(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
管路は様々な場所に様々な形態で使用されている。例えば、上水道や下水道管路、工場における原料や燃料等を送るパイプ、家庭内での排水パイプ等がある。管路を流れる物体についても、気体、液体、固体等様々な形態がある。
【0003】
一例として下水道管について説明する。下水道は、主に都市部の雨水及び汚水(下水)を地下水路等で集めた後、公共用水域へ排出するための施設・設備の集合体であり、それらの雨水及び汚水(下水)は浄化等の水処理が行われる。地下水路等の代表として下水道管がある。
【0004】
下水道管を流れる雨水として、気象学における降水がある。また、気温の上昇等で溶けた融雪水も含む。下水道管を流れる汚水としては、家庭の水洗式便所からのし尿や、家庭における調理・洗濯で生じる生活排水、商店や工場等の事業所からの産業排水等がある。したがって、これらの雨水及び汚水から成る下水には下水道管内に堆積し易い塵や下水道管の管壁に付着し易い汚物等が多量に含まれている。
【0005】
下水道管には前述のように生活排水や産業排水等の汚水が流されるので、その管路の内部には堆積物(スケール)が多量に付着し易く、また塵、汚物等が残留する。そうなると管路の流下能力は低下し、管路が詰まることもある。したがって、下水道管は、詰まり等の不具合が発生しないように定期的に点検、清掃することが必要になっている。
【0006】
従来、下水道管路の清掃方法としては、固体のピグ方式(例えば、特許文献1)やノズル方式(例えば、特許文献2)があった。ピグ方式は、固体の弾丸形状のピグ(管路内移動体)を本管内に送り込み、圧送又は吸引によりピグの外周面を管路の内壁面に接触させながら移動させ、スケールを除去するものである。一方、ノズル方式は、ホースの挿入先端部にノズルを固定して取り付け、ホースを管路内に挿通しながら、ノズルからの高圧水を噴射することにより管内壁面に付着堆積しているスケールを除去するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のピグ方式では、ピグの径は清掃対象管路の径の50から90%であるため、管路の内径とピグとの間に隙間が発生し、小さな堆積物は除去できず残存するという問題がある。特許文献2のノズル方式は、高圧水の噴射により堆積物を除去しているが、水圧や水量に限度があり十分には洗浄できないという問題がある。すなわち、ピグ方式、ノズル方式では、内壁に堆積した比較的大きな堆積物は取り除くことが可能であるが、内壁に付着している微小な堆積物までは完全に除去することができない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、管路の内壁の付着物を確実に清掃することのできる清掃用移動体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の清掃用移動体は、管路内に導入され、前記管路の清掃対象区間内を
後方から氷粒子と水とを有するシャーベット状の流動体及び更にその後方から水を加圧注入することによって該管路内表面に接触しつつ移動せしめられることで該清掃対象区間を清掃する清掃用移動体
であって、
本体部と該本体部の外表面に形成されたリブ状の突起部とを有し、前記本体部
及び突起部は、弾性体にて一体形成され、全体として前記管路内を簡易閉塞可能な大きさを有し、前記リブ状の突起部は、伸長方向が前記移動方向と斜交していることを特徴とする。
【0011】
この構成により、清掃用移動体は、管路内表面に接触しつつ移動せしめられるが、本体部の表面にリブ状の突起部が設けられており、その伸長方向は清掃用移動体の移動方向と斜交しているので、清掃用移動体が移動せしめられるとリブ状の突起部と管路の内壁との間の摩擦により、本体部を周方向に回転させる力が発生する。したがって、清掃用移動体は回転を伴いながら移動するので、進行方向の掃除動作に加え、管路の内壁に沿う周方向の掃除動作も行われるので、管路の内壁の効果的な清掃が可能である。
【0012】
弾性体は、例えば、ゴム、ポリウレタンフォームが好適であり、外表面にリブ状の突起部を容易に形成することができる。
これにより、後ろから加圧されて注入されるシャーベット状の流動体及び水によって、前方に押されて移動する際に、弾性をもって変形しつつ管路内を接触移動する。すなわち、シャーベット状の流動体及び水によって後方から押されるという前提条件と相俟って、特有の清掃効果を生ぜしめている。特に、清掃用移動体は管路内を簡易閉塞する大きさであるが、リブ状の突起部が形成されており、後方から移動するための力はシャーベット状の流動体であるからこそ効果的に加えられることとなる。
さらに具体的には、清掃用移動体が、後方から圧力を印加される状況に置かれるので、清掃用移動体は管路の内壁に対してより広い接触面を確保する。したがって、清掃用移動体に適切な押圧力が加わり効果的に清掃することができる。
【0013】
上記の目的を達成するため、請求項
2に記載の清掃用移動体は、
管路内に導入され、前記管路の清掃対象区間内を後方から氷粒子と水とを有するシャーベット状の流動体及び更にその後方から水を加圧注入することによって該管路内表面に接触しつつ移動せしめられることで該清掃対象区間を清掃する清掃用移動体であって、本体部と該本体部の外表面に形成されたリブ状の突起部とを有し、前記本体部は、水密性の有る袋体に流動体を詰めて成り、前記管路内を簡易閉塞可能な大きさを有し、前記リブ状の突起部は、伸長方向が前記移動方向と斜交していることを特徴とする。
【0014】
したがって、清掃用移動体は、水密性のある袋体に流動体を詰めて構成することができ、管路の径に適し管路内を回転、移動する大きさの清掃用移動体を、容易に製作することが可能である。
【0015】
請求項
3に記載の清掃用移動体は、請求項
2に記載の清掃用移動体において、前記流動体は、水又は氷粒子と水とを有するシャーベット体であることを特徴とする特徴とする。流動体としての水又は氷粒子と水とを有するシャーベット体は無害であり容易に入手可能である。したがって、管路内表面に接触しつつ移動する大きさの清掃用移動体を、簡単に低コストで製作することが可能である。また、シャーベット体を用いているので、管路内の堆積物に温度変化を与えてその付着力を低下させることができ、清掃の効果を高めることができる。
【0017】
請求項
4に記載の清掃用移動体は、請求項
2又は3に記載の清掃用移動体において、前記袋体は、伸縮性を有することを特徴とする。例えば、ゴム製の袋体が好適である。したがって、袋体に詰められる
流動体の量に応じて袋体が伸縮するので適切な大きさの清掃用移動体を容易に構成することができる。更に、袋体そのものが伸縮するので、管路の直径が変化してもまた管路に曲りがある場合でも清掃用移動体はスムーズに管路内を移動することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の清掃用移動体によれば、清掃用移動体は、管路内表面に接触した状態で、回転を伴いながら移動せしめられるので、管路の内壁を確実に清掃することが可能である。したがって、管路の清掃作業の品質が向上し、清掃作業のコスト削減、清掃時間のより短縮化が達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の清掃用移動体の概略説明図である。
図1(a)に示す清掃用移動体46は、本体部62とその表面に形成されたリブ状の突起部64と、移動せしめるためのフック部60aを有する。本体部62はポリウレタンフォームで製作されており、リブ状の突起部64と本体部62は一体で形成されている。すなわち、本体部62と突起部64の双方が弾性を有する。また、清掃用移動体46の移動方向前方から引き動作させるためのフック部60aが設けられているが、フック部60aは、本体部62と独立して回転可能に構成されている。
【0022】
複数のリブ状の突起部64は、清掃用移動体46の本体部62の外表面にそれぞれ平行に形成されている。リブ状の突起部64は、本体部62の表面から所定の高さを有し、伸長方向は清掃用移動体46の移動方向と所定の角度θを為している。すなわり、リブ状の突起部64の伸長方向と移動方向とは斜交している。本実施の形態では、θは約30度である。したがって、清掃用移動体46が例えば、移動方向前方から引き動作されると、清掃用移動体46は、リブ状の突起部64が移動方向と所定の角度を為しているために、リブ状の突起部と管路の内壁との摩擦により周方向に回転する力が発生し、清掃用移動体46は回転しながら移動して行くこととなる。
【0023】
清掃用移動体46が管路12内を回転しながら移動すると、清掃用移動体46の移動による掃除動作に加えて回転による掃除動作が加わり、管路12内の堆積物等を確実に除去することが可能である。
【0024】
清掃用移動体46は、後述するようにフック部60aに紐状体等を取り付け、移動方向前方から引き動作を行い、回転移動させることで管路12を清掃することが可能である。更に、後述するように水と氷粒子を有するシャーベット状の流動体で押し流すことも可能である。
【0025】
図1(b)から(d)は、リブ状の突起部64の断面を示す概略説明図である。断面形状は、矩形(a)、半円(c)、矩形の上辺に凹部を設けたもの(d)が一例として示されている。管路の径や堆積物の量等によりリブ状の突起部64は高さ、断面形状等を適宜定めることが可能である。
【0026】
図2(a)は、管路12内に導入した状態を示している。また、清掃用移動体46が、移動方向前方から紐状体39により移動させられる様子を示している。
図2(b)は、清掃用移動体50として、清掃用移動体46が2個、従属して接続されている様子を示す。2個の清掃用移動体46は、それぞれ独立して回転できるようになっている。また、2個の清掃用移動体46のリブ状の突起部64の伸長方向の移動方向との為す角度θは、それぞれ+30度と−30度である。すなわち、リブ状の突起部64の伸長方向は、移動方向に対して、それぞれ反時計回りと時計回りに斜交している。したがって、2個の清掃用移動体46は、移動せしめられると互いに反対方向に回転しながら管路12内を移動して行くこととなる。回転が互いに反対方向であることから、管路12内の内壁はより確実に清掃されることとなる。
【0027】
上述した清掃用移動体は一例を示したものであり、その他、種々の構成が考えられる。例えば、本体部を繊維等で補強されたゴムを用いて構成することも可能である。更に、伸縮性及び水密性のある袋体に、充填材として流動体を詰めた構成であっても良い。また、充填材は、多孔質弾性部材に流動体を含浸させたものでも良い。加えて、リブ状の突起部64は、移動方向に所定の角度を有して本体部62の外表面に沿って連続して伸長しているが、断続的に伸長しても良い。更に、伸長方向に蛇行させて形成しても良い。これらは、回転移動のし易さ等を考慮して決められる。
【0028】
(第1の実施の形態)
図3は、本発明の清掃用移動体を用いて管路を清掃する第1の実施の形態に係る概略説明図である。清掃の対象とする管路は下水道管12であり、この下水道管12は地面から所定の深さに埋設されている。また、下水道管12は、所定の間隔毎にマンホールが埋設されており、
図3では、2つのマンホール16、18が示されている。左側のマンホール16を上流側マンホール16、右側のマンホール18を下流側マンホール18とする。汚水20は、通常、マンホール16、下水道管12、マンホール18を介して流れる。なお、下水道管12は誇張して示されている。
【0029】
図3において、2つのマンホール16、18の間の区間が管路12の清掃対象区間14である。汚水20は、
図3では左側から右側に流れるが、清掃作業中は、図示していない下水排水管及び排水ポンプ等により上流側マンホール16から下水20を汲み上げて下流側マンホール18へと、清掃対象区間14を迂回して流れるようにしても良い。
【0030】
清掃作業を開始する前に、以下の段取り作業を行う。清掃対象区間14の上流側に清掃用移動体54を導入する。この導入作業は上流側マンホール16内で行うことができる。一方、下流側のマンホール18内には、排出用連通管24が取り付けられる。更に、下流側マンホール18内の清掃対象区間ではない管路12の開口端部に蓋部17が取り付けられる。この蓋部17は、開閉部17aが設けられており、清掃を開始してから清掃用移動体54が下流側マンホール18内に塵42、堆積物43を押し出して来るまでは、開閉部17aは開状態とされる。その後、開閉部17aは閉じられ、清掃用移動体54により押し出された塵42、擦り取られた堆積物43等は、排出用連通管22を介して回収される。
【0031】
清掃用移動体46は、
図1(a)に示したものと同様であるが、移動の前方向及び後方向から引き動作できるように、本体部にはフック部60aが前後の2箇所に設けられている。フック部60aには、それぞれ紐状体39が接続されており、フック部60aは前述したように本体部62とは独立して回転できるので、紐状体39が清掃用移動体46の回転により絡まること等は防止される。
【0032】
紐状体39は、紐状体39を引き取る又は送り出す巻取装置49に接続されている。この巻取装置49は、それぞれ上流側マンホール16の開口部付近及び下流側マンホール18の開口部付近に設置されている。この巻取装置49により、清掃用移動体46は、清掃対象区間14を一方向に移動すること、又は往復移動することが可能になっている。なお、紐状体39を円滑に引き取る、又は送り出すことを可能とするため、リール33が随所に設けられている。なお、清掃用移動体46の移動方向の前方に取り付けた紐状体39の先端を、下流側マンホール18まで搬送する必要があるが、これは通常の方法で可能である。例えば、紐状体39の先端を長尺のワイヤの先端に括り付け、ワイヤを上流側マンホール16から下流側マンホール18まで伸ばすことで可能である。
【0033】
本実施の形態では、清掃対象区間14の清掃は、清掃用移動体46を管路12に導入して、管路12と清掃用移動体46との簡易閉塞状態を確保した後、清掃用移動体46を清掃対象区間14の管路12に沿って往復移動させることによって行った。この往復移動は、例えば、以下の様にして行った。下流側マンホール18側に設置された巻取装置49により紐状体39を引き動作して清掃用移動体46を約2m下流側へ移動させる。この時、上流側マンホール側に設置された巻取装置49は、紐状体39を自由に送り出すことが可能な状態になっている。管路12に沿って約2m清掃用移動体46を下流側に移動させた後、上流側マンホール18側に設置された巻取装置48により紐状体39を引き動作(引き戻し動作)し、清掃用移動体46を約2m上流側へ引き戻す。この時、下流側マンホール18側に設置された巻取装置49は紐状体39を自由に送り出すことが可能な状態になっている。
【0034】
清掃用移動体46を清掃対象区間14内で約2m往復移動させた後、上記と同様にして清掃用移動体46を約4m下流側へ移動させ、その後約2m上流側へ移動させる(引き戻す)。このようにして、約2mずつの往復移動を繰り返し、清掃用移動体46が下流側マンホール18に到達した時点で清掃を終了する。押し出された管路12内の塵42や擦り取られた堆積物43は、下流側マンホール18内に集められ、排出用連通管24を介して吸引ポンプ36により吸引され、排出タンク40に回収される。
【0035】
本実施の形態によれば、表面にリブ状の突起部64が形成された清掃用移動体46は、管路との接触状態を保ちながら清掃対象区間14内を回転しながら移動して行く。清掃用移動体が回転・移動することで、リブ状の突起部64の移動による掃除動作に加え回転による掃除動作が行われ、管路12内を効果的に清掃することが可能である。更に、往復移動させることで、清掃用移動体の回転は、引き動作(往路)と引き戻し動作(復路)では回転が逆となるので管路12の内壁はより効果的に擦られ、より確実な清掃が行える。
【0036】
(第2の実施の形態)
次に、
図4は、本発明の清掃用移動体を用いて管路を清掃する第2の実施の形態に係る概略説明図である。第1の実施の形態と異なる点は、清掃用移動体46が2個、縦列に接続されて清掃用移動体50を構成している点にある。この清掃用移動体50は、
図2(b)で示したものと同様であるが、清掃用移動体50の前方向と後方向から引き動作ができるように、清掃用移動体50の前後にフック部60aが設けられている。前述したように、清掃用移動体50のそれぞれの本体部62は独立して回転可能であり、フック部60aと本体部62も独立して回転可能である。
【0037】
本実施の形態では、清掃用移動体50を引き動作すると、2個の本体部62はそれぞれ回転しながら移動するが、それぞれの回転方向は異なる。清掃用移動体50を引き戻し動作すると、同様にそれぞれ回転しながら移動するが、回転の方向は引き動作の時とは異なる。
【0038】
本実施の形態では、第1の実施の形態に比べ清掃用移動体が2個であるため、清掃の効果は1個よりも確実に向上する。更に、往復移動させることで、管路12の内壁は、前方の清掃用移動体によって左回転及び右回転で擦られ、後方の清掃用移動体によって右方向及び左方向に擦られる。このように、往復移動させることで、4重の回転による掃除動作が行われることとなる。清掃用移動体50を引き動作するための牽引力は、清掃用移動体が1個の場合の約2倍必要となるが、より確実な管路内の清掃が行われる。
【0039】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の清掃用移動体を用いた管路の清掃の第3の実施の形態に係る概略説明図である。第1の実施の形態、第2の実施の形態と異なる点は、清掃用移動体46は、管路12内に導入した後、清掃用移動体46の後方に氷粒子と水を有するシャーベット状の流動体48を所定量充満させ、この流動体48の後方から水50を加圧注入して清掃用移動体46を移動せしめている点にある。この流動体48は洗浄作用を有しているので、清掃用移動体46と流動体48により管路12は後述するように清掃と洗浄が同時に行われることとなる。なお、使用した流動体48の氷粒子と水との比率は、7から9対3から1である。すなわち、ほとんどが氷粒子である。また、流動体48には塩分を適宜加えてあり、その量は略3から7質量%である。
【0040】
清掃作業前の段取りとしては、清掃用移動体46を清掃対象区間14の上流側に導入した後、導入清掃用移動体46を導入した側の清掃対象区間14の管路12の開口端部に密閉用の蓋部15を設置する。この蓋部15は金属製、プラスチック製等、何れの材質のものでも良く、清掃対象区間14から加圧注入した水等が漏れ出ないようにする。反力支持材等(図示していない)を用いて蓋部15を固定しても良い。この蓋部15に、注入用連通管22が清掃対象区間14内と外部とを連通した状態で取り付けられる。一方、下流側のマンホール18内には、第1の実施の形態で述べたように、排出用連通管24が取り付けられ、更に、下流側マンホール18内の清掃対象区間14ではない管路12の開口端部に蓋部17が取り付けられる。
【0041】
注入用連通管22には、注入装置31として流動体注入手段28と液体注入手段30が接続される。流動体注入手段28と液体注入手段30は、制御手段34により、流動体注入手段28からの水と氷粒子とを有するシャーベット状の流動体48と、液体注入手段30からの水50とが切り替え選択されて、注入用連通管22にそれぞれ連続で然も空気が混入しないように注入される。制御手段34は、上述の動作を可能とするために切り替えバルブ(図示していない)や注入量を変化させるための制御機器等(図示していない)が具備されている。液体注入手段30は、具体的には水50が満載されたタンク車等であり、送水ポンプ等(図示していない)が具備されている。この送水ポンプの送水量を調整することで、清掃対象区間14内への水50の注入圧を変えることが可能である。
【0042】
流動体注入手段28は、具体的に水と氷粒子とを有するシャーベット状の流動体48が満載されたタンク車等であり、流動体48を清掃対象区間14に注入するためのスネイクポンプ(図示していない)等が具備されている。このポンプの吐出量を調整することで、流動体48の清掃対象区間14への注入圧力を変えることが可能である。清掃用移動体46の移動は、最も好ましくは、管路12が埋設されている位置と地上との高低差による流動体48及び水50の持つ位置エネルギを利用して行われることが望ましい。
【0043】
排出用連通管24には、第1の実施の形態と同様に、吸引ポンプ36が取り付けられ、清掃用移動体46により押し出された塵42、削り取られた堆積物43、清掃用移動体46を押し流した流動体48、水50が吸引、排出され、排出タンク40に溜められる。なお、流動体48、水50は、汚れの程度により蓋部17の開閉部17aを開けて、下流側の下水道管にそのまま流すことも可能である。
【0044】
本実施の形態では、管路12は、まず清掃用移動体46が管路12内を回転しながら移動することで、管路12の内壁の堆積物43等が擦り取られる。そのあと、流動体48に含まれる氷粒子が、強く付着された堆積物43等を擦り取り、このようにして清掃及び洗浄が行われることとなる。更に、流動体48に含まれる氷粒子により管路12内に付着している堆積物43に温度変化を与え、堆積物43の管路12への付着力を低下せしめる効果もあるので、管路12の洗浄はより効果的に行われる。
【0045】
図6は、本実施の形態に係る清掃・洗浄作業の開始の手順について示す。まず、
図6(a)に示すように、上流側マンホール18内で、清掃対象区間14の上流側の管路12の開口端部から、その管路12の清掃に適する清掃用移動体46を導入する。本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、清掃用移動体46はポリウレタンフォーム製の本体部にリブ状の突起部を形成した構成になっており、前述したように、この清掃用移動体46は、管路12を簡易閉塞する。
【0046】
次に、
図6(b)に示すように、清掃対象区間14の開口端部に、蓋体15及び注入用連通管22を取り付け、流動体注入手段28から注入用連通管22を介して、所定の量だけ流動体48を注入する。清掃用移動体46が清掃対象区間14を簡易閉塞、すなわち水は滲み出すことは可能であるが流動体48の大部分は通さない状態とするので、流動体48は、前方に流れ出す量が大幅に低減され、清掃対象区間14を所定長さに亘って容易に充満すること可能になっている。この所定の長さは、流動体48によって清掃対象区間14内の管路12の内壁が洗浄されるので、管路12内の汚れの程度等に応じて適宜決められる。
【0047】
図6(c)は、流動体48を清掃対象区間14の所定長さ充満させた後、清掃用移動体46及び流動体48を管路内12で移動させるために、水50を液体注入手段30により加圧注入している様子を示す。この水50の加圧注入は、清掃用移動体46が清掃対象区間14の下流側マンホール18に到達するまで行う。この水50は、水道水を用いているが、下水20や農業用水等の水を利用することも可能である。このようにすることで、作業のコストを更に下げることができる。
【0048】
上流側マンホール16から導入した清掃用移動体46が、下流側マンホール18に到達したら、清掃用移動体46を回収する。回収は、下流側マンホール18内で容易に行うことが可能である。その後、流動体48及び水50を取り除かれた塵42や堆積物43と共に流動体排出管24より吸引し、排水タンク40に回収する。なお、流動体48や水50は、汚れなどが少ない場合等は、下流側マンホール18からそのまま下流側に流しても良い。
【0049】
下水道管12の直径は、第1から第3の実施の形態では、略250mm、第3の実施の形態での氷粒子と水を有するシャーベット状の流動体48の長さは略0.5から3m、シャーベット状の流動体48若しくは清掃用移動体46の移動速度は、0.1から0.3m/秒とした。なお、移動速度は、作業開始直後は遅く作業終了間際は速くすることも可能である。なお、清掃用移動体46の移動を、流動体48を使用せずに水50だけで行うことも可能である。ただし、この場合は、流動体48による管路12内の洗浄は同時には行われないが、後から流動体48だけを清掃対象区間14に導入することは可能である。
【0050】
本実施の形態によれば、ポリウレタンフォーム製の本体部及びこの表面にリブ状の突出を形成した清掃用移動体46を、氷粒子と水を有するシャーベット状の流動体48及び水50により移動せしめたので、清掃用移動体46による清掃の効果に加え、氷粒子と水とを有するシャーベット状の流動体48による洗浄も同時に行われ、管路12の掃除がより効果的に行われることとなる。然も、清掃用移動体54を用いることで氷粒子と水を有するシャーベット状の流動体48を無駄なく効果的に使用することが可能となった。清掃用移動体46は変形性を有しているので、管路12の直径が変化しても、また管路12が曲がっていても、常に一定の清掃効果が期待できる。
【0051】
なお、上記の第1から第3の実施の形態では、一例として下水道管12を例にして本発明の清掃用移動体による管路の清掃作業について説明したが、これらの実施の形態に限定されることはない。すなわち、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、清掃する管路として上水道管、農業用水管や工場内での各種の配管、食品等を扱う管路、及び家庭内の排水管等としても良い。また、清掃用移動体を押し流すものとして水(水道水)、流動体を示したが、清掃対象の管路を流れる液体をそのまま使用すること、例えば、食品等の管路を清掃する場合には、その管路を流れる食品等を使用すること、下水道管を清掃する場合、下水の処理水又は再生水を利用することが可能である。