(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、回転電機のステータに対してコイルの巻線を波巻きすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、一般的な3相4ターンのシングルスター結線を実現するためには、3相分であるU相のコイル、V相のコイル、およびW相のコイルが用意され、それぞれのコイルの巻線がステータのステータコアに対して波巻きされる。各コイルの巻線は、直列に接続された4本の導線で構成され、各導線が1巻きずつ巻かれて合計4巻きを形成する。この結果、周方向に隣接する一対のスロット内には、同一相の導線が径方向に沿って4箇所のスロット内位置(レイヤー)で配置される。このようなスロット内位置は、スロット毎に周方向に・・・U相、U相、V相、V相、W相、W相、U相、U相・・・の順で繰り返される。
【0003】
ところで、各コイルの巻線では、電流の入力端から出力端に至る間に電圧降下が生じている。このため、同一スロット内の4箇所のスロット内位置に配置された各導線は、それぞれ入力端からの長さが異なっていることから、同一スロット内の各導線での電圧降下状態としても、入力端に近い導線、すなわち最初に電流が流れる導線での電圧降下よりも、終端部に近い導線、すなわち後から電流が流れる導線での電圧降下の度合いが著しい。
【0004】
従って、波巻きによって4巻きされている場合、1番目(入力端に近い側)に電流が流れる導線と、4番目(出力端に近い側)に電流が流れる導線とが同一のスロット内で隣接すると、互いの分担電圧(電位差)が大きくなってしまい、両者間での絶縁耐力に問題が生じる可能性がある。
【0005】
図14は、従来における回転電機10のステータコア12に関して、スロット15内の導線U1,U2,U3,U4の電流の流れ順およびスロット内位置L1,L2,L3,L4を説明するための展開図、
図15は、スロット15内の導線U1,U2,U3,U4の電流の流れ順およびスロット内位置L1,L2,L3,L4を説明するための一部拡大した模式図である。
【0006】
ここで、図中の(括弧)で囲まれた数値は、ステータコア12に設けられたスロット15のスロット番号である。L1〜L4は、スロット内位置を示し、スロット15の最も奥側(ステータコア12の外周側)がL4、最も開口側(ステータコア12の内周側)がL1である。回転電機10としては、合計8極、48スロットを有する3相(U相、V相、W相)の交流型である。
【0007】
図14、
図15においては、3相のうち、U相のコイルを構成する導線U1,U2、U3,U4について示されている。各導線U1,U2、U3,U4は、この順番で直列接続され、また、この順番で電流が流れる。図示された「U1−1」、「U2−2」、「U3−3」、「U4−4」のうち、「U1」、「U2」、「U3」、「U4」は、導線の番号を示し、「−1」、「−2」、「−3」、「−4」の部分は、コイルに所定の電圧を印加することで供給される電流の流れ順を示す。
【0008】
1番目に電流が流れる導線U1は、スロット(1)、(2)、(13)、(14)、(25)、(26)、(37)、(38)では、スロット内位置L4に位置し、スロット(7)、(8)、(19)、(20)、(31)、(32)、(43)、(44)では、スロット内位置L3に位置する。2番目に電流が流れる導線U2は、各スロット15において、導線U1がスロット内位置L4に位置するときにスロット内位置L3に位置し、導線U1がスロット内位置L3に位置するときにスロット内位置L4に位置する。
【0009】
一方、3番目に電流が流れる導線U3は、スロット(1)、(2)、(13)、(14)、(25)、(26)、(37)、(38)では、スロット内位置L2に位置し、スロット(7)、(8)、(19)、(20)、(31)、(32)、(43)、(44)では、スロット内位置L1に位置する。4番目に電流が流れる導線U4は、各スロット15において、導線U3がスロット内位置L2に位置するときにスロット内位置L1に位置し、導線U3がスロット内位置L1に位置するときにスロット内位置L2に位置する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る回転電機10のステータ11を示す正面図である。
図2は、軸線C1の軸線方向に対してその一端側を示す斜視図である。
図3は、軸線方向の一端側を示す平面図であり、波巻きされた一相分のコイル13Uの略半分を示す図である。
図4は、波巻きされた一相分のコイル13Uの残り略半分を示す図である。
【0021】
なお、本実施形態の説明で用いる図面において、背景技術の説明に用いた
図14、
図15に示す部材と同一機能を有する部材には、同じ符号を付してある。また、本実施形態の説明で用いる図面でも、スロット15のスロット番号を周方向に順に(括弧)書きにて示してある。以下の説明でも同じである。さらに、以下の説明では、ステータ11の軸線C1の軸線方向に対してその一端側を「上側」、他端側を「下側」という場合がある。
【0022】
[回転電機の概略説明]
図1〜
図4において、回転電機10は、例えば図示しない建設機械の上部旋回体を下部走行体に対して旋回駆動する3相(U相、V相、W相)8極の交流型の永久磁石同期モータとして構成される。回転電機10は、円筒状のステータ11と、ステータ11内に回転自在に収容されるロータとを備える。
【0023】
ステータ11は、複数の円環状の電磁鋼板を積層して構成されるステータコア12と、ステータコア12に波巻きされる断面平角形状の巻線により形成された3相分のコイル13U,13V,13Wとを備える。3相8極を有する本実施形態において、ステータコア12にはそれぞれ、48個のティース14およびスロット15が周方向(回転電機10での回転方向に同じ)に等間隔で交互に形成されている。コイル13U,13V,13Wとしては、4ターンのシングルスター結線が採用されている。
【0024】
図1、
図2に示すように、ステータコア12の軸線方向の一端側である上側では、コイル13U,13V,13Wの一部が上側に向けて片状に突設され、スロット15の数に対応した48列の突片部分として径方向に沿って直線状に形成されている。ステータコア12の他端側である下側でも同様である。
【0025】
このようなコイル13U,13V,13Wの巻線は、一対の短尺導線(ハーフコイル)の一端同士を予め溶着しておくことで松葉形状とされた多数の巻線セグメントで構成される。巻線セグメントの両端は、周方向に所定ピッチ離間した一対のスロット15の挿入側である上側から挿入される。この際、巻線セグメントの一方側と他方側とでは、スロット15内でのスロット内位置が異なる。つまり、巻線セグメントの中央部分は、ステータコア12の上方にあって突片部分を構成し、かつ上側のターンチェンジ部分を構成している。
【0026】
スロット15の反挿入側となる下側から突出した巻線セグメントの一端は、当該一対のスロット15に対し、周方向にさらに所定ピッチ離間したスロット15の下側から突出した他の巻線セグメントの他端と溶着される。この際に形成される下方の突片部分は、片側48列の溶接部分であって、後述する渡り線が溶接される部分でもあり、巻線セグメントが挿入された後に溶接される溶接部分がステータコア12の下側に集約されることとなる。加えて、相毎に設けられたコイル13U,13V,13Wを互いに接続する相間での渡り線、およびコイル13U,13V,13Wの入力端に接続されるリード線などの溶接部分も、ステータコア12の下側に集約される。さらに、そのような下側での突片部分は、下側のターンチェンジ部分でもある。
【0027】
[コイルの説明]
コイル13U,13V,13Wの具体的な構成および形状について、代表してU相のコイル13Uを以下に説明する。
図3、
図4において、コイル13Uの巻線は、断面四角形とされた合計4本の平角導線U1(第1導線),U2(第2導線),U3(第3導線),U4(第4導線)を所定の順番で直列に接続した構成である。平角導線U1,U2,U3,U4は、実際には
図3、
図4を重ね合わせて示されるように、同一のステータコア12に対して波巻きされるが、ここでは作図上の便宜を図るため、平角導線U1,U3を
図3に示し、平角導線U2,U4を
図4に示した。
【0028】
平角導線U1,U2,U3,U4のそれぞれは、ステータコア12に対して構造的に2巻きされるが、電気的には1巻きのみである。従って、4本の平角導線U1,U2,U3,U4が直列接続されて1本とされた巻線全体としては、ステータコア12に対して電気的に4巻きされる。このことが4ターンのシングルスター結線を構成することとなる。
【0029】
従来と同様、平角導線U1,U2は、スロット15の奥側またはこれに近いスロット内位置L4、L3(
図5、
図6)に位置する。平角導線U3,U4は、スロット15の開口側またはこれに近いスロット内位置L2,L1に位置する。ステータ11の上側および下側では、平角導線U1,U2,U3,U4のうち、スロット15の外部に露出した部分がターンチェンジ部分を有したクランク形状に出現している。このような平角導線U1,U2,U3,U4によって構成されるコイル13Uの巻線の一端は入力端とされ、他端は出力端である。出力端は、他のコイル13V、13Wの出力端と接合されることにより、中性点を形成する。
【0030】
[平角導線U1]
以下には、平角導線U1について、より具体的に説明する。先ず、平角導線U1の始端部は、ステータコア12の下側において、
図3に示すスロット(1)とスロット(7)との間の周方向の中間位置にあり、下方に突設された突片部分として構成される。平角導線U1は、電流の流れる方向に従って説明すると、当該始端部を構成する突片部分がスロット内位置L4の下方に対応して位置し、ここからコイルピッチにして3ピッチだけ周方向に沿って反時計方向に延設され、スロット(1)のスロット内位置L4の下方に至る。
【0031】
この後、平角導線U1は、スロット(1)のスロット内位置L4を下側から上側に向かって通る。スロット(1)の上側から出た平角導線U1は、スロット内位置L4の上方を3ピッチだけ反時計方向に延設され、この後にターンチェンジ部分を介してスロット内位置L3の上方に移り、このスロット内位置L3の上方をさらに3ピッチだけ反時計方向に延設され、スロット(43)の上方に至る。
【0032】
ここから平角導線U1は、スロット(43)のスロット内位置L3を上側から下側に向かって通り、スロット(43)の下側から出る。そして、平角導線U1は、スロット内位置L3の下方を3ピッチ反時計方向に延設された後、スロット内位置L4の下方に移り、さらに3ピッチ反時計方向に延設されてスロット(37)の下方に至る。次いで、平角導線U1は、スロット(37)のスロット内位置L4を下側から上側に向かって通る。
【0033】
以下、平角導線U1は、スロット(31)のスロット内位置L3を上側から下側に向かって通り、スロット(25)のスロット内位置L4を下側から上側に向かって通り、スロット(19)のスロット内位置L3を上側から下側に向かって通り、スロット(13)のスロット内位置L4を下側から上側に向かって通り、スロット(7)のスロット内位置L3を上側から下側に向かって通る。
【0034】
スロット(7)のスロット内位置L3の下側から出た平角導線U1は、反時計方向に3ピッチ延設される。その延設端は下方に突設した突片部分で構成される。この突片部分は、1ピッチ時計方向に戻った位置でのスロット内位置L4の下方にある突片部分に渡り線を介して接続される。この結果、平角導線U1は、構造的に1巻きを終了する。そして、ここからの平角導線U1は、1巻き目と軸線方向つまり上下に重なることとなる。
【0035】
そして、平角導線U1は、スロット(2)のスロット内位置L4の下方に至り、スロット(2)のスロット内位置L4を下側から上側に向かって通り、その上方に出る。さらに、平角導線U1はここから、3ピッチ反時計方向に延設され、1ターン目と上下位置を入れ替えながら、スロット(44)、スロット(38)、スロット(32)、スロット(26)、スロット(20)、スロット(14)、スロット(8)を通る。
【0036】
スロット(8)のスロット内位置L3の下側から出た平角導線U1は、反時計方向に3ピッチ延設される。これにより、平角導線U1による構造的な2巻き目、すなわち電気的な1巻きが終了する。なお、最終的な延設端に設けられる突片部分は、平角導線U1の終端部である。終端部は、平角導線U2(
図4)の始端部として設けられる突片部分に渡り線を介して接続されるが、この渡り線を介しての接続については後述する。
【0037】
[平角導線U2]
平角導線U2は、スロット(1)、(2)、(13)、(14)、(25)、(26)、(37)、(38)のスロット内位置L3、およびスロット(7)、(8)、(19)、(20)、(31)、(32)、(43)、(44)のスロット内位置L4を通り、ステータコア12に対して電気的に1巻きされる。このように、同一スロット内においては、平角導線U1がスロット内位置L4に位置するとき、平角導線U2はスロット内位置L3に位置する。反対に、平角導線U1がスロット内位置L3に位置するとき、平角導線U2はスロット内位置L4に位置する。
【0038】
また、平角導線U1がステータコア12の上側に出現している領域では、平角導線U2はステータコア12の下側に出現している。反対に、平角導線U1がステータコア12の下側に出現している領域では、平角導線U2はステータコア12の上側に出現している。電気的に1巻きされた平角導線U2において、その終端部として設けられる突片部分は、本実施形態では、渡り線を介して平角導線U4(
図4)の始端部として設けられる突片部分に接続される。この渡り線を介しての接続についても後述する。
【0039】
[平角導線U3,U4]
平角導線U3,U4は、平角導線U1,U2と同様に、スロット(1)、(2)、(7)、(8)、(13)、(14)、(19)、(20)、(25)、(26)、(31)、(31)、(37)、(38)、(43)、(44)のスロット内位置L1,L2を通り、ステータコア12に対して電気的に1巻きされる。ただし、同一スロット内においては、平角導線U3がスロット内位置L2に位置するとき、平角導線U4はスロット内位置L1に位置する。反対に、平角導線U3がスロット内位置L1に位置するとき、平角導線U4はスロット内位置L2に位置する。
【0040】
また、平角導線U3がステータコア12の上側に出現している領域では、平角導線U4はステータコア12の下側に出現している。反対に、平角導線U3がステータコア12の下側に出現している領域では、平角導線U4はステータコア12の上側に出現している。電気的に1巻きされた平角導線U4において、その終端部として設けられる突片部分は、本実施形態では、渡り線を介して平角導線U3(
図4)の始端部として設けられる突片部分に接続される。この渡り線を介しての接続についても後述する。
【0041】
以上、本実施形態では、スロット15の内部において、ステータコア12の外周寄りに設けられて径方向に隣接するスロット内位置L4,L3には、同一相の平角導線U1,U2が位置するとともに、これらが周方向に隣接する一対のスロット15を一単位として当該一単位毎にスロット内位置L4,L3が入れ替わる。同様に、それら平角導線U1,U2に対してステータコア12の内周寄りに隣接しかつ径方向に隣接するスロット内位置L2,L1には、同一相の平角導線U3,U4が位置するとともに、これらが周方向に隣接する一対のスロット15を一単位として当該一単位毎にスロット内位置L2,L1が入れ替わる。
【0042】
[各平角導線の電流の流れ順およびスロット内位置]
図5は、本実施形態における回転電機10のステータコア12に関して、スロット15内の平角導線U1,U2,U3,U4の電流の流れ順およびスロット内位置L1,L2,L3,L4を説明するための展開図、
図6は、スロット15内の平角導線U1,U2,U3,U4の電流の流れ順およびスロット内位置L1,L2,L3,L4を説明するための一部拡大した模式図である。
図5、
図6の見方は、既に説明した
図14,
図15と同じである。
【0043】
図5、
図6においては、1番目に電流が流れる平角導線U1は、従来と同様、スロット(1)、(2)、(13)、(14)、(25)、(26)、(37)、(38)では、スロット内位置L4に位置し、スロット(7)、(8)、(19)、(20)、(31)、(32)、(43)、(44)では、スロット内位置L3に位置する。2番目に電流が流れる平角導線U2も、従来と同様、各スロットにおいて、平角導線U1がスロット内位置L4に位置するときにスロット内位置L3に位置し、平角導線U1がスロット内位置L3に位置するときにスロット内位置L4に位置する。
【0044】
一方、平角導線U3は、スロット(1)、(2)、(13)、(14)、(25)、(26)、(37)、(38)では、スロット内位置L2に位置し、スロット(7)、(8)、(19)、(20)、(31)、(32)、(43)、(44)では、スロット内位置L1に位置する。平角導線U4は、各スロットにおいて、平角導線U3がスロット内位置L2に位置するときにスロット内位置L1に位置し、平角導線U3がスロット内位置L1に位置するときにスロット内位置L2に位置する。つまり平角導線U3,U4のスロット内位置に関しては、従来と同じである。
【0045】
しかし、本実施形態では、平角導線U3,U4に流れる電流の順番が
図14、
図15に示す従来とは逆転している。すなわち本実施形態において、平角導線U2の次に電流が流れるのは平角導線U4であり、平角導線U4を流れた後、最後に平角導線U3に電流が流れる。これは、平角導線U2の終端部が渡り線を介して平角導線U4の始端部に接続されるからであり、コイル13Uの巻線として、平角導線U1,U2,U4,U3の順番で直列接続され、この順番で電流が供給されるからである。
【0046】
本実施形態によれば、スロット(1)、(2)、(13)、(14)、(25)、(26)、(37)、(38)では、径方向に隣接し合う導線のスロット内位置の位置関係から、スロット内位置L4,L3においては、従来と同様、1番目に電流が流れる平角導線U1と2番目に流れる平角導線U2とが隣接するから、これらの平角導線U1,U2での電流の流れ順の差は「1」である。スロット内位置L2,L1でも、平角導線U3,U4での電流の流れ順の差は「1」である。
【0047】
一方、スロット内位置L3、L2では、2番目に電流が流れる平角導線U2と4番目に流れる平角導線U3が隣接するから、これらの平角導線U2,U4での電流の流れ順の差は「2」である。従来、スロット内位置L3、L2での平角導線U2,U3での電流の流れ順の差は「1」であったが、本実施形態では「2」に増えている。しかし、電流の流れ順の差「2」は、電流の流れ順の差「3」と比較して、平角導線U2,U4間の絶縁耐力に問題が生じないレベルであり、絶縁耐力を向上させるための繁雑な処理は不要である。
【0048】
また、スロット(7)、(8)、(19)、(20)、(31)、(32)、(43)、(44)では、スロット内位置L4,L3において、平角導線U1,U2での電流の流れ順の差は「1」であり、スロット内位置L2,L1内でも、平角導線U3,U4での電流の流れ順の差は「1」である。そして、スロット内位置L3,L2においては、1番目に電流が流れる平角導線U1と3番目に流れる平角導線U4とが隣接するから、これらの平角導線U1,U4での電流の流れ順の差は「2」である。従って、スロット内位置L3,L2では従来、電流の流れ順の差が「3」であり、分担電圧が大きくなって種々の弊害が生じていたが、本実施形態での電流の流れ順の差は「2」であるから、分担電圧を小さくでき、種々の弊害が生じるのを抑制できる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、スロット内位置L1〜L4では、平角導線U1,U2,U3,U4のうちのいずれか同士が隣接している場合でも、電流の流れ順の差が「2」以下であり、「3」になることがない。このため、両者間での分担電圧を確実に抑制でき、本発明の前述した目的を達成できる。
【0050】
[渡り線の具体的な接続位置]
前記実施形態においては単に、1番目に電流が流れる平角導線U1の終端部は、2番目に電流が流れる平角導線U2の始端部に渡り線を介して接続されるとして説明した。また、2番目に電流が流れる平角導線U2の終端部は、3番目に電流が流れる平角導線U4の始端部に渡り線を介して接続されるとして説明した。そして、この平角導線U4の終端部は、4番目に電流が流れる平角導線U3の始端部に渡り線を介して接続させるとして説明した。以下にはより詳細に、
図7ないし
図12に基づいて、平角導線U1,U2,U3,U4の始端部の位置および終端部の位置を明らかにして、それらの接続位置を説明する。
【0051】
また、前記実施形態では、平角導線U1,U2,U3,U4にはそれぞれ、1番目、2番目、4番目、3番目の順で電流が流れるとして説明したが、
図7ないし
図12では、電流が流れる順番をスロット15の数に対応させてより微細化した。つまり平角導線U1,U2,U3,U4を直列に接続して1本の巻線として見なし、この巻線に対して電流の入力端から電流の流れ方向に従って順に通しの番号を付した。このような番号がスロット15に対応して付されることで、後述するように、平角導線U1,U2,U3,U4単位での電流の流れ順の差が「2」の中でも、いずれのスロット番号のスロット15にて分担電圧が最も大きくいか等を算出可能である。
【0052】
(第1実施例)
図7は、第1実施例に係る展開図である。
図7および前出の
図3、
図4において、電流は先ず、スロット(1)のスロット内位置L4に位置する平角導線U1に供給される。具体的には、スロット(1)の直前(電流の流れ方向に対して直ぐ上流側)の突片部分が平角導線U1の始端部、すなわち巻線としての入力端として設定され、ここに電流が供給される。従って、
図7に示すスロット(1)およびスロット内位置L4に対応した箇所には、電流の流れ順をより微細化した場合の順番として「1」が記されている。
【0053】
次いで電流は、
図3中に示す平角導線U1を反時計方向に流れ、途中のターンチェンジ部分を介してスロット(43)のスロット内位置L3を通る。このため、
図7に示すスロット(43)およびスロット内位置L3に対応した箇所には、電流の流れ順をより微細化した場合の順番として「2」が記されている。以下、「3」〜「16」の順番で、各スロット15のスロット内位置L4,L3を通る平角導線U1に電流が流れる。そして、平角導線U1には、最後の「16」番目に通過するスロット(8)から出た直後の位置に終端部としての突片部分が設けられる。
【0054】
この終端部と渡り線J1を介して接続されるのは、電流が「17」番目に流れる平角導線U2の始端部である。この始端部は、スロットスロット(2)の直前の突片部分で構成される。平角導線U2の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(2)のスロット内位置L3に配置された平角導線U2を通った後、「18」番目として、スロット(8)のスロット内位置L1に配置された平角導線U2を通る。以下、「19」〜「32」の順番で、各スロット15のスロット内位置L4,L3を通る平角導線U2に電流が流れる。そして、平角導線U2には、最後の「32」番目に通過するスロット(43)から出た直後の位置に終端部としての突片部分が設けられる。
【0055】
そして、この終端部と渡り線J2を介して接続されるのは、電流が「33」番目に流れる平角導線U4の始端部である。つまり外周側と内周側とに渡る渡り線J2は、最外周側のスロット内位置L4に位置した平角導線U2の終端部と、最内周側のスロット内位置L1に位置した平角導線U4の始端部との間に接続される。この始端部もスロット(2)の直前の突片部分で構成されるが、渡り線J1が接続される始端部とは、径方向の位置が異なる。平角導線U4の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(2)のスロット内位置L1に配置された平角導線U4を通った後、「34」番目として、スロット(8)のスロット内位置L2に配置された平角導線U4を通る。以下、「35」〜「48」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U4に電流が流れる。そして、平角導線U4には、最後の「48」番目に通過するスロット(43)から出た直後の位置に終端部としての突片部分が設けられる。
【0056】
さらに、この終端部と渡り線J3を介して接続されるのは、電流が「49」番目に流れる平角導線U3の始端部である。この始端部は、スロット(37)の直前の突片部分で構成される。平角導線U3の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(37)のスロット内位置L2に配置された平角導線U3を通った後、「50」番目として、スロット(31)のスロット内位置L1に配置された平角導線U3を通る。以下、「51」〜「64」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U3に電流が流れる。そして、平角導線U3には、最後の「64」番目に通過するスロット(44)から出た直後の位置に出力端としての突片部分が設けられる。
【0057】
スロット15毎に具体的にみると、スロット(1)のスロット内位置L4とスロット内位置L3との順番の差は「24」である。スロット内位置L3とスロット内位置L2との順番の差は「30」である。スロット内位置L2とスロット内位置L1との順番の差は「14」である。スロット(2)ではそれぞれ、「8」、「46」、「30」である。以下、同様にしてスロット15毎の順番差を算出することが可能である。
【0058】
以上の第1実施例によれば、平角導線U1および平角導線U2を直列に接続することで構成される直列回路と、平角導線U3および平角導線U4を直列に接続することで構成される直列回路とに渡る渡り線J2は、最外周側のスロット内位置に位置した平角導線U2の終端部と、最内周側のスロット内位置に位置した平角導線U4の始端部の間に接続される。このことは、後述する第2〜第6実施例でも、同様である。
【0059】
この結果、第1実施例によれば、スロット内位置L3,L2での電流が流れる順番の差は、最も大きくて「46」である。そして、該当するスロット15は、スロット(2)、(43)である。ただし、前記実施形態で説明したように、平角導線U1,U2,U3,U4単位で見た場合には、スロット内位置L3,L2での電流が流れる順番の差は「2」であり、分担電圧の観点からは何ら問題がない。
【0060】
してみると、第1実施例で得られる電流の流れ順の差である「46」は、より分担電圧が小さくなるよう、渡り線J1,J2,J3の結線箇所を特定する場合の指標として有効といえる。第2〜第6実施例でも、同様である。
また、第1〜第6実施例では特に、渡り線J2,J3の結線箇所が異なっており、渡り線J2,J3の長さや取り回しが異なる可能性が大きい。このため、渡り線J2,J3の結線箇所を異ならせることは、渡り線J2,J3のより簡便な結線方法を決定するうえで有効である。
さらに、巻線セグメントの溶接部分がステータコア12の下方に設けられることから、そのような渡り線J1,J2,J3の接続をもステータコア12の下方に集約すれば、溶接作業を迅速に行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0061】
(第2実施例)
図8は、第2実施例に係る展開図である。なお、第2実施例およびこれ以降の第3〜第6実施例では、平角導線U1での始端部(入力端)および終端部、平角導線U2での始端部および終端部に関して、第1実施例と同じである。従って、第2〜第6実施例においては、平角導線U2の終端部と渡り線J2の接続先の説明から始めることとする。
【0062】
図8、
図3、
図4において、平角導線U2の終端部と渡り線J2を介して接続されるのは、電流が「33」番目に流れる平角導線U4の始端部である。この始端部は、スロット(26)の直前の突片部分で構成される。平角導線U4の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(26)のスロット内位置L1に配置された平角導線U4を通った後、「34」番目として、スロット(32)のスロット内位置L2に配置された平角導線U4を通る。以下、「35」〜「48」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U4に電流が流れる。そして、平角導線U4には、最後の「48」番目に通過するスロット(19)から出た直後の位置に終端部としての突片部分が設けられる。
【0063】
さらに、この終端部と渡り線J3を介して接続されるのは、電流が「49」番目に流れる平角導線U3の始端部である。この始端部は、スロット(13)の直前の突片部分で構成される。平角導線U3の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(13)のスロット内位置L2に配置された平角導線U3を通った後、「50」番目として、スロット(7)のスロット内位置L1に配置された平角導線U3を通る。以下、「51」〜「64」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U3に電流が流れる。そして、平角導線U3には、最後の「64」番目に通過するスロット(20)から出た直後の位置に出力端としての突片部分が設けられる。
【0064】
第2実施例によれば、スロット内位置L3,L2での電流が流れる順番の差は、最も大きくて「42」である。そして、該当するスロット15は、スロット(2)、(19)、(26)、(43)である。
【0065】
(第3実施例)
図9は、第3実施例に係る展開図である。
図9、
図3、
図4において、平角導線U2の終端部は、電流が「33」番目に流れる平角導線U4の始端部と渡り線J2を介して接続される。平角導線U4の始端部は、スロット(38)の直前の突片部分で構成される。平角導線U4の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(38)のスロット内位置L1に配置された平角導線U4を通った後、「34」番目として、スロット(44)のスロット内位置L2に配置された平角導線U4を通る。以下、「35」〜「48」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U4に電流が流れる。そして、平角導線U4には、最後の「48」番目に通過するスロット(31)から出た直後の位置に終端部としての突片部分が設けられる。
【0066】
さらに、平角導線U4の終端部は、電流が「49」番目に流れる平角導線U3の始端部と渡り線J3で接続される。平角導線U3の始端部は、スロット(25)の直前の突片部分で構成される。平角導線U3の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(25)のスロット内位置L2に配置された平角導線U3を通った後、「50」番目として、スロット(19)のスロット内位置L1に配置された平角導線U3を通る。以下、「51」〜「64」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U3に電流が流れる。そして、平角導線U3には、最後の「64」番目に通過するスロット(32)から出た直後の位置に出力端としての突片部分が設けられる。
【0067】
第3実施例によれば、スロット内位置L3,L2での電流が流れる順番の差は、最も大きくて「44」である。そして、該当するスロット15は、スロット(2)、(31)である。
【0068】
(第4実施例)
図10は、第4実施例に係る展開図である。
図10、
図3、
図4において、平角導線U2の終端部は、電流が「33」番目に流れる平角導線U4の始端部と渡り線J2を介して接続される。平角導線U4の始端部は、スロット(14)の直前の突片部分で構成される。平角導線U4の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(14)のスロット内位置L1に配置された平角導線U4を通った後、「34」番目として、スロット(20)のスロット内位置L2に配置された平角導線U4を通る。以下、「35」〜「48」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U4に電流が流れる。そして、平角導線U4には、最後の「48」番目に通過するスロット(7)から出た直後の位置に終端部としての突片部分が設けられる。
【0069】
さらに、平角導線U4の終端部は、電流が「49」番目に流れる平角導線U3の始端部と渡り線J3で接続される。平角導線U3の始端部は、スロット(1)の直前の突片部分で構成される。平角導線U3の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(1)のスロット内位置L2に配置された平角導線U3を通った後、「50」番目として、スロット(43)のスロット内位置L1に配置された平角導線U3を通る。以下、「51」〜「64」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U3に電流が流れる。そして、平角導線U3には、最後の「64」番目に通過するスロット(8)から出た直後の位置に出力端としての突片部分が設けられる。
【0070】
第4実施例によれば、スロット内位置L3,L2での電流が流れる順番の差は、最も大きくて「44」である。そして、該当するスロット15は、スロット(14)、(43)である。
【0071】
(第5実施例)
図11は、第5実施例に係る展開図である。
図11、
図3、
図4において、平角導線U2の終端部は、電流が「33」番目に流れる平角導線U4の始端部と渡り線J2を介して接続される。平角導線U4の始端部は、第4実施例と同様、スロット(14)の直前の突片部分で構成される。平角導線U4の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(14)のスロット内位置L1に配置された平角導線U4を通った後、「34」番目として、スロット(20)のスロット内位置L2に配置された平角導線U4を通る。以下、やはり第4実施例と同様、「35」〜「48」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U4に電流が流れる。そして、平角導線U4には、最後の「48」番目に通過するスロット(7)から出た直後の位置に終端部としての突片部分が設けられる。
【0072】
そして、平角導線U4の終端部は、電流が「49」番目に流れる平角導線U3の始端部と渡り線J3で接続される。平角導線U3の始端部は、第5実施例では、第2実施例と同様、スロット(13)の直前の突片部分で構成される。平角導線U3の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(13)のスロット内位置L2に配置された平角導線U3を通った後、「50」番目として、スロット(7)のスロット内位置L1に配置された平角導線U3を通る。以下、「51」〜「64」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U3に電流が流れる。そして、平角導線U3には、最後の「64」番目に通過するスロット(20)から出た直後の位置に出力端としての突片部分が設けられる。
【0073】
第5実施例によれば、スロット内位置L3,L2での電流が流れる順番の差は、最も大きくて「44」である。そして、該当するスロット15は、スロット(43)である。
【0074】
(第6実施例)
図12は、第6実施例に係る展開図である。
図12、
図3、
図4において、平角導線U2の終端部は、電流が「33」番目に流れる平角導線U4の始端部と渡り線J2を介して接続される。平角導線U4の始端部は、第3実施例と同様、スロット(38)の直前の突片部分で構成される。平角導線U4の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(38)のスロット内位置L1に配置された平角導線U4を通った後、「34」番目として、スロット(44)のスロット内位置L2に配置された平角導線U4を通る。以下、やはり第4実施例と同様、「35」〜「48」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U4に電流が流れる。そして、平角導線U4には、最後の「48」番目に通過するスロット(31)から出た直後の位置に終端部としての突片部分が設けられる。
【0075】
さらに、平角導線U4の終端部は、電流が「49」番目に流れる平角導線U3の始端部と渡り線J3で接続される。平角導線U3の始端部は、第6実施例では、第1実施例と同様、スロット(37)の直前の突片部分で構成される。平角導線U3の始端部に流れ込んだ電流は、スロット(37)のスロット内位置L2に配置された平角導線U3を通った後、「50」番目として、スロット(31)のスロット内位置L1に配置された平角導線U3を通る。以下、「51」〜「64」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U3に電流が流れる。そして、平角導線U3には、最後の「64」番目に通過するスロット(44)から出た直後の位置に出力端としての突片部分が設けられる。
【0076】
第6実施例によれば、スロット内位置L3,L2での電流が流れる順番の差は、最も大きくて「46」である。そして、該当するスロット15は、スロット(2)である。
【0077】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、平角導線U1,U2,U3,U4を直列に接続した4ターンのシングルスター結線について説明したが、直列に接続された平角導線U1,U2と、同様に直列に接続された平角導線U3,U4とを並列に接続することで、4ターンのダブルスター結線としてもよい。また、8本の平角導線を用いることで、8ターンのシングルスター結線や8ターンのダブルスター結線を実現してもよい。
【0078】
(第7実施例)
図13には、第7実施例として、8ターンシングルスター結線とした場合の展開図が示されている。8ターンシングルスター結線の場合、各スロット15でのスロット内位置は、最も内周側のL1から最も外周側のL8として設けられる。また、各相で用いられる平角導線としても、4ターンシングルスター結線の場合が4本(U1〜U4)であるのに対して、8ターンシングルスター結線では、その2倍の8本(U1〜U8)である。
【0079】
図13において、最外周側のスロット内位置L8に入力端を設け、最内周側のスロット内位置L1に出力端を設けることとすると、外周寄りのスロット内位置L8,L7,L6,L5に位置する平角導線U1,U2,U3,U4が通るスロット番号は、
図7に示す第1実施例と同じである。また、内周寄りのスロット内位置L4,L3,L2,L1に位置する平角導線U5,U6,U7,U8が通るスロット番号も、
図7に示す第1実施例と同じである。つまり構造的には、第1実施例の配線構造がスロット15の外周側と内周側とに2重に設けられることとなる。
【0080】
そして、外周寄りの部分では、第1実施例と同様、電流が平角導線U1、U2、U4、U3の順で流れるよう渡り線J1〜J3が接続される。さらに、この第7実施例では、平角導線U3には、「64」番目に通過するスロット(44)から出た直後の位置に終端部としての突片部分が設けられ、この平角導線U3の終端部は、電流が「65」番目に流れる平角導線U5の始端部と渡り線J4で接続される。
【0081】
以下、電流は「66」〜「80」の順番で、各スロット15のスロット内位置L3,L4を通る平角導線U5に流れた後、平角導線U5の終端部と平角導線U6の始端部とを接続する渡り線J5を介して、「81」〜「96」の順番で、各スロット15の同じくスロット内位置L3,L4を通る平角導線U6に流れる。さらに、電流は渡り線J6を介して、「97」〜「112」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U8に流れた後、渡り線J7を介して、「113」〜「128」の順番で、各スロット15のスロット内位置L1,L2を通る平角導線U7に流れる。平角導線U7の終端部は出力端として設けられる。
【0082】
このような第7実施例によれば、分担電圧が大きくなるのは、スロット内位置L7,L6の間、およびスロット内位置L3,L2の間であり、第1実施例と同様、電流が流れる順番の差は、最も大きくて「46」である。該当するスロット15はやはり、スロット(2)およびスロット(43)である。
【0083】
本発明の変形例としてはさらに、ターン数と結線形態の好適な組合せとして、平角導線の数(ターン数に相当)を4本、6本、8本、10本としてシングルスター結線を形成したり、8本、12本、16本、20本としてダブルスター結線を形成したり、12本、18本、24本、30本としてトリプルスター結線を形成したりしてもよい。
【0084】
前記実施形態では、8極48スロット(48ティース)の回転電機10について説明したが、これに限定されない。例えば、極数:スロット数=2n:12n・・・nは自然数、の関係にある回転電機を採用できる。すなわち2極12スロット、4極24スロット、6極36スロット、10極60スロット等の回転電機である。
【0085】
その他、前記実施形態での平角導線U1,U2,U3,U4はそれぞれ、一本の巻線で構成されていたが、平角導線を2本の巻線あるいは3本の巻線等で構成されていてもよい。
【0086】
前記実施形態および各実施例では、平角導線U1に入力端が設けられ、平角導線U3に出力端が設けられるといて説明したが、平角導線U4に入力端を設け、平角導線U2に出力端を設け、平角導線U4,U3,U1、U2の順番で電流を流してもよい。
また、平角導線U2、U1,U3,U4の順番で電流を流してもよいし、平角導線U3、U4,U2,U1の順番で電流を流してもよい。