(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筐体内に配置される板状の第1の基板であって、第1の接点及び第2の接点並びに光源を有し、それら三者が前記第1の接点と前記光源との間の距離、及び前記第2の接点と前記光源との間の距離が等しくなるように、前記光源を挟んで前記第1の接点及び前記第2の接点が一つの面に配置される第1の基板と、
長尺状に形成されたレバー部であって、一方の端部が前記筐体の外部に突出し、他方の端部が前記筐体内に配置され、全体として、前記筐体に揺動可能に取り付けられ、前記第1の基板の板厚方向に揺動することにより前記第1の接点又は前記第2の接点と接触するレバー部と、
前記筐体の外部に露出する状態で前記レバー部に取り付けられ、入力された光を外部に放出する導光部を有する操作ノブと、
前記光源からの光を前記導光部まで導くライトガイドとを備え、
前記レバー部は、金属板材と、当該金属板材をインサートするとともに前記第1の基板の板厚方向に凹設された取付溝を有する樹脂板材とを有し、
前記ライトガイドは、前記取付溝に取り付けられ、
更に、前記レバー部は、前記筐体内への挿入方向において、前記光源と対向する位置にて軸支されているトグルスイッチ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のようなタイプのトグルスイッチにおいては、さらなる基板の厚み方向への大きさの抑制、すなわち小型化が求められている一方で、小型化によって操作時においてレバーにかかる荷重に対する強度の確保が求められていた。
【0006】
また、近年、特許文献2に示されるように、基板に光源を設け、その光源からの光をスイッチの操作ノブから導出させることにより、暗所でも操作しやすいスイッチがある。しかし、特許文献1の基板に光源を設けても、基板の厚み方向における光源の位置と操作ノブの位置とが異なるため、光源からの光を操作ノブから導出させることができない。そこで、ライトガイドを使用することも検討されるが、構成が増える分、トグルスイッチ全体として大きさが増す。
【0007】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型で暗所でも操作しやすいトグルスイッチ及びスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、トグルスイッチは、筐体に取り付けられ、第1の接点及び第2の接点並びに光源を有
し、それら三者が前記第1の接点と前記光源との間の距離、及び前記第2の接点と前記光源との間の距離が等しくなるように配置される第1の基板と、前記筐体に揺動可能に取り付けられ、前記第1の基板の板厚方向に揺動することにより前記第1の接点又は前記第2の接点と接触するレバー部と、前記筐体の外部に露出する状態で前記レバー部に取り付けられ、入力された光を外部に放出する導光部を有する操作ノブと、前記光源からの光を前記導光部まで導くライトガイドとを備え、前記レバー部は、金属板材と、当該金属板材をインサートするとともに前記第1の基板の板厚方向に凹設された取付溝を有する樹脂板材とを有し、前記ライトガイドは、前記取付溝に取り付けられることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、取付溝にライトガイドが設けられる。したがって、第1の基板の厚み方向においてトグルスイッチを小型化することができる。また、レバー部には樹脂板材より薄くても強度に優れる金属板材が使用される。この点においても、第1の基板の厚み方向においてトグルスイッチを小型化することができる。なお、ライトガイドによって、操作ノブの導光部から光が放出されるので、当該トグルスイッチは、暗所でも使用しやすい。
【0010】
上記構成において、前記レバー部は、揺動中心部において前記取付溝に連続するとともに前記第1の基板の板厚方向に貫通する貫通孔を有し、前記光源は、前記レバー部の揺動中心部と対向するように設けられ、前記ライトガイドは、前記取付溝に取り付けられる本体部と、前記本体部に連続して前記第1の基板の板厚方向に延びて光を集める集光部とを有し、
前記貫通孔の上下方向長さよりも長い上下方向長さの前記集光部が前記貫通孔に進入
して前記集光部の先端部が前記貫通孔の上部から突出する状態で前記レバー部に取り付けられることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、集光部が揺動中心部に位置する。したがって、レバー部の揺動に伴う集光部の変位が小さい。このため、レバー部が操作されてもライトガイドによって光源からの光が安定して導光部まで導かれるので、当該トグルスイッチは、より暗所でも使用しやすい。
【0012】
上記構成において、前記レバー部は、前記貫通孔の内壁に突設される第1の突起と、前記貫通孔と異なる位置において前記取付溝に連続するとともに前記第1の基板の板厚方向に貫通する取付孔と、前記取付孔の内壁に突設される第2の突起とを有し、前記ライトガイドは、前記集光部に突設され前記第1の突起と係合する第1の係合突起と、前記本体部の上面に突設され前記第2の突起と係合する第2の係合突起とを有し、前記貫通孔に前記集光部を進入させて前記第1の係合突起と前記第1の突起とを係合させ、その係合させた部分を中心に回転させることにより、前記第2の係合突起を前記取付孔に進入させるとともに前記第2の突起と係合させて前記レバー部に取り付けることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、回転によってライトガイドとレバー部とを取り付けることができるので、取り付けに際するライトガイドのたわみを抑制することができる。
スイッチ装置は、上記構成のトグルスイッチと、前記トグルスイッチの上方に設けられ、前記トグルスイッチの操作に応じて表示が変更される表示部とを有し、前記ライトガイドと前記表示部との間に前記金属板材を位置させることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、ライトガイドから放出された光の表示部側への進出が金属板材によって妨げられる。これにより、ライトガイドから放出された光によって表示部の表示が視認しにくくなることが抑制される。
【0015】
上記構成において、前記表示部に隣接され、当該表示部と共通の第2の基板を有するプッシュスイッチを有し、前記第1の基板と前記第2の基板とが立体交差することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、立体交差しているので、第1の基板が延びる方向におけるスイッチ装置の大きさを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のトグルスイッチ及びスイッチ装置は、小型で暗所でも操作しやすい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のトグルスイッチを有するスイッチ装置の一実施形態について図面に従って説明する。
図1及び
図2に示すように、スイッチ装置1は、トグルスイッチ部2と、プッシュスイッチ部3と、表示部4とを有し、これら各部は、略直方体をなす樹脂製の筐体5に設けられている。表示部4は筐体5の左右方向中央部に、プッシュスイッチ部3は表示部4を左右両側から挟むように筐体5の左右方向の両端部に、それぞれ設けられている。また、トグルスイッチ部2は、表示部4の下縁に沿うように且つプッシュスイッチ部3に左右両側から挟まれるように筐体5の下縁部に沿って設けられている。
【0020】
このスイッチ装置1は、例えば車両のセンターコンソールやインストルメントパネルに設けられ、各部は、車両の空調を制御する空調制御部と電気的に接続されている。車両のユーザは、トグルスイッチ部2及びプッシュスイッチ部3への操作を通じて、空調の設定を切り替える。表示部4は、車両の空調に関する情報を表示する。ユーザは、表示部4に表示される情報の視認を通じて空調に関する情報を得る。
【0021】
トグルスイッチ部2は、左右方向に並設される4つのトグルスイッチ21,2
2,23,24を有する。なお、4つのトグルスイッチ21〜24は、全て同じ構成であるため、これ以降は、トグルスイッチ23を代表して説明する。
【0022】
図3及び
図4に示すように、トグルスイッチ23は、金属板材31と、樹脂板材32と、ライトガイド33と、基板34とを有する。なお、金属板材31及び樹脂板材32がレバー部を構成する。
【0023】
基板34は、左右方向及び奥行方向に延びる平面を有する。基板34は、プッシュスイッチ部3及び表示部4と接続され左右方向及び上下方向の平面を有する基板6の下方において当該基板6に対して立体交差する態様で筐体5に支持されている。基板34の下面には、手前側から第1の接点36、LED35、及び第2の接点37がそれぞれ突設されている。なお、第1の接点36とLED35との間の距離、及びLED35と第2の接点37との間の距離は等しく設定されている。なお、基板34が第1の基板に、基板6が第2の基板に、それぞれ相当する。
【0024】
金属板材31は、左右方向よりも奥行方向に長い平面を有する金属製の板材である。金属板材31の奥側の端部は、インサート成形によって後に詳細に説明する樹脂板材32(奥行方向手前側端部42)にインサートされている。また、金属板材31の手前側の端部には、樹脂製の操作ノブ38が取り付けられる。
【0025】
なお、操作ノブ38には、金属板材31の下部に隣接する導光部39が設けられている。導光部39は、奥側から入力される光を手前側に光を導き放出する部分である。当該導光部39は、例えば、透明樹脂材で形成され外面が塗装された操作ノブ38にレーザーを当てて、先の塗装をとばして形成する。また、導光部39は、物理的な溝であってもよい。
【0026】
樹脂板材32は、左右方向よりも奥行方向に長い平面を有する樹脂製の板材であって、奥行方向中央部41、奥行方向手前側端部42、及び奥行方向奥側端部43の3つの部分により構成される。樹脂板材32は、奥行方向中央部41から奥行方向手前側端部42及び奥行方向奥側端部43に向かうにつれて徐々に厚みが薄くなるように形成されている。すなわち、樹脂板材32は、奥行方向中央部41が奥行方向手前側端部42及び奥行方向奥側端部43よりも厚く形成されている。
【0027】
奥行方向中央部41の左右方向両縁部には、左右方向に貫通する揺動中心孔44が形成されている。当該揺動中心孔44の内径は、筐体5に設けられ左右方向に突設された図示しない円柱軸の外径よりも若干大きく形成されている。樹脂板材32は、揺動中心孔44に筐体5の図示しない円柱軸が挿通されることにより、当該筐体5に揺動可能に支持される。なお、図示しない円柱軸の奥行方向における位置は、LED35と対応する。
【0028】
図6(a)に示すように、奥行方向中央部41の左右方向中央部には、上下方向に貫通する第1の取付孔45が形成されている。第1の取付孔45の奥側の壁部には、手前側に突出する第1の突起46が形成されている。なお、
図4に示すように、奥行方向における第1の取付孔45が設けられる位置は、先に説明した揺動中心孔44が設けられる位置と等しく設定されている。すなわち、第1の取付孔45は、LED35の下方に位置する。LED35の光は、第1の取付孔45に進入する。なお、第1の取付孔45は貫通孔に相当する。
【0029】
図6(a)に示すように、奥行方向中央部41における奥行方向手前側端部42との境界部分には、上下方向に貫通する第2の取付孔47が形成されている。第2の取付孔47の奥側の壁部には、手前側に突出する第2の突起48が形成されている。
【0030】
図4に示すように、奥行方向手前側端部42には、金属板材31の奥行方向奥側の端部がインサートされている。また、奥行方向手前側端部42における上面には、第1の押部51が突設されている。なお、第1の押部51と揺動中心孔44との間の距離は、第1の接点36とLED35との間の距離と等しく設定されている。
【0031】
図5及び
図6(a)に示すように、奥行方向中央部41及び奥行方向手前側端部42の下面には、取付溝49が凹設されている。取付溝49は、第1の取付孔45の下側の端部から第2の取付孔47下側の端部を経て奥行方向手前側端部42の手前側縁部に亘って形成されている。
【0032】
図4に示すように、奥行方向奥側端部43における上面には、第2の押部52が突設されている。第2の押部52と揺動中心孔44との間の距離は、LED35と第2の接点37との間の距離と等しく設定されている。
【0033】
図6(a)に示すように、ライトガイド33は、左右方向よりも奥行方向に長い平面からなる本体部61と、本体部61の奥行方向奥側に連続して上方向に向かって延びる集光部62とを有するアクリル製の板材である。
【0034】
図5に示すように、本体部61の厚みは取付溝49の深さ(上下方向の長さ)よりも若干短く設定され、本体部61の左右方向の長さは取付溝49の左右方向の長さよりも若干小さく設定されている。また、本体部61の奥行方向の長さは取付溝49の奥行方向の長さよりも若干小さく設定されている。
【0035】
集光部62の上下方向長さは、第1の取付孔45の上下方向長さよりも若干長く設定されている。このため、集光部62の先端部は、第1の取付孔45の上部から突出し、LED35と対向する。また、集光部62の奥側の壁部には、第1の係合突起63が突設されている。
【0036】
本体部61の上面には、第2の係合突起64が突設されている。第2の係合突起64の先端部は、奥側に向かって折り曲げられている。第1の係合突起63と第2の係合突起64との間の距離は、先に説明した第1の突起46と第2の突起48との間の距離と等しく設定されている。
【0037】
なお、
図3に示すように、ライトガイド33は、アクリル製のため、一方の端部に入力された光が他方の端部から放出される。すなわち、LED35から第1の取付孔45に進入した光は、集光部62に入力される。この集光部62に入力された光は、本体部61の手前側端部である放出部65から放出される。放出部65から放出された光は、当該放出部65よりも手前側に位置する操作ノブ38の導光部39に進入し、当該導光部39から手前側に放出される。
【0038】
次に、ライトガイド33の樹脂板材32への取り付けについて説明する。
まず、
図6(c)に示すように、集光部62を樹脂板材32の下側から第1の取付孔45に進入させ、第1の係合突起63と第1の突起46とを係合させる。
【0039】
次に、第1の係合突起63と第1の突起46との係合した位置を中心にして、ライトガイド33を時計方向に回転させる。これにより、
図6(b)の状態を経て
図6(a)に示すように、本体部61が取付溝49に収容されるとともに、第2の係合突起64が第2の取付孔47に進入する。さらに第2の係合突起64は、第2の突起48と係合する。以上により、ライトガイド33は、樹脂板材32に取り付けられる。
【0040】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す作用及び効果が得られる。
(1)樹脂板材32の下面に取付溝49を凹設した。そして、取付溝49にライトガイド33を設けた。これにより、基板34の厚み方向である上下方向において、トグルスイッチ23
が小型化される。また、樹脂板材32に当該樹脂板材より薄くても強度に優れる金属板材31をインサートした。これにより、トグルスイッチ23の上下方向において小型化される。ライトガイド33によって、操作ノブ38の導光部39から光が放出される。これにより、トグルスイッチ23は、暗所でも使用しやすい。
【0041】
(2)ライトガイド33の集光部62を、第1の取付孔45に進入させた。第1の取付孔45の奥行方向における位置は、揺動中心孔44に対応する。また、第1の取付孔45は、LED35の下方に位置する。トグルスイッチ23が操作され揺動しても、集光部62における変位が小さい。このため、トグルスイッチ23の揺動の有無によらず、LED35からの光は、
図3において太実線矢印で示すように、安定して導光部39まで導かれるので、トグルスイッチ23は、暗所でも使用しやすい。
【0042】
(3)樹脂板材32とライトガイド33との取り付けは、まず、集光部62を樹脂板材32の下側から第1の取付孔45に進入させ、第1の係合突起63と第1の突起46とを係合させる。次に、第1の係合突起63と第1の突起46との係合した位置を中心にして、ライトガイド33を時計方向に回転させる。これにより、第2の係合突起64は、第2の取付孔47に進入して第2の突起48と係合する。このように、回転によって取り付けられるので、取り付けに際してライトガイド33のたわみを抑制することができる。
【0043】
(4)ライトガイド33と表示部4との間に金属板材31を位置させた。これにより、ライトガイド33から放出されて導光部39に進入する光の上方、すなわち表示部4側への漏れが抑制される。これにより、表示部4の表示が視認しにくくなることが抑制される。
【0044】
(5)トグルスイッチ23の基板34は、プッシュスイッチ部3及び表示部4の基板6と立体交差する。これにより、基板34の延びる方向、すなわち、左右方向及び奥行方向におけるスイッチ装置1全体の大きさが抑制される。
【0045】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、基板34は基板6と必ずしも立体交差しなくてもよい。
・上記実施形態において、ライトガイド33は、金属板材31の上方に位置していてもよい。このように構成しても、上記実施形態の(1)〜(3)に示す効果を得ることができる。
【0046】
・上記実施形態において、ライトガイド33は、第1の係合突起63と第1の突起46との係合部分を中心に回転することにより、樹脂板材32に取り付けられたが、回転以外による取り付けてあってもよい。
【0047】
・上記実施形態において、集光部62は、奥行方向において、揺動中心孔44と対応する位置に設けられたが、これ以外の位置に設けられてもよい。このように構成した場合でも、上記実施形態の(1)に示す効果を得ることができる。
【0048】
・上記実施形態において、取付溝49は、樹脂板材32の下面に設けられたが、上面に設けられてもよい。
・上記実施形態において、集光部62の上下方向長さは、第1の取付孔45の上下方向長さよりも若干長く設定したが、第1の取付孔45の上下方向長さと等しく設定しても良いし若干短く設定してもよい。なお、集光部62の先端部の上下方向における位置を、揺動中心孔44の上下方向における位置と対応させれば、トグルスイッチ23が揺動した際の集光部62の先端部における変位が小さい。すなわち、集光部62はLED35からより安定した光量を集光することができる。ひいては、放出部65から放出される光量
をより安定させることができる。
【0049】
・上記実施形態において、スイッチ装置1において、プッシュスイッチ部3及び表示部4を省略してもよい。なお、上記実施形態におけるスイッチ装置1の各部の配置、すなわち、トグルスイッチ部2、プッシュスイッチ部3、及び表示部4の配置は一例であって、その位置は適宜変更してもよい。
【0050】
・上記実施形態において、ライトガイド33はアクリル製に限らない。光を導く性質を有する部材であれば、その種類及び材質は問わない。
・上記実施形態において、光源はLED35に限らない。すなわち、LED35に代えて種々の光源を適用してもよい。