(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サーバに、前記予定運転条件で前記装置を運転した場合の水素消費量と前記推奨運転条件で前記装置を運転した場合の水素消費量、および、前記予定運転条件で前記装置を運転した場合の得率と前記推奨運転条件で前記装置を運転した場合の得率、の少なくとも一方を前記ユーザ端末へ送信させる、請求項1に記載の方法。
前記サーバに、前記予定運転条件で前記装置を運転した場合に要する予定運転コストと、前記推奨運転条件で前記装置を運転する場合に見込まれる推奨運転コストとを、前記ユーザ端末へ送信させる、請求項1に記載の方法。
前記サーバは、プラント識別情報と、前記プラント識別情報と関連付けられたユーザごとの前記プラント情報と前記実績運転データとを記録したプラントデータベースと接続されており、
前記サーバは、前記ユーザ端末から前記プラント識別情報を取得し、前記プラントデータベースから前記プラント識別情報が一致する前記プラント情報と前記実績運転データとを取得する、請求項1に記載の方法。
ユーザ端末にネットワークを介して接続されたサーバを用いて、原料油を触媒に通して生成油を得る装置の推奨運転条件を提供するコンピュータ可読命令を記録する非一時的コンピュータ可読命令記録媒体であって、
前記非一時的コンピュータ可読命令記録媒体に記録された前記コンピュータ可読命令がプロセッサによって実行されると、
前記ユーザ端末から、前記装置の実績運転データと、ユーザの予定している前記装置の運転条件である予定運転条件と、少なくとも前記装置の使用期限を含むプラント情報とを取得させ、
前記実績運転データから前記ユーザに固有の触媒劣化関数を作成させ、
前記予定運転条件と前記触媒劣化関数に基づいて算出される前記予定運転条件で前記装置を運転した場合の触媒寿命よりも早く、かつ、前記装置の前記使用期限よりも遅く触媒寿命を迎えるような推奨運転条件を前記触媒劣化関数と前記プラント情報と前記予定運転条件とに基づいて算出し、前記ユーザ端末へ前記推奨運転条件を送信させる、装置の推奨運転条件を提供する、非一時的コンピュータ可読命令記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて、より詳細に説明する。
図1は、本実施形態の推奨運転条件提供方法を実施するシステム構成図である。本実施形態の方法は、ユーザから製油所の装置の情報とユーザが予定している装置の予定運転条件とを取得し、これらの情報とベンチプラントデータベースから導かれる触媒寿命とから経済性指標などの優れた推奨運転条件を算出し、ユーザへ提供する。
【0010】
図1に示すように、本システム1は、ユーザ端末10と、ネットワーク40と、メインサーバ20と、データサーバ30を有している。ユーザ端末10とメインサーバ20はネットワーク40を介して接続されている。メインサーバ20とデータサーバ30は通信可能に接続されている。
メインサーバ20は単一のサーバで構成してもよいし、複数台のサーバで構成してもよい。また、ユーザ端末10とメインサーバ20を専用回線で接続してもよいし、インターネット回線で接続してもよい。メインサーバ20とデータサーバ30は一体の構成としてもよいし、別体の構成としてもよい。ユーザ端末10は、表示装置を一体又は別体に有している。
メインサーバ20は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ21と、各種プログラム(コンピュータ可読命令)が記録されたROM22(Read Only Memory)(非一時的コンピュータ可読命令記録手段の一例)と、各種データが一時的に記録されるRAM23(Random Access Memory)とにより構成されている。プロセッサ21は、ROM22に記録された各種プログラムから指定されたプログラムをRAM23上に展開し、RAM23と協働して以下に詳述する処理を実行するように構成されている。
【0011】
図2は、本実施形態にかかる方法のフローチャートである。以降の説明においては、ユーザの装置が、原料油に脱硫処理をして軽油を得る軽油脱硫装置である場合を説明する。もっとも、本発明は、直接脱硫装置、間接脱硫装置、灯油脱硫装置、ナフサ脱硫装置、ガソリン脱硫装置のいずれの装置であっても適用できる。
【0012】
図2に示したように、まずメインサーバ20は、ユーザ端末10からプラント情報、実績運転データ、予定運転条件を取得する。
図3は、ユーザ端末10に表示させる入力画面の一例である。
図3の(a)はプラント情報の入力画面を示し、
図3の(b)は実績運転データの入力画面を示し、
図3の(c)は予定運転条件の入力画面を示している。
【0013】
図3の(a)に示したように、メインサーバ20はプラント情報として、法定の運転最終日(以降、期限日と呼ぶ)、装置の上限温度[℃]、装置の上限処理量[BPSD]、各留分の設計抜き出し上限量(メタンやエタンなどが主成分のDRY GASの設計抜き出し上限量、プロパンやブタンなどのC3−C4ガスの設計抜き出し上限量、NAPH(ナフサ)の設計抜き出し上限量、軽油となるUFT−LGOの設計抜き出し上限量)[kl/h]、触媒充填量[m
3]などをユーザに入力させる。
【0014】
製油所の装置には、安全性などを考慮した法令によって運転日数が定められており、定期的に装置を停止させてメンテナンスなどを行うことが定められている。石油を生成する装置において際は、装置を停止させる際に装置内の触媒を交換している。メインサーバ20は、ユーザにこの法令などで定められた期限日を入力させる画面をユーザ端末10に表示させる。
装置には、運転温度の上限や原料油の上限処理量、触媒の充填量が決まっている。メインサーバ20は、ユーザにこれらの上限温度や上限処理量、触媒の充填量を入力させる画面をユーザ端末10に表示させる。
【0015】
図3の(b)に示したように、メインサーバ20は実績運転データとして、運転条件、装置へ供給する原料油の性状、得られた生成油の性状についての情報を取得する。
メインサーバ20は運転条件として、運転累積日数毎の処理量、液空間速度、水素分圧、水素オイル比、WABT(触媒層の平均温度)、を取得する。
メインサーバ20は原料油性状として、原料油の15℃における密度、硫黄濃度、窒素濃度、アロマ濃度、T50温度、T90温度、を取得する。
メインサーバ20は生成油性状として、得られた生成油の硫黄濃度を取得する。
【0016】
装置を運転する際、触媒の劣化に伴い諸条件を変更することが行われている。
図3の(b)で示した例では、340日運転した段階で、運転条件を2回変更している。メインサーバ20はこれら運転条件の変更履歴のすべてを取得する。
【0017】
図3の(c)に示したように、メインサーバ20は運転予定条件として運転温度を除いた実績運転データと同様の要素からなる情報を取得する。
なお、運転温度は、装置を運転する上で必須の情報であるが、実際のプラントの運営上は、仮温度を設定して運転した後に熟練者の感覚によって温度を微調整している。このため、ユーザは予定運転条件として運転温度を設定することが難しい。そこで本実施形態においては、予定運転条件としてユーザに運転温度は求めず、後述するように入力された予定運転条件からそれを実現する最適な運転温度をユーザに提供する。
【0018】
なお定期的にユーザが本システム1を利用する場合には、上述した情報を一々入力することは手間がかかる。そこで、
図4に示した処理を実行してもよい。
図4は、プラント情報、実績運転データ、運転予定条件を取得する際のフローチャートである。
図4が示すフローチャートにおいては、あらかじめデータサーバ30にプラントIDと、プラントIDごとに実績運転データ、プラント情報、運転予定条件が記録されている。
【0019】
図4に示したように、まずメインサーバ20はユーザ端末10からプラントIDを取得する(ステップS11)。次に取得したプラントIDと一致するプラントIDがデータサーバ30にあるか否かを判定する(ステップS12)。取得したプラントIDと一致するプラントIDが見つかれば(ステップS12:Yes)、メインサーバ20はデータサーバ30から一致するプラントIDに関連付けられた実績運転データ、プラント情報、運転予定条件を取得する(ステップS13)。
【0020】
取得したプラントIDと一致するプラントIDが見つからなければ(ステップS12:No)、メインサーバ20はユーザ端末10へ実績運転データ、プラント情報、運転予定条件の入力を促す画面を表示させ(ステップS14)、ユーザ端末10から実績運転データ、プラント情報、運転予定条件を取得する(ステップS15)。
【0021】
なお、データサーバ30に取得したプラントIDと一致するプラントIDが見つかった場合でも(ステップS12:Yes)、実績運転データ、プラント情報、運転予定条件のいずれか一つ以上が記録されていなかった場合には記録されていなかった情報について、ユーザに入力を促す画面をユーザ端末10に表示させてもよい。
【0022】
図2に戻り、メインサーバ20が実績運転データ、予定運転条件、プラント情報を取得したら(ステップS01)、メインサーバ20は、これらとデータサーバ30に登録されたベンチプラントデータをもとに触媒劣化関数を生成する(ステップS02)。
触媒劣化関数とは、触媒の劣化度合いを示す関数である。触媒寿命は、触媒劣化関数に基づき算出することができる。触媒劣化関数は、脱硫触媒の劣化度を通油日数tの関数として表したものである。脱硫触媒の劣化度Φは、通油日数0日目の反応速度定数K0に対する通油日数t日目の反応速度定数Ktの比として定義される。すなわち、劣化度は、Φ=Kt/K0で表すことができる。触媒劣化関数については、本出願人が先に出願した日本国特願2016-247762を参照されたい。
【0023】
触媒劣化関数は、実際の装置の長年に亘る使用を通じて得られた様々な運転条件における生成油の性状や触媒の劣化度合いや、実物大の実験装置(ベンチプラント)を使って得られた様々な運転条件や生成油の性状や触媒の劣化度合いといった膨大な情報(ベンチプラントデータに記録されている情報)から経験的に導いた関数である。
【0024】
触媒劣化関数は、プラントの仕様、原料油の性状、得ようとする生成油の性状などによって補正しなければ、正確に触媒の劣化度合いを表すことが難しい。そこで本実施形態では、メインサーバ20は取得したプラント情報、実績運転データに基づいて触媒劣化関数に適切な修正を施し、ユーザの装置に応じたユーザ固有触媒劣化関数を生成する。
【0025】
ユーザ固有触媒劣化関数を生成したら、メインサーバ20は予定運転条件における運転温度などを算出する(ステップS03)。メインサーバ20は、算出した予定運転条件における運転温度、生成油の性状、運転コスト、寿命余裕度をユーザ端末10に送信する。
図5の(a)は、ユーザ端末10に表示させる出力画面の一例を示している。
【0026】
メインサーバ20は、得られたユーザ固有触媒劣化関数と予定運転条件から、予定運転条件で運転するための運転温度や、得られる生成油の性状などの情報を算出することができる。触媒の劣化度合いが求まり、その時点の触媒をどのような触媒反応速度で機能させるかが定まっていれば、触媒の温度(運転温度)を求めることができるからである。また、運転温度が定まれば、触媒反応から得られる生成油の性状を求めることができる。
【0027】
触媒反応速度が決まれば水素消費量が決まり、装置を運転温度で運転するために要する燃料も決まる。このため、メインサーバ20は装置の水素消費量および燃料消費量も算出する。
さらにメインサーバ20は、既知の寿命を持った触媒の運転温度が定まれば該触媒の寿命を見積もることができる。触媒の寿命の尽きる日とは、触媒の運転温度が装置の上限温度を上回る日である。触媒が劣化するほど装置を高温で運転する必要があるが、運転温度が装置の上限温度を超えるとその装置でその触媒を使うことができないからである。メインサーバ20は、(触媒寿命の尽きる日)−(装置の期限日)を寿命余裕度として算出する。
【0028】
図5の(a)に示した予定運転条件においては、寿命余裕度が40日もあり、装置の期限日まで触媒を有効に使いきれていない。そこで
図2に戻り、メインサーバ20は推奨運転条件を算出する(ステップS04)。メインサーバ20は、予定運転条件で装置を運転した場合の触媒寿命よりも早く、かつ、期限日よりも遅く触媒寿命を迎えるような推奨運転条件を触媒劣化関数とプラント情報と予定運転条件とに基づいて算出する。
【0029】
寿命余裕度が40日あるということは、例えば原料油の処理量を増やしたり、得ようとする生成油の硫黄濃度をさらに低下させたり、価値の高い軽質の留分(軽油、灯油、ガソリン)の得率を高めたり、水素消費量あるいは燃料消費量を少なくしたりしても、期限日まで触媒寿命を保つことでできる余裕があることを示している。そこでメインサーバ20は、期限日まで更に効率的に触媒を使える推奨運転条件を算出する。
【0030】
例えば、原料油の処理量を増やそうとすると、触媒の反応速度を高めるために運転温度を高める必要があり触媒の劣化が進む。あるいは、生成油の硫黄濃度を低減しようとすると、触媒の反応速度を高めるために運転温度を高める必要があり触媒の劣化が進む。また、価値の高い軽質な留分の得率を高めるに運転温度を高める必要があり触媒の劣化が進む。あるいは、水素消費量や燃料消費量を少なくしようとすると触媒の劣化が進む。
メインサーバ20はこれらのいずれかの手法を使ってよりユーザにとって効率的に触媒を使用できる推奨運転条件を算出する。
【0031】
本実施形態では、メインサーバ20はまずできるだけ多くの原油を処理できる推奨運転条件を算出する(処理量優先モード)。なお、区間1〜3は実績データと同じ値を出力するので、区間4以降の各々の数値が推奨運転条件として算出された値である。
【0032】
メインサーバ20は、区間4,5として、予定運転条件の処理量よりも多い処理量を提案する。この処理量の増大に伴い、運転温度も予定運転条件の値より高い値を提案する。これにより、推奨運転条件で装置を運転すると予定運転条件で運転した場合よりも触媒の劣化が早まる。上述した触媒劣化関数を使うと、触媒の寿命を比較的短時間に正確に予測することができる。装置の法定期限に対する触媒の寿命余裕度は0日となり、装置の法定期限まで目いっぱい触媒を使うことができ、メインサーバ20は経済合理性が高い推奨運転条件を提案することができる。
【0033】
またメインサーバ20は、この推奨運転条件として、処理量の他に運転温度、液空間速度、水素分圧、水素オイル比を算出し、ユーザ端末10に送信する。ユーザ端末10は、推奨運転条件としてこれらの値を
図5の(b)に示すように表示させる。
【0034】
また、上述した触媒劣化関数を用いると、得られる生成油の性状や水素消費量や燃料消費量などの運転コストも比較的短時間に正確に算出することができる。そこでメインサーバ20は、得られる生成油の性状として、DRY GAS、C3−C4、NAPH、UFT−LGOの得率および収量を算出し、ユーザ端末10へ送信する。ユーザ端末10はこれらの得率、収量を表示する。さらに、ガソリンとなるUFT−LGOに含まれる硫黄濃度を算出し、ユーザ端末10に送信し、ユーザ端末10はこの硫黄濃度を表示する。
【0035】
メインサーバ20は
図5の(c)に示す運転日数に対する運転温度の推移を示すグラフをユーザ端末10に送信し、表示させるように構成してもよい。
図5の(c)において、横軸は運転日数を示し、縦軸は運転温度を示す。運転日数が経過するほど触媒の劣化が進むので運転温度が上昇する。運転温度が装置の上限温度に達してしまうと、装置を運転できないため、触媒寿命はこの装置の上限温度で決まっている。
図5の(c)に示すようにグラフで表示することにより、ユーザも予定運転条件で運転した場合の寿命の余裕度と推奨運転条件で運転した場合の寿命の余裕度の違いを明確に把握することができる。
【0036】
また、メインサーバ20は
図6の画面をユーザ端末10に表示させるように構成してもよい。上述した説明においては、メインサーバ20は触媒の寿命を有効に使うために処理量を大きくするように推奨運転条件を算出した。触媒の寿命を有効に使うためには処理量を大きくする他に、上述したように、UFT−LGOの硫黄濃度を許容濃度に調整する(品質優先モード)、できるだけUFT−LGOの得率を上げる(得率優先モード)、できるだけ水素を消費しない(省エネ優先モード)、という手法がある。
【0037】
そこでメインサーバ20は、処理量優先モード、品質優先モード、得率優先モード、省エネ優先モードの各々のモードで推奨運転条件を算出し、かかる推奨運転条件で装置を運転した場合に得られる生成油の性状としてDRY GAS、C3−C4、NAPH、UFT−LGOの得率および収量を算出する。また、収量から評価額を算出する。さらに、UFT−LGOの硫黄濃度を算出する。
また、メインサーバ20は、かかる推奨運転条件で装置を運転した場合の水素消費量と燃料消費量、およびそれらの費用を算出する。
これらを算出することで、どのモードで装置を運転すると経済的に最も優れているかをユーザにわかりやすく表示することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る方法によれば、
ユーザ端末10にネットワーク40を介して接続されたサーバ(メインサーバ20)を用いて、原料油を触媒に通して生成油を得る装置の推奨運転条件を提供する方法であって、サーバに、
ユーザ端末10から、装置の実績運転データと、ユーザの予定している装置の運転条件である予定運転条件と、少なくとも装置の使用期限を含むプラント情報とを取得させ、
実績運転データからユーザに固有の触媒劣化関数を作成させ、
予定運転条件と触媒劣化関数に基づいて算出される予定運転条件で装置を運転した場合の触媒寿命よりも早く、かつ、装置の使用期限よりも遅く触媒寿命を迎えるような推奨運転条件を触媒劣化関数とプラント情報と予定運転条件とに基づいて算出し、ユーザ端末10へ推奨運転条件を送信させる、装置の推奨運転条件を提供する。
これにより、予定運転条件でプラントを運転した場合の触媒寿命よりも早く、かつ、プラントの使用期限よりも遅く触媒寿命を迎えるような推奨運転条件が得られるので、より効率的にプラントを運転できる。
【0039】
また、上述した方法において、
図5の(a)および(b)に示したように、メインサーバ20は、予定運転条件で装置を運転した場合の水素消費量と推奨運転条件で装置を運転した場合の水素消費量、および、予定運転条件で装置を運転した場合の得率と推奨運転条件で装置を運転した場合の得率、の少なくとも一方をユーザ端末10へ送信する。
これにより、ユーザは水素消費量と得率の少なくとも一方について、予定運転条件で装置を運転した場合と推奨運転条件で装置を運転した場合とを比較し、推奨運転条件を採用するか否かを簡単に判別できる。
【0040】
上述した方法において、
図5の(a)および(b)に示したように、メインサーバ20は、予定運転条件で装置を運転した場合に要する予定運転コストと、推奨運転条件で装置を運転する場合に見込まれる推奨運転コストとを、ユーザ端末10へ送信する。
これにより、ユーザは予定運転コストと推奨運転コストとを比較して、推奨運転条件を採用するか否かを簡単に判別できる。
【0041】
上述した方法において、
図6に示したように、メインサーバ20は、推奨運転条件として、原料油ができるだけ多く処理されるような処理量優先推奨運転条件(処理量優先モード)、生成油のガソリン、ナフサ、灯油 、軽油、重油留分の少なくとも一つが最も多くなる得率優先推奨運転条件(得率優先モード)、水素分圧ができるだけ低くなるような省エネ優先推奨運転条件(省エネ優先モード)、の少なくとも一つを算出する。
なお、上述した実施形態においては軽油脱硫装置を例に挙げているため、軽油(UFT−LGO)留分が最も多くなる運転条件を得率優先推奨運転条件としたが、本方法を直接脱硫装置に適用する場合は重油留分が最も多くなる運転条件を得率優先推奨運転条件とする。本方法を間接脱硫装置に適用する場合は軽油留分が最も多くなる運転条件を得率優先推奨運転条件とする。本方法を灯油脱硫装置に適用する場合は灯油が最も多くなる運転条件を得率優先推奨運転条件とする。本方法をナフサ脱硫装置に適用する場合はナフサが最も多くなる運転条件を得率優先推奨運転条件とする。本方法をガソリン脱硫装置に適用する場合はガソリンが最も多くなる運転条件を得率優先推奨運転条件とする。
【0042】
図6に示したように、各々の条件によって得率や収量、コストが変動する。また、ユーザによって水素消費量を優先したり、得率を優先したりする。このため、ユーザごとに最適な推奨運転条件を提示することができる。なお、上述した実施形態においては全てのモードを実行する例を示したが、ユーザにどのモードを実行するか、あるいは、何の指標を最も重視するかを選択させ、それに応じたモードのみを実行するように構成してもよい。
【0043】
上述した方法において、メインサーバ20は、プラント識別情報と、プラント識別情報と関連付けられたユーザごとのプラント情報と実績運転データとを記録したプラントデータベース(データサーバ30)と接続されており、メインサーバ20は、ユーザ端末10からプラント識別情報を取得し、プラントデータベースからプラント識別情報が一致するプラント情報と実績運転データとを取得する。
【0044】
例えば、ユーザが定期的に本方法を利用する場合には、メインサーバ20がプラントデータベースを用いてプラント情報と実績運転データを取得することにより、ユーザが一々プラント情報や実績運転データを入力する必要がなく、ユーザの利便性が高められている。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0046】
本出願は、2017年5月25日出願の日本特許出願(特願2017-103776)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
サーバ20は、装置の実績運転データと、ユーザの予定している装置の運転条件である予定運転条件と、少なくとも装置の使用期限を含むプラント情報とを取得し、実績運転データからユーザに固有の触媒劣化関数を作成し、予定運転条件と触媒劣化関数に基づいて算出される予定運転条件で装置を運転した場合の触媒寿命よりも早く、かつ、装置の使用期限よりも遅く触媒寿命を迎えるような推奨運転条件を触媒劣化関数とプラント情報と予定運転条件とに基づいて算出し、ユーザ端末へ推奨運転条件を送信する。