(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外側面保持部は、前記環状形状を構成するそれぞれの辺に沿う方向を長手方向とする板状であって、前記文字板の平面に平行な面に対して立設するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のソーラーセル付電子時計。
前記内側面保持部材は、前記文字板の表面に平行な面に対し、底面を対向させて立設する円柱形状に形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のソーラーセル付電子時計。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る時計の表側(文字板側)を示す正面図、
図2は、
図1のV−V線断面図である。
【0021】
図1、
図2に示すように、本実施形態のソーラーセル付電子時計1は、四角形状の時計ケース2の表側に風防ガラス4が取り付けられ、時計ケース2の裏側に裏蓋3が取り付けられている。時計ケース2の内部には、ムーブメント8が内蔵されている。時計ケース2の側面には、外部操作部材である竜頭10に固着された巻真が通る貫通孔が開口している。(巻真及び貫通孔は図示せず。)竜頭10を引き出すことにより、巻真がムーブメント8の内部の輪列(図示せず)に連結され、竜頭10の回転によって、ソーラーセル付電子時計1に必要な操作が可能に構成されている。
【0022】
竜頭10は、回転させることによりムーブメント8に設けられた電気的接点をオン・オフし、これにより竜頭10の回転操作を検出して、電気的にソーラーセル付電子時計1に必要な操作が可能に構成してもよい。
【0023】
風防ガラス4の内側には、文字板5が配置され、風防ガラス4と文字板5との間には、ムーブメント8によって駆動される指針6(時針6a、分針6b、秒針6c)が同軸上に配置されている。文字板5の外周近傍に見返しリング7が配置されている。
【0024】
見返しリング7の外側には、ソーラーセル11が配置され、ソーラーセル11の外側には、中枠9が配置されている。中枠9は、ソーラーセル11を保持していて、ソーラーセル保持部材として用いられている。
【0025】
文字板5の背面には、ムーブメント8が配置されている。ムーブメント8は、回路基板を内蔵し、この回路基板に電気的に接続された接続バネを有している。(回路基板及び接続バネは図示せず。)
図3は、ソーラーセル11を示す斜視図である。ソーラーセル11は、ポリエチレンテレフタラートなどの樹脂からなるフィルム状のベース基板11aと、その上にアモルファスシリコン等の半導体材料を含むように形成された光発電層11bとを有する。ベース基板11aは、細長い帯状であり、可撓性を有する。ソーラーセル11は、長手方向の一端の下部に光発電層11bで発生する電力を取り出す端子としての電極11cを有する。
【0026】
ソーラーセル11は、
図2に示すように、文字板5の外周部に略垂直に配置され、光発電層11bを有する受光面が内側になって、受光面が文字板5の中心部を取り囲むようにして、中枠9に環状に保持されている。ソーラーセル11は、光発電層11bを有する受光面であって、内側を向く面を内側面11i、受光面とは反対側であり、外側を向く面を外側面11oとする。尚、ソーラーセル11は可撓性を有しているので、元の直線状態に戻ろうとする張力が作用し中枠9に張り付くように保持される。
【0027】
ソーラーセル11の電極11cは、前述の接続バネと電気的に接続されることにより、ソーラーセル11からの発電電力がムーブメント8に供給される。
【0028】
図4(a)は、中枠9の正面図であり、
図5は、中枠9の部分斜視図である。中枠9は、文字板5の平面視で、外形が四角形状であり、この四角形状における4つの辺h1〜h4のうち、ソーラーセル付電子時計1の12時側と6時側に配置される辺h1,h3が短辺の長方形である。
【0029】
中枠9は、4つの辺h1〜h4の外周部にそれぞれの辺h1〜h4に対応する位置に形成された台形柱部9aと、台形柱部9aの内側に形成された四角形状の平面台部9bと、四角形状における4つの角部k1〜k4に対応する位置に形成された円柱部9cと、中央に形成された円形穴部9eとを有している。後述するように、台形柱部9aは、ソーラーセル11の外側面11oを保持する外側面保持部であり、円柱部9cは、ソーラーセル11の内側面11iを保持する内側面保持部である。
【0030】
台形柱部9aは、中枠9における平面視の形状が台形である板状に形成され、上底側が中枠9の内側に位置し、下底側が中枠9の外側に位置するように、文字板5の表面に対してほぼ垂直に立設している。各台形柱部9aは、長手方向の両側の端部に傾斜側面9a2を有している。各台形柱部9aの長手方向の長さLa2,Lb2は、各台形柱部9aが設けられる中枠9のそれぞれの辺h1〜h4の長さLa1,Lb1よりも短く、中枠9の角部k1〜k4付近で、互いに直交して隣合う台形柱部9aどうしが離間している。
【0031】
平面台部9bは、中枠9の平面視で外形形状が長方形であり、その表面は、文字板5の表面に平行であって、平面台部9bの外周を取り囲む面から突出している。平面台部9bの4つの端面9b1と、これらに対向する各台形柱部9aの内側面9a1との間が離間しているため、各台形柱部9aと平面台部9bとの間に溝部9dが形成されている。
【0032】
円柱部9cは、円柱形状であり、文字板5の表面に平行な面に対して底面が対向するように、中枠9に立設して形成されている。さらに、円柱部9cは、台形柱部9aの内側面9a1を文字板5の表面に平行に延長した仮想延長面9asと、平面台部9bの角部9b2の頂点との間に囲まれる領域内に、台形柱部9aと離間して配置されている。
【0033】
台形柱部9aの長手方向の向きは、台形柱部9aを挟んで隣合う円柱部9cどうしを結ぶ直線の方向を向き、中枠9のそれぞれの辺h1〜h4に沿っている。そして、円柱部9cの側面9c1のうち、中枠9の外側に面する一部が、台形柱部9aの仮想延長面9asと接し、中枠9の内側に面する一部が、平面台部9bの角部9b2の頂点と接している。
【0034】
図4(b)に、台形柱部9aと、この台形柱部9aを挟んで互いに隣合う2つの円柱部9cを示している。2つの円柱部9cの側面9c1に接する仮想直線のうち、この2つの円柱部9cと文字板5の中心を同じ領域に区分する仮想直線を仮想直線Lcとして示している。尚、文字板5の中心の位置は、
図4(a)に示した円形穴部9eの中心位置である。仮想直線Lcによって、台形柱部9aは、2つの円柱部9cとは反対側の領域に区分される。それぞれの円柱部9cと台形柱部9aが、このような位置関係となるように中枠9に配置されている。このように、台形柱部9aが中枠9の各辺h1〜h4に近い位置に配置され、円柱部9cが、台形柱部9aよりも中枠9の内側に配置されている。
【0035】
さらに、中枠9には、台形柱部9aの長手方向の中央部と平面台部9bの間の何れか一箇所に、ソーラーセル11が配設される位置に沿って、ソーラーセル11の電極11cが挿入される長穴部9fが形成されている。長穴部9fは、
図4(a)における中枠9の角部k3又はk4のいずれかに近づけた位置に形成することも可能である。円形穴部9eにはムーブメント8が配置され、平面台部9bには、文字板5と見返しリング7とが載置され、溝部9d内には、ソーラーセル11が配置される。
【0036】
図6は、ソーラーセル11が組み込まれた中枠9の正面図である。
図6に示すように、ソーラーセル11は、複数の角部k1〜k4を有する環状形状として、長方形の外形形状に形成された中枠9の外周部に沿って中枠9に保持されている。次に、中枠9へのソーラーセル11の組み込み方について説明する。
【0037】
ソーラーセル11は、始めに、中枠9の長穴部9fに電極11cが挿入され、長穴部9fを始点とし、ソーラーセル11の外側面11oが、中枠9の台形柱部9aの内側面9a1に沿うようにして、
図6における左上の角部k4に対応して設けられた円柱部9c付近までソーラーセル11の一部を配設する。
【0038】
次に、円柱部9cの付近でソーラーセル11の配設方向を90°変えて、ソーラーセル11の内側面11iが、中枠9の円柱部9cの側面9c1に沿って弧を描くようにソーラーセル11を湾曲させる。そして、ソーラーセル11の外側面11oが、
図6における上側の辺h1に対応して設けられた台形柱部9aの内側面9a1に沿うようにして、
図6における右上の角部k1に対応して設けられた円柱部9c付近までソーラーセル11の一部を配設する。
【0039】
このソーラーセル11の組込み作業を、残りの台形柱部9aと円柱部9cに対して同様に行う。
図6における左下の角部k3に対応して設けられた4つ目の円柱部9cの側面9c1に沿って弧を描くように、ソーラーセル11を湾曲させたら、最後にソーラーセル11の終点付近を、最初の台形柱部9aの内側面9a1に沿って配設する際に、ソーラーセル11の終点が、ソーラーセル11の始点と重なるとともに、ソーラーセル11の始点と台形柱部9aの内側面9a1との間に挟まれるように組み込む。
【0040】
中枠9に組込まれたソーラーセル11の裏蓋側の端部は、中枠9の溝部9dが形成された部分において、溝部9d内に配設されることとなる。これにより、中枠9に組込まれたソーラーセル11が、各台形柱部9aの長手方向における中央付近で、中枠9の内側に膨らんでしまうのを防いでいる。
【0041】
尚、ソーラーセル11の電極部11cは、中枠9の長穴部9fに挿入される突出部としての役割を担っているが、ソーラーセル11に、電極11cとは別に、中枠9の長穴部9fに挿入される突出部を形成することも可能である。
【0042】
図7は、ソーラーセル11が組み込まれた中枠9の部分正面図である。中枠9の角部k
1〜k4において(k3以外は図示せず)、円柱部9cの側面9c1に沿って円弧状に曲げられたソーラーセル11は、元の真っ直ぐに伸びた状態に戻ろうとする応力により、台形柱部9aの傾斜側面9a2に沿って張り付き、台形柱部9aの内側と円柱部9cの外側との間に収まる。
【0043】
傾斜側面9a2は、台形柱部9aと円柱部9cとの間において、ソーラーセル11が、中枠9の外側に湾曲するように、ソーラーセル11を案内する案内面である。
ソーラーセル11の終点付近は、中枠9の長穴部9fに挿入可能な挿入部を設けていないため、中枠9に固定されていないが、ソーラーセル11が、台形柱部9aの傾斜側面9a2に張り付いたり、円柱部9c等に接することによって生じる摩擦力で、ソーラーセル11は、中枠9に保持される。
【0044】
中枠9の辺h1〜h4において、台形柱部9aの傾斜側面9a2がソーラーセル11の外側面11oに接し、中枠9の角部k1〜k4において、円柱部9cの側面9c1がソーラーセル11の内側面11iに接することにより、ソーラーセル11の内側面11iと外側面11oを、傾斜側面9a2と側面9c1とで交互に保持している。すなわち、台形柱部9aは、ソーラーセル11における受光面とは反対側の外側面11oを保持する外側面保持部であり、円柱部9cは、ソーラーセル11の受光面を含む内側面11iを保持する内側面保持部である。
【0045】
このように、台形柱部9aと円柱部9cとが中枠9の角部k1〜k4で離間していて、台形柱部9aと円柱部9cが、ソーラーセル11の外側面11oと内側面11iとを保持する保持構造にすると、中枠9の角部k1〜k4において、ソーラーセル11を中枠9の外周部付近まで曲率を大きくとって円弧状に曲げることができるため、ソーラーセル11を破壊する程度に小さな曲率で円弧状に折り曲げることはない。
【0046】
また、台形柱部9aの傾斜側面9a2は、ソーラーセル11を、円柱部9cの側面9c1の外側に案内する向きに形成し、円柱部9cの側面9c1は、鋭角部を設けない曲面に形成している。そのため、ソーラーセル11に生じる応力で、ソーラーセル11が鋭角な箇所と接して破壊されることもない。
【0047】
そして、2つの円柱部9cの側面9c1に接して、2つの円柱部9cと文字板5の中心を同じ領域に区分する仮想直線Lcによって、台形柱部9aは、2つの円柱部9cとは反対側の領域に区分されるように配置したため、台形柱部9aと円柱部9cとが離間していても、ソーラーセル11は、中枠9の外側及び、中枠9の平面台部9bの内側へ突出することなく、中枠9の外周近傍に組み込まれることとなる。
【0048】
よって、四角形状の時計構造でも、ソーラーセル11を保持する中枠9において、角部k1〜k4におけるソーラーセル11の曲率を考慮した保持部を、ソーラーセル11の外側に設けなくても、ソーラーセル11を、中枠9の角部k1〜k4で折り曲げて破壊せずに、中枠9の外周部近傍で保持させることができる。
【0049】
同様な構造は、中枠9の平面視の形状が、五角形等の多角形状のものに適用することが可能である。さらに、本実施形態の構造は、中枠9の平面視の形状が、樽型形状のように、4つの角部と、互いに対向する直線状の2辺と、互いに外側に膨らむように円弧状に対向する曲線で構成される2辺を有する形状のものにも適用することが可能である。すなわち、本実施形態の構造は、中枠9の平面視の外形形状が、複数の角部を有する環状形状のものに適用することが可能である。尚、樽型形状のように、中枠9における曲線で構成される辺に対応して配置する台形柱部9aは、辺の曲線形状に沿って、台形柱部9aも曲線状に形成する。
【0050】
仮に、本実施形態とは異なり、台形柱部9aが中枠9の角部k1〜k4の頂点まで延びていて、4つの台形柱部9aが、一つの枠形状につながっている場合には、
図7に示した曲率よりも小さな曲率でソーラーセル11を曲げることとなるか、
図7に示した曲率と同じ曲率でソーラーセル11を曲げるためには、中枠9の4辺h1〜h4よりも外側に台形柱部9aを配置する必要があるため、中枠9の外形形状が大きくなる。これらの場合は、さらに、中枠9の角部k1〜k4でソーラーセル11を曲げる際に、中枠9の角部k1〜k4において、作業者の指は、台形柱部9aの内側面に当って中枠9の角部k1〜k4の外側に動かすことができないため、中枠9にソーラーセル11を組み込む際の作業性が悪くなる。
【0051】
次に、
図8、
図9を用いて、本発明におけるソーラーセル付電子時計の変形例を説明する。
【0052】
図8は、中枠9の角部k1〜k4(k3以外は図示せず)に形成した円柱部9cの高さが平面台部9bの高さと同一のソーラーセル付電子時計の変形例であり、
図9は、中枠9の角部k1〜k4(k3以外は図示せず)に形成した円柱部9cよりも外側に、凹面柱部9gを配置したソーラーセル付電子時計の変形例である。
【0053】
図8、
図9に示したソーラーセル付電子時計が、
図1〜
図7に示したものと異なるのは、中枠9の角部k1〜k4の形状だけであり、これ以外の構成は同一であるため説明を省略する。
【0054】
図8に示した変形例は、細長い可撓性を有するソーラーセル11の短手方向の幅が短い場合に適用可能である。この場合は、ソーラーセル11が元の真っ直ぐに伸びた状態に戻ろうとする応力が弱くなる。従って、
図8のように、円柱部9cの高さを平面台部9bと同一にしても、ソーラーセル11の内側面11iを中枠9の角部k1〜k4で保持することが可能となる。この変形例は、円柱部9cの高さが平面台部9bと同一で、ソーラーセル11の光発電層11bに照射される光を円柱部9cで遮光しないため、ソーラーセル11の発電量の減少を防ぐ効果がある。
【0055】
円柱部9cの高さは、平面台部9bと同一の高さに限らず、光発電層11bの上端部よりも低い高さにすることで、高さが低くなるほど、ソーラーセル11の発電量の減少を防ぐ効果も大きくなる。
【0056】
図9に示した変形例は、円柱部9cと凹面柱部9gとの間に、ソーラーセル11を挟んで固定することが可能である。従って、中枠9に組み込まれるソーラーセル11の終点が、ソーラーセル11の始点まで届かない長さの場合でも、ソーラーセル11の終点が、凹面柱部9gまで到達すれば、中枠9にソーラーセル11を保持することが可能である。勿論、ソーラーセル11の終点が、ソーラーセル11の始点まで届く長さの場合でも、中枠9にソーラーセル11を保持することが可能である。
【0057】
そのため、ソーラーセル11を用いるソーラーセル付電子時計1の種類に時計ケース2のサイズが大きく異なるものがあり、これにともない、中枠9の大きさが大きく異なっても、同じ長さのソーラーセル11を、大きさが異なるソーラーセル付電子時計1に共通利用し易くなるため、ソーラーセル11を安価に製造することができる。
【0058】
次に、
図10を用いて、本発明におけるソーラーセル付電子時計の他の変形例を説明する。
【0059】
図10は、円柱部9cを配置する位置と数に関する変形例であり、これ以外の構成は同一であるため説明を省略する。
【0060】
図10(a)に示した変形例は、平面台部9bの角部9b2の頂点を挟んで円柱部9cを2つ形成している。それぞれの円柱部9cは、上述した実施形態に示した円柱部9cと同じ形状である。
図10(a)に示した変形例の場合は、ソーラーセル11の内側面11iと円柱部9cとの摩擦が増え、ソーラーセル11を保持しやすいという効果を有している。このように、内側面保持部である円柱部9cは、必ずしも、平面台部9bにおけるそれぞれの角部9b2の頂点に対応した位置に配置する必要がなく、ソーラーセル11が円弧状に湾曲した形状で配置される範囲に設けることができる。
【0061】
図10(b)に示した変形例は、平面台部9bの角部9b2の頂点に配置される円柱部9cが、上述した実施形態における円柱部9cよりも広い範囲でソーラーセル11の内側面11iに円弧状に接する形状に形成されている。
図10(b)に示した変形例の場合は、円柱部9cが中枠9の角部k1〜k4(k3以外は図示せず)において広範囲でソーラーセル11の内側面11iに接する円弧形状に形成されているため、ソーラーセル11を小さな曲率で円弧状に組込むことを防ぐことができ、ソーラーセル11を組み込みやすいという効果を有している。
【0062】
次に、
図11を用いて、本発明におけるソーラーセル付電子時計の他の変形例を説明する。この変形例は、ソーラーセル11を、中枠9の各辺h1〜h4(h1,h2は図示せず)に設けた台形柱部9aだけで保持している。
図11に示した変形例は、
図1〜
図7に示した実施形態における4つの円柱部9cを設けていないことだけが相違し、これ以外の構成は、同一であるため説明を省略する。
【0063】
図11に示した変形例は、中枠9の4つの辺h1〜h4に対応した位置に設けた4つの台形柱部9aと、ソーラーセル11の外側面11oとの摩擦力だけで、中枠9がソーラーセル11を保持している。
図1〜
図7に示した実施形態と比較すると、中枠9とソーラーセル11との摩擦力は小さいが、台形柱部9aとソーラーセル11の外側面11oとの摩擦係数や、ソーラーセル11が元の真っ直ぐに伸びた状態に戻ろうとする応力の強さによっては、台形柱部9aだけでも、中枠9は、ソーラーセル11を保持することができる。
【0064】
また、
図11の変形例における中枠9へのソーラーセル11の組込み方は、
図1〜
図7に示した実施形態と比較して、中枠9の角部k1〜k4への組込み方が相違するだけであるため、この相違点だけを説明する。
【0065】
この変形例の場合は、中枠9の辺h3に対応して設けられた台形柱部9aの内側面9a1に沿って、中枠9の角部k3付近までソーラーセル11を配設した状態から、ソーラーセル11の配設方向を90°変えて、ソーラーセル11が弧を描くようにして湾曲させる際に、ソーラーセル11の円弧形状の部分を、中枠9の辺h3,h4に接する程度の曲率に曲げる。そして、ソーラーセル11の外側面11oが、中枠9の辺h4に対応して設けられた次の台形柱部9aの内側面9a1に沿うようにソーラーセル11を配設する。中枠9における他の角部k1,k2,k4へのソーラーセル11の組込み方も同様である。このように、ソーラーセル11を中枠9に組込むことができる。
【0066】
また、この変形例では、他の組み込み方によって、ソーラーセル11を中枠9の角部k1〜k4へ組込むことも可能である。すなわち、中枠9の角部k3付近までソーラーセル11を配設した状態から、ソーラーセル11の配設方向を90°変えて、ソーラーセル11が弧を描くようにして湾曲させる際に、中枠9の辺h3側の略45°の範囲は、平面台部9bの角部9b2の頂点に、ソーラーセル11の内側面11iが接触するように小さな
曲率の円弧形状に曲げる。次に、中枠9の辺h4側の略45°の範囲は、ソーラーセル11が、中枠9の辺h4から僅かに外側に突出するように、ソーラーセル11を大きな曲率の円弧形状に曲げる。
【0067】
そして、前述の場合と同様に、中枠9の辺h4に対応して設けられた次の台形柱部9aの内側面9a1に沿うようにソーラーセル11を配設する。すると、ソーラーセル11は、中枠9の辺h3側の略45°の円弧形状の部分と中枠9の辺h4側の略45°の円弧形状の部分の形状が等しくなるように変形するとともに、中枠9の辺h4から僅かに突出した量に応じた距離だけ、平面台部9bの角部9b2の頂点から離間した状態で、中枠9に配設されることとなる。
【0068】
この変形例のように、円柱部9cを設けない構成の場合は、ソーラーセル11の光発電層11bが、円柱部9cに遮光されないため、
図1に示した実施形態と比較すると、ソーラーセル11の発電量が増加する。
【0069】
本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上述した実施形態や変形例では、平面視の外形が四角形状の中枠9を用いてソーラーセル付電子時計1を構成したが、たとえば、平面視の外形が、三角形状や五角形状等の多角形状や樽型形状などの複数の角部を有する環状形状の中枠を用いてソーラーセル付電子時計1を構成しても良い。ソーラーセル付電子時計1の外形形状を変えて意匠性を高めることが可能である。
【0070】
また、例えば、上述した実施形態や変形例において、円柱部9cが、各図に示した位置よりも中枠9の外側に近い位置に形成するか、又は、
図11に示した変形例において、中枠9の角部k1〜k4におけるソーラーセル11の円弧形状の曲率を大きくすることにより、中枠9の角部k1〜k4付近でソーラーセル11の一部が中枠9の辺h1〜h4の外側にはみ出す突出部が存在しても、ソーラーセル付電子時計1内に、この突出部を収納可能な空間が存在すれば、このような配置構造も可能である。
【0071】
さらに、上述した実施形態や変形例において、台形柱部9aは、1枚の板状に形成せずに、中枠9の一つの辺に、複数に分割して離間して形成しても良い。例えば、長手方向の長さを短くした複数の台形柱部9aを、傾斜側面9a2の位置に対応する2箇所と、その間の1又は複数箇所に、互いに離間して設けても良い。この場合、台形柱部9aを板状の形状にせず、円柱部9cと同様の形状のものを適用することも可能である。すなわち、傾斜側面9a2に対応する位置の2箇所と、その間の1又は複数箇所に、円柱部9cと同じ形状の円柱部を形成しても、これらの円柱部は、ソーラーセル11の保持に関し、台形柱部9aと同様に作用する。
【0072】
また、上述した実施形態において、中枠9の角部k1〜k4において、ソーラーセル11の曲率をさらに小さくしても、ソーラーセル11が破壊されない場合は、円柱部9cを形成せずに、平面台部9bの角部9b2の頂点にソーラーセル11の内側面11iを接触させて、中枠9にソーラーセル11を保持しても良い。この場合、角部9b2の頂点によってソーラーセル11が破壊される恐れがある場合は、角部9b2を円弧状に形成すると良い。
【0073】
また、
図10(a)に示した変形例において、2つの円柱部9cのうち、一方だけを形成することも可能である。同様に、
図10(b)に示した変形例において、円柱部9cは、
図10(b)における中枠9の辺h3側の部分だけを形成したり、辺h4側の部分だけを形成することも可能である。
【0074】
もちろん、上述した実施形態及び各変形例において、台形柱部9aや円柱部9cに対応する部品を中枠9とは別体に形成し、これらを中枠9に固着することで台形柱部9aや円柱部9cとして構成しても良い。
【0075】
また、上述した実施形態や変形例は、中枠9が、台形柱部9aと平面台部9bとの間に溝9dを有しているが、中枠9が、溝9dを有していない構成の場合でも、ソーラーセル11が、中枠9の各辺h1〜h4の中央付近で、中枠9の内側に膨らむのを防ぐことができる。台形柱部9aと平面台部9bとの間に溝9dを有していない中枠9の構成として、例えば、中枠9に平面台部9bを形成しないか、又は、平面台部9bの平面視における外形を溝9dの幅だけ大きくして、台形柱部9aと平面台部9bを一体に形成した場合等である。これらの場合には、例えば、台形柱部9bの長手方向の中心付近であって、上述した実施形態や変形例で示した平面台部9bにおける端面9b1の位置に、ソーラーセル11の内側面11iを保持する保持部を設けると良い。この場合の保持部として、例えば、
図5に示した円柱部9cや、
図8に示した円柱部9cと同様な形状の円柱部を適用することができる。
【0076】
また、上述した実施形態や変形例では、中枠9でソーラーセル11を保持したが、中枠9をソーラーセル11の保持には用いずに、ソーラーセル11を保持する専用のソーラーセル保持部材を用いたり、ソーラーセル付電子時計1を構成する中枠9以外の部品をソーラーセル保持部材として用いることも可能である。