特許第6441471号(P6441471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6441471空気調和システム及びこれを備える空気調和機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441471
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】空気調和システム及びこれを備える空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 13/00 20060101AFI20181210BHJP
   F25B 1/10 20060101ALI20181210BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   F25B13/00 Q
   F25B13/00 311
   F25B1/10 E
   F25B43/00 R
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-515813(P2017-515813)
(86)(22)【出願日】2016年4月12日
(65)【公表番号】特表2017-534039(P2017-534039A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(86)【国際出願番号】CN2016079057
(87)【国際公開番号】WO2017059665
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2017年3月16日
(31)【優先権主張番号】201510662023.3
(32)【優先日】2015年10月10日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201520793811.1
(32)【優先日】2015年10月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517091768
【氏名又は名称】クワントン メイヂー コンプレッサー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ハイチュン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ, スーチン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン, リンファ
(72)【発明者】
【氏名】ウー, イェンピン
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−190559(JP,A)
【文献】 特開2003−185286(JP,A)
【文献】 特開2008−190377(JP,A)
【文献】 特開2010−156488(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0165482(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/10
F25B 13/00
F25B 43/00
F04C 28/02,28/18,29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和システムであって、
第1シリンダと、該第1シリンダに並列に設けられた第2シリンダと、排気口と、気体戻り口とを有し、前記第1シリンダ及び前記第2シリンダによって圧縮された気体が前記排気口から排出され、前記第1シリンダの排気容積をV1とし、前記第2シリンダの排気容積をV2とすると、前記V1と前記V2とが、0<V2/V1≦0.1を満たす圧縮機と、
第1入口と、第1出口とを有する室外熱交換器と、
第2入口と、第2出口とを有し、且つ前記第1出口が前記第2入口に連通される室内熱交換器と、
第1弁口と、第2弁口と、第3弁口と、第4弁口とを有し、前記第1弁口が前記排気口に連通され、前記第4弁口が前記気体戻り口に連通され、前記第2弁口が前記第1入口に連通され、前記第3弁口が前記第2出口に連通される方向切替アセンブリと、
前記室内熱交換器と前記室外熱交換器との間に直列接続されている第1絞り部品及び第2絞り部品と、
第1開口と、第2開口と、気体出口とを有し、前記空気調和システムが冷房運転をする場合、前記第1弁口が前記第2弁口に連通され、前記第3弁口が前記第4弁口に連通され、前記第1開口が前記第1絞り部品に連通され、前記第2開口が前記第2絞り部品に連通され、前記気体出口が中圧吸気管を介して前記第2シリンダに連通され、前記空気調和システムが暖房運転をする場合、前記第1弁口が前記第3弁口に連通され、前記第2弁口が前記第4弁口に連通され、前記第1開口が前記中圧吸気管を介して前記第2シリンダに連通され、前記第2開口が前記第1絞り部品に連通され、前記気体出口が前記第2絞り部品に連通される気液分離器と、
一端が前記第4弁口に連通され、他端が低圧吸気管を介して前記気体戻り口に連通される貯液器とを備える空気調和システム。
【請求項2】
前記V1と前記V2とが、0<V2/V1≦0.09を満たす請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記V1と前記V2とが、0.04≦V2/V1≦0.08を満たす請求項2に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記V1と前記V2とが、0.04≦V2/V1≦0.07を満たす請求項3に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記V1と前記V2とが、0.07<V2/V1≦0.08を満たす請求項3に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記方向切替アセンブリが四方弁である請求項1から請求項5のいずれかに記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記圧縮機がガス冷媒噴射式圧縮機である請求項1から請求項6のいずれかに記載の空気調和システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の空気調和システムを備える空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍設備技術分野に関し、具体的には、特に空気調和システム及びこれを備える空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術において、中国国内のAPF基準における定格冷凍運転状況、中間冷凍運転状況、定格暖房運転状況、中間暖房運転状況及び低温暖房運転状況、北アメリカのSEER運転状況及びHSPF運転状況、ヨーロッパのERP運転状況、日本のAPFの運転状況及び超低温暖房運転状況などに対して設計された空気調和システムは、当該空気調和システムを最適化する設計が欠けているため、設計された圧縮機における第1シリンダの排気容積と第2シリンダの排気容積との割合が一番好ましい範囲に入っておらず、空気調和機の全体的な性能に悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術における少なくとも一つの技術的課題を解決することである。このため、本発明は、使用性能が優れるという利点を有する空気調和システムを提供する。
【0004】
本発明は、上記空気調和システムを備える空気調和機をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係る第1形態として空気調和システムを提供する。当該空気調和システムは、第1シリンダと、第2シリンダと、排気口と、気体戻り口とを有し、前記第1シリンダ及び前記第2シリンダによって圧縮された気体が前記排気口から排出され、前記第1シリンダの排気容積をV1とし、前記第2シリンダの排気容積をV2とすると、前記V1と前記V2とが、V2/V1≦0.1を満たす圧縮機と、第1入口と、第1出口とを有する室外熱交換器と、第2入口と、第2出口とを有し、且つ前記第1出口が前記第2入口に連通される室内熱交換器と、第1弁口と、第2弁口と、第3弁口と、第4弁口とを有し、前記第1弁口が前記排気口に連通され、前記第4弁口が前記気体戻り口に連通され、前記第2弁口が前記第1入口に連通され、前記第3弁口が前記第2出口に連通される方向切替アセンブリと、前記室内熱交換器と前記室外熱交換器との間に直列接続されている第1絞り部品及び第2絞り部品と、第1開口と、第2開口と、気体出口とを有し、前記空気調和システムが冷房運転をする場合、前記第1弁口が前記第2弁口に連通され、前記第3弁口が前記第4弁口に連通され、前記第1開口が前記第1絞り部品に連通され、前記第2開口が第2絞り部品に連通され、前記気体出口が中圧吸気管を介して前記第2シリンダに連通され、前記空気調和システムが暖房運転をする場合、前記第1弁口が前記第3弁口に連通され、前記第2弁口が前記第4弁口に連通され、前記第1開口が前記中圧吸気管を介して前記第2シリンダに連通され、前記第2開口が前記第1絞り部品に連通され、前記気体出口が前記第2絞り部品に連通される気液分離器と、一端が前記第4弁口に連通され、他端が低圧吸気管を介して前記気体戻り口に連通される貯液器とを備える。
【0006】
本発明の実施形態に係る空気調和システムは、第2シリンダの排気容積と第1シリンダ排気容積との割合を0.1以下にすることにより、空気調和システムの性能を有効的に向上させ、空気調和機がエネルギ消費効率の一番優れた状態に達しやすくなるようにする。
【0007】
本発明の変形例において、前記第1シリンダの排気容積をV1とし、前記第2シリンダの排気容積をV2とすると、前記V1と前記V2とが、V2//V1≦0.09を満たしていてもよい。
【0008】
本発明の変形例において、前記第1シリンダの排気容積をV1とし、前記第2シリンダの排気容積をV2とすると、前記V1と前記V2とが、0.04≦V2/V1≦0.08を満たしていてもよい。
【0009】
本発明の変形例において、前記第1シリンダの排気容積をV1とし、前記第2シリンダの排気容積をV2とすると、前記V1と前記V2とが、0.04≦V2/V1≦0.07を満たしていてもよい。
【0010】
本発明の変形例において、前記第1シリンダの排気容積をV1とし、前記第2シリンダの排気容積をV2とすると、前記V1と前記V2とが、0.07<V2/V1≦0.08を満たしていてもよい。
【0011】
本発明の変形例において、前記方向切替アセンブリが四方弁であってもよい。
【0012】
本発明の変形例において、前記圧縮機がガス冷媒噴射式圧縮機であってもよい。
【0013】
本発明の実施形態に係る空気調和機は、上記空気調和システムを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態に係る空気調和機は、上記空気調和システムを設置することにより、第2シリンダの排気容積と第1シリンダの排気容積との割合を0.1以下にし、空気調和システムの性能を有効的に向上させることができ、空気調和機がエネルギ消費効率の一番優れた状態に達するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の上記及び/又は付加的な特徴と利点は、下記図面に合わせて実施形態を説明することにより、明らかになり、理解されやすくなる。その中で、
図1】本発明の実施形態に係る空気調和システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る空気調和システムの概略構成図であり、また、空気調和システムが冷房状態である。
図3】本発明の実施形態に係る空気調和システムの概略構成図であり、また、空気調和システムが暖房状態である。
【符号の説明】
【0016】
100 空気調和システム、
110 圧縮機、
111 排気口、
112 気体戻り口、
120 室外熱交換器、
121 第1入口、
122 第1出口、
130 室内熱交換器、
131 第2入口、
132 第2出口、
140 方向切替アセンブリ、
141 第1弁口、
142 第2弁口、
143 第3弁口、
144 第4弁口、
150 第1絞り部品
160 第2絞り部品、
170 気液分離器、
171 第1開口、
172 第2開口、
173 気体出口、
181 貯液器、
182 中圧吸気管
183 低圧吸気管
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。上記実施形態の一例が図面に示すが、同一又は類似する符号は、常に、同一又は類似する部品、或いは、同一又は類似する機能を有する部品を表す。以下に、図面を参照しながら説明される実施形態は例示的なものであり、本発明を解釈するためだけに用いられ、本発明を限定するものと理解してはいけない。
【0018】
本発明の説明において、理解する必要があるのは、「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本発明を便利に又は簡単に説明するために使用されるものであり、指定された装置又は部品が特定の方位にあり、特定の方位において構造され操作されると指示又は暗示するものではないので、本発明に対する限定と理解されるものではない。なお、「第1」、「第2」の用語は目的を説明するためだけに用いられるものであり、比較的な重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解されるものではない。そこで、「第1」、「第2」が限定されている特徴は一つ又はより多くの特徴を含むことを明示又は暗示するものである。本発明の説明において、ほかの説明がない限り、「複数」とは、二つ又は二つ以上のことを意味する。
【0019】
本発明の説明において、なお、明確な規定と限定がない限り、「取り付け」、「互いに接続」、「接続」の用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続も可能である。機械的な接続や、電気的な接続も可能である。直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続することや、二つの部品の内部が連通することも可能である。普通の当業者にとって、具体的な場合によって上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0020】
以下、図1から図3を参照して本発明の実施形態に係る空気調和システム100を説明する。
【0021】
図1から図3に示すように、本発明の実施形態に係る空気調和システム100は、圧縮機110と、室内熱交換器130と、室外熱交換器120と、方向切替アセンブリ140と、第1絞り部品150と、第2絞り部品160と、気液分離器170と、貯液器181とを備える。
【0022】
具体的には、圧縮機110は、第1シリンダ(図示せず)と、第2シリンダ(図示せず)と、排気口111と、気体戻り口112とを有し、第1シリンダと第2シリンダとによって圧縮された気体は、排気口111から排出され、第1シリンダの排気容積をV1とし、第2シリンダの排気容積をV2とすると、V1とV2とは、V2/V1≦0.1を満たすことができる。
【0023】
図1に示すように、室外熱交換器120は、第1入口121と、第1出口122とを有し、室内熱交換器130は、第2入口131と、第2出口132とを有し、第1出口122が第2入口131に連通される。貯液器181の一端が第4弁口144に連通され、他端が低圧吸気管183を介して気体戻り口112に連通される。方向切替アセンブリ140は、第1弁口141と、第2弁口142と、第3弁口143と、第4弁口144とを有し、そのうち、第1弁口141が排気口111に連通され、第4弁口144が気体戻り口112に連通され、第2弁口142が第1入口121に連通され、第3弁口143が第2出口132に連通されることができる
【0024】
第1絞り部品150及び第2絞り部品160は、室内熱交換器130と室外熱交換器120との間に直列接続されている。気液分離器170は、第1開口171と、第2開口172と、気体出口173とを有し、第1開口171は第1絞り部品150に連通され、第2開口172は第2絞り部品160に連通され、気体出口173は第2シリンダに連通されることができる。気液分離器170は、内部の冷媒をガス冷媒と液体冷媒とに分離し、ガス冷媒は気体出口173から流出し、液体冷媒は第2開口172から流出することができる。なお、試験の検証により、第2シリンダの排気容積と第1シリンダの排気容積との割合を0.1以下にすることにより、空気調和システム100の性能を有効的に向上させ、空気調和機がエネルギ消費効率の一番優れた状態に達するようにすることができる。
【0025】
図2に示すように、空気調和システム100が冷房運転する場合、第1弁口141が第2弁口142に連通され、第3弁口143が第4弁口144に連通されるようになる。貯液器181内の冷媒は、圧縮機110によって第1シリンダと第2シリンダとに吸い込まれ、冷媒は、第1シリンダと第2シリンダとによって圧縮された後、排気口111を介して図2の矢印a1に示す方向に沿って第1弁口141に入る。第1弁口141が第2弁口142に連通され、第2弁口142が第1入口121に連通されているため、冷媒は、図2の矢印a2に示す方向に沿って順次に第2弁口142及び第1入口121を通過して室外熱交換器120に入ることができる。冷媒は、室外熱交換器120内で熱交換された後、第1出口122から図2の矢印a3に示す方向に沿って第1絞り部品150に入り、第1絞り部品150によって流量を絞られた後、図2の矢印a4に示す方向に沿って第1絞り部品150から流出し、さらに第1開口171から気液分離器170に流入する。
【0026】
気液分離器170は、内部の冷媒をガス冷媒と液体冷媒とに分離することができる。ガス冷媒は、気体出口173から流出し、図2の矢印a41に示す方向に沿って中圧吸気管182を介して第2シリンダに入ることができる。液体冷媒は、第2開口172から流出し、図2の矢印a42に示す方向に沿って第2絞り部品160に入ることができる。冷媒は、第2絞り部品160によって流量を絞られた後、図2の矢印a5に示す方向に沿って第2入口131から室内熱交換器130に入る。冷媒は、室内熱交換器130内で熱交換された後、図2の矢印a6に示す方向に沿って室内熱交換器130の第2出口132から流出し、第3弁口143に流入する。第3弁口143が第4弁口144に連通され、第4弁口144が貯液器181に連通されているため、冷媒は、第4弁口144を介して図2の矢印a7に示す方向に沿って貯液器181に流入し、さらに空気戻り112を介して再び圧縮機110に戻ることができる。
【0027】
図3に示すように、空気調和システム100が暖房運転する場合、第1弁口141が第3弁口143に連通され、第2弁口142が第4弁口144に連通されるようになる。貯液器181内の冷媒は、圧縮機110によって第1シリンダと第2シリンダとに吸い込まれ、冷媒は、第1シリンダと第2シリンダとによって圧縮された後、排気口111を介して図3の矢印b1に示す方向に沿って第1弁口141に入る。第1弁口141が第3弁口143に連通され、第3弁口143が第2出口132に連通されているため、冷媒は、図3の矢印b2に示す方向に沿って順次に第3弁口143及び第2出口132を通過して室内熱交換器130に入ることができる。冷媒は、室内熱交換器130内で熱交換された後、第2入口131から図3の矢印b3に示す方向に沿って第2絞り部品160に入り、第2絞り部品160によって流量を絞られた後、図3の矢印b4に示す方向に沿って第2絞り部品160から流出し、さらに気体出口173から気液分離器170に流入する。
【0028】
気液分離器170は、内部の冷媒をガス冷媒と液体冷媒とに分離することができる。ガス冷媒は、第1開口171から流出し、図3の矢印b41に示す方向に沿って中圧吸気管182を介して第2シリンダ内に入ることができる。液体冷媒は、第2開口172から流出し、図3の矢印b42に示す方向に沿って第1絞り部品150に入ることができる。冷媒は、第1絞り部品150によって流量が絞られた後、図3の矢印b5に示す方向に沿って第1出口122から室外熱交換器120に入る。冷媒は、室外熱交換器120内で熱交換された後、図3の矢印b6に示す方向に沿って室外熱交換器120の第1入口121から流出し、さらに第2弁口142に流入する。第2弁口142が第4弁口144に連通され、第4弁口144が貯液器181に連通されているため、冷媒は、第4弁口144を介して図3の矢印b7に示す方向に沿って貯液器181に流入し、さらに気体戻り口112を介して再び圧縮機110に戻ることができる。
【0029】
本発明の実施形態に係る空気調和システム100は、第2シリンダの排気容積と第1シリンダの排気容積との割合を0.1以下にすることにより、空気調和システム100の性能を有効的に向上させ、空気調和機がエネルギ消費効率の一番優れた状態に達しやすくすることできる。
【0030】
本発明の実施例の一つとして、第1シリンダの排気容積をV1とし、第2シリンダの排気容積をV2とすると、V1とV2とが、V2/V1≦0.09を満たすようにしてもよい。試験の検証により、第1シリンダの排気容積V1と第2シリンダの排気容積V2との割合が0.09の範囲内にある場合、空気調和システム100の性能を有効的に向上させ、エネルギ消費効率の一番優れた状態に達しやすくすることができる。さらに、V1とV2とが0.04≦V2/V1≦0.08を満たす場合、空気調和システム100の性能を有効的に向上させ、エネルギ消費効率の一番優れた状態に達しやすくすることができる。
【0031】
本発明の実施例の一つとして、V1とV2とが0.04≦V2/V1≦0.07を満たす場合、空気調和システム100の性能を有効的に向上させ、エネルギ消費効率の一番優れた状態に達しやすくすることができる。本発明の他の実施例として、V1とV2とが0.07<V2/V1≦0.08を満たす場合、空気調和システム100の性能を有効的に向上させ、エネルギ消費効率の一番優れた状態に達しやすくすることができる。
【0032】
本発明の変形例として、圧縮機110がガス冷媒噴射式圧縮機110であってもよい。よって、圧縮機110の性能を向上させ、空気調和システム100の使用性能を満足することができる。本発明の他の変形例として、方向切替アセンブリ140が四方弁であってもよい。よって、空気調和システム100の構造を簡素化し、生産コストを節約することができる。
【0033】
以下、図1から図3を参照して、具体的な実施例を用いて本発明の実施形態に係る空気調和システム100を詳しく説明する。理解すべきことは、下記説明はあくまでも例示的なものであり、本発明を限定するものと理解してはいけない。
【0034】
図1から図3に示すように、圧縮機110はガス冷媒噴射式圧縮機110であり、第1シリンダと、第2シリンダと、排気口111と、気体戻り口112とを有し、第1シリンダと第2シリンダとによって圧縮された気体は、排気口111から排出される。室外熱交換器120は、第1入口121と、第1出口122とを有し、室内熱交換器130は、第2入口131と、第2出口132とを有し、第1出口122が第2入口131に連通される。貯液器181の一端が第4弁口144に連通され、他端が低圧吸気管183を介して気体戻り口112に連通される。
【0035】
方向切替アセンブリ140は四方弁であり、第1弁口141と、第2弁口142と、第3弁口143と、第4弁口144とを有する。そして、第1弁口141が排気口111に連通され、第4弁口144が気体戻り口112に連通され、第2弁口142が第1入口121に連通され、第3弁口143が第2出口132に連通される。
【0036】
室外熱交換器120、第1絞り部品150、気液分離器170、第2絞り部品160及び室内熱交換器130は順次に接続されている。気液分離器170は、第1開口171と、第2開口172と、気体出口173とを有する。第1開口171が第1絞り部品150に連通され、第2開口172が第2絞り部品160に連通され、気体出口173が第2シリンダに連通されることができる。
【0037】
図2に示すように、空気調和システム100が冷房運転をする場合、第1弁口141が第2弁口142に連通され、第3弁口143が第4弁口144に連通されるようになる。貯液器181内の冷媒は、圧縮機110によって第1シリンダと第2シリンダとに吸い込まれ、冷媒は、第1シリンダと第2シリンダとによって圧縮された後、排気口111を介して図2の矢印a1に示す方向に沿って第1弁口141に入る。第1弁口141が第2弁口142に連通され、第2弁口が第1入口121に連通されているため、冷媒は、図2の矢印a2に示す方向に沿って順次に第2弁口142及び第1入口121を通過して室外熱交換器120に入ることができる。冷媒は、室外熱交換器120内で熱交換された後、第1出口122から図2の矢印a3に示す方向に沿って第1絞り部品150に入り、第1絞り部品150によって流量を絞られた後、図2の矢印a4に示す方向に沿って第1絞り部品150から流出し、さらに第1開口171から気液分離器170に流入する。
【0038】
気液分離器170は、内部の冷媒をガス冷媒と液体冷媒とに分離することができる。ガス冷媒は、気体出口173から流出し、図2の矢印a41に示す方向に沿って中圧吸気管182を介して第2シリンダに入ることができる。液体冷媒は、第2開口172から流出し、図2の矢印a42に示す方向に沿って第2絞り部品160に入ることができる。冷媒は、第2絞り部品160によって流量が絞られた後、図2の矢印a5に示す方向に沿って第2入口131から室内熱交換器130に入る。冷媒は、室内熱交換器130内で熱交換された後、図2の矢印a6に示す方向に沿って室内熱交換器130の第2出口132から流出し、さらに第3弁口143に流入する。第3弁口143が第4弁口144に連通され、第4弁口144が貯液器181に連通されているため、冷媒は、第4弁口144を介して図2の矢印a7に示す方向に沿って貯液器181に流入し、さらに気体戻り口112を介して再び圧縮機110に戻ることができる。
【0039】
図3に示すように、空気調和システム100が暖房運転をする場合、第1弁口141が第3弁口143に連通され、第2弁口142が第4弁口144に連通されるようになる。貯液器181内の冷媒は、圧縮機110によって第1シリンダと第2シリンダとに吸い込まれ、冷媒は、第1シリンダと第2シリンダとによって圧縮された後、排気口111を介して図3の矢印b1に示す方向に沿って第1弁口141に入る。第1弁口141が第3弁口143に連通され、第3弁口143が第2出口132に連通されているため、冷媒は、図3の矢印b2に示す方向に沿って順次に第3弁口143及び第2出口132を通過して室内熱交換器130に入ることができる。冷媒は、室内熱交換器130内で熱交換された後、第2入口131から図3の矢印b3に示す方向に沿って第2絞り部品160に入り、第2絞り部品160によって流量を絞られた後、図3の矢印b4に示す方向に沿って第2絞り部品160から流出し、さらに気体出口173から気液分離器170に流入する。
【0040】
気液分離器170は、内部の冷媒をガス冷媒と液体冷媒とに分離することができる。ガス冷媒は、第1開口171から流出し、図3の矢印b41に示す方向に沿って中圧吸気管182を介して第2シリンダに入ることができる。液体冷媒は、第2開口172から流出し、図3の矢印b42に示す方向に沿って第1絞り部品150に入ることができる。冷媒は、第1絞り部品150によって流量が絞られた後、図3の矢印b5に示す方向に沿って第1出口122から室外熱交換器120に入る。冷媒は、室外熱交換器120内で熱交換された後、図3の矢印b6に示す方向に沿って室外熱交換器120の第1入口121から流出し、さらに第2弁口142に流入する。第2弁口142が第4弁口144に連通され、第4弁口144が貯液器181に連通されているため、冷媒は、第4弁口144を介して図3の矢印b7に示す方向に沿って貯液器181に流入し、さらに気体戻り口112を介して再び圧縮機110に戻ることができる。
【0041】
以下、中国国内のAPF基準におけるAPF三級及びAPF一級条件を採用する空気調和システムについて理論計算をする。そのうち、凝縮温度をTc、蒸発温度をTe、凝縮器の出口温度をTco、吸気温度をTsとする。中国国内APF三級及びAPF一級条件での凝縮温度、蒸発温度、凝縮器の出口温度、吸気温度の値について、以下のパラメータを参考にすることができる。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
冷媒R410Aを例とし、本発明の実施形態に係る空気調和システム100の計算結果は以下の通りである。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
計算結果によると、第2シリンダの排気容積V2と第1シリンダの排気容積V1との割合が10%以下である場合、空気調和システム100は性能の一番優れた状態に達しやすい。
【0048】
本発明の実施形態に係る空気調和機は、上記空気調和システム100を備える。
【0049】
本発明の実施形態に係る空気調和機は、上記空気調和システム100を設けることにより、第2シリンダの排気容積V2と第1シリンダの排気容積V1との割合を0.1以下にし、空気調和システム100の性能を有効的に向上させ、空気調和機がエネルギ消費効率の一番優れた状態に達するようにすることができる。
【0050】
本発明の説明において、「実施例の一つ」、「変形例」、「例示的な実施例」、「一例」、「具体的な例」、或いは「他の例」などの用語を参考した説明とは、該実施形態又は例に合わせて説明された具体的な特徴、構成、材料又は特徴が、本発明の少なくとも一つの実施形態或いは例に含まれることである。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施形態或いは例を示すことではない。また、説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特徴は、いずれか一つ或いは複数の実施形態又は例において適切な方式で結合することができる。
【0051】
本発明の実施形態を示して説明したが、当業者が理解することができるのは、本発明の原理及び主旨から逸脱しない場合、これらの実施形態に対して各種の変化、修正、切り替え及び変形を行うことができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその等価物により限定される。

図1
図2
図3