(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態に係るジェットエンジン、および、ジェットエンジンの動作方法に関して、添付図面を参照して説明する。ここでは、ジェットエンジンを飛しょう体に適用した例について説明する。
【0023】
(用語の定義)
図1を参照して、用語の定義を行う。
図1は、ジェットエンジン2を模式的に示す概略断面図である。ジェットエンジン2は、インレット11と、燃焼器12と、ノズル13とを備える。燃焼器12は、燃焼室Chと、複数の燃料噴射器20を備える。
図1には、ジェットエンジンの作動時における主流空気の流れMA(換言すれば、インレットからジェットエンジンに取り込まれる空気の流れ)が記載されている。
【0024】
主流空気の流れMAに対して上流側、すなわち、ジェットエンジンのインレット側を「上流側」または「前方側」と定義する。また、主流空気の流れに対して下流側、すなわち、ジェットエンジンのノズル側を「下流側」または「後方側」と定義する。また、上流側から下流側に向かう方向を、「下流方向」または「後方方向」と定義し、下流側から上流側に向かう方向を、「上流方向」または「前方方向」と定義する。
【0025】
ジェットエンジンの燃焼室Chの上流側端面S1の面積中心C1から、ジェットエンジンの燃焼室Chの下流側端面S2の面積中心C2に向かう方向を、「燃焼室の長手方向LD」と定義する。例えば、燃焼室Chの形状が、燃焼室Chの長手方向中心軸に対して軸対称である場合、「燃焼室の長手方向LD」は、「下流方向」と一致する。
【0026】
燃焼室の長手方向LDを「X方向」と定義する。鉛直上方に向かう方向を、「Z方向」と定義する。「X方向」および「Z方向」に垂直な方向を、「Y方向」と定義する。
【0027】
燃焼室Chの上流側端面S1は、例えば、インレットと燃焼室との境界面である。インレット11と燃焼室Chとの境界面が不明である時、燃焼室の上流側端面S1は、最も上流側に位置する燃料噴射口から所定距離(例えば、0.1m)上流側に位置する点をとおり、主流空気の流れMAに対して垂直な面と定義されてもよい。
【0028】
燃焼室Chの下流側端面S2は、例えば、燃焼室Chとノズル13との境界面である。燃焼室Chとノズル13との境界面が不明である時、燃焼室Chの下流側端面S2は、最も下流側に位置する燃料噴射口から所定距離(例えば、0.5m)下流側に位置する点をとおり、主流空気の流れMAに対して垂直な面と定義されてもよい。
【0029】
(発明者によって認識された事項)
図2乃至
図4を参照して、発明者によって認識された事項について説明する。
図2乃至
図4は、ジェットエンジン2を模式的に示す概略断面図である。
図2乃至
図4において、
図1に記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。なお、
図2乃至
図4は、発明者によって認識された事項について説明するために便宜的に使用される図である。よって、
図2乃至
図4は、公知技術を示すものではない。
【0030】
図2に記載の例において、燃焼器12は、燃料噴射器20を備える。燃料噴射器20からは、燃料Gが噴射される。燃料Gは、空気と混合される。燃料と空気の混合ガスを燃焼することにより、炎Fが形成される。ジェットエンジン2の推力を増加させるために、燃料Gの噴射量を多くすることを想定する。燃料Gの噴射量が多くなることに伴い、燃料Gと空気との混合が不十分となる可能性がある。また、燃料Gの噴射量が多くなることに伴い、燃料Gの燃焼圧が上昇し、熱閉塞現象(燃料の燃焼に伴って、主流空気の流路が仮想的に狭くなってしまう現象)が生じるおそれがある。
【0031】
熱閉塞現象の発生を抑制するために、燃料噴射器20として、上流側燃料噴射器および下流側燃料噴射器を設ける場合がある。上流側燃料噴射器および下流側燃料噴射器を設けることによって、各燃料噴射器から噴射される燃料の噴射量を低減することが可能となる。その結果、各燃料噴射器から噴射される燃料と、空気との混合が促進される。また、各燃料噴射器から噴射される燃料の燃焼に起因する熱閉塞現象の発生が抑制される。
【0032】
図3および
図4は、上流側燃料噴射器および下流側燃料噴射器を備えるジェットエンジンを模式的に示す。
【0033】
図3に記載の例において、燃焼器12は、上流側燃料噴射器20Aおよび下流側燃料噴射器20Bを備える。上流側燃料噴射器20Aからは、上流側燃料GAが噴射され、下流側燃料噴射器20Bからは、下流側燃料GBが噴射される。下流側燃料噴射器20Bは、上流側燃料噴射器20Aと、同じ側(例えば、機体10側)に設けられている。このため、上流側燃料GAの燃焼によって生成される炎を用いて、下流側燃料GBを着火することが、相対的に容易である。
【0034】
ところで、
図3に記載の例において、上流側燃料噴射器20Aおよび下流側燃料噴射器20Bは、燃焼器12の一方側の壁面(例えば、機体10側の壁面)に設けられている。このため、燃焼室Chを流れる空気のうち、燃焼室の他方側の壁面(例えば、カウル40側の壁面)の近傍を流れる空気は、相対的に燃料の燃焼に利用され難い。換言すれば、下流側燃料GBと空気との混合が促進されにくい。このため、
図3に記載の例では、燃料の燃焼効率が相対的に低い。
【0035】
次に、
図4に記載の例について説明する。
図4に記載の例において、燃焼器12は、上流側燃料噴射器20Aおよび下流側燃料噴射器20Cを備える。上流側燃料噴射器20Aからは、上流側燃料GAが噴射され、下流側燃料噴射器20Cからは、下流側燃料GCが噴射される。下流側燃料噴射器20Cは、上流側燃料噴射器20Aと、異なる側(例えば、カウル40側)に設けられている。このため、燃焼室Chを流れる空気のうち、燃焼室の一方側の壁面(例えば、機体10側の壁面)の近傍を流れる空気、および、燃焼室の他方側の壁面(例えば、カウル40側の壁面)の近傍を流れる空気は、燃料の燃焼に利用され易い。換言すれば、下流側燃料GCと空気との混合が促進される。このため、
図4に記載の例では、燃料の燃焼効率が相対的に高い。
【0036】
ところで、
図4に記載の例において、下流側燃料噴射器20Cは、上流側燃料噴射器20Aが設けられている壁面(例えば、機体10側の壁面)とは異なる壁面(例えば、カウル40側の壁面)に設けられている。このため、上流側燃料GAの燃焼によって生成される炎を用いて、下流側燃料GCを着火することが、相対的に難しい。
【0037】
発明者は、第1の下流側燃料噴射器20Bと第2の下流側燃料噴射器20Cとを設けることにより、下流側の燃料噴射器から噴射される燃料の燃焼がより確実に実行されるとともに、燃料の燃焼効率を向上させることが可能であることを見出した。
【0038】
(ジェットエンジンの構成概要)
図5は、実施形態に係るジェットエンジン2の構成の一例を模式的に示す概略断面図である。
図5において、
図1乃至
図4に記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。
【0039】
ジェットエンジン2は、インレット11と、燃焼器12と、ノズル13と、燃料噴射制御器90とを備える。燃焼器12は、インレットから取り込まれた空気を用いて燃料を燃焼する。燃焼器12は、燃料の燃焼によって、燃焼ガスを生成する。ノズル13は、後方方向に向けて、燃焼ガスを放出する。燃料噴射制御器90は、複数の燃料噴射器のそれぞれを作動状態または非作動状態に制御する。燃料噴射制御器90は、複数の燃料噴射器のそれぞれから噴射される燃料の流量を制御してもよい。
【0040】
燃焼器12は、燃焼室Chと、複数の燃料噴射器20(例えば、上流側燃料噴射器20A、第1の下流側燃料噴射器20B、第2の下流側燃料噴射器20C)とを備える。
【0041】
上流側燃料噴射器20A(上流側燃料噴射口)は、燃焼器12の壁に設けられている。上流側燃料噴射器20Aは、燃焼室Chに燃料を噴射する。上流側燃料噴射器20Aは、燃料噴射制御器90と、情報伝達可能に構成されている。上流側燃料噴射器20Aは、例えば、制御線95Aを介して、燃料噴射制御器90と情報伝達可能に構成されている。
【0042】
第1の下流側燃料噴射器20B(第1の下流側燃料噴射口)は、燃焼器12の壁に設けられている。第1の下流側燃料噴射器20Bは、燃焼室Chに燃料を噴射する。第1の下流側燃料噴射器20Bは、上流側燃料噴射器20Aの下流側に配置される。第1の下流側燃料噴射器20Bは、燃料噴射制御器90と、情報伝達可能に構成されている。第1の下流側燃料噴射器20Bは、例えば、制御線95Bを介して、燃料噴射制御器90と情報伝達可能に構成されている。
【0043】
第2の下流側燃料噴射器20C(第2の下流側燃料噴射口)は、燃焼器12の壁に設けられている。第2の下流側燃料噴射器20Cは、燃焼室Chに燃料を噴射する。第2の下流側燃料噴射器20Cは、上流側燃料噴射器20Aの下流側に配置される。第2の下流側燃料噴射器20Cは、燃料噴射制御器90と、情報伝達可能に構成されている。第2の下流側燃料噴射器20Cは、例えば、制御線95Cを介して、燃料噴射制御器90と情報伝達可能に構成されている。
【0044】
なお、燃料噴射制御器90と、各燃料噴射器とが、無線によって情報伝達可能に構成されている場合には、制御線95A乃至95Cは、省略される。
【0045】
図5には、第1直線L1が記載されている。第1直線L1は、上流側燃料噴射器20A(例えば、上流側燃料噴射器20Aの燃料噴射口のうちの1つ)をとおり、燃焼室の長手方向LD(あるいは、X方向)に平行な直線である。第1の下流側燃料噴射器20Bと第1直線L1との距離は、第2の下流側燃料噴射器20Cと第1直線L1との距離より小さい。
図5に記載の例では、第1の下流側燃料噴射器20Bと第1直線L1との距離は、ゼロである。
図5に記載の例では、第2の下流側燃料噴射器20Cと第1直線L1との距離は、燃焼室Chの高さ(燃焼室ChのZ方向の高さ)である。
【0046】
(第1動作モード)
図6Aおよび
図6Bを参照して、第1動作モードについて説明する。
図6Aおよび
図6Bは、実施形態に係るジェットエンジン2の構成の一例を模式的に示す概略断面図である。なお、
図6Aおよび
図6Bにおいて、制御線95Cは、図面の複雑化を避けるために、記載が省略されている。
【0047】
上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAの量が相対的に少ない場合を想定する。この場合、上流側燃料GAの燃焼領域は相対的に小さく、上流側燃料GAの燃焼により生成される炎FAは相対的に小さくなる。上流側燃料GAの燃焼領域が小さい場合、炎FAを用いて、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される下流側燃料を着火することができない。他方、第1の下流側燃料噴射器20Bは、炎FAの近傍に配置されているため、炎FAを用いて、第1の下流側燃料噴射器20Bから噴射される下流側燃料GBを着火することが可能である。
【0048】
図6Bは、第1動作モードを実行中の状態を示す。第1動作モードでは、上流側燃料噴射器20Aから上流側燃料GAが噴射され、第1の下流側燃料噴射器20Bから下流側燃料GBが噴射される。第1動作モードは、上流側燃料GAの着火と同時に実行開始されてもよい。代替的に、第1動作モードは、上流側燃料GAの着火の前に実行開始されてもよい。代替的に、第1動作モードは、上流側燃料GAの着火の後に実行開始されてもよい。
【0049】
第1動作モードでは、上流側燃料GAの燃焼に伴い生成される炎FAを用いて、下流側燃料GBの着火(点火)が行われる。第1動作モードでは、上流側燃料GAの燃焼領域が相対的に小さいにもかかわらず、下流側の燃料噴射器(第1の下流側燃料噴射器)から噴射される燃料の燃焼がより確実に実行される。
【0050】
なお、飛しょう体の速度が小さい時、あるいは飛しょう体のマッハ数が小さい時に、上流側燃料GAの燃焼により、上流側燃料噴射器20Aの上流側に、高圧領域が形成されやすい。主流空気の動圧に対する燃料の燃焼圧の割合が相対的に高いためである。上流側燃料噴射器20Aの上流側の高圧領域が拡大すると、インレット11から取り込まれる空気の流量が減少するおそれがある。このため、上流側燃料噴射器20Aの上流側の高圧領域の拡大を抑制するため、上流側燃料GAの噴射量を少なくすることが好ましい。したがって、例えば、飛しょう体の速度が小さい時、あるいは飛しょう体のマッハ数が小さい時に、第1動作モードを実行することが好ましい。
【0051】
(第2動作モード)
図6Cおよび
図6Dを参照して、第2動作モードについて説明する。
図6Cおよび
図6Dは、実施形態に係るジェットエンジン2の構成の一例を模式的に示す概略断面図である。なお、
図6Cおよび
図6Dにおいて、制御線95Cは、図面の複雑化を避けるために、記載が省略されている。
【0052】
上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAの量が相対的に多い場合を想定する。この場合、上流側燃料GAの燃焼領域は相対的に大きく、上流側燃料GAの燃焼により生成される炎FAは相対的に大きくなる。上流側燃料GAの燃焼領域が大きい場合、炎FAを用いて、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される下流側燃料GCを着火することが可能となる。
【0053】
図6Dは、第2動作モードを実行中の状態を示す。第2動作モードでは、上流側燃料噴射器20Aから上流側燃料GAが噴射され、第2の下流側燃料噴射器20Cから下流側燃料GCが噴射される。第2動作モードは、上流側燃料GAの着火と同時に実行開始されてもよい。代替的に、第2動作モードは、上流側燃料GAの着火の前に実行開始されてもよい。代替的に、第2動作モードは、上流側燃料GAの着火の後に実行開始されてもよい。
【0054】
第2動作モードは、第1動作モードの実行を経ることなく実行開始されてもよい。代替的に、第2動作モードは、第1動作モードの実行に引き続いて実行開始されてもよい。例えば、第1動作モードを実行中に、上流側燃料GAの噴射量を増加させることを想定する。上流側燃料GAの噴射量の増加に伴い、上流側燃料GAの燃焼領域は相対的に大きくなる。その結果、炎FAを用いて、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される下流側燃料GCを着火することが可能となる。
【0055】
第2動作モードでは、上流側燃料GAの燃焼に伴い生成される炎FAを用いて、下流側燃料GCの着火(点火)が行われる。第2動作モードでは、第1直線L1から遠い位置にある下流側燃料噴射器(第2の下流側燃料噴射器20C)を用いて燃料の噴射を行うため、下流側燃料GCと空気との混合がより一層促進される。
【0056】
なお、飛しょう体の速度が大きい時、あるいは飛しょう体のマッハ数が大きい時に、上流側燃料GAの燃焼により、上流側燃料噴射器20Aの上流側に、高圧領域が形成されにくい。主流空気の動圧に対する燃料の燃焼圧の割合が相対的に低いためである。このため、上流側燃料GAの噴射量を多くすることが可能である。したがって、例えば、飛しょう体の速度が大きい時、あるいは飛しょう体のマッハ数が大きい時に、第2動作モードを実行することが好ましい。
【0057】
(飛しょう体の構成概要)
実施形態に係る飛しょう体1の構成について説明する。
図7は、実施形態に係る飛しょう体1の構成の一例を示す斜視図である。飛しょう体1は、ジェットエンジン2と、ロケットモータ3とを具備している。ロケットモータ3は、飛しょう体1を発射装置から飛行させるとき、飛しょう体1を飛しょう開始時の速度から所望の速度まで加速する。ただし、飛しょう開始時の速度は、飛しょう体1が静止している発射装置から発射されるときは、速度ゼロであり、飛しょう体が移動中(または飛行中)の移動体(または飛行体)の発射装置から発射されるときは、その移動体(または飛行体)の移動速度(または飛行速度)である。ジェットエンジン2は、飛しょう体1がロケットモータ3を分離した後、飛しょう体1を更に加速して、目標へ向かって飛しょうさせる。ジェットエンジン2は、機体10とカウル40とを備えている。機体10とカウル40とは、ジェットエンジン2のインレット、燃焼器及びノズルを構成している。ジェットエンジン2は、インレットにて前方から空気を取り入れ、燃焼器にてその空気と燃料とを混合し、燃焼させ、ノズルにてその燃焼ガスを膨張させ、後方へ送出する。それにより、ジェットエンジン2は推進力を得る。飛しょう体1は、センサ60、飛行制御装置80、および、燃料噴射制御器90を備える(詳細は、後述される。)。なお、燃料噴射制御器90は、飛行制御装置80の一部であってもよいし、飛行制御装置80とは別に設けられる制御器であってもよい。
【0058】
(ジェットエンジンのより詳細な説明)
次に、
図8A乃至
図11を参照して、実施形態に係るジェットエンジンについてより詳細に説明する。
図8A乃至
図11において、
図1乃至
図7に記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。なお、
図8Aおよび
図8Bにおいて、制御線95A乃至95C等は、図面の複雑化を避けるために、記載が省略されている。
【0059】
図8Aは、実施形態に係るジェットエンジンの構成の一例を模式的に示す概略断面図である。
図8Bは、実施形態に係るジェットエンジンの構成の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【0060】
ジェットエンジン2は、インレット11と、燃焼器12と、ノズル13とを備える。燃焼器12は、インレットから取り込まれた空気を用いて燃料を燃焼する。燃焼器12は、燃料の燃焼によって、燃焼ガスを生成する。ノズル13は、後方方向に向けて、燃焼ガスを放出する。
【0061】
ジェットエンジン2は、例えば、機体10と、機体10の下方に気体の流通可能な空間50を形成するように設けられたカウル40とを備えている。機体10の前方の下方部分とカウル40の前方部分とは、空間50へ空気を導入するインレット11を構成している。機体10の中間の下方部分とカウル40の中間部分とは、燃料と空気とを混合し燃焼させる燃焼器12を構成している。機体10の後方の下方部分とカウル40の後方部分とは、燃焼気体を膨張させて放出するノズル13を構成している。
【0062】
代替的に、例えば、筒状部材によってジェットエンジン2を構成し、当該筒状部材(ジェットエンジン2)が機体10の下部に取り付けられてもよい。この場合、筒状部材の前方部分がインレット11を構成し、筒状部材の中間部分が燃焼器12を構成し、筒状部材の後方部分がノズル13を構成する。
【0063】
(燃焼器)
燃焼器12は、燃焼室Chと、複数の燃料噴射器20(例えば、上流側燃料噴射器20A、第1の下流側燃料噴射器20B、第2の下流側燃料噴射器20C)とを備える。燃焼器12は、少なくとも1つの燃料点火器を備えていてもよい。燃料点火器の数は、1つであってもよい。また、燃焼器12は、少なくとも1つの保炎器22(例えば、上流側保炎器22A、下流側保炎器か22B)を備えていてもよい。
【0064】
(上流側燃料噴射器)
上流側燃料噴射器20Aは、燃焼器12の壁に設けられている。上流側燃料噴射器20Aは、燃焼室Chに燃料を噴射する。上流側燃料噴射器20Aは、少なくとも1つの燃料噴射孔20a(換言すれば、1つまたは複数の燃料噴射孔20a)を備える。上流側燃料噴射器20Aは、例えば、複数の燃料噴射器のうちで最上流に配置される燃料噴射器である。
【0065】
(上流側燃料点火器)
上流側燃料点火器21Aは、燃焼器12の壁に設けられている。上流側燃料点火器21Aは、上流側燃料噴射器20Aから噴射される燃料を点火する点火器である。上流側燃料点火器21Aは、燃料噴射孔20aの近傍に設けられる。上流側燃料点火器21Aと、燃料噴射孔20aとの間の距離は、例えば、30cm以内である。
【0066】
上流側燃料点火器21Aとしては、任意の点火器を採用可能である。上流側燃料点火器21Aは、例えば、電気スパークによって、燃料を点火する点火器であってもよい。代替的に、上流側燃料点火器21Aは、自動発火性の燃料(例えば、水素)を燃焼室Ch内に噴射することによって、燃料を点火する点火器であってもよい。上流側燃料点火器21Aは、燃料噴射制御器90等の制御装置からの点火指令信号に基づいて作動し、上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAを点火する。
【0067】
(上流側保炎器)
上流側保炎器22Aは、上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAの燃焼によって生成される炎を保炎する保炎器である。上流側保炎器22Aは、燃焼器12の壁面に設けられている。上流側保炎器22Aには、主流空気と上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAとの混合気体が供給される。混合気体は、上流側保炎器22A内においては、低速で移動する。上流側保炎器22Aは、上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAの燃焼に用いる炎を維持する。上流側保炎器22Aは、例えば、燃焼器12の壁面に設けられた凹部である。上流側保炎器22Aは、例えば、上流側燃料噴射器20Aの下流側に配置される。代替的に、上流側保炎器22Aが設けられる位置は、上流側燃料噴射器20Aが設けられる位置と重なっていてもよい(例えば、上流側保炎器22Aの壁部に上流側燃料噴射器20Aが設けられてもよい)。
【0068】
(第1の下流側燃料噴射器)
第1の下流側燃料噴射器20Bは、燃焼器12の壁に設けられている。第1の下流側燃料噴射器20Bは、燃焼室Chに燃料を噴射する。第1の下流側燃料噴射器20Bは、少なくとも1つの燃料噴射孔20b(換言すれば、1つまたは複数の燃料噴射孔20b)を備える。第1の下流側燃料噴射器20Bは、上流側燃料噴射器20Aよりも下流側に配置される。燃焼室Chが上流側保炎器22Aを備える場合、第1の下流側燃料噴射器20Bは、上流側保炎器22Aの下流側に配置される。
【0069】
第1の下流側燃料噴射器20B(燃料噴射孔20b)は、例えば、上流側燃料噴射器20A(燃料噴射孔20a)が配置される面と同一面(例えば、上面14)に設けられる。第1の下流側燃料噴射器20B(燃料噴射孔20b)は、燃焼室の長手方向LDあるいは主流空気の流れMAの方向にみて、上流側保炎器22Aとオーバーラップする位置に配置されてもよい。
【0070】
上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAの燃焼により生成される炎を用いて、第1の下流側燃料噴射器20Bから噴射される下流側燃料GBを着火する場合、燃焼器12は、第1の下流側燃料噴射器20Bから噴射される下流側燃料GBを点火する点火器を備えなくてもよい。点火器の省略によって、燃焼器12の構造が簡素化されるとともに、ジェットエンジン2の重量が低減される。
【0071】
(下流側保炎器)
下流側保炎器22Bは、第1の下流側燃料噴射器20Bから噴射される下流側燃料GBの燃焼によって生成される炎を保炎する保炎器である。下流側保炎器22Bは、燃焼器12の壁面に設けられている。下流側保炎器22Bには、主流空気と第1の下流側燃料噴射器20Bから噴射される下流側燃料GBとの混合気体が供給される。混合気体は、下流側保炎器22B内においては、低速で移動する。下流側保炎器22Bは、第1の下流側燃料噴射器20Bから噴射される下流側燃料GBの燃焼に用いる炎を維持する。下流側保炎器22Bは、例えば、燃焼器12の壁面に設けられた凹部である。下流側保炎器22Bは、例えば、第1の下流側燃料噴射器20Bの下流側に配置される。代替的に、下流側保炎器22Bが設けられる位置は、第1の下流側燃料噴射器20Bが設けられる位置と重なっていてもよい(例えば、下流側保炎器22Bの壁部に第1の下流側燃料噴射器20Bが設けられてもよい)。
【0072】
なお、下流側保炎器22Bは、省略されてもよい。
【0073】
(第2の下流側燃料噴射器)
第2の下流側燃料噴射器20Cは、燃焼器12の壁に設けられている。第2の下流側燃料噴射器20Cは、燃焼室Chに燃料を噴射する。第2の下流側燃料噴射器20Cは、少なくとも1つの燃料噴射孔20c(換言すれば、1つまたは複数の燃料噴射孔20c)を備える。第2の下流側燃料噴射器20Cは、上流側燃料噴射器20Aよりも下流側に配置される。燃焼室Chが上流側保炎器22Aを備える場合、第2の下流側燃料噴射器20Cは、例えば、上流側保炎器22Aの下流側に配置される。
【0074】
第2の下流側燃料噴射器20C(燃料噴射孔20c)は、例えば、上流側燃料噴射器20A(燃料噴射孔20a)が配置される面とは異なる面(例えば、下面16、換言すれば、第1の下流側燃料噴射器20Bの設けられる面に対向する面)に設けられる。第2の下流側燃料噴射器20C(燃料噴射孔20c)は、燃焼室の長手方向LDあるいは主流空気の流れMAの方向にみて、上流側保炎器22Aとオーバーラップしない位置に配置されてもよい。
【0075】
第2の下流側燃料噴射器20Cと第1直線L1との距離は、第1の下流側燃料噴射器20Bと第1直線L1との距離より大きい。
【0076】
図8Bに記載の例では、燃焼室の長手方向LDに垂直な断面形状が矩形形状(なお、矩形形状には、概ね矩形形状であることが包含される。)である。
図8Bに記載の例では、上流側燃料噴射器20A(燃料噴射孔20a)、および、第1の下流側燃料噴射器20B(燃料噴射孔20b)が、燃焼室の第1壁面14に設けられ、第2の下流側燃料噴射器20C(燃料噴射孔20c)が、燃焼室の第2壁面15であって、第1壁面とは異なる面に配置されている。
【0077】
上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAの燃焼により生成される炎を用いて、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される下流側燃料GCを着火する場合、燃焼器12は、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される下流側燃料GCを点火する点火器を備えなくてもよい。点火器の省略によって、燃焼器12の構造が簡素化されるとともに、ジェットエンジン2の重量が低減される。
【0078】
図8Aおよび
図8Bに記載の例では、燃焼器12は、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される下流側燃料GCの燃焼によって生成される炎を保炎する保炎器を有していない。代替的に、燃焼器12は、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される下流側燃料GCの燃焼によって生成される炎を保炎する保炎器を有していてもよい。
【0079】
(燃料供給系)
図9に、燃料供給系の一例を示す。燃料供給系は、燃料供給部33と、配管35と、少なくとも1つの流量調整器36とを含む。燃料供給部33は、例えば、燃料タンク34と定量ポンプPuとを備える。配管35は、例えば、燃料供給部33と第1分岐点37との間の配管35A、第1分岐点37と上流側燃料噴射器20Aとの間の配管35B、第1分岐点37と第2分岐点38との間の配管35C、第2分岐点38と第1の下流側燃料噴射器20Bとの間の配管35D、第2分岐点38と第2の下流側燃料噴射器20Cとの間の配管35Eを含む。
【0080】
燃料供給部33と上流側燃料噴射器20Aとは、第1配管によって接続されている。第1配管は、例えば、配管35Aと配管35Bによって構成される。燃料供給部33と第1の下流側燃料噴射器20Bとは、第2配管によって接続されている。第2配管は、例えば、配管35A、配管35C、配管35Dによって構成される。燃料供給部33と第2の下流側燃料噴射器20Cとは、第3配管によって接続されている。第3配管は、例えば、配管35A、配管35C、配管35Eによって構成される。
【0081】
配管35Cは、定量ポンプPuと流体接続されている。第1配管(例えば、配管35B)の途中には、第1流量調整器36A(例えば、第1バルブ)が設けられ、第2配管(例えば、配管35D)の途中には、第2流量調整器36B(例えば、第2バルブ)が配置され、第3配管(例えば、配管35E)の途中には、第3流量調整器36C(例えば、第3バルブ)が配置されている。
【0082】
燃料供給系と燃料噴射制御器90とは、制御線95によって情報伝達可能に接続されている。より詳細には、第1流量調整器36Aは、制御線95Aを介して燃料噴射制御器90に接続され、第2流量調整器36Bは、制御線95Bを介して燃料噴射制御器90に接続され、第3流量調整器36Cは、制御線95Cを介して燃料噴射制御器90に接続され、定量ポンプPuは、制御線95Dを介して燃料噴射制御器90に接続されている。
【0083】
総燃料噴射流量TA1の燃料を、全て、上流側燃料噴射器20Aから噴射する場合を想定する。燃料噴射制御器90は、総燃料噴射流量TA1の燃料を送り出すよう、制御線95Dを介して定量ポンプPuに指示する。また、燃料噴射制御器90は、第1流量調整器36Aに対して配管35Bの流路を開放するよう(バルブを開けるよう)、制御線95Aを介して第1流量調整器36Aに指示する。燃料噴射制御器90は、第2流量調整器36Bに対して配管35Dの流路を、閉鎖するよう(バルブを閉じるよう)、制御線95Bを介して第2流量調整器36Bに指示する。燃料噴射制御器90は、第3流量調整器36Cに対して配管35Eの流路を、閉鎖するよう(バルブを閉じるよう)、制御線95Cを介して第3流量調整器36Cに指示する。以上の結果、総燃料噴射流量TA1の燃料が上流側燃料噴射器20Aから噴射される。
【0084】
総燃料噴射流量TA2の燃料を、上流側燃料噴射器20Aおよび第1の下流側燃料噴射器20Bから噴射する場合を想定する。燃料噴射制御器90は、総燃料噴射流量TA2の燃料を送り出すよう、制御線95Dを介して定量ポンプPuに指示する。また、燃料噴射制御器90は、第1流量調整器36Aに対して配管35Bの流路を開放するよう指示する。燃料噴射制御器90は、第2流量調整器36Bに対して配管35Dの流路を開放するよう指示する。燃料噴射制御器90は、第3流量調整器36Cに対して配管35Eの流路を閉鎖するよう指示する。以上の結果、総燃料噴射流量TA2の燃料が、燃料噴射器(上流側燃料噴射器20Aおよび第1の下流側燃料噴射器20B)から噴射される。総燃料噴射流量TA2の燃料のうち、上流側燃料噴射器20Aから噴射される燃料の割合は、第1流量調整器36Aによる流路の開放度、および、第2流量調整器36Bによる流路の開放度を調整することによって、任意に設定することが可能である。
【0085】
総燃料噴射流量TA3の燃料を、上流側燃料噴射器20Aおよび第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射する場合については、繰り返しの説明となるため、説明を省略する。
【0086】
(燃料噴射制御器による制御例)
上流側燃料噴射器20Aからの燃料噴射流量、第1の下流側燃料噴射器20Bからの燃料噴射流量、および、第2の下流側燃料噴射器20Cからの燃料噴射流量は、燃料噴射制御器90によって制御される。燃料噴射制御器90は、少なくとも上流側燃料噴射器20Aおよび第1の下流側燃料噴射器20Bを作動状態とする第1動作モードと、少なくとも上流側燃料噴射器20Aおよび第2の下流側燃料噴射器20Cを作動状態とする第2動作モードとを選択的に実行可能である。第2動作モードは、第1動作モードとは異なる動作モードである。上流側燃料噴射器20Aから噴射される燃料噴射流量に対する第1の下流側燃料噴射器20Bから噴射される燃料噴射流量の割合は、第1動作モードの方が第2動作モードよりも大きくなるように設定される。
【0087】
(第1例)
図10Aに燃料噴射制御器90による制御の第1例を示す。燃料噴射制御器90は、センサ60から、ジェットエンジン2を備えた飛しょう体1の速度V(またはマッハ数M)についての情報を取得する。速度V(マッハ数M)についての情報は、GPS等の位置センサからの情報、加速度センサからの情報、あるいは、圧力センサからの情報等に基づいて取得されてもよい。燃料噴射制御器90は、飛しょう体1の速度Vが速度閾値V
1未満の時(または、マッハ数Mがマッハ数閾値M
1未満の時)、上流側燃料噴射器20Aおよび第1の下流側燃料噴射器20Bを作動状態(
図10Aの「○」を参照。)に制御し、第2の下流側燃料噴射器20Cを非作動状態(
図10Aの「×」を参照。)に制御する(以下、「制御動作A」という)。
【0088】
制御動作Aでは、下流側燃料噴射器として、上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAの燃焼に伴い生成される炎の位置から相対的に近い位置にある第1の下流側燃料噴射器20Bを用いる。このため、下流側燃料噴射器から噴射される下流側燃料の着火および保炎がより確実に実行される。
【0089】
燃料噴射制御器90は、飛しょう体1の速度Vが速度閾値V
1以上の時(または、マッハ数Mがマッハ数閾値M
1以上の時)、上流側燃料噴射器20Aおよび第2の下流側燃料噴射器20Cを作動状態(
図10Aの「○」を参照。)に制御し、第1の下流側燃料噴射器20Bを非作動状態(
図10Aの「×」を参照。)に制御する(以下、「制御動作B」という)。
【0090】
制御動作Bでは、下流側燃料噴射器として、上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAの燃焼に伴い生成される炎の位置から相対的に遠い位置にある第2の下流側燃料噴射器20Cを用いる。このため、下流側燃料噴射器から噴射される下流側燃料GCと空気との混合がより一層促進される。その結果、燃料の燃焼効率が向上する。
【0091】
なお、制御動作A、制御動作Bは、それぞれ、第1動作モード、第2動作モードに対応する制御動作である。
【0092】
実施形態のジェットエンジンでは、第1動作モードと第2動作モードとを選択的に実行可能である。その結果、ジェットエンジンの運用可能速度(または、運用可能マッハ数)が拡大する。例えば、第1動作モードを実行することにより、ジェットエンジンを搭載した飛しょう体が、相対的に低速度(または、相対的に低マッハ数)の時に、ジェットエンジンを始動させることが可能となる。このため、飛しょう体を加速するためのロケットモータを小型化することが可能となる。ロケットモータの小型化により、飛しょう体の重量が低減される。その結果、飛しょう体の航続可能距離が増加する。
【0093】
第1例では、飛しょう体1(又は、ジェットエンジン2)は、飛しょう体1の飛しょう速度V(または、飛しょうマッハ数M)を測定するセンサ60を備えている。そして、燃料噴射制御器90は、センサ60によって測定される飛しょう速度V(または、マッハ数M)の変化(上昇)に応答して、第1動作モードから第2動作モードに切り替える。
【0094】
第1例では、ジェットエンジン2は、速度閾値V
1(または、マッハ数閾値M
1)を記憶する記憶部902を備える。なお、速度閾値V
1(または、マッハ数閾値M
1)の値は、数値計算または実験等に基づいて、予め設定される。
【0095】
燃料噴射制御器90は、飛しょう速度V(または、飛しょうマッハ数M)が、速度閾値V
1未満(または、マッハ数閾値M
1未満)である場合に第1動作モードを実行し、前記飛しょうマッハ数Mが、速度閾値V
1以上(または、マッハ数閾値M
1以上)である場合に第2動作モードを実行する。
【0096】
飛しょう速度V(または、飛しょうマッハ数M)の上昇により、上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAの燃料噴射量を増加させることが可能となる。その結果、上流側燃料GAの燃焼範囲が拡大する。上流側燃料GAの燃焼範囲が拡大すると、上流側燃料GAの燃焼により生成される炎を用いて、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される下流側燃料GCを着火および保炎することが可能となる。したがって、第1例では、燃料噴射制御器90は、センサ60によって測定される測定値(速度Vまたはマッハ数M)から推定される上流側燃料GAの燃焼範囲の拡大に応答して、前記第1動作モードから前記第2動作モードに切り替えているということができる。
【0097】
(第2例)
図10Bに燃料噴射制御器90による制御の第2例を示す。燃料噴射制御器90は、センサ60から、ジェットエンジン2を備えた飛しょう体1の速度V(またはマッハ数M)についての情報を取得する。燃料噴射制御器90は、飛しょう体1の速度Vが第1速度閾値V
0未満の時(または、マッハ数Mが第1マッハ数閾値M
0未満の時)、上流側燃料噴射器20Aを作動状態に制御し、第1の下流側燃料噴射器20Bおよび第2の下流側燃料噴射器20Cを非作動状態に制御する(以下、「制御動作C」という)。
【0098】
制御動作Cは、上流側燃料点火器21Aを用いて上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAを点火する際に実行されてもよい。なお、第1速度閾値V
0(または、第1マッハ数閾値M
0)は、設定されなくてもよい。第1速度閾値V
0(または、第1マッハ数閾値M
0)が設定されない場合、制御動作Cは、ジェットエンジンの始動時に実行されてもよい。第1速度閾値V
0(または、第1マッハ数閾値M
0)が設定されない場合、制御動作Cは、省略されてもよい。制御動作Cが省略される場合、後述の制御動作Dを実行中に、上流側燃料点火器21Aを用いて上流側燃料噴射器20Aから噴射される上流側燃料GAが点火されてもよい。
【0099】
燃料噴射制御器90は、飛しょう体1の速度Vが第1速度閾値V
0以上、かつ、第2速度閾値V
1未満の時(または、マッハ数Mが第1マッハ数閾値M
0以上、かつ、第2マッハ数閾値M
1未満の時)、上流側燃料噴射器20Aおよび第1の下流側燃料噴射器20Bを作動状態に制御し、第2の下流側燃料噴射器20Cを非作動状態に制御する(以下、「制御動作D」という)。制御動作Dは、第1例における制御動作Aと同一の制御動作である。
【0100】
燃料噴射制御器90は、飛しょう体1の速度Vが第2速度閾値V
1以上の時(または、マッハ数Mが第2マッハ数閾値M
1以上の時)、制御動作Eおよび制御動作Fを実行する。制御動作Eは、制御動作Dと制御動作Fとの間に実行される遷移制御動作である。制御動作Fは、第1例における制御動作Bと同一の制御動作である。
【0101】
制御動作Eでは、燃料噴射制御器90は、上流側燃料噴射器20A、第1の下流側燃料噴射器20B、および、第2の下流側燃料噴射器20Cを作動状態に制御する。制御動作Eでは、下流側燃料は、第1の下流側燃料噴射器20Bおよび第2の下流側燃料噴射器20Cによって、分散的に噴射される。制御動作Eにおいて、第1の下流側燃料噴射器20Bから噴射される燃料の流量は、制御動作Dにおいて、第1の下流側燃料噴射器20Bから噴射される燃料の流量より少なくてもよい。制御動作Eにおいて、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される燃料の流量は、制御動作Fにおいて、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される燃料の流量より少なくてもよい。
【0102】
なお、制御動作D、制御動作EおよびFは、それぞれ、第1動作モード、第2動作モードに対応する制御動作である。
【0103】
第2例では、制御動作Eを備えることにより、第1例によって奏される効果に加え、第1動作モードから第2動作モードへの移行がより円滑になるとの効果を奏する。
【0104】
第2例では、ジェットエンジン2は、第1速度閾値V
0(または、第1マッハ数閾値M
0)、および、第2速度閾値V
1(または、第2マッハ数閾値M
1)を記憶する記憶部902を備える。なお、第1速度閾値V
0(または、第1マッハ数閾値M
0)、および、第2速度閾値V
1(または、第2マッハ数閾値M
1)の値は、数値計算または実験等に基づいて、予め設定される。
【0105】
(飛行制御装置)
図7に示されるように、飛しょう体1は、飛行制御装置80を備える。
図7に記載の例では、飛行制御装置80は、ジェットエンジン2に設けられ、かつ、燃料噴射制御器90を含む。代替的に、飛行制御装置80は、ジェットエンジン2以外の飛しょう体1の部分に設けられ、燃料噴射制御器90とは、制御線等を介して情報伝達可能に構成されてもよい。
【0106】
図11は、飛行制御装置および燃料噴射制御器の機能ブロック図の一例を示す。飛行制御装置80は、オートパイロット82と、推力制御器84と、燃料噴射制御器90を備える。オートパイロット82は、センサ60から速度V、マッハ数Mまたは高度H等の飛行パラメータに関する情報を受け取る。オートパイロット82は、飛行指令値(目標地点情報等)およびセンサ60から取得された情報に基づいて、速度維持又は目標加速度等の推力指令値を決定又は計算し、当該推力指令値を推力制御器84に伝達する。推力制御器84は、推力指令値に基づいて、総燃料噴射流量TA等を決定又は計算し、総燃料噴射流量TA等を燃料噴射制御器90に伝達する。
【0107】
(燃料噴射制御器)
燃料噴射制御器90は、例えば、ハードウェアプロセッサを含む演算装置と、記憶装置とを備える。ハードウェアプロセッサは、記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、演算装置を、情報取得部901と、動作モード決定部903と、燃料送出指示部905と、流量調整指示部906等として機能させる。ハードウェアプロセッサは、記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、記憶装置を記憶部902として機能させる。
【0108】
情報取得部901は、推力制御器84から、総燃料噴射流量TA等の情報を取得する。また、情報取得部901は、センサ60から、速度V、マッハ数M等の情報(測定値)を取得する。取得された情報は、記憶部902に記憶される。
【0109】
記憶部902は、動作モードを決定するためのテーブルまたは関数を記憶している。テーブルは、例えば、
図10A又は
図10Bに例示されたマッハ数と各燃料噴射器の制御動作(又は、動作モード)とを対応付けるテーブルである。
【0110】
動作モード決定部903は、情報取得部901が取得する速度V、マッハ数M、または、総燃料噴射流量TAについての情報、および、記憶部902に記憶されたテーブルまたは関数に基づいて、各燃料噴射器の動作モード(例えば、第1動作モード、第2動作モード)又は制御動作(例えば、制御動作A、B、C、D、E、F等)を決定する。
【0111】
燃料送出指示部905は、総燃料噴射流量TAに対応する燃料を送出するよう、燃料供給系(具体的には、定量ポンプPu)に指示を送る。
【0112】
流量調整指示部906は、総燃料噴射流量TAおよび決定された動作モード又は制御動作に基づいて、各燃料噴射器から噴射される燃料の量を調整するために、燃料供給系(具体的には、流量調整器36)に指示を送る。
【0113】
図11に記載の例では、ジェットエンジン2は、センサ60と、動作モード決定部903とを備えている。動作モード決定部903は、センサ60によって測定される測定値(速度V、マッハ数M等)に基づいて、第1動作モードと第2動作モードを含む複数の動作モードの中から採用すべき動作モードを決定している。センサ60は、飛しょう体が一般的に備える構成である。よって、
図11に記載の例では、制御装置に改良を加えるだけで、第1動作モードまたは第2動作モードの選択および実行が可能である。
【0114】
(変形例)
図12A〜
図12Dを参照して、実施形態の変形例について説明する。
図12Aは、実施形態に係るジェットエンジンの構成の一例を模式的に示す概略断面図である。また、
図12Bは、
図12Aにおける燃焼器の部分を拡大した図であり、燃焼領域が小さい状態を示す図である。
図12Cは、
図12Aにおける燃焼器の部分を拡大した図であり、燃焼領域が大きい状態を示す図である。
図12Dは、飛行制御装置および燃料噴射制御器の機能ブロック図の一例を示す。なお、
図12A〜
図12Dにおいて、
図1〜
図11に記載した部材と同じ機能を有する部材については、同一の図番が付されている。なお、
図12A乃至
図12Cにおいて、制御線95A乃至95C等は、図面の複雑化を避けるために、記載が省略されている。
【0115】
図12Aおよび
図12Bから把握されるように、変形例のジェットエンジン2Bでは、燃焼器12の壁部にセンサ60Aが配置されている点で、
図1〜
図11に記載の実施形態のジェットエンジン2と異なる。センサ60Aは、燃焼室内の領域の状態量を測定するセンサである。センサ60Aは、第2の下流側燃料噴射器20Cの近傍領域の状態量を測定するセンサである。第2の下流側燃料噴射器20Cの近傍領域は、例えば、第2の下流側燃料噴射器20Cから50cm以内の領域を意味する。センサ60Aは、例えば、第2の下流側燃料噴射器20C(燃料噴射孔20c)から50cm以内の位置に配置される。センサ60Aは、例えば、第2の下流側燃料噴射器20Cの上流側または下流側に配置される。センサ60Aは、状態計測センサ(例えば、圧力センサまたは温度センサ等)である。
【0116】
上流側燃料噴射器20Aおよび第1の下流側燃料噴射器20Bが作動状態であり、第2の下流側燃料噴射器20Cが非作動状態である場合(第1動作モードの1例)を想定する。上流側燃料噴射器20Aおよび第1の下流側燃料噴射器20Bからは、それぞれ上流側燃料GAおよび下流側燃料GBが噴射される。噴射された上流側燃料GAおよび下流側燃料GBの燃焼により、それぞれ炎FAおよび炎FBが形成される。
【0117】
図12Bでは、炎FAの大きさ(換言すれば、燃焼領域の大きさ)が比較的小さい。このため、センサ60Aの設けられた位置では、炎FAによる燃焼圧の上昇、あるいは、炎FAによる温度上昇が小さい。
図12Bに記載の状態では、燃料噴射制御器90は、第1動作モードから第2動作モードへの切り替えは行わない。なぜなら、
図12Bの状態において、第2動作モードへの切り替えを行った場合、炎FAを用いて、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される下流側燃料GCの着火を行うことが困難であるからである。
【0118】
図12Cでは、炎FAの大きさ(換言すれば、燃焼領域の大きさ)が比較的大きい。このため、センサ60Aの設けられた位置では、炎FAによる燃焼圧の上昇、あるいは、炎FAによる温度上昇が大きい。
【0119】
図12Bの状態から
図12Cの状態に至るまでの過程において、センサ60Aは、大きな状態変化(予め設定された変動閾値TH以上の状態変化)を検出する。例えば、センサ60Aが圧力センサである場合には、大きな圧力上昇を検出する。例えば、センサ60Aが温度センサである場合には、大きな温度上昇を検出する。センサ60Aによる状態変化(例えば、圧力上昇、または、温度上昇)の検出は、後述の燃料噴射制御器90Bに伝達される。燃料噴射制御器90Bは、センサ60Aによる変動閾値TH以上の状態変化の検出に応答して、第1動作モードから第2動作モードへの切り替えを実行する。
図12Cの状態において、第2動作モードへの切り替えを行った場合、炎FAを用いて、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射される下流側燃料GCの着火を行うことが可能である。
【0120】
上述の例では、センサ60A(圧力センサまたは温度センサ)によって検出される状態変化(圧力変化または温度変化)が、変動閾値TH1(圧力変動閾値または温度変化閾値)以上である時、第1動作モードから第2動作モードへの切り替えを実行する。代替的に、センサ60A(圧力センサまたは温度センサ)によって検出される状態(圧力または温度)が、状態閾値TH2(圧力閾値または温度閾値)以上である時、第1動作モードから第2動作モードへの切り替えを実行してもよい。
【0121】
図12Dは、飛行制御装置および燃料噴射制御器の機能ブロック図の一例を示す。また、
図12Dに記載の機能ブロック図は、
図11に記載の機能ブロック図と比較して、センサ60Aからの情報が、飛行制御装置80Bの燃料噴射制御器90Bに伝達される点で異なる。また、
図12Dの例では、燃料噴射制御器90Bが、比較部909を備える。なお、
図12Dにおけるオートパイロット82、推力制御器84、燃料送出指示部905、流量調整指示部906の機能は、それぞれ、
図11におけるオートパイロット82、推力制御器84、燃料送出指示部905、流量調整指示部906の機能と同一である。
【0122】
情報取得部901は、推力制御器84から、総燃料噴射流量TA等の情報を取得する。また、情報取得部901は、センサ60Aから、圧力、温度等の状態量(測定値)に関する情報を取得する。取得された情報は、記憶部902に記憶される。
【0123】
記憶部902は、情報取得部901によって取得された圧力、温度等の状態量(測定値)が、大きく変化したか否かを決定するための変動閾値TH1に関する情報を記憶している。代替的に、記憶部902は、情報取得部901によって取得された圧力、温度等の状態量(測定値)が、所定の基準値を超えたか否かを決定するための状態閾値TH2に関する情報を記憶している。変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)に関する情報は閾値自体であってもよい。代替的に、変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)に関する情報は、マッハ数Mと変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)の関係を示す関数であってもよい。代替的に、変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)に関する情報は、マッハ数Mと変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)の関係を示すテーブルであってもよい。
【0124】
比較部909は、情報取得部901によって取得された圧力、温度等の状態量(測定値)の変化が、変動閾値TH1以上であるか否かを判定する。代替的に、比較部909は、情報取得部901によって取得された圧力、温度等の状態量(測定値)が、状態閾値TH2以上であるか否かを判定する。
【0125】
圧力、温度等の状態量の変化が、変動閾値TH1未満であると判定された場合、あるいは、圧力、温度等の状態量が、状態閾値TH2未満であると判定された場合、動作モード決定部903は、第1動作モードを維持する。他方、圧力、温度等の状態量(測定値)の変化が、変動閾値TH1以上であると判定された場合、あるいは、圧力、温度等の状態量が、状態閾値TH2以上であると判定された場合、動作モード決定部903は、第2動作モードを選択する。
【0126】
図12A〜
図12Dの実施形態では、ジェットエンジンは、センサ60A(状態計測センサ)と、閾値(変動閾値TH1または状態閾値TH2)を記憶する記憶部902と、動作モード決定部903を備えている。動作モード決定部903は、センサ60Aによって測定される測定値と閾値との比較に基づいて、第1動作モードと第2動作モードを含む複数の動作モードの中から採用すべき動作モードを決定している。
【0127】
なお、
図12A〜
図12Dの実施形態では、センサ60Aを設けている。そして、第1動作モードの実行時に、燃焼領域が、センサ60Aの位置まで達しているか否かを判定している。燃焼領域が、センサ60Aの位置まで達していると判定(推定)された時、第1動作モードから第2動作モードへの切り替えを実施する。
【0128】
図12A〜
図12Dに記載の実施形態では、
図10Aおよび
図10Bで例示されたテーブル等を準備する必要がない。よって、制御装置のコストの低減が可能である。また、
図12A〜
図12Dに記載の実施形態では、燃焼領域の変化をセンサによる直接計測に基づいて判定するため、燃焼領域の変化の判定がより正確となる。その結果、エンジン作動の確実性が向上する。
【0129】
図5〜
図12Dに記載の実施形態では、ジェットエンジンが、上流側燃料噴射器20A、第1の下流側燃料噴射器20B、および、第2の下流側燃料噴射器20Cの3つの燃料噴射器を備えた例について説明した。しかし、燃料噴射器の数は、4つ以上であってもよい。燃焼室の長手方向LD(X方向)に沿って、更に、他の燃料噴射器を配置してもよい。代替的に、あるいは、付加的に、燃焼室のスパン方向(Y方向)に沿って、更に、他の燃料噴射器を配置してもよい。また、
図8A〜
図12Dに記載の実施形態では、ジェットエンジンが、上流側保炎器22Aと下流側保炎器22Bの2つの保炎器を備えた例について説明した。しかし、保炎器の数は、2つに限らず、任意である。燃焼室の長手方向LD(X方向)に沿って、更に、他の保炎器を配置してもよい。代替的に、あるいは、付加的に、燃焼室のスパン方向(Y方向)に沿って、更に、他の保炎器を配置してもよい。
【0130】
なお、第2動作モードを実行した結果、上流側燃料噴射器20Aから噴射された上流側燃料GAの燃焼により生成された炎を用いて、第2の下流側燃料噴射器20Cから噴射された下流側燃料GCの着火ができない場合も想定される。この場合、第2動作モードの実行を中断して、第1動作モードを実行するようにしてもよい。なお、下流側燃料GCの着火ができたか否かは、センサ60Aによって取得される状態量(圧力、温度等)に基づいて、燃料噴射制御器等の制御装置が判定するようにしてもよい。代替的に、ジェットエンジンの出力(あるいは、飛しょう体の加速度)に関する情報に基づいて、制御装置が、下流側燃料GCの着火ができたか否かを判定するようにしてもよい。下流側燃料GCの着火ができたか否かの判定は、第2動作モードの実行後、予め設定された時間経過後に行われてもよい。
【0131】
(更なる変形例)
図12Eは、飛行制御装置および燃料噴射制御器の機能ブロック図の一例を示す。また、
図12Eに記載の機能ブロック図は、
図12Dに記載の機能ブロック図と比較して、センサ60からの高度Hに関する情報が、燃料噴射制御器90Cに伝達される点で異なる。なお、
図12Eにおけるオートパイロット82、推力制御器84、情報取得部901、動作モード決定部903、燃料送出指示部905、流量調整指示部906、比較部909の機能は、それぞれ、
図12Dにおけるオートパイロット82、推力制御器84、情報取得部901、動作モード決定部903、燃料送出指示部905、流量調整指示部906、比較部909は、の機能と同一である。
【0132】
図12Eに記載の変形例では、
図12Dに記載の例とは異なり、変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)に関する情報は、高度H(または、マッハ数Mおよび高度H)と変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)の関係を示す関数である。代替的に、変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)に関する情報は、高度H(又はマッハ数Mおよび高度H)と変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)の関係を示すテーブルである。
図12Eに記載の例では、記憶部902Cは、高度H(または、マッハ数Mおよび高度H)と変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)の関係を示す関数データ、または、高度H(又はマッハ数Mおよび高度H)と変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)の関係を示すテーブルを記憶する。
【0133】
図12Eに記載の例では、動作モード決定部903は、センサ60Aによって測定される測定値と閾値との比較に基づいて、第1動作モードと第2動作モードを含む複数の動作モードの中から採用すべき動作モードを決定する点で、
図12A乃至
図12Dに記載の例と同様である。しかし、
図12Eに記載の例では、変動閾値TH1(または、状態閾値TH2)が、飛しょう体の高度(または、マッハ数Mおよび高度)に応じて変動する。このため、飛しょう体の高度の変化を考慮した、より適切な動作モードの選択が可能となる。
【0134】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は変形例にも適用可能である。