂傷を引き起こす公知の拡張レンズの急速な展開によっては不可能である。同様に、SMPIOL溝は、穏やかな圧力及び毛様溝構造へのハプティックの並置により毛様溝において支持される。さらに前房SMPIOLは、穏やかな圧力及び前房山形構造へのハプティックの並置により前房山形構造により支持される。SMPIOLのゆっくりとした段階的な展開は、現存のIOL材料の急速な弾性的展開と比較してこれらの組織構造への損傷を著しく減らすであろう。
【0138】
全ての指向性参照(例えば、隣接した、末端、上位、下位、上へ、下へ、左、右、側部、縦、前、後、先端、そこ、上、下、垂直、水平、放射状、軸方向、時計回り、及び反時計回りなど)は、本発明の読者の理解を助けるための同定目的のために使用されるだけであって、特に本発明の位置付け、方向付け又は用途に関して限定を与えるものではない。続参照(例えば、付着した、連結した、接合した及び結合したなど)は、他に明示されない限り、広く解釈されるべきで、一群の構成要素間の中間部材及び要素間の相対的な変動も含み得る。このように、接続参照は必ずしも二つの要素が直接的に接続し、互いに固定された関係を示すものではない。例示的な図面は説明の目的だけのためであって、本出願に添付の図面に反映された寸法、位置、順番及び各サイズは変化し得る。
【0139】
上記明細書、実施例及びデータは特許請求の範囲に規定した本発明の構造及び典型的な実施態様の使用における完全な説明を提供する。特許請求の範囲の発明の種々の実施態様が特異点のいくつかの程度により、又は1つ以上の個別の実施態様に対する参照により上述されているが、当業者はクレームされた発明の精神又は範囲を超えない範囲で開示された実施例を数値的に変更することができる。従って、他の実施態様も検討される。上述した説明に含まれ、及び添付図面に示されるすべての事項は、特定の実施態様の説明のみとして解釈されるべきものであり、限定されるべきものではない。詳細若しくは構成における変更は、以下の特許請求の範囲に規定される本発明の基本要素を超えない範囲で行い得る。
本明細書に用いられるような、用語「含んでなる(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有している(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain(s))」、及びそれらの組み合わせは、さらなる作用又は構造の可能性を除外しない、制限のない暫定的な句、用語、又は言葉を意図する。本開示はまた、明確に説明する又は説明していなくても、本明細書に示される実施態様又は構成要素を「含んでいる(comprising)」、「からなる(consisting of)」、及び「本質的にからなる(consisting essentially of)」、他の実施態様を想定する。
【0140】
〔実施の態様〕
(1) tertブチルアクリレート(tBA);
1つ以上のポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDMA)モノマー;
任意に1つ以上のUV遮断剤;
任意に1つ以上の重合開始剤;
任意にn−ブチルアクリレート(nBA);及び
任意に2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(HPPA)
を含む製剤由来の形状記憶ポリマー(SMP)。
(2) 50〜85重量%のtBAを含む製剤由来の、実施態様1に記載のSMP。
(3) 3〜25重量%のPEGDMAを含む製剤由来の、実施態様1に記載のSMP。
(4) 0.25〜1.5重量%のUV遮断剤を含む製剤由来の、実施態様1に記載のSMP。
(5) 0.05〜3.0重量%の重合開始剤を含む製剤由来の、実施態様1に記載のSMP。
(6) 0〜20重量%のnBAを含む製剤由来の、実施態様1に記載のSMP。
(7) 0〜20重量%のHPPAを含む製剤由来の、実施態様1に記載のSMP。
(8) 50〜85重量%のtBA;
3〜25重量%のPEGDMA;
0.25〜1.5重量%のUV遮断剤;
0.05〜3.0重量%の重合開始剤;
0〜20重量%のnBA;及び
0〜20重量%のHPPA
を含む製剤由来の、実施態様1に記載のSMP。
(9) 前記PEGDMAは、
PEGDMA550;
PEGDMA750;
PEGDMA1000;及び
PEGDMA2000;
又はそれらの任意の組み合わせ
(10) 前記PEGDMAはPEGDMA750である、実施態様1に記載のSMP。
(11) 前記PEGDMAはPEGDMA1000である、実施態様1に記載のSMP。
(12) 前記1つ以上のUV遮断剤は、
メタクリロイルクロロベンゾトリアゾール;
メタクリロイルメトキシベンゾトリアゾール;及び
黄色染料;
又はそれらの任意の組み合わせ
からなる群から選択される、実施態様1に記載のSMP。
(13) 前記UV遮断剤は、2−メチルアクリル酸3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]−プロピルエステル(UVB);及び
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−ビニルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(UVAM)
からなる群から選択される、実施態様1に記載のSMP。
(14) 前記UV遮断剤は、3−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−5−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾ−ル−2−イル)フェネチルメタクリレートである、実施態様1に記載のSMP。
(15) 前記1つ以上の重合開始剤は、
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Irgacure651);
フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure819);
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN);
ラウロイルペルオキシド;
ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(Perkadox16);
カンファキノン;及び
ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド(TPO);
又はそれらの任意の組み合わせ
からなる群から選択される、実施態様1に記載SMP。
(16) 前記重合開始剤はラウロイルペルオキシドである、実施態様1に記載のSMP。
(17) 前記重合開始剤は光開始剤及び熱開始剤を含む、実施態様1に記載のSMP。
(18) SMP208、SMP209、SMP210、SMP211、SMP213、SMP214、SMP215、SMP218、SMP219、及びSMP230bからなる群から選択される製剤由来のSMPであって、
SMP208は、tBA(77.5%)、UVB(0.5%)、PEGDMA1000(22%)、及びIRGACURE819(0.15%)を含み;
SMP209は、tBA(77.0%)、UVB(1.0%)、PEGDMA1000(22%)、及びIRGACURE819(0.15%)を含み;
SMP210は、tBA(76.0%)、UVB(2.0%)、PEGDMA1000(22%)、及びIRGACURE819(0.15%)を含み;
SMP211は、tBA(77.5%)、UVAM(0.5%)、PEGDMA1000(22%)、及びIRGACURE819(0.15%)を含み;
SMP212は、tBA(77.0%)、UVAM(1.0%)、PEGDMA1000(22%)、及びIRGACURE819(0.15%)を含み;
SMP213は、tBA(76.0%)、UVAM(2.0%)、PEGDMA1000(22%)、及びIRGACURE819(0.15%)を含み;
SMP214は、tBA(77.3%)、UVB(0.7%)、PEGDMA1000(22%)、及びIRGACURE819(0.15%)を含み;
SMP215は、tBA(77.45%)、UVAM(0.55%)、PEGDMA1000(22%)、及びIRGACURE819(0.15%)を含み;
SMP218は、tBA(64.30%)、nBA(13.0%)、UVB(0.7%)、PEGDMA1000(22%)、及びIRGACURE819(0.15%)を含み;
SMP219は、tBA(64.45%)、nBA(13.0%)、UVAM(0.55%)、PEGDMA1000(22%)、及びIRGACURE819(0.15%)を含み;及び
SMP230bは、tBA(59.80%)、nBA(12.00%)、UVB(0.80%)、PEGDMA1000(10%)、ラウロイルペルオキシド(0.15%)、及びHPPA(17.50%)を含み;
ここで、UVBは、2−メチルアクリル酸3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]−プロピルエステルであり;UVAMは、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−ビニルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(UVAM)であり;及びIRGACURE819は、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドである、実施態様1に記載のSMP。
(19) 59.80重量%のtBA;
12.00重量%のnBA;
17.50重量%のHPPA;
0.70重量%の2−メチルアクリル酸3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]−プロピルエステル(UVB);
10重量%のPEGDMA1000;及び
0.15重量%のラウロイルペルオキシド
を含む製剤由来の、実施態様1に記載のSMP。
(20) SMPを含む眼内レンズは、屈折率約1.45;
包括的に10℃〜60℃のTg;
僅かな光沢又は無光沢;及び
実質的に100%の可視光スペクトルの光透過性;
を有する、実施態様1に記載のSMP。
(21) 実施態様1に記載の形状記憶ポリマー(SMP)を準備すること;
持続性眼内装置の形状にSMP材料を形成すること;
SMPのTgを超える温度で、眼内装置を機械的に圧縮し、前記眼内装置をより小さい体積に変形させること;及び
変形した眼内装置を圧縮したままTg未満の温度まで冷却し、これによって2mm以下の切開により挿入可能な送達形状を有する、安定性変形眼内装置を作製すること
を含む眼内装置の製造方法。
(22) 角膜又は強膜に1.8mm幅以下の切開を形成すること;及び前記切開を通して水晶体嚢中に眼内レンズを挿入することを含み;
ここで、眼内レンズ装置を実施態様1に記載の形状記憶ポリマーから形成し、並びに圧縮変形構造で移植する、眼内レンズ装置を移植する方法。
(23) 角膜又は強膜に1.8mm幅以下の切開を形成すること;及び前記切開を通して毛様溝中に眼内レンズを挿入することを含み;
ここで、眼内レンズ装置を、実施態様1に記載の形状記憶ポリマーから形成し、並びに圧縮変形構造で移植する、眼内レンズ装置を移植する方法。
(24) 角膜に1.8mm幅以下の切開を形成し、前眼房とつなげること;及び前記切開を通して、前記前眼房中に眼内レンズを挿入することを含み;
ここで、眼内レンズ装置を、実施態様1に記載の形状記憶ポリマーから形成し、並びに圧縮変形構造で移植する、眼内レンズ装置を移植する方法。
(25) 角膜に1.8mm幅以下の切開を形成し、角膜中に経路を形成すること;及び前記切開を通して、前記前眼房中に眼内移植装置を挿入することを含み;
ここで、眼内レンズ装置を実施態様1に記載の形状記憶ポリマーから形成し、並びに圧縮変形構造で移植する、眼内移植装置を移植する方法。
(26) tertブチルアクリレート(tBA);
1つ以上のポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDMA)モノマー;
任意にn−ブチルアクリレート(nBA);及び
任意に2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(HPPA)
を含む製剤由来の形状記憶ポリマー(SMP)。
(27) 50〜85重量%のtBAを含む製剤由来の、実施態様26に記載のSMP。
(28) 3〜25重量%のPEGDMAを含む製剤由来の、実施態様26に記載のSMP。
(29) 0〜20重量%のnBAを含む製剤由来の、実施態様26に記載のSMP。
(30) 0〜20重量%のHPPAを含む製剤由来の、実施態様26に記載のSMP。
(31) 前記PEGDMAは、
PEGFMA550;
PEGFMA750;
PEGFMA1000;及び
PEGFMA2000;
又はそれらの任意の組み合わせ
からなる群から選択される、実施態様26に記載のSMP。
(32) 前記PEGDMAはPEGDMA750である、実施態様26に記載のSMP。
(33) 前記PEGDMAはPEGDMA1000である、実施態様26に記載のSMP。
(34) 前記SMPを含む眼内レンズは、屈折率約1.45;
包括的に10℃〜60℃のTg;
僅かな光沢又は無光沢;及び
実質的に100%の可視光スペクトルの光透過性;
を有する、実施態様26に記載のSMP。
(35) 実施態様26に記載の形状記憶ポリマー(SMP)を準備すること;
持続性眼内装置の形状にSMP材料を形成すること;
SMPのTgを超える温度で、眼内装置を機械的に圧縮し、前記眼内装置をより小さい体積に変形させること;及び
変形した眼内装置を圧縮したままTg未満の温度まで冷却し、これによって2mm以下の切開により挿入可能な送達形状を有する、安定性変形眼内装置を作製すること
を含む眼内装置の製造方法。
(36) 角膜又は強膜に1.8mm幅以下の切開を形成すること;及び前記切開を通して水晶体嚢中に眼内レンズを挿入することを含み;
ここで、眼内レンズ装置を、実施態様26に記載の形状記憶ポリマーから形成し、並びに圧縮変形構造で移植する、眼内レンズ装置を移植する方法。
(37) 角膜又は強膜に1.8mm幅以下の切開を形成すること;及び前記切開を通して毛様溝中に眼内レンズを挿入することを含み;
ここで、眼内レンズ装置を、実施態様26に記載の形状記憶ポリマーから形成し、並びに圧縮変形構造で移植する、眼内レンズ装置を移植する方法。
(38) 角膜に1.8mm幅以下の切開を形成し、前眼房とつなげること;及び前記切開を通して、前記前眼房中に眼内レンズを挿入することを含み;
ここで、眼内レンズ装置を、実施態様26に記載の形状記憶ポリマーから形成し、並びに圧縮変形構造で移植する、眼内レンズ装置を移植する方法。
(39) 角膜に1.8mm幅以下の切開を形成し、角膜中に経路を形成すること;及び前記切開を通して、前記前眼房中に眼内移植装置を挿入することを含み;
ここで、眼内レンズ装置を実施態様26に記載の形状記憶ポリマーから形成し、並びに圧縮変形構造で移植する、眼内移植装置を移植する方法。