(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、
図1〜
図6に基づいて、本発明の第1の実施形態に係るハンドル装置1について説明する。以下、説明の便のため、
図1における左側をハンドル装置1の前側とし、
図1における右側をハンドル装置1の後側とする。各図に適宜付される矢印Frは、ハンドル装置1の前側を示している。
【0022】
図1に示されるように、ハンドル装置1は、扉2の外壁面3(室外側の壁面)に設けられている。ハンドル装置1は、扉2の外壁面3に埋設される上下一対のシリンダー錠4(錠前)と、扉2の外壁面3に固定され、上側のシリンダー錠4の上方から下側のシリンダー錠4の下方に亘って配置されるハンドル5と、ハンドル5の上部に保持される作動機構6と、ハンドル5の上部に内装されるカードリーダー7(通信機器)を有する通信ユニット8と、を主体として構成されている。
【0023】
まず、各シリンダー錠4について説明する。各シリンダー錠4は、前後方向に延びる鍵穴9を備えている。各シリンダー錠4の表面には、鍵穴9の前端部が露出している。各シリンダー錠4は、施解錠機構(図示せず)に接続されており、鍵穴9に挿入された合鍵(図示せず)が回転操作されると、施解錠機構が作動して、扉2の施錠と解錠が切り替わるようになっている。
【0024】
次に、ハンドル5について説明する。ハンドル5は、上下方向に細長い形状を成している。つまり、本実施形態では、上下方向がハンドル5の長手方向である。ハンドル5は、扉2の外壁面3に固定される上下一対の台座10(錠前カバー)と、上下一対の台座10を連結するグリップ11と、を備えている。
【0025】
図2に示されるように、ハンドル5の上側の台座10は、扉2の外壁面3に沿って上下方向に延びる第1カバー12と、第1カバー12の上部の前方に配置される第2カバー13と、第1カバー12と第2カバー13を接続するストラップ14と、を主体として構成されている。
【0026】
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、第1カバー12の上端部には上方係合部15が設けられ、第1カバー12の上下方向略中央部には左右一対の下方係合部16が設けられている。第1カバー12には、上方係合部15の下方に円筒状の錠前保持部17が設けられている。錠前保持部17は、上側のシリンダー錠4の外周面の前後方向中央部を覆っている(
図2参照)。
【0027】
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、第1カバー12には、錠前保持部17の下方に四角筒状のストラップ保持部18が設けられている。ストラップ保持部18の後上隅部には、係合部20が設けられている。ストラップ保持部18の表面側には、挿入開口部21が形成されている。ストラップ保持部18には、係合部20の両側に当接壁部19が形成されている。
【0028】
第1カバー12の下部には、ラッチバー保持部22が設けられている。
図2に示されるように、ラッチバー保持部22の後端部は、扉2を貫通する上下一対の取付柱23を介して、扉2の内壁面24(室内側の壁面)に設けられた室内側ハンドル25(
図2において一部のみを表示)に連結されている。第1カバー12の後端面と扉2の外壁面3の間には、ゴム製のシート26が介装されている。
【0029】
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、第2カバー13の上端部には上方フック27が設けられ、第2カバー13の下端部には左右一対の下方フック28が設けられている。そして、上方フック27を第1カバー12の上方係合部15に係合させると共に各下方フック28を第1カバー12の各下方係合部16に係合させることで、第2カバー13が第1カバー12に着脱可能に取り付けられている(
図2参照)。
【0030】
第2カバー13の上部は、上側のシリンダー錠4の表面の全部を覆っている。
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、第2カバー13の下部には、後方に向かって突出するストラップ取付部29が設けられている。ストラップ取付部29には、挿入穴30が上下方向に設けられている。挿入穴30は、所定の幅Wを有している。ストラップ取付部29の後部は、第2カバー13を第1カバー12に取り付けた状態で、第1カバー12のストラップ保持部18に設けられた挿入開口部21に挿入されている(
図2参照)。
【0031】
ストラップ14は、ゴムなどの弾性材料によって形成されている。ストラップ14は、第1カバー12のストラップ保持部18に保持されている。なお、
図5及び
図6の矢印Aは、第2カバー13のストラップ取付部29に設けられた挿入穴30へのストラップ14の挿入方向を示している。以下、これを「挿入方向A」と称する。
【0032】
図5(a)及び
図5(b)に示されるように、ストラップ14は、第1挿入部31と、挿入方向Aにおいて第1挿入部31の基端側に形成される第2挿入部32と、挿入方向Aにおいて第2挿入部32の基端側に形成される第3挿入部33と、挿入方向Aにおいて第3挿入部33の基端側に形成される本体部34と、を備えている。なお、
図5(a)の矢印Lは、ストラップ14の有効長さ(第1カバー12に取り付けられる部分から第2カバー13に取り付けられる部分までの長さ)を示している。
【0033】
図5(a)に示されるように、第1挿入部31は、挿入穴30の幅Wよりも小さな幅を有している。第1挿入部31は、挿入方向Aにおける基端側部分から先端側部分まで同一幅で形成されている。
【0034】
第2挿入部32は、挿入穴30の幅Wよりも大きな幅を有している。第2挿入部32の幅方向外側の縁部には、拡幅部36が設けられている。拡幅部36は、挿入方向Aにおける基端側に向かって次第に拡幅している。拡幅部36は、直線状に形成されている。
【0035】
第2挿入部32の幅方向外側の縁部には、挿入方向Aにおける拡幅部36の基端側に、縮幅部37が設けられている。縮幅部37は、挿入方向Aにおける基端側に向かって次第に縮幅している。縮幅部37は、第2挿入部32の幅方向外側に向かって凸となるように円弧状に湾曲している。
【0036】
第2挿入部32には、貫通穴35が厚み方向に設けられている。貫通穴35の挿入方向Aにおける先端側の部分は、拡幅部36の形状に対応しており、挿入方向Aにおける基端側に向かって次第に拡幅している。貫通穴35の挿入方向Aにおける基端側の部分は、縮幅部37の形状に対応しており、挿入方向Aにおける基端側に向かって次第に縮幅している。
【0037】
第3挿入部33は、挿入穴30の幅Wよりも小さな幅を有している。第3挿入部33は、挿入方向Aにおける基端側部分から先端側部分まで同一幅で形成されている。
【0038】
本体部34は、挿入穴30の幅Wよりも大きな幅を有している。本体部34は、挿入方向Aにおける基端側部分から先端側部分まで同一幅で形成されている。本体部34の挿入方向Aにおける基端側の端部には、取付穴38が形成されている。
図2に示されるように、取付穴38には、第1カバー12の係合部20が係合している。これにより、第1カバー12にストラップ14が取り付けられている。
【0039】
図1に示されるように、ハンドル5の下側の台座10は、ハンドル5の上側の台座10と略上下対称形状を成している。ハンドル5の下側の台座10については説明を省略する。
【0040】
図1に示されるように、ハンドル5のグリップ11は、僅かに前方に湾曲しながら上下方向に延びている。ハンドル5のグリップ11は、裏カバー40と、裏カバー40の前方に配置される表カバー41と、裏カバー40及び表カバー41の上部の左右両側に配置される一対のサイドウォール42(
図1では、左側のサイドウォール42のみ表示)と、を備えている。裏カバー40と表カバー41の間には、収容空間43が形成されている。
【0041】
裏カバー40は、アルミニウム等の金属によって形成されている。
図2に示されるように、裏カバー40は、裏板部44と、裏板部44の左右両側から前方に向かって延びる側板部45と、を備えている。
【0042】
裏板部44は、カードリーダー7の裏面を覆っている。
図1に示されるように、裏板部44の上部には後方に向かって突出する上側突片46が設けられ、裏板部44の下部には後方に向かって突出する下側突片47が設けられている。下側突片47は、揺動軸部48を介して下側の台座10に取り付けられている。これにより、グリップ11が揺動軸部48を支点に揺動可能となっている。裏板部44の下部には、ハーネス挿通穴50が設けられている。
【0043】
表カバー41は、ポリカーボネート等の樹脂によって形成されている。
図2に示されるように、表カバー41は、本体部52と、本体部52の左右両側から後方に向かって延びる固定部53と、を備えている。
【0044】
図1に示されるように、本体部52の上端部と下端部は、それぞれ取付ネジ54によって裏カバー40の裏板部44の上端部と下端部に取り付けられている。これにより、裏カバー40に表カバー41が固定されている。
【0045】
図2に示されるように、本体部52は、カードリーダー7の表面を覆っている。本体部52の裏面には、上下方向中央部よりも上方の部分に、支持フック55が突設されている。本体部52の裏面の上下方向中央部には、四角筒状のガイド固定部56が突設されている。ガイド固定部56は、第1嵌合部57と、本体部52の裏面と第1嵌合部57の間に形成される第2嵌合部58と、を備えている。第2嵌合部58は第1嵌合部57よりも上下幅及び左右幅が小さい。
【0046】
各サイドウォール42は、ASA等の樹脂によって形成されている。各サイドウォール42は、表カバー41とは異なる種類の樹脂によって形成されている。各サイドウォール42は、カードリーダー7の左右両側面の後部を覆っている。各サイドウォール42は、上下方向に長い形状を成している。
【0047】
次に、作動機構6について説明する。
図2に示されるように、作動機構6は、ラッチバー64と、ラッチバー64の片側に設けられるねじりコイルバネ65と、を備えている。
【0048】
ラッチバー64は、上側の台座10の第1カバー12に設けられたラッチバー保持部22に保持されている。ラッチバー64は、略上下方向(正確には、下方に向かって僅かに前方に傾斜する方向)に延びる第1腕部66と、第1腕部66の上部から後方に向かって延びる第2腕部67と、を備えている。
【0049】
第1腕部66の上端部は、回動軸部68を介して上側の台座10に取り付けられている。これにより、ラッチバー64は、第1の姿勢(
図2の実線参照)と第2の姿勢(
図2の二点鎖線参照)の間で回動軸部68を支点に回動可能となっている。第1腕部66の下端部は、グリップ11の裏カバー40の裏板部44に設けられた上側突片46に接続軸部70を介して接続されている。
【0050】
ねじりコイルバネ65の一部は、回動軸部68の外周に巻回されている。ねじりコイルバネ65は、ラッチバー64を第1の姿勢(
図2の実線参照)に付勢している。
【0051】
次に、通信ユニット8について説明する。通信ユニット8は、上記のカードリーダー7と、カードリーダー7に上端部が接続されるハーネス72と、ハンドル5のグリップ11の上下方向中央部に内装されるハーネスガイド73と、ハンドル5のグリップ11の上下方向中央部に内装され、ハーネスガイド73の前方に配置されるアンテナ74(他の通信機器)と、を備えている。
【0052】
カードリーダー7は、上下方向に長い形状を成している。カードリーダー7は、ハンドル5のグリップ11の収容空間43の上端部に収容されている。カードリーダー7の下端部には、下端突部75が設けられている。そして、この下端突部75を表カバー41の本体部52に設けられた支持フック55に係合させた状態で、カードリーダー7の上端部を表カバー41の本体部52の上端部に締結ネジ76によって締結することで、カードリーダー7が表カバー41に固定されている。カードリーダー7は、ハンドル5の外部のICカード77(通信媒体)との間で無線通信を行う機能を有している。
【0053】
図1に示されるように、ハーネス72は、ハンドル5のグリップ11の収容空間43内に上下方向に配索されている。ハーネス72の裏側は裏カバー40の裏板部44によって覆われ、ハーネス72の表側は表カバー41の本体部52によって覆われている。ハーネス72の下端部は、裏カバー40の裏板部44のハーネス挿通穴50に挿通され、扉2の内部(ハンドル5の外部)に引き回されている。ハーネス72の下端部には、コネクター78が固定されている。
【0054】
図2に示されるように、ハーネスガイド73は、表カバー41のガイド固定部56の第1嵌合部57に嵌合している。ハーネスガイド73は、ハーネス72を支持している。
【0055】
図2に示されるように、アンテナ74は、ケーブル80を介してカードリーダー7に接続されている。アンテナ74は、ハンドル5の外部の携帯型キー(図示せず)との間で無線通信を行う機能を有している。アンテナ74は、表カバー41のガイド固定部56の第2嵌合部58に嵌合している。アンテナ74は、表カバー41の本体部52の裏面とハーネスガイド73に挟まれるように配置されている。
【0056】
上記のように構成されたものにおいて、室外から扉2を開放するには、
図1に矢印Xで示されるように、ハンドル5のグリップ11を前側に牽引する。これに伴って、グリップ11が揺動軸部48を支点に前方に揺動し、グリップ11に接続軸部70を介して接続されたラッチバー64が第1の姿勢(
図2の実線参照)から第2の姿勢(
図2の二点鎖線参照)に切り替わる。これに伴って、ラッチバー64の第2腕部67に接続されたラッチ機構(図示せず)が作動し、扉2を開放可能となる。
【0057】
次に、上記のように構成されたものにおいて、第2カバー13のストラップ取付部29にストラップ14を取り付ける方法について説明する。
【0058】
まず、
図6(a)に示されるように、ストラップ14の第1挿入部31をストラップ取付部29の挿入穴30に挿入する。この状態で、
図6(a)に矢印Bで示されるように、挿入方向Aの先端側に向かってストラップ14の第1挿入部31を引っ張る。これに伴って、
図6(b)に示されるように、挿入穴30の周囲のストラップ取付部29に対して拡幅部36を摺動させながら第2挿入部32が挿入穴30の幅以下の幅まで弾性変形し、第2挿入部32がストラップ取付部29の挿入穴30に挿入される。この状態から、
図6(b)に矢印Cで示されるように、挿入方向Aの先端側に向かってストラップ14の第1挿入部31を更に引っ張ると、第2挿入部32が挿入穴30を通過し、
図6(c)に示されるように、ストラップ14の第3挿入部33が挿入穴30に挿入される。これに伴って、ストラップ14の第2挿入部32が挿入穴30の幅よりも大きな幅に弾性復帰し、第2挿入部32の縮幅部37によってストラップ取付部29が係止される。これにより、第2カバー13のストラップ取付部29にストラップ14が取り付けられる。
【0059】
次に、第2カバー13のストラップ取付部29からストラップ14を取り外す方法について説明する。
【0060】
まず、
図6(c)に矢印Dで示されるように、ストラップ14の第2挿入部32を指などで押圧して挿入穴30の幅以下の幅まで弾性変形させる。この状態で、
図6(c)に矢印Eで示されるように、挿入方向Aの基端側に向かってストラップ14の本体部34を引っ張る。これに伴って、
図6(b)に示されるように、ストラップ14の第2挿入部32がストラップ取付部29の挿入穴30に挿入される。この状態から、
図6(b)に矢印Fで示されるように、挿入方向Aの基端側に向かってストラップ14の本体部34を更に引っ張ると、ストラップ14の第2挿入部32及び第1挿入部31が順次挿入穴30を通過する。これにより、第2カバー13のストラップ取付部29からストラップ14が取り外される。
【0061】
以上のように、本実施形態では、ゴムなどの弾性材料によって形成されるストラップ14の伸縮性を利用することで、第2カバー13のストラップ取付部29に対するストラップ14の取り付け/取り外しを容易に行うことが可能となっている。
【0062】
本実施形態では上記のように、ストラップ14の第2挿入部32を挿入穴30の幅以下の幅まで弾性変形させて挿入穴30を通過させることで、第2カバー13に対してストラップ14を容易に着脱することができる。そのため、必要に応じて第2カバー13を第1カバー12に対して容易に接続したり切り離したりすることが可能となる。
【0063】
また、ストラップ14の第1挿入部31を挿入穴30に挿入してストラップ14の第1挿入部31を引っ張るだけの簡単な作業によって、第2カバー13に対してストラップ14を容易に取り付けることが可能となっている。
【0064】
また、第2挿入部32には、貫通穴35が厚み方向に設けられている。そのため、第2挿入部32を弾性変形させやすくなり、第2カバー13に対してストラップ14を一層容易に着脱することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態のストラップ14は、厚み方向に凹凸を有していない。そのため、ゴム成型のような大掛かりな成型方法ではなく、例えばトムソン型(ベース板に設けられた溝に刃を埋め込んだ型)を用いた平板打ち抜きのような簡易な成型方法によってストラップ14を製造することが可能となる。
【0066】
本実施形態では、シリンダー錠4の外周面の一部を第1カバー12が覆う場合について説明したが、他の異なる実施形態では、シリンダー錠4などの錠前の外周面の全部を第1カバー12が覆っていても良い。
【0067】
本実施形態では、シリンダー錠4の表面の全部を第2カバー13が覆う場合について説明したが、他の異なる実施形態では、シリンダー錠4などの錠前の表面の一部を第2カバー13が覆っていても良い。
【0068】
本実施形態では、ストラップ14の第1挿入部31及び第3挿入部33が挿入穴30の幅Wよりも小さい幅を有する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ストラップ14の第1挿入部31及び第3挿入部33の一方又は両方が挿入穴30の幅Wと同一の幅を有していても良い。
【0069】
本実施形態では、第2カバー13とストラップ14の取り付けに本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、第1カバー12とストラップ14の取り付けに本発明の構成を適用しても良いし、第1カバー12とストラップ14の取り付け及び第2カバー13とストラップ14の取り付けの両方に本発明の構成を適用しても良い。
【0070】
本実施形態では、ハンドル5の一部を構成する台座10に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ハンドルとは独立して設けられた錠前カバーに本発明の構成を適用しても良い。
【0071】
(第2の実施形態)
以下、主に
図7〜
図10に基づいて、本発明の第2の実施形態に係るハンドル装置1について説明する。なお、ストラップ90以外の構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、
図7〜
図10に付される矢印Gは、第2カバー13のストラップ取付部29に設けられた挿入穴30へのストラップ90の挿入方向を示している。以下、これを「挿入方向G」と称する。
【0072】
ストラップ90は、ナイロンなどの合成樹脂によって形成されている。ストラップ90は、第1カバー12のストラップ保持部18(
図2等参照)に保持されている。
【0073】
図7(a)、
図7(b)及び
図8に示されるように、ストラップ90は、第1挿入部91と、挿入方向Gにおいて第1挿入部91の基端側に形成される第2挿入部92と、挿入方向Gにおいて第2挿入部92の基端側に形成される第3挿入部93と、挿入方向Gにおいて第3挿入部93の基端側に形成される係止部94と、挿入方向Gにおいて係止部94の基端側に形成される接続部95と、挿入方向Gにおいて接続部95の基端側に形成される本体部96と、を備えている。
【0074】
第1挿入部91は、第2カバー13のストラップ取付部29に設けられた挿入穴30の幅Wよりも小さな幅を有している。第1挿入部91の幅方向外側の縁部には、第1拡幅部101が設けられている。第1拡幅部101は、挿入方向Gにおける基端側に向かって次第に拡幅している。第1拡幅部101は、直線状に形成されている。
【0075】
第2挿入部92は、挿入穴30の幅Wよりも大きな幅を有している。第2挿入部92の幅方向外側の縁部には、第2拡幅部102が設けられている。第2拡幅部102は、第1挿入部91の第1拡幅部101と連続して設けられており、挿入方向Gにおける基端側に向かって次第に拡幅している。第2拡幅部102は、直線状に形成されている。
【0076】
第2挿入部92の幅方向外側の縁部には、挿入方向Gにおける第2拡幅部102の基端側に、定幅部103が設けられている。定幅部103は、挿入方向Gにおける基端側部分から先端側部分まで同一幅で形成されている。定幅部103は、第2挿入部92の中で最大幅の部分である。
【0077】
第2挿入部92の幅方向外側の縁部には、挿入方向Gにおける定幅部103の基端側に、縮幅部104が設けられている。縮幅部104は、挿入方向Gにおける基端側に向かって次第に縮幅している。縮幅部104は、直線状に形成されている。
【0078】
第2挿入部92には、挿入方向Gにおける第2拡幅部102及び定幅部103の基端側且つ挿入方向Gにおける縮幅部104の先端側に、抜け止め部105が設けられている。抜け止め部105は、第2挿入部92の幅方向(挿入方向Gと直交する方向)に沿って設けられている。抜け止め部105が定幅部103と縮幅部104の間に設けられることで、定幅部103と縮幅部104は段差状を成している。
【0079】
第2挿入部92には、貫通穴106が厚み方向に設けられている。貫通穴106の挿入方向Gにおける先端側部分106aは、第2拡幅部102の形状に対応しており、挿入方向Gにおける基端側に向かって次第に拡幅している。貫通穴106の挿入方向Gにおける基端側部分106bは、縮幅部104の形状に対応しており、挿入方向Gにおける基端側に向かって次第に縮幅している。
【0080】
第3挿入部93は、挿入穴30の幅Wよりも小さな幅を有している。第3挿入部93は、挿入方向Gにおける基端側部分から先端側部分まで同一幅で形成されている。
【0081】
係止部94は、挿入穴30の幅Wよりも大きな幅を有している。係止部94の幅方向外側の縁部は、幅方向外側に向かって凸となるように円弧状に湾曲している。
【0082】
接続部95は、挿入穴30の幅Wよりも小さな幅を有している。接続部95は、挿入方向Gにおける基端側部分から先端側部分まで同一幅で形成されている。
【0083】
本体部96は、挿入穴30の幅Wよりも大きな幅を有している。本体部96は、接続部95から挿入方向Gにおける基端側に向かって幅方向一側(
図7(a)の図面上は左側)に傾斜しながら延びる一方腕部107と、接続部95から挿入方向Gにおける基端側に向かって幅方向他側(
図7(a)の図面上は右側)に傾斜しながら延びる他方腕部108と、本体部96の幅方向に延びて挿入方向Gにおける一方腕部107の基端部と挿入方向Gにおける他方腕部108の基端部とを連結する連結部109と、を備えている。一方腕部107と他方腕部108の間には、開口部110が形成されている。連結部109の厚み及び幅は、ストラップ90の連結部109以外の部分の厚み及び幅よりも大きい。連結部109の表面及び裏面の4隅には、凹部111が設けられている。連結部109の中央部には、取付穴112が設けられている。取付穴112には、第1カバー12の係合部20(
図2等参照)が係合している。これにより、第1カバー12にストラップ90が取り付けられている。連結部109の幅方向両端部は、第1カバー12のストラップ保持部18の各当接壁部19(
図3(b)参照)に当接している。
【0084】
上記のように構成されたものにおいて、第2カバー13のストラップ取付部29にストラップ90を取り付ける方法について説明する。
【0085】
まず、
図9(a)に示されるように、ストラップ90の第1挿入部91をストラップ取付部29の挿入穴30に挿入する。この状態で、
図9(a)に矢印Hで示されるように第2挿入部92の定幅部103を幅方向内側に向かって押しながら、
図9(a)に矢印Iで示されるように挿入方向Gの先端側に向かって押し込む。これに伴って、
図9(b)に示されるように、ストラップ90の第2挿入部92が幅方向内側に向かって撓み、挿入穴30の周囲のストラップ取付部29に対して第2拡幅部102を摺動させながら挿入穴30の幅以下の幅まで弾性変形し、挿入穴30に挿入される。この状態から、
図9(b)に矢印Jで示されるように、挿入方向Gの先端側に向かってストラップ90の第1挿入部91を引っ張ると、第2挿入部92が挿入穴30を通過する。これに伴って、
図9(c)に示されるように、第2挿入部92が挿入穴30の幅よりも大きな幅に弾性復帰し、第2挿入部92の抜け止め部105によってストラップ取付部29が係止される。これにより、第2カバー13のストラップ取付部29にストラップ90が取り付けられる。
【0086】
次に、第2カバー13のストラップ取付部29からストラップ90を取り外す方法について説明する。
【0087】
まず、
図9(c)に矢印Kで示されるようにストラップ90の第2挿入部92の定幅部103を幅方向内側に向かって押して、挿入穴30の幅以下の幅まで弾性変形させる。この状態で、
図9(c)に矢印Mで示されるように、挿入方向Gの基端側に向かってストラップ90の第3挿入部93を引っ張る。これに伴って、
図9(b)に示されるように、第2挿入部92が挿入穴30に挿入される。この状態から、
図9(b)に矢印Nで示されるように、挿入方向Gの基端側に向かって第3挿入部93を更に引っ張ると、ストラップ90の第2挿入部92及び第1挿入部91が順次挿入穴30を通過する。これにより、第2カバー13のストラップ取付部29からストラップ90が取り外される。
【0088】
以上のように、本実施形態では、ナイロンなどの合成樹脂によって形成されるストラップ90の反発力を利用して、第2カバー13のストラップ取付部29に対するストラップ90の取り付け/取り外しを容易に行うことが可能となっている。
【0089】
また、上記のようにストラップ90が合成樹脂によって形成されることで、例えばストラップ90がゴムによって形成される場合と比較して、ストラップ90の剛性を高めることが可能となる。これに伴って、ストラップ90の第2挿入部92がストラップ取付部29の挿入穴30を不用意に通過するのを抑制することが可能となる。そのため、第2カバー13に対するストラップ90の取り付け/取り外しを作業者の意思に基づいて行うことが可能となる。
【0090】
本実施形態では特に、ストラップ90の第2挿入部92の抜け止め部105が第2挿入部92の幅方向(挿入方向Gに対して直交する方向)に沿って設けられている。そのため、ストラップ取付部29の挿入穴30を第2挿入部92が不用意に通過するのを一層確実に抑制することが可能となる。
【0091】
また、上記のようにストラップ90が合成樹脂によって形成されることで、例えばストラップ90がゴムによって形成される場合と比較して、ストラップ90の強度を高めることが可能となる。これに伴って、ストラップ90の経時的な劣化を抑制することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態では、ストラップ90の本体部96が一方腕部107と他方腕部108を有しており、一方腕部107と他方腕部108の間には開口部110が形成されている。このような構成を採用することで、本体部96が撓みやすくなるため、本体部96の連結部109の取付穴112と第1カバー12の係合部20の係合が不用意に解除されるのを抑制することが可能となる。
【0093】
また、本実施形態では、本体部96の連結部109の幅方向両端部が第1カバー12の各当接壁部19に当接している。そのため、本体部96の連結部109の取付穴112と第1カバー12の係合部20の係合が不用意に解除されるのを一層効果的に抑制することが可能となる。
【0094】
次に、ストラップ90の有効長さ(第1カバー12に取り付けられる部分から第2カバー13に取り付けられる部分までの長さ)を調節する方法について、主に
図10を用いて説明する。
【0095】
図10(a)は、第2カバー13のストラップ取付部29がストラップ90の係止部94と当接している状態を示している。この状態におけるストラップ取付部29の位置を「第1の位置」とし、この状態におけるストラップ90の有効長さをL1とする。L1は、本実施形態における最短の有効長さである。
【0096】
このようにストラップ取付部29が係止部94と当接している状態から挿入方向Gにおける先端側に向かってストラップ取付部29がストラップ90に対してスライドすると、
図10(b)に示されるように、ストラップ取付部29がストラップ90の第2挿入部92の抜け止め部105と当接する。この状態におけるストラップ取付部29の位置を「第2の位置」とし、この状態におけるストラップ90の有効長さをL2とする。L2は、本実施形態における最長の有効長さである。
【0097】
このように、本実施形態においては、係止部94と当接する第1の位置から抜け止め部105と当接する第2の位置までストラップ取付部29がストラップ90に対してスライド可能に設けられている。これに伴って、ストラップ90の有効長さをL1とL2の差分Pだけ調節可能となっている。
【0098】
例えば、第1カバー12に第2カバー13が取り付けられている状態では、
図10(c)に示されるように、ストラップ取付部29が第1の位置と第2の位置の間の第3の位置にある。この状態におけるストラップ90の有効長さをL3とする。L3は、第1の実施形態におけるストラップ14の有効長さL(
図5(a)参照)と略同一である。L3は、L1よりも僅かに長く、L2よりも十分に短い。このようにストラップ90の有効長さをL3とすることで、ストラップ保持部18内にストラップ90を容易に収容することが可能となる。換言すると、ストラップ保持部18内におけるストラップ90の収まりを良くすることが可能となる。
【0099】
一方で、第1カバー12から第2カバー13が取り外されている状態では、ストラップ取付部29が第3の位置(
図10(c)参照)から第2の位置(
図10(b)参照)までスライドし、ストラップ90の有効長さがL3よりも長いL2となる。これに伴って、第1カバー12と第2カバー13を極力離間させることが可能となり、第2カバー13に対するストラップ90の取り付け/取り外しやシリンダー錠4を用いて行う扉2の施解錠を行いやすくなる。
【0100】
また、前述の第1の実施形態では、ストラップ14の第1挿入部31をストラップ取付部29の挿入穴30に挿入した状態で、挿入方向Aの先端側に向かって第1挿入部31を引っ張ることで、ストラップ14の第2挿入部32を挿入穴30の幅以下の幅まで弾性変形させている。このようなストラップ14の取付方法を採用する場合には、ストラップ取付部29の挿入穴30に第1挿入部31を挿入した状態で、少なくとも作業者が手でつまめる程度の長さ分、挿入方向Aにおける第1挿入部31の先端側部分が挿入穴30から突出している必要がある(
図6(a)参照)。
【0101】
これに対して、本実施形態では、ストラップ90の第1挿入部91をストラップ取付部29の挿入穴30に挿入した状態で、ストラップ90の第2挿入部92を幅方向内側に向かって押しながら挿入方向Gの先端側に向かって押し込むことで、第2挿入部92を挿入穴30の幅以下の幅まで弾性変形させている。このようなストラップ90の取付方法を採用する場合には、ストラップ取付部29の挿入穴30に第1挿入部91を挿入した状態で、作業者が手でつまめる程度の長さ分、挿入方向Gにおける第1挿入部91の先端側部分が挿入穴30から突出している必要が無い(
図9(a)参照)。そのため、第1の実施形態と比較して第1挿入部91の長さを短くすることが可能となり、その分ストラップ90の有効長さ(第1カバー12に取り付けられる部分から第2カバー13に取り付けられる部分までの長さ)を長くすることが可能となる。これに伴って、第2カバー13に対するストラップ90の取り付け/取り外しやシリンダー錠4を用いて行う扉2の施解錠を一層行いやすくなる。
【0102】
本実施形態では、ストラップ90を形成する合成樹脂の一例としてナイロンを挙げたが、他の異なる実施形態では、ナイロン以外の任意の合成樹脂によってストラップ90を形成しても良い。
【0103】
本実施形態では、ストラップ90の第2挿入部92の抜け止め部105が第2挿入部92の幅方向(挿入方向Gに対して直交する方向)に沿って設けられている場合について説明したが、抜け止め部105は挿入方向Gに対して交差する方向に設けられていれば良く、必ずしも挿入方向Gに対して直交する方向に設けられていなくても良い。