特許第6441497号(P6441497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6441497-燃料電池を冷却するための冷却装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441497
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】燃料電池を冷却するための冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04029 20160101AFI20181210BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20181210BHJP
   H01M 8/04044 20160101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01M8/04029
   H01M8/04302
   H01M8/04044
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-547407(P2017-547407)
(86)(22)【出願日】2016年2月12日
(65)【公表番号】特表2018-508106(P2018-508106A)
(43)【公表日】2018年3月22日
(86)【国際出願番号】EP2016000241
(87)【国際公開番号】WO2016142029
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2017年9月13日
(31)【優先権主張番号】102015003028.0
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン・ブーラー
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・パセラ
(72)【発明者】
【氏名】オットマー・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・フォーゲル
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−108458(JP,A)
【文献】 特開2007−280927(JP,A)
【文献】 特開2013−251231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04029
H01M 8/04044
H01M 8/04302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体冷媒が流れる少なくとも2つの流体的に接続された冷却回路(16、17)を備えた燃料電池システム(2)における燃料電池(3)を冷却するための冷却装置(15)であって、第1の冷却回路(16)が、第1の冷却剤ポンプ(18)、燃料電池熱交換器(6)、加熱装置(19)、及び前記燃料電池(3)を流れる圧縮給気に熱交換接触する給気冷却器(20)を含み、第2の冷却回路(17)が、前記液体冷媒を冷却するための冷却熱交換器(23)を含む、冷却装置において、
少なくとも1つの更なる冷却剤ポンプ(22)が提供されること、及び
前記給気冷却器(20)が、前記液体冷媒の流れ方向で前記燃料電池熱交換器(6)の次に来るように配置されることを特徴とする、冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却装置(15)であって、
空間熱交換器(21)が、空間の少なくとも間接的な昇温のために前記冷却回路(16、17)の1つに提供されることを特徴とする、冷却装置。
【請求項3】
請求項に記載の冷却装置(15)であって、
前記空間熱交換器(21)が、前記第1の冷却回路(16)に配置されることを特徴とする、冷却装置。
【請求項4】
請求項又はに記載の冷却装置(15)であって、
前記第1の冷却回路(16)が、2つの部分回路(16.1、16.2)を備え、その両方が冷却剤ポンプ(18、22)を備え、前記空間熱交換器(21)及び前記加熱装置(19)が、同一の部分回路(16.1)に配置され、前記燃料電池熱交換器(6)が、別の部分回路(16.2)に配置されることを特徴とする、冷却装置。
【請求項5】
請求項、又はに記載の冷却装置(15)であって、
前記空間熱交換器(21)が、前記冷却熱交換器(23)を迂回する冷却器バイパス導管(29)に配置されることを特徴とする、冷却装置。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載の冷却装置(15)であって、
少なくとも1つの加熱熱交換器(24、27)が、それに割り当てられたコンポーネント及び/又はそれ介して流れる媒体を昇温するために流れ方向で前記燃料電池熱交換器(6)が次に来るように配置されることを特徴とする、冷却装置。
【請求項7】
請求項に記載の冷却装置(15)であって、
前記少なくとも1つの加熱熱交換器(24、27)が、前記燃料電池熱交換器(6)が次に来るように配置されること代えて、前記冷却剤ポンプ(18、22)を迂回するポンプバイパスに配置されることを特徴とする、冷却装置。
【請求項8】
請求項又はに記載の冷却装置(15)であって、
イオン交換器(28)が、前記液体冷媒の流れに関して前記少なくとも1つの加熱熱交換器(24、27)に対して並列に配置されることを特徴とする、冷却装置。
【請求項9】
請求項、又はに記載の冷却装置(15)であって、
前記少なくとも1つの加熱熱交換器(24、27)が、前記燃料電池(3)用の膨張燃料を加熱するために、及び/又は液体分離器(13)を加熱するために形成されることを特徴とする、冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに詳細に定義された種類の燃料電池システムにおける燃料電池を冷却するための冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池の冷却用の冷却装置は、一般的な従来技術により公知である。燃料電池、言い換えると燃料電池システムの車両利用では特に、一方では高効率の冷却が、他方では低温始動の場合に燃料電池を迅速に昇温する十分な可能性が、決定的な役割を果たす。
一般的な従来技術分野の特許文献1から、冷却回路を備えた燃料電池システムは、より詳細に公知である。上述の理由から、この冷却回路は、制御可能な冷却器バイパスを備え、そのようにして通常運転において流動性冷媒による冷却熱交換器の貫流を達成し、かつ低温始動に対して冷却熱交換器を迂回し、そのようにして燃料電池を迅速に昇温できる。その際、冷却器バイパスを通るこの「小型」冷却回路は、燃料電池熱交換器と並んで、給気冷却器及び冷却剤ポンプを含む。低温始動の場合には、燃料電池熱交換器を介して、燃料電池は、給気冷却器由来の熱により比較的迅速に昇温できる。次いで、通常運転では、給気冷却器だけではなく燃料電池もまた燃料電池熱交換器を介して冷却され、給気冷却器及び燃料電池熱交換器内の昇温された液体冷媒は、冷却熱交換器を介して冷却される。その際、一般的な従来技術分野で記載された冷却装置の構成は、根本的に2つの欠点を有する。一方では、小型冷却回路における給気冷却器及び燃料電池熱交換器の装置は、低温始動の場合に燃料電池の迅速な昇温を確かに行う。他方では、最初に給気冷却器、次いで燃料電池を貫流するそこに記載された構成は、通常運転、すなわち燃料電池に対する冷却運転に関して、冷媒が燃料電池熱交換器を流れる前に、給気冷却器を介して既に比較的大幅に昇温されるという欠点を有する。これは、燃料電池の効率的な冷却に影響を与える。更に別の非常に重大な欠点は、冷却剤ポンプを冷却の高負荷運転用に設計する必要がある点である。したがって、その冷却剤ポンプは、低温始動の場合及び小型冷却回路の運転用に過大な寸法となっており、小型冷却回路では、そこで発生する必要な体積流量及び供給量は、それに応じてより低い効率を有する。これは、特に、この状態において燃料電池の昇温のために必須の全出力が電気エネルギ貯蔵装置、例えば、バッテリから最初に発生する必要があるため、重大な欠点を意味する。したがって、この状態において、非効率な冷却剤ポンプは、設置空間及び費用に関して相当する欠点を伴う、比較的大型の電気エネルギ貯蔵装置の必要性をもたらす。特に車両における使用の場合、これは、重大な欠点を意味する。
【0003】
特許文献2の形式の更に別の従来技術から、複数の分岐に分割された主冷却回路並びに燃料電池熱交換器及び加熱装置を備えた低温始動の場合に運転される小型冷却回路を備えた類似の構成は、公知である。その構成は、図示から既に認識できるように、非常に複雑であり、対応して多くの設置空間を必要とし、かつ制御必要性及び費用の原因となる多数のバルブ装置を必要とする。この場合、更に別の欠点は、冷却剤ポンプを小型冷却回路において膨張器を介して、またそれにより間接的に主冷却剤ポンプを介して駆動することである。この構成は、対応して低い効率を有し、その結果、この場合、低温始動の場合に対して、主冷却剤ポンプは、上述した実施例の場合よりも非常に高い出力を必要とし、その結果、この装置もまた、既に言及した欠点に加えて、低温始動における高い出力要求に関して上述の重大な欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE 102 03 311 B4
【特許文献2】EP 1 836 742 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、従来の技術に対して改良され、かつ特に上記で言及した欠点を回避する、燃料電池システムにおける燃料電池のための冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、本課題は、請求項1の特徴を有する冷却装置によって解決される。本発明の冷却装置の有利な実施形態及び発展形態は、それに関する従属下位請求項から明らかになる。
本発明の冷却装置では、一般的な従来技術分野でのように、冷却装置が、液体冷媒が流れる流体的に互いに接続された少なくとも2つの冷却回路を備えることが同様に提供される。その際、第1の冷却回路は、第1の冷却剤ポンプ、燃料電池熱交換器、加熱装置、及び給気冷却器を含む。第2の冷却回路は、冷媒を冷却するための冷却熱交換器を含む。その際、本発明により、追加の冷却剤ポンプが利用可能であることが提供される。したがって、例えば、低温始動の場合に対して実質的に、第1の冷却回路がその冷却剤ポンプ、燃料電池熱交換器、給気冷却器、及び加熱装置により運転されるように、その構成は運転され得る。加熱装置によって、かつ燃料電池のカソード側への空気給気が開始されるとすぐに圧縮後の高温給気によって、熱は、第1の冷却回路の液体冷媒中に流入する。この第1の冷却回路は、第2の冷却回路に依存せずに運転できるため、したがって、対応する少ない熱量では、燃料電池の効率的な加熱は、圧縮給気由来の熱、及び加熱装置、例えば、電気抵抗ヒータを介してもたらされた熱を介して実現できる。第1の冷却回路が第2の冷却回路に依存せずに運転できることよって、液体冷媒の冷却は、冷却熱交換器において防止され、その結果、構成は、対応して迅速に昇温される。
【0007】
冷却熱交換機を迂回する冷却器バイパスによる解決の場合とは異なり、従来技術から公知のように、この構成は、燃料電池を昇温するこの状態において通常は運転される必要がない第2の冷却剤ポンプにより、第1の冷却回路内の液体冷媒の比較的効率的な循環を実現できるという決定的な利点を有する。それは、第1の冷却剤ポンプは、従来技術のポンプよりも、より少ない体積流量及びより少ない供給量に関して最適化できるからである。それにより、記載の使用目的に関して第1の冷却剤ポンプの理想的な効率の場合に、燃料電池を昇温するための液体冷媒の非常に効率的な循環は、達成できる。これは、そのために必須の冷却剤ポンプ用の電気出力が少なくとも初期段階では電気エネルギ貯蔵装置に由来する車両での利用時に特に、電気エネルギ貯蔵装置の容量及び構成に関して重大な利点を意味している。
【0008】
燃料電池が冷却される必要がある通常運転状態では、例えば、燃料電池システムで装備された車両の全負荷運転における燃料電池の冷却では、その場合は、2つの冷却剤ポンプは、互いに前後に直列して、液体冷媒の供給を担うことができる。それにより対応するより大きな体積流量が可能となり、それにもかかわらず、個々の冷却剤ポンプは、冷却剤ポンプが液体冷媒に関して体積流量の供給の主要な負荷を担う必要があるそれぞれの運転状態に応じて、小型かつ効率的に最適化できる。したがって、例えば、2つの小型の、そしてそれにより費用効率の高いポンプを使用でき、そのポンプは、一緒に要求される最大能力を提供し、それぞれ単独で運転される限り、より少ない体積流量を高い効率時に供給できる。
【0009】
その際、本発明の冷却装置の更に非常に好都合な形態は、給気冷却器が冷媒の流れ方向で燃料電池熱交換器の後に配置されることを提供する。冷媒の流れ方向で燃料電池熱交換器の後への給気冷却器のこの配置は、通常運転において、冷媒が燃料電池に入る前に、給気冷却器によって既に対応して大幅に昇温されないことを確保するが、これは、重大な欠点を意味したかもしれない。より正確に言えば、記載した配置を介して、燃料電池に比較的低温の冷媒が流れ込み、燃料電池を確実かつ効率的に冷却することが達成できる。冷媒が燃料電池、言い換えると燃料電池熱交換器を再び離れるとき、その際、冷媒の温度は、燃料電池の確実な運転のために必須であるように、圧縮後に比較的高温の給気をそこまで冷却するために、依然として十分である。冷媒は、その場合には給気冷却器の後で対応する高温を有することとなる。理想的には、冷媒は、冷却運転において、その場合には程度の差はあるが直接冷却熱交換器へ流れる。冷却熱交換器では、起こり得る冷却は、通常は周辺空気と冷却熱交換器内に流入する液体冷媒との間の温度差に依存する。この温度差が大きくなるほど、つまり、通常は影響されない周辺温度では、冷却装置のこの場所における液体冷媒の温度が高くなるほど、冷却は、より良好かつ効果的になる。したがって、給気冷却器を冷媒の流れ方向で理想的には冷却熱交換器の前に直接配置することによって、液体冷媒の特に効果的な冷却は、達成される。それに応じて、冷却熱交換器の面積を低減できるか、又は同一面積の場合、より高い冷却性能を達成できる。これは、特に車両利用では、この場合、冷却熱交換器の利用可能な表面が通常は設計仕様によるため、決定的な利点であり、これは、燃料電池用の通常の冷却装置では、内燃機関と比較して燃料電池の比較的低い運転温度に基づいて、重大な欠点を意味する。この欠点は、流れ方向で燃料電池熱交換器の後への給気冷却器の記載の配置によって明白に低減できる。
【0010】
燃料電池が加熱昇温されるべき加熱運転において、本発明の冷却装置では、第1の冷却回路のみに比較的少ない熱量が貫流する。この場合、給気冷却器が冷媒の流れ方向で燃料電池熱交換器の前又は後に配置されるかどうかは、ほとんど重要ではない。第1の冷却回路における液体冷媒の比較的短い経路長に基づいて、給気冷却器由来の熱は、第1の回路全体の貫流の後に、上述の配置の場合にも比較的効率的に燃料電池熱交換器にもたらされる。通常運転における上述の利点に基づいて、本発明のこの形態による配置は、したがって、どの場合にも有利になり得る。それに加えて、同一の(小型)冷却回路における給気冷却器及び燃料電池熱交換器の配置の更に別の利点は、燃料電池のカソード側用の空気及び燃料電池熱交換器用の冷媒が給気冷却器によって同時に温度管理されることである。それにより、燃料電池における良好な水収支は、達成できる。燃料電池熱交換器を介したかつ燃料電池のカソード側に対して流れる給気冷却器由来の空気を介した燃料電池それ自体の同時昇温によって、良好な水収支と並んで、燃料電池の領域への熱ストレスの妨害もまた低減され、これは、燃料電池のより長い耐用年数をもたらす。なぜなら、燃料電池燃料スタックのクランプ装置及びシーリングは、燃料電池それ自体及び燃料電池内に流入する空気がより大きな温度差を有する場合よりも、負荷がはるかにより少なくなるためである。
【0011】
本発明の冷却装置の更に非常に好都合な形態は、空間の少なくとも間接的な昇温のために、更に空間熱交換器を冷却回路の1つに提供する。そのような空間熱交換器は、燃料電池システムの領域に配置された空間の昇温に用いられる。空間熱交換器は、車両における好適な利用では、特に室内熱交換器であってもよく、その室内熱交換器を介して、車内空間は、昇温できる。この概念の非常に有利な発展形態により、その際、空間熱交換器は、第1の冷却回路に提供される。したがって、空間熱交換器は、特に有利な方法で、燃料電池、加熱装置及び給気冷却器、並びに第1の冷却剤ポンプと共に第1の冷却回路に提供される。これにより、空間、特に車両の室内の昇温は、空間熱交換器を介して車両の始動と同時に、既にかなり初期に行うことができ、そのようにして車両のユーザに対して高い熱的快適性を与える。
【0012】
この概念の非常に有利な形態により、第2の冷却回路が2つの部分回路を有することがこのとき更に提供され、その部分回路は両方とも、冷却剤ポンプを含み、空間熱交換器及び加熱装置は、同一の部分回路に配置され、燃料電池熱交換器は、別の部分回路に配置される。第1の冷却回路の2つの部分回路への分割を伴うこの構成によって、それぞれ冷却剤ポンプを備えたこれらの部分回路を互いに独立して運転することが可能となる。そのようにして、空間、特に車両の室内に対する高い快適性を提供できる。すなわち、冷却剤ポンプ、空間熱交換器、及び加熱装置を備えた部分回路のみの運転を介して、空間の暖房を実現でき、暖房のために燃料電池、言い換えると燃料電池システムを同時に加熱昇温する必要はない、言い換えると始動する必要はない。他方では、第2の部分回路はまた、室内を同時に昇温することなく、燃料電池のみを加熱昇温できる。これは、室内空気が空間熱交換器を貫流しないことによってもまた確かに考えられたかもしれないが、この場合は、小型冷却回路における空間熱交換器の追加の流れ抵抗が存在していたかもしれず、その結果、部分回路を有する代替的な構成によって、第1の冷却回路を介する燃料電池の加熱昇温のために必要なエネルギの更なる最適化を達成できる。
【0013】
本発明の冷却装置の更に別の形態により、空間熱交換器が冷却熱交換器に対する冷却器バイパス導管に配置されることもまた提供できる。そのようにして、空間熱交換器は、代替として又は冷却熱交換器に補足して並列に貫流するように配置でき、したがって、空間が加熱されるべき場合に対して、冷媒の冷却を、特に燃料電池システムの通常運転において同時に支援する。同時に、冷却器バイパス導管における配置によって空間熱交換器用の追加の配管分岐が同等の機能性の場合に必要とならないため、部品は、削減できる。
【0014】
本発明の冷却装置の更に非常に好都合な形態は、特に少なくとも1つの加熱熱交換器をその加熱熱交換器に割り当てられたコンポーネントの昇温のために流れ方向で燃料電池熱交換器の前に備えることができる。したがって、そのような加熱熱交換器は、更に別のコンポーネント又は更に別の媒体の昇温に用いることができる。それにより、加熱熱交換器を介して、液体冷媒の冷却は、冷却回路において達成される。加熱熱交換器は、例えば、燃料電池用に膨張させた燃料を加熱するために、燃料電池システムにおいて利用できる。例えば、70MPaの定格圧力での圧縮ガス貯蔵装置からの水素が使用されるとき、その場合、水素は、燃料電池に導入される前に、通常は大幅に低い圧力レベルへ緩和される必要がある。より低い圧力レベルへのこの緩和では、その水素は、非常に大幅に冷却される。これは、燃料電池において熱ストレスをもたらし、場合によっては水分の凝縮、最悪の場合には凍結をもたらす恐れがある。したがって、膨張した水素は、通常は昇温される。これは、この場合、本発明の冷却装置において記載の有利な形態で流れ方向で燃料電池熱交換器の前に配置される加熱熱交換器を介して実現できる。これにより、液体冷媒の温度は、燃料電池熱交換器の前で更に下げることができ、そのようにして通常運転での燃料電池の特に効率的な冷却が保証される。
【0015】
加熱熱交換器は、有利には第2の冷却回路において流れ方向で冷却熱交換器の後に提供できる。加熱熱交換器は、膨張水素の昇温のために、また水分離器の加熱、例えば、この場合は水分離器の凍結を防止するために、燃料電池のカソード排気における水分離器の加熱のためにも、追加的に又は補足して使用できる。代替的に互いに択一的に又は互いに直列にして、好適には、最初に膨張燃料のための加熱熱交換器の貫流、次いで水分離器用の加熱熱交換器の貫流を伴って配置してもよい両機能を介して、それぞれの場合に、液体冷媒の温度は、低下され、これは、燃料電池の冷却時に有利になり得る。
【0016】
その際、有利な発展形態に従って、1つ又は複数の加熱熱交換器は、イオン交換器と直列又は並列で液体冷媒によって貫流できる。イオン交換器の領域でもまた、温度は、低下される。特に液体冷媒の比較的低い温度によって、イオン交換器の耐用年数は、向上させることができる。その際、イオン交換器だけではなく1つ又は複数の加熱熱交換器はまた、本概念の有利な発展形態に従って、冷却剤ポンプに対して並列に配置できる。それにより、液体冷媒の全体積流量が構成部品を通して流れることなく、冷却剤による十分な貫流が燃料電池のための冷却回路においてもたらされるが、これは、一方では必要ではなく、他方では高い圧力損失となり、それに応じて低いエネルギ効率となる恐れがある。
【0017】
本発明による冷却装置のその他の有利な実施形態は、その他の従属請求項により、かつ以下に図を参照して詳細に図示した実施例によって明確に更に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】原理的に図示された燃料電池車両である。
図2】2つの異なる運転状態における冷却装置の第1の可能な実施形態である。
図3】2つの異なる運転状態における冷却装置の第2の可能な実施形態である。
図4】3つの異なる運転状態における冷却装置の第3の可能な実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1の図示では、車両1が大幅に概略的に示されている。この車両1は、燃料電池車両として形成されているものとする。車両1用の電気駆動力は、図1の図示で非常に大幅に概略的に示されている燃料電池システム2を介して利用できる。燃料電池システム2の中枢を、特に単一セルのスタックとして、好適にはPEM技術によって実施できる燃料電池3が形成する。例示としてのみ燃料電池3の内部に、共通のアノード領域4、共通のカソード領域5、及び燃料電池3の温度管理用の燃料電池熱交換器6が示されている。
【0020】
燃料電池3のアノード領域4で、水素は、燃料として使用される。この水素は、例えば、70MPaの定格圧力で圧縮ガス貯蔵装置7に保存されており、制御及び計量ユニット8を介して燃料電池3のアノード領域4に流れる。未使用の水素は、ここで図示された実施例では排気導管9を介して、燃料電池3のカソード領域5の外側の下記で更に詳細に説明する排気ダクト10の領域に達する。空気は、酸素供給体として空気供給装置11を介して、燃料電池3のこのカソード領域5で利用される。この空気供給装置11は、例えば、フローコンプレッサとして形成されていてもよい。燃料電池3のカソード領域5から出た残存空気は、既に言及した排気ダクト10を介して排気タービン12に到達し、その排気タービンの領域では、排気由来の熱エネルギ及び圧力エネルギは、少なくとも部分的に回収される。排気ダクト10を通って流れる排気を介して、特に排気導管9を介してアノード領域4から流出する、常に残存水素もまた含む場合がある排気は、希釈される。その際、燃料電池3のアノード側に、特にいわゆるアノード回路を備えていてもよい。そのアノード回路は、図示していない。ただし、アノード回路は、燃料電池技術の当業者に周知であり、そのため当業者は、アノード回路をこの場合問題なく補うことができるであろう。類似物は、カソード側上の空気加湿器にも当てはまる。
【0021】
排気タービン12を液滴から保護するために、通常は排気ダクト10に特に、液体分離器、言い換えると水分離器13は、提供される。この水分離器13は、液滴を排気ダクト10内の排気から分離し、液滴を液体形状で排出する。排気それ自体は、排気ダクト10を通って更に排気タービン12へと流れる。排気タービン12は、空気供給装置11と共に、特に電気機械14と作動接続している共通のシャフト上に配置される。この電気機械14は、特に、排気タービン12によって供給される出力のために追加的に必要な出力を空気供給装置11の駆動用に提供できる。排気タービン12の領域に空気供給装置11によって必要とされるよりも多くの出力が生じる特定の状態では、電気機械14は、特に発電機として運転されてもよい。この構成は、当業者に同様に周知であり、多くの場合、電動ターボチャージャ、ETC(Electric Turbo Charger、電動ターボチャージャ)、又はエンジンアシスト型ターボチャージャと呼ばれる。
【0022】
燃料電池3を燃料電池熱交換器6を介して通常運転において冷却できるようにするために、車両1に特に、冷却装置15は、提供される。この冷却装置15は、ここで図示した実施例では、より小型の冷却回路として示してもよい第1の冷却回路16を含む。第1の冷却回路は、第2の(大型の)冷却回路17と流体的に接続している。液体冷媒は、第1の冷却回路16の領域において第1の冷却剤ポンプ18によって供給され、図示した実施例では電気抵抗ヒータとして示される液体冷媒用の加熱装置19を貫流する。そのうえ、加熱装置は、例えば、水素を火炎燃焼又は触媒的燃焼を介して変換し、熱を液体冷媒に供給するという別の方法で形成されてもよい。第1の冷却回路には、特に、給気冷却器20が存在する。この給気冷却器20は、熱交換器として形成されており、それを介して、その片側で燃料電池のカソード領域5への高温の圧縮給気が空気供給装置11の後を流れる。それに加えて熱伝導接触している給気冷却器20のもう1つの側は、液体冷媒が流れる。それによって、高温の圧縮空気は、冷却され、その結果、燃料電池3は、空気によって熱的に負荷を受けず、かつ燃料電池の膜は、乾燥することはない。それに加えて同時に当然ながら、液体冷媒は、給気冷却器20によって昇温される。第1の冷却回路16内部の更に別のコンポーネントは、空間熱交換器21であり、その空間熱交換器を介して必要な場合には、空間熱交換器21が、矢印によって示されているように、車両1の室内へ流入するか又は室内で循環される空気によって、車両の室内は、昇温できる。
【0023】
第1の冷却回路16の更に別の部分は、流れ方向で空間熱交換器21の後かつ給気冷却器20の前にある既に説明した燃料電池3の温度調節用の燃料電池熱交換器6である。この燃料電池熱交換器6を介して、必要に応じて、燃料電池3は、低温始動用に昇温できるか、又は燃料電池3由来の熱は、通常運転において排出できる。第1の冷却回路16は、このとき通常は低温始動の場合に、液体冷媒が冷却剤ポンプ18から出て、最初に空間熱交換器21、次いで燃料電池熱交換器6、次いで給気冷却器20、そして最後に加熱装置19を貫流する方法で、運転される。その際、第1の冷却回路16は、比較的小型であり、対応して少ない熱量を有する。それにより、コンポーネント、特に燃料電池3の迅速な加熱昇温は、給気冷却器20から圧縮給気を介して導入される、そして必要な場合には加熱装置19を介して導入されるエネルギによって可能となる。必要な場合には同時に、車両の室内は、空間熱交換器21を介して流れる空気により昇温できる。
【0024】
車両1における燃料電池システム2の通常運転に対して、このとき一般的には、この第1の冷却回路16と第2の冷却回路17との組み合わせが提供され、後者は車両の周辺に熱を排出するための更に別の冷却剤ポンプ22及び冷却熱交換器23を備える。例えば、高速で車両1が登坂するあいだ、例えば、燃料電池システム2の電気的全負荷で燃料電池熱交換器6を介して燃料電池3を十分に冷却できるようにするために、液体冷媒は、2つの直列で作動する冷却剤ポンプ18、22を介して循環される。それにより、比較的多い体積流量は、2つの冷却剤ポンプ18、22の中程度の設置サイズにもかかわらず、達成される。それにより、燃料電池3の非常に良好な冷却は、燃料電池熱交換器6を介して可能である。特にその際、空間熱交換器21は、必要な場合には、更に別の熱を液体冷媒から、この場合は車両1の室内に送出するために、冷却熱交換器23に対して並列にそれを介して流すことができる。
【0025】
構成の更に別の利点は、給気冷却器20が液体冷媒の流れ方向で燃料電池熱交換器6の後に配置されることである。それにより、液体冷媒の入り口温度は、燃料電池熱交換器6に流入する場合に非常に低く設定することが可能であり、そのようにして、燃料電池3は、理想的に冷却できる。燃料電池3は、通常は100℃未満の温度を有するため、給気冷却器において通常は約200℃の圧縮給気を、燃料電池が全負荷でも不必要な負荷を受けないほど更に下げて冷却するために、液体冷媒は、燃料電池3の後でもなお十分に「低温」である。加熱装置19は、そのような全負荷状態では当然ながら停止される。
【0026】
図1の図示では、第2の冷却回路17の更に別の部分として、追加的に加熱熱交換器24を見ることができる。その働きは、ここでは、圧縮ガス貯蔵装置7からの、膨張後に比較的低温の水素を昇温することである。それにより、燃料電池3のアノード領域4における液体の凝縮は、防止される。同時に加熱熱交換器24では、液体冷媒は、膨張した水素に熱を与えるため、液体冷媒は、冷却される。理想的にはそのようにして、液体冷媒は、燃料電池熱交換器6に流入する前に、冷却熱交換器23によって到達されるべき液体冷媒の最低温度として、周辺温度を下回る温度まで冷却できる。これは、燃料電池熱交換器6を介して燃料電池3の特に効率的な冷却をもたらし、かつ冷却装置15の特に高い冷却性能を可能にし、その結果、冷却装置15によって引き起こされた燃料電池システム2の出力制限は、防止されるか、又は少なくとも遅延させることができる。それにより、高い周辺温度の場合でも、燃料電池車両1を高出力で運転することが可能であり、これは、車両のユーザに対して十分な利点を提供する。
【0027】
本発明による冷却装置15の更に詳細な実施形態は、異なる運転モードにおいて以下の図に更に詳細に図示されている。図1の状態で既に説明されたコンポーネントは、その際、類似の概略的記号を介して図示されており、その結果、このコンポーネントに関して図1の記載を参照できる。
【0028】
図2では、図1の図示に類似した冷却装置15を見ることができる。第1の冷却回路16は、また第1の冷却剤ポンプ18を含み、流れ方向でその後に燃料電池3の燃料電池熱交換器6、給気冷却器20及び空間熱交換器21、並びに加熱装置19を含む。この順序において、部品は、開放された制御バルブ25では燃料電池システム2の加熱運転において貫流される。加熱運転におけるこの貫流は、図2では一点鎖線で示されている。それに加えて、燃料電池3の冷却用の通常運転モードでの運転は、点線で示されている。制御バルブ25は、そのために完全に、又は室内暖房用の熱が対応して必要な場合は少なくとも部分的に、閉鎖される。この場合点線で描かれた液体冷媒の一次体積流量は、次いでこれもまた同様に第1の冷却剤ポンプ18から出て燃料電池3の燃料電池熱交換器6及び給気冷却器20を流れる。給気冷却器20の後に、液体冷媒は、冷却装置15において最大生じる温度まで昇温されて、冷却熱交換器23に流入する。周辺温度と比較して冷却熱交換器23に流入する液体冷媒の比較的高い温度差によって、冷媒の非常に効率的な冷却は、冷却熱交換器23において実現できる。冷却熱交換器23に対して並列に、図2図4の図示ではそれぞれ、冷媒調整タンク26が示されている。冷媒調整タンクは、冷却装置15内に通常は存在するが、冷媒調整タンクは、本発明に対して従属的な意味であり、その結果、それについて更に言及する必要はない。
【0029】
次いで、冷却熱交換器23の後に、冷媒は、第2の冷却回路17の3つの並列分岐を介して再び第1の冷却剤ポンプ18に戻るように流れる。その際、中央の分岐は、冷媒の高い体積流量が対応して必要な場合に冷却剤ポンプ18に対して直列で運転される第2の冷却剤ポンプ22を含む。この冷却剤ポンプ22に対して並列に、したがって、発生する体積流量の一部のみによって貫流されて、加熱熱交換器24は、これもまた同様に膨張させた水素の昇温用に存在する。流れ方向でその後に、カソード領域5の給気ダクト10において水分離器13の昇温用に用いられる更に別の加熱熱交換器27は、配置される。冷却剤ポンプ22に対して並列に配置された第2の導管分岐には、28と表示したイオン交換器がある。イオン交換器は、液体冷媒の伝導率を燃料電池システム2の運転中に永続的に低減するために、必須であってもよく、そのようにして所望しない電位を冷媒の領域又は冷媒と接触しているアースされた部品の領域で防止する。イオン交換器28は、そのイオン交換器に低温の液体冷媒が流れ込むとき、特に効率的に動作し、イオン交換器28の耐用年数を温存する。したがって、イオン交換器は、流れ方向で冷却熱交換器23の後に配置されており、そのようにして、対応して冷却された冷媒との接触が生じる。そうでなければ、既に言及したように、加熱熱交換器24及び27を介して、媒体は、冷却装置15の外側で加熱され、それにより、液体冷媒は、更に冷却される。次いで、液体冷媒は、対応して低い温度を伴って冷却剤ポンプ18を介して供給されて燃料電池熱交換器6に達し、燃料電池3をそのようにして理想的に冷却できる。
【0030】
図2における図示及び説明に類似して図3に示された構成は、第1の冷却回路16の制御バルブ25が第2の冷却回路17内に、すなわち、給気冷却器20と冷却熱交換器23との間の領域に移動されることによってのみ、図2に示された構成と実質的に異なる。特に、空間熱交換器21は、ここでは冷却器バイパス29にあり、冷却器バイパスは、バルブ装置30を介して、空間熱交換器21が完全に又は制御バルブ25の位置に応じて冷却熱交換器23に対して部分的に並列に貫流できるように調整できる。しかし、図3の図示におけるバルブ装置30の位置は、バルブ装置が冷却器バイパス29を対応して分離し、かつ第1の冷却回路16を閉鎖することによって、貫流を防止している。それにより、車両1の室内を加熱することなく、燃料電池3の加熱は、燃料電池熱交換器6を介して図2の図示に類似して実現できる。これは、図3でもまた一点鎖線で示された冷媒の流れによって示されている。燃料電池システム2の通常の冷却運転では、冷却運転が破線で示されているように、バルブ装置30は、対応して切り替えられ、その結果、既に上述したように、空間熱交換器21及び冷却熱交換器23は、並列に貫流できる。そうでなければ、燃料電池システムの機能における構成は、図2で既に記載された構成に相当する。
【0031】
その際、図3による冷却装置15の実施例は、上述した冷却装置15の実施例のように、車両の乗員に対して快適性を提供しない。確かに、その実施例は、燃料電池の迅速な昇温及びそれによる車両1に対してより短い始動時間を可能にし、これは、それにより付随するユーザに対する快適性の犠牲を確かに甘受できるか、又は独立した追加の加熱によって相殺できるという、かなり顕著な利点を提供する。
【0032】
図4の図示では、冷却装置15の更に別の考えられる構成が図示されている。上述の実施形態の場合とは異なり、この場合、第1の冷却回路16が2つの部分回路16.1及び16.2に分割されている。第1の部分回路16.1は、第2の冷却剤ポンプ22及び空間熱交換器21並びに加熱装置19を含む。もう1つの部分回路16.2は、第1の冷却剤ポンプ18、燃料電池熱交換器6を備えた燃料電池3、及び給気冷却器20を含む。図4の図示では、上述の図にこれもまた同様に類似して、燃料電池3の加熱昇温用の運転は、一点破線で図示されている。制御バルブ31は、これを介して第2の冷却回路17の一部である加熱熱交換器24及び27並びにそれらに対して並列にイオン交換器28が一体化され、この状態では通常は閉鎖されている。3つの異なるバルブ位置が可能であるバルブ装置32は、示したものとは異なり、完全に左に向かって移動させたその位置で切り替えられている。このとき、液体冷媒は、第1の冷却剤ポンプ18から供給され、最初に燃料電池熱交換器6を通り、次いで給気冷却器20を通り、続いて空間熱交換器21を通り、そして加熱装置19を通って流れることができる。それにより、一点破線で示された回路が形成される。バルブ装置32の特定の形態によって、この場合もまた、第2の冷却剤ポンプ22が既に補助的に介在することが、特に可能である。しかし、導管分岐が第2の冷却剤ポンプ22により遮断される代替形態は、同様に考えられるであろう。
【0033】
図4の図示では、燃料電池3の冷却用の通常運転は、破線でこれもまた同様に図示されている。バルブ装置32は、示したように、このとき完全に右に移動させたその位置で切り替えられており、その結果、第2の冷却剤ポンプ22を備えた分岐は、冷却熱交換器23と接続される。それにより、貫流は、破線に対応して達成され、開放された制御バルブ31では、イオン交換器28並びに加熱熱交換器24及び27もまた、液体冷媒の冷却用に一緒に貫流できる。その際、その構成は、上述の構成に対応し、その結果、給気冷却器20は、可能な限り高い温度及びそれにより液体冷媒の効率的な冷却を冷却熱交換器23で達成するために、この場合もまた流れ方向で熱的に効果的に冷却熱交換器23の前に配置される。
【0034】
図4の図示では、冷却装置15の運転の考えられる第3の変形実施形態は、点線で図示されている。この運転では、バルブ装置32は、その中央の位置に切り替えられている。それにより、第2の冷却剤ポンプ22を備えた導管分岐は、加熱装置19及び空間熱交換器21を備えた導管分岐と直接接続される。第2の冷却剤ポンプ22及び加熱装置19の運転ではそのようにして、車両1の室内の加熱は、部分回路16.1を介して、冷却装置15のもう1つのコンポーネントを貫流かつ運転する必要なく実現できる。次いで、この状態から一点破線で示された状態へ直接転換でき、そのようにして室内に加えて、燃料電池3もまた加熱昇温でき、車両1は、それに続いて始動できる。したがって、図4に図示された実施例による冷却装置15の構成は、車両1用のブロックヒータを追加的に可能にする。
【0035】
全体として、冷却装置15は、燃料電池3を高温に熱するために、冷却装置が比較的少ない熱量を有する第1の冷却回路16を常に備えているため、記載された全ての実施形態において非常に効率的である。これは、小型かつ効率的な第1の冷却剤ポンプ18により実現でき、その第1の冷却剤ポンプは、燃料電池3の冷却の場合に対して、次いでそれに対して直列の第2の冷却剤ポンプ22及び第2の冷却回路17の解除によって、支援される。特に、コンポーネントの配置は、液体冷媒の流れ方向で、理想的な熱的条件が優勢となり、一方では燃料電池3の非常に良好な冷却を、もう一方では液体冷媒の非常に良好な冷却を冷却熱交換器23及び/又は空間熱交換器21において実現できるように選択される。冷却装置15は、それにより記載された全ての実施形態において、特に車両1において、燃料電池システム2の冷却用に特に有利かつ効率的に適合している。当然ながら、冷却装置15は、据え置き型燃料電池システム2の場合でもまた、記載した方法において、次いで通常は空間熱交換器21を用いずに有利に使用できる。
図1
図2
図3
図4