特許第6441405号(P6441405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6441405複数個の成形品を並行して成形する成形方法および成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441405
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】複数個の成形品を並行して成形する成形方法および成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/06 20060101AFI20181210BHJP
   B29C 45/12 20060101ALI20181210BHJP
   B29C 45/64 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B29C45/06
   B29C45/12
   B29C45/64
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-82604(P2017-82604)
(22)【出願日】2017年4月19日
(65)【公開番号】特開2018-176625(P2018-176625A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2018年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】河島 泰弘
【審査官】 ▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−114889(JP,A)
【文献】 実開昭57−165422(JP,U)
【文献】 特開昭57−188332(JP,A)
【文献】 特開2008−080561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C33/30,45/06,45/12,45/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型閉じ状態を自己保持するロック手段を備え、型締装置の一方の型盤に対してスライドされると共に他方の型盤にクランプ/アンクランプされるようになっている複数組の金型ユニットを使用して、
前記複数組の金型ユニットのうち前記他方の型盤にクランプされている1組の金型ユニットを型締めして射出する射出工程と、
前記1組の金型ユニットを前記ロック手段によりロックすると共に前記他方の型盤からアンクランプして前記型締装置を開くアンクランプ工程と、
前記1組の金型ユニットを退避位置にスライドする待避スライド工程と、
前記待避位置において冷却された前記1組の金型ユニットを前記他方の型盤に整合する位置にスライドする型締スライド工程と、
前記1組の金型ユニットをロック手段を解除すると共に前記他方の型盤にクランプするクランプ工程と、
クランプした前記1組の金型ユニットを型開きして成形品を取り出す取出工程とからなる成形サイクルを、前記複数組の前記金型ユニットにおいて並行して実施して、複数個の成形品を並行して成形する成形方法において、
前記アンクランプ工程は、前記金型ユニットをアンクランプして前記型締装置を開くとき、前記金型ユニットと前記他方の型盤との当接部分に圧縮空気を吹き付けて実施することを特徴とする、複数個の成形品を並行して成形する成形方法。
【請求項2】
射出装置と、型締装置と、複数組の金型ユニットと、エア噴出装置とからなる成形装置であって、
前記複数組の金型ユニットは、型閉じ状態を自己保持するロック手段を備え、前記型締装置の一方の型盤に対してスライドされると共に他方の型盤にクランプ/アンクランプされるようになっており、
前記金型ユニットは前記他方の型盤にクランプされると共に前記ロック手段が解除されると型開閉自在になると共に前記射出装置からの射出ができ、前記他方の型盤からアンクランプされると共に前記ロック手段によりロックされると型閉じ状態でスライド自在になっており、
前記エア噴出装置は圧縮空気を噴出するノズルを備え、前記ノズルは前記金型ユニットと前記他方の型盤との当接部分に向いていることを特徴とする、複数個の成形品を並行して成形する成形装置。
【請求項3】
請求項2に記載の成形装置において、前記一方の型盤には前記一方の型盤に対して回転的にスライドする回転スライド盤が設けられ、前記複数個の金型ユニットは前記回転スライド盤に固定されており、前記回転スライド盤をスライドすると、前記複数個の金型ユニットは順次前記他方の型盤に整合する位置と前記他方の型盤から外れる退避位置にスライドされるようになっていることを特徴とする複数個の成形品を並行して成形する成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型盤上にスライド可能に設けられていると共に型閉じ状態を自己保持できるようになっている複数組の金型ユニットを使用して、これら複数組の金型ユニットを順次溶融樹脂の射出ができる射出位置と型閉じ状態で待避させる待避位置とにスライドさせるようにし、金型ユニットが射出位置にスライドされているときに型締めして射出し、その後退避位置にスライドさせて樹脂を冷却させ、再び射出位置にスライドしたときに型開きして成形品を取り出す成形方法、およびその成形方法を実施する成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、溶融樹脂を射出する射出装置、金型を型締めする型締装置等から構成されている。型締装置によって金型を型締めし、射出装置から溶融樹脂を射出すると溶融樹脂が金型内に形成されているキャビティに充?される。樹脂の冷却固化を待って型締装置を駆動して金型を型開きすると、成形品が得られるが、樹脂の冷却固化に要する時間は成形品によって長短がある。例えば比較的肉厚の成形品は長時間の冷却時間を確保する必要がある。冷却固化を待っている間には型開閉が行えないので射出等の他の工程は実施できない。従って、成形サイクル全体が長くなり、射出成形機の生産性が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−114874号公報
【特許文献2】特開平7−186176号公報
【0004】
特許文献1、2には、型閉じ状態を自己保持できる金型ユニットを2組使用して、2個の成形品を並行して成形することができる射出成形方法が記載されている。これらの文献に記載の成形方法は、いわゆるOCI成形方法、つまりOUT COOLING INJECTION法として周知であり、所定の構造を備えた金型ユニットを使用する。具体的に説明すると、金型ユニットは、型開閉される固定金型と可動金型とから構成され、可動金型は可動盤上をスライドするスライド盤に固定的に設けられている。従ってスライド盤をスライドすると金型もスライドされるようになっている。これに対して固定金型は固定盤に対して、所定のクランプ手段によりクランプしたりアンクランプしたりできるようになっている。これらの可動金型と固定金型は、所定のロック手段によって型締め状態、つまり型閉じ状態を自己保持できるようにもなっている。
【0005】
OCI成形方法では、このような金型ユニットを複数組使用するが、2組の金型ユニットを使ったOCI成形方法について説明する。まずスライド盤には型閉じ状態でロックした2組の金型ユニットのそれぞれの可動金型を固定する。固定盤には固定金型はクランプされていない状態とする。スライド盤を駆動して一方の金型ユニットを射出位置にスライドする。型締装置を駆動して型締めするとこの金型ユニットの固定金型が固定盤に当接する。クランプ手段を作動させて固定金型を固定盤にクランプして射出を行う。射出後アンククランプすると共にロック手段によりロックする。型開きするとこの金型ユニットは型閉じ状態が自己保持され、その状態で維持される。スライド盤を駆動して他方の金型ユニットを射出位置にスライドする。そうすると一方の金型ユニットは退避位置にスライドされ、射出された樹脂が冷却固化する。型締装置を駆動して型締めすると他方の金型ユニットの固定金型と固定盤が当接する。クランプ手段を作動させて固定金型を固定盤にクランプして射出を行う。射出後クランプ手段を解除すると共にロック手段によりロックする。型開きするとこの金型ユニットは型閉じ状態が自己保持される。スライド盤を駆動して一方の金型ユニットを射出位置にスライドする。そうすると他方の金型ユニットは退避位置にスライドされ、射出された樹脂が冷却固化する。一方の金型ユニットでは樹脂が十分に冷却固化された状態になっている。型締装置を駆動して型閉じすると一方の金型ユニットの固定金型が固定盤に当接する。クランプ手段を作動して固定金型を固定盤にクランプすると共にロック手段を解除する。型締装置を駆動して型開きすると一方の金型ユニットが型開きされて成形品が得られる。成形品を取り出した後に型締装置を駆動して一方の金型ユニットを型締めし、溶融樹脂を射出する。射出後クランプ手段を解除し、ロック手段によりロックし、型開きする。そうすると一方の金型ユニットは型閉じ状態が自己保持される。以下同様にして成形する。このように成形すると一方の金型ユニットにおいて射出成形するとき、他方の金型ユニットにおいて冷却固化が行える。そうすると、2個の成形品を実質的に並行して成形することになる。OCI成形方法を実施すれば、冷却固化に時間を要する肉厚の成形品であっても見かけ上の成形サイクルを短時間にして成形することができ、射出成形機の生産性を高くすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載の、いわゆるOCI成形方法によって射出成形すると、所定の金型ユニットにおいて樹脂を冷却固化しているときに、他の金型ユニットにおいて射出することができるので、複数個の成形品を並行して成形することができ、見かけ上の成形サイクルを短時間にすることができる。すなわち厚肉成形品であっても高い生産性で成形することができる。しかしながら解決すべき問題も見受けられる。具体的には金型の耐久性の問題がある。OCI成形方法では、金型から型盤を離間させるとき、金型をアンクランプして型盤を開いて離間させるようにしている。ところでクランプ状態で型締工程を実施した直後の金型と型盤は密着している。そうすると金型をアンクランプして型盤からの拘束を解いても型盤を金型から離間させるには強い力が作用する。つまり金型から型盤を離間させるときに金型が型盤に強く引き寄せられる。成形サイクルを長期間繰り返すと、この引き寄せる力が繰り返し作用して金型が劣化する。例えばロック手段が劣化して、金型が一方の金型からわずかに浮上がる現象も発生する。つまり金型の耐久性に影響を与える。この問題は、型盤が垂直になっている横置き型の型締装置でも型盤が水平になっている竪型の型締装置でも同様に存在するが、特に竪型の型締装置において影響が大きい。横置き型の型締装置の場合には、金型には重力が型盤と平行な方向に作用するので、つまり金型と型盤の当接面にはせん断方向の力が作用するので、金型をアンクランプした後に型盤から離間させるのは比較的容易ではある。しかしながら竪型の型締装置の場合には金型に作用する重力は型盤と垂直になるので、金型にはせん断方向の力は作用しない。従って、アンクランプした後で型盤から離間させるときに強い引っ張り力が作用してしまう。これによって金型の耐久性に影響を与えてしまうからである。他の問題もある。型盤装置の駆動エネルギーが大きいという問題である。すなわち引き寄せる力によって金型から型盤を離間させるときに、強い力で型盤装置を駆動しなければならないので、駆動に要するエネルギーが大きくなるからである。
【0007】
本発明は上記したような問題点を解決した成形方法および成形装置を提供することを目的としており、具体的には、OCI成形方法を実施するときに、アンクランプした金型を型盤から容易に離間することができ、従って金型の劣化を防止して型盤装置の駆動のエネルギーも節約することができる、成形方法およびそのような成形方法を実施する成形装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本発明の目的を達成するために、型盤と金型ユニットとを離間させる方法に特徴を有するOCI成形方法として構成する。まず金型は、型閉じ状態を自己保持するロック手段を備え、型締装置の一方の型盤に対してスライドされると共に他方の型盤にクランプ/アンクランプされるようになっている複数組の金型ユニットを使用する。金型ユニットを型盤にクランプして型締めし射出する。射出された金型ユニットは、型盤からアンクランプしてロック手段によりロックして退避位置にスライドして冷却する。冷却後、再び型盤に整合する位置にスライドしてロック手段を解除し、クランプして型開閉して成形品を取り出す。このような成形サイクルを複数組の金型ユニットで並行して実施する。本発明は、金型ユニットを型盤からアンクランプして型締装置を開くとき、金型ユニットと型盤との当接部分に圧縮空気を吹き付けて、これらの離間を助けるように構成する。
【0009】
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、型閉じ状態を自己保持するロック手段を備え、型締装置の一方の型盤に対してスライドされると共に他方の型盤にクランプ/アンクランプされるようになっている複数組の金型ユニットを使用して、前記複数組の金型ユニットのうち前記他方の型盤にクランプされている1組の金型ユニットを型締めして射出する射出工程と、前記1組の金型ユニットを前記ロック手段によりロックすると共に前記他方の型盤からアンクランプして前記型締装置を開くアンクランプ工程と、前記1組の金型ユニットを退避位置にスライドする待避スライド工程と、前記待避位置において冷却された前記1組の金型ユニットを前記他方の型盤に整合する位置にスライドする型締スライド工程と、前記1組の金型ユニットをロック手段を解除すると共に前記他方の型盤にクランプするクランプ工程と、クランプした前記1組の金型ユニットを型開きして成形品を取り出す取出工程とからなる成形サイクルを、前記複数組の前記金型ユニットにおいて並行して実施して、複数個の成形品を並行して成形する成形方法において、前記アンクランプ工程は、前記金型ユニットをアンクランプして前記型締装置を開くとき、前記金型ユニットと前記他方の型盤との当接部分に圧縮空気を吹き付けて実施することを特徴とする、複数個の成形品を並行して成形する成形方法として構成される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、射出装置と、型締装置と、複数組の金型ユニットと、エア噴出装置とからなる成形装置であって、前記複数組の金型ユニットは、型閉じ状態を自己保持するロック手段を備え、前記型締装置の一方の型盤に対してスライドされると共に他方の型盤にクランプ/アンクランプされるようになっており、前記金型ユニットは前記他方の型盤にクランプされると共に前記ロック手段が解除されると型開閉自在になると共に前記射出装置からの射出ができ、前記他方の型盤からアンクランプされると共に前記ロック手段によりロックされると型閉じ状態でスライド自在になっており、前記エア噴出装置は圧縮空気を噴出するノズルを備え、前記ノズルは前記金型ユニットと前記他方の型盤との当接部分に向いていることを特徴とする、複数個の成形品を並行して成形する成形装置として構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の成形装置において、前記一方の型盤には前記一方の型盤に対して回転的にスライドする回転スライド盤が設けられ、前記複数個の金型ユニットは前記回転スライド盤に固定されており、前記回転スライド盤をスライドすると、前記複数個の金型ユニットは順次前記他方の型盤に整合する位置と前記他方の型盤から外れる退避位置にスライドされるようになっていることを特徴とする複数個の成形品を並行して成形する成形装置として構成される。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明は、型閉じ状態を自己保持するロック手段を備え、型締装置の一方の型盤に対してスライドされると共に他方の型盤にクランプ/アンクランプされるようになっている複数組の金型ユニットを使用して、複数個の成形品を並行して成形する成形方法、すなわちいわゆるOCI成形方法を対象としている。OCI成形方法であるので、本発明の成形サイクルも、複数組の金型ユニットのうち他方の型盤にクランプされている1組の金型ユニットを型締めして射出する射出工程と、1組の金型ユニットをロック手段によりロックすると共に他方の型盤からアンクランプして型締装置を開くアンクランプ工程と、1組の金型ユニットを退避位置にスライドする待避スライド工程と、待避位置において冷却された1組の金型ユニットを他方の型盤に整合する位置にスライドする型締スライド工程と、1組の金型ユニットをロック手段を解除すると共に他方の型盤にクランプするクランプ工程と、クランプした1組の金型ユニットを型開きして成形品を取り出す取出工程とからなる。本発明は、このような成形サイクルのうち、アンクランプ工程は、金型ユニットをアンクランプして型締装置を開くとき、金型ユニットと他方の型盤との当接部分に圧縮空気を吹き付けるように構成されている。金型ユニットと型盤との当接部分は密着しているが、圧縮空気を吹き付けるので、アンクランプした金型を型盤から容易に離間することができる。従って金型ユニットに負担はかからず、金型ユニットの劣化を防止することができる。さらには型盤装置の型開閉の駆動のエネルギーを節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る成形装置を示す図で、その(ア)、(イ)はそれぞれ成形装置を示す正面図と上面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る成形装置を使用して本発明の実施の形態に係る成形方法により複数個の成形品を並行して成形する各工程を説明する図で、その(ア)〜(ク)はそれぞれの工程における成形装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る成形装置1は、図1の(ア)、(イ)に示されているように、射出装置2と、型締装置3と、所定の特徴を備えた4組の金型ユニットすなわち第1〜4の金型ユニット5a〜5dと、エア噴出装置6とから構成されている。射出装置2は周知の構造からなり、加熱シリンダ8とこの加熱シリンダ8内に入れられている図示されないスクリュとから構成されスクリュを駆動すると先端の射出ノズル10から樹脂が射出されるようになっている。
【0014】
本実施の形態に係る型締装置3は竪型になっている。すなわち型締装置3は、水平に設けられている固定盤12と、この固定盤12の上面に接して固定盤12に対して回転的にスライドする回転スライド盤13と、固定盤12に対して上下方向に型開閉される可動盤15と、固定盤12の下方に設けられている図示されない型締ハウジングと、固定盤12と回転スライド盤13とを貫通し一方の端部が可動盤15に他方の端部が型締ハウジングに固定されているタイバー17、17、…と、図示されない型締機構とから構成されている。型締機構は固定盤12と型締ハウジングの間に設けられており、型締機構を駆動すると可動盤15が上下して型開閉および型締めができるようになっている。回転スライド盤13は、1本のタイバー17を中心に回転するようになっている。
【0015】
第1〜4の金型ユニット5a、5b、…は、回転スライド盤13に固定されている固定側金型18a、18b、…と、可動盤15に対して固定されるようになっている可動側金型19a、19b、…とからなる。これら金型18a、19a、…のパーティングラインには凹部が形成されており、比較的肉厚の成形品が成形されるようになっている。
【0016】
本実施の形態に係る第1〜4の金型ユニット5a、5b、…は、2点の特徴を備えている。第1の特徴はロック手段21a、21b、…を備え、これを駆動すると固定側金型18a、18b、…と可動側金型19a、19b、…とを型閉じ状態に維持できるようになっている。第2の特徴は可動側金型19a、19b、…が可動盤15に対して容易にクランプされたり、アンクランプされるようになっている点である。クランプ手段22は可動盤15に設けられており、図には示されていないが、可動側金型19a、19b、…にはクランプ手段22によって把持される把持部が形成されている。成形装置1を制御するコントローラからの指令によってクランプ手段22が駆動されると、可動側金型19a、19b、…がクランプ/アンクランプされるようになっている。
【0017】
このような第1〜4の金型ユニット5a、5b、…は、回転スライド盤13に、円周方向に均等に設けられている。すなわち、回転スライド盤13において中心からみて0°、90°、180°、270°の位置に設けられている。回転スライド盤13を回転的にスライドすると、第1〜4の金型ユニット5a、5b、…もスライドする。第1〜4の金型ユニット5a、5b、…は、それぞれ可動盤15と整合する位置すなわち射出位置と、可動盤15から外れて可動盤15と非整合状態になる位置すなわち待避位置とにスライドされるようになっている。第1〜4の金型ユニット5a、5b、…が射出位置にあるとき、射出装置2が前進して射出ノズル10が可動側金型19a、19b、…にタッチして射出できるようになる。
【0018】
本実施の形態に係る成形装置1は、エア噴出装置6を備えている点に特徴がある。エア噴出装置6はノズル24を備え、ノズル24から圧縮空気を噴出できるようになっている。エア噴出装置6は、本実施の形態においては可動盤15に設けられているが、どの部材に設けられていてもよい。しかしながらノズル24は可動盤15と可動側金型19a、19b、…の当接部に向ける必要がある。可動側金型19a、19b、…を可動盤15からアンクランプして、型開きするときに、圧縮空気を噴出してこれらの離間を助けるようになっている。
【0019】
本実施の形態に係る成形方法を説明する。最初に、図1の(イ)に示されているように、第1の金型ユニット5aは0°、第2の金型ユニット5bは90°、第3の金型ユニット5cは180°、第4の金型ユニット5dは270°にある。この状態でスタートする。第1の金型ユニット5aは可動盤15にクランプされていない状態であると共に、ロック手段21aにより型閉じ状態になっているものとする。この状態が図2の(ア)に示されている。第1の金型ユニット5aを可動盤15にクランプするクランプ工程を実施する。型締装置3を駆動して型閉じし、可動盤15を第1の金型ユニット5aの可動側金型19aに当接させる。当接したらクランプ手段22により可動側金型19aをクランプすると共に、ロック手段21aを解除する。次に射出工程を実施する。すなわち射出装置2を前進して第1の金型ユニット5aにタッチさせ、型締めし、射出装置2から樹脂を射出する。図2の(イ)には、第1の金型ユニット5aに樹脂が射出された状態が示されている。
【0020】
アンクランプ工程を実施する。まず射出装置2を後退させる。次いで第1の金型ユニット5aをロック手段21aによりロックし、クランプ手段22を駆動して第1の金型ユニット5aをアンクランプする。そして図2の(ウ)に示されているように、エア噴出装置6からエアを供給して、ノズル24から圧縮空気を噴出させながら型開きする。圧縮空気が可動側金型19aと可動盤15の当接面に入り込むので、可動盤15は容易に可動側金型19aから離間する。
【0021】
回転スライド盤13を時計回りに90°回転する。そうすると、第1の金型ユニット5aは図1の(イ)において、270°の位置に、第2〜4の金型ユニット5b、5c、…は、それぞれ0°、90°、180°の位置にスライドされる。第1の金型ユニット5aは待避位置にスライドされるので、第1の金型ユニット5aに対しては待避スライド工程を実施したと言える。第2の金型ユニット5bは0°、つまり可動盤15と整合する射出位置にあるので、第1の金型ユニット5aに対して実施したのと同様に、クランプ工程、射出工程、アンクランプ工程を実施する。回転スライド盤13を時計回りに90°回転する。そうすると、第1〜4の金型ユニット5a、5b、…は、それぞれ180°、270°、0°、90°の位置にスライドされる。第3の金型ユニット5cに対しても、クランプ工程、射出工程、アンクランプ工程を実施する。続いて回転スライド盤13を時計回りに90°回転する。そうすると、第1〜4の金型ユニット5a、5b、…は、それぞれ90°、180°、270°、0°の位置にスライドされる。第4の金型ユニット5dに対しても、クランプ工程、射出工程、アンクランプ工程を実施する。
【0022】
第1の金型ユニット5aが270°、180°、90°の位置にスライドされている間に、射出された樹脂は十分に冷却して固化する。回転スライド盤13を時計回りに90°回転する。そうすると第1の金型ユニット5aは0°の位置、つまり最初の位置である射出位置に戻る。図2の(エ)にはこの状態が示されているが、第1の金型ユニット5aが可動盤15と整合するようにスライドするので、第1の金型ユニット5aについて型締スライド工程を実施したということができる。第1の金型ユニット5aに対してクランプ工程を実施する。すなわち図2の(オ)に示されているように、型締装置3を駆動して型閉じし、可動盤15が第1の金型ユニット5aの可動側金型19aに当接したらクランプ手段22により可動側金型19aをクランプすると共に、ロック手段21aを解除する。図2の(カ)に示されているように、型開きして成形品26を取り出す取出工程を実施する。
【0023】
引き続き第1の金型ユニット5aにおいて射出工程を実施する。すなわち図2の(キ)に示されているように、射出装置2を前進して型締めし、射出装置2から樹脂を射出する。第1の金型ユニット5aに樹脂が充填される。射出装置2を後退させ、アンクランプ工程を実施する。すなわち図2の(ク)に示されているように、第1の金型ユニット5aをロック手段21aによりロックし、クランプ手段22を駆動して第1の金型ユニット5aをアンクランプする。そしてエア噴出装置6からエアを供給して、ノズル24から圧縮空気を噴出させながら型開きする。圧縮空気が可動側金型19aと可動盤15の当接面に入り込むので、可動盤15は容易に可動側金型19aから離間する。回転スライド盤13を時計回りに90°回転する。すなわち第1の金型ユニット5aに対して待避スライド工程を実施すると共に第2の金型ユニット5bに対して型締スライド工程を実施する。第2の金型ユニット5bに対して、クランプ工程、取出工程、射出工程、アンクランプ工程を実施する。以下同様にして成形する。
【符号の説明】
【0024】
1 成形装置 2 射出装置
3 型締装置
5a、5b、… 第1〜4の金型ユニット
6 エア噴出装置 12 固定盤
13 回転スライド盤 15 可動盤
18a、18b、… 固定側金型
19a、19b、… 可動側金型
21a、21b、… ロック手段
22 クランプ手段 24 ノズル
26 成形品
図1
図2