(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態に係るジェットエンジンに関して、添付図面を参照して説明する。ここでは、ジェットエンジンを飛しょう体に適用した例について説明する。
【0023】
(用語の定義)
図1Aには、ジェットエンジンの作動時における主流空気の流れMA(換言すれば、インレットからジェットエンジンに取り込まれる空気の流れ)が記載されている。本明細書において、主流空気の流れMAに対して上流側、すなわち、ジェットエンジンのインレット側を「前方側」と定義する。また、主流空気の流れに対して下流側、すなわち、ジェットエンジンのノズル側を「後方側」と定義する。
【0024】
本明細書において、「下流側」は、燃料の流れの下流側を意味し、「上流側」は、燃料の流れの上流側を意味する。
【0025】
(発明者によって認識された課題)
図1Aおよび
図1Bを参照して、発明者によって認識された課題について説明する。
図1Aは、ジェットエンジンを模式的に示す概略断面図である。
図1Bは、
図1AのA−A矢視断面図である。なお、
図1Aおよび
図1Bは、発明者によって認識された課題について説明するために便宜的に使用される図である。よって、
図1Aおよび
図1Bは、公知技術を示すものではない。
【0026】
図1Aに記載の例において、ジェットエンジン2は、インレット11と、燃焼器12と、ノズル13とを備える。燃焼器12は、燃焼室Chと、前方側燃料噴射口22(前方側燃料噴射器)と、後方側燃料噴射口24(後方側燃料噴射器)とを備える。
【0027】
図1Aに記載の例において、ジェットエンジン2は、燃料供給機構50を備える。燃料供給機構50は、燃料タンク51と、燃料供給流路52と、燃料供給流路52に配置される燃料供給ポンプ59とを備える。燃料供給流路52は、前方側燃料噴射口22および後方側燃料噴射口24に流体接続される。なお、燃料供給流路52に沿って記載された矢印は、燃料の流れ方向を示す。
【0028】
燃料供給流路52は、燃料改質部62を備える。換言すれば、燃料改質部62は、燃料供給流路52の一部である。燃料改質部62には、燃料改質触媒が配置される。燃料改質部62に供給される燃料は、燃焼室からの熱および燃料改質触媒との相互作用によって、より炭素数の少ない低炭素数の燃料(改質燃料)に改質される。改質された燃料(改質燃料)は、前方側燃料噴射口22および後方側燃料噴射口24から燃焼室Ch内に噴射される。
【0029】
なお、
図1Aおよび
図1Bにおいて、入口66は、燃料改質部62の入口である。また、出口68は、燃料改質部62の出口である。また、
図1Bにおいて、ハッチングされている部分は、燃料供給流路52の壁部53を示す。
【0030】
図1Aおよび
図1Bに記載の例において、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の改質の程度(改質率)と、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の改質の程度(改質率)とは、互いに等しい。
【0031】
ところで、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料への着火は、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料への着火と比較して、着火がより難しいことが発明者に知られている。また、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の燃焼によって生成される炎の保炎は、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の燃焼によって生成される炎の保炎と比較して、保炎がより難しいことが発明者に知られている。
【0032】
そこで、発明者は、燃料への着火の容易性、および、燃料の燃焼によって生成される炎の保炎の容易性の観点から、前方側燃料噴射口から噴射される燃料の改質率を、後方側燃料噴射口から噴射される燃料の改質率よりも高くすることを考えた。改質率の高い燃料は、改質率の低い燃料と比較して、着火が容易である。また、改質率の高い燃料の燃焼により生成される炎は、改質率の低い燃料の燃焼により生成される炎と比較して、保炎が容易である。
【0033】
このため、前方側燃料噴射口から噴射される燃料の改質率を、後方側燃料噴射口から噴射される燃料の改質率よりも高くすることによって、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の着火をより容易にし、かつ、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の燃料により生成される炎の保炎をより容易にすることが可能である。
【0034】
(ジェットエンジンの構成概要)
図2Aは、実施形態に係るジェットエンジン2の構成の一例を模式的に示す概略断面図である。
図2Bは、
図2AのB−B矢視断面図である。なお、
図2Aおよび
図2Bにおいて、
図1Aおよび
図1Bに記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。同一の図番が付されている部材について、繰り返しの説明は省略される。
【0035】
ジェットエンジン2は、インレット11と、燃焼器12と、ノズル13とを備える。燃焼器12は、インレットから取り込まれた空気を用いて燃料を燃焼する。燃焼器12は、燃料の燃焼によって、燃焼ガスを生成する。ノズル13は、後方方向に向けて、燃焼ガスを放出する。ジェットエンジン2は、ラムジェットエンジンまたはスクラムジェットエンジンであってもよい。
【0036】
燃焼器12は、燃焼室Chと、少なくとも1つの前方側燃料噴射口22(前方側燃料噴射器)と、少なくとも1つの後方側燃料噴射口24(後方側燃料噴射器)とを備える。後方側燃料噴射口24は、前方側燃料噴射口22よりも後方側に配置される。
【0037】
前方側燃料噴射口22は、燃焼器12の壁に設けられる。前方側燃料噴射口22は、燃焼室Chに燃料を噴射する。後方側燃料噴射口24は、燃焼器12の壁に設けられる。後方側燃料噴射口24は、燃焼室Chに燃料を噴射する。
【0038】
ジェットエンジン2は、燃料供給機構50を備える。燃料供給機構50は、燃料タンク51と、燃料供給流路52とを備える。なお、燃料供給流路52に沿って記載された矢印は、燃料の流れ方向を示す。
【0039】
燃料供給流路52は、燃料タンク51と前方側燃料噴射口22とを流体接続する第1流路52Aと、燃料タンク51と後方側燃料噴射口24とを流体接続する第2流路52Bとを備える。
【0040】
第1流路52Aには、第1の燃料供給ポンプ59Aが配置されてもよい。第1の燃料供給ポンプ59Aは、燃料タンク51から、前方側燃料噴射口22に向けて、燃料を供給する(圧送する)。第2流路52Bには、第2の燃料供給ポンプ59Bが配置されてもよい。第2の燃料供給ポンプ59Bは、燃料タンク51から、後方側燃料噴射口24に向けて、燃料を供給する(圧送する)。
【0041】
第1流路52Aは、第1の燃料改質部62Aを備える。換言すれば、第1の燃料改質部62Aは、第1流路52Aの一部である。第1の燃料改質部62Aは、燃料タンク51から供給される液体燃料(例えば、高炭素数の炭化水素を主成分として含む液体燃料)を熱分解して、改質燃料(例えば、低炭素数の炭化水素を主成分として含む気体の改質燃料)を生成する。熱分解において必要とされる熱は、熱源から供給される。熱源は、例えば、燃焼室、あるいは、ヒーター等である。
【0042】
第1の燃料改質部62Aには、燃料改質触媒が配置される。燃料改質触媒は、例えば、高炭素数の液体燃料を熱分解して低炭素数の改質燃料を生成する反応を促進する触媒である。
【0043】
第1の燃料改質部62Aによって改質された燃料(改質燃料)は、前方側燃料噴射口22に供給される。第1の燃料改質部62Aによって改質された燃料(改質燃料)は、前方側燃料噴射口22から、燃焼室Chに噴射される。
【0044】
なお、
図2Aおよび
図2Bにおいて、入口66Aは、第1の燃料改質部62Aの入口である。また、出口68Aは、第1の燃料改質部62Aの出口である。また、
図2Bにおいて、ハッチングされている部分は、燃料供給流路52の壁部53を示す。
【0045】
図2Aに記載の例では、後方側燃料噴射口24に燃料を供給する第2流路52Bには、燃料改質部が設けられていない。燃料タンク51から第2流路52Bを介して供給される燃料は、後方側燃料噴射口24から燃焼室Chに噴射される。
【0046】
図2Aおよび
図2Bに記載の例において、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料は、第1の燃料改質部62Aによって改質された燃料である。このため、前方側燃料噴射口から噴射される燃料の改質の程度(改質率)は、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の改質の程度(改質率)よりも大きい。換言すれば、
図2Aおよび
図2Bに記載の例において、燃料供給機構50は、前方側燃料噴射口22に、後方側燃料噴射口24に供給される燃料の改質率よりも高い改質率の燃料を供給する。
【0047】
図2Aおよび
図2Bに記載の例では、燃料改質部として利用可能な領域(燃焼室に隣接する領域)を、集中的に、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の改質のために使用している。このため、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料、および、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の両者を改質する場合と比較して、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の改質率を向上させることが可能である。
【0048】
図2Aおよび
図2Bに記載の例では、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の改質率を、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の改質率よりも高くすることによって、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の着火をより容易にし、かつ、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の燃料により生成される炎の保炎をより容易にすることが可能である。
【0049】
(ジェットエンジンの第1変形例)
図2Cは、ジェットエンジン2の変形例を示す。
図2Cは、実施形態に係るジェットエンジン2の構成の一例を模式的に示す概略断面図である。
図2Cに記載の例は、燃料供給流路52が共通流路52Cを備える点、および、燃料供給ポンプ59が共通流路52Cに配置される点で、
図2Aおよび
図2Bに記載の例とは異なる。
図2Cに記載の例は、その他の点では、
図2Aおよび
図2Bに記載の例と同様である。なお、
図2Cにおいて、
図1A乃至
図2Bに記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。同一の図番が付されている部材について、繰り返しの説明は省略される。
【0050】
共通流路52Cは、前方側燃料噴射口22に燃料を供給する第1流路52Aの一部を構成するとともに、後方側燃料噴射口24に燃料を供給する第2流路52Bの一部を構成する。
図2Cに記載の例は、
図2Aおよび
図2Bに記載の例と同様の効果を奏する。
【0051】
(ジェットエンジンの第2変形例)
図3Aおよび
図3Bは、ジェットエンジン2の変形例を示す。
図3Aは、実施形態に係るジェットエンジン2の構成の一例を模式的に示す概略断面図である。
図3Bは、
図3AのC−C矢視断面図である。
【0052】
図3Aおよび
図3Bに記載の例は、燃料供給流路52の構成が、
図2A乃至
図2Cに記載の例とは異なる。また、
図3Aおよび
図3Bに記載の例は、後方側燃料噴射口24に燃料を供給する第2流路52Bが、第2の燃料改質部62Bを備える点で、
図2A乃至
図2Cに記載の例とは異なる。
図3Aおよび
図3Bに記載の例は、その他の点では、
図2A乃至
図2Cに記載の例と同様である。なお、
図3Aおよび
図3Bにおいて、
図1A乃至
図2Cに記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。同一の図番が付されている部材について、繰り返しの説明は省略される。
【0053】
図3Aに記載の例では、燃料供給流路52は、燃料タンク51と前方側燃料噴射口22とを流体接続する第1流路52Aと、燃料タンク51と後方側燃料噴射口24とを流体接続する第2流路52Bとを備える。また、
図3Aに記載の例では、燃料供給流路52が共通流路52Cを備える。共通流路52Cは、燃料タンク51と入口66(燃料改質部の入口)との間に配置される流路を含む。共通流路52Cは、前方側燃料噴射口22に燃料を供給する第1流路52Aの一部を構成するとともに、後方側燃料噴射口24に燃料を供給する第2流路52Bの一部を構成する。
【0054】
共通流路52Cには、燃料供給ポンプ59が配置されてもよい。燃料供給ポンプ59は、前方側燃料噴射口22および後方側燃料噴射口24に向けて、燃料を供給する(圧送する)。
【0055】
図3Aおよび
図3Bに記載の例において、燃料供給機構50は、燃料改質部62を備える。燃料改質部62は、第1の燃料改質部62Aと、第2の燃料改質部62Bとを含む。
【0056】
第1の燃料改質部62Aは、前方側燃料噴射口22に燃料を供給する第1流路52Aの一部である。第1の燃料改質部62Aの機能は、
図2A乃至
図2Cに記載の第1の燃料改質部62Aの機能と同様である。
図3Bに記載の例では、第1の燃料改質部62Aは、燃料改質部62(第1の燃料改質部62A)の入口66と、第1の燃料改質部62Aの出口68Aとの間の流路である。
【0057】
第2の燃料改質部62Bは、後方側燃料噴射口24に燃料を供給する第2流路52Bの一部である。
図3Bに記載の例では、第2の燃料改質部62Bは、燃料改質部62(第2の燃料改質部62B)の入口66と、第2の燃料改質部62Bの出口68Bとの間の流路である。第2の燃料改質部62Bは、燃料タンク51から供給される液体燃料(例えば、高炭素数の炭化水素を主成分として含む液体燃料)を熱分解して、改質燃料(例えば、低炭素数の炭化水素を主成分として含む気体の改質燃料)を生成する。熱分解において必要とされる熱は、例えば、燃焼室Chから燃焼室の壁部を介して供給される。
【0058】
第2の燃料改質部62Bには、燃料改質触媒が配置される。燃料改質触媒は、例えば、高炭素数の液体燃料を熱分解して低炭素数の改質燃料を生成する反応を促進する触媒である。
【0059】
第2の燃料改質部62Bによって改質された燃料(改質燃料)は、後方側燃料噴射口24に供給される。第2の燃料改質部62Bによって改質された燃料(改質燃料)は、後方側燃料噴射口24から、燃焼室Chに噴射される。
【0060】
図3Bに記載の例において、第1の燃料改質部62Aと燃焼室Chの壁部との間の熱交換面積は、第2の燃料改質部62Bと燃焼室Chの壁部との間の熱交換面積よりも大きい。代替的にあるいは付加的に、単位時間当たりに第1の燃料改質部62Aに取り込まれる総入熱量は、単位時間当たりに第2の燃料改質部62Bに取り込まれる総入熱量よりも大きい。代替的にあるいは付加的に、燃料が入口66から第1の燃料改質部62Aの出口68Aを通過する時間は、燃料が入口66から第2の燃料改質部62Bの出口68Bを通過する時間よりも長い。代替的にあるいは付加的に、第1の燃料改質部62Aの出口68Aにおける燃料の温度は、第2の燃料改質部62Bの出口68Bにおける燃料の温度よりも高い。
【0061】
このため、前方側燃料噴射口から噴射される燃料の改質の程度(改質率)は、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の改質の程度(改質率)よりも大きい。換言すれば、
図3Aおよび
図3Bに記載の例において、燃料供給機構50は、前方側燃料噴射口22に、後方側燃料噴射口24に供給される燃料の改質率よりも高い改質率の燃料を供給する。
【0062】
図3Aおよび
図3Bに記載の例では、燃料改質部として利用可能な領域(燃焼室に隣接する領域)のうちの過半数を、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の改質のために使用している。このため、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料、および、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の両者を均等に改質する場合と比較して、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の改質率を向上させることが可能である。
【0063】
図3Aおよび
図3Bに記載の例では、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の改質率を、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の改質率よりも高くすることによって、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の着火をより容易にし、かつ、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の燃料により生成される炎の保炎をより容易にすることが可能である。
【0064】
(飛しょう体の構成概要)
実施形態に係る飛しょう体1の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る飛しょう体1の構成の一例を示す斜視図である。飛しょう体1は、実施形態に係るジェットエンジン2と、ロケットモータ3とを具備している。ロケットモータ3は、飛しょう体1を発射装置から飛行させるとき、飛しょう体1を飛しょう開始時の速度から所望の速度まで加速する。ただし、飛しょう開始時の速度は、飛しょう体1が静止している発射装置から発射されるときは、速度ゼロであり、飛しょう体が移動中(または飛行中)の移動体(または飛行体)の発射装置から発射されるときは、その移動体(または飛行体)の移動速度(または飛行速度)である。ジェットエンジン2は、飛しょう体1がロケットモータ3を分離した後、飛しょう体1を更に加速して、目標へ向かって飛しょうさせる。ジェットエンジン2は、機体10とカウル40とを備えている。機体10とカウル40とは、ジェットエンジン2のインレット、燃焼器及びノズルを構成している。ジェットエンジン2は、インレットにて前方から空気を取り入れ、燃焼器にてその空気と燃料とを混合し、燃焼させ、ノズルにてその燃焼ガスを膨張させ、後方へ送出する。それにより、ジェットエンジン2は推進力を得る。なお、ジェットエンジン2は、ラムジェットエンジンまたはスクラムジェットエンジンであってもよい。
【0065】
(ジェットエンジンのより詳細な説明)
次に、
図5A乃至
図5Dを参照して、実施形態に係るジェットエンジンについてより詳細に説明する。
図5A乃至
図5Dにおいて、
図1乃至
図4に記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。同一の図番が付されている部材について、繰り返しの説明は省略される。
【0066】
図5Aは、実施形態に係るジェットエンジンの構成の一例を模式的に示す概略断面図である。
図5Bは、
図5AのD−D矢視断面図である。
図5Cは、燃焼器の壁部の断面(燃焼器の長手方向に垂直な断面)を模式的に示す断面図である。
図5Dは、実施形態に係るジェットエンジンの構成の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【0067】
ジェットエンジン2は、インレット11と、燃焼器12と、ノズル13とを備える。燃焼器12は、インレットから取り込まれた空気を用いて燃料を燃焼する。燃焼器12は、燃料の燃焼によって、燃焼ガスを生成する。ノズル13は、後方方向に向けて、燃焼ガスを放出する。
【0068】
ジェットエンジン2は、例えば、機体10と、機体10の下方に気体の流通可能な空間Sを形成するように設けられたカウル40とを備えている。機体10の前方の下方部分とカウル40の前方部分とは、空間Sへ空気を導入するインレット11を構成している。機体10の中間の下方部分とカウル40の中間部分とは、燃料と空気とを混合し燃焼させる燃焼器12を構成している。機体10の後方の下方部分とカウル40の後方部分とは、燃焼気体を膨張させて放出するノズル13を構成している。
【0069】
代替的に、例えば、筒状部材によってジェットエンジン2を構成し、当該筒状部材(ジェットエンジン2)が機体10の下部に取り付けられてもよい。この場合、筒状部材の前方部分がインレット11を構成し、筒状部材の中間部分が燃焼器12を構成し、筒状部材の後方部分がノズル13を構成する。
【0070】
(燃焼器)
燃焼器12は、燃焼室Chと、少なくとも1つの前方側燃料噴射口22と、少なくとも1つの後方側燃料噴射口24とを備える。燃焼器12は、少なくとも1つの燃料点火器を備えていてもよい。
図5Aに記載の例では、燃焼器12は、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料を点火する前方側燃料点火器28Aと、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料を点火する後方側燃料点火器28Bとを備える。また、燃焼器12は、少なくとも1つの保炎器を備えていてもよい。
図5Aに記載の例では、燃焼器12は、前方側保炎器26を備える。
【0071】
(前方側燃料噴射口)
前方側燃料噴射口22は、燃焼器12の壁に設けられている。前方側燃料噴射口22は、燃焼室Chに燃料を噴射する。
図5Bに記載の例では、前方側燃料噴射口22の数は3個である。また、複数の前方側燃料噴射口は、燃焼器の長手方向に垂直な断面内に配置されている。しかし、前方側燃料噴射口の数および配置は、
図5Bに記載の例に限定されず、任意である。
【0072】
(燃料点火器)
燃料点火器(28A、28B)としては、任意の点火器を採用可能である。燃料点火器は、例えば、電気スパークによって、燃料を点火する点火器であってもよい。代替的に、燃料点火器は、自動発火性の燃料(例えば、水素)を燃焼室Ch内に噴射することによって、燃料を点火する点火器であってもよい。
【0073】
(前方側保炎器)
前方側保炎器26は、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の燃焼によって生成される炎を保炎する保炎器である。保炎器は、燃焼器12の壁面に設けられている。前方側保炎器26には、主流空気と前方側燃料噴射口22から噴射される燃料との混合気体が供給される。混合気体は、前方側保炎器26内においては、低速で移動する。前方側保炎器26は、前方側燃料噴射口22から噴射される燃料の燃焼に用いる炎を維持する。前方側保炎器26は、例えば、燃焼器12の壁面に設けられた凹部である。前方側保炎器26は、例えば、前方側燃料噴射口22の後方側に配置される。代替的に、前方側保炎器26が設けられる位置は、前方側燃料噴射口22が設けられる位置と重なっていてもよい(例えば、前方側保炎器26の壁部に前方側燃料噴射口22が設けられてもよい)。
【0074】
(後方側燃料噴射口)
後方側燃料噴射口24は、燃焼器12の壁に設けられている。後方側燃料噴射口24は、燃焼室Chに燃料を噴射する。
図5Bに記載の例では、後方側燃料噴射口24の数は3個である。また、複数の後方側燃料噴射口は、燃焼器の長手方向に垂直な断面内に配置されている。しかし、後方側燃料噴射口の数および配置は、
図5Bに記載の例に限定されず、任意である。燃焼器12には、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の燃料により生成される炎を保炎する後方側保炎器が設けられてもよい。
【0075】
なお、
図5Aに記載の例において、後方側燃料噴射口24および前方側燃料噴射口22は、1つのジェットエンジンの燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射口である。また、後方側燃料噴射口24および前方側燃料噴射口22は、1つの燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射口である。
【0076】
(燃料供給機構)
ジェットエンジン2は、燃料供給機構50を備える。燃料供給機構50は、燃料タンク51と、燃料供給流路52と、燃料供給ポンプ59Cと、タービン80とを備える。
【0077】
(燃料供給機構の燃料タンク)
燃料タンク51は、炭化水素燃料を貯蔵する。炭化水素燃料は、例えば、液体の炭化水素燃料を含む。液体の炭化水素燃料は、例えば、JetA−1燃料のようなジェット燃料、炭素数10以上15以下のケロシン、ドデセン、または、これらの組み合わせを含む燃料である。燃料タンク51の個数、大きさまたは形状は、任意である。
【0078】
(燃料供給機構の燃料供給流路)
燃料供給流路52は、燃料タンク51と前方側燃料噴射口22とを流体接続する第1流路52Aと、燃料タンク51と後方側燃料噴射口24とを流体接続する第2流路52Bとを備える。また、燃料供給流路52は、第1流路52Aであるとともに第2流路52Bである共通流路52Cを備えていてもよい。
図5Aに記載の例では、燃料タンク51と入口66(燃料改質部の入口)との間に配置される流路は、共通流路52Cである。
【0079】
(燃料供給ポンプ59C)
燃料供給ポンプ59Cは、燃料供給流路52(より具体的には、共通流路52C)に配置される。燃料供給ポンプ59Cには、燃料タンク51から燃料が供給される。燃料供給ポンプ59Cは、燃料供給流路52の下流側に向けて、燃料を圧送する。燃料供給ポンプ59Cは、電動モータ等の駆動源によって駆動されてもよい。燃料供給ポンプ59Cに供給される過剰な燃料は、リターン流路70を介して、燃料タンク51に戻されてもよい。燃料供給ポンプ59Cの駆動軸は、動力伝達機構72を介して、後述のタービン80の出力軸に接続されていてもよい。
【0080】
(タービン)
タービン80は、燃料供給流路52に配置される。タービン80が配置される位置は、燃料供給ポンプ59Cが配置される位置よりも、燃料供給流路52の下流側である。より具体的には、燃料供給ポンプ59Cは、燃料改質部62(より具体的には、第1の燃料改質部62A)よりも上流側に配置され、タービン80は、燃料改質部62(より具体的には、第1の燃料改質部62A)よりも下流側に配置される。
【0081】
タービン80は、燃料供給ポンプ59Cによって圧送される燃料によって回転駆動される。タービン80の出力軸は、動力伝達機構72を介して、燃料供給ポンプ59Cを駆動させる駆動軸に接続される。タービン80が回転駆動された後、燃料供給ポンプ59Cは、タービン80から伝達される駆動力のみによって、駆動されるようにしてもよい。なお、
図5Aに記載の例では、タービン80は、第1流路52Aの第1の燃料改質部62Aよりも下流側の部分に配置される。第1流路52Aの第1の燃料改質部62Aよりも下流側の部分には、改質率の高い燃料が供給される。このため、当該部分は、タービンが配置される場所として、好適である。代替的に、タービン80は、第2流路52Bの第2の燃料改質部62Bよりも下流側の部分に配置されてもよい。
【0082】
図5Aに記載の例では、燃料供給ポンプ59Cの駆動源として、タービンを用いている。このため、燃料供給ポンプ59Cの駆動に必要な電力量が低減される。
【0083】
(燃料改質部)
燃料供給機構50は、燃料改質部62を備える。燃料改質部62は、燃料タンク51から供給される液体燃料(例えば、JetA−1燃料のようなジェット燃料、炭素数10以上15以下のケロシン、ドデセン、または、これらの組み合わせを含む液体燃料)を熱分解して、低炭素数の炭化水素を主成分として含む気体の改質燃料(例えば、水素、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、または、これらの組み合わせを含む改質燃料)を生成する。熱分解において必要とされる熱は、例えば、燃焼室Chから燃焼室の壁部を介して供給される。なお、上記熱分解は、吸熱反応である。このため、燃料改質部62が、燃焼室Chの壁に接触している場合には、吸熱反応によって、燃焼室の壁が効果的に冷却される。
【0084】
燃料改質部62には、燃料改質触媒が配置される。燃料改質触媒は、例えば、高炭素数の液体燃料を熱分解して低炭素数の改質燃料を生成する反応を促進する触媒である。
【0085】
燃料改質部62は、例えば、燃焼室の壁面に沿って配置される。燃料改質部62と燃焼室の壁面との間の距離は、例えば、1mm以上10mm以下である。
【0086】
燃料改質部62は、燃料供給流路52の一部分である。燃料供給流路52の一部分を構成する燃料改質部62は、例えば、燃焼室Chの壁部に形成された燃料供給流路用の溝である。
図5Cは、燃焼室Chの壁部53の断面(燃焼器の長手方向に垂直な断面)の一例である。
図5Cに記載の例では、複数の流路用の溝によって構成される燃料供給流路52が、燃焼室Chを囲むように配置されている。代替的に、複数の流路用の溝は、燃焼室Chの壁部の一部のみ(例えば、燃焼室の機体10側の壁部のみ)に配置されてもよい。なお、流路用の溝の全てが、燃料改質部62を構成していてもよい。代替的に、流路用の溝の一部のみが、燃料改質部62を構成していてもよい。
【0087】
燃料改質部62は、第1の燃料改質部62Aと、第2の燃料改質部62Bとを含む。
【0088】
第1の燃料改質部62Aは、前方側燃料噴射口22に燃料を供給する第1流路52Aの一部である。第1の燃料改質部62Aの機能は、
図2Aおよび
図2B、
図3Aおよび
図3Bに記載の第1の燃料改質部62Aの機能と同様である。
図5Bに記載の例では、第1の燃料改質部62Aは、燃料改質部62(第1の燃料改質部62A)の入口66と、第1の燃料改質部62Aの出口68Aとの間の流路である。
【0089】
第1の燃料改質部62Aによって改質された燃料(改質燃料)は、前方側燃料噴射口22に供給される。
図5Bに記載の例では、第1の燃料改質部62Aによって改質された燃料(改質燃料)は、燃料改質部62の2つの隣接する燃料供給流路間に配置される壁部53に設けられる貫通孔を介して、前方側燃料噴射口22に供給される。
【0090】
第2の燃料改質部62Bは、後方側燃料噴射口24に燃料を供給する第2流路52Bの一部である。第2の燃料改質部62Bの機能は、
図3Aおよび
図3Bに記載の第2の燃料改質部62Bの機能と同様である。
図5Bに記載の例では、第2の燃料改質部62Bは、燃料改質部62(第2の燃料改質部62B)の入口66と、第2の燃料改質部62Bの出口68Bとの間の流路である。
【0091】
第2の燃料改質部62Bによって改質された燃料(改質燃料)は、後方側燃料噴射口24に供給される。
図5Bに記載の例では、第2の燃料改質部62Bによって改質された燃料(改質燃料)は、燃料改質部62の2つの隣接する燃料供給流路間に配置される壁部53に設けられる貫通孔を介して、後方側燃料噴射口24に供給される。
【0092】
図5Bに記載の例において、第1の燃料改質部62Aと燃焼室Chの壁部との間の熱交換面積は、第2の燃料改質部62Bと燃焼室Chの壁部との間の熱交換面積よりも大きい。なお、第1の燃料改質部62Aと燃焼室Chの壁部との間の熱交換面積は、例えば、第1の燃料改質部62Aを構成する流路(換言すれば、入口66と出口68Aとの間の流路)と、当該流路を囲む壁部53との境界面の総面積を意味する。また、第2の燃料改質部62Bと燃焼室Chの壁部との間の熱交換面積は、例えば、第2の燃料改質部62Bを構成する流路(換言すれば、入口66と出口68Bとの間の流路)と、当該流路を囲む壁部53との境界面の総面積を意味する。
【0093】
図5Bに記載の例において、第1の燃料改質部62Aと燃焼室Chの壁部との間の熱交換面積は、第2の燃料改質部62Bと燃焼室Chの壁部との間の熱交換面積よりも大きい。このため、前方側燃料噴射口から噴射される燃料の改質の程度(改質率)は、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の改質の程度(改質率)よりも大きい。なお、炭素数に対する水素数の比が大きな燃料ほど、燃料の改質率が高い(改質率が大きい)燃料であると定義されてもよい。あるいは、燃料全体に占める炭素数3以下の燃料の割合(重量%)が大きな燃料ほど、燃料の改質率が高い(改質率が大きい)燃料であると定義されてもよい。あるいは、燃料の平均分子量が小さいほど、燃料の改質率が高い(改質率が大きい)燃料であると定義されてもよい。
【0095】
なお、
図5Bに記載の例のように、燃料改質部62は、前方側領域63と、後方側領域65とを備えていてもよい。前方側領域63は、第1の燃料改質部62Aと、第2の燃料改質部62Bとを備える。他方、後方側領域65は、第1の燃料改質部62Aのみを備え、第2の燃料改質部62Bを備えない。
【0096】
代替的に、前方側領域63が、第1の燃料改質部62Aのみを備え、後方側領域65が、第1の燃料改質部62Aおよび第2の燃料改質部62Bを備えるようにしてもよい。
【0097】
図5Bに記載の例のように、燃料改質部62が、前方側領域63と後方側領域65との間に、流路分岐領域64を備えるようにしてもよい。流路分岐領域64によって、流路分岐領域の下流側の第1流路52Aの本数(
図5Bに記載の例では、10本)を、流路分岐領域の上流側の第1流路52Aの本数(
図5Bに記載の例では、4本)よりも多くすることが可能である。
【0098】
(ジェットエンジンの第3変形例)
図6A乃至
図6Cは、ジェットエンジン2の変形例を示す。
図6Aは、実施形態に係るジェットエンジンの構成の一例を模式的に示す概略断面図である。
図6Bは、
図6AのE−E矢視断面図である。
図6Cは、実施形態に係るジェットエンジンの構成の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【0099】
図6A乃至
図6Cに記載の例は、後方側燃料噴射口24に燃料を供給する第2流路52Bに流量調整弁90が配置される点で、
図5A乃至
図5Dに記載の例とは異なる。また、
図6A乃至
図6Cに記載の例は、燃料改質部の構成が、
図5A乃至
図5Dに記載の例とは異なる。
図6A乃至
図6Cに記載の例は、その他の点では、
図5A乃至
図5Dに記載の例と同様である。なお、
図6A乃至
図6Cにおいて、
図1乃至
図5Dに記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。同一の図番が付されている部材について、繰り返しの説明は省略される。
【0100】
(流量調整弁)
図6A乃至
図6Cに記載の例において、流量調整弁90は、燃料改質部62(より具体的には、後述の共通燃料改質部62C)よりも下流側に配置される。流量調整弁90は、燃料改質部62(より具体的には、後述の共通燃料改質部62C)から後方側燃料噴射口24に供給される燃料の量を調整する。
【0101】
(燃料改質部)
図6Bに記載の例において、燃料改質部62は、共通燃料改質部62Cを備える。共通燃料改質部62Cは、第1の燃料改質部62Aの少なくとも一部を構成するとともに、第2の燃料改質部62Bの少なくとも一部を構成する。換言すれば、共通燃料改質部62Cで改質された燃料の一部を、前方側燃料噴射口22から噴射するとともに、共通燃料改質部62Cで改質された燃料の他の一部を、後方側燃料噴射口24から噴射することが可能である。
【0102】
共通燃料改質部62Cは、燃料改質部62の上流側領域に配置される。共通燃料改質部62Cの下流側には、第1の燃料改質部62Aが配置される。換言すれば、第1の燃料改質部62Aは、燃料改質部62の下流側領域に配置される。
【0103】
図6Bに記載の例において、入口66(燃料改質部の入口)と、出口68B(共通燃料改質部62Cの出口)との間の流路は、共通流路52Cである。共通流路52Cは、前方側燃料噴射口22に燃料を供給する第1流路52Aの一部であるとともに、後方側燃料噴射口24に燃料を供給する第2流路52Bの一部である。
【0104】
第2流路52Bにおいて、共通燃料改質部62Cよりも下流側の部分に配置される流量調整弁90を閉鎖状態にする時、共通燃料改質部62Cで改質された燃料は、全て、第1の燃料改質部の出口68Aを介して、前方側燃料噴射口22に供給される。流量調整弁90を開放状態にする時、共通燃料改質部62Cで改質された燃料の一部は、出口68Bを介して後方側燃料噴射口24に供給され、共通燃料改質部62Cで改質された燃料の残部は、出口68Aを介して前方側燃料噴射口22に供給される。
【0105】
図6A乃至
図6Cに記載の例では、
図5A乃至
図5Dに記載の例が奏する効果に加えて、次の効果を奏する。すなわち、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の流量が少ない場合においても(典型的には、後方側燃料噴射口24から噴射される燃料の流量がゼロである場合においても)、出口68Bの上流側に位置する燃料改質部(換言すれば、共通燃料改質部62C)の全てを利用することができる。このため、燃料改質の観点、および、燃焼室Chの壁部の冷却の観点から、好適である。
【0106】
図6A乃至
図6Cに記載のジェットエンジン2では、タービン80によって得られる出力を用いて、燃料供給ポンプ59Cを作動させる。このような場合、燃料供給ポンプ59Cで必要な駆動力に対して、タービンで得られる出力が過剰となる場合がある。
図6A乃至
図6Cに記載の例では、例えば、流量調整弁90の開度を調整することにより、タービンに供給される燃料の流量を調整することが可能である。このため、タービンで得られる出力が過剰となる現象を抑制することが可能である。
【0107】
なお、
図6Dに示されるように、燃料供給ポンプ59Cから燃料タンク51に燃料を戻すリターン流路70を省略しても良い。その結果、燃料供給ポンプ59Cの周囲の構造を簡素化することが可能である。
【0108】
なお、
図6Eに示されるように、タービン80の上流側に配置される流量調整弁92によって、タービンに供給される燃料の流量を調整してもよい。流量調整弁92を配置する場合、出口68A(第1の燃料改質部62Aの出口)と、前方側燃料噴射口22との間に、タービン80を通過しないバイパス流路52Dを配置してもよい。
【0109】
図2A乃至
図6Eに記載の例では、前方側燃料噴射口から噴射される燃料の改質率を向上させることが可能である。燃料の改質率が向上することにより、ジェットエンジンにおける燃料の着火性能が向上する。また、燃料の改質率が向上することにより、燃焼室における炎の保炎性能が向上する。着火性能および保炎性能の向上により、ジェットエンジンの作動範囲が拡大する。ジェットエンジンの作動範囲が拡大することにより、例えば、ロケットモータを小型化することが可能である。その結果、飛しょう体を小型化あるいは高性能化することが可能である。
【0110】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は変形例にも適用可能である。