【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の実施例1の分析システムの構成を示すブロック図である。
【0010】
本実施例の分析システムは、分析装置100によって構成される。分析装置100は、相互にアクセス可能に接続されたCPU101、メモリ102、記憶装置103、表示装置104、入力装置105、プリンタ106及びネットワークインターフェース(I/F)107を有する計算機である。
【0011】
CPU101は、メモリ102に格納されたプログラムを実行することによって後述する種々の機能を実現するプロセッサである。
【0012】
メモリ102は、CPU101によって実行されるプログラム及びその他のデータを格納する主記憶装置である。本実施例のメモリ102は、オペレーティングシステム等の基本的なプログラム(図示省略)の他、データ入力部111、店舗グループ付与処理部112、店舗別ABC分析計算部113、単品ポテンシャル計算部114、陳列商品優先順出力部115及びデータベースアクセス部116の機能を実現するためのプログラムを格納する。以下の説明において上記の各部が実行する処理は、実際には、CPU101が、メモリ102に格納されたプログラムに従って、必要に応じて分析装置100内の各部を制御することによって実行される。
【0013】
記憶装置103は、例えばハードディスクドライブ等であり、商品マスタテーブル300等のデータを格納する。記憶装置103に格納されるデータの少なくとも一部が必要に応じてメモリ102にコピーされてもよい。また、CPU101が実行するプログラムも、記憶装置103に格納され、その少なくとも一部が必要に応じてメモリ102にコピーされてもよい。記憶装置103に格納されるデータの詳細については後述する。
【0014】
表示装置104及びプリンタ106は、CPU101によって実行された処理の結果を出力する出力装置であり、文字列及び図形等の任意の視覚的な情報を出力することができる。
【0015】
入力装置105は、分析装置100のユーザが分析装置100に情報を入力するために使用される装置であり、例えば、キーボード、マウス又はタッチパネル等であってもよい。
【0016】
ネットワークI/F107は、ネットワーク120に接続され、他の装置、例えば一つ以上の計算機/端末130との間でデータを通信する。
【0017】
図2は、本発明の実施例1の分析装置100が実行する処理を示すフローチャートである。
【0018】
最初に、データベースアクセス部116が、記憶装置103等からテーブルを読み込む(ステップ201)。ここで読み込まれるテーブルについては
図3〜
図6等を参照して後述する。
【0019】
次に、データ入力部111が、入力装置105を介して入力されたデータをテーブルに格納する(ステップ202)。例えば、ステップ201で読み込まれたテーブルのデータを補う情報、又は、これから実行される処理において参照されるパラメータ等が入力された場合には、それらをテーブルに格納してもよい。必要がない場合はステップ202を省略してもよい。
【0020】
次に、店舗グループ付与処理部112が、ステップ201で読み込まれたテーブル及びステップ202で入力されたデータに基づいて、各店舗を店舗グループに分類する(ステップ203)。この処理の詳細については
図7〜
図10を参照して後述する。
【0021】
次に、店舗別ABC分析計算部113が、各店舗についてABC分析を行う(ステップ204)。この処理の詳細については
図11及び
図12を参照して後述する。
【0022】
次に、単品ポテンシャル計算部114が、ステップ203の分類の結果及びステップ204の分析の結果に基づいて、各店舗の各商品について、売り上げのポテンシャルを計算する(ステップ205)。この処理の詳細については
図13及び
図14を参照して後述する。
【0023】
最後に、陳列商品優先順出力部115が、ステップ205で計算されたポテンシャルに基づいて、陳列商品の優先順を決定し、出力する(ステップ206)。この処理の詳細については
図15〜
図17を参照して後述する。
【0024】
図3は、本発明の実施例1の分析装置100が保持する商品マスタテーブル300の説明図である。
【0025】
商品マスタテーブル300は、分析装置100の記憶装置103に格納され、ステップ201において読み出され、必要に応じてその少なくとも一部の複製がメモリ102に格納されてもよい。
【0026】
商品マスタテーブル300は、各商品の属性に関する情報を含み、例えば、各商品の商品コード301、商品名302、単価303及びライフスタイル属性コード304からなる。商品コード301は、各商品を一意に識別するコードである。商品名302は、各商品の名称である。
図3では例示のため商品名302として“一般食品A”などが登録されているが、実際には具体的な商品名が登録されてもよい。単価303は、各商品の単価である。ライフスタイル属性コード304は、各商品に予め付与された属性を識別するコードである。本実施例では、各商品を購入する顧客に想定されるライフスタイルを示す属性(以下、ライフスタイル属性)が各商品に付与される。本実施例におけるライフスタイル属性の例については
図4を参照して後述する。
【0027】
図4は、本発明の実施例1の分析装置100が保持するライフスタイル属性テーブル400の説明図である。
【0028】
ライフスタイル属性テーブル400は、分析装置100の記憶装置103に格納され、ステップ201において読み出され、必要に応じてその少なくとも一部の複製がメモリ102に格納されてもよい。
【0029】
ライフスタイル属性テーブル400は、ライフスタイル属性に関する情報を含み、例えば、ライフスタイル属性コード401及びライフスタイル属性402からなる。ライフスタイル属性コード401は、各商品に予め付与された属性を識別するコードであり、
図3のライフスタイル属性コード304に対応する。ライフスタイル属性402は、各コードに対応するライフスタイル属性を示す。
図4の例では、ライフスタイル属性コード401の値“01”、“02”及び“03”のそれぞれに対応するライフスタイル属性402として“贅沢”、“健康”及び“アクティブ”が登録されている。
【0030】
ここで
図3及び
図4を照合すると、商品“一般食品A”にはいずれのライフスタイル属性も付与されていない。商品“スポーツ食品B”及び“健康食品C”には、それぞれ、ライフスタイル属性として“アクティブ”及び“健康”が付与されている。これは、スポーツ食品Bには、アクティブ指向のライフスタイルを持つ人物、例えば、日常的にスポーツを行うなど、活動的な生活を好む人物によって購入される傾向があるという属性が与えられ、健康食品Cには、健康志向のライフスタイルを持つ人物、例えば、食品の添加物及び栄養バランス等に気を配った健康的な生活を好む人物によって購入される傾向があるという属性が与えられていることを示している。また、この例では、一般食品Aにはいずれの属性も付与されていない。
【0031】
商品に付与される上記の属性は一例であり、例えば、流行に追随することを好むライフスタイル属性、又は、安価な商品を好むライフスタイル属性などが付与されてもよいし、ライフスタイルに関する属性に当てはまらない属性が付与されてもよい。
【0032】
図5は、本発明の実施例1の分析装置100が保持する店舗マスタテーブル500の説明図である。
【0033】
店舗マスタテーブル500は、分析装置100の記憶装置103に格納され、ステップ201において読み出され、必要に応じてその少なくとも一部の複製がメモリ102に格納されてもよい。
【0034】
店舗マスタテーブル500は、各店舗の属性に関する情報を含み、例えば、店舗コード501、店舗名502及び立地属性503からなる。店舗コード501は、各店舗を一意に識別するコードである。店舗名502は、各店舗の名称である。立地属性503は、例えば住宅地又は駅前といった、各店舗の立地に関する属性である。
【0035】
図6は、本発明の実施例1の分析装置100が保持する取引明細テーブル600の説明図である。
【0036】
取引明細テーブル600は、各店舗で実際に販売された商品に関する情報を含み、例えば、販売日601、店舗コード602、レシートコード603、商品コード604、販売個数605及び販売金額606からなる。販売日601は、各商品が販売された日を示す。店舗コード602は、各商品が販売された店舗を一意に識別するコードであり、
図5の店舗コード501に対応する。レシートコード603は、各商品の販売を記録するレシートを一意に識別するコードである。商品コード604は、販売された各商品を一意に識別するコードであり、
図3の商品コード301に対応する。販売個数605は、販売された各商品の数量を示す。販売金額606は、販売された各商品の金額を示す。
【0037】
上記のような取引明細テーブル600の情報は、例えば、各店舗に導入されているPOS(Point Of Sales)システムから取得することができる。このため、取引明細テーブル600は、予め分析装置100の記憶装置103に格納され、ステップ201において読み出されてもよいし、ステップ201において、POSシステムのデータを保持する計算機/端末130等から、ネットワークI/F107及びネットワーク120を介して読み出されてもよい。読みだされたデータの少なくとも一部の複製がメモリ102に格納されてもよい。
【0038】
図7は、本発明の実施例1の分析装置100の店舗グループ付与処理部112が
図2のステップ203において実行する処理を示すフローチャートである。
【0039】
最初に、店舗グループ付与処理部112は、商品マスタテーブル300、ライフスタイル属性テーブル400、店舗マスタテーブル500及び取引明細テーブル600に基づいて、店舗ライフスタイル属性計算テーブル800(
図8参照)、店舗ライフスタイル属性付与テーブル900(
図9参照)及び店舗グループ分類テーブル1000(
図10参照)を生成する(ステップ701)。これらのテーブルは、メモリ102に格納されてもよいし、記憶装置103に格納されてもよい。これらのテーブルの詳細は後述する。
【0040】
次に、店舗グループ付与処理部112は、店舗ライフスタイル属性計算テーブル800を参照して、各店舗の売上(例えば販売金額)をライフスタイル属性ごとに集計し、集計したライフスタイル属性ごとの売上を店舗ライフスタイル属性計算テーブル800に格納する(ステップ702)。
【0041】
次に、店舗グループ付与処理部112は、店舗ライフスタイル属性計算テーブル800に格納されたライフスタイル属性ごとの売上から比率を計算し、計算した比率を店舗ライフスタイル属性付与テーブル900に格納する(ステップ703)。
【0042】
次に、店舗グループ付与処理部112は、店舗ライフスタイル属性付与テーブル900を参照して、店舗ごとに、最も比率の高いライフスタイル属性をその店舗のライフスタイル属性として決定し、決定したライフスタイル属性に対応するライフスタイル属性コードを店舗ライフスタイル属性付与テーブル900に格納する(ステップ704)。
【0043】
次に、店舗グループ付与処理部112は、店舗ライフスタイル属性付与テーブル900に格納された店舗ライフスタイル属性に基づいて、店舗ライフスタイル属性ごとに、それに該当する店舗を識別する店舗コードを店舗グループ分類テーブル1000に格納する(ステップ705)。
【0044】
以上で店舗グループ付与処理部112の処理が終了する。
【0045】
図8は、本発明の実施例1の分析装置100が保持する店舗ライフスタイル属性計算テーブル800の説明図である。
【0046】
店舗ライフスタイル属性計算テーブル800は、店舗コード801、ライフスタイル属性コード01“贅沢”802、ライフスタイル属性コード02“健康”803、ライフスタイル属性コード03“アクティブ”804及びライフスタイル属性なし805からなる。
【0047】
店舗コード801は、各店舗を一意に識別するコードであり、
図5の店舗コード501等に対応する。ライフスタイル属性コード01“贅沢”802、ライフスタイル属性コード02“健康”803及びライフスタイル属性コード03“アクティブ”804は、それぞれ、各店舗の、所定の期間における、ライフスタイル属性が“贅沢”、“健康”及び“アクティブ”である商品の売上の合計である。ライフスタイル属性なし805は、各店舗の、所定の期間における、ライフスタイル属性が付与されていない商品の売上の合計である。これらの値は、
図7のステップ702において計算される。
【0048】
図8の例では売上の合計として販売金額の合計を使用しているが、販売実績を示す値であれば使用できる。例えば、販売した商品の数量の合計を使用してもよい。商品に上記以外の属性が付与される場合には、その属性に対応する項目が店舗ライフスタイル属性計算テーブル800に追加される。
【0049】
図9は、本発明の実施例1の分析装置100が保持する店舗ライフスタイル属性付与テーブル900の説明図である。
【0050】
店舗ライフスタイル属性付与テーブル900は、店舗コード901、ライフスタイル属性コード01“贅沢”902、ライフスタイル属性コード02“健康”903、ライフスタイル属性コード03“アクティブ”904及び店舗ライフスタイル属性905からなる。
【0051】
店舗コード901は、各店舗を一意に識別するコードであり、
図5の店舗コード501等に対応する。ライフスタイル属性コード01“贅沢”902、ライフスタイル属性コード02“健康”903及びライフスタイル属性コード03“アクティブ”904は、それぞれ、各店舗の所定の期間の売上の合計に対する、ライフスタイル属性が“贅沢”、“健康”及び“アクティブ”である商品の売上の割合である。これらの値は、
図7のステップ703で計算される。店舗ライフスタイル属性905は、売り上げの割合から決定された各店舗のライフスタイル属性である。これは、
図7のステップ704で決定される。
【0052】
例えば、
図8において、店舗コード801が“XXX”である店舗(以下、単に店舗XXXとも記載する。他の店舗コードについても同様)のライフスタイル属性コード01“贅沢”802、ライフスタイル属性コード02“健康”803、ライフスタイル属性コード03“アクティブ”804及びライフスタイル属性なし805の値がそれぞれ“20000円”、“35000円”、“45000円”及び“0円”である場合、販売金額の合計である100000円に対するそれぞれの属性の販売金額の割合である“20%”、“35%”及び“45%”が計算され、それぞれ、ライフスタイル属性コード01“贅沢”902、ライフスタイル属性コード02“健康”903及びライフスタイル属性コード03“アクティブ”904に格納される。
【0053】
この例では、ライフスタイル属性“アクティブ”の商品の販売金額の割合が最も高いため、店舗XXXの店舗ライフスタイル属性は“アクティブ”に決定され、それに対応するライフスタイル属性コード“03”が、店舗XXXの店舗ライフスタイル属性905に格納される。
【0054】
図10は、本発明の実施例1の分析装置100が保持する店舗グループ分類テーブル1000の説明図である。
【0055】
店舗グループ分類テーブル1000は、店舗ライフスタイル属性1001及び店舗コード1002〜1005からなる。店舗ライフスタイル属性1001は、店舗ライフスタイル属性を識別するコードであり、店舗コード1002〜1005は、それぞれの店舗ライフスタイル属性が付与された店舗を識別するコードである。例えば、上記のように店舗XXXに店舗ライフスタイル属性“アクティブ”が付与された場合、店舗ライフスタイル属性“アクティブ”のコード“03”に対応する店舗コード1002として“XXX”が格納される。
図10の例では店舗コード1002〜1005のみを示すが、実際の店舗グループ分類テーブル1000は、より多くの店舗コードを格納するカラムを有してもよい。
【0056】
図11は、本発明の実施例1の分析装置100の店舗別ABC分析計算部113が
図2のステップ204において実行する処理を示すフローチャートである。
【0057】
最初に、店舗別ABC分析計算部113は、商品マスタテーブル300、店舗マスタテーブル500及び取引明細テーブル600に基づいて、店舗別ABC計算テーブル1200を生成する(ステップ1101)。このテーブルは、メモリ102に格納されてもよいし、記憶装置103に格納されてもよい。店舗別ABC計算テーブル1200の詳細は後述する(
図12参照)。
【0058】
次に、店舗別ABC分析計算部113は、店舗ごとに、各商品の売上を計算し、売上の高い商品から順に、その商品コード及び計算された売上を店舗別ABC計算テーブル1200に格納する(ステップ1102)。
【0059】
以上で店舗別ABC分析計算部113の処理が終了する。
【0060】
図12は、本発明の実施例1の分析装置100が保持する店舗別ABC計算テーブル1200の説明図である。
【0061】
店舗別ABC計算テーブル1200は、店舗コード1201、及び、売上の順位ごとの商品コードと売上数の組からなる。
図12の例では、売上が1位の商品の商品コード1202、その売上数1203、売上が2位の商品の商品コード1204、その売上数1205、売上が3位の商品の商品コード1206、その売上数1207、売上が4位の商品の商品コード1208及びその売上数1209を含んでいるが、さらに下位の商品コード及び売上数を含んでもよい。
【0062】
図12の例では、店舗XXXにおいて、商品コードが“3000001”である商品の売上数“40”が1位であったために、店舗XXXの売上1位の商品コード1202及び売上数1203にそれぞれ“3000001”及び“40”が格納される。同様に、店舗XXXの売上2位以下の商品コード及び売上数、並びに、他の店舗の売上の順位ごとの商品コード及び売上数も計算され、対応するフィールドに格納される(
図11のステップ1102)。
【0063】
上記の
図11及び
図12の例では、店舗ごとの各商品の売上として売上数(すなわち販売された商品の数)を使用しているが、販売実績を示す値であれば、販売された商品の数量の代わりに販売金額を使用してもよい。以下の処理についても同様である。
【0064】
図13は、本発明の実施例1の分析装置100の単品ポテンシャル計算部114が
図2のステップ205において実行する処理を示すフローチャートである。
【0065】
最初に、単品ポテンシャル計算部114は、店舗グループ分類テーブル1000及び店舗別ABC計算テーブル1200に基づいて店舗ライフスタイル属性別商品ポテンシャル計算テーブル1400を生成する(ステップ1301)。このテーブルは、メモリ102に格納されてもよいし、記憶装置103に格納されてもよい。店舗ライフスタイル属性別商品ポテンシャル計算テーブル1400の詳細は後述する(
図14参照)。
【0066】
次に、単品ポテンシャル計算部114は、それぞれの店舗ライフスタイル属性に対応するライフスタイル属性の商品の店舗ごとの売上数を、店舗ライフスタイル属性別商品ポテンシャル計算テーブル1400に格納する(ステップ1302)。
【0067】
次に、単品ポテンシャル計算部114は、店舗ライフスタイル属性別商品ポテンシャル計算テーブル1400に格納された商品ごとに、売上数が最大の店舗を特定し、特定した店舗に売上最大フラグを設定する(ステップ1303)。
【0068】
以上で単品ポテンシャル計算部114の処理が終了する。
【0069】
図14は、本発明の実施例1の分析装置100が保持する店舗ライフスタイル属性別商品ポテンシャル計算テーブル1400の説明図である。
【0070】
店舗ライフスタイル属性別商品ポテンシャル計算テーブル1400は、店舗ライフスタイル属性1401、ライフスタイル属性1402、商品コード1403、店舗コード1404、売上数1405及び最大売上フラグ1406からなる。
【0071】
店舗ライフスタイル属性1401は、各店舗のライフスタイル属性を識別するコードであり、
図9の店舗ライフスタイル属性905に対応する。ライフスタイル属性1402は、各商品に付与されたライフスタイル属性を識別するコードであり、
図3のライフスタイル属性コード304に対応する。商品コード1403は、各商品を識別するコードであり、
図3の商品コード301に対応する。店舗コード1404は、各店舗を識別するコードであり、
図5の店舗コード501に対応する。売上数1405は、各店舗における各商品の売上数を示し、
図12の売上数1203等に対応する。最大売上フラグ1406は、あるライフスタイル属性が付与された複数の店舗における、当該ライフスタイル属性と同一のライフスタイル属性が付与されたある商品の売上数を比較した結果、ある店舗の売上数が最大であった場合に、当該店舗と当該商品の組合せに対して付与されるフラグである。
【0072】
例えば、単品ポテンシャル計算部114は、店舗ライフスタイル属性が“アクティブ”である各店舗における、ライフスタイル属性が“アクティブ”であるスポーツ食品B(
図3参照)の売上数を、店舗ライフスタイル属性別商品ポテンシャル計算テーブル1400に格納し(ステップ1302)、それらの最大値を特定する(ステップ1303)。
図14の例では、店舗ライフスタイル属性が“アクティブ”である店舗XXX及び店舗ZZZにおいて、ライフスタイル属性が“アクティブ”であるスポーツ食品Bがそれぞれ30個及び50個販売されている。仮に、店舗ライフスタイル属性が“アクティブ”であって、かつ、スポーツ食品Bが50個以上販売された店舗が他になかった場合、店舗ZZZにおけるスポーツ食品Bの売上数50個に、最大売上フラグが設定される(
図14の“Yes”)。上記と同様の処理が、それぞれの店舗ライフスタイル属性と、それと同じライフスタイル属性が付与された各商品との組合せについて実行される。
【0073】
図15は、本発明の実施例1の分析装置100の陳列商品優先順出力部115が
図2のステップ206において実行する処理を示すフローチャートである。
【0074】
最初に、陳列商品優先順出力部115は、店舗別ABC計算テーブル1200及び店舗ライフスタイル属性別商品ポテンシャル計算テーブル1400に基づいて、店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600を生成する(ステップ1501)。次に、陳列商品優先順出力部115は、店舗別ABC計算テーブル1200に格納された、各店舗で販売された各商品の商品コードを、売上数が大きい順に、それを販売した店舗と対応付けて、店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600に格納する(ステップ1502)。
【0075】
次に、陳列商品優先順出力部115は、店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600に格納された各商品について、そのライフスタイル属性が、対応する店舗のライフスタイル属性と一致するか否かを判定する(ステップ1503)。
【0076】
ステップ1503において、商品のライフスタイル属性が店舗のライフスタイル属性と一致しないと判定された場合、陳列商品優先順出力部115は、店舗別ABC計算テーブル1200に格納された当該店舗における当該商品の売上数を、店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600に格納する(ステップ1504)。
【0077】
ステップ1503において、商品のライフスタイル属性が店舗のライフスタイル属性と一致すると判定された場合、陳列商品優先順出力部115は、当該店舗と同じライフスタイル属性の店舗における当該商品の売上数のうち、最大売上フラグが設定された売上数を、店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600に格納する(ステップ1505)。
【0078】
次に、陳列商品優先順出力部115は、店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600に、当該店舗の全商品の売上数が格納されたかを判定する(ステップ1506)。まだ売上数が格納されていない商品がある場合、陳列商品優先順出力部115は、その商品について、ステップ1502以降の処理を実行する。当該店舗の全商品の売上数が格納された場合、陳列商品優先順出力部115は、店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600に基づいて店舗別陳列商品優先順テーブル1700を生成する。そして、陳列商品優先順出力部115は、店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600に格納された、各店舗で販売された各商品の商品コード及び売上数を、売上数が大きい順に、それを販売した店舗と対応付けて、店舗別陳列商品優先順テーブル1700に格納する(ステップ1507)。
【0079】
全ての店舗について上記の処理が終了すると、陳列商品優先順出力部115の処理が終了する。
【0080】
図16は、本発明の実施例1の分析装置100が保持する店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600の説明図である。
【0081】
店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600は、店舗コード1601、及び、売上の順位ごとの商品コードと売上数の組からなる。
図16の例では、売上が1位の商品の商品コード1602、その売上数1603、売上が2位の商品の商品コード1604、その売上数1605、売上が3位の商品の商品コード1606、その売上数1607、売上が4位の商品の商品コード1608及びその売上数1609を含んでいるが、さらに下位の商品コード及び売上数を含んでもよい。
【0082】
図15のステップ1502が終了した時点で、店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600に格納された各店舗に対応する各順位の商品コードと売上数は店舗別ABC計算テーブル1200に格納されたものと同じになる。例えば、
図12に示すように、店舗XXXにおいて、商品コード“3000001”で識別される商品の売上数“40”が1位であり、商品コード“2000001”で識別される商品の売上数“35”が2位であり、商品コード“1000002”で識別される商品の売上数“30”が3位である場合、ステップ1502が終了した時点で、店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600の店舗XXXに対応する売上1位の商品コード1602及び売上数1603はそれぞれ“3000001”及び“40”、売上2位の商品コード1604及び売上数1605はそれぞれ“2000001”及び“35”、売上3位の商品コード1606及び売上数1607はそれぞれ“1000002”及び“30”となる。
【0083】
この例では、ステップ1503において、商品コード“1000002”で識別される商品“スポーツ食品B”のライフスタイル属性が、店舗XXXのライフスタイル属性と同じ“アクティブ”であると判定される(
図3、
図10参照)。このため、陳列商品優先順出力部115は、店舗ライフスタイル属性別商品ポテンシャル計算テーブル1400を参照して、商品コード“1000002”に対応する、最大売上フラグ1406が設定された売上数1405の値“50”を、商品コード“1000002”に対応する売上数1607に格納する(ステップ1505)。
【0084】
図17は、本発明の実施例1の分析装置100が保持する店舗別陳列商品優先順テーブル1700の説明図である。
【0085】
店舗別陳列商品優先順テーブル1700は、店舗コード1701、及び、売上の順位ごとの商品コードと売上数の組からなる。
図17の例では、売上が1位の商品の商品コード1702、その売上数1703、売上が2位の商品の商品コード1704、その売上数1705、売上が3位の商品の商品コード1706、その売上数1707、売上が4位の商品の商品コード1708及びその売上数1709を含んでいるが、さらに下位の商品コード及び売上数を含んでもよい。
【0086】
図16の例では、店舗XXXにおける商品コード“1000002”の商品の売上数が“30”から“50”に変更された結果、当該商品の売上数の順位は3位から1位に変更される。このため、
図17の例では、売上1位の商品コード1702及び売上数1703にそれぞれ“1000002”及び“50”が、売上2位の商品コード1704及び売上数1705にそれぞれ“3000001”及び“40”が、売上3位の商品コード1706及び売上数1707にそれぞれ“2000001”及び“35”が、それぞれ格納される。
【0087】
陳列商品優先順出力部115は、ステップ1507において、上記のように決定された各店舗における各商品の優先順位を示す情報を分析結果として出力してもよい。具体的には、分析装置100が表示装置104又はプリンタ106を使用して分析結果を出力してもよいし、ネットワーク120を介して、任意の計算機/端末130(例えばこの分析結果を利用して商品を陳列しようとする店舗の端末)に送信してもよい。各商品の優先順位を示す情報とは、順位を特定できる情報であればよく、例えば店舗別陳列商品優先順テーブル1700に格納された売上数の順位そのものであってもよいし、売上数を出力してもよい。
【0088】
本実施例の分析システムのユーザは、この順位を、各店舗への各商品の陳列の優先順位として使用することができる。例えば、本実施例の分析システムのユーザは、優先順位が高い順に店舗の陳列スペースに商品を陳列してゆき、陳列スペースから溢れる商品は陳列しないという判断をすることができる。
【0089】
なお、陳列商品優先順出力部115は、上記の処理によって優先順が変更された場合には、変更された売上数が実際に取得された店舗のライフスタイル属性以外の属性(例えば立地属性)を併せて出力してもよい。
図16及び
図17の例では、店舗XXXにおける商品コード“1000002”の商品の売上数が30から50に変更されたことで順位が繰り上がっているため、その売上数50が取得された店舗ZZZの立地属性503が出力されてもよい。
図5に示すように店舗XXXの立地属性が住宅地であるのに対して店舗ZZZの立地属性が駅前であることから、本実施例の分析システムのユーザは、この立地属性を参照して、上記の売上数の違いがこの立地属性の違いに起因するものであると判断した場合に、上記の順位を採用しないという判断をすることもできる。
【0090】
以上のように、本実施例では、各店舗においてどのようなライフスタイル属性の商品がよく売れるかといった商品の売上の傾向が類似する店舗に、同じライフスタイル属性が付与される。例えば、売上の比率が最も高い商品の属性と同一の属性が店舗に付与される(
図7のステップ706)。このため、同じライフスタイル属性が付与された店舗には、類似した嗜好をもった顧客が多く来店する傾向があり、店舗と同じライフスタイル属性が付与された商品が多く売れる傾向があると言える。
【0091】
このことは、ある店舗(例えば店舗XXX)において、その店舗と同じライフスタイル属性が付与された商品が、ある期間に実際にあまり売れなかったとしても、その商品が、同じライフスタイル属性が付与された別の店舗(例えば店舗ZZZ)における当該商品の売上が店舗XXXにおける売上より大きい場合には、他の店舗でも当該商品が多く売れる可能性がある、すなわち、店舗XXXでも、将来は、過去の実際の売上より多く売れる可能性があることを意味する。このため、上記の例では、店舗XXXにおける当該商品の売上が、実際の売上より大きい潜在的な売上に置き換えられて(すなわち
図15のステップ1505において元の売上の代わりに潜在的な売上が店舗別ポテンシャル値反映テーブル1600に格納されて)、置き換え後の売上に基づいて陳列の優先順位が決定される。
【0092】
これによって、売れ筋でない商品であっても、売れるポテンシャルがあると判断される商品が陳列の対象から除外されにくいように陳列の優先順位が決定されるため、それぞれの店舗の傾向に合わせて、消費者の購買機会損失のリスクを低減することができる。
【0093】
上記の例では、あるライフスタイル属性が付与された複数の店舗における、当該ライフスタイル属性と同一のライフスタイル属性が付与されたある商品の売上数を比較し、その最大値を、潜在的な売上(すなわちポテンシャル値)として使用しているが、これは一例であり、例えば、最大値に所定の係数を乗じた値、又は平均値等をポテンシャル値として使用してもよい。これによって、適切なポテンシャル値を設定することができる。ただし、そのようにして決定したポテンシャル値が元の売上より小さい場合には置き換えを行わなくてもよい。
【0094】
また、本実施例の分析装置100は、各店舗の商品を、所定の基準に従って、売上が大きい商品と小さい商品に分類して、小さい商品のみを対象として選択して上記の処理を行ってもよい。具体的には、例えば、陳列商品優先順出力部115は、売上が大きい商品については
図15のステップ1503を省略してステップ1504を実行してもよい。売上が小さい商品ほど、店舗に陳列されないことによる消費者の購買機会の損失が発生しやすいため、そのような商品を対象として上記の処理を実行することによって、消費者の購買機会損失のリスクを低減することができる。
【0095】
また、本実施例では、
図15のステップ1503において、店舗ライフスタイル属性と商品のライフスタイル属性とが一致する場合にのみステップ1505が実行されているが、これらが一致しない場合にステップ1505が実行されてもよい。例えば、
図12に示すように、店舗XXXにおける売上2位の商品コード“2000001”の商品のライフスタイル属性は“健康”であり(
図3)、店舗XXXのライフスタイル属性“アクティブ”とは一致しない。この場合に、陳列商品優先順出力部115は、ステップ1505において、当該商品の売上数“35”を、それより大きいポテンシャル値に置き換えてもよい。具体的には、陳列商品優先順出力部115は、店舗ライフスタイル属性が“健康”である店舗における当該商品の売り上げの最大値等に基づいて、置き換えるポテンシャル値を決定してもよい。
【0096】
このとき、陳列商品優先順出力部115は、例えば、各店舗におけるライフスタイル属性ごとの売上の比率に基づいて重み付けをすることによって、ポテンシャル値を決定してもよい。例えば、店舗XXXにおけるライフスタイル属性が“アクティブ”である商品の売上の比率が45%、“健康”である商品の売上の比率が35%である場合(
図9)、陳列商品優先順出力部115は、ライフスタイル属性が“アクティブ”である商品コード“1000002”の商品の最大売上フラグが付与された売上数と、ライフスタイル属性が“健康”である商品コード“2000001”の商品の最大売上フラグが付与された売上数と、のそれぞれに、45%及び35%に対応する比率の係数を乗じた値を、それぞれのポテンシャル値として決定してもよい。
【0097】
店舗の売上の傾向は、必ずしも比率が最大となる商品の属性のみによって決まるものではないことから、上記のように、比率が最大でない属性の商品についてもポテンシャル値を計算することによって、消費者の購買機会損失、消費者の利用店舗離反のリスクをさらに低減することが期待できる。