特許第6441530号(P6441530)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6441530
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】壁面構造およびその組み付け方法
(51)【国際特許分類】
   F23C 10/18 20060101AFI20181210BHJP
   F23G 5/30 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   F23C10/18
   F23G5/30 Z
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-133158(P2018-133158)
(22)【出願日】2018年7月13日
【審査請求日】2018年7月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】山崎 義倫
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−092965(JP,A)
【文献】 特開2000−186811(JP,A)
【文献】 実開平05−034430(JP,U)
【文献】 特開平01−134197(JP,A)
【文献】 実開平05−025145(JP,U)
【文献】 実開昭53−128931(JP,U)
【文献】 実開昭59−013856(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 10/18
F23G 5/30
F23M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板と、
該鋼板上の面に配置された断熱材と、
該断熱材上の面に互いに間隔を空けて配置された複数の耐火材と、
該耐火材に接して流動材を含むガスが流通する領域に面するとともに複数の前記耐火材間の隙間に配置された緩衝材と、
前記隙間に前記緩衝材を保持する保持構造と、
を備え
前記保持構造は、前記隙間に設置され、前記緩衝材を前記隙間から脱落させないように保持するピンを備えている壁面構造。
【請求項2】
前記ピンは、前記耐火材に対して設置されている請求項に記載の壁面構造。
【請求項3】
前記ピンは、前記断熱材に対して設置されている請求項に記載の壁面構造。
【請求項4】
鋼板と、
該鋼板上の面に配置された断熱材と、
該断熱材上の面に互いに間隔を空けて配置された複数の耐火材と、
該耐火材に接して流動材を含むガスが流通する領域に面するとともに複数の前記耐火材間の隙間に配置された緩衝材と、
前記隙間に前記緩衝材を保持する保持構造と、
を備え、
前記保持構造は、前記流動材を含むガスが流通する前記領域側から前記断熱材側に向って前記隙間が拡幅する拡幅部を備えている壁面構造。
【請求項5】
前記緩衝材は、繊維状または多孔質状のセラミックスとされる請求項1からのいずれかに記載の壁面構造。
【請求項6】
内部に前記流動材を含むガスを流動する火炉に接続されたダクトまたは容器の壁部とされる請求項1からのいずれかに記載の壁面構造。
【請求項7】
鋼板と、
該鋼板上の面に配置された断熱材と、
該断熱材上の面に互いに間隔を空けて配置された複数の耐火材と、
該耐火材に接して流動材を含むガスが流通する領域に面するとともに複数の前記耐火材間の隙間に配置された緩衝材と、
前記隙間に前記緩衝材を保持する保持構造と、
を備え
前記保持構造は、前記隙間に設置され、前記緩衝材を前記隙間から脱落させないように保持するピンを備えている壁面構造の組み付け方法であって、
前記保持構造に前記緩衝材を設置する工程を含む壁面構造の組み付け方法。
【請求項8】
鋼板と、
該鋼板上の面に配置された断熱材と、
該断熱材上の面に互いに間隔を空けて配置された複数の耐火材と、
該耐火材に接して流動材を含むガスが流通する領域に面するとともに複数の前記耐火材間の隙間に配置された緩衝材と、
前記隙間に前記緩衝材を保持する保持構造と、
を備え、
前記保持構造は、前記流動材を含むガスが流通する前記領域側から前記断熱材側に向かって前記隙間が拡幅する拡幅部を備えている壁面構造の組み付け方法であって、
前記保持構造に前記緩衝材を設置する工程を含む壁面構造の組み付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面構造およびその組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炉底から供給される空気により、火炉内で燃料および流動材(例えば、河砂などSiO2が主体の粒子)を流動させて流動層を形成することで、燃焼効率を向上させるボイラ(例えば循環流動層ボイラ(CFB:Circulating Fluidized Bed)や気泡流動層ボイラ(BFB:Bubbling Fluidized Bed)など)が知られている。
【0003】
このようなボイラに設けられる火炉の出口側には、燃焼ガスによって搬送されて火炉から飛散した流動材および燃料を捕集・分離する装置(例えば、サイクロン)が設けられていることがある。サイクロンにて捕集・分離された流動材および燃料は、それぞれ火炉へ戻されて、循環するように構成されている。この循環システムによって、ボイラの燃焼効率向上を図っている。
【0004】
前述のサイクロン、火炉とサイクロンとを接続するダクト、およびサイクロンに接続された他のダクトなどは、一般的な構造用鋼板によって構成されることがある。これらの構成は、ボイラの常用運転時に高温の燃焼ガスに晒されるため、鋼板保護を目的として、鋼板の内表面に断熱材を施工することがある。
【0005】
断熱材は柔軟性や断熱性に優れるが、その一方で、浸食や摩耗等に弱いことから、断熱材保護を目的として、更に、断熱材の内表面に耐火材を施工することがある。
【0006】
前述の断熱材や耐火材によって、鋼板が高温になることは防止できるが、最も内側の面に施工された耐火材は、高温の燃焼ガスに晒されるため、鋼板に比べて温度が高くなり、それに伴って熱伸び量が多くなる。したがって、耐火材の施工時には、耐火材を複数に分割されたブロック状の耐火材とし、隣接する他の耐火材に対して隙間を設けるようにして断熱材の内表面上に設置するように施工する。この隙間は、ボイラの通常運転中、耐火材が熱伸びした際に、隙間が狭くなることで隣接する耐火材同士で接触して干渉しないように考慮されて設計されている。すなわち、この隙間が耐火材の熱伸びを吸収することによって、耐火材同士の熱伸びによる拘束を避けることができる。仮に、この隙間が想定時より狭くなり、耐火材同士が熱伸びによって拘束された場合には、耐火材に対して圧縮方向に応力が発生する。圧縮方向の応力が耐火材の許容応力を超えると、耐火材に割れや欠けや脱落が発生して適切に断熱材および鋼板を保護できない可能性がある。
【0007】
ところで、ボイラの起動時においては、流動材を循環させながら徐々にその温度を適正な温度まで昇温させていく。起動時において、サイクロンおよびダクトを流通する燃焼ガスの温度は、通常運転時の温度に比べて十分に低い状態となっており、サイクロンおよびダクトに施工された耐火材も殆ど熱伸びしない。つまり、隙間の間隔は、常温時と同程度とされる。
【0008】
ところが、前述したように、ボイラの起動時においても流動体を循環させているため、飛散している流動材が隙間に侵入して一定量堆積してしまう可能性がある。仮に、隙間に流動材が堆積している状態でボイラが通常運転に移行し、高温の燃焼ガスがサイクロンおよびダクトに流通するような状態になった場合、耐火材は熱伸びするが、隙間に堆積した流動材によって隙間が想定時より狭くなり、隣接する耐火材が熱伸びによって相互に拘束されるおそれがあることが判明した。つまり、本来の隙間の機能を十分に発揮できないおそれがある。そうすると、耐火材に割れや欠けや脱落が生じてしまい、適切に断熱材および鋼板を保護できない可能性がある。
【0009】
流動材の堆積を避けるために、例えば、特許文献1には、熱伸び吸収用の隙間を斜め下向きに施工することで、流動体を隙間に堆積しにくくする構成が開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、流動材を流動させて流動層を形成させるボイラに係る発明ではないが、集塵機において、約180℃となる集塵機内の側壁および床板のコンクリート板に熱伸び分の隙間を空ける構成開示されている。さらに、その隙間には、コンクリート板の熱伸びを無理なく処理するために、高温高酸性下においても弾性を有するパッキンが使用される。
【0011】
また、特許文献3には、炉床の内周縁と外周縁を構成する枠体の周方向の複数個所に該枠体の膨張代となる隙間を設け、その隙間にセラミックシートなどを充填することで、小径のペレットが隙間に侵入することを防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3897664号公報
【特許文献2】特開昭63−156555号公報
【特許文献3】特許第4337271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1においては、熱伸び吸収用の隙間を斜め下向きに施工することで、流動体を隙間に堆積しにくくしているが、例えば、隙間の開口が鉛直方向の上向きに位置するように配置された場合、そもそも流動材が自重によって落下しないため、堆積防止が期待できない可能性がある。
【0014】
また、特許文献2においては、例えば、河砂などSiO2が主体の粒子を流動させることが想定されていないため、弾性を有するパッキンが粒子の衝突によって摩耗してしまう可能性がある。
【0015】
また、特許文献3においては、炉床に形成した耐火レンガの間隙へのペレットの侵入防止のために、単にセラミックシートなどが充填された隙間であるため、セラミックシートを該隙間に保持することが想定されておらず、炉床以外の部分(例えば、天面や側面など)にその構成を採用した場合、自重によるセラミックシートの脱落や、流通する燃焼ガスに起因したエジェクタ効果や起動時の熱膨張差での移動によるセラミックシートの脱落が懸念される。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、流動材を含むガスが流通する領域において、設置状態や運転状態に依らずに耐熱材間の隙間に流動材が堆積することを防止でき、耐火材同士の熱伸びの拘束を避けることができる壁面構造およびその組み付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の壁面構造およびその組み付け方法は以下の手段を採用する。
即ち、本発明の一態様に係る壁面構造は、鋼板と、該鋼板上の面に配置された断熱材と、該断熱材上の面に互いに間隔を空けて配置された複数の耐火材と、該耐火材に接して流動材を含むガスが流通する領域に面するとともに複数の前記耐火材間の隙間に配置された緩衝材と、前記隙間に前記緩衝材を保持する保持構造とを備えている。
【0018】
本発明の一態様に係る壁面構造は、鋼板上の面に配置された断熱材と、複数の耐火材と、耐火材に接して流動材を含むガスが流通する領域に面するとともに複数の耐火材間のに形成された隙間(例えば目地)を備え、柔軟性を有する緩衝材が保持構造によって耐火材間の隙間に設置されている。このため、耐火材に接して流動砂などの流動材を含む燃焼ガスなどのガスが流通している領域において、ボイラの起動時から通常運転時にかけての流動材を含むガスの温度上昇時に対して、緩衝材の柔軟性によって耐火材の熱伸びを吸収しつつ、緩衝材の存在によって隙間に流動材が堆積して、隣接する耐火材同士の熱伸びの拘束することを防止できる。このとき、緩衝材は、保持構造によって隙間に保持された状態で設置されているので、緩衝材に自重が作用したり、燃焼ガスの流通によるエジェクタ効果に起因する引力が作用したり、温度上昇時の熱膨張差で耐火材が移動しても、緩衝材が隙間から脱落することがない。つまり、設置状態や運転状態に依らずに隙間に流動材が堆積することを防止でき、隣接する耐火材同士の熱伸びの拘束を避けることができる。
また、緩衝材は柔軟性を有する素材とされている。このため、前述したように耐火材の熱伸びを吸収できるだけでなく、その柔軟性によって隙間に容易に設置することができる。例えば、隙間や保持構造が複雑な形状とされた場合、緩衝材を隙間に押し込めば、緩衝材が隙間の内側で隙間や保持構造の形状に合わせた形状へと柔軟に変形する。緩衝材としては、例えば、繊維状(綿状)のセラミックスや多孔質状のセラミックスなどがある。
【0019】
また、本発明の一態様に係る壁面構造において、前記保持構造は、前記隙間に設置された棘付きのピンを備えている。
【0020】
この構成によれば、棘付きのピンによって確実に緩衝材を耐火材間の隙間に保持できる。ピンは、例えば、変形可能な金属製とされた棘付きのピンなどがある。
【0021】
また、本発明の一態様に係る壁面構造において、前記ピンは、前記耐火材に対して設置されている。
【0022】
この構成によれば、ピンを設置できるように耐火材にのみ加工を施せば良く、例えば、耐火材を流し込みによって成形する場合、ピンを固定するための加工が容易にできる。
【0023】
また、本発明の一態様に係る壁面構造において、前記ピンは、前記断熱材に対して設置されている。
【0024】
この構成によれば、断熱材に対してピンを設置しているので、仮に、耐火材の交換が必要になった場合でも、容易に耐火材を交換できる。また、耐火材にピンを固定するための加工を施す必要がないので、既に耐火材が設置されている既存設備に対しても容易に適用できる。
【0025】
また、本発明の一態様に係る壁面構造において、前記保持構造は、前記流動材を含むガスが流通する前記領域側から前記断熱材側に向かって前記隙間が拡幅する拡幅部を備えている。
【0026】
この構成によれば、耐火材によって形成された隙間の形状である拡幅部に緩衝材を設置した場合、隙間が拡幅していない部分(狭い部分)で緩衝材を保持できる。これは、拡幅部が形成された隙間に緩衝材を押し込むことで、緩衝材が拡幅部の形状に合わせて柔軟に変形することによる。拡幅部は、耐火材の流動材が流通する領域側(表面側)から断熱材側に向かって拡幅しているので、換言すれば、拡幅部は、断熱材側から流動材を含むガスが流通する領域側に向かって隙間が狭くなっているので、緩衝材が拡幅部の形状に合わせて変形すると、緩衝材は、断熱材側から耐火材の表面側に向かう方向に拘束されて脱落しない。これにより、緩衝材が隙間に保持される。したがって、別途に緩衝材を保持するための部材を用意する必要がなく施工コストを低減できる。また、隙間の内部に別途の部材を設けないので、緩衝材を押し込む際に緩衝材に干渉するものが無く、緩衝材の設置がより容易になる。
【0027】
また、本発明の一態様に係る壁面構造において、記緩衝材は、繊維状または多孔質状のセラミックスとされる。
【0028】
この構成によれば、柔軟性に富んだ緩衝材を使用できる。特に、繊維状のセラミックスを綿状にしたもの、または多孔質状で弾力性をもたせたものであれば、保持構造への設置がより容易になる。
【0029】
また、前述の壁面構造は、内部に前記流動材を含むガスを流動する火炉に接続されたダクトまたは容器の壁部とされる。
【0030】
また、本発明の一態様に係る壁面構造の組み付け方法は、鋼板と、該鋼板上の面に配置された断熱材と、該断熱材上の面に互いに間隔を空けて配置された複数の耐火材と、該耐火材に接して流動材を含むガスが流通する領域に面するとともに複数の前記耐火材間の隙間に配置された緩衝材と、前記隙間に前記緩衝材を保持する保持構造とを備えている壁面構造の組み付け方法であって、前記保持構造に前記緩衝材を設置する工程を含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る壁面構造およびその組み付け方法によれば、流動材を含むガスが流通する領域において、設置状態や運転状態に依らずに耐熱材間の隙間に流動材が堆積することを防止でき、隣接する耐火材同士の熱伸びの拘束を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態に係る発電システムの概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る壁面構造の耐火材に熱伸びが生じていないときの断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る壁面構造の耐火材に熱伸びが生じているときの断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る保持構造を示した断面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る保持構造の変形例を示した断面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る保持構造の他の変形例を流動材が流通する領域側から平面視した図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る保持構造を示した断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る保持構造が備える保持ピンの変形例を示した図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る保持構造が備える保持ピンの他の変形例を示した図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る保持構造の変形例を流動材が流通する領域側から平面視した図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る保持構造を示した断面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る保持構造の変形例を示した断面図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る保持構造の他の変形例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明に係る壁面構造およびその組み付け方法について、図面を参照して説明する。
【0034】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図6を用いて説明する。
まず、発電システム1について説明する。発電システム1は、図1に示すように、蒸気を生成するボイラとして循環流動層ボイラ(CFB:Circulating Fluidized Bed)2と、循環流動層ボイラ2で生成された蒸気によって回転駆動する蒸気タービン3と、蒸気タービン3の駆動力によって発電する発電機4とを備える。
【0035】
循環流動層ボイラ2は、内部で流動砂(例えば河砂などSiO2が主体の粒子)を流動させている流動層火炉(以下、「火炉」という。)5と、火炉5に燃料を供給する燃料供給装置6と、火炉5で生成された燃焼ガスが流通する煙道7と、煙道7に設けられた複数の熱交換器8等を備えている。なお、循環流動層ボイラ2では、広範な燃料を燃焼可能であり、燃料として石炭(瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭など)、石油コークス、木質バイオマス、製紙スラッジ、RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)、廃タイヤ、脱水汚泥、都市ごみ等、を採用することができる。
【0036】
ここで、図1に示す燃料供給装置6は燃料として石炭を採用した場合の一例である。本実施形態では、火炉5の内圧力が大気圧より少し高いので、燃料供給系統へ燃焼ガスなどが逆流しないよう、燃料供給装置6には、ロータリバルブ10およびシール空気供給装置(図示せず)が設けられている。
【0037】
火炉5は、炉底11に設けられた空気ノズル12から供給される空気(気体)により、流動材(燃料および流動砂)を流動させて流動層を形成する。循環流動層ボイラ2は、このように流動層を形成することで、火炉5(コンバスタ)内の燃料、流動砂、および空気の混合を促進し、燃焼効率の向上をはかっている。なお、循環流動層ボイラ2の通常運転時においては、空気ノズル12からは気体として空気が供給されるが、停止時の炉内パージなどでは、不活性ガス(例えば窒素ガスなど)を導入する場合もある。
【0038】
また、火炉5から排ガスとともに飛散する循環粒子(流動砂と未燃燃料)は、燃焼ガス(ガス)によって搬送されて、ダクト30を介して火炉5の出口側に設けられたサイクロン(容器)13によって、燃焼ガスと循環粒子とに分離される。サイクロン13で分離・捕集した循環粒子は、シールポット14および外部熱交換器15を介して、再び火炉5へ戻される。このように、本実施形態に係る循環流動層ボイラ2では、流動砂や未燃燃料を循環させるシステムとすることにより燃焼効率の向上をはかっている。また、外部熱交換器15へ送られる循環粒子の分岐率を灰取出弁16で調整することで、火炉5の炉内温度を調整することができる。なお、外部熱交換器15へは、循環粒子を流動させるための空気が空気ブロワ17から供給されている。
【0039】
サイクロン13で分離された燃焼ガスは、ダクト31を流通した後、煙道7内を流通し、煙道7内に設けられた複数の熱交換器8にて熱交換器8内を流れる流体(例えば水や蒸気など)と熱交換する。熱交換器8では、燃焼ガスとの熱交換によって過熱蒸気が生成される。生成された過熱蒸気は、蒸気タービン3に送られ、蒸気タービン3を回転駆動する。蒸気タービン3が回転駆動すると、蒸気タービン3と同軸に接続された発電機4によって発電される。一方、熱交換器8と熱交換した燃焼ガスは、空気予熱器22およびバグフィルタ23を通過した後に、煙突(図示せず)から大気に放出される。
【0040】
火炉5には、その内部において流動材を流動させる複数の空気ノズル12と、燃焼用空気を供給する燃焼空気供給部26とが設けられている。なお、一般的には微粉燃焼方式で用いられる火炉5が部分的に1500℃程度を超過することに対し、循環流動層ボイラ2で用いられる火炉5では炉内温度が均一であるとともに、例えば800〜900℃に制御される。このため、循環流動層ボイラ2では、サーマルNOx(燃焼温度依存の発生NOx)の生成量を抑制でき、さらにNOx発生量や、火炉5内に石灰石を供給することで炉内脱硫(CaCO3→CaO+CO2、CaO+SO2+1/2O2 →CaSO4)を行うことも可能となる。
【0041】
燃焼空気供給部26は複数設けられている。燃焼空気供給部26は、各々、FDF(Forced Delivery Fan)27から空気予熱器22で予熱された空気の一部を燃焼用空気として炉内に噴出する。噴出される燃焼用空気は、風室28によって、各燃焼空気供給部26に略均一に分配されている。このため、火炉5内では一様な流動層を形成され、炉内温度が比較的均一になる。
【0042】
空気ノズル12は、炉底11を鉛直上下方向に貫通して設けられ、炉底11全体に亘って複数(例えば数百本)設置されている。空気ノズル12の上部は火炉5の内部に位置し、下部は風箱29の内部に位置している。FDF27から空気予熱器22で予熱されて送られてきた空気を、風箱29を介して複数の空気ノズル12によって火炉5の内部に供給している。
【0043】
次に、本実施形態に係る壁面構造40Aについて説明する。
壁面構造40Aは、発電システム1が備えるサイクロン13や、サイクロン13に接続されているダクト30、ダクト31など、流動材(特に、流動砂)が800〜900℃の燃焼ガスなどのガスによって搬送されるに際して、その内部を流通する構造の壁面に採用されて好適である。以下においては、サイクロン13の壁面を例にして説明を行うが、これはサイクロン13の壁面に限定するものではなく、例えば、ダクト30やダクト31の壁面であっても良い。
【0044】
図2に示すように、壁面構造40Aは、サイクロン13の外部から内部に向かって順に、鋼板42、断熱材44、耐火材46を備えた層構造になっている。つまり、サイクロン13の外部側の壁面が鋼板42とされ、流動砂などの流動材を含む燃焼ガスが流通する内部側の壁面が耐火材46とされている。
【0045】
鋼板42は、例えば、一般的な構造用炭素鋼による鋼板とされており、サイクロン13の容器の外殻を形成している。ボイラ2の通常運転時、サイクロン13の内部は、燃焼ガスの流通によって800℃〜900℃の高温に晒される。そのため、鋼板42の内面上には、鋼板42の保護を目的として断熱材44が施工されている。
【0046】
断熱材44は、例えば、Al2O3(アルミナ)やSiO2(シリカ)およびこれらの混合物などを主成分とするものであり、かさ密度を低くするなどで断熱性に優れたものが採用される。断熱材44は、例えば、鋼板42に所定ピッチで固定されたY字状のアンカーピン50によって鋼板42に対して後述する耐火材46とともに設置されている。Y字状のアンカーピン50は長さの違うものを用いて、鋼板42に対して断熱材44と耐火材46を別々に支持してもよい。断熱材44は、断熱性に優れる一方、サイクロン13や、サイクロン13に接続されているダクト30,31などの内部を流通する燃焼ガスに含まれる流動砂や燃焼灰などの粒子による浸食や摩耗に弱い。そのため、断熱材44の内面上には、断熱材44の保護を目的として耐火材46が施工されている。なお、鋼板42上に施工された断熱材44の厚さ(図2で示す上下方向)は、約200mmから400mmとされる。
【0047】
耐火材46は、断熱材44における鋼板42が位置する側の面とは反対側の面(燃焼ガスが流れる側)に施工され、例えば、Al2O3(アルミナ)やSiO2(シリカ)やSiC(炭化ケイ素)およびこれらの混合物などを主成分とし、かさ密度を高くして緻密化するなどして、耐摩耗性に優れたものが採用される。耐火材46は、平面視した場合、長辺が約1000mmから5000mm、厚さ(図2で示す上下方向)が約50mmから約150mmのブロック形状とされ、複数の耐火材46が面方向(例えば、図2で示す左右方向)に互いに所定の隙間を空けて断熱材44に接して施工されている。本実施形態において、断熱材44を鋼板42に対して固定しているアンカーピン50によって、耐火材46は断熱材44に対して設置されている。耐火材46同士の隙間は、例えば、目地52とされる。目地52の幅は、例えば、約5mmから約20mmとされる。目地52は、ボイラ2の起動時から通常運転時にかけての耐火材46の面方向の熱伸びに対して、隣接する耐火材46同士の干渉を発生させないように、熱伸びを吸収できるように設定された隙間である(図3参照)。目地52は、耐火材46の寸法、性状や形状によって適宜変更できることは言うまでもない。耐火材46は、例えば、断熱材44に仮設設置された型枠への流し込みよって成形してもよい。また別途製作したブロック状の耐火材46を取り付けてもよい。
【0048】
壁面構造40Aは、目地52に設置される緩衝材48を備える。緩衝材48は、例えば、Al2O3(アルミナ)やSiO2(シリカ)やMgO(マグネシア)CaO(カルシア)およびこれらの混合物などを主成分とする繊維状のセラミックスを、かさ密度約100kg/m^3から約500kg/m^3程度の綿状や多孔質状に形成したものであって、柔軟性を有するものとされる。なお、緩衝材48は、これらのものに限らず、耐火材46に熱伸びが生じていない場合、目地52に流動砂が侵入することを防止できる程度の低いかさ密度、またはそれ以上のかさ密度を有した素材であって、かつ、図3のように耐火材46に熱伸びが生じた場合に耐火材46の熱伸びを拘束しない程度に収縮が可能な柔軟性を有した素材であれば良い。
【0049】
ボイラ2の起動時において、耐火材46は、サイクロン13の内部を流通する燃焼ガスが約500℃に到達したときには、概ね熱膨張による熱伸びが完了している。耐火材46の熱伸びが完了した後であれば、仮に目地52に流動砂が侵入しても再起動するまでは耐火材46の熱伸びを拘束しないので、再起動時までの点検期間に緩衝材48を補修可能であれば、燃焼ガスが約500℃に到達したときに、緩衝材48が焼失や損傷をしていても良い。
【0050】
次に、目地52に緩衝材48を保持する保持構造54Aについて説明する。
図4に示すように、保持構造54Aは、目地52(緩衝材48)を挟んで対向する耐火材46の側面に形成された可動孔58に対して両端部が挿入された棘付きの保持ピン(ピン)56を備えている。
【0051】
保持ピン56は、本体56aが棒状とされた細いピンとされ、その周囲には複数の棘56bが半径方向に形成されている。保持ピン56は高温の燃焼ガスに対する耐酸化性があることが好ましく、例えば金属製でステンレス系の材質である。なお、保持ピン56は、耐火材46に熱伸びが生じた場合でも、耐火材46の熱伸びを拘束しないように耐火材46より剛性を低くして、耐火材46の熱変形が発生した時には、耐火材46を損傷させずに変形可能とされたものが好ましい。保持ピン56は、図4で示す紙面垂直方向に所定間隔を空けて複数本設置されている。
【0052】
可動孔58は、目地52(緩衝材48)を挟んで対向する耐火材46の側面に設けられ、その深さの方向が保持ピン56の長手方向と一致するように形成されている。一方の耐火材46に形成された可動孔58の底壁58aから、それに対向する他方の耐火材46に形成された可動孔58の底壁58aまでの距離は保持ピン56の長手方向の長さよりも長く、かつ、可動孔58の内径は保持ピン56の外径よりも大きく設定されている。これにより、保持ピン56は、目地52の内部に配置されつつも長手方向に移動が可能なので、耐火材46に熱伸びが生じた場合でも、保持ピン56が耐火材46の熱伸びを拘束することはなく、耐火材46および保持ピン56が損傷することを防ぐことができる。
【0053】
緩衝材48は前述の通り柔軟性に優れているので、保持ピン56が設置された目地52にサイクロン13の内部側から押し込むことができる。目地52に押し込まれた緩衝材48は、目地52の内側で目地52および保持ピン56の形状に合わせた形状に柔軟に変形する。これにより、緩衝材48は保持ピン56の棘56bに引っ掛かるので目地52に保持される。
【0054】
本実施形態において、保持ピン56は、例えば次のように可動孔58に設置される。
まず、保持ピン56の両端部に可動孔58の形状に合わせた紙等の柔軟で焼損し易い保護材を巻き付けておく。前述の通り耐火材46は型枠への流し込みによって成形されるので、両端部に紙等が巻き付けられた保持ピン56が配置された状態で流し込みを行う。これにより、保持ピン56が紙等を介して固定された耐火材46が成形される。この状態でボイラ2の起動を行うと、耐火材46の熱伸びが完了する温度(例えば、500℃程度)に到達する前に保持ピン56の両端部に巻き付けられた紙等が焼失して隙間となる。耐火材46が熱伸びする温度に到達するときには、可動孔58によって保持ピン56が設置された耐火材46となる。すなわち、図4の状態になる。
【0055】
なお、保持ピン56は、例えば次のように可動孔58に設置しても良い。
耐火材46を流し込みによって成形するとき、可動孔58に加えて、図5に示すような装着用空間60を耐火材46に形成する。装着用空間60は、可動孔58よりもサイクロン13の燃焼ガスが流通する側である内部側に形成され、保持ピン56の長手方向の長さよりも可動孔58の長手方向の幅が狭く、可動孔58に接続された空間である。可動孔58および装着用空間60が形成された耐火材46を用いることで、図5に示すように、サイクロン13の内部側から保持ピン56を一方の長手方向へ偏心させつつ可動孔58に挿入して、他方側へと戻して偏心を解除することで、保持ピン56を耐火材46に設置できる。このとき、装着用空間60は、保持ピン56と耐火材46の干渉を避けるスペースとなる。
【0056】
本実施形態においては、以下の効果を奏する。
流動砂などの流動材を含む燃焼ガスが流通している領域において、ボイラ2の起動時から通常運転時までの間にかけて、緩衝材48の柔軟性によって隣接する耐火材46同士の熱伸びを吸収しつつ、緩衝材48の存在によって目地52に流動材が堆積することを防止できる。このとき、緩衝材48は、保持構造54Aが備える保持ピン56によって目地52に保持された状態で設置されているので、緩衝材48に自重が作用したり、燃焼ガスの流通によるエジェクタ効果に起因する引力が作用したり、耐火材46が熱膨張で移動をしても、緩衝材48が目地52から脱落することがない。つまり、設置状態や運転状態に依らずに隙間に流動材が堆積することを防止でき、耐火材46同士の熱伸びの拘束を避けることができる。
【0057】
また、緩衝材48は柔軟性を有する素材とされている。このため、前述したように耐火材46の熱伸びを吸収できるだけでなく、その柔軟性によって目地52に容易に設置することができる。例えば、目地52や保持構造54Aが備える保持ピン56が複雑な形状とされた場合、緩衝材48を隙間に押し込めば、緩衝材48が目地52の内側で目地52や保持ピン56の形状に合わせた緩衝材48の形状へと柔軟に変形する。
【0058】
また、保持ピン56を耐火材46に対して設置する場合、保持ピン56を設置できるように耐火材46にのみ加工を施せば良く、例えば、耐火材46を流し込みによって成形する場合、保持ピン56を固定するための可動孔58や装着用空間60が容易に成形できる。
【0059】
なお、図6に示すようにサイクロン13の燃焼ガスが流通する側である内部側から壁面構造40Aを平面視した場合、保持ピン56は、その長手方向が目地52の長手方向に沿うように配置されても良い。この場合、例えば、保持ピン56の両端のうち一端が一の耐火材46に向けて略直角に折り曲げられ、保持ピン56の他端が一の耐火材46に目地52を挟んで対向する他の耐火材46向けて略直角折り曲げられ、保持ピン56のそれぞれの端部がそれぞれの耐火材46に形成された可動孔58に対して設置される。これにより、保持ピン56は耐火材46に対して設置される。
【0060】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について、図7から図10を用いて説明する。
本実施形態の壁面構造40Bは、第1実施形態と保持ピン56の形態が異なり、その他の点については同様である。したがって、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0061】
図7に示すように、壁面構造40Bは、保持構造54Bとして、断熱材44に設置された棘付きの保持ピン56を備えている。
【0062】
保持ピン56は、棒状の本体56aの長手方向が耐火材46の厚さ方向に一致する細いピンとされ、その周囲には複数の棘56bが半径方向に形成されている。保持ピン56は、高温の燃焼ガスに対する耐酸化性があることが好ましく、例えば金属製でステンレス系の材質である。断熱材44には、耐火材46が設置される側から保持ピン56を差し込んで固定できるような穴が設けられる。この穴に保持ピン56が押し込まれることで、保持ピン56が断熱材44に対して固定される。なお、保持ピン56は、耐火材46に熱伸びが生じた場合でも、耐火材46の熱伸びを拘束しないように耐火材46よりも剛性を低くして、耐火材46の熱変形が発生した時には、耐火材46を損傷させずに変形可能とされたもの好ましい。保持ピン56は、図7で示す紙面垂直方向に所定間隔を空けて複数設置されている。
【0063】
なお、保持ピン56は、図7に示すような棘付きのピンに限らず、例えば、図8に示すような返し付きのピンであっても良いし、図9に示すように先端がスプリング状に加工されたピンであっても良い。その他、目地52に設置された緩衝材48がサイクロン13の内部に脱落することなく保持するように加工されたピンであれば良い。
【0064】
本実施形態においては、以下の効果を奏する。
流動砂などの流動材を含む燃焼ガスが流通している領域において、ボイラ2の起動時から通常運転時までの間にかけて、緩衝材48の柔軟性によって耐火材46同士の熱伸びを吸収しつつ、緩衝材48の存在によって目地52に流動材が堆積することを防止できる。このとき、緩衝材48は、保持構造54Bが備える保持ピン56によって目地52に保持された状態で設置されているので、緩衝材48に自重が作用したり、燃焼ガスの流通によるエジェクタ効果に起因する引力が作用したり、耐火材46が熱膨張で移動をしても、緩衝材48が目地52から脱落することがない。つまり、設置状態や運転状態に依らずに隙間に流動材が堆積することを防止でき、耐火材46同士の熱伸びの拘束を避けることができる。
【0065】
また、緩衝材48は柔軟性を有する素材とされている。このため、前述したように耐火材46の熱伸びを吸収できるだけでなく、その柔軟性によって目地52に容易に設置することができる。例えば、目地52や保持構造54Bが備える保持ピン56が複雑な形状とされた場合、緩衝材48を隙間に押し込めば、緩衝材48が目地52の内側で目地52や保持ピン56の形状に合わせた緩衝材48の形状へと柔軟に変形する。
【0066】
また、保持ピン56を断熱材44に対して設置する場合、仮に、耐火材46の交換が必要になった場合でも、容易に耐火材46を交換できる。また、耐火材46の側面にピンを固定するための加工を施す必要がなく、断熱材44に保持ピン56を押し込んで固定できる穴を設ければよいので、既に耐火材46が設置されている既存設備に対しても容易に適用できる。
【0067】
なお、図10に示すようにサイクロン13の内部側から壁面構造40Bを平面視した場合、保持ピン56は、その長手方向が目地52の方向に沿うように配置されても良い。この場合、例えば、断熱材44に設けた穴に固定ピン62を押し込んで固定する。この固定された固定ピン62に保持ピン56を取り付けることで、断熱材44に対して保持ピン56が設置される。固定ピン62は、例えば、断熱材44に固定され耐火材46の厚さ方向(図10で示す紙面垂直方向)に延在するピン状の部材とされ、高温の燃焼ガスに対する耐酸化性があることが好ましく、例えば金属製でステンレス系の材質である。
【0068】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について、図11から図13を用いて説明する。
本実施形態の壁面構造40Cは、第1および第2実施形態と保持構造54の形態が異なり、その他の点については同様である。したがって、第1および第2実施形態と異なる点についてのみ説明し、その他は同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0069】
図11に示すように、壁面構造40Cは、保持構造54Cとして、サイクロン13の燃焼ガスが流通する側である内部側から断熱材44に向かって耐火材46の厚さ方向において目地52が拡幅する拡幅部64を備えている。
【0070】
拡幅部64は、目地52の一部を形成しており、サイクロン13の内部側の耐火材46の表面から断熱材44側へ向かって目地52の幅が一定とされている区間(縮小部65)に接続されている。拡幅部64は、その縮小部65から断熱材44側へ向かって目地52(緩衝材48)を挟んで対向する2つ耐火材46の側面の間隔、すなわち目地52の幅が末広がり形状に拡大するように形成されている。換言すれば、拡幅部64においては、断熱材44側から耐火材46の燃焼ガスが流通する側である表面側に位置する縮小部65に向かって目地52の幅が狭くなっている。縮小部65における目地52の幅は、例えば、約5mmから約20mmに設定された、ボイラ2の起動時から通常運転時までの間にかけての耐火材46の熱伸びを吸収できるように設定された隙間である。なお、拡幅部64は、例えば、耐火材46の型枠への流し込みと同時に成形されてもよい。
【0071】
緩衝材48は前述の通り柔軟性に優れているので、拡幅部64が設けられた目地52にサイクロン13の内部側から押し込むことができる。押し込まれた緩衝材48は、目地52および拡幅部64の内側で目地52および拡幅部64の形状に合わせた形状に柔軟に変形する。拡幅部64は、断熱材44側から縮小部65に向かって目地52が狭くなっているので、緩衝材48は、断熱材44側から縮小部65に向かう方向に拘束されて脱落しない。
【0072】
本実施形態においては、以下の効果を奏する。
流動砂などの流動材を含む燃焼ガスが流通している領域において、ボイラ2の起動時から通常運転時までの間にかけて、緩衝材48の柔軟性によって隣接する耐火材46同士の熱伸びを吸収しつつ、緩衝材48の存在によって目地52に流動材が堆積することを防止できる。このとき、緩衝材48は、保持構造54Cが備える拡幅部64によって目地52に保持された状態で設置されているので、緩衝材48に自重が作用したり、燃焼ガスの流通によるエジェクタ効果に起因する引力が作用したり、耐火材46が熱膨張で移動をしても、緩衝材48が目地52から脱落することがない。つまり、設置状態や運転状態に依らずに隙間に流動材が堆積することを防止でき、耐火材46同士の熱伸びの拘束を避けることができる。
【0073】
また、別途に緩衝材48を保持するための部材を用意する必要がなく施工コストを低減できる。さらに、目地52の内部に別途の部材を設けないので、緩衝材48を押し込む際に緩衝材48に干渉するものが無く、緩衝材48の設置がより容易になる。
【0074】
なお、拡幅部64は、図11に示すように、縮小部65より断熱材44側の全区間に亘って拡幅している必要は無く、図12図13に示すように、耐火材46の燃焼ガスが流通する側に、耐火材46の断熱材44側に設けた拡幅部64より幅が狭い縮小部65を少なくとも一部の区間に設けるようにしていれば良い。
【0075】
本発明は、前述の各実施形態に係る発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記各実施形態では、本発明を循環流動層ボイラ2に適用する例について説明したが、本発明は、流動床ボイラ(BFB:Bubbling Fluidized Bed)に適用してもよい。
また、図2から図5図7図11から図13の左右方向(面方向)は、必ずしも実際の水平方向と一致するものではなく、壁面構造40の設置状態によって変化する。例えば、図2に示す壁面構造40Aがサイクロン13の側壁に採用される場合、図2で示す面方向は実際の鉛直方向となる。また、壁面構造40は平面状でなく円筒状の内面である曲面でもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 発電システム
2 循環流動層ボイラ(ボイラ)
3 蒸気タービン
4 発電機
5 火炉
11 炉底
12 空気ノズル
13 サイクロン(容器)
29 風箱
30,31 ダクト
40(40A,40B,40C) 壁面構造
42 鋼板
44 断熱材
46 耐火材
48 緩衝材
50 アンカーピン
52 目地
54(54A,54B,54C) 保持構造
56 保持ピン
58 可動孔
58a 底壁
60 装着用空間
62 固定ピン
64 拡幅部
65 縮小部
【要約】
【課題】流動材を含むガスが流通する領域において、設置状態や運転状態に依らずに耐熱材間の隙間に流動材が堆積することを防止でき、耐火材同士の熱伸びの拘束を避けることができる壁面構造およびその組み付け方法を提供する。
【解決手段】鋼板と、鋼板上の面に配置された断熱材と、断熱材上の面に互いに間隔を空けて配置された複数の耐火材46と、耐火材46に接して流動材を含むガスが流通する領域に面するとともに複数の耐火材46間の隙間に配置された緩衝材48と、隙間に緩衝材48を保持する保持構造54とを備えている壁面構造40。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13