(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441495
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】磁気トンネル接合の磁気電極を形成する方法および磁気トンネル接合を形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 43/12 20060101AFI20181210BHJP
H01L 21/8239 20060101ALI20181210BHJP
H01L 27/105 20060101ALI20181210BHJP
H01L 43/08 20060101ALI20181210BHJP
H01L 43/10 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
H01L43/12
H01L27/105 447
H01L43/08 M
H01L43/08 Z
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-544890(P2017-544890)
(86)(22)【出願日】2016年2月16日
(65)【公表番号】特表2018-517272(P2018-517272A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】US2016018045
(87)【国際公開番号】WO2016167869
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2017年10月16日
(31)【優先権主張番号】14/687,317
(32)【優先日】2015年4月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595168543
【氏名又は名称】マイクロン テクノロジー, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100106851
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 泰久
(72)【発明者】
【氏名】シディック,マンザール
(72)【発明者】
【氏名】クラ,ヴィトルド
(72)【発明者】
【氏名】サンデュ,ガーテ エス.
【審査官】
小山 満
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−124185(JP,A)
【文献】
特開2010−080650(JP,A)
【文献】
特開2013−247259(JP,A)
【文献】
特表2014−513866(JP,A)
【文献】
特開2012−221549(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/041890(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 43/12
H01L 21/8239
H01L 27/105
H01L 43/08
H01L 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気トンネル接合の磁気電極を形成する方法であって、
形成される前記磁気電極の導電性材料の上に非磁気MgO含有材料を形成することと、
前記MgO含有材料の上に非晶質金属を形成することと、
前記非晶質金属の上に、CoおよびFeを含む非晶質磁気電極材料を形成することであって、前記非晶質磁気電極材料には、Bがない、ことと、
前記非晶質磁気電極材料に直接隣接して、MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料を形成することであって、前記トンネル絶縁体材料には、Bがない、ことと、
前記トンネル絶縁体材料を形成した後、少なくとも約250℃の温度で、前記CoおよびFeを含む非晶質磁気電極材料をアニールし、前記トンネル絶縁体材料のMgO含有表面からCoおよびFeを含む結晶質磁気電極材料を形成することであって、前記CoおよびFeを含む結晶質磁気電極材料には、Bがない、ことと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記導電性材料の上に、Co、FeおよびBを含む材料を形成することと、前記Co、FeおよびBを含む材料の上に前記MgO含有材料を形成することと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非晶質金属は、W合金を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記非晶質金属は、Fe、Coおよび別の遷移金属を含む合金を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非晶質金属は、Hf、ZrおよびTaのうちの少なくとも一つと、Fe、CoおよびNiのうちの少なくとも一つとの合金を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記非晶質磁気電極材料の前記CoおよびFeは、前記非晶質金属に直接接触して形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記非晶質磁気電極材料は、0℃から約30℃の温度で形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記非晶質磁気電極材料は、少なくとも約20℃の温度で形成される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記非晶質磁気電極材料は、約−250℃から0℃未満の温度で形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記非晶質磁気電極材料は、約−250℃から約−20℃の温度で形成される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記非晶質金属は、約3オングストロームから約5オングストロームの最大の厚さを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記CoおよびFeを含む結晶質磁気電極材料は、約7オングストロームから約15オングストロームの最大の厚さを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の前記方法を用いて生成される前記磁気電極を組み込む磁気トンネル接合。
【請求項14】
磁気トンネル接合の磁気電極を形成する方法であって、
基板の上に非晶質金属を形成することと、
約−250℃から約30℃の温度で、前記非晶質金属の上に、CoおよびFeを含む非晶質磁気電極材料を形成することであって、前記非晶質磁気電極材料には、Bがない、ことと、
前記非晶質磁気電極材料に直接接触する、MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料を形成することであって、前記トンネル絶縁体材料には、Bがない、ことと、
前記トンネル絶縁体材料を形成した後、少なくとも約250℃の温度で前記CoおよびFeを含む非晶質磁気電極材料をアニールし、前記トンネル絶縁体材料のMgO含有表面からCoおよびFeを含む結晶質磁気電極材料を形成することであって、前記CoおよびFeを含む結晶質磁気電極材料には、Bがない、ことと、
を含む、
方法。
【請求項15】
磁気トンネル接合を形成する方法であって、
基板の上に内部磁気電極材料を形成することと、
前記内部磁気電極材料の上にMgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料を形成することであって、前記トンネル絶縁体材料にはBがない、ことと、
前記トンネル絶縁体材料を形成した後、少なくとも約250℃の温度で前記トンネル絶縁体材料をアニールすることと、
前記アニールした後、前記アニールされたトンネル絶縁体材料のMgO含有表面から、少なくとも約150℃の温度で外部結晶質磁気電極材料を形成することであって、前記外部結晶質磁気電極材料は、CoおよびFeを含み、Bがない、ことと、
を含む、
方法。
【請求項16】
基板の上に内部磁気電極材料を形成することと、
前記内部磁気電極材料の上にMgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料を形成することであって、前記トンネル絶縁体材料には、Bがない、ことと、
前記トンネル絶縁体材料を形成した後、少なくとも約250℃の温度で前記トンネル絶縁体材料をアニールすることと、
前記トンネル絶縁体材料を前記アニールした後、前記アニールされたトンネル絶縁体材料に直接接触して、約−250℃から0℃未満の温度で外部非晶質磁気電極材料を形成することであって、CoおよびFeを含む前記外部非晶質磁気電極材料は、前記アニールされたトンネル絶縁体材料に直接接触し、Bがない、ことと、
少なくとも約250℃の温度で前記CoおよびFeを含む外部非晶質磁気電極材料をアニールして、前記アニールされたトンネル絶縁体材料のMgO含有表面からCoおよびFeを含む外部結晶質磁気電極材料を形成することであって、前記CoおよびFeを含む外部結晶質磁気電極材料には、Bがない、ことと、
を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される実施形態は、磁気トンネル接合と、磁気トンネル接合の磁気電極を形成する方法と、磁気トンネル接合を形成する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気トンネル接合は、薄い非磁気トンネル絶縁体材料(例えば、誘電体材料)によって分離された二つの導電性磁気電極を有する集積回路コンポーネントである。適切な条件下で絶縁体材料を介して、ある磁気電極から他の磁気電極に電子がトンネルすることができるように、絶縁体材料は、十分に薄い。磁気電極のうちの少なくとも一つは、通常の動作書き込み電流/電圧または動作消去電流/電圧において、二つの状態間でその全体の磁化方向をスイッチングさせることができ、“自由”電極または“記録”電極と一般に呼ばれる。他の磁気電極は、“基準”、“固定”または“ピン留”電極と一般に呼ばれ、その全体の磁化方向は、通常の動作書き込み電流/電圧または消去電流/電圧の印加でスイッチングしないだろう。基準電極および記録電極は、其々の導電性ノードに電気的に結合される。基準電極、絶縁体材料および記録電極を通る二つのノード間の電流の抵抗は、基準電極の全体の磁化方向に対する、記録電極の全体の磁化方向に依存する。したがって、磁気トンネル接合は、少なくとも二つの状態のうちの一つにプログラムされることができ、その状態は、磁気トンネル接合を通る電流を測定することによって検知されることができる。磁気トンネル接合は、二つの電流導通状態間で“プログラムされる”ことができるため、メモリ集積回路での利用のために提案されてきた。したがって、磁気トンネル接合は、メモリとは別に、または、メモリに加えて、論理回路または他の回路で用いられることができる。
【0003】
記録電極の全体の磁化方向は、電流誘発外部磁界によって、または、スピントランスファートルク(STT)効果をもたらすスピン分極電流を用いることによって、スイッチングされることができる。電荷キャリア(電子など)は、キャリアに固有の少量の角運動量である、“スピン”として知られる特性を有する。電流は、通常は分極されていない(約50%の“スピンアップ”電子と約50%の“スピンダウン”電子とを有する)。スピン分極電流は、どちらかのスピンの電子を非常に多く有する電流である。ある磁気材料(ポラライザ材料と、時に呼ばれることもある)に電流を通すことによって、スピン分極電流を生成することができる。スピン分極電流が磁気材料内に方向づけられると、スピン角運動量は、その材料に伝達されることがあり、それによって、その磁化配向に影響を及ぼす。これは、振動を励起するため、または、スピン分極電流が十分な大きさを有する場合、磁気材料の配向/ドメイン方向を反転(即ち、スイッチング)するためにも用いられることができる。
【0004】
CoおよびFeの合金または他の混合物は、ポラライザ材料として、および/または磁気トンネル接合内の記録電極の磁気記録材料の少なくとも一部として用いるために提案される一般的な材料の一つである。より具体的な一例は、Co
xFe
yB
zであり、ここで、xおよびyは各々10−80であり、zは0−50であり、CoFeまたはCoFeBと略されることがある。MgOは、非磁気トンネル絶縁体として理想的な材料である。理想的には、このような材料は、各々、体心立方(bcc)001格子を有する結晶質である。このような材料は、任意の適切な技術を用いて、例えば、物理蒸着によって堆積されることができる。このような材料内にbcc001格子を最終的に生成するために有用な一技術は、CoFeを非晶質であるようにまず形成することを含み、その上にはMgO含有トンネル絶縁体材料が堆積される。堆積中および/または堆積後に、MgOトンネル絶縁体、CoFe、およびトンネル絶縁体は、均一なbcc001格子構造を理想的には個々に達成する。
【0005】
ホウ素は、CoFeの一部として通常堆積され、CoFeの最初の非晶質堆積を確かなものにする、または生じる。CoFeの結晶化は、少なくとも約350℃の温度で、基板をアニールすることによって、MgOの堆積中、または堆積後に生じることができる。このことによって、形成されるCoFeマトリクス外へのB原子の拡散が誘発され、bcc001CoFeの結晶化が可能となる。bcc001MgOは、CoFeの結晶化中のテンプレートとして機能する。しかしながら、完成した磁気トンネル接合構造内におけるBは、具体的にはCoFe/MgO界面において、またはMgO格子内部で、磁気トンネル接合のトンネル磁気抵抗(TMR)を不必要に減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】本発明の一実施形態による、磁気トンネル接合の製造における処理中の基板断片の概略断面図である。
【
図4】
図3によって示された処理ステップの後の処理ステップにおける
図3の基板断片の図である。
【
図5】
図4によって示された処理ステップの後の処理ステップにおける
図4の基板断片の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態は、磁気トンネル接合の磁気電極を形成する方法と、磁気トンネル接合を形成する方法とを含む。したがって、本発明の実施形態は、製造方法とは関係なく、磁気トンネル接合を含む。本発明の幾つかの実施形態による例示的方法は、基板断片10について、
図1を参照して最初に記述され、基板断片10は、半導体基板を含むことができる。本文書の文脈においては、“半導体基板”または“半導電性基板”という語は、限定されることはないが、半導電性ウェーハ(単独もしくは他の材料をその上に含むアセンブリのいずれか)および半導電性材料層(単独もしくは他の材料を含むアセンブリのいずれか)などのバルク半導電性材料を含む半導電性材料を含む任意の構造を意味するように定義される。“基板”という語は、限定されることはないが、上述された半導電性基板を含む任意の支持構造を指す。基板断片10は、ベースまたは基板11を含み、その上には高さ方向の積層として様々な材料が形成されている。材料は、
図1に示された材料からずれたり、高さ方向の内部、または高さ方向の外部にあることができる。例えば、部分的にまたは全体的に製造された、集積回路の他のコンポーネントは、断片10の周囲または断片10内の何処かに設けることができる。基板11は、(複数の)導電性(即ち、本明細書では電気的に導電性)材料、半導電性材料または、絶縁性/絶縁体(即ち、本明細書では電気的に絶縁性)材料のうちの任意の一つ以上を含むことができる。それとは関係なく、本明細書に記述される材料、領域および構造はいずれも、均質であってもよいし、均質でなくてもよく、それとは関係なく、これらが上を覆う任意の材料の上で連続的であってもよいし、不連続であってもよい。さらに、他に示されない限りは、各材料は、任意の適切な技術または未開発の技術を用いて形成されることができ、その技術の例は、原子層堆積、化学蒸着、物理蒸着、エピタキシャル成長、拡散ドーピングおよびイオン注入である。
【0008】
形成される磁気(即ち、本明細書では、フェリ磁性または強磁性)電極材料の導電性材料12は、基板11の上に形成される。一つ以上の元素金属、二つ以上の元素金属の合金、導電性を有するようにドープされた半導電性材料および導電性金属化合物などの、任意の導電性材料が、用いられることができる。一実施形態においては、導電性材料12は、磁気を帯びていない。材料12の1つの具体例は、元素タンタルである。導電性材料12に対する例示的な最大の厚さは、約5オングストロームから約500オングストロームである。本文書においては、“厚さ”とは、それ自体(先行する方向を示す形容詞がないと)、異なる組成物の直接隣接する材料、または直接隣接する領域の最も近い表面から垂直に、所定の材料または領域を通る平均直線距離として定義される。さらに、本明細書に記述される様々な材料または領域は、実質的に一定の厚さであってもよいし、または様々な厚さであってもよい。様々な厚さの場合には、厚さとは、他に示されない限りは平均の厚さを指す。本明細書で用いられるように、“異なる組成物” に必要とされるのは、例えば、相互に直接接触し得る二つの言及された材料又は領域が均質ではない場合に、当該材料又は領域の該当部分が化学的および/または物理的に異なることのみである。二つの言及された材料または領域が相互に直接接触していない場合には、“異なる組成物”に必要とされるのは、相互に最も近接する二つの言及された材料又は領域が均質ではない場合に、当該材料又は領域の該当部分が化学的および/または物理的に異なることのみである。本文書においては、言及された材料、領域または構造が相互に対して少なくとも幾らかの物理的接触が存在する場合には、材料、領域または構造は、別の材料、領域または構造に“直接接触している(directly against)”ものとされる。対照的に、“直接(directly)”が先行していない“上(over)”、“上(on)”、および“接触して(against)”は、“直接接触している”とともに、(複数の)中間材料、(複数の)中間領域、または(複数の)中間構造が介在することによって、言及された材料、領域、または構造の相互に対する物理的接触がない場合を包含する。
【0009】
Co、FeおよびBを含む材料14は、導電性材料12の上に形成される。一実施形態においては、材料14は、CoおよびFeの合金を含み、非晶質Co
40Fe
40B
20がその一例である。本文書で用いられる場合、材料または領域を“非晶質”であると特徴づける場合には、言及された材料の少なくとも90%の体積が非晶質であることを必要とする。用いられる場合の材料14に対する例示的な最大の厚さは、約2オングストロームから約6オングストロームである。
【0010】
非磁気MgO含有材料16は、(材料14の存在とは関係なく)導電性材料12の上に形成される。材料16は、MgOを含むか、MgOで実質的に構成されるか、MgOで構成されてもよい。MgO含有材料16に対する例示的な最大の厚さは、約3オングストロームから約10オングストロームである。材料14を含む目的は、その堆積中に、bcc001MgOを形成することを容易にすることである。材料16を含む目的は、形成される導電性磁気電極の磁気材料内の垂直方向の磁気異方性を容易にすることであり、それは、幾つかの磁気トンネル接合の望ましい動作上の特性である。
【0011】
非晶質金属18は、MgO含有材料16の上に形成され、一実施形態においては、示されるように、MgO含有材料16に直接接触して形成される。一実施形態においては、非晶質金属18は、遷移金属の合金を含み、一実施形態においては、遷移金属の合金で実質的に構成されるか、または遷移金属の合金で構成される。一実施形態においては、非晶質金属18は、Fe、Coおよび別の遷移金属を含む合金を含む。一実施形態においては、非晶質金属18は、Hf、Zr、W、Mo、Al、CrおよびTaのうちの少なくとも一つと、Fe、CoおよびNiのうちの少なくとも一つとの合金を含む。一実施形態においては、非晶質金属18は、W合金、例えば、Wと、Fe、CoおよびNiのうちの任意の一つ以上との合金を含む。一実施形態においては、非晶質金属18は、約3オングストロームから約5オングストロームの最大の厚さを有する。
【0012】
CoおよびFeを含む非晶質磁気電極材料20は、非晶質金属18の上に、一実施形態においては、非晶質金属18に直接接触して形成される。非晶質磁気電極材料20には、Bがない。本文書においては、“Bがない”とは、0原子%のBから0.1原子%以下のBを意味する。本明細書で“磁気を有すること”という場合、言及された磁気材料または領域が最初に形成されるときに磁気を有することを必要としないが、磁気トンネル接合の完成した回路構造においては、言及された磁気材料または領域の、ある部分が機能的に“磁気を有する”ことを必要とする。一実施形態においては、非晶質磁気電極材料20のCoおよびFeは、非晶質金属18に直接接触して形成される。一実施形態においては、非晶質磁気電極材料20は、0℃から約30℃の温度で形成され、このような一実施形態においては、少なくとも約20℃の温度で形成される。一実施形態においては、非晶質磁気電極材料20は、約−250℃から0℃未満の温度で形成され、このような一実施形態においては、約−250℃から約−20℃の温度で形成される。30℃未満、理想的には0℃未満での電極材料20の形成は、電極材料20にBがなく、非晶質金属18が存在するときに、電極材料20の非晶質での形成を容易にする。材料20に対する例示的な最大の厚さは、約7オングストロームから約15オングストロームである。
【0013】
MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料22は、非晶質磁気電極材料20に直接接触して形成される。トンネル絶縁体材料22には、Bがない。非磁気トンネル絶縁体材料22は、MgOを含むか、MgOで実質的に構成されるか、MgOで構成されてもよい。トンネル絶縁体材料22に対する例示的な最大の厚さは、約5オングストロームから約25オングストロームである。
【0014】
材料12、14、16、18および20は、形成される磁気トンネル接合の導電性磁気電極25を最終的に形成するために、まとめて用いられるだろう。材料24は、トンネル絶縁体材料22の外側に、一実施形態においては材料22に直接接触して、形成された状態で示されており、形成される磁気トンネル接合の別の導電性磁気電極27を形成するうえで最終的に利用されるだろう。電極25および27のうちの一方は、磁気記録材料を含むように構成されるが、電極25および27のうちの他方は、磁気基準材料を含むように構成されるだろう。電極25および27は、非磁気絶縁体材料もしくは領域、半導電性材料もしくは領域、および/または導電性材料もしくは領域を個々に含むことができる。しかしながら、個々に考えると、電極25および27は、本来局所的に非磁気および/または非導電性である一つ以上の領域をその中に有し得るとしても、全体としてはまとめて、磁気および導電性であるものとして特徴づけられる。電極27に対する例示的な最大の厚さは、約20オングストロームから約150オングストロームである。ほんの一例として、材料24は、トンネル絶縁体材料22に直接接触して13オングストロームのCo
40Fe
40B
20を含み、Co
40Fe
40B
20に直接接触して3オングストロームのTaを含み、Taに直接接触する、40オングストロームの、CoとPd/Ptの合金/複数層と、を含み、電極27は、このような例においては、磁気基準電極として機能する。このような材料は、このような例においては、その磁気基準材料を集合的に構成する。このような例における電極25は、磁気記録電極として機能し、例えば、材料20は結晶化の際に磁気記録材料として最終的に機能する。
【0015】
トンネル絶縁体材料22の形成後、非晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料20は、少なくとも約250℃の温度で(例えば、不活性雰囲気中で)アニールされ、トンネル絶縁体材料22のMgO含有表面から(例えば、表面23から)、結晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料20を形成する。結晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料20には、Bがない。アニール用の例示的な望ましい上限温度は、450℃である。本文書において用いられるとき、材料または領域を“結晶質”であると特徴づける場合には、言及された材料または領域の少なくとも90%の体積が結晶質であることが必要とされる。一実施形態においては、結晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料20は、約7オングストロームから約15オングストロームの最大の厚さを有する。
【0016】
材料12、14、16、18、20、22および24は、形成される磁気トンネル接合の所望の完成回路構造を形成するために、基板11の上にブランケット形成され、その後、まとめてパターン化されることができる。あるいは、このような一つ以上の材料のパターン化は、それら材料のいずれかが基板11の上に形成される前、形成中、もしくは形成後に、および/または、任意のアニール前、アニール中もしくはアニール後に起こり得る。それとは関係なく、一実施形態においては、導電性磁気電極25は、磁気記録材料(例えば、結晶質のCoおよびFe含有材料20)を含み、導電性磁気電極27は、磁気基準材料を含む。追加的または代替的に考えると、電極25および27の高さ方向の位置は、逆であってもよく、および/または高さ方向の積層以外の方向づけ(例えば、側方向、斜め方向、そして、高さ方向、水平方向、斜め方向の一つ以上の組み合わせなど)が用いられてもよい。本文書においては、“高さ方向(elevational)”“上(upper)”“下(lower)”“上部(top)”“底部(bottom)”は、垂直方向を基準とする。“水平方向(horizontal)”とは、基板が製造中に処理される面に対して、主表面にほぼ沿った方向を指し、垂直方向とは、それに対してほぼ直交する方向である。さらに、本明細書で用いられる場合、“垂直方向”および“水平方向”とは、三次元空間において、相互に対して、ほぼ垂直な方向であって、基板の方向づけとは関係しない。
【0017】
次に、磁気トンネル接合の磁気電極を形成する別の例示的方法が、基板断片10aについて、
図2を参照して記述される。上記の実施形態と類似の参照番号は、適切な場合用いられ、幾つかの構造的差異は、添え字“a”で示される。非晶質金属18aは、(導電性材料12または他の材料の存在とは関係なく)基板11の上に形成される。一実施形態においては、示されるように、非晶質金属18aは、形成される磁気電極25aの他の物理的および/または化学的に異なる導電性材料12と直接接触して形成される。一実施形態においては、非晶質金属18aは、約10オングストロームから約100オングストロームの最大の厚さを有する。
【0018】
CoおよびFeを含む(Bがない)非晶質磁気電極材料20は、約−250℃から約30℃の温度で非晶質金属18aの上に形成される。一実施形態においては、非晶質磁気電極材料20aは、0℃から約30℃の温度で形成される。一実施形態においては、非晶質磁気電極材料20は、約−250℃から約0℃未満までの温度で形成され、一実施形態においては、約−20℃未満までの温度で形成される。
【0019】
MgOを含む(Bがない)非磁気トンネル絶縁体材料22は、非晶質磁気電極材料20に直接接触して形成される。トンネル絶縁体材料22を形成した後、非晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料20は、少なくとも約250℃の温度でアニールされ、トンネル絶縁体材料22のMgO含有表面から(例えば、表面23から)結晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料20(Bがない)を形成する。上述された、および/または
図1に示されたような任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様は、
図2の実施形態で用いられることができる。
【0020】
次に、本発明の幾つかの実施形態により磁気トンネル接合を形成する方法が、基板断片10bについて、
図3を参照して最初に記述される。上述された実施形態と類似の参照番号が適切な場合に用いられ、幾つかの構造的差異は、添え字“b”または異なる参照番号で示される。内部磁気電極材料25bが、基板11の上に形成される。電極25bは、上述された実施形態におけるような材料12、14、16、18/18aおよび20(図示せず)、ならびに/または、追加の、もしくは他の(複数の)材料のうちの任意の一つ以上を含むことができ、上述されたか、または他の(複数の)プロセスのうちの任意のプロセスを用いて形成されることができる。MgOを含む(Bがない)非磁気トンネル絶縁体材料22は、内部磁気電極材料25bの上に形成される。
【0021】
トンネル絶縁体材料22を形成した後、トンネル絶縁体材料22は、少なくとも約250℃の温度で、一実施形態においては、約300℃から約550℃の温度でアニールされる。これは、トンネル絶縁体材料22のMgOの結晶化を誘発するため、および/またはbcc001格子配向などの、所望の均一な結晶をその中に生成するために、実施されることができる。
【0022】
図4を参照すると、アニールした後、一実施形態においては、外部結晶質磁気電極材料30が、アニールされたトンネル絶縁体材料22のMgO含有表面から(例えば、表面29から)少なくとも約150℃(一実施形態においては、約250未満)の温度で形成される。外部結晶質磁気電極材料30は、CoとFeとを含み、Bがない。上述されたCoおよびFe含有材料(Bがない)のうちの任意の材料が用いられることができる。
【0023】
別の一実施形態においては、トンネル絶縁体材料22をアニールした後、外部非晶質磁気電極材料30は、アニールされたトンネル絶縁体材料22に直接接触して、約−250℃から約0℃未満の温度で形成される。このような外部非晶質磁気電極材料30は、CoとFeとを含み、Bがない。それは、アニールされたトンネル絶縁体材料22のMgO含有表面から(例えば、表面29から)CoおよびFe含有の外部結晶質磁気電極材料30(Bがない)を形成するために、少なくとも約250℃の温度でその後アニールされる。一実施形態においては、外部非晶質磁気電極材料30のCoおよびFeは、約−20℃以下の温度で、アニールされたトンネル絶縁体材料22に直接接触して形成される。一実施形態においては、外部結晶質磁気電極材料30を形成するためのアニールは、少なくとも約300℃の温度で、一実施形態においては、約400℃以下の温度で、実施される。
【0024】
図5を参照すると、追加材料24bは、導電性磁気電極27bの一部を含むように、外部結晶質磁気電極材料30の上に堆積される。一実施形態においては、外部結晶質磁気電極材料30は、約5オングストロームから約15オングストロームの最大の厚さを有する。上述されたおよび/または
図1および
図2に示された任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様は、
図3−
図5の実施形態で用いられることができる。
【0025】
本発明の実施形態は、上記の記述のいずれかにより製造された磁気トンネル接合の磁気電極を含む。本発明の実施形態は、また、上記の記述のいずれかにより製造された磁気トンネル接合も含む。
【0026】
さらに、本発明の実施形態は、製造する方法、及びそのように進めて結論付ける議論とは関係なく、磁気トンネル接合を含む。このような実施形態は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極と、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む第二の導電性磁気電極とを含む。上述された例示的な電極25、25a、25b、27および27bは、このような第一の電極または第二の電極を含むことができる。代替的または追加的に考えると、磁気トンネル接合が材料の積層として製造されると、高さ方向の外部電極または高さ方向の内部電極のいずれかが磁気記録材料または磁気基準材料を含むことができる。それとは関係なく、MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料(例えば、トンネル絶縁体材料22)は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体には、Bがない。一実施形態においては、非磁気トンネル絶縁体材料は、約20オングストローム以下の最大の厚さを有する。
【0027】
一実施形態においては、磁気記録材料と磁気基準材料とのうちの少なくとも一つは、CoおよびFeを含んだ、Bがない結晶質磁気領域を含み、このような領域は、約30オングストローム以下の最大の厚さを有し、一実施形態においては、約20オングストローム以下、一実施形態においては、約15オングストローム以下の最大の厚さを有する。このような結晶質磁気領域のCoおよびFeは、トンネル絶縁体のMgOに直接接触している。例として、コンポーネント20および/または30(Bがない場合)は、電極25/25a/25bまたは電極27/27bのうちの一つの一部である磁気記録材料または磁気基準材料の結晶質磁気領域を含むことができる。一実施形態においては、磁気記録材料および磁気基準材料の双方は、CoおよびFeを含んだ、Bがなく、トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触し、約30オングストローム以下の最大の厚さを有する結晶質磁気領域を有する。上述されたおよび/または図面に示されたような他の任意の(複数の)属性または(複数の)態様が用いられることができる。
【0028】
一実施形態においては、MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料は、約20オングストローム以下の最大の厚さを有する。第一の電極および第二の電極の磁気記録材料および磁気基準材料は、このような結晶質磁気領域のCoおよびFeがトンネル絶縁体材料のMgOと直接接触するか否かとは関係なく、CoおよびFeを含んだ、Bがなく、約30オングストローム以下の最大の厚さを有する其々の結晶質磁気領域を各々含む。一実施形態においては、Bがない、CoおよびFe含有結晶質磁気領域は、約20オングストローム以下の最大の厚さを其々有し、一実施形態においては、約15オングストローム以下の最大の厚さを有する。一実施形態においては、第二の電極のBがないCoおよびFe含有の結晶質磁気領域は、第一の電極の最大の厚さよりも大きい最大の厚さを有する。上述されたおよび/または図面に示された任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様が用いられることができる。
【0029】
一実施形態においては、第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つの磁気記録材料または磁気基準材料は、CoおよびFeを含んだ、Bがない結晶質磁気領域(例えば、材料20)を含む。このような一実施形態においては、このような領域は、約20オングストローム以下の最大の厚さを有する。第一の電極および第二の電極のうちのこのような少なくとも一つは、また、非磁気MgO含有領域(例えば、材料16)および非晶質金属領域(例えば、材料18)も含む。BがないCoおよびFe含有磁気領域(例えば、材料20)は、トンネル絶縁体材料(例えば、材料22)と、MgO含有領域(例えば、材料16)との間にある。非晶質金属領域(例えば、材料18)は、MgO含有領域(例えば、材料16)と、BがないCoおよびFe含有磁気領域(材料20)との間にある。このような一実施形態においては、MgO含有領域は、約3オングストロームから約10オングストロームの最大の厚さを有する。一実施形態においては、非晶質金属領域は、約3オングストロームから約5オングストロームの最大の厚さを有する。一実施形態においては、結晶質磁気領域のCoおよびFeは、トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触し、一実施形態においては、非晶質金属領域と直接接触する。一実施形態においては、非晶質金属領域は、MgO含有領域のMgOと直接接触する。一実施形態においては、第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つは、Co、FeおよびBを含む別の領域(例えば、材料14)を含む。一実施形態においては、別の領域は、約10オングストローム未満の最大の厚さを有する。一実施形態においては、別の領域のCo、FeおよびBは、MgO含有領域のMgOと直接接触する。上述されたおよび/または図面に示された任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様が用いられることができる。
【0030】
一実施形態においては、第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つの磁気記録材料または磁気基準材料は、CoおよびFeを含み、Bがない結晶質磁気領域(例えば、Bがないときの材料20または材料30)を含む。このような、第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つは、導電性材料(例えば、材料12)と、導電性材料とは異なる非晶質金属領域(例えば、材料18/18a)とを含む。BがないCoおよびFe含有結晶質磁気領域(例えば、材料20)は、トンネル絶縁体材料(例えば、材料22)と導電性材料(例えば、材料12)との間にある。非晶質金属領域(例えば、材料18/18a)は、導電性材料(例えば、材料12)と、BがないCoおよびFe含有結晶質磁気領域(例えば、材料20)との間にある。一実施形態においては、結晶質磁気領域のCoおよびFeは、非晶質金属領域に直接接触し、一実施形態においては、トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触する。一実施形態においては、非晶質金属領域は、導電性材料に直接接触し、一実施形態においては、約10オングストロームから約100オングストロームの最大の厚さを有する。一実施形態においては、結晶質磁気領域は、約7オングストロームから約15オングストロームの最大の厚さを有する。上述されたおよび/または図面に示された任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様が用いられることができる。
【0031】
一実施形態においては、第一の電極および第二の電極の磁気記録材料および磁気基準材料は、トンネル絶縁体材料(例えば、材料20および材料30)のMgOと直接接触する其々の結晶質磁気領域を含む。第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つの結晶質磁気領域は、CoおよびFeを含み、Bがない。BがないCoおよびFe含有結晶質磁気領域を含む、このような、第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つは、導電性材料(例えば、材料12)と、導電性材料とは異なる非晶質金属領域(例えば、材料18/18a)とを含む。BがないCoおよびFe含有結晶質磁気領域(例えば、材料20)は、トンネル絶縁体材料(例えば、材料22)と導電性材料(例えば、材料12)との間にあって、約30オングストローム以下の最大の厚さを有する。非晶質金属領域(例えば、材料18/18a)は、導電性材料(例えば、材料12)と、BがないCoおよびFe含有結晶質磁気領域(例えば、材料20)との間にあって、約100オングストローム以下の最大の厚さを有する。上述されたおよび/または図面に示された任意の他の(複数の)属性または(複数の)態様が用いられることができる。
【0032】
製造の方法とは関係のない、上述された磁気トンネル接合構造の実施形態の各々は、方法の実施形態を参照して示され、および/または上述された構造的特徴または属性のうちの任意のものを組み込むことができ、無論、このような方法の実施形態のうちの任意の(複数の)態様または(複数の)属性を用いて製造されることができる。
【0033】
図1−
図4の例示的実施形態は、単一の磁気トンネル接合(SMTJ)を示す。しかしながら、デュアル磁気トンネル接合(DMTJ)またはデュアル(2つ)より多い磁気トンネル接合が考えられる。
【0034】
[結論]
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合の磁気電極を形成する方法は、形成される磁気電極の導電性材料の上に、非磁気MgO含有材料を形成することを含む。非晶質金属は、MgO含有材料の上に形成される。CoおよびFeを含む非晶質磁気電極材料は、非晶質金属の上に形成される。非晶質磁気電極材料には、Bがない。MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料は、非晶質磁気電極材料に直接接触して形成される。トンネル絶縁体材料には、Bがない。トンネル絶縁体材料を形成した後、非晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料は、少なくとも約250℃の温度でアニールされ、トンネル絶縁体材料のMgO含有表面から、結晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料を形成する。結晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料には、Bがない。
【0035】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合の磁気電極を形成する方法は、基板の上に非晶質金属を形成することを含む。CoおよびFeを含む非晶質磁気電極材料は、約−250℃から約30℃の温度で非晶質金属の上に形成される。非晶質磁気電極材料には、Bがない。MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料は、非晶質磁気電極材料に直接接触して形成される。トンネル絶縁体材料には、Bがない。トンネル絶縁体材料を形成した後、非晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料は、少なくとも約250℃の温度でアニールされ、トンネル絶縁体材料のMgO含有表面から、結晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料を形成する。結晶質のCoおよびFe含有磁気電極材料には、Bがない。
【0036】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合を形成する方法は、基板の上に内部磁気電極材料を形成することを含む。MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料は、内部磁気電極材料の上に形成される。トンネル絶縁体材料には、Bがない。トンネル絶縁体材料を形成した後、トンネル絶縁体材料は、少なくとも約250℃の温度でアニールされる。アニール後、外部結晶質磁気電極材料は、アニールされたトンネル絶縁体材料のMgO含有表面から少なくとも約150℃の温度で形成される。外部結晶質磁気電極材料は、CoおよびFeを含み、Bがない。
【0037】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合を形成する方法は、基板の上に内部磁気電極材料を形成することを含む。MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料は、内部磁気電極材料の上に形成される。トンネル絶縁体材料には、Bがない。トンネル絶縁体材料を形成した後、トンネル絶縁体材料は、少なくとも約250℃の温度でアニールされる。トンネル絶縁体材料のアニールの後、外部非晶質磁気電極材料は、アニールされたトンネル絶縁体材料に直接接触して、約−250℃から0℃未満の温度で形成される。外部非晶質磁気電極材料は、アニールされたトンネル絶縁体材料に直接接触し、CoおよびFeを含み、Bがない。CoおよびFe含有の外部非晶質磁気電極材料は、少なくとも約250℃の温度でアニールされ、アニールされたトンネル絶縁体材料のMgO含有表面から、CoおよびFe含有の外部結晶質磁気電極材料を形成する。CoおよびFe含有の外部結晶質磁気電極材料には、Bがない。
【0038】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極を含む。第二の導電性磁気電極は、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む。MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体材料には、Bがなく、約20オングストローム以下の最大の厚さを有する。磁気記録材料および磁気基準材料のうちの少なくとも一つは、CoおよびFeを含んだ、Bがない結晶質磁気領域を含む。BがないCoおよびFe含有の結晶質磁気領域は、約30オングストローム以下の最大の厚さを有する。結晶質磁気領域のCoおよびFeは、トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触する。
【0039】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極を含む。第二の導電性磁気電極は、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む。MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体には、Bがなく、約20オングストローム以下の最大の厚さを有する。第一の電極および第二の電極の磁気記録材料および磁気基準材料は、CoおよびFeを含んだ、Bがない、約30オングストローム以下の最大の厚さを有する其々の結晶質磁気領域を各々含む。
【0040】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極を含む。第二の導電性磁気電極は、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む。MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体材料には、Bがない。第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つの磁気記録材料または磁気基準材料は、CoおよびFeを含んだ、Bがない結晶質磁気領域を含む。第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つは、非磁気MgO含有領域と非晶質金属領域とを含む。BがないCoおよびFe含有の結晶質磁気領域は、トンネル絶縁体材料とMgO含有領域との間にある。非晶質金属領域は、MgO含有領域と、BがないCoおよびFe含有の結晶質磁気領域との間にある。
【0041】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極を含む。第二の導電性磁気電極は、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む。MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体材料には、Bがない。第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つの磁気記録材料または磁気基準材料は、CoおよびFeを含んだ、Bがない結晶質磁気領域を含む。第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つは、導電性材料と、導電性材料とは異なる非晶質金属領域とを含む。BがないCoおよびFe含有の結晶質磁気領域は、トンネル絶縁体材料と導電性材料との間にある。非晶質金属領域は、導電性材料と、BがないCoおよびFe含有の領域との間にある。
【0042】
幾つかの実施形態においては、磁気トンネル接合は、磁気記録材料を含む第一の導電性磁気電極を含む。第二の導電性磁気電極は、第一の電極から離隔され、磁気基準材料を含む。MgOを含む非磁気トンネル絶縁体材料は、第一の電極と第二の電極との間にある。トンネル絶縁体材料には、Bがない。第一の電極および第二の電極の磁気記録材料および磁気基準材料は、トンネル絶縁体材料のMgOと直接接触する其々の結晶質磁気領域を含む。第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つの結晶質磁気領域は、CoおよびFeを含み、Bがない。BがないCoおよびFe含有の結晶質磁気領域を含む第一の電極および第二の電極のうちの少なくとも一つは、導電性材料と、導電性材料とは異なる非晶質金属領域とを含む。BがないCoおよびFe含有の結晶質磁気領域は、トンネル絶縁体材料と、導電性材料との間にあり、約30オングストローム以下の最大の厚さを有する。非晶質金属領域は、導電性材料と、BがないCoおよびFe含有の結晶質磁気領域との間にあり、約100オングストローム以下の最大の厚さを有する。
【0043】
法令に従って、本明細書に開示された本発明の主題は、構造的特徴および方法的特徴に関して、多かれ少なかれ具体的な表現で記述されてきた。しかしながら、請求項は、図示され、記述された特定の特徴に限定されるべきではないことを理解されたい。なぜなら、本明細書に開示された手段は、例示的実施形態を含むからである。したがって、請求項は、文言で表現された全範囲に与えられるべきであって、均等論に従って、適切に解釈されるべきである。