(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第2パララックスバリアアレイは、上記第1パララックスバリアアレイを上記第1方向に交差する方向に移動したものであることを特徴とする請求項1に記載のパララックスバリアパネル。
さらに、上記パララックスバリアパネルは、使用中、第2のモードにおいて、上記複数の第1電極及び上記複数の第2電極が、上記複数の所定のパララックスバリアアレイから選択された1つのパララックスバリアアレイを上記第1領域及び上記第2領域に規定するように、受信した少なくとも1つの第2駆動信号に基づいて、上記複数の第1電極及び上記複数の第2電極をアドレス駆動することを特徴とする請求項1または2に記載のパララックスバリアパネル。
上記パララックスバリアパネルは、使用中、第3のモードにおいて、当該パララックスバリアパネルが結像機能を提供しないように、受信した少なくとも1つの第3駆動信号に基づいて、上記複数の第1電極及び上記複数の第2電極をアドレス駆動することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のパララックスバリアパネル。
上記第1基板上に配設された複数の電極の各々は、上記第2基板上に配設された複数の電極の各々に対して、上記第2方向に沿ってオフセットされていることを特徴とする請求項5に記載のパララックスバリアパネル。
上記第1基板上に配設された複数の電極の各々は、上記第2基板上に配設された複数の電極の各々に対して、上記第2方向に沿って、電極ピッチの略半分オフセットされていることを特徴とする請求項5または6に記載のパララックスバリアパネル。
上記第1基板及び上記第2基板の何れか一方の上方に上記複数の第1電極の第1サブセットが配設され、上記複数の第1電極の上記第1サブセットの上方に絶縁層が配設され、当該絶縁層の上方に上記複数の第1電極の第2サブセットが配設され、当該第2サブセットの複数の第1電極は、上記第2方向において、上記第1サブセットの複数の第1電極からオフセットされていることを特徴とする請求項8に記載のパララックスバリアパネル。
上記第2サブセットの第1電極の幅は、上記第1サブセットの第1電極の幅よりも小さく、かつ、上記第2サブセットの第1電極の幅は、上記第2サブセットの隣接する2つの第1電極間のギャップよりも小さいことを特徴とする請求項10に記載のパララックスバリアパネル。
上記複数の第1電極の上記第1サブセットの電極の幅は、当該複数の第1電極の上記第2サブセットの隣接する2つの電極間のギャップよりも大きいことを特徴とする請求項11に記載のパララックスバリアパネル。
さらに、上記制御回路は、判定された上記観察者の位置に基づいて、上記パララックスバリアパネルを駆動するための少なくとも1つの駆動信号を決定する演算プロセッサを備えることを特徴とする請求項16または17に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図中の同一または対応する部分には同一の参照符号を付し、複数の実施形態で使用される構成要素の説明は、各実施形態について繰り返さない。説明を簡略化するため、以下に示す図面では、図示の構成を簡略化したり、一部を模式的に示したり省略したりすることができる。図面に示される構成要素間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比に関係しない。
【0042】
図1は、画像表示パネル10と、切り替え可能液晶パララックスパネル20とを含む裸眼立体表示装置1を示す。画像表示パネル10は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ディスプレイ(OLED)などであってもよい。画像表示パネル10が液晶ディスプレイ(LCD)である場合、バックライトユニット300が使用される。液晶パララックスパネル20は、裸眼立体表示装置1の表示側90(すなわち、フロントバリアシステム)に配置される。切り替え可能液晶パララックスパネル20は、画像表示パネル10から左眼90Lへ第1画像を導き、画像表示パネル10から右眼90Rへ第2画像を導くことにより裸眼立体3D画像の表示を可能にするパララックスバリア機能を実行するように切り替えられる。また、切り替え可能液晶パララックスパネル20は、パララックスバリア機能を実行しない状態に切り替えられる。このとき、切り替え可能液晶パララックスパネル20は、左眼90L及び右眼90Rの両方に同じ2D画像を同時に視認させる。2Dモードでは、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20は、実質的に透明である(すなわち、切り替え可能液晶パララックスパネル20は、正しく偏光された光に対して>75%、好ましくは>90%の透過性を有する)。
【0043】
図2は、画像表示パネル10と、切り替え可能液晶パララックスパネル20とを含む裸眼立体表示装置1を示す。画像表示パネル10は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ディスプレイ(OLED)などであってもよい。画像表示パネル10が液晶ディスプレイ(LCD)である場合、バックライトユニット300が使用される。画像表示パネル10は、裸眼立体表示装置1の表示側90(すなわち、リアバリアシステム)に配置される。切り替え可能液晶パララックスパネル20は、画像表示パネル10から左眼90Lへ第1画像を導き、画像表示パネル10から右眼90Rへ第2画像を導くことにより裸眼立体画像表示を可能にする、パララックスバリア機能を実行するために切り替えられる。また、切り替え可能液晶パララックスパネル20は、同じ2D画像が左眼90L及び右眼90Rの両方に対して同時に視認されるよう、パララックスバリア機能を実行しないよう切り替えられる。2Dモードにおいて、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20は、実質的に透明である。
【0044】
特に明記しない限り、以降のすべての実施形態は、画像表示パネル10が裸眼立体表示装置1の表示側90に配置された
図2に関連して記載される。しかしながら、裸眼立体表示装置の表示側90に液晶パララックスパネル20が配置されてもよい。別の言及がない限り、以降のすべての実施形態において、画像表示パネル10は液晶表示パネルである。しかしながら、原理的には、任意の好適な、発光型表示パネル又は透過型表示パネルを使用することができる(透過型表示パネルはバックライトを必要とする)。
【0045】
図3は、従来の裸眼立体表示装置1を示す概略断面図である。裸眼立体表示装置1は、画像表示パネル10と、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20と、接着樹脂30とを備える。画像表示パネル10及び切り替え可能な液晶パララックスバリアパネル20は重なって配置され、画像表示パネル10が観察者90側に配置される。画像表示パネル10及び切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20は接着樹脂30により接着する。画像表示パネル10は、TFT(Thin Film Transistor)基板11と、CF(Color Filter)基板12と、液晶層13と、偏光板14と、偏光板15とを備える。画像表示パネル10は、TFT基板11及びCF基板12を制御して、それぞれのピクセルを透過する光の量を調整することで画像を得るために液晶層13の液晶分子の配向を操作する。バックライトユニット300は図示されていない。切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20は、第1基板21と、第2基板22と、液晶層23と、偏光板24とを備える。液晶層23は、第1基板21と第2基板22とに挟持される。
【0046】
図4は、裸眼立体表示装置1を示すさらなる概略断面図である。第1基板21及び第2基板22は、それぞれE1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8、E9、E10、E11、及びE12とラベル付けされた、独立してアドレス駆動可能な複数の電極を含む。各電極は、
図4の紙面内を延びる2以上の電極部分を含む。当該2以上の電極部分は、(
図4の水平軸に沿って)互いに横方向に離間する。従って、
図4において同じラベルが付された2つの部分は、同じ電極の部分であり、互いに電気的に接続されている。例えば、
図4において「E4」とラベルされた2つの部分は、同じ電極の部分である。
図4において「E10」とラベルされた2つの部分は、同じ電極の部分である。3つの部分を有する電極は平面視で略「E」字形である。4つ以上の部分を有する電極は平面視で略櫛形である。第1基板21は、E7、E8、E9、E10、E11、及びE12とラベル付けされ、周期的に配置された、独立してアドレス駆動可能な電極からなる単一層を有する(すなわち、電極E7の一部が、電極E8の一部及び電極E12の一部に隣接する)。第2基板22は、E1、E2、E3、E4、E5、及びE6とラベル付けされ、周期的に配置された、独立してアドレス駆動可能な電極からなる単一層を有する(すなわち、電極E1の一部が、電極E2の一部及び電極E6の一部に隣り合う)。言い換えると、E1〜E12とラベル付けされた電極それぞれに異なる電圧が印加される(すなわち、アドレス駆動される)。すなわち、E1〜E12とラベル付けされた電極はそれぞれ、独立して制御されうる。E1〜E12とラベル付けされた電極は一群の電極である。一群の電極には13以上の電極が存在してよく、これによりヘッドトラッキングの精度を高めることができる。一群の電極には11以下の電極が存在してよく、これにより駆動回路が簡素化される。一群の電極として12個の電極の使用は、トラッキング精度と複雑さとの間で良好なバランスを保つことが分かった。別段の記載がない限り、以降のすべての実施形態において、一群の電極には12個の電極が含まれるものとする。それぞれの電極(E1〜E12)は、均一に離間していてよい。
【0047】
別段の記載がない限り、以降のすべての電極に関する説明では、
図4または
図20に従って電極が構成されるものとする。
図4または
図20では、電極E7、E8、E9、E10、E11及びE12が第1基板21上に周期的に配置され、E1、E2、E3、E4、E5、E6が第2基板22上に周期的に配置されている。独立にアドレス駆動可能な電極グループのグループピッチφを
図4及び
図20に示す(第1基板上の電極のグループピッチφは、第2基板上の電極のグループピッチφと同じである)。画像表示パネル10の1ピクセルのピクセルピッチppのサイズもまた
図4に示される。裸眼立体3Dモードでは、交互のピクセルは、左眼用画像(L)及び右眼用画像(R)でアドレス駆動されてよい。ピクセルピッチの2倍(2×PP)は、電極グループピッチ(φ)にほぼ等しい。より正確には、リアバリア裸眼立体表示装置1において、φ=2PP/Vd(Vd+S/n)である。ここで、Vdは、所望の視認距離である。Sは、画像表示パネル層13とパララックスバリアの切り替え可能な液晶層23との間隔である。nは、画像表示パネル層13と切り替え可能な液晶層23との間の平均屈折率である。
【0048】
図5を参照して、各電極の幅Wは、電極それぞれで同じであってもよいし、画像表示装置10に対する位置に応じて電極ごとに変化してもよい。別段の記載がない限り、以降のすべての実施形態において、各電極の幅Wは、電極それぞれについて同じであるものとする。
図5を参照して、2つの隣接する電極間のギャップGは、隣接する電極の対ごとに同じであってもよいし、画像表示装置10に対する位置に応じて電極の対ごとに変化してもよい。別段の記載がない限り、以降のすべての実施形態において、2つの隣接する電極間のギャップGは、隣接する電極の対ごとに同じであるものとする。
図5を参照して、電極ピッチEPは、G+Wに等しく、電極それぞれについて同じであってよいし、画像表示装置10に対する位置に応じて電極ごとに変化してもよい。別段の記載がない限り、以降のすべての実施形態において、電極ピッチEPは、電極それぞれについて同じであるものとする。
図4、
図5及び
図20を参照して、電極グループピッチφは、6×EPに等しい。電極グループピッチφは、電極グループごとで同じであってよいし、画像表示装置10に対する位置に応じて電極グループごとに変化してもよい。別段の記載がない限り、以降のすべての実施形態において、電極グループピッチφは、電極グループそれぞれについて同じであるものとする。
図5及び
図20を参照して、第1基板21上の複数の電極は第2基板22上の複数の電極からEP/2に等しい一定距離、又はEP/2に略等しい一定距離だけずれていてもよい(すなわち10μm以内、好ましくは5μm以内)。各電極の幅(W)と電極間のギャップ(G)はフォトリソグラフィープロセスにより規定されるため、各電極の幅(W)、電極間ギャップ(G)、電極ピッチ(EP)、及び電極グループピッチ(φ)は動的に変化させることはできない。言い換えると、距離W、G、EP及びφは特定の設計に従って決定され、前記各距離は能動的に制御されない。
【0049】
図4及び
図5に示す電極構成は、本発明に適合する電極構成の一例に過ぎない。
図4及び
図5の代わりに、
図22を参照して、独立してアドレス駆動可能な電極(E1〜E12)を第2基板22上にのみ配設し、共通電極を第1基板21上に配設してもよい。第1基板21が裸眼立体表示装置1の表示側90に配置されてもよいし、第2基板22が裸眼立体表示装置1の表示側90に配置されてもよい。
図4及び
図5の代わりに、
図22を参照して、独立してアドレス駆動可能な電極(E1〜E12)すべてを周期的に第2基板22上にのみ配設し、共通電極ECOMを第1基板21上に配設してもよい。電極E10、E11、E12は
図22に記載されていない。独立してアドレス駆動可能な電極(E1〜E12)及び共通電極ECOMに電圧を印加することによって、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20内にパララックスバリアが形成されてもよい。単一の基板にのみ(第1基板21又は第2基板22)独立してアドレス駆動可能な電極(E1〜E12)を周期的に配設すると、製造コストが安くなるという利点がある。上述したように、独立してアドレス駆動可能な12個の電極が周期的に単一基板上に配設されている場合、電極E1は電極E2及び電極E12に隣接する。
【0050】
図4及び
図5の代わりに、液晶パララックスバリアパネル20に二層電極が使用されてもよい。二層電極の一例を
図20に示す。
図20を参照して、第1基板21及び第2基板22は二層電極構造を有する。第1基板21は、(1)第1基板21上に周期的に配設された複数の電極部分(E7〜E12)からそれぞれ形成された、独立してアドレス駆動可能な電極からなる第一層と、(2)独立してアドレス駆動可能な電極からなる第一層上に配設された絶縁層25と、(3)絶縁層25上に周期的に配設された複数の電極部分(E7〜E12)からそれぞれ形成された、独立してアドレス駆動可能な電極からなる第二層と、を含む。すなわち、電極部はそれぞれ、パネルの厚さ方向に互いにずれ、かつ、横方向に互いにずれた2つの部分で形成されている。電極部の当該2つの部分は互いに電気的に接続されている。第一層に係る電極部Enは、第二層に係る電極部Enに電気的に接続されている。nは整数である。第1基板21の第一層に係る、独立してアドレス駆動可能な電極E11の一例が
図20の参照符号26により示されている。第2基板の第二層に係る、独立してアドレス駆動可能な電極E11の一例が
図20の参照符号27により示されている。第1基板21の複数の第一層電極は、基板に対して垂直な方向から見たときに第二層電極部(例えば、第二層電極部E11(27))が、対応する第一層電極部及び隣接する第一層電極部との間のギャップ(例えば、第一層電極部E11(26)と隣接する第一層電極部E10との間のギャップ)を埋めるように、又はほぼ埋めるように、電極間ギャップGに等しいか、又は略等しい分だけ第1基板の複数の第二層電極からオフセットされていてもよい(すなわち、6μm以内、好ましくは4μm以内)。これにより、隣接する電極部分によって規定されるダーク領域間のギャップをなくす、又はほとんどギャップをなくすことができる(例:電極部分E11(26、27)によって規定されるダーク領域と電極部分E10によって規定されるダーク領域との間にギャップがない、またはほとんどギャップがない)。それゆえ、結果として生じるパララックスバリアの品質が改善する。同様に、第2基板22の複数の第一層電極は、電極間ギャップGに等しいか、又は略等しい分だけ第2基板の第二層電極から離れている(すなわち、6μm以内、好ましくは4μm以内)。(独立してアドレス駆動可能な第一層と独立してアドレス駆動可能な第二層との間に位置する)絶縁層25は、画像表示領域(すなわち、画像を表示する、裸眼立体表示装置1の領域)において、独立してアドレス駆動可能な第一層と独立してアドレス駆動可能な第二層との間の電気的接続を妨げる。絶縁層25は、例えば、シリコン窒化物(SiNx)であってもよく、150nm〜300nmの範囲の厚さを有してもよい。
【0051】
図4及び
図5の代わりに、
図23を参照して、独立してアドレス駆動可能な電極(E1〜E12)すべてが第2基板22上にのみ二層電極構造で周期的に配設され、共通電極ECOMが第1基板21に配設されてもよい。第1基板21が裸眼立体表示装置1の視認側90に配置されてもよいし、第2基板22が裸眼立体表示装置1の視認側90に配置されてもよい。
図23を参照して、第2基板22は、(1)第1基板22上に周期的に配設された複数の電極部分(E1〜E12)からそれぞれ形成された、独立してアドレス駆動可能な電極からなる第一層と、(2)独立してアドレス駆動可能な電極からなる第一層上に配設された絶縁層25と、(3)絶縁層25上に周期的に配設された複数の電極部分(E1〜E12)からそれぞれ形成された、独立してアドレス駆動可能な電極からなる第二層と、を含む。E10、E11、及びE12は
図23に図示されていない。独立してアドレス駆動可能な電極(E1〜E12)及び共通電極ECOMに電圧を印加することによって、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20内にパララックスバリアが形成される。上述したように、独立してアドレス駆動可能な12個の電極が周期的に単一基板上に配設されている場合、電極E1は電極E2及びE12に隣接する。
図20を参照して説明された理由により、第2基板の複数の第一層電極は、電極間ギャップGに等しいか、又は略等しい分だけ複数の第二層電極からオフセットされている(すなわち、6μm以内、好ましくは4μm以内)。
【0052】
電極部の第一層における電極部分と、対応する電極部の第二層における電極部分との電気的接続は画像表示領域外で発生する。電極部の第一層と電極部の第二層との電気的接続は
図20には記載されていない。電極部Enは、幅Wを有する。電極部Enは、電極部の同じ層の隣接する電極部分との間のギャップGを有する。
【0053】
図20を参照して、基板上の第一層に係る独立してアドレス駆動可能な電極それぞれの幅Wは、その基板上の第一層に係る他の独立したアドレス駆動可能な電極の幅Wと同じであってもよいし、異なっていてもよい。基板上の第一層に係る独立してアドレス駆動可能な電極の隣接対(例えば、E9及びE10)のギャップGは、基板上の第一層に係る独立してアドレス駆動可能な電極の他の隣接対と同じであってもよいし、異なっていてもよい。基板上の第二層に係る独立してアドレス駆動可能な電極それぞれの幅Wは、その基板上の第二層に係る他の独立したアドレス駆動可能な電極の幅Wと同じであってもよいし、異なっていてもよい。基板上の第二層に係る独立してアドレス駆動可能な電極の隣接対(例えば、E8及びE9)のギャップGは、基板上の第二層に係る独立してアドレス駆動可能な電極の他の隣接対と同じであってもよいし、異なっていてもよい。基板上の第一層に係る独立してアドレス駆動可能な電極それぞれの幅Wは、その基板上の第二層に係る他の独立したアドレス駆動可能な電極の幅Wと同じであってもよいし、異なっていてもよい。基板上の第一層に係る独立してアドレス駆動可能な電極の隣接対(例えば、E9及びE10)のギャップGは、その基板上の第二層に係る独立してアドレス駆動可能な電極の他の隣接対(例えば、E8及びE9)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0054】
基板上の独立したアドレス駆動可能な電極の第一層は、当該基板上の独立したアドレス駆動可能な電極の第二層からオフセットされている。これは、非二層電極構造の電極間に存在するギャップGを効率的に除去するためである。言い換えると、基板上の独立したアドレス駆動可能な電極の第一層は、ギャップGを効率的に除去するために、その基板上の独立したアドレス駆動可能な電極の第二層からG分だけオフセットされる。
図20を参照して、第一層に係る電極E12の左端は、横方向において、第二層に係る電極E7の右端と一致する。
図20を参照して、第二層に係る電極E12の右端は、横方向において、第一層に係る電極E11の左端と一致する。第一層の電極E12が第二層の電極E12に電気的に接続されている場合、E12は幅EPの単一の電極と見なすことができる。言い換えれば、電極ピッチは、実際上、独立にアドレス駆動可能な電極の間にギャップを含まない。例えば、
図20を参照して、電極E12と電極E7との間には実質的にギャップが存在しない。
【0055】
図20を参照して、第2基板22上の二層電極(E1〜E6)は、第1基板21上の二層電極と同様に構成されてよい。
図20に示すように、第1基板21の電極に係る電極ピッチEPは、第2基板22の電極に係る電極ピッチEPから、EP/2に等しく、又は実質的にEP/2に等しく、オフセットされてもよい(すなわち、10μm以内、好ましくは5μm以内)。第1基板上のみに二層電極構造を使用し、第2基板上には、共通電極を使用してもよい。
図23に示すように、第2基板上のみに二層電極構造を使用し、第1基板上には、共通電極を使用してもよい。
図20に示すように、二層電極構成は、第1基板上及び第2基板上に使用してもよい。
【0056】
原理的には、
図20または
図23の実施形態では、第二層の電極部分(第二層の電極部分E11(27)など)の幅は、第一層の対応する電極部分と第一層の隣接する電極部分との間のギャップ(第一層の電極部分E11(26)と第一層の電極部分E10との間のギャップ)と同じくらい小さく作製することができる。なぜならば、そのように作製することで、第一層の隣接する電極部分間に存在するギャップを効率的に除去できるためである。しかしながら、実際には、同じマスクを用いて基板上に電極部分の2つの層を規定すると都合がよい。この場合、第二層の電極部分の幅は、第一層の対応する電極部分の幅と同じ(製造誤差範囲内)である。
【0057】
二層電極構成(
図20)の利点は、単一層電極構成(
図4)よりも高品質3D(低光学3Dクロストーク)を実現しうる点にある。電極の二層電極構成により、独立してアドレス駆動可能な電極間のギャップGを効率的に排除し、高品質3D(低光学3Dクロストーク)を実現することができる。このことを
図6及び
図7を参照して説明する。
図6及び
図7において、バリアBRは、スリットSLに達するまで連続的に現れる。しかしながら、
図6及び
図7は、バリアBR上の有限ギャップGの影響を正確に示していない。より正確に説明すると、
図6及び
図7には示されていないが、バリアBRは、隣接する独立してアドレス駆動可能な電極間のギャップGにおいて発生する非常に小さなスリットSL領域を有しうる。バリア領域BRを穿孔するこれらの不要な非常に小さなスリットSL領域(不図示)は、望まれない光学的3Dクロストークを引き起こす。
図20の二重層電極構成が使用される場合、独立してアドレス駆動可能な第一層と独立してアドレス駆動可能な第二層との間のオフセットによって、バリア領域内のこれらの非常に小さい透過スリット領域は除去されうる。電極の二層電極構成の欠点は、単層電極構成よりも製造コストが高くなりうる点にある。
【0058】
図4及び
図20は、液晶パララックスバリアパネル20を示す。
図20に示す電極構成の詳細は
図4に示す電極構成とは異なるが、以降のすべての実施形態において、
図4及び
図20に係る液晶パララックスバリアパネル20は、実際上は入れ替え可能である。
【0059】
図6を参照して、独立してアドレス駆動可能な電極(E1〜E12)に電圧を印加することによって、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20内にパララックスバリアが形成される。
図6は、
図4に関連して記載されているが、
図20にも適用可能である。パララックスバリアは、以後バリアBRと称される非透過領域と、以後スリットSLと称される透過領域とを含む(実際には、非透過領域または「バリア」は完全に不透明ではなく、透過領域または「スリット」は完全に透過する訳ではなく、これらの領域は「最小透過」領域、及び「最大透過」領域と称されるのがより適切である。しかしながら、便宜上、「非透過領域」及び「透過領域」との用語が使用される。)。一例では、バリアBRは、偏光板14及び偏光板24(図示せず。
図4に図示)と組み合わせて、第1基板21上の電極と第2基板22上の電極との電位差を与えることにより形成される。言い換えると、この例では、切換可能な液晶パララックスバリアパネル20はノーマリーホワイトモードである。スリットSLは、偏光板14及び偏光板24(図示せず)と組み合わせて、第1基板21上の電極と第2基板22上の電極との電位差を与えることにより形成されてよい。言い換えると、この代替例では、切換可能な液晶パララックスバリアパネル20はノーマリブラックモードである。他に言及がない限り、以降のすべての実施形態では、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20はノーマリーホワイトモードであるものとする。
【0060】
図6は、第1電圧が電極E9、E8及びE7に印加され、第2電圧が残りの電極E1、E2、E3、E4、E5、E6、E10、E11及びE12に印加される様子を示す。第1電圧と第2電圧との電位差と偏光板14及び偏光板24(図示せず)との組み合わせはバリア(非透過領域)を形成するのに十分である。切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20は、90°ツイストネマチックモードであってもよい。第1電圧と第2電圧との電位差は、2.5V〜9Vの範囲内であってよい。第1電圧と第2電圧との電位差は、4V〜6Vの範囲内であってよい。他に言及がない限り、以降のすべての実施形態では、第2電圧は接地されている、すなわち0Vであるものとする。
【0061】
図6は、バリア(BR)幅がスリット(SL)幅にほぼ等しく、スリット(SL)幅は3×EPの幅にほぼ等しいことを示す。あるいは、例えば電極E10、E9、E8、及びE7に第1電圧を印加し、残りの電極E1、E2、E3、E4、E5、E6、E11及びE12に第2電圧を印加することによって、バリア幅を4×EPにほぼ等しくすることができる。あるいは、例えば電極E8及びE7に第1電圧を印加し、残りの電極E1、E2、E3、E4、E5、E6、E9、E10、E11及びE12に第2電圧を印加することによって、バリア幅を2×EPにほぼ等しくすることができる。他に言及がない限り、以降のすべての実施形態では、
図6に示すように、バリア(BR)幅はスリット(SL)幅にほぼ等しく、スリット(SL)幅は3×EPの幅にほぼ等しいものとする。
【0062】
図7は、第1電圧が電極E3、E2及びE1に印加(又は、アドレス駆動)され、第2電圧が残りの電極E4、E5、E6、E7、E8、E9、E10、E11、及びE12に印加(又は、アドレス駆動)された様子を示す。
図7は、
図4に関連して記載されているが、
図20にも適用可能である。第1電圧と第2電圧との電位差と偏光板14及び偏光板24(図示せず)との組み合わせはバリアBR(非透過領域)を形成するのに十分である。
図7は、バリア(BR)領域の位置及びスリット(SL)領域の位置が、
図6のバリア(BR)領域の位置及びスリット(SL)領域の位置に対してほぼEP/2の距離だけ移動している様子を示す。
【0063】
図6及び
図7の電極配置について、スリット(SL)位置は12の固有の位置を有する。各スリット位置は、関連するスリット位置番号を有する。
図6について、スリット位置番号を9と定義する。
図7について、スリット位置番号を10と定義する。スリット位置番号と電極値との完全な関係を
図8に示す。
図8を参照して、「0」は第2電圧を示し、0Vの値をとる(すなわち、電極はオフになる)。
図8を参照して、「1」は第1電圧を示し、2.5ボルトから9ボルトの範囲内のVボルトの値をとる(すなわち、電極がオンにされる)。
図8を参照して、スリット位置番号は周期的であり、したがって、スリット位置番号1に関連するスリット位置はスリット位置番号2及び12のスリット位置に隣接する。
【0064】
以下の説明では、電極部分はパララックスバリアパネルのすべての領域において、同じ周期(つまり、
図4、6及び7に示される周期)で配置されるものとする。もしそうでない場合、ある一つの領域における電極部分は他の領域における電極部分とは異なる周期で構成されるべきである。領域間における同一周期の差異はパララックスバリアパネルのアドレス駆動の間に補償されうる。
【0065】
図4、
図20、
図6、
図7、
図8、及び先行技術(特に国際出願公開第2014/136610号)を参照して、切り替え可能液晶パララックスパネル20は、画像表示パネル10、カメラ、顔/頭部/眼球トラッキングソフトウェア、及び制御ユニットとともに使用され、左眼用画像を左眼90Lへ、右眼用画像を右眼90Rへ向け、広範囲にわたる横方向の頭部動作に対して高品質3D画像を表示させることができる。本質的に、ユーザーが左右に動作すると、顔/頭部/眼球トラッキングソフトウェアは、ユーザーの横方向における位置の変化を認識し、制御ユニットに情報を送信する。制御ユニットは、高品質3D画像の表示を可能とする適切な電極をスイッチオンにする。
【0066】
図9は、裸眼立体表示装置1の軸上に位置する観察者に対する3D表示領域70の表示である(すなわち、観察者の頭部位置は、眼90R及び眼90Lを二分する破線によって示される裸眼立体表示装置1の中心に位置する)。3D表示領域70の範囲(網掛け部)は、光学モデリングソフトウェア(例えば、光線追跡ソフトウェア)により正確に計算することができる。
図9に示す3D表示領域70の横方向及び縦方向の広がりは、本発明について読者に教示するために説明のためにのみ描写されたものである。ユーザーの両眼(90R及び90L)が3D表示領域70内に位置するとき、ユーザーは高品質3D画像を見ることができる。画像表示パネルに10に表示された右眼用画像は、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20によって観察者の右眼90Rに導かれる。画像表示パネルに10に表示された左眼用画像は、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20によって観察者の左眼90Lに導かれる。
図8を参照して、単一のスリット位置番号に対する3D表示領域70が
図9に示されている。3D表示領域70の外側に少なくも一方の眼が位置するように観察者が左右に動いた場合(横方向の動き)、左眼用画像が右眼90Rに知覚され、その逆もまた同様であることから、低品質3D表示が知覚される。これを防止するため、観察者が左右に動いた場合(横方向の動き)、3D表示領域70がいつも両方の眼を包含し、高品質3D表示が維持されるように、スリット位置番号(つまり、電極電圧)が変化する(すなわち、頭部/顔/眼球トラッキングシステムが使用される)。一般に、裸眼立体表示装置1の横幅はADDWで表される。
図9では裸眼立体表示装置1の横幅はADDW1で表される。電極グループピッチ(φ)は、式φ=2PP/Vd(Vd+S/n)を使用してVd61で示される最適3D視認距離を提供するように選択されてよい。
図9は、観察者が視認距離Vd61にあるときに、高品質の3D画像を維持しつつ同じスリット位置番号に対してある程度の横方向の頭部の動きが許容されることを示す。
図9は、観察者が視認距離Vd60又はVd62にあるときに、高品質の3D画像を維持しつつ、同じスリット位置番号に対して横方向の頭部の動きが全く許容されない様子を示す。
図9は、最小視認距離Vd60及び最大視認距離Vd62が存在することを示す。実際上、最小視認距離Vd60は、
図9に記載されるよりは最適視認距離Vd61に若干近い。実際上、最大視認距離Vd62は、
図9に記載されるよりは最適視認距離Vd61に若干近い。簡略化のために、Vd60が最小視認距離であり、Vd62が最大視認距離であるものとする。一般に、最大視認距離Vd62と最小視認距離Vd60との差は、縦方向視認距離範囲VdR(すなわち、VdR=Vd62−Vd60)であり、
図9に固有の縦方向視認距離範囲はVdR1である。縦方向視認距離範囲VdRの大きさは、多くのパラメータによる関数である。VdRの大きさを決定するパラメータのうちの2つは、裸眼立体表示装置の幅ADDW(横幅)及び最適視認距離Vd61である。
図9に示すように、所与の最適視認距離Vd61及び所与の裸眼立体表示装置幅ADDW1に対して第1視認距離範囲VdR1が得られる。
【0067】
図10は、裸眼立体表示装置1の軸上に位置する観察者に対する3D表示領域70の表示であり、本質的に
図9に記載された3D表示領域70と同一である。
図10に示す最適視認距離Vd61は、
図9に示す最適視認距離Vd61と同一である。
図10に示す裸眼立体表示装置幅ADDW2は、
図9に示す裸眼立体表示装置幅ADDW1よりも大きい。裸眼立体表示装置幅がADDW1からADDW2へ増加することで、縦方向の視認距離範囲VdRが減少する(すなわち、最大視認距離Vd62から最小視認距離Vd60を引いた値が減少する)。
図10に示すように、所与の最適視認距離Vd61及び所与の裸眼立体表示装置幅ADDW2に対して第2視認距離範囲VdR2が得られる。多くの用途において、所望の最適視認距離Vd61及び所望の裸眼立体表示装置幅ADDWによって不十分に小さい縦視認距離範囲VdRがもたらされる。
【0068】
所定の頭部位置に対して高品質3D画像が観察されるように、それぞれの電極幅(W)及び/又はそれぞれの電極間ギャップ(G)を制御して、切り替え可能液晶パララックスパネル20の電極群ピッチ(φ)を制御することで有効な縦方向視認距離範囲VdRが大きくなることが周知技術において報告されている。φ=2PP/Vd(Vd+S/n)の式を参照して、電極群ピッチ(φ)を制御することにより最適視認距離Vd(すなわち、Vd61)が制御可能であることは明らかである。しかしながら、電極幅(W)、電極間ギャップ(G)、及び電極群ピッチ(φ)は、特定の設計に基づくフォトリソグラフィプロセスにより規定されるため、最適視認距離Vdは公知技術を用いて調整することはできない。
【0069】
電極グループのピッチ(φ)を制御しないパララックスバリアの設計及び方法を使用して、実効的な縦視認距離範囲VdRを大幅に増加させることを可能にした驚くべき実験結果が見出された。この驚くべき実験結果は、新しいタイプの切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20の設計を可能にした。新しいタイプの切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20は、より長い縦視認距離範囲VdRを実現し、その結果、幅広い頭部位置から高品質3D画像を見ることが可能となる。新しいタイプの液晶パララックスバリアパネル20は、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200である。
図11を参照して、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200は、横(左右)方向及び縦方向(前後)に3D表示領域70を移動可能にし、それにより、横方向及び縦方向の両方において大きな有効3D表示領域71を実現する。
図11に示されている有効3D表示領域71の形状は、例示的のみを目的とする。有効3D表示領域71の形状は、正方形、長方形、台形などであってもよい。任意の所与の頭部位置に対して、3D表示領域70は比較的小さくてもよいが、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200が左右及び前後方に3D表示領域70を移動させる能力を有することにより、大きな有効3D表示領域71が形成される。
【0070】
本発明に係る複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200とは対照的に、複数の独立した電極を有する単一領域液晶パララックスバリアパネルは、横方向(左右)方向にのみ3D表示領域70の移動が可能である。結果として、複数の独立した電極を有する単一領域液晶パララックスバリアパネルでは、大きな有効3D表示領域71は、横方向においてのみ実現され、縦方向には実現されない。複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200は、縦方向においてより大きな有効3D表示領域71を可能とすることから、単一領域液晶パララックスバリアパネルよりも有利である。
【0071】
9つの領域を有する複数の領域を持つ切り替え可能液晶パララックスバリアパネル200の一例が
図12(側面図)及び
図13(正面図)に示されている。
図13(正面図)を参照して、複数の領域を持つ切り替え可能液晶パララックスバリアパネル200の視認可能領域の高さがADDHで示され、複数の領域を持つ切り替え可能液晶パララックスバリアパネル200の視認可能領域の幅がADDW及びADDW2で示される。
図13(正面図)を参照して、ADDW×ADDHにより規定される領域が、裸眼立体表示装置1の視認可能領域である(すなわち、裸眼立体表示装置1の視認可能領域の平面はページの平面と一致する)。
図12及び
図13を参照して、領域1は「R1」、領域2は「R2」などとラベル付けされている。一般に、領域pは「Rp」と表示される。pは整数である。複数の領域を持つ切り替え可能液晶パララックスバリアパネル200は10以上の領域を有することができる。複数の領域を持つ切り替え可能液晶パララックスバリアパネル200は、9未満の領域を有することができる。より多くの領域を有することの第1の利点は、より高品質の3D画像を観察者に知覚させられる点である(すなわち、左眼90Lに左画像を、右眼90Rに右画像を向ける精度が高くなる。すなわち、3Dクロストークが少なくなる)。より多くの領域を有する第2の利点は、特に縦方向において、より大きな有効3D表示領域70が可能になる点である。より少ない領域を有する利点は、裸眼立体表示装置1が簡素化する点にある(よりシンプルな駆動回路、よりシンプルな実装など)。20cm〜35cmの範囲の表示幅ADDWを有する裸眼立体表示装置1について、9つの領域の使用は、3D画像品質、有効3D表示領域サイズ、及び設計の簡素化でよいバランスを保つことが見出された。9つの領域の使用は、20cm〜35cmの範囲の表示幅ADDW、50cm〜60cmの範囲の最小視認距離Vd60、及び80cm〜100cmの範囲の最大視認距離Vd62を有する裸眼立体表示装置1の好ましい折衷的な設計であることが見出された。奇数個の領域の使用は、裸眼立体表示装置1を見るときに、ユーザーの頭部位置が(
図10に示すように)実質的に軸上の中心にある場合に有利であることが見出された。
【0072】
複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200は、液晶パララックスバリアパネル20の新規タイプである。
図1、
図2、及び
図3を参照して、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の画像表示装置10に対する位置は、液晶パララックスバリアパネル20の位置と同じであってもよい。特段の言及がなければ、以降のすべての実施形態は、画像表示装置10が裸眼立体表示装置1の表示側90に配置される
図2に関連して記載される。しかしながら、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200が裸眼立体表示装置の表示側90に配置されてもよい。
【0073】
単一領域液晶パララックスバリアパネルは、独立してアドレス駆動可能な単一グループの電極を有する(例えば、
図4に示すE1〜E12)。当該独立してアドレス駆動可能な単一グループの電極は、表示領域ADDWの全幅に亘って延びるように繰り返される。本発明に係る複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200は、少なくとも第1領域と、少なくとも第2領域と、を有する。上記第1領域は、独立してアドレス駆動可能な少なくとも第1グループを含む。上記第2領域は、独立してアドレス駆動可能な少なくとも第2グループを含む。第1領域の電極は、第2領域に係る電極からは独立してアドレス駆動される。一般に、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200は複数の領域を有する。すなわち、
図12又は
図13に記載された複数の領域を持つパララックスバリアの各領域R1...R9はそれぞれ、本明細書に記載された複数の例のうちの1つの例に従って、独立してアドレス駆動可能な電極のグループを有する。例えば、それぞれの領域は、
図4、
図20、
図22、
図23、
図24、
図28、又は
図29に示されるような複数の電極部分を有する電極E1〜E12を含んでよい。1つの領域中の電極は、パララックスバリアパネルの他の領域の電極からは独立してアドレス駆動可能である。
【0074】
複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200における独立してアドレス駆動可能な電極の総数は、各領域における独立してアドレス駆動可能な電極の合計である。
図12及び
図13を参照して、独立してアドレス駆動可能な電極の数が各領域で同じであり、それが12である場合、独立してアドレス駆動可能な電極の総数は12×9=108である。
【0075】
上記第1領域に係る上記第1グループにおける独立してアドレス駆動可能な電極の部分は、画像表示装置10に係る上記第1領域(WR1)の幅に亘って繰り返される。上記第2領域に係る上記第2グループにおける独立してアドレス駆動可能な電極の部分は、画像表示装置10に係る上記第2領域(WR2)の幅に亘って繰り返される。その他の領域についても同様である。
【0076】
より一般的には、独立してアドレス駆動可能な電極の数が各領域において同じである場合、各グループは独立してアドレス駆動可能な電極をn個含み、画像表示装置10の第p領域(WRp)の幅に亘って延びるように、上記グループはm回繰り返される(つまり、電極はm個の部分を有する)。ここで、mは整数である。第1領域WR1の幅は、第2領域WR2の幅に等しくてもよいし、ほぼ等しくてもよいし、等しくなくてもよい。一般に、第p領域WRpの幅は、第p+1領域WRp+1の幅に等しくてもよいし、ほぼ等しくてもよいし、等しくなくてもよい。pは1からpまでの整数であり、p個の領域が存在する。特段の言及がなければ、以降のすべての実施形態は、各領域の幅はほぼ同じであるものとする。ここで、2つの領域は互いに同じ幅を有し、m
p(ここで、m
pは第p番領域のmの値)は各領域について同じ値を有してよい。
【0077】
複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネルは、1つ以上のモードで動作可能である。あるモードでは、パララックスバリアパネルは、受信駆動信号に基づいて、ある領域の電極と他の領域の電極とをアドレス駆動する。ある領域の電極は、その領域の第1パララックスバリアアレイを規定する。他の領域の電極は、異なるパララックスバリアアレイを規定する。後述するように、例えば、
図16を参照して、表示パネルから観察者までのある視認距離に対して良好な3D画像品質が提供される。
【0078】
さらに、パララックスバリアパネルは、同じパララックスバリアアレイがパネルの各領域に規定されるように、第2駆動信号に基づいて、パララックスバリアの領域内の電極をアドレス駆動してよい。以下に説明するように、例えば、
図16を参照して、一様なパララックスバリアアレイがパネル全体にわたって規定されているときに、最良の3D画像品質をもたらす視認距離が存在する(
図16の例では、視認距離は730mm)。
【0079】
さらに、パララックスバリアパネルは、結像機能を提供しないように、第3駆動信号に基づいて、パララックスバリアの領域内の電極をアドレス駆動してよい。そして、パララックスバリアパネルに関連する画像表示パネルは、従来の2D表示モードで動作することができる。
【0080】
第1駆動信号及び第2駆動信号は、例えば、観察者とパネルとの距離を決定する(すなわち、視認距離を決定する)1または複数の位置センサからの入力を使用して得ることができる。パララックスバリアパネルの各領域におけるパララックスバリアの所望の構成は、
図16に示すように予め記憶された情報から決定されるか、毎回新たに計算され、それに応じて各領域の電極がアドレス駆動される。第3駆動信号は、例えば、2D表示モードが望ましいことを示す、入力表示信号又はユーザー入力から得られる。
【0081】
図21を参照して、切り替え可能な複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200について、第1領域(例えば、領域1)と第2領域(例えば、領域2)との境界における独立してアドレス駆動可能な電極の概略的なレイアウトが示される。
図21は、
図4又は
図20のいずれかにより示される電極構成に関連して記載されている。明確な図示のため、基板、偏光板、LC配向層等は
図21には図示されていない。領域1は、独立してアドレス駆動可能な12の電極を一つのグループ内に有し、それらはR1E1〜R1E12とラベルが付されている。領域1の電極は、周期的な構成を有しており、電極E1は電極E2及び電極E6等に隣接する。領域1の電極は、周期的な構成を有しており、電極E7は電極E8及び電極E12等に隣接する。領域2は、独立してアドレス駆動可能な12の電極を一つのグループ内に有し、それらはR2E1〜R2E12とラベルが付されている。領域2の電極は、周期的な構成を有しており、電極E1は電極E2及び電極E6等に隣接する。領域2の電極は、周期的な構成を有しており、電極E7は電極E8及び電極E12等に隣接する。電極の周期的配置は、領域1と領域2との境界で維持されている。例えば、電極E7は常に電極E8及び電極E12に隣接する。固有の電極ラベルはそれぞれ、独立してアドレス駆動可能な電極を意味する。
図21は、独立してアドレス駆動可能な24個の電極を示す。
【0082】
図4、
図5、
図6、
図7及び
図20を参照して、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の所与の領域(R1、R2等)の電極配置は、液晶パララックスパネル20と同じであってよい。第1領域に係る1グループに含まれる独立してアドレス駆動可能な電極の数は、第2領域に係る別のグループに含まれるアドレス駆動可能な電極の数と同じであってもよく、異なっていてもよい。一般に、領域pに係る第mグループ内に含まれる独立にアドレス駆動可能な電極の数は、領域p+1に係る第mグループ内に含まれる独立してアドレス駆動可能な電極の数と同じであってもよく、異なっていてもよい。ここで、pは整数である。別段の記載がない限り、以降のすべての実施形態について、各領域に属する各グループ内に含まれる独立してアドレス駆動可能な電極の数は、同じであり、例えば12であるものとする。
【0083】
図5を参照して、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の第1領域に関連する各電極の幅Wは、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の第2領域に関連する各電極の幅と同じであってもよいし、ほぼ同じであってもよいし、異なっていてもよい。一般に、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の領域pに関連する各電極の幅Wは、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の領域p+1に関連する各電極の幅と同じであってもよいし、ほぼ同じであってもよいし、異なっていてもよい。ここで、pは整数である。別段の記載がない限り、以降のすべての実施形態について、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の各領域における各電極の幅Wは同じであるものとする。
【0084】
図5を参照して、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の第1領域に係る各電極間のギャップGは、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の第2領域に係る各電極間のギャップと同じであってもよいし、ほぼ同じであってもよいし、異なっていてもよい。一般に、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の第p領域に係る各電極間のギャップGは、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の第p+1領域に係る各電極間のギャップと同じであってもよいし、ほぼ同じであってもよいし、異なっていてもよい。ここで、pは整数である。別段の記載がない限り、以降のすべての実施形態について、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の各領域に係る各電極間のギャップGは同じであるものとする。
【0085】
図5を参照して、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の第1領域に係る電極ピッチEPは、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の第2領域に係る電極ピッチと同じであってもよいし、ほぼ同じであってもよいし、異なっていてもよい。一般に、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の第p領域に係る電極ピッチEPは、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の第p+1領域に係る電極ピッチEPと同じであってもよいし、ほぼ同じであってもよいし、異なっていてもよい。ここで、pは整数である。別段の記載がない限り、以降のすべての実施形態について、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の各領域に係る電極ピッチEPは同じであるものとする。
【0086】
図14を参照して、第1領域R1の第1基板21上の周期的な電極レイアウトの例が示されている。電極(E7、E8、E9、E10、E11、E12とラベルされた電極)は、表示領域の高さADDH全体に亘って延在している。グループピッチφが示されている。
図14は、第1領域R1の幅WR1を満たすためにグループピッチが3回繰り返されている様子を示す。実際には、第1領域の幅WR1を埋めるためにグループピッチはm1回繰り返されてよい。m1は整数である(一般に、第p領域の幅WRpを満たすためにグループピッチはmp回繰り返される)。第1基板に係る電極は、ディスプレイ表示領域の外側に配置された電気配線(不図示)を介して駆動回路(不図示)に接続される。言い換えると、
図14は、第1領域に係る複数の第1電極を示す。当該複数の第1電極は、互いに独立してアドレス駆動可能である。当該複数の第1電極は、第1方向(y方向)に沿って延び、かつ、第1方向とは異なる第2方向(x方向)に沿って互いに横方向に離間する2以上の電極部を含む。上記複数の第1電極の電極部は周期的配置で構成されている。すなわち、
図14の電極部E12は、同じ電極(第12電極)の部分であり、
図14には不図示の導電配線部により電気的に接続されている。同様に、
図14の電極部E11は、第11電極の部分であり、互いに電気的に接続されている。
【0087】
図15を参照して、第1領域R1の第2基板22上の周期的な電極レイアウトの例が示されている。電極(E1、E2、E3、E4、E5、E6とラベルされた電極)は、表示領域の高さADDH全体に亘って延在している。グループピッチφが示されている。
図15は、第1領域R1の幅WR1を満たすためにグループピッチが3回繰り返されている様子を示す。実際には、第1領域の幅WR1を埋めるためにグループピッチはm1回繰り返されてよい。m1は整数である(一般に、第p領域の幅WRpを満たすためにグループピッチはmp回繰り返される)。第2基板に係る電極は、ディスプレイ表示領域の外側に配置された電気配線(不図示)を介して駆動回路(不図示)に接続される。言い換えると、
図15は、第1領域に係る複数の第1電極を示す。当該複数の第1電極は、互いに独立してアドレス駆動可能である。当該複数の第1電極は、第1方向(y方向)に沿って延び、かつ、第1方向とは異なる第2方向(x方向)に沿って互いに横方向に離間する2以上の電極部を含む。上記複数の第1電極の電極部は周期的配置で構成されている。すなわち、
図15の電極部E6は、同じ電極(第6電極)の部分であり、
図15には不図示の導電配線部により電気的に接続されている。同様に、
図10の電極部E5は、第5電極の部分であり、互いに電気的に接続されている。
【0088】
図4、
図5、
図6、
図7、
図20、
図14及び
図15を参照して、第1基板21に係る電極は、第2基板22に係る電極から、電極ピッチの2分の1、すなわちEP/2と等しいか、ほぼ等しい分だけオフセットされている。
【0089】
所与の頭部位置に関する
図8を参照して、第1領域R1は、第1スリット位置番号を有するパララックスバリアを規定するようにアドレス駆動され、第2領域R2は、第2スリット位置番号を有するパララックスバリアを規定するように独立してアドレス駆動される。第1スリット位置番号は、第2スリット位置番号と同じであってもよい(すなわち、第1領域及び第2領域で同じパララックスバリア配列が規定される)。又は、第1スリット位置番号は第2スリット位置と異なっていてもよい(すなわち、第1領域及び第2領域で異なるパララックスバリア配列が規定される)。一般に、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200の各領域(R1、R2等)のスリット位置番号は、独立して制御されてよい。すべての頭部位置に対して隣接領域のスリット位置番号が2以上のスリット位置番号によって異なることを要求されることがないように十分な領域数を有する複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200を設計することが有利である。
図8を参照して、スリット位置1は、スリット位置2及びスリット位置12に隣接する。
【0090】
図16は、裸眼立体表示装置1からの距離が変化したときの、裸眼立体表示装置1の軸上の観察者に対する各領域(R1、R2等)のスリット位置番号を例示する(すなわち、観察者の頭部位置は、裸眼立体表示装置1の中央に位置し、横方向の位置が一定である。)。
図16の行に従うスリット位置番号を有するパララックスバリアを含むように複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200の領域を駆動すると、当該行に対応する表示装置からの距離に位置する観察者に対して高品質3Dを表示することができる。軸上の観察者は、位置x=0に位置すると考えることができ、中央表示部から左側は負のx位置であり、中央表示部から右側は正のx位置である。上述したように、従来の単一領域切替可能液晶パララックスバリアパネル20のスリット位置番号は、横方向頭部位置の関数としてのみ変化する。対照的に、本発明に係る複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200のスリット位置番号は、裸眼立体表示装置1の表示領域全体に亘って高品質3D画像を提供するために、横方向頭部位置及び/又は縦方向頭部位置の関数として変化する。
図16に示すように、視認距離(すなわち、縦方向の頭部位置)が変化すると幾つかの領域のスリット位置番号は変化する。また、図示されるように、当該視認距離に位置する観察者のためにアドレス駆動されるパララックスバリアパネルの各領域が同じスリット位置番号を有する1つの視認距離が存在する。(この例では視認距離730mm)。好ましくは、パララックスバリアパネルは、パララックスバリアパネルのすべての領域が設計視認距離において同じスリット位置番号を有するように構成される。この視認距離(Vd)は、方程式:φ=2PP/Vd(Vd+S/n)を解くことによって選択される。この設計視認距離において、電極グループピッチφは、すべての領域に対して同じスリット位置番号が必要となるように選択される。第1近似では、左側への比較的小さな横方向への頭部の動きに対して、
図16に示されるすべてのスリット位置番号は同じ量だけ減少する。第1近似では、右側への比較的小さな横方向への頭部の動きに対して、
図16に示されるすべてのスリット位置番号は同じ量だけ増加する。
図16に示すように、視認距離が設計視認距離から離れるにつれて、裸眼立体表示装置1の端部領域(すなわち、R1及びR9)のスリット位置番号が最初に変化する。さらに、軸上観察者が設計視認距離から離れるにつれて、裸眼立体表示装置1の端部領域のスリット位置番号の変化(R1及びR9)は中央領域(R5)に対して大きくなる。
【0091】
図8、
図16及び
図21を参照して、隣接する2つの領域(例えば、R3及びR4)のスリット位置番号が同じである場合、隣接領域の境界に最も近いスリットの幅(例えば、R3とR4)は3×EPに等しい。言い換えると、隣接領域のスリット位置番号が同じである場合、隣接領域のスリット位置に不連続性は存在しない。
図16を参照して、R4における視認距離580mmのスリット位置番号は7であり、R3は8である。これは、隣接領域の境界に最も近く位置するスリットの幅は、((3×EP)+(EP/2))に等しいことを意味する。
図16を参照して、R4における視認距離900mmのスリット位置番号は7であり、R3は6である。これは、隣接領域の境界に最も近く位置するスリットの幅は、((3×EP)−(EP/2))であることを意味する。設計視認距離から離れた位置に対して高品質3Dを表示(低クロストーク)可能なように2つの隣接領域の境界に最も近接して位置するスリットが最大幅((3×EP)+(EP/2))と最小幅((3×EP)−(EP/2))を有することは利点であろう。
【0092】
要求される領域数を決定するための第1の一般設計ルールは、分析的方法又は光学シミュレーションソフトウェア(光跡追跡法)を使用して、所望の視認距離範囲VdRに対して所望の高品質3D表示(低3Dクロストーク)を可能にするために必要となる最大領域幅(WRpの最大値)を決定することにある。裸眼立体表示装置1の幅ADDWをWRpの最大値で除算した値は、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200の必要な領域数をもたらす。要求される領域数を決定するための第2の一般設計ルールは、分析的方法又は光学シミュレーションソフトウェア(光跡追跡法)を使用して、隣接する2つの領域間のスリット位置番号を1より大きくする必要がないようにすることにある。例えば、R3のスリット位置番号が7の場合、R2のスリット位置番号は6又は7又は8のみとなる。言い換えると、隣接する2つの領域間のスリット位置の最大変化は、距離EP/2に等しい。横方向及び縦方向において所望の範囲に位置する頭部位置に対して高品質3D画像の表示が可能な複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル200を設計するために、第1及び第2の一般設計ルールは合わせて検討されてよい。
【0093】
上記第1及び第2の一般設計ルールを満たすために光学シミュレーションソフトウェア(光跡追跡法)で用いられるパラメータとしては、最大視認距離Vd62、最小視認距離Vd60、設計視認距離Vd61、画像パネルADDW及びADDW2の幅、画像パネル10のピクセルピッチPP、画像パネルのx方向(第2方向)の画素開口幅、バリア幅BR、スリット幅SL、電極ピッチEP、グループピッチφ(パララックスバリアピッチ)、及び独立してアドレス駆動可能な領域当たりの電極数を含む。光学シミュレーションに必要な他のパラメータは、画像表示パネルLC層13と複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200のLC層23との間の距離である。設計視認距離Vd61は、最小視認距離Vd60又は最大視認距離Vd62と等しいか、又は、設計視認距離Vd61は、最小視認距離Vd60と最大視認距離Vd62との間であってよい。
【0094】
リアバリア型(
図2参照)の裸眼立体表示装置1の第1例は次のとおりである。最大視認距離(Vd62)=900mm、最小視認距離(Vd60)=580mm、設計視認距離(Vd61)=740mm、x方向における画像表示パネル10のピクセルピッチpp=50.7μm、画像パネルの幅ADDW、ADDW2=5760×50.7μm=292.032mm、x方向の画素開口21μm(すなわち、画素ピッチPPは、透過する開口部及び非透過部を含む)、バリア幅BR=50.742μm、スリット幅SL=50.742μm、グループピッチφ(パララックスバリアピッチ)=101.484μm、
図4に示す、領域ごとに独立してアドレス駆動可能な12個の電極。画像表示パネルLC層13から複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200のLC層23までの距離は0.92mmであった。シミュレーション結果によると、裸眼立体表示装置1の第1例は、均等に間隔を置いた領域が5個から13個必要であり、さらに最適化された設計によると、均等に間隔を置いた領域が7個から11個必要であった。第1実施例に係る裸眼立体表示装置1は、等間隔に置かれた9つの領域(R1〜R9)を備えるものであった。裸眼立体表示装置1の第1例は、x方向にピクセル5760個、y方向にピクセル1080個を有していた。したがって、各領域(R1〜R9)は、実質的に(2有効数字内で)640画像表示パネルピクセル(すなわち、WRp=640×50.7μm、pは1〜9の整数)の幅であった。カラーアーチファクトの問題を避けるためにx方向のピクセルは同じ色を有していた。y方向は、赤、緑、青のピクセルが周期的に配置されており、その3つの色で白画素を形成していた。x方向のピクセルピッチは幅50.7μmであった。y方向の各カラーピクセルは長さ33.8μmであった。したがって、画像表示パネル10の白の画素は、x方向(第2方向)に50.7μm、y方向(第1方向)に101.4μmであった。この第1例では、領域ごとに独立してアドレス駆動可能な12個の電極を有する9つの領域を使用する設計であった。この設計は、電極レイアウトの複雑さが相対的に低く、比較的広範囲の頭部位置に対して高品質3D画像の表示が可能という、良好な設計上のトレードオフが認められた。
【0095】
リアバリア型(
図2参照)の裸眼立体表示装置1の第2例は次のとおりである。最大視認距離(Vd62)=900mm、最小視認距離(Vd60)=580mm、設計視認距離(Vd61)=740mm、x方向における画像表示パネル10のピクセルピッチpp=93.75μm、画像パネルの幅ADDW、ADDW2=2560×93.75μm=240mm、x方向の画素開口52.75μm(すなわち、画素ピッチPPは、透過する開口部及び非透過部を含む)、バリア幅BR=93.891μm、スリット幅SL=93.891μm、グループピッチφ(パララックスバリアピッチ)=187.782μm、
図4に示す、領域ごとに独立してアドレス駆動可能な12個の電極。画像表示パネルLC層13から複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200のLC層23までの距離は1.7mmであった。シミュレーション結果によると、裸眼立体表示装置1の第2例は、均等に間隔を置いた領域が5個から11個必要であり、さらに最適化された設計によると、均等に間隔を置いた領域が7個から9個必要であった。第2実施例に係る裸眼立体表示装置1は、等間隔に置かれた9つ(2有効数字内で)の領域(R1〜R9)を備えるものであった。裸眼立体表示装置1の第2例は、x方向にピクセル2560個、y方向にピクセル542個を有していた。領域R5(中央領域)は、ほぼ(有効数字2桁以内に)288の画像表示パネルピクセル(すなわち、WR5=288×93.75μm)の幅を有し、残りの領域(R1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、R9)はそれぞれ、ほぼ(有効数字2桁以内に)284の画像表示パネルピクセル(WR1=WR2=WR3=WR4=WR6=WR7=WR8=WR9=284×93.75μm)の幅を有していた。カラーアーチファクトの問題を避けるためにx方向のピクセルは同じ色を有していた。y方向は、赤、緑、青のピクセルが周期的に配置されており、その3つの色で白の画素を形成していた。x方向のピクセルピッチは幅93.75μmであった。y方向の各カラーピクセルは長さ62.5μmであった。したがって、画像表示パネル10の白ピクセルは、x方向(第2方向)に93.75μm、y方向(第1方向)に187.5μmであった。この第2例では、領域ごとに独立してアドレス駆動可能な12個の電極を有する9つの領域を使用する設計であった。この設計は、電極レイアウトの複雑さが相対的に低く、比較的広範囲の頭部位置に対して高品質3D画像の表示が可能という、良好な設計上のトレードオフが認められた。
【0096】
図16を参照して、所定の横方向及び縦方向の頭部位置(x、z)に対して、各領域は関連するスリット位置番号を有する。所与の頭部位置(x、z)についてのスリット位置番号のセットを、以後、スリットパターン又はバリアパターンと称する。所与の頭部位置(x、z)のスリットパターンは、独立してアドレス駆動可能な電極群ごとに各領域のスリット位置番号を規定する。例えば、
図16を参照して、頭部位置x=0mm、z=580mmのスリットパターンは、9、8、8、7、7、7、6、6、5である。スリットパターンは、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200の各電極の電極状態(ONまたはOFF)を決定する。高品質3D画像の最適な表示(低3Dクロストーク)を可能にするスリットパターンは、分析的アプローチ及び/又は光学シミュレーションソフトウェア(光跡追跡法)及び/又は実験により確定する。最適なスリットパターンを決定するために実験を使用することは、裸眼立体表示装置1における構成誤差を排除するうえで有利である。換言すれば、最適なスリットパターンの決定のための実験の使用が、裸眼立体表示装置1の較正に用いられる。
【0097】
図17及び
図18は、裸眼立体表示装置1の機能構成を示すブロック図である。
図19は、裸眼立体表示装置1の処理手順を示すフローチャートである。裸眼立体表示装置1は、さらに、制御回路40と、位置センサ41とを備える。制御回路40は、演算ユニット42と、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル駆動ユニット43と、画像表示パネル駆動ユニット44とを含む。
図18は、さらに、スリットパターンルックアップテーブル(LUT)45を含む。スリットパターンルックアップテーブルは、3D表示領域70内の全ての頭部位置のスリットパターンを保存できる。スリットパターンルックアップテーブルは、各パララックスバリアスリット位置番号に対して、各領域におけるパララックスバリアスリット位置番号を得るうえで必要となる、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200の独立してアドレス駆動可能な電極それぞれの電極状態を保存できる。画像表示パネル駆動ユニット44は、入力された映像信号に基づいて画像表示パネル10を駆動し、画像表示パネル10に画像を表示する。位置センサ41は、観察者90の位置情報を取得する(
図19、ステップS1)。位置センサ41は、例えば、カメラ及び/又は赤外線センサである。あるいは、位置センサ41は、例えば、一対のカメラ及び/一対の赤外線センサである。横方向(x方向)に分離された一対のカメラ及び/又は一対の赤外線センサを用いる利点は、一対のセンサによって提供される情報間の差異によって、横方向(x)及び縦方向(z)の両方の頭部位置に係る情報を取得できる点にある。一対のセンサ間に横方向の分離が大きい場合の利点として、各センサから集められた情報によって、決定されるべき縦方向位置のより精度の高い計算が可能になる点が挙げられる。一対のセンサ間に横方向の分離が小さい場合の利点は、センサがより小さい画角を有せる点である。一対のセンサの間の距離が4cmから25cmの範囲で離れている場合、一人用裸眼立体表示装置1に好適であることが見出された。位置センサ41は、取得された位置情報を制御回路40の演算ユニット42に供給する。
【0098】
演算ユニット42は、位置センサ41から供給された観察者90の位置情報を解析し、観察者90の位置座標(x、y、z)を算出する(ステップS2)。例えば、位置座標の算出は、画像処理方法により観察者90の眼の位置を検出するために、視線追跡システム、顔追跡システム、又は頭部追跡システムによって実行されてもよい。位置座標の算出は、例えば、赤外線による観察者90の頭部位置を検出する頭部追跡システムによって行うことができる。
【0099】
演算ユニット42は、観察者90の位置情報を決定した後、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200に必要なスリットパターンを決定する(ステップS3)。言い換えると、観察者90の位置座標は、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200の各領域のスリット位置番号(スリット位置)を決定するために使用される。スリットパターンは、所定の数式又はアルゴリズムを使用して、観察者90(x、y、z)の位置座標を計算する。あるいは、有効3D表示領域71のためのスリットパターンすべてが、例えばスリットパターンルックアップテーブル(LUT)45のようなメモリに保存されていてもよい。スリットパターンLUT45が使用される場合、演算ユニット42は、スリット位置LUT45から観察者90(x、y、z)の所与の組の位置座標に対する指定スリットパターンを読み出す。
【0100】
演算ユニット42は、切り替え可能な複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル駆動部43に、観察者90(x、y、z)の位置座標に関連するスリットパターンを供給してもよい。所与のスリットパターンと複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200に係る個々にアドレス駆動可能な電極それぞれにアドレスされる電圧との関係がスリットパターンLUTに記憶されてもよい。演算ユニット42は、切り替え可能な複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル駆動部43に、複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル20、200に係る個々にアドレス駆動可能な電極それぞれに対してアドレスされるべき電圧に関する情報を供給してもよい。一般に、切り替え可能な複数の領域を持つ液晶パララックスバリアパネル駆動部43は、演算ユニット42から供給される情報に基づいて、所望の頭部位置に対して高品質3D画像を表示可能とするために、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20を駆動する(ステップS4)。
【0101】
図23の代替として、二層電極のさらなる例が
図24に開示される。
図24を参照して、電極部分(E1〜E12)のすべての独立してアドレス駆動可能な電極は、周期的な配置で二層電極構造により第2基板22上のみに配置され、共通電極ECOMは第1基板21に配設される。第1基板21は、裸眼立体表示装置1の表示側90に配置されてもよい。あるいは、第2基板22が、裸眼立体表示装置1の表示側90に配置されてもよい。独立してアドレス駆動可能な電極(E1〜E12)及び共通電極ECOMに電圧を印加することによって、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20にパララックスバリアを形成することができる。
図24の実施形態では、電極E1〜E12の少なくとも幾つかは、第1サブセット電極を形成するために、複数の領域を持つ液晶パララックスバリア20、200の第2基板上の第1層(下位層)に配置される。絶縁層25は、第1サブセット電極上に配置される。電極E1〜E12の少なくとも一部、好ましくは残りの部分すべての電極は、第2サブセット電極を形成するために、絶縁層25上の第2層(上位層)に配置される。第2サブセット電極に含まれる電極は、第1サブセット電極に含まれる電極に対してx方向にずれている。第1サブセット電極に含まれる電極は、第2サブセット電極に含まれる電極のいずれにも電気的に接続されていない。
【0102】
第2サブセット電極(E2、E4...)の基板22上の高さと第1サブセット電極(E1、E3...)の基板22上の高さとの差は、第1サブセット電極と第2サブセット電極との間に絶縁層25を設ける必要性による。一方で、
図22のような単層電極構造において不可欠に存在するギャップGを排除するように、第2サブセット電極(E2、E4...)の幅を、下位層の隣接電極(E1、E3...)との間のギャップと等しくする。2つのサブセット電極間に有効な絶縁層を設けることを条件として、一般に、この高さの差を最小にすることが望ましい。
【0103】
絶縁層25は、基板及び第1サブセット電極(下部電極)を順応的に被覆することができる。理解の容易のために、
図20、
図23、
図24、
図25、
図26、
図27、
図28、
図29にはコンフォーマルコーティング(絶縁保護コーティング)を記載していない。
【0104】
図24を参照して、偶数番号の電極(E2、E4、E6等)は、二層電極構造の上部電極(第2サブセット)に指定される。上位層に係る電極は幅WUを有する。上位層上の隣接電極間のギャップはGUである。
図24を参照して、奇数番目の電極(E1、E3、E5等)は、二層電極構造の下部電極(第1サブセット)に指定される。下位層の電極は幅WLを有する。下位層上の隣接電極間のギャップはGLである。上位層の電極は、下位層の電極と同じ幅(すなわちWU=WL)を有してもよい。あるいは、上位層の電極は下位層の電極に対して異なる幅を有してもよい(すなわち、WU≠WL)。上位層の電極間のギャップは、下位層の電極間のギャップと同じ幅を有していてもよい(すなわち、GU=GL)。あるいは、上位層の電極間のギャップは下位層の電極間のギャップに対して異なる幅を有していてもよい(GU≠GL)。上位層の隣接電極間のギャップは、下位層の隣接電極間と同じ幅を有してもよい(すなわち、GU=WL)。あるいは、上位層の隣接電極間のギャップは、下位層の隣接電極間と異なる幅を有していてもよい(すなわち、GU≠WL)。破線50を参照して、上位層(この例ではE6)上の電極の右端は、好ましくは下位層(この例ではE7)上の電極の左端と整列している。破線51を参照して、上位層(この例ではE8)上の電極の左端は、好ましくは、下位層の電極の右端(この例ではE7)と整列している。破線50及び破線51は、上位層の電極と下層の電極との間にx方向にギャップが存在しないことを示す。上位層の電極と下位層の電極との間のx方向のギャップは、光学的クロストークを増加させる可能性があり、したがって、3D性能にとって有害でありうる。GU、GL、WU、及びWLは、領域及び/又はパネルのx方向の距離の関数として変化する可能性があり、そうであれば、WU=WLのような電極パラメータ間の任意の関係は局所的に適用される。
【0105】
上位層及び下位層の電極は、製造公差を考慮してx方向に重なるように構成することができ、これにより低い光学的クロストークが担保される。言い換えると、上位層の電極と下位層の電極との間に少なくともx方向にギャップがないことが望ましい。製造公差内において、下位層の各電極の中心(x方向)は上位層に係る特定のギャップの中心と整列するのが好ましく、例えば、
図24の点線52によって示される。上位層の各電極の中心(x方向)は、下位層に関連する特定のギャップの中心と整列することが好ましく、例えば、
図24の破線53によって示される。
【0106】
図25を参照して、独立してアドレス駆動可能な電極(E1〜E12及びECOM)に電圧を印加することによって、切り替え可能液晶パララックスバリアパネル20にパララックスバリアを形成することができる。
図25は、第1電圧が電極E2、E3、E4、E5、E6及びE7に印加され、第2電圧が残りの電極E1、E8、E9、E10、E11、E12及びECOMに印加される様子を示す。第1電圧と第2電圧との電圧差は、液晶を偏光板14(図示せず)及び偏光板24を組み合わせてバリアBR(非透過領域)を形成する状態にするのに十分である。これに対し、正味0の電圧を印加すると、液晶は偏光板14(図示せず)及び偏光板24を組み合わせてスリットSL(透過領域)を形成する状態になる。
図25は、バリア位置が電極E2、E3、E4、E5、E6、E7、及びECOMによって制御されることを示す。
図25は、バリアBRの幅がスリットSLの幅にほぼ等しいことを示す(
図25では1つのバリアBRだけが示されているが、次のバリア領域の左端は
図25に示されている右端の電極の右端と一致する(「E1」とラベルされた第2電極)。
図25に示すように、バリアBRは頭の動きに対応するためにx方向に移動(すなわち、左または右に移動)する。それゆえ、高品質3Dが表示され、上位層の3つの電極及び下位層の3つの電極は、常にバリアBRの位置を制御するために使用される。こうして、パララックスバリアを可能な限り最も少ない距離だけ右側に移動させるために(すなわち、一つの電極位置分)、電極E3、E4、E5、E6、E7、及びE8に第1電圧が印加され、残りの電極E1、E2、E9、E10、E11、E12、及びECOMに第2電圧が印加される。
【0107】
図25において、バリア領域BR及びスリットSLは、E1からE12の電極6つ分の幅と同じ幅を有し、バリア:スリット比が1:1であるパララックスバリアが提供される。バリア領域の幅は、(WL+WU)の倍数、この例ではスリットの幅と同様に3WU+3WLで与えられる。この場合、バリア領域の幅及びスリットの幅は、パララックスバリアが1つ以上の電極位置分だけ左右に移動したときにも一定のままである。
【0108】
本発明はまた、バリア領域BRがスリットと同じ幅を有さないパララックスバリアを提供し、その例が
図26及び
図27に示される。しかしながら、この実施形態では、パララックスバリアが1つ以上の電極位置分だけ左右に移動したときにバリア領域及びスリットの幅が同じであり続けるよう注意深い電極設計が求められる。
【0109】
図26は、第1バリア位置を示す。
図26は、電極E3、E4、E5、E6、E7に第1電圧が印加され、残りの電極E1、E2、E8、E9、E10、E11、E12、ECOMに第2電圧が印加される様子を示す。したがって、バリアBRの幅は、上位層上の2つの電極(E4及びE6)及び下位層上の3つの電極(E3、E5及びE7)、ならびに電極ECOMによって制御される。
図27は、
図26に示す第1バリア位置に隣接する第2バリア位置を示す。
図27を参照して、バリアBRが最小位置増加分だけ(すなわち、一つの電極位置分)x方向に進む場合、上位層上の3つの電極(E4、E6及びE8)及び下位層上の2つの電極(E5及びE7)によってバリア幅が決定される。GU=GL及びWU=WLの場合、
図26に示すバリアBRの幅(x方向)は、
図27に示すバリア幅(x方向)と異なりうる。これは、フリンジフィールド効果によって上位層の電極(E4、E6)により印加される電界が膨張(bulge out)し、その結果、上位層の電極にスイッチされた液晶領域の幅が電極の幅よりも大きくなりやすくなるためである。しかしながら、下位層の電極からのフリンジ電場は上位層の電極に遮蔽される。例えば、下位層の電極E3のフリンジ電場は上位層の電極E2及びE4に遮蔽される。その結果、下位層の電極にスイッチされた液晶領域の幅は、上位層の電極にスイッチされた液晶領域の幅よりも小さくなりやすくなる。これにより、WU=WLであっても、上位層の電極にスイッチされる液晶領域の幅は、下位層の電極にスイッチされる液晶領域の幅よりも大きくなりやすくなる。その結果、上位層の3つの電極と下位層の2つの電極とによって規定されるバリア領域は、下位層の3つの電極と上位層の2つの電極とによって規定されるバリア領域と異なる幅を有し、パララックスバリアが
図26から
図27までの1つの電極位置だけ右に移動するにつれてバリア幅(及び、バリアスリット比)が変化する。
図26と
図27とのバリア幅の差は、比較的小さいため、図示されていない。しかしながら、
図26と
図27とのバリア幅のいかなる差であっても3D画像品質に大きな影響を及ぼしうる。光学的シミュレーション及び実験により、
図26のバリア幅は、
図27に示されるバリア幅よりも小さくなることが確認された。
【0110】
上述したように、
図26のバリア幅と
図27のバリア幅とは実質的に同じ(すなわち、幅が5μm未満である)ことが有利でありうる。LC光学シミュレーション及び実験的証拠から、
図26及び
図27に示されるバリア幅は、上位層に係る全ての電極が第1電極幅を有し、下位層に係る全ての電極が第2電極幅を有することによって互いに実質的に同じになる。ここで、第1電極幅と第2電極幅とは相違する(すなわち、WU≠WL)。より好ましくは、上位層に係る電極の幅は下位層に係る電極の幅よりも小さく(すなわち、WU<WL)、上位層のギャップ幅は上位層の電極幅よりも大きい(すなわち、GU>WU)。要約すると、WU<WL及びGU>WUである。
【0111】
図28は、WU<WLであり、下位層の電極と上位層の電極との間にx方向に重なりがない状況を示す。
図29は、WU<WLであり、下位層の電極が上位層の電極とx方向に重なっている様子を示す(
図29の電極の重なりは製造公差を許容するためであることを理解されたい。原理的には、電極の重なりは必要ない。すべての電極について電極の左端Eiが電極E(i−1)の右端と正確に一致するように
図28に示す電極配置を製造することができれば、
図28の実施形態は
図29の実施形態と同じ結果をもたらす。)。
【0112】
図28及び
図29を参照して、第1基板21が裸眼立体表示装置1の表示側90に配置されてもよいし、第2基板22が裸眼立体表示装置1の表示側90に配置されてもよい。
【0113】
オーバーラップは距離54によって示されている。
図28及び
図29は、製造公差内で、下位層の各電極の中心(好ましくはx方向)が、好ましくは上位層に関する特定ギャップの中心に整列している様子を示す。例えば、破線52により示される。また、
図28及び
図29は、製造公差内で、上位層の各電極の中心(x方向)が、好ましくは下位層に関する特定ギャップの中心に整列している様子を示す。例えば、破線53により示される。電極寸法を適切に選択することによって、上下層の電極に対する異なるフリンジフィールド効果を効果的に排除することが可能となる。その結果、バリア上位層の3つの電極と下位層の2つの電極とによって規定される領域は、上位層の2つの電極と3つの電極によって規定されるバリア領域と同じ幅を有する。
【0114】
上述したように、
図28及び29の実施形態では、WU<WL及びGU>WUであり、
図29の実施形態では、WL>GUである。GU、GL、WU及びWLは、領域及び/又はパネルのx方向の距離の関数として変化する可能性があり、そうであれば、これらの不等式は局所的に満足される。
【0115】
LC光学シミュレーションは、
図26及び
図27に示す条件に対して同じバリア幅を得るためには、すべての上位層電極の第1電極幅とすべての下位層電極の第2電極幅との間の最適な差異が幾つかのパラメータの関数となるべきことを示唆する。当該幾つかのパラメータは、以下のパラメータを含む。
1)上部電極及び下部電極に印加される電圧
2)電極に対するLC配向方向
3)LC材料特性(弾性定数等)
4)LC層の厚さ(z方向)
5)絶縁層25の特性(z方向の厚さ、誘電率など)
6)電極の厚さ(z方向)
【0116】
下部電極の最適幅は上部電極の幅の関数であってもよく、その逆であってもよい。
【0117】
一例として、そして
図26、
図27及び
図28を参照して、シミュレーションは、隣接するパララックスバリア位置に対して同じバリア幅を得るために、上部電極幅WUが3〜9μm(1つの好ましい実施形態ではWU〜6.5μm)、下部電極幅WLが6μm〜18μm(好ましい実施形態ではWL〜10.5μm)、バリア電極への印加電圧=5V、上部電極に隣接するLCはx方向に整列し、LC層の厚さ=4.6μm、SiNx誘電体スペーサ層25の厚さは200nm、ITO電極の厚さ=50nm、であるべきことを示唆する。この特定のシミュレーションでは、WU<WL、GU>WU及びGU=WL及びWU−WL=4.0μmである。下部電極の最適幅は上部電極の幅の関数でもよいし、その逆でもよい。上記数値範囲は、上部電極及び下部電極の異なる幅に対して、より大きくてもよいし、より小さくてもよい。
【0118】
さらなる例として、そして
図26、
図27及び
図28を参照して、シミュレーションは、隣接するパララックスバリア位置が同じバリア幅を有するために、上部電極幅WUが3〜9μm(1つの好ましい実施形態では、WU〜5.5μm)、下部電極幅WLが6μm〜18μm(好ましい実施形態ではWU〜11.5μm)、バリア電極への印加電圧=5V、上部電極に隣接するLCがy方向に整列し、LC層の厚さ=4.6μm、SiNx誘電体スペーサ層25の厚さ200nm、ITO電極の厚さ=50nm、であるべきことを示唆する。この特定のシミュレーションでは、WU<WL、GU>WU及びGU=WL及びWU−WL=6.0μmである。下部電極の最適幅は上部電極の幅の関数でもよいし、その逆でもよい。上記数値範囲は、上部電極及び下部電極の異なる幅に対して、より大きくてもよいし、より小さくてもよい。
【0119】
図26、
図27及び
図28を参照して、実験結果は、上部電極幅と下部電極幅との差が0.25μm〜5μm(すなわちWU<WL)の範囲内であり、1つの好ましい実施形態では0.5μm〜2μmの範囲であるべきことを示唆する。上述したように、シミュレーション結果は、上部電極幅と下部電極幅との差が2μm〜11μm(すなわち、WU<WL)の範囲内であり、好ましい一実施形態では4μm〜6μmの範囲内にあるべきことを示唆する。実験結果はシミュレーション結果と僅かに異なる。しかしながら、
図26、
図27、
図28及び
図29を参照して電極設計を最適化したときに、WU<WL及びGU>WUという一般原理は、シミュレーション及び実験の両方に妥当することが判明した。
【0120】
図22、
図23、
図24、
図28及び
図29に示すすべての実施形態を参照して、パターニングされた電極(E1、E2、E3...E12)は第2基板上に配置され、共通電極(ECOM)は第1基板上に配置される。代替的に、パターニングされた電極が第1基板上に配置され、共通電極が第2基板上に配置されてもよいことが理解される。
【0121】
図22〜
図29は、パネルの第1領域における電極配置のみを示しており、パネルの第2領域における電極配置を示していない。共通電極(ECOM)は、単一基板上に配置され、パネルの第1領域とパネルの第2領域との間で連続的(すなわち、パターン化されていない)であることが好ましい。したがって、パネルの第1領域において、パターニングされた電極(E1、E2、E3...E12)が第2基板上に配置され、共通電極(ECOM)が第1基板上に配置される場合、第2領域のパターニングされた電極もまた第2基板上に配置されることが好ましい。逆に、パネルの第1領域において、パターニングされた電極(E1、E2、E3...E12)が第1基板上に配置され、共通電極(ECOM)が第2基板上に配置される場合、第2領域のパターニングされた電極もまた第1基板上に配置されることが好ましい。換言すれば、第2領域のパターニングされた電極は、第1領域のパターニングされた電極と同じ基板上に配置され、共通電極(ECOM)は、第1領域のパターニングされた電極と同じ基板上に配置されない。しかしながら、本発明は原則としてこれに限定されない。
【0122】
本発明は、切り替え可能な複数の領域を持つ液晶パララックスバリアの例を参照して説明されている。原理的には、本発明は液晶パララックスバリアに限定されず、他の電気光学材料で実施することもできる。